米国で自動運転車のための国家安全基準がついに決定

無人運転車や自動運転機能を備えた自動車に、独自の安全基準が定められることを米国連邦機関が米国時間3月10日に決定した。規則はまず、運転席やハンドルのない車で乗客の安全をどう定義するかを明確化している。

米国運輸省の幹線道路交通安全局(NHTSA)は、この種のものとして初めての最終規則を制定し、人間ドライバーが関与する手動制御装置をもたない車両の乗客のために安全要件を改訂した。

今回の決定は、いくつかの修正に加えて、連邦自動車安全基準(FMVSS)の用語を変更して、自動運転車の空間レイアウトを反映したもので、同局の自動運転の普及にともなう公共の安全確保の取り組みに基づいて作られている。2021年NHTSAは、自動運転車(AV)の運用会社およびメーカーに事故報告書の提出を義務付ける命令を発令し、2020年には、州や企業がAV試験に関する情報を提出し、市民が閲覧できる仕組みを立ち上げた。

「自動運転システム装備車両で運転者が人間から機械に変わっても、人間の安全を維持する必要性は変わることがなく、当初から組み込まれている必要があります」とNHTSAのDr. Steven Cliff(スティーブン・クリフ博士)局長代行が声明で語った。「この規則によって、NHTSAはメーカーが安全を最優先することを求めます」。

さまざまな意味で、この規則はすでに本格化している業界に対応しようとしている。しかし、専用に作られた自動運転車が公道に解放されたことはまだなく、今新しいタイプの車両のための規則の基盤を形成することは、正しい方向への一歩であることは間違いない。

規則ではまず、従来型自動車向けに決められた用語を変更し、曖昧さと不要な用語を排除している。「driver’s seat(運転席)」「steering wheel(ハンドル)」「passenger seat(助手席)」といった用語は、該当する機能をもたない専用自動運転車の空間的参照に用いる意味がない。たとえばCruise(クルーズ)およびZoox(ズークス)の両社が作っているカーシェアリング目的の自動運転車には、伝統的な意味の車内空間がない。

一方、 Waymo(ウェイモ)、Motional(モーショナル)、およびArgo AI(アルゴAI)が路上に送り出しているのは、自動運転システムまたは操舵制御によって操作が可能であるため区別が必要である、とNHTSAはいう。

Nuro(ニューロ)などの自動運転車は、商品の配達に用いられており、人間は乗せないため、NHTSAの基準は、これらの車両を除外するように変更され、保護すべき乗客がいない場合は元の安全要件がなくなることを規定している。

NHTSAの最終規則は、用語を改訂した結果発生するメーカー要件の変更についても言及している。例えば自動運転システム装備車両における先進的エアバッグおよび先進的エアバッグ抑制テルテール(警告表示)、ロック可能義務の扱い、中型バスと大型スクールバスのシートベルト義務の変更などが、「driver」 という用語の削除に続いて記載されている。

自動運転車メーカーは、すでに乗客の安全を考慮して新型車を設計している。たとえばZooxは、まったく新しい形のエアバッグを作りし、センサー、スイッチ、カメラなどを利用したシステムを開発して、乗客の適切なシートベルト利用を確認しているという。しかし、NHTSAの決定は、今後のガイドラインとメーカーが進化する業界の責任をもつための方法を提供するものだ。

「2020年代を通じて、米国運輸省における安全政策の重要部分は、安全基準を自動運転および運転支援システムの進歩に確実に追随させることです」と、Pete Buttigieg(ピート・ブティジェッジ)米国運輸長官が声明で語った。「この新しいルールは、自動運転システム装備車のための堅牢な安全基準を確立するための重要な一歩です」。

画像クレジット:Zoox

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

自動運転システムに対する初のリコール、Pony.aiが同社ソフトのリコール発表へ

米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)によれば、自律走行車両スタートアップのPony.ai(ポニー・エーアイ)はカリフォルニア州で2021年10月に発生した衝突事故を受けて3台の車両に対しリコールを今後発表する。

ロイターが最初に報じたところによると、当局は米国時間3月8日に「これは自動運転システムに対する初のリコールだ」と述べた。

NHTSA局長代行のSteven Cliff(スティーブン・クリフ)氏は声明の中で「自動車を操作するのが人間のドライバーであっても自動運転システムであっても、道路使用者を守る必要があることに変わりはありません。この自動運転システムに対する初のリコールで明らかな通り、NHTSAは自動車メーカーと開発者が安全を最優先に最新のテクノロジーを推進するよう、これからも確実に対応します」と述べた。

トヨタが支援するPony.aiは数カ月間にわたってカリフォルニア州でHyundai Kona(ヒュンダイ・コナ)の電気自動車10台を人間の安全オペレーターなしでテストしていた。その際に、そのうちの1台がフリーモントで中央分離帯と道路標識に衝突した。巻き込まれた他の車両はなく、けが人もいなかったが、この事故を受けてカリフォルニア州車両管理局はPonyの無人テスト許可を一時停止し、NHTSAも正式に調査していた。

書類の中でPony.aiは、当局は同社に対しソフトウェアに安全上の問題があるとの考えを伝えてリコールを要請したと述べている。

Pony.aiによれば、事故車両のソフトウェアの問題は他に2台で発見され、すでに3台とも修正済みだという。同社はソフトウェアのコードを修正したとも述べた。

Pony.aiの広報はTechCrunchに対し「Pony.aiの自律走行車両で事故が発生したのはこの1回限りです」と述べ、これまでに実際に600万マイル(約966万km)以上を自律走行し、2021年にカリフォルニア州で30万5617マイル(約49万km)を走行したと補足した。

当局担当者はTechCrunchに対し、Ponyがテストの一時停止の原因となった問題を修正する適切な行動を完了したとカリフォルニア州車両管理局が確認するまでは、無人テスト許可は停止されると述べた。同社のカリフォルニア州における有人テストの許可は影響を受けない。

数日前の米国時間3月7日にPony.aiは、シリーズDの1回目のクローズ後に評価額が85億ドル(約9775億円)に急上昇したと発表していた。同社の米国トラック部門が事実上解体され幹部数人がライバル企業数社に移るなど米国でとてもうまくいっているという状態ではないが、中国ではトラックとロボタクシーの事業を着実に成長させている。

画像クレジット:Pony.ai

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Kaori Koyama)

テスラ、一時停止の標識を通過させる「完全自動運転」機能をリコール

Tesla(テスラ)は「Full Self-Driving(FSD、完全自動運転)」ベータ版に含まれていた、クルマが一時停止の標識を通過することが可能になる機能をリコールするため、無線でのアップデートを行っているとABCニュースが報じた。この機能は、FSDベータ10.3において、いわゆる「アサーティブ(積極的)」プロファイルの追加により初めて登場した。ABCによるとこの機能は、四差路交差点の一時停止標識を最大5.6MPH(約9.0 km/h)の速度で違法に通過することを許可するという。

Teslaは、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)の関係者との2回の会合を経て、リコールに合意したと報じられている。これは16-22年型のModel S(モデルS)およびModel X(モデルX)のEV、17-22年型のModel 3(モデル3)、20-22年型のModel Y(モデルY)を含む約5万4千台のTesla車に影響する。NHTSAはリコールレポートで「一時停止の標識で止まらないと、事故のリスクが高まる可能性がある」と記している。だがTeslaは、この機能が原因で発生した怪我や事故は関知していないと述べている。

テスラは以前、左折時の後退、ファントム前方衝突警報、オートステアリングのバグなど「いくつかの問題」を理由に、FSD10.3ソフトウェアを撤回して前バージョンに戻した。また、中国ではAutopilot(オートパイロット)の問題で30万台のリコールを余儀なくされ、その他の地域でもカメラやトランクの不具合サスペンションの分離などでリコールを実施している。

以前にも指摘したように「Full Self-Driving」という名称は一般的にはレベル4の自動運転を意味するが、Teslaのシステムはレベル2の高度運転支援(Advanced Driver Assistance)を提供しているに過ぎないため、誤解を招く恐れがある。停止線で止まらず徐行する「ローリングストップ」を無効にするOTAアップデートは、2月上旬までに送信される予定だ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:NurPhoto / Contributor

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

テスラの「完全自動運転」を激しく批判するニューヨーク・タイムズ紙の全面広告

米国時間1月16日日曜日のNew York Times(ニューヨーク・タイムズ)紙に掲載された全面広告は、Tesla(テスラ)の「Full Self-Driving(フルセルフ ドライビング)」を「フォーチュン500企業が販売した史上最悪のソフトウェア」と評し「フォーチュン500企業の他の商品で、8分ごとに致命的誤作動をするソフトウェアを見つけた最初の人物に、問題のソフトウェアの価格と同じ1万ドル(約114万5000円)を提供すると募った。

この広告を出稿したThe Dawn Project(ザ・ドーン・プロジェクト)は、最近設立された団体で、軍隊的ハッカーの標的になりうる重要システムの安全でないソフトウェアを禁止することを目的にしている。この広告はTeslaのFull Self-Driving(FSD)を「致命的誤作動が1000分の1以下になるまで」公道から排除するキャンペーンの一環だ。

反対運動団体の創設者であるDan O’Dowd(ダン・オダウド)氏は、Green Hill Software(グリーンヒル・ソフトウェア)という埋込み型安全およびセキュリティシステム向けオペレーティングシステムとツールを開発する会社のCEOでもある。同社はCESで、BMWの製品、iX は同社のリアルタイムOSと安全性ソフトシェアを使用していると話し、同社の新しい無線配信型ソフトウェア製品とデータサービスを自動車電子システム向けに提供することも発表した。

The Dawn Projectのファウンダーによる競合的バイアスの可能性はさておき、Teslaオーナーが都市道路で利用できる先進ドライバー支援システムであるTeslaのFSDベータソフトウェアは、システムの不具合を示す一連のYouTube動画が急速に広まったことで、ここ数カ月間監視の目を向けられている。

NYT紙の広告が掲載されたのは、カリフォルニア州DMV(自動車管理局)がTeslaに対し、専門のセーフティーオペレーター(非常時対応ドライバー)ではなく、一般消費者による同社のテストプログラムが自動運転規則の対象外であるという同局の意見を「再検討する」と伝えた数日後のことだった。カリフォルニア州DMVは、州内における自動運転試験を規制しており、Wyamo(ウェイモ)やCruise(クルーズ)などのロボタクシーの運用にむけて開発、テストを行っている他の企業に対して、衝突事故あるいは「disengagements(自動運転の解除)」と呼ばれるシステム障害を報告することを義務づけている。Teslaはこれらの報告書を一度も提出したことがない。

その後TeslaのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏はTwitter(ツイッター)で曖昧な反応を見せ、TeslaのFSDは公開以来事故も負傷者も出していないと主張した。現在、米国幹線道路交通安全局(NHTSA)は、Tesla Model Yのオーナーによる、自車がFSDモード作動中に左折した際誤った車線を走り、その結果他の車に衝突されたという報告書を精査している

仮にそれがFSDにとって初めての事故だったとしても、Teslaの全車両に標準搭載されているADAS(先進運転支援システム)、Autopilot(オートパイロット)は、すでに10件前後の衝突事故に関わっている

関連記事:米当局がテスラのオートパイロット機能を調査開始、駐車中の緊急車両との衝突事故受け

NYTの広告とともに、The Dawn Projectは、自身の主張のファクトチェック(事実検証)を公表し、21件計7時間のYouTube動画のデータを研究した独自のFSD安全分析を紹介している。

分析した動画は、ベータバージョン8(2020年12月公開)および10(2021年9月公開)のもので、著しくポジティブあるいはネガティブな動画は、偏りをは減らすために研究対象から排除している。それぞれの動画は、人間のドライバーが運転免許を所得するために合格する必要のあるカリフォルニア州DMV運転技能評価に基づいて採点された。カリフォルニア州のドライバーが運転試験に合格するためには、車線変更の際に方向指示器を使用する、あるいは他の車両との安全な車間距離を維持するなどの運転操作上の誤りが15回以下、衝突や赤信号無視などの致命的な過ちはゼロでなくてはならない。

同団体の調査によると、FSD v10は1時間以内に平均16回の操作誤り、8分ごとに致命的運転誤りを犯した。v8とv10の間の9カ月間に改善があったことを分析結果は示しているが、現在の改善ペースでは、人間ドライバーの事故頻度を達成するまでに、あと7.8年(AAAデータによる)から8.8年(交通局データによる)を要する。

Dawn Projectの広告には、割り引いて捉える大胆な主張がいくつかあり、それは真剣に受け止めるには統計的基準からよりはるかにサンプル数が少ないからだ。しかし、もしこの7時間のビデオ映像が、平均的FSD運転を代表しているとすれば、発見結果はTeslaのFSDソフトウェアの大規模な問題の兆候を示すものであり、果たしてTeslaはこのソフトウェアを規制されることなく公道でテストしてよいのか、というより大きな問題につながってくる。

「私たちは、家族を公道を走る数千台のTesla車の実験用ダミー人形にする申込みをしませんでした」。

国の規制当局は、Teslaおよび同社のAutopilotとFSDベータソフトウェアシステムに対して行動を起こし始めている。

2021年10月、NHTSAはTeslaに2通の書簡を送り、同社のFSDベータを早期利用するオーナーに対する秘密保持契約の使用、および標準Autopilotシステムで、本来リコール対象とすべき問題の解決に無線ソフトウェアアップデートを使用する決定に対して説明を要求した。また、Consumer Reports (コンシューマーレポート)は2021年夏に声明を発表し、FSDバージョン9ソフトウェアアップグレードは公道で使用するには十分安全ではなく、同氏が独自にソフトウェアをテストする予定であると語った。そして先週、同誌はテスト結果を公開し「Teslaのカメラベースのドライバー監視システムは、ドライバーを路上に注意を向けさせることに失敗している」ていることを指摘した。同誌は、それに対してFord(フォード)のBlueCruise(ブルークルーズ)はドライバーの視線がそれた際に警告を発行していると報告した。

関連記事:米道路交通安全局がテスラに対し、秘密保持契約と無線ソフトウェアアップデートについて説明を要求

それ以来、Teslaは同社v10ソフトウェアの数多くの異なるバージョンを公開した。まもなく10.9が登場するはずで「都市 / 幹線道路向け単一ソフトウェアスタック」および「数多くの構造上のアップグレード」をともなうバージョン11は2月に提供される予定だ。

最新バージョン10.8のレビューはさまざまで、ずっとスムーズになったというオンラインコメンターがいる一方、多くの人たちがこのシステムを使うこと自体に自信が持てないともいっている。RedditのTesla Motors subredditで最新FSDバージョンをレビューするスレッドでは、複数のオーナーがソフトウェアに対する苦情を書いていて「絶対に一般公開できる状態ではない」と書いた人さえいる。

別のコメント人は次のようにいう。「完全に誰もいない直線道路に右折するのに時間がかかりすぎる。その後左折する時には理由もなくためらい続けて走行レーンを妨害し、次の道に入ると突然加速したかと思うと、同じくらい急に減速して、それは制限速度45mph(約72.4km/h)の道路を25mph(約40.2 km/h)だと思って速度を考え直したからだった」。

このドライバーは、最終的に完全にシステムを切り離すしかなかった。なぜなら「信号があり全方向の見通しが良くてまったく交通のない」普通の交差点で行うべき左折をシステムが完全に無視したからだったと語った。

The Dawn Projectのキャンペーンは、FSDは「最悪の時に誤ったことをする可能性があります」というTeslaの警告を大きく取り上げた。

「最悪の時に誤ったことをするかもしれない安全最重要製品が市場に出回ることを許せる人などいるでしょうか」と同団体はいう。「それは欠陥の定義なのではありませんか?Full Self-Drivingはいますぐ私たちの路上から取り除かれるべきです」。

Teslaからも、The Dawn Projectからもコメントは得られていない。

画像クレジット:The Dawn Project

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

テスラが走行中は車載ゲーム機能を無効化へ、米当局の調査受けアップデート配信開始

Tesla(テスラ)は、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)による走行中のインダッシュゲーム機能に関する調査にすばやく対応している。The Guardianによると、Teslaは走行中の「Passenger Play」機能を無効化するアップデートを配信するとのこと。NHTSAの広報担当者によると、Teslaは当局関係者とこの問題について話し合った後、この変更を約束したという。アップデートがいつ提供されるかは言及されていないが、今後ゲームをプレイしたければ駐車しなければならないと考えて間違いないだろう。

この担当者は、アップデートがあっても調査は継続すると強調した。NHTSAは、自動車安全法が、運転の集中を妨げるような重大な安全上のリスクをもたらす自動車の販売を禁止していることを改めて強調した。今回の調査は、2017~2022年モデルのTeslaのEV約58万台が対象となる。

テスラは広報部門を廃止しており、コメントを得ることはできなかった。今回の機能変更は驚くべきことではない。NHTSAがテスラに過失があったと認定した場合、不作為は結果を悪化させる可能性がある。また、競合他社からの圧力という問題もある。メルセデス・ベンツは最近、走行中に動画再生ができてしまう問題を修正したが、Teslaが同様にすばやく対応できないとなると、NHTSAに対して良い印象を与えないだろう。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Jon Fingas(ジョン・フィンガス)氏は、Engadgetのウィークエンドエディター。

更新:TeslaのElon Musk(イーロン・マスク)CEOは、アップデートとなるソフトウェアバージョン10.8を米国時間12月23日から配信するとし「良い感じだ」と述べている。@Teslascopeによると、FSD 10.8ベータ版は23日夜から配信され始めたという。

画像クレジット:Screenshot/Tesla

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(文:Jon Fingas、翻訳:Aya Nakazato)

完全自動運転ソフトウェアエラーでテスラが1万1704台をリコール

米国道路交通安全局(NHTSA)の発表によると、Tesla(テスラ)は、前方衝突警告の誤作動や自動緊急ブレーキシステムの予期せぬ作動を引き起こす可能性のあるソフトウェアエラーを特定し、1万1704台を自主的にリコールした。

リコールの対象となった車両はすべて、同社が開発した先進運転支援システム「Full Self-Driving Beta」にいち早くアクセスしていた。このシステムはまだベータ版であり、ドライバーは常に注意を払う必要があるが、ここ数週間で何千人もの顧客に公開された。Teslaによると、このソフトウェアエラーによる事故や負傷者は報告されていないとのことだ。

10月23日に公開された無線によるファームウェアの更新では、規制当局が「ソフトウェア通信切断」と呼ぶものを2つのオンボードチップの間に導入した。翌日、顧客からの指摘を受け始めた、とTeslaは述べた。

「この通信切断により、そのチップ上で作動するビデオニューラルネットワークの動作が予想よりも安定しない可能性がある」と安全性リコール報告書には記載されている。「この不整合により、他の車両が存在する場合に物体速度の検出値が負の値となり、誤った『前方衝突警告』や『自動緊急ブレーキ』が発生する可能性がある」。

リコール対象車両は、2017年~2021年に生産された一部のModel S、Model X、Model 3、および2020年~2021年に生産された一部のModel Yだ。Teslaはこの問題に対処するため別の無線ソフトウェアアップデートをリリースし、車両オーナーには問題と解決策を通知する手紙が送られる。

同社は「数時間のうちに報告内容を調査し、潜在的な安全上のリスクを軽減するための措置を講じました」と話す。

今回の正式なリコールは、同社のこのところのNHTSAとのやりとりとは大きく異なるものだ。リコールにはAutopilotシステムで見つかった別のバグ向けの10月のソフトウェアアップデートも含まれる。このバグではTeslaはリコールを行わず、NHTSAは2021年10月12日、同社に対してリコールを実施しなかった理由を尋ねる書簡を送った。

「Teslaも気づいている通り、安全法は自動車および自動車機器の製造者に対し、製造した自動車または機器に自動車の安全性に関わる欠陥があると判断した場合、または適用される自動車安全基準に適合していないと判断した場合に、NHTSAに通知してリコールを開始する義務を課しています」とNHTSAは記している。

当局は、Tesla車が駐車中の緊急車両に衝突した12件の事故を確認した後、2021年8月にオートパイロットに関する別の調査を開始した。

今回のリコールについてNHTSAは「あらゆる安全上の欠陥が速やかに認識され、対処されるよう、Teslaとの対話を継続する」と述べた。

画像クレジット:Toru Hanai/Bloomberg / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

「テスラに対する偏見がある」とマスク氏が非難したNHTSAの顧問任命を、米運輸長官が擁護

Tesla(テスラ)のElon Musk(イーロン・マスク)CEOは、Missy Cummings(ミッシー・カミングス)氏が米国で最上位の交通局の重要な顧問に任命されたことについて、Twitter(ツイッター)で懸念を表明したが、米国運輸長官のPete Buttigieg(ピート・バッティジエッグ)氏は、マスク氏に懸念があるなら直接自分に話すようにと提案した。

Reutersによると、バティジエッグ氏は米国時間10月20日に開催されたイベントで「もしマスク氏が懸念を抱いているのであれば、ぜひ私に電話して欲しい」と、記者団に語ったという。「我々には道路を走るすべての車両が安全であることを確認する責任があります」。

マスク氏は、Duke University(デューク大学)の工学・コンピューターサイエンス教授であるミッシー・カミングス氏が、米国運輸省道路安全局(NHTSA)の安全顧問に任命されたことに憤慨している。「客観的に見て、彼女の実績はテスラに対する甚だしい偏見がある」と、マスク氏は米国時間10月19日に語った。

NHTSAの最近の行動は、政治的な動機があり、テスラに対して強い偏見があるように見えました。今回のミッシー・カミングス氏の起用は、その説を裏付けるものに思えます。イーロン・マスクさん、感想は?
マット・スミス

客観的に見て、彼女の実績はテスラに対する甚だしい偏見があります。
イーロン・マスク

デューク大学で「Humans and Autonomy Laboratory(人間と自律性の研究室)」を率いるカミングス氏は、マスク氏といつでも「喜んで座って話をします」と答えた。

カミングス氏もTwitterを頻繁に利用しており、そこでテスラの運転支援技術とその展開方法についてしばしば懸念を表明している。9月には、テスラがその「Full Self-Driving(フル・セルフドライビング)」ソフトウェアのベータプログラムに参加を認めるユーザーを選別するために「安全スコア」を導入したことを批判する一連のツイートを行った。

しかし、彼女のテスラに対する批判はもっと昔にまで遡る。2年前、カミングス氏は、テスラの先進的運転支援システム「Autopilot(オートパイロット)」について「モードの混乱を引き起こしやすく、信頼性が低くて安全性に欠ける」と(これもTwitterで)述べ、NHTSAはテスラにこの機能を停止するよう求めるべきだと続けた。

カミングスがNHTSAの安全顧問に指名されたことは、NHTSAが今後、先進運転支援システム(ADAS)やテスラに対してより保守的な姿勢をとることを示唆していると考えられる。

もちろん、NHTSAとテスラはこれまで馴染みがなかったわけではない。道路安全局は2021年8月、テスラのクルマが駐車中の緊急車両に衝突した12件の事件を発見し、Autopilotについて安全性調査を開始した。この規制当局はまた、2017年の死者を出した事故と、それ以降にテスラのADASが関与した25件の事故に対しても調査を行っている。

関連記事:米当局がテスラのオートパイロット機能を調査開始、駐車中の緊急車両との衝突事故受け

8月の時点では、テスラのFSDが完全な自動運転を実現できると思うかと尋ねるツイートに対し、カミングス氏は次のように答えている。「私の予想では、絶対無理」。しかしそれは、彼女が必ずしもLiDAR(レーザー光のパルスで距離を測定する光検出・測距技術)こそが解決策だと考えていることを意味するわけではない。カミングス氏は、完全な自動運転はディープラーニングの進化によってもたらされる「不確実性の下で行われる推論の完全な再考」なしには実現できないという考えを述べている。

テスラの支持者たちは「Autopilot Users for Progress(進歩のためのオートパイロット・ユーザーたち)」というバナーの下、Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領とNHTSAのスタッフに対し、利益相反や偏見の懸念に関して人事の見直しを求める請願運動をChange.orgで開始した。

画像クレジット:Christopher Goodney/Bloomberg / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米道路交通安全局がテスラに対し、秘密保持契約と無線ソフトウェアアップデートについて説明を要求

米国道路交通安全局(NHTSA)が、同国の電気自動車メーカーであるTesla(テスラ)宛に2通の書簡を送った。1つは同社が「フルセルフドライビング」ソフトウェアのベータ版に早期アクセスするオーナーに、秘密保持契約を要求していること、そしてもう1件は、規制当局がリコールを届け出る必要があるとしている問題を修正するために、無線ソフトウェアアップデートを使用したこと、以上の2点を同局は問題視している。

今回送られた書簡は、NHTSAがテスラの先進運転支援システム「Autopilot(オートパイロット)」の自動運転機能や、ソフトウエアの無線アップデートに関連するテスラの慣行について、監視の目を強めていることを示している。

テスラの製造販売する車両には「Autopilot」と呼ばれる運転支援システムが標準装備されている。さらに購入者が1万ドル(約113万円)の追加料金を支払うと、より高度な機能が利用できる「フルセルフドライビング(FSD)」システムにアップグレードすることができる。このソフトウェアは、Elon Musk(イーロン・マスク)CEOが繰り返し約束しているように、いつかは完全な自動運転走行が可能になると言われているものだ。

FSDは数年前からオプションとして用意されており、これまで着実に値上げと新機能の追加が行われてきた。しかしながら、現状ではテスラのクルマは完全な自動運転ではない。FSDには、自動駐車場機能「Summon(サモン)」や、高速道路の入り口から出口まで、インターチェンジや車線変更を含めてクルマを導くアクティブガイダンス運転支援システム「Navigate on Autopilot(ナビゲート・オン・オートパイロット)」が含まれる。さらにFSDの最新ベータ版では、高速道路や市街地での運転を自動化するとされている。しかし、これはまだレベル2の運転支援システムであり、ドライバーが注意を払い、ハンドルから手を離さず、常に車両をコントロールできる状態でいることが求められる。

米国時間10月12日付の1通目の書簡では、テスラが先進運転支援システム「Autopilot」で、低照度下における緊急車両の検知方法をソフトウェアアップデートで修正した際に、リコールを届け出なかった理由を説明するよう求めている。NHTSAの見解では、車両の安全性に関わる部分を修正するために、無線ソフトウェアアップデートを使用する場合は、リコールを届け出る必要があるとしている。

「テスラも認識しているように、米国の安全法は、自動車および自動車機器の製造者に対し、製造した自動車または機器に自動車の安全性に関わる欠陥があると判断した場合、または適用される自動車安全基準に適合していないと判断した場合、NHTSAに通知してリコールを実施する義務を課している」と、NHTSAは記している。

NHTSAの記述によれば、リコール通知は、メーカーが安全上の欠陥や不適合を知った時点から、または知るべきであった時点から、5営業日以内にNHTSAに届け出なければならないとされている。

「車両の安全性に不合理なリスクをもたらす欠陥を緩和するために無線アップデートを配信する製造者は、それにともなうリコール通知をNHTSAに適時提出する必要がある」と、この書簡は続いている。

同じく10月12日付の2通目の書簡は、テスラがいわゆるFSDのベータ版早期アクセスプログラムに、秘密保持契約を用いていることに言及したものだ。FSDの購入者はすでに料金を支払っているが、テスラはオーナーがベータ版ソフトウェアにアクセスするためには、秘密保持契約を結ぶことを要求している。さらに9月には、マスク氏がさらに別の要件も制定した。それは最新のベータ版にアクセスできるオーナーを選定するために、個人の運転データを使用して安全スコアを算出するというものだ。

「NHTSAは、潜在的な安全上の欠陥を評価するための重要な情報源として、消費者からの報告に依存している。そのため、ベータ版早期アクセスプログラムの参加者が、NHTSAに安全上の懸念を報告することを妨げたり、思いとどまらせたりするような合意は容認できない」と、同局は書簡に記している。

「さらに、特定の情報を公開することを制限する行為は、NHTSAの安全性に関連する情報を取得する能力に悪影響を与える。FSDのベータ版早期アクセスにともなう秘密保持契約が、NHTSAの監督責任の遂行を妨げないことを保証するため、当局はテスラに対して添付の特別命令を発行する」。

なお、マスク氏は今週、Twitter(ツイッター)で、テスラが秘密保持契約の要求を取り下げることを示唆している。

イーロン・マスク氏へ。FSDベータ版の秘密保持契約が解除されました。

Whole Mars Catalog

パンチングロールによる提供を予定しています。

Elon Musk

しかしながら、NHTSAはさらなる情報を求めており、テスラは11月1日までに両方の要求に答える必要があると、同局は述べている。

画像クレジット:Christopher Goodney/Bloomberg / Getty Images

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米幹線道路交通安全局がテスラのバッテリー管理システム公式捜査の請願を却下

幹線道路交通安全局(NHTSA)は、ネット経由アップデートの欠陥が5台の車の火災を引き起こしたとする申し立てを巡り、Tesla(テスラ)のバッテリー管理ソフトウェアの公式調査を要求した2019年の請願を却下した。

同局が公式捜査を行わない理由の1つは、該当事象の過半数が米国外で起きているためである、と同局のウェブサイトに掲示された文書で述べられている。

NHTSAは評価の一環として、請願書に記載された2012年から2019年のModel SおよびModel X6万1781台に対する59件の苦情申立を検討した結果、却下を決定した。59件の苦情のうち、52件がバッテリー容量の減少を、7件がソフトウェアがアップデートされた後に充電速度が低下したことをそれぞれ主張していた。車のログデータによると、苦情の58%で車両の電圧制限ファームウェアが有効になっていたが、その後のアップデートによって当該車両のバッテリー容量は部分的あるいは完全に復旧したと報告書概要に書かれている。

同局は、最悪の事態が重なって2019年に中国で発生した2件の火災を引き起こしたことは認識している。それらの車両は直近に高速充電処理を完了し、バッテリーは高い充電状態にあり、バッテリー冷却システムが切断された状態で駐車されていた。2台の車には高負荷下で利用されていた履歴もあった。

Teslaのバッテリー管理システムに詳しい筋によると、もし本当に系統的なソフトウェア問題が存在したなら、5台をはるかに越える車が火災を起こしているだろうと語った。そのような稀少な事故は、製造上の物理的欠陥あるいは利用中の物理的損傷が原因である可能性が高い。例えばこの種の火災が発生した中国ではよくあるとNHTSAが指摘する、高速充電されたばかりの車に高い負荷をかけるような行為だ。

米国でも2件火災が起きているが、1件は高速充電の履歴がなく火災発生時に走行中だった車両によるものであり、もう1件は高電圧バッテリーシステムとの関連性がなかった。5番目の火災はドイツで発生し、車両は低い充電状態で長時間駐車されていた。

「米国内で高速充電に関連する事象が起きていないこと、および2019年5月以降同様の事象が世界中で起きていないことを踏まえると、この請願を許可した結果実施された捜査によって、安全に関係する欠陥の通知と改善に関わる命令が発行される可能性は極めて低い」と裁定は結論づけた。「よって、請願書に記載された情報、および安全に関わる潜在リスクを十分に検討した結果、本請願は却下された」。

報告書は、今回の請願が却下されたことに関わらず、将来安全に関わる欠陥が認められれば、同局がさらなる措置をとる可能性があることを示唆している。

NHTSAはこの請願を拒否したものの、これとは別にTeslaのソフトウェア「Autopilot」の捜査を今も継続している。高度な運転支援システムを有効にした車両が、非常灯を点滅させて駐車していた緊急自動車に衝突するなど、2018年以来死者1名負傷者17名を生む事故を起こしたのを受けたものだ。Teslaは10月22日までに詳細なAutopilotのデータを提出しないと1億1500万ドル(約128億5000万円)の罰金を課せられるが、同社の第2四半期の純利益11億4000万ドル(約1273億9000万円)を考えると軽いお仕置きだ。

関連記事:米交通安全局がテスラに運転支援システム「Autopilot」の詳細な情報提供を命じる

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

米交通安全局がテスラに運転支援システム「Autopilot」の詳細な情報提供を命じる

New York Times紙によると、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)はTesla(テスラ)に対し、同社の運転支援システム「Autopilot(オートパイロット)」の詳細データを10月22日までに提出しなければ、最大1億1500万ドル(約126億円)の罰金を科すと命じた。NHTSAは8月に、Autopilotを作動させたテスラ車が、駐車中のライトを点滅させた救急車両に衝突した事件を調査していることを発表している。同局は当初、2018年以降に合計17人の負傷者と1人の死亡者を出したこのような11件の事故を挙げていたが、先週の土曜日に12件目の事故が発生したばかりだ。

NHTSAは、この電気自動車メーカーに送った書簡の中で、同社の運転支援システムがどのように機能するのかについて、詳細な情報を提供するように指示した。Autopilotが作動している間、人間のドライバーが道路から目を離さないことをどうやってチェックしているのか、また、場所によってAutopilotの機能に制限が加えられるかどうかということを、NHTSAは知りたがっているのだ。連邦政府は長い間、テスラが人間のドライバーにハンドルから手を離させないようにする安全装置を備えていないと批判してきた。数カ月前、同社はようやく「Model 3(モデル3)」と「Model Y(モデルY)」のリアビューミラーの上に取り付けられたカメラを作動させ「Autopilot作動中のドライバーの不注意を検知して警告する」ようにした。Autopilotは高速道路での使用のみを想定しているものだが、ドライバーが一般道路でAutopilotを使用することを妨げるような仕組みは何もない。

NHTSAは、Autopilotの詳細なデータに加えて、テスラが米国で販売した車両の台数についても情報を求めている。さらに同社が関与したすべてのAutopilot関連の仲裁手続きや訴訟、Autopilotに関して顧客から受けたすべての苦情についても知りたいとしている。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のMariella Moonは、Engadgetの編集委員。

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米当局がテスラのオートパイロット機能を調査開始、駐車中の緊急車両との衝突事故受け
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(文:Mariella Moon、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米当局がテスラのオートパイロット機能を調査開始、駐車中の緊急車両との衝突事故受け

米国の自動車規制当局は、Tesla(テスラ)の先進運転支援システム「Autopilot(オートパイロット)」について予備調査を開始した。これは、同システムを作動させていた際に、駐車されていた救急車両に車両が衝突した11件の事故を理由としている。

米運輸省道路交通安全局(NHTSA)のウェブサイトに掲載された調査資料によると、衝突事故に関与したテスラ車は、オートパイロットまたは「Traffic Aware Cruise Control(トラフィックアウェア クルーズコントロール)」と呼ばれる機能を作動させていたことが確認されたという。事故の多くは日没後に発生しており、緊急車両のライトや道路のコーン、ドライバーに車線変更するよう知らせる照明付き矢印板などの「現場管理措置」にもかかわらず発生していた。

「今回の調査では、ダイナミックな運転タスクに対するドライバーのエンゲージメントをモニターし、支援し、強化するために使用される技術と方法を評価します」と資料には記載されている。

調査の対象となるのは、現在販売されているすべてのモデルを含む約76万5000台のテスラ車だ。14-21年型のTesla Model Y(モデルY)、Model X(モデルX)、Model S(モデルS)、Model 3(モデル3)が対象となる。11件の事故または火災により、17名の負傷者と1名の死亡者が発生した。これらの事故は2018年1月から2021年7月の間に発生した。

Teslaのオートパイロットが米国の自動車安全規制機関であるNHTSAの監視下に置かれたのは、今回が初めてではない。2017年、同局は2016年に起こった死亡事故を調査したが、その事故ではEVメーカーである同社に過失はないとされた。NHSTAはこれまで、TeslaのADAS(先進運転支援システム)が関与した事故をさらに25件調査していると、AP通信が米国時間8月16日に今回の調査に関する記事で報じた。

NHTSAは2021年6月、ADASまたはレベル3~5の自動運転システム搭載車の衝突事故の報告を自動車メーカーに義務付ける命令を出した。

「NHTSAは、現在市販されている自動車の中に自動運転が可能なものはないことをあらためて国民のみなさまに指摘します」と、NHTSAの広報担当者は16日にTechCrunchに語った。

TechCrunchは、メディアリレーション部門を解散したTeslaにコメントを求めた。同社から回答があれば記事を更新する。

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タグ:TeslaAutopilot先進運転支援システム米運輸省道路交通安全局(NHTSA)

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

米幹線道路交通安全局が火災リスクのあるシボレー・ボルトを屋外に駐車するようオーナーに警告

Chevrolet Bolts(シボレー・ボルト)のニュースが再び届いた。幹線道路交通安全局(NHTSA)は新たな消費者向け警告を発行した。同様の問題に関するリコールからまだ1年も経っていない。

NHTSAは、2017~2019年型Boltのオーナーに対し、火災の恐れがあるため家の外に駐車するよう推奨した。対象となっているのは、2020年11月に後部座席下のバッテリーパックに火災の可能性があるためにリコールされたのと同じ車種だ。そのリコールは2017~2019年型Chevrolet Bolt、5万932台に影響を与えた。

しかし今回の警告は、前回のリコールの一環で修正されたはずの車両で最近起きた2件の火災事故がきっかけだとGeneral Motors(GM、ゼネラル・モーターズ)がウェブサイトに書いている。

「慎重を期して、先のリコール対象だった2017~2019年型Chevrolet Bolt EVのオーナーのみなさまには、当社が調査している間、車両を充電後は直ちに屋外に駐車し、終夜にわたっての充電を行わないようお願いいたします」。

GMは、このバッテリー異常の修復方法を発見しており、対象のBoltディーラーで対応すると述べている。2019年型Boltのオーナーは去る4月29日から、2017年および2018年型Boltのオーナーは5月26日からこの改修を受けることが可能になっている。GMがこの異常を見つけるために使用している診断ソフトウェアは2022年型Boltおよびそれ以降のGM車両に標準搭載される、と同社は言っている。

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タグ:Chevrolet電気自動車火災GMNHTSA

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook

運転席に誰も乗っていないテスラ車が事故を起こし後部座席と助手席の2名が死亡

米国時間4月17日、テキサス州ヒューストン郊外で、誰も運転席に座っていない状態で走行していたTesla(テスラ)の車両が立木に衝突し、男性2人が死亡した事故について、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は調査を開始した。

地元CBS系列のKHOU-TVが報じたところによると、この2019年型Tesla Model S(テスラ・モデルS)は、ゆるいカーブを曲がり切れず道路外に飛び出したという。ハリス郡第4分署のMark Herman(マーク・ハーマン)保安官は、このような事故は前例がないと地元記者に語った。

「我々の署では、このような事故現場を経験したことがありません」と述べた同氏は「通常、消防隊が到着すると、車両火災は数分で鎮圧されますが、今回は4時間近くも続きました」と続けた。この長時間の火災は、電気自動車のバッテリーが再発火を繰り返していたためと報じられている。

消火には11万リットル以上の水が使われた。犠牲者の1人は助手席に、もう1人は後部座席に座っており「事故当時、(運転席には)誰もいませんでした」とハーマン氏は述べている。

事故当日、テスラのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、同社が2021年第1四半期の安全報告書を発表した際のニュースをリツイートし「Autopilot(オートパイロット)を作動させたテスラは現在、平均的な車両よりも事故の確率が10分の1近くまで減少しています」と述べた。テスラは、Autopilotを「一連の運転支援機能パッケージ」と表現し「積極的なドライバーの監視」が必要だとしている。

「NHTSAは、テキサス州ヒューストン郊外で発生したテスラ車の悲劇的な事故を認識しています」と、広報担当者はTechCrunchに語った。「NHTSAは直ちに特別事故調査チームを起ち上げ、この事故を調査しています。我々は、地元の法執行機関およびテスラ社と積極的に連携し、事故の詳細を調べており、より多くの情報が得られ次第、適切な措置を取る予定です」。

TechCrunchはテスラにコメントを求めており、同社からの回答があれば記事を更新する。

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

燃費規制の罰金引き上げを延期する米国の決定にEVメーカーが反発

燃費基準を達成できなかった自動車メーカーに課せられる罰金の引き上げを延期する決定に、電気自動車メーカーが反発している。

従来の自動車メーカー(その多くは、現在ゼロエミッション車に多額の投資を行っている)を代表するロビー団体は、新型コロナウイルスによる大規模な混乱に業界が直面している時期に、罰金を引き上げ れば経済的に著しい影響があると主張。しかし、自動車産業に新規参入したEVメーカーは、罰金の仕組みが自動車の排出ガスを減らし、さらに低排出ガスまたはゼロエミッション(排出ガスをまったく出さない)技術への投資を促す強力で効果的な誘引になると述べている。

米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)が2021年1月に発表したこの決定は、罰金の引き上げを、2019年モデルイヤーの初めから、2022年モデルイヤーまで延期するとしている。Tesla(テスラ)は、この延期が同社に「継続的かつ回復不能な損害を与え」、非遵守の重要性を軽減し「不公平な競争条件」を生み出しているとして、この判決の見直しを米国第2巡回区控訴裁判所に申し立てている。

CAFE(Corporate Average Fuel Economy:企業平均燃費)の罰金は、1975年に導入されて以来、一度だけ引き上げられた。自動車メーカーの平均燃費値が基準に満たない場合、1ガロンあたりの走行可能な距離が0.1マイル (約0.04km/L)増えるごとに生じる罰金が、5ドル(約546円)から5.50ドル(約601円)に上げられたのだ。米国議会はインフレの影響を是正するため、2015年に罰金の額を14ドル(約1530円)に引き上げることに決めたが、NHTSAと裁判所はそれをいつから適用するかについて議論を重ねてきた。2020年8月の第2巡回区の判決では、2019年モデルから罰金を引き上げることで決着がついたように思われたが、自動車メーカー各社は2020年10月、罰金引き上げの延期を求める申し立てを行っていた。

CAFE規制の罰金は、ゼロエミッションの自動車メーカーにとって大きな利益となる。排ガスを出さないクルマ(つまり電気自動車)を製造している自動車メーカーはクレジットを受け取り、燃費基準を達成できなかった他の自動車メーカーにそれを売ることができるからだ。テスラは規制当局に提出した最近の報告書の中で、他の自動車メーカーにクレジットを販売することで得られる金額は、2019年の5億9400万ドル(約649億円)から2020年には15億8000万ドル(約1726億円)に増えたと述べている。罰金の引き上げを遅らせることは、クレジットの増額を見込んで経済的意思決定を行った企業に害を与えると、テスラは主張している。

新規EVメーカーのRivian(リビアン)とLucid Motors(ルーシッド・モーターズ)も、CAFE罰金の引き上げ延期に反対すると、TechCrunchに語った。

Lucid Motorsの法務顧問を務めるKevin Vincent(ケビン・ビンセント)氏は、TechCrunchに次のように述べている。「クレジット市場はEV産業全体にとって非常に有益なものです。EVの製造を始めようとしているすべての企業は、新興企業であれ既存のメーカーであれ、EVを製造する際に確かなクレジットを得られることが恩恵となるからです。多くの既存メーカーは、結局自分自身でクレジットを売買することになるので、燃費を向上させている先見性のある企業には恩恵があります」。

Rivianのパブリックポリシー担当VPで規制法務責任者のJames Chen(ジェームズ・チェン)氏は、TechCrunchに送られてきた声明の中で、CAFEやその他の排出基準を後退させることは、排出削減(温室効果ガスおよび基準汚染物質)、燃料効率の向上、外国産石油への依存度の低減、技術面のリーダーシップ、およびEVの普及において、米国を後退させるだけだと述べている。また、同社は「より厳しい排出ガス基準と、基準を満たせなかった場合の罰則強化を含む、EVの普及を促進する取り組みを強く支持する」と続けている。

NHTSAは、すでに製造されたモデルイヤーに遡って罰金を適用すべきではないという理由で、引き上げを延期した。自動車メーカーはすでに製造済みの車両の燃費を向上させる手段を持たないため「抑止効果がなく、法律の遵守を促進することがないモデルイヤーにまで、修正された規則を適用するのは不適切である」とNHTSAは述べている。

自動車メーカー各社もまた、ロビー団体「Alliance for Automotive Innovation(自動車イノベーション協会)」が提出した嘆願書および補足コメントの中で、新型コロナウイルス感染流行による経済的苦難を引き合いに出している。Mercedes-Benz (メルセデス・ベンツ)は、パンデミックによりサプライチェーン、労働力、生産に混乱が生じたと、NHTSAに述べている。

「このような厳しい経済状況の中で、遡って罰金率の引き上げを適用することは非良心的であり、新型コロナウイルスの経済的影響を考慮して規制緩和を促進しようとする政権の取り組みとは相反すると我々は考えます」と同自動車メーカーは述べている。

テスラは、新型コロナウイルスの感染流行を根拠とすることは、遅延の理由を示す具体的な証拠がない限り「通用しない」と、裁判所に提出した訴状の中で主張している。

また、カリフォルニア州やニューヨーク州など16の州の司法長官や、環境保護団体のSierra Club(シエラ・クラブ)、Natural Resources Defense Council(天然資源防護協議会)も、この延期に異議を唱えている。

NHTSAの決定は訴訟番号NHTSA-2021-0001として公開されている。テスラは第2巡回区に案件番号21-593で申請している。

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タグ:電気自動車NHTSA地球温暖化環境問題アメリカ

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)