日経、英フィナンシャル・タイムズ・グループをピアソンから1600億円で買収

2015-07-24-ft

メディア業界でまた大型企業買収が発表された。イギリスのPearsonはフィナンシャル・タイムズ(FT)・グループを日本経新聞社に8億4400ポンド(1623億円)のキャッシュで売却した。最近、PearsonはFTの売却先を探しているという噂が流れており、ドイツのAxel Springerが有力な売却先の候補として上がっていた。

今回の売却には、フィナンシャル・タイムズ紙の他に、ウェブサイトのFT.com、How to Spend It、FT Labs、FTChinese、Confidentials、Financial Publishing(The Banker、Investors Chronicle、MandateWire、Money-Media、Medley Global Advisorsなどを発行)が含まれる。

ただしエコノミスト誌のPearsonの50%の持ち株、テムズ川沿いのFTの本社ビルは含まれていない。しかしPearsonが今後教育事業に特化していくという方針であることを考えるとこれらの資産も将来は手放すことになるかもしれない。

PearsonのCEO、John Fallonは声明で次のように述べた。

われわれPearsonはFTを60年近くにわたって所有してきた。しかしわれわれはモバイル化とソーシャル化に起因するメディアの大きな変化の時期を迎えている。 このような環境において、ジャーナリズムとしてまたビジネスとしてFTの成功を保証する最良の道はグルーバルなデジタル・ニュース企業の傘下に入ることだ。

一方、Pearsonは今後、グローバルな教育事業戦略に100%集中していく。世界の教育は根本的な変化を遂げつつあり、われわれはグローバルに質の高い教育を提供していくことに巨大なビジネスの機会を見出している。

FTの発行部数は73万7000で、この数字は過去5年で30%アップしている。このうちデジタル版が70を占めている。FTはイギリス最大の新聞ではないが、高級紙とみなされており、ことにビジネス界ではもっとも権威あるメディアの一つだ。Pearsonによれば、FTの2014年の売上は 5億1900万ドル(642億円)だった。

Pearsonが教育関係の出版とサービスに特化していくのであれば、FTの受け皿として日経は自然な選択だろう。日経は日本でもっとも有力な経済メディアを運営する一方で海外への展開の機会を探っていた。この点は海外での買収を積極的に繰り返している楽天と似ている。

日経の喜多恒雄会長、グループCEOは、「世界でもっとも権威ある組織の一つフィナンシャル・タイムズをチームに迎え入れることができたことを大いに誇りに思っている」と述べた。

日経はグローバルな存在感ではフィナンシャル・タイムズに及ばないだろうが、両者には共通点が多い。その一つがペイウォール〔有料オンライン記事〕だ。140年の歴史を誇る日経の主要なオンライン・メディアは日経電子版だ。今年で5年を迎えたこのサイトは40万人の有料購読者を誇っている。

一方、日経に対しては調査報道に欠けるという批判がある。2011年の津波、また最近のタカタのエアバッグの欠陥に対する報道が不十分だったという指摘が出ている。

日本企業の大半はもっぱら国内市場をターゲットとしているが、日経は東南アジア市場への進出に意欲的だ。Nikkei Asian Reviewは週刊誌とオンラインの双方で発行されている。またタイのバンコクに編集拠点を持つ。シンガポールでは東南アジア地域での営業、販売活動を行うNikkei Group Asiaを運営している。

〔英文プレスリリースの全文は原文を参照〕

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ウォンテッドリーが日経新聞から約1億円の資金調達、採用支援事業などで業務提携

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wantedlyウォンテッドリーは6月10日、日本経済新聞社(日経新聞)との資本業務提携を発表した。

日経新聞を割り当てとした約1億円の第三者割当増資を実施。あわせて採用支援事業や各イベントで業務提携を進める。今後はそれぞれの顧客基盤やブランド、提供コンテンツなどを活用した新サービスの企画や運営も検討する。

ウォンテッドリーはビジネスSNSを軸にした採用支援サービス「ウォンテッドリー」を運営。2015年6月時点でのMAU(月間アクティブユーザー)は60万人、登録企業はスタートアップをはじめとして900社に上る。

日経、Evernoteに2000万ドルを出資してサービス提携へ

Evernoteは、日本のメディアコングロマリットであり、「日本経済新聞」や英文の「Nikkei Asian Review」などを発行する日経から2000万ドルの資金を調達したとアナウンスした。また日経はEvernoteが先月発表したContextに対応する情報を提供していくことにもなるようだ。

Contextというのは、Evernoteに登録した情報に関連する情報を外部サービスから引っ張ってきて表示する機能だ。英語以外でEvernote Contextに対応するのは日経が最初となる。ちなみにこのContext昨日はEvernote PremiumおよびEvernote Businessを利用している利用者に対し、2015年初頭より提供される予定となっている。

Evernote Contextにより、Evernoteはコンテンツ発見機能を持つようになる。これはTwitterやFacebookも同様に狙う分野であり、端的にいえばアプリケーション内で過ごす時間を増加させようとするものだ。ちなみにEvernoteのCEOであるLibinは、数年以内のIPOも考えていると述べている。

Evernoteの海外利用者の多くが日本人であるという点も、今回の出資話に繋がったのだろう。2013年4月に日本で行われた新経済サミットでもPhil Libinは「利用者の20%および売上の30%が日本からのものです。日本での広がりは、私たちにとってとても大事なものです。100年企業をつくりたいということをずっと言ってきていますが、これも老舗企業の多い日本を見ての発想でした。日本は長いスパンで物事を考えることに慣れているようで、そうした考えとシリコンバレー文化の良い所を組み合わせて成長していきたいと考えているのです」というようなことを述べていた。

Evernote Contextで日経からのフィードを活用できるようになるのは、Contextの日本語化が完了した時点となる。MacおよびiOSでまず実装され、それからAndroidおよびWindowsに展開される予定となっている。

訳注:日経も自社記事にてアナウンスを行なっている(「エバーノートと日経が提携 電子版記事を自動配信」)。

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(翻訳:Maeda, H


Apple、4.7インチ、5.5インチの新iPhoneを早ければ9月にも発表と日経新聞が報道

先ほど日本の有力ビジネス紙、日経新聞日本語版〕が報じたところによると、Appleは4.7インチと5.5インチのスクリーンを備えた次世代iPhoneを早ければ9月にも発表するという。

この記事によれば、量産準備はすでに開始されており、部品供給業者は指紋センサーやLCDドライバー・チップなどの製造に入っている。またLCDの量産は4月-6月四半期から始まるということだ。

Appleはまたディスプレイの大型化に伴い解像度の引き上げを行うという。この情報が正しければ、フルHDがサポートされることになるのかもしれない。

まだ時期が早いのでiPhoneに関する噂を全てうのみにはできないが、 この日経の記事にはいくつか本当らしさを感じさせるところがある。4.7と5.5インチのスクリーン・サイズについては、今年に入ってBloombergWall Street Journalが「大型化したスクリーンを備えた2機種が開発されている」と伝えている。また日経は昨年、「iPhone 5sと5cは日本で9月20日に発売される」と公式発表の前に正確に報道している。

Appleに対しては長らく「より大型のスクリーン」を要求する声が強かった。最近、次世代モデルのスクリーン・サイズは現行iPhone 5、iPhone 5c、iPhone 5sに共通する4インチを上回ることになるという噂がしきりに流れていた。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+