Blue Originの準軌道打ち上げ機「New Shepard」が12回目の打ち上げで有人宇宙飛行の未来に少し近づく

Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が創業したBlue Originが、準軌道打ち上げ機であるNew Shepardのミッションに再度成功した。それは、人間の宇宙飛行のための宇宙船を目指す前段階として重要なステップだ。それはまた、この再利用型ブースターの6度目の飛行であり、同社の多段ロケットの信頼性と回収可能性の実証という点でBlue Originの新記録でもある。

Blue OriginがNew Shepardで商用荷重を運んだのはこれが9度目で、そのシステムは毎回少しずつ、実際にクルーを乗せられるレベルへと近づいていることが、デモンストレーションされた。今回の打ち上げは研究用の実験機器や、児童生徒たちの勉強で使われる教材を運んだ。それにまた、世界中の児童生徒たちが書いた数千枚のハガキも運んだ。それらの宛先は、Blue Originが学校と児童生徒たちに宇宙教育教材を提供する非営利団体として今年の初めに創ったClub for the Futureだ。

最終的にBlue Originは、New Shepardに有料の宇宙旅客を乗せて飛ばすつもりだ。ただしそれには、民間の宇宙飛行士が研究などの目的で同乗する。New Shepardの上部に搭載するBlue Originのカプセルは旅客定員が6名だが、テストにせよ商用のフライトにせよ、実際に人を乗せるのがいつになるかは、まだわからない。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ベゾスのBlue OriginがNew Shepardを打ち上げ予定、ブースター再使用の拡大目指す

Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)が設立した宇宙開発企業であるBlue Origin(ブルー・オリジン)は米国時間12月10日に打ち上げを予定している。打ち上げ時間は米国中央標準時で午前8時30分(日本時間12月10日午後11時30分)に設定されている。打ち上げのライブ配信は、打ち上げの約30分前から始まる。

New ShepardロケットがBlue OriginのWest Texasの発射施設から打ち上げられる。天候が適さない可能性もあるため、チームは状況を見守り、延期しなければならない場合にはその旨が伝えられる。

今回の打ち上げはいくつかの理由で注目に値する。すでに5回使われた再使用可能なブースターが6回目の打ち上げに用いられる。New Shepardは弾道飛行を行うロケットであり、子どもたちを宇宙科学や探査に参加させることを目的としたBlue Originの非営利団体であるClub for the Futureを通じて、子どもたちから寄せられた何千通もの手紙や実験機器などの物資を搭載する予定だ。

【更新1】気象状況により、Blue Originは米国中部標準時の午前10時30分(日本時間12月11日午前1時30分)にロケットを打ち上げる予定だ。

【更新2】気象状況が改善されないため、Blue Originは米国時間12月10日の打ち上げを取りやめ、翌12月11日午前中に再度打ち上げを行うかを後ほど決定する。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Blue OriginのNew Shepardによる宇宙旅行代金は数十万ドルになる見込み

Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が立ち上げたロケット製造・打ち上げサービスのBlue Originは2019年に初の有人ロケット打ち上げを明言していたが、2020年へと後ろ倒しにせざるを得ないようだ。

サンフランシスコで開催中のTechCrunch Disruptのステージで、Blue OriginのCEOであるBob Smith(ボブ・スミス)氏は有人フライトの2019年の打ち上げウィンドウは狭まってきていると話した。「我々は日付を優先させようとはしていない」とも語った。

しかし商業打ち上げは近づいてきていて宇宙船New Shepardによる宇宙フライトのチケットは「数十億ドルになる」ようだ。今年末までに有人打ち上げを計画していた企業はBlue Originだけではない。6月にNASAはBoeing(ボーイング)とSpaceX(スペースエックス)がそれぞれ9月と11月に有人飛行を行うスケジュールを立てた。8月時点の発表文でも、SpaceXは今年後半に国際宇宙ステーションに人を送り込む計画だと述べていた。

Blue Originも計画に沿った打ち上げに向けて作業をまだ進めていて、目下の計画停滞は世界一の金持ちが支援する企業にとっては大した問題ではないだろう。Blue OriginのCEO(そして出資者でもある)にとって、同社の究極的な目標は人間が住むもうひとつの惑星を確保することだ。これは達成するのに数十年かかることのようにも思える。スミス氏やその他の人も、宇宙産業の商業面での潜在能力を確信している。

「打ち上げの回数は増えるだろうし、これまでも増加してきた」とスミス氏は語る。Blue Originの創業者によると、宇宙産業における打ち上げ回数は年3%の割合で増えてきていて、一部のマーケットアナリストはこの数字が50〜80%になる可能性がある、とみている。そしてこうした数字には、ロケットの軌道投入を考えているFacebookやAlphabet、Amazonのような企業のものは含まれない。

「打ち上げ回数は今後10年間でかなりのものになるだろう」とスミス氏は話す。何十年もの間、政府が主な顧客だった宇宙産業が変わりつつあり、「基本的に、より商業的なモデルに移行している」と同

氏は指摘した。

画像クレジット:Flickr under a license.

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(翻訳:Mizoguchi)

ベゾスのBlue Origin、ロケットからの乗員脱出テストに成功―ブースターも5回目の垂直着陸

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今日(米国時間10/5)のBlue Originの飛行テストは成功したと同時に非常にユニークなものになった。今回ジェフ・ベゾスの宇宙企業では乗員安全確保システム(打ち上げ時にロケットに異常があった場合、乗員を安全に退避させる)を実験し、乗員カプセルは正常に回収された。この際、New Shepardロケット自体も(予定外だったが)安全な垂直着陸に成功した。

Blue Originではこのテストで打ち上げロケット本体を無事に回収できる可能性は低いとみており、事前にそのことを強調していた。ベゾスはメール中で「今回の乗員カプセル回収テストではブースターはすでに飛行中であり、条件は極めて厳しいのでブースターはおそらく破壊されるだろう」と述べていた。〔ビデオでは1:06:16にブースターのエンジンに点火〕

このテストでブースターは破壊されるだろう。ブースターはフライト中の乗員カプセルの脱出に耐えるようには設計されていない。

ともかく今回の実験の目的はクルーカプセルを飛行中のブースターから脱出させ、安全に着陸させることだった。ブースター自体の回収は目的に入っていなかった。しかしビデオで見られるとおり、ブースターも垂直着陸に成功し、New Shepardシステムの堅牢性を示す結果となった。このブースターにとっては今回が5回目の垂直着陸成功だった。またこれが最後の飛行となるようだ。ベゾスはこう述べている。

もしブースターも無事に生き残るようであれば、われわれは功績を讃えて引退パーティーをを開催し、ブースターは博物館に展示したい。

今回の実験はもちろん無人で行われた。打ち上げ途中で飛行継続できない異常が発生するという極限的な場合を想定した実験であり、そのような場合のシステムの挙動の情報を収集し、分析することが第一の目的だった。Blue Originが脱出システムを作動させるとロケットモーターによってカプセルはブースターから分離した。分離が行われるのは飛行中の空力的な圧力が最大になる地点が選ばれた。

この地点はシステムが音速を超える瞬間であり、Max Qと呼ばれ、カプセルに最大の力がかかる困難な地点と考えられている。今回のMax Qは高度1万6000フィート(4.9km)だった。

35分の遅れの後、東部時間午前11時35分にNew Shepardはウェストテキサス打ち上げ基地から発射された。打ち上げ後45秒で固体ロケットが2秒間噴射され、クルーカプセルをブースターから切り離した。〔ビデオでは1:07:03で脱出ロケット点火〕

Blue Origin escape system activated / Screenshot of Blue Origin live feed

Blue Originの乗員脱出システムが作動 / Blue Originのライブ中継からのスクリーンショット

分離成功後、乗員カプセルは通常の手順どおり、姿勢安定用のドローグ・パラシュート、続いて減速用のメイン・パラシュートを開いた。カプセルはリング状のフィンによって姿勢を制御しながら下降し、最後にエンジンを逆噴射して時速3マイル程度で静かにタッチダウンした。

Blue Origin crew capsule touching down in West Texas / Screenshot of Blue Origin live feed

Blue Originのクルーカプセルがウェストテキサス打ち上げ施設付近にタッチダウン/ Blue Originのライブ中継からのスクリーンショット

クルーカプセルのタッチダウンから3ほどでブースターも安定した姿勢で垂直着陸に成功した。このブースターがこれで連続5回、垂直着陸に成功しているというのはNew Shepardの安全性を考える上で印象的だ。

blue-origin-et-rocket-landing

Blue Originが打ち上げ時の乗員脱出のテストをするのはこれが初めてではない。2012年10月には同じクルーカプセルを使って静止状態からの脱出実験を実施している。ただしこのときは実物のブースターは用いられていない〔下のビデオ〕。

今回の脱出テストで用いられたクルーカプセルは2012年のテストで用いられたカプセルそのものだ。発射台に静止している状態からの脱出と異なり、加速して飛行中のブースターからのカプセル切り離しは考えられる中でもっとも過酷な条件でのテストだった。

こうしたテストは有人飛行のために必須の準備だ。ベゾスは早ければ2018年にも宇宙高度に乗客を送れると述べている

まだ有人での飛行ミッションは行われていないものの、ベゾスとBlue Originはさらなる未来を計画中だ。先月、Blue Originは衛星打ち上げ能力を備えた新しい大型ロケット、New Glennの開発計画を公式発表した

New Shepardと同様、New Glennのブースターも垂直着陸による再利用を目指している。今回のテストの成功をみるかぎり、Blue Originのブースター再利用による衛星打ち上げ計画は着々と前進しているようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+