Ultima Thuleは人類が接近した最遠の天体――New Horizonsの写真から成り立ちも判明

NASAのNew Horizons探査機がUltima Thule(ウルティマ・トゥーレ)の鮮明な写真を送ってきた。 これは太陽系の外縁、カイパーベルトに位置し、長径34はキロ程度だ。

ラテン語で「最も北にあるもの」という意味のこの岩のかけらは人類が接近して観察した中で最も遠い天体となった。ミッションの主任研究員、Alan Sternは「宇宙探査史上最高の技術的成功」と呼んだ。

Ultima Thuleは以前から食を利用した予備的研究が行われていたが、推定は非常に正確さだったことが判明した。 この小天体は数十億年前に2つの岩の塊が次第に接近し、接触融合したものだということがNew Horizonsが撮影した写真によって裏付けられた。これによって太陽系の成り立ちについての研究が大きく進歩することは間違いない。

NASAによるUltima Thule形成過程の推定

この天体は大小2つの球からなり、それぞれUltima(ウルティマ)とThule(トゥーレ)と名付けられた。2つの天体は太陽系形成の最初期に次第に近づき、共通の重心の周囲を回転しはじめた後で接触、融合したと考えられている。

ただしNew Horizos探査機が冥王星軌道を過ぎた後でUltima Thuleを目指したのはこうした特異な形状や成り立ちのために選ばれたわけではなかった。実はこの距離にある天体はどれもが未知であり、どれもが等しく科学的興味の対象だった。人類はこうしたカイパーベルト天体を間近で観察したことはこれまで一度もなかった。MU69(Ultima Thuleの科学的名称)は当初ハッブル宇宙望遠鏡によって発見され、2週間かけて大急ぎで軌道を計算した結果、最小の燃料消費でスイングバイが可能だと判明した。【略】

したがってMU69が選ばれた時点ではどれほど奇妙な天体なのかまったく知識はなかった。New Horizonsは天体を撮影するために数千キロ軌道を変更した。

下の写真はNew HorizonsのLORRI(遠距離観察用イメージャー)によるもので、モノクロで数ピクセルの小さな画像だ。

なるほどニュースの1面を飾るには地味な映像だが、宇宙船技術者や天文学者にとっては非常に大きな意味を持つ。New Horizonsが12月31日にこの画像を撮影したとき、天体から80万キロ以上離れていたはずだ。しかも相対速度は秒速14キロ以上だった。しかも太陽系外縁のカイパーベルト地帯には都合のよいWi-Fiタワーなどない。データはDeep Space Networkを通じて非常にゆっくり電送されてくる。

上の画像は探査機がもっと近づいてから撮影されたものだ。50万キロくらいだという。 LORRIも作動を続けていたが、この距離になるとRalphイメージャーが利用可能となり、はるかに詳しい画像が得られた。

Ralphはマルチスペクトル・イメージャーで多数の波長で画像を撮影できる。データ量も多くなり、正しい画像を再構成するためには専門家の解析が必要になる。画像はUltima Thuleの間近での見た目をできるかぎり忠実に再現しようとしたものだという。

天体はありふれた土くらいの反射率で色の濃い部分はなんらかの不安定な物質にさらされた痕跡だろうと研究チームは考えている。天体表面はさらに複雑な形状があると予想されるる。今後さらに鮮明な写真が得られるはずだ。上の写真はNew Horizonsが正常に機能したことを示すいわば予備的データで、詳細な情報の電送には今後1年以上かかる見込みだ。

それでもこの写真でUltima Thuleの大まかなモデリングは可能になった。

ジャガイモを2個くっつけたようなモデルについてSternは「氷山の一角に過ぎない。実際まだデータの1%も受け取っていない」と述べた。

「現在得られている最良の写真に写っいるターゲットは2万ピクセルから2.8万ピクセル程度だ。最初の画像が6ピクセルだったから大幅な改善だが、今後予定どおりに推移すれば、解像度35メートルくらいの画像が得られるはずだ。最終的にはメガピクセル級の画像が得られると期待している」という。

New Horizons探査機はUltima Thuleを過ぎて高速で太陽系の外に向かって飛行中で、今後15年から20年は機能を続けるという。また軌道変更可能な燃料を残しているので別のカイパーベルト天体に接近できる可能性もある。今後――つまり向こう何年か――に注目だという。当面、研究チームはUltima Thuleに関するデータ解析に専念する。

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滑川海彦@Facebook Google+

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