NFTゲーム事業を展開するNFTARTSが1200万円のシード調達、2次元アイドルNFTメタバースゲームを開発

NFTを活用したゲーム事業を展開するNFTARTS(エヌエフティアーツ)は1月27日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資による合計1200万円の資金調達を実施したと発表した。引受先はエンジェル投資家2名と事業会社。調達した資金は、NFTゲームの開発とマーケティングにあてる。

NFTARTSは、「アイドルコネクト」や人気VTuber「ウタゴエ放送部♪」などのコンテンツプロデューサー宮脇元康氏が、「NFTゲーム・メタバース」に特化したスタートアップ企業として2021年12月に設立。NFTを活用したクリエイター支援事業を行うことなどを目的としている。「アイドルインフィニティ(IDOL INFINITY)」(仮称)を開発中。またオリジナルIPとしてハイクオリティなNFTゲームをリリースしていく。

NFTARTSが手がけるNFTメタバースアイドルゲームは、プレイヤーがアイドル事務所のプロデューサーとなり、担当アイドルとトップを目指して活躍するというもの。NFTを活用した「Play to earn」ゲームとなる。

NFTゲーム事業を展開するNFTARTSが1200万円のシード調達、2次元アイドルNFTメタバースゲーム開発を加速

キャラクタービジュアル(一部)

NFTホルダーの特典例としては、ゲーム内に登場するアイドルキャラクターのボイス声優オーディションへの参加、NFTホルダーによる投票オーディションで選ばれるなどがある。NFTトークンホルダーは、アイドルプロデューサーとして新人声優発掘オーディションを体験できるという。また新人声優に対して、前述の仕組みにより新たな活躍の場とNFTを活用した1次・2次収益を提供し、継続的な活動支援を行うとしている。

同作品のロードマップとしては、NFTゲームからスタートし、アイドルが活躍するメタバースを目指し展開するという。3D CGによるアイドルがメタバース空間でライブ活動を行うなど、プレイヤーはリアリティーのあるプロデュース体験を楽しめるとしている。将来的にはアイドル特化メタバースの最高峰を目指すとのこと。

開発中のメタバース空間(3Dライブステージ)

開発中のメタバース空間(3Dライブステージ)

ゲーム内NFTの生成を専門に行う企業BreederDAOにa16zなどが出資

分散型の「Web3」企業が、中央集権的な従来の企業と比べてどれほど違うか、あるいは違わないかを、テクノロジー界の巨人たちが議論している間に、同じ投資家からの支援を含め、互いに結びついた企業のエコシステムが、急速に出現しつつある。

2021年の夏、Andreessen Horowitz(a16z)は、Yield Guild Games(イールド・ギルド・ゲームズYGG)という会社に投資した。この会社はブロックチェーンを使ったゲーム内のNFT(非代替性トークン)に投資し、それを使う人に貸し出して、その人がプレイすることで収益を得るというものだ。このようなゲームの中でも特に急成長しているのが「Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)」だ。このゲームでプレイヤーは仮想生物を繁殖させて戦わせ、最終的にうまく戦うことができれば、適切な値段で売ることができる。

a16zは10月までに、Axieの開発会社であるSky Mavis(スカイ・メイビス)への大規模な投資を主導した。現在は、さらに別の構成要素にも資金を提供している。BreederDAO(ブリーダーDAO)という企業だ。同社は、Axie Infinity を含むブロックチェーンベースのゲームや仮想世界で使用されるデジタルアセットの「専門製作業者」として、数カ月前にフィリピンで設立された。

YGGの初期アドバイザー1人を含む若い創業者たちによって設立されたこの社員23名の会社は、a16zとDelphi Digital(デルファイ・デジタル)が共同で行ったトークンセールで、1000万ドル(約11億4000万円)のシリーズA資金を調達した。これにはHashed(ハッシュド)、com2us(コムツーアス)、Morningstar Ventures(モーニングスター・ベンチャーズ)、Mechanism Capital(メカニズム・キャピタル)、Sfermion(スフェルミオン)、The LAO(ザ・ラオ)、Emfarsis(エンファーシス)なども参加した。

なぜ、デジタル資産を作成することだけに特化した企業に資金を提供するのか。それは、まるで工場のラインで働く装置のようなものではないか?a16zゼネラルパートナーで、このような取り組みの多くを主導しているArianna Simpson(アリアナ・シンプソン)氏によると、その理由は単純で、NFTの需要が供給を上回り始めているからだという。「これらのゲームをプレイすることへの関心があまりにも高く、ゲームをプレイするために必要なAxiesやその他のエンドゲームアセットが実際に不足しているのです」。

ゲームメーカーは、ユーザーをゲームに夢中にさせておくために十分な流動性を確保するため、YGGをはじめとするいわゆるPlay-to-earn(プレイして稼ぐ)ギルドのようなサードパーティ企業との協力に前向きであることがすでに証明されている。これらの企業は、NFTのゲーム内資産を購入し、それらをプレイヤーに貸し出して収益を共有する。

今やこれらのギルドは、貸し出す資産をより多く、早急に必要とするようになっている。そのため、BreederDAOのような会社が誕生し、YGGをはじめとするReady Player DAO(レディ・プレイヤーDAO)、Earn Guild(アーン・ギルド)などの同じような企業が、この若い会社の顧客として契約しているのだ(YGGはBreederDAOの株式も所有している)。

シンプソン氏と彼女のパートナーは、より多くの顧客がすぐに列を作るだろうと確信している。a16zのデータによると、YGGやEarn Guildのような企業は、2021年5億3200万ドル(約608億円)の資金を集めた。しかし、これらの企業が資産を貸し出しているプレイヤーは、Axie Infinityに集まった約300万人のデイリーアクティブユーザーの2%にも満たないため、まだまだ成長の余地があると考えられる(BreederDAOのサイトによれば、同社は2025年までに5000のPlay-to-earnグループと協力することを目標としている。その時点ででそれだけ多くのグループが存在していると仮定しているわけだ)。

ブロックチェーンゲームで単純にNFT自体を増やすことを妨げる技術的な制限というものは、どうやら存在しないようだ。むしろ、Sky Mavisのような企業は、NFTを生成するためのエンジンを作ったものの、必ずしも事業としてその点に必要以上に注力したいとは考えていないと、シンプソン氏はいう。また、経済的にメリットがある限り、縄張り意識というものもない(例えば、Axie Infinityをプレイする人が増えれば増えるほど、そのゲームのトークンの価値は上がる)。

シンプソン氏は、このプロセス全体をサプライチェーンのように考えるべきだと言っている。「必ずしも1つの会社が最後から最後まですべてを生産するのではなく、サプライチェーンのさまざまな部分でさまざまな会社が、製品を完全に完成させるということです」。

現時点で、このサプライチェーンにおけるBreederDAOの担当は「Axie Infinity」をはじめ「Crabada(クラバダ)」「Pegaxy(ペガシー)」などのplay-to-earnブロックチェーンゲーム用のNFTを製作することだ。

工場のように、BreederDAOはこれらのNFTをあらかじめ設定された価格で販売しているが、これは時間の経過とともにレベニューシェア型契約に発展する可能性がある。「細分化は、今やっていることではありません」とシンプソン氏はいうが「将来的には」「誰にもわかりません」と付け加えた。

BreederDAOを率いるのは、フィリピン人の共同創業者であるRenz Chong(レンツ・チョン)氏、Jeth Ang(ジェス・アン)氏、Nicolo Odulio(ニコロ・オデュリオ)氏だ。

チョン氏は元経営コンサルタント、アン氏はフィリピンで数多くの企業を設立してきた。元商業パイロットのオデュリオ氏は、BreederDAOが自社内に擁するスマートコントラクトの専門家であり、Binance Smart Chain(バイナンススマートチェーン)やEthereum(イーサリアム)を含む複数のチェーンで暗号資産プロジェクトや分散型アプリを構築した経験があるという。

シンプソン氏をはじめとする投資家はすべて、BreederDAOのトークンが一般公開される前に投資を行っている。これはトークンが公開される前にチームを強化し、トークンが公開されたときに万全の態勢を整えるためだ。このシンジケートの参加者は、それぞれの投資額に応じた数のトークンを手にすることになる。

BreederDAOは、以前にも非公開のシード資金調達を実施している。このラウンドに参加したYGGの他、Infinity Ventures Crypto(インフィニティ・ベンチャーズ・クリプト)、Ascensive Assets(アセンシブ・アセッツ)、Bitscale Capital(ビットスケール・キャピタル)、FireX(ファイヤーエックス)、Mentha Partners(メンサ・パートナーズ)、Not3Lau Capital(ノットスリーラウ・キャピタル)などが支援者として名を連ねていた。

画像クレジット:Ralf Hiemisch / Getty Images

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(文:Connie Loizos、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

NFTゲーム大手Dapper Labsの次なる挑戦はアバター用デジタルアクセサリープラットフォーム「The Warehouse」

100億ドル(約1兆1374億円)を超える取引量を記録したNFTの大ヒットイヤーが終わろうとしている中、昨今のNFTプロジェクトの開発者たちは、今日のドルを追いかけるか、明日のユーザーを追いかけるかというジレンマに直面している。

Dapper Labs(ダッパー・ラボ)は、NBAのトップショットをヒットさせた2021年の主流ブレイクアウトの1つを作った会社で、投資家に対し、後者に賭ける開発者を惹きつけることができると納得させようとしている。最近の時価総額が76億ドル(約8674億円)に達した同スタートアップは米国時間12月13日、その追求の成果の一部を提示し、スターのためのアバターを提供するスタートアップGenies(ジーニーズ)とのパートナーシップによるプロダクトを披露した。それは野心的なNFTストアで、ユーザーがアニメのアバターを作ったり、NFTのアクセサリーを身につけたりできるようにし、Web3デジタルアイデンティティのハブとして機能することを目指していく。

「The Warehouse」と呼ばれるこの新しいプラットフォームは、招待制の小規模なユーザーネットワーク向けにローンチされ、今後数カ月のうちに、徐々により幅広いユーザー層に提供される予定であると両スタートアップはTechCrunchに語った。

この新しいプラットフォームでは、ユーザーは、Geniesアプリ内で作成する3Dアニメのアバターに、DapperのブロックチェーンネットワークFlow(フロー)で作られるマスクや靴、バックパックなどのデジタルアクセサリーを装着することができる。Geniesによると、店舗の大部分のアイテムは20ドル(約2270円)未満で販売されるが、それは特に一次販売に限定されるという。これらの商品の所有者が個々のアイテムの二次販売の市場を決めることになる。The Warehouseではローンチ時に二次的なマーケットプレイスが有効化される予定はなく、Geniesのチームは、この取り組みがやがて、再販価値ではなくプロダクトへフォーカスするコミュニティを生み出すことを期待している。

画像クレジット:Genies

Geniesはすでに、同社のネイティブモバイルアプリ内でデジタルアパレルやアクセサリーを販売する試みを行っているが、この投機的事業にはブロックチェーンやNFT関連の要素は含まれていない。GeniesのNFTエコノミーへの進出は、Dapperという特定ブランドのブロックチェーンに対する賭けである。Bitcoin(ビットコイン)やEthereum(イーサリアム)のようなネットワークほど分散化されていないかもしれないが、手数料の安さ、トランザクション能力の高さ、そしてクレジットカード処理やパスワードを忘れてしまうユーザーのようなWeb3「ラグジュアリー」に優しい開発者プラットフォームなど、切り離すことのできないユーザー利益の数々を提供するものだ。

Flowだけが、より安価な手数料とオンボーディングのしやすさを備えた消費者フレンドリーなブロックチェーンへの唯一の賭けではないことは確かだが、Dapperは将来の成功を約束して投資家から6億ドル(約684億9300万円)を調達した。Wax(ワックス)やSolana(ソラナ)のような競合するレイヤー1のチェーンでは、開発者がプラットフォームの強みとコインホルダーのウォレットを利用しようとしているため、ここ数カ月でネイティブのNFTプロジェクトからより多くの動きが見られている。ベンチャー投資家たちは2021年中に、Ethereumブロックチェーンを「ロールアップ」プロダクトでスケールしようとするいくつかの新たな暗号資産ユニコーンを立ち上げた。これにより開発者は、ネットワークのセキュリティを活用しながら、セカンダリーチェーン上での取引の処理とバンドルを進めることができるようになる。

2021年初めのNBA Top Shotの急成長はDapperに大きな注目を集め、月間取引額は2020年12月の100万ドル(約1億1400万円)弱から2021年2月には2億2500万ドル(約256億8300万円)近くに達した。最近においては、Top Shotのバイヤーとトランザクションのネットワークは最も顕著なライバルAxie Infinity(アクシー・インフィニティ)よりもはるかに下に位置している。暗号資産アナリティクスを行うサイトCryptoSlam(クリプトスラム)によると、Axie Infinityは2021年11月時点で、Top Shotの6万4000人に対して52万人を超えるユニークバイヤーを擁していた。Top Shotがその部隊を立ち上げて以来、NFT市場は爆発的に拡大している一方で、新たな高トラフィックプロジェクトの大半はEthereumを採用しており、そのネットワークを流れる何千億という流動的な暗号資産の活用を図っている。

画像クレジット:Genies

The Warehouseのローンチは、Dapperにとって特に大きな節目となる。Dapperは、Top Shotでの失敗から学びながら、開発者を惹きつけ、再び注目を集めることを期待している。Top Shotは拡大するオーディエンスへの対応に初期の段階から苦労しており、Dapperがますます多くのNFT Momentsを発行し続けることで、アーリーアダプターの一部は自分たちのNFTの価値を失い、フラストレーションを感じてきたという経緯がある。

「Genies WarehouseはNBA Top Shot以来最大のFlow向けリリースであり、同様の成功を期待しています」とDapper LabsのCEOであるRoham Gharegozlou(ロハム・ガーレゴズルー)氏は声明で述べている。

Geniesは今のところ知名度が高いわけではないが、同スタートアップの著名なパートナーは間違いなくその名を馳せている。何年も前から、アバターのスタートアップが現れ「デジタルアイデンティティ」のパイの一部を獲得しようとしてきたが、ゲームメーカーはサードパーティシステムの採用に興味を示さず、セレブたちはソーシャルメディアの影響力を分析するのに忙しくて、仮想世界のことをわざわざ考えることもなかった。

Geniesは、最近の記憶ではどのスタートアップよりも、ウェブの未来への明らかにニッチなビジョンを備えたプロダクトに対するセレブとのパートナーシップネットワーク構築に成功しているが、2021年はNFTをより熱心に公に受け入れたことで、投資家の間でシェアが高まっている。Geniesは先週、Universal Music Group(ユニバーサルミュージックグループ)と提携し、同グループのレコーディングアーティストのアバターやデジタルグッズをホストすることを発表した。Geniesはすでに、Justin Bieber(ジャスティン・ビーバー)氏、J Balvin(J・バルヴィン)氏、Cardi B(カーディ・B)氏などの著名なミュージシャンやアーティストたちとパートナーシップを結んでいる。

2021年5月にGeniesは、Mary Meeker(メアリー・ミーカー)氏のベンチャーファンドBond(ボンド)の支持を獲得し、同ファンド主導で6500万ドル(約74億2200万円)のシリーズB資金調達を行っている。

関連記事:アバター作成スタートアップGeniesがNFT人気に乗じて約71億円調達

NFTはテック業界やベンチャー投資家クラスに受け入れられているものの、消費者においては、何年もの間ゲームの中で購入してきたものと同じように見える高価なデジタルアイテムが、どのようにオンライン体験に革命を起こすのかについて、依然として懐疑的な見方が存在していることを示すエビデンスが多くあるようだ。

チャットアプリのDiscord(ディスコード)は2021年11月、CEOのJason Citron(ジェイソン・シトロン)氏がNFTウォレットプラットフォームMetaMask(メタマスク)との統合のスクリーンショットをツイートしたことで、ユーザーから激しい反発を受けた。多くの批判的なものを含む何千ものリプライが殺到した後、シトロン氏はそれが単なる「社内コンセプト」であり、同社には「現時点で組み込む計画はない」こと、そして「Web3には多くの利点があるが、当社の規模で取り組む必要がある多くの問題もある」ことを明確にしたツイートを続けた。

関連記事:Discordがユーザーの反発を受けて暗号資産やNFTの調査を一時中断

DapperもGeniesも、The WarehouseのデビューでNFT業界の重荷の一端を断ち切ろうとしている。

「これはアバターの1万プロフィール画像プロジェクトでも、NFTや暗号資産に文化を持ち込むものでもありません」とGeniesのCEOであるAkash Nigam(アカシ・ニガム)氏は語っている。「私たちはこれを、消費者に向けたメタバース全体に広がるデジタルアイデンティティを創造するための第一歩だと考えており、ウェアラブルな創造ツールを未来の消費者と才能ある人々に提供することを目指しています」。

画像クレジット:Iann Dior

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(文:Lucas Matney、翻訳:Dragonfly)

Twitch創業者ジャスティン・カン氏がソラナ基盤のゲーム系NFTマーケットプレイス「Fractal」を発表

OpenSea(オープンシー)がすでにNFTマーケットプレイスのトラフィックの大半を占めているように見えるが、競合するストアフロント各社はまだニッチを見つけようと努力しており、NFTが取引可能なJPG以上の意味を持つ未来に備えている。

Fractal(フラクタル)は、シリアルアントレプレナーのJustin Kan(ジャスティン・カン)氏が共同設立した新しいNFTマーケットプレイスで、新興のネットワークであるSolana(ソラナ)ブロックチェーン上でその機会を捉えようとしている。

このプラットフォームは、ゲーミングおよびいわゆるPlay-to-earn(ゲームして稼ぐ)タイトルにおける機会を中心に構築されており、ユーザーはアバターやデジタルグッズを購入することができる。同プラットフォームはローンチに先立ち、既存の暗号ゲームのサポートを強化することに重点を置いているが、カン氏とFractalのチームは、このプラットフォームをブロックチェーンゲームのキックスターターのようなものにしたいと考えている。そのモデルでは、ユーザーはプレセールで独占的なNFTを購入することができ、その収入はゲームの制作資金になる。

カン氏をはじめとする同社チームは、今後数週間のうちにFractalプラットフォームを公開したいと考えている。

暗号分野の他の多くのネットワークと同様に、Solanaにとっても過去1年は良い年だったが、同ネットワークに結びついた通貨の価値が2021年2ドル(約227円)以下から250ドル(約2万8395円)以上に膨れ上がるのを見てきたこのブロックチェーンの支持者にとっては、他の多くの人よりもさらに良い年だった(ただし、この通貨はここ数カ月で大幅に調整されている)。このネットワークは、Ethereum(イーサリアム)ネットワークのモジュール性と動きの鈍い中央基盤が、Web3のユーザーベースのニーズに追いつけない未来に賭けるものだ。推進派は、低料金で広帯域な構造がNFTプロジェクトを構築するのに理想的な場所だと考えている。

「私はSolanaがゲーミングの未来であると信じています」とカン氏はTechCrunchに語っている。

カン氏はTwitch(ツイッチ)の共同設立者であり、Amazonへの売却によりエグジットしたことでも有名だ。最後のスタートアップであるAtriumを閉鎖して以来、同氏は、起業家精神に特化したYouTubeチャンネルやポッドキャスト、パートナーのRobin Chan(ロビン・チャン)氏と共同で設立したインキュベーター / 投資ファンドのGoat Capitalに注力してきた。Fractalは、このインキュベーターから生まれた製品であり、カン氏は共同設立者兼社長として参加することで、創業者スターパワーを吹き込みたいと考えている。また、チャン氏は、Fractalの他の共同設立者であるMike Angell(マイク・アンゲル)CTOとDavid Wurtz(デビッド・ウルツ)CPOとともに、事業開発の責任者を務める。

Fractalはある意味、消費者に優しいブロックチェーンとスケーリングソリューションにより、手数料や出品の摩擦が解消されるブロックチェーンの未来において、キュレーションが果たす重要性に賭けている。その一方、これまで、Ethereumの高価なリスティング費用は、スパマーが既存のマーケットプレイスに何千もの低労力のNFTを氾濫させるのを阻止する数少ない要因の1つだった。

画像クレジット:Fractal

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(文:Lucas Matney、翻訳:Aya Nakazato)

モバイルゲームの巨人ZyngaのCEOが広告危機への対応とブロックチェーンゲーミング部門について語る

ウォール街と自身のガイダンスを上回る実績を上げたZynga(ジンガ)は、第3四半期決算で売上7億500万ドル(約804億円)、前年同期比40%を記録し、月間アクティブユーザー数1億8300万人、前年同期比120%増でモバイルユーザー数は過去最大に達した。

第2四半期にはApple(アップル)のプライバシーポリシー変更の深刻な影響を受け、8月5日から11月4日の間に持ち株の30%を売却するという劇的な出来事があったにも関わらず、予測を超えるユーザー数を獲得し、好調のうちに年を終える見込みが立ったことを伝える米国時間11月10日のニュースを受け、Zyngaの株価は急騰した。

ZyngaのCEOであるFrank Gibeau(フランク・ジボー)氏(画像クレジット:Zynga)

TechCrunchはZyngaのCEOであるFrank Gibeau(フランク・ジボー)氏をインタビューし、モバイルゲームの巨人がどうやって広告危機を乗り越えながら、クロスプラットフォームの拡大とブロックチェーンへの進出という転換ができているのかを尋ねた。

嵐を乗り切る

4月26日、Apple(アップル)はIDFA(広告識別子)を変更し、デベロッパーにATT(アプリ追跡透明性)ツールを使ってユーザーがiOSアプリを横断して追跡されることからオプトアウトできるようにすることを要求し、モバイル広告エコシステムを震撼させた。ロックダウン中に獲得した新規ユーザーは、パンデミックによる制約が解除されると一気に離脱し、獲得コストは急増した。企業は次々と15~20%の売上減少を報告し始めた、とConsumer Acquisitionは伝えている。中でも最も影響が大きかったのが、Snapchat(スナップチャット)のような広告プラットフォームや広告主のPeloton(ペロトン)、広告プラットフォームでも広告主でもあるZyngaなどだ。

「2021年の中間点は大変でした」とジボー氏がTechCrunchに語った。「当社はIDFAと大きな再開需要の問題の重なりから最初に立ち直った企業の1つです。進路を正すために、広告出費を抑え、新しいツールと技術の実験を開始して、9月には平常状態に戻りはじめました」。

ジボー氏は、「FarmVille 3」の公開を成長速度が回復するまで待ったことを話し、11月4日の発売後、この新作ゲームがiPadとiPhoneのApp Storeでそれぞれ第1位と第2位になったことを大いに喜んでいた。

「最悪の状態を脱したことを実感し、第4四半期に向けて新規ゲームへの投資を拡大できることを喜んでいます。この時期を乗り越えるための鍵は、当社のファーストパーティーデータ(自社で収集したデータ)をChartboost(チャートブースト)プラットフォームでどう使うかです」と、Zyngaが2021年買収した広告ネットワークに言及した。

「プレイヤーが当社のゲームにやってきた時に起きることやプレイしたイベント、当社の既存サービスで広告主が何をしているかなどに関して、私たちは大量のデータを持っています。ファーストパーティーデータを活用することで、会社にとって有益なリターンやオークションを予測するためのモデルを構築することができます」と同氏は語った。

Zyngaは、Unity(ユニティ)、Google(グーグル)、Iron Source(アイアンソース)とも提携して、プレイヤーをターゲットするよりよい方法を見つけようとしている。

「この問題には多くの賢い人が取り組んでいます。これはどちらかというと時間の問題で、答えがないわけではありません。長期的に見て、Appleは健全な広告市場を支える有効なプラットフォームを作ると同時に、プレイヤーのプライバシーを守ろうとしているので、私たちは喜んで協力しています」と同氏は語った。

ハイパーカジュアルを使いこなす

Zyngaのビジネスの80%はサブスクリプションとアプリ内購入の少額決済だが、売上の5分の1は広告によるものだ。ハイパーカジュアルゲームと呼ばれる、シンプルなインターフェースで通常30秒以内にプレイが終わるゲームの人気が広告を支えている。

第3四半期、Zyngaは広告売上を前年同期の2倍近くに伸ばした、とジボー氏はいう。この成功に寄与したのは、Zyngaが1年前に買収したトルコ拠点のゲームメーカーRollic(ロリック)で、Zyngaが同カテゴリーのトップ3パブリッシャーになるきっかけとなった。

「アプリストアのインストール数を見ると、ハイパーカジュアルは最大のカテゴリーです。非常に安上がりのゲームで膨大なオーディエンスにリーチできるので、広告を主要な収益方法として利用しています。当社にとって非常に実入りの良い分野であり、私たちのネットワークにユーザーを誘う理想的な入口です。このネットワークは、2022年以降に当社の成長を支える大規模なパブリッショングと広告のプラットフォームを作るという私たちの野心的計画につながっています」とジボー氏は言った。

すべての道はメタバースに続く

Zyngaが次にリリースする大型ゲームは、「Star Wars:Hunters」で、Androidの一部市場で2021年11月中旬に限定公開し、iOSとSwitchで2022年にテストを開始するとジボー氏はいう。これは同社にとってゲーム専用機で動く最初のクロスプラットフォームゲームであり、「Farmville 3」は、macOSで公開された最初のクロスプラットフォームゲームだった。

ジボー氏は、Zyngaのモバイルゲームを他のプラットフォームでプレイできるようにすることへの関心について話した。

「FarmVilleファンとStar Warsファンはどこにでもいるので、プラットフォーム無依存にして私たちの体験をできるだけ多くの場所に提供するのは至極当然のことです」と彼はいう。「結局私たちは、ゲームは1人より一緒にプレイするほうが楽しいと信じているソーシャルゲーム会社です。だから、革新を起こして新しいことを試すことは会社カルチャーの一部なのです」。

2020年以来、ZyngaはSnapchatGoogle Nest、およびAmazon Alexaでゲームを提供してきた。そしてつい最近、TikTokで同社初のゲーム、Disco Loco 3Dを公開した。これは無料でプレイできる音楽とダンスのチャレンジだ。

関連記事:TikTokがモバイルゲームに挑戦、まずはZyngaとの提携で

「ゲーミングの世界では、次のプラットフォームを逃すと窮地に追い込まれます。そこで失敗すると、非常に痛い目にあいます。だから、さまざまなソーシャルプラットフォーム向けに体験を開発して、チャンスがあるかどうかを見ることは非常に重要だと思いました。Snapchatとの提携では、彼らのエコシステムでゲーミングの存在を大きくするに方法を協力して考え、いくつか良い結果を得ていますが、まだ始まったばかりです」とジボー氏はいい、それらのゲームは概念証明が目的であり収益を生むためではないことを強調した。

Netflix Gaming(ネットフリックス・ゲーミング)は11月2日に公開され、Zyngaの元最高クリエイティブ責任者であるMike Verdu(マイク・バードゥ)氏が指揮をとった、とジボー氏は語った。「Netflixにとって、このビジネスのサブスクリプション部分にどうアプローチしたいのか、ユーザーはゲームをどのような操作するのかなど、検討すべきことがまだたくさんあるので、彼らがサードパーティーコンテンツを受け入れる準備ができているのかどうか私にはわかりませんが、将来どこかの時点で話をするのはとても有意義だと思います」。

さらにジボー氏はこう付け加えた「それがNetflixでもRobloxでもEpicでもValveでも、そこにプラットフォームがあり、私たちのコンテンツがそこにあって聴衆に届けることが理に適っているなら、私たちは間違いなく追究していきます」。

しかし、おそらくZyngaにとって今後最大の冒険は、元EA(エレクトロニック・アーツ)幹部のMatt Wolf(マット・ウルフ)氏を新設のブロックチェーンゲーミング部門の責任者として迎えたことにかかっている。NFT(非代替性トークン)の狂乱がゲーミング業界に吹き荒れ、ブロックチェーンのスタートアップ、Mythical Games(ミシカル・ゲームズ)やAnimoca(アモニカ)やForte(フォーテ)の評価額は過去数カ月で10億ドル(約1140億円)に達し、デベロッパーがゲームを横断して使える永久収集アイテムを作る後押しをした。

「この分野には多くの資金と人材が流れ込んでいます」とジボー氏は言い、決断のタイミングを説明した。「当社のファンダーで会長のMark Pincus(マーク・ピンカス)氏と、長年取締役を務めているBing Gordon(ビン・ゴードン)氏がこの分野に非常に熱心なので、ブロックチェーンは長期的にゲーミングの一部になると私たちは信じています。

ウルフ氏が現在最適な道筋を見極めるための専門部隊を立ち上げているところで、FarmVilleで農場を所有することでエンゲージメントや定着率が向上するかどうかなどを調べる予定だとジボー氏は語った。

「私たちはZyngaのスピードで動くつもりなので、数カ月のうちには何かをお見せできると思います」と同氏は語る。

画像クレジット:Zynga

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(文:Martine Paris、翻訳:Nob Takahashi / facebook

SFをテーマにしたNFTカードゲーム「Parallel」が急成長中、投資家の注目も高まり約570億円調達

Ethereum(イーサリアム)エコシステムの暗号資産投機家にとって、NFT(非代替性トークン)が保有資産を多様化するためのホットなスペースとなっていることは周知の事実である。これを、質の低い芸術作品を騙されやすい人に売り込む絶好の機会と考える人がいる一方で、NFTベースのゲームは一般に拡がる運命にあり、早い段階で仕組みを利用することができた製品が利権を得ると考える人もいる。

イーサリアムのブロックチェーンをベースにしたSFカードゲーム「Parallel(パラレル)」は、他の暗号資産プロジェクトよりも急激に成長を遂げている。投資家もそれに気づいており、このプラットフォームは、暗号資産専門VCのParadigm(パラダイム)から5億ドル(約570億円)の評価額を得て5000万ドル(約57億円)を調達したと、TechCrunchに語った。これまで同社には、YouTube(ユーチューブ)の共同創業者であるChad Hurley(チャド・ハーリー)氏、Focus Labs(フォーカス・ラボ)、OSS Capital(OSSキャピタル)、Yunt Capital(ユント・キャピタル)などが出資している。

「最高の暗号資産ゲームは、ファーストパーティのコンテンツを超えて、プレイヤーや開発者のコミュニティを刺激し、ゲームそのものを構築するものになるでしょう。我々は、Parallelのユニークなアプローチと初期の熱狂的なコミュニティに感銘を受け、彼らの次の成長段階を支援できることをうれしく思います」と、Paradigmの共同創業者であるMatt Huang(マット・ファン)氏はメールで語った。

Parallelは、世界的なエネルギー危機を解決しようとする終末論的な試みの後、人類が宇宙から脱出するというファンタジー系ストーリーをベースにしている。CryptoPunks(クリプトパンク)などの高い価値が付けられたドット絵的な他のNFTプロジェクトとは異なり、Parallelのアートスタイルはリアリズムを重視したものになっている。

Parallelが今後リリースする予定のNFT(画像クレジット:Parallel)

このSF NFTカードゲームは、NFTへの投機が急増した2021年8月に最初のパックをリリースすると、すぐに人気に火が着いた。暗号資産情報を追跡しているCryptoSlam(クリプトスラム)によると、Parallelの取引量は1億500万ドル(約120億円)に迫るという。同タイトルに含まれる「Masterpiece(マスターピース)」カードの1つは、110万ドル(約1億2500万円)相当のイーサリアム暗号資産で販売された。9月の売上は1100万ドル(約12億5000万円)を超える程度で収まったものの、このように大きな金額が動いた月は、NFTプロジェクトの長期的な価値に大きな影響を与える可能性がある。というのも、その間に購入された希少な品を長期的に保有することで、オンチェーンで鋳造(発行)される新しい資産の価格基準を安定させることができるからだ。

何千人もの技術に精通した投機家が、大金持ちになるためにシステムを破壊しようとすることほど、システムのストレステストになるものはない。その結果、NFTの「ドロップ」は、ありとあらゆる悪夢のようなシナリオに悩まされてきた。独自のドロップシステムを構築してきたParallelにとって、今のところ順調に進んでいるものの、数日後に迫った次のドロップは、カードの潜在的な価値が高まっていることもあり、どれだけスムーズに進むかに人々の注目が集まっている。

このプロジェクトのゲーム要素は、実際にはまだ存在しておらず、初期の資金はそれを構築するために使われている。Parallelは、NFTの売上に対して10%のロイヤリティを徴収し、その半分がゲーム内の賞金として保持され、残りは会社の収益となる。これはコアプラットフォームにとって将来的により大きな収益をもたらす可能性があるが、ゲームのエントリーポイントが数千ドル(数十万円)に膨れ上がると、この「ゲーム」としての性質はまったく違ったものになってしまう。希少性で投資家を惹きつけつつ、新規ユーザーにも優しい市場のバランスをとることは、NFTゲームプロジェクトが取り組まなければならない大きな課題となっている。

画像クレジット:Parallel

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)