Barnes & NobelのNook、新モデルはより大画面に

Barnes & Nobelの電子書籍リーダー「Nook」は、Amazon(アマゾン)のKindleの珍しい競合機種であるだけでなく、興味深いデザインと今では一般的になったフロントライトを搭載した、同クラスで最初の1台だった。

しかしそのシェアを広げることができず、それはBarnes & Nobelが望んでいたような結果ではなかった。そして新たに投入されたのが、より大型化した「Nook GlowLight Plus」だ。

新しい電子書籍リーダーはNookのソフトタッチなスタイルを受け継ぎ、フロントライト付きの7.8インチというかなり大きなディスプレイを搭載している。かさばる点はNookの問題だったが、サイズが大きくなった新モデルではより顕著だろう。それは快適さの向上のために犠牲になった点で、本体価格は199ドル(約2万2000円)となっている。

内部には8GBの内蔵ストレージを搭載し、通常利用なら数週間持つバッテリーを採用している。AmazonのKindleにて復活したページボタンはこちらにも搭載されている。さらに新型Nookは防水仕様で、水辺での読書にも安心して利用できる。

Nookは戦没将兵追悼記念日となる5月29日より、Barnes & Nobelの店舗にて販売される。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Nookプロジェクトを下りたMicrosoftは一日にいくら損をしたか

Barnes & NobleがAmazonのKindleに対抗して立ち上げたNookプロジェクトが行き詰まり、Microsoftとのパートナーシップは不名誉な終わりを迎えた。B&NはMS社に、わずかばかりの手切れ金を渡すことになる。

公式の提携終結文書によると、MicrosoftはB&N社の3億ドル相当の優先株のすべてを、(i)6242万5006.63ドルのキャッシュと(ii)273万7290株の普通株と引き換えに売ることになる。

Barnes & Nobleの株価は今日急落し、さきほどまた6%強下げて20.88ドルだったから、Microsoftの持ち分は1億1960万ドルになる。巨額ではあるが最初の3億ドルの投資に比べると、ずっと少ない。

1億8040万ドルの減価だ。

このほかに、契約の中にはMicrosoftからの支出項目がいくつかあり、また、ジョイントベンチャーの部分的オーナーとして得られたかもしれない収益(得られなかった収益)も、理論的には損失として計上できる。が、ここでは面倒な計算を避けよう。

Nookのパートナーシップから返金がある現状では、Microsoftが今後このプロジェクトに資金を投ずることはありえないだろう。B&Nは現状でとりあえず、Microsoftに金を払えるのだから。また収益については、それがあればMicrosoftの分け前もあるはずだが、公式文書にその方面の情報はない。で、今後の投資や収益配分についても、この記事では無視。

Microsoftはパートナーシップから得られた収益についてコメントを拒否したが、もしそれがあれば、失敗したパートナーシップによる損失は、(理論としては)そのぶん少ないはずなのだ。

このパートナーシップが発表されたのは977日前だから、1億8040万ドルの損失をその間の日割りにすると18万8331ドルになる。大金だが、実際に何かに使った金ではない。3年近く、毎日20万ドル近くを燃やしてしまったのだから、高価な火遊びだが、Microsoftの総現金保有額や各四半期の所得の額に比べれば、取るに足らない。

仮に、Microsoftに5000万ドルの収益があったとしても、一日の損失は10万ドルを超えている。それなら、Fabの苦境時よりも少ないけど。

それに、Nookによる損失は、悪名高きSurfaceの償却に比べれば大したことない。さらにここで、最近のAmazonのFireスマートフォンの在庫処分の話を持ち出せば、Nook、Surface、Fireスマートフォン、いずれも、ハードウェアビジネスはハードだ、ということの典型例だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Barnes & Noble、Nookのハードウェア部門の全員解雇報道を否定―「リストラは事実だが事業は継続」

今日(米国時間2/11)のBusiness Insiderは、Barnes & NobleがNookのハードウェア部門の社員を全員解雇したと伝えた。われわれの取材に対してBarnes &Nobleは「確かに全社的な人員削減を行ったが、報じられたようにハードウェア部門を閉鎖した事実はない」と回答してきた。

Nookの広報担当、Mary Ellen Keatingは今回のリストラに関連して次のように状況を説明した。

われわれはNOOKビジネスを合理化することによってその価値を増大し、将来の成功を準備することに全力を注いている。NOOKのコスト構造をビジネス上の現実と調整するため、組織の一部において社員数を変更する必要が認められ、一定の人員削減につながった。その具体的詳細についてコメントすることは避けたい。

Nook事業の不振はすでに長期間続いている。この前の四半期では売上は対前年比で32.3%ダウンした。B&NがNookの買い手を探しているという噂は何度も流れたが、当面は地盤沈下が続くにもかかわらずNook事業を維持していくことにしたようだ。

Sonyは北米におけるeブック事業から撤退しつつある。Sonyは最近、アメリカとカナダのeブック・ストアを閉鎖し、既存のユーザーをKoboに引き継ぐと発表した。Nookは今回はゲームを降りなかったが、 この市場でAmazonの堅城に挑戦しようとする企業の数は減る一方だ。Nookがいつまで持ちこたえられるのかは誰にも分からない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Pixar出身のファウンダーがeブックの制作を容易にするMacアプリ、Vellumをローンチ―主要3プラットフォームに対応

VellumはPixar出身の2人がリーダーを務めるグループによって開発されたMacアプリだ。その目的はeブックの制作過程の困難を大幅に軽減することにある。

現在のeブック制作はフラストレーションの塊だ。特にKindleはひどい。フォーマットを変換する際、さまざまな部分が入り組んだ関係を作っており、あちらを直せばこちらに別の不具合が出るという具合だ。しかもKindleストアに公開して初めて発見される不具合も少なくない。AppleのiBookは多少増しだが、それでも満足なものではないという。紙版ではせっかく優れたデザイン、フォント、組版で優雅に仕上げられた本がeブックでは凡庸なものになってしまう。

Brad WestとBrad Andalmanの2人がVellumを開発しようとした目的は独立系出版社や個人の著作家でも大手版元の出版物に劣らぬ品質のeブックを制作できるようにすることだった。WestとAndalmanはともにPixarで10年以上の経験を積んだベテランだ。Westは1996年に入社し Brave、ミスター・インクレディブルやファインディング・ニモ、トイ・ストーリー2などの傑作で利用されたソフトウェアを開発した。

Vellumは無料のMacアプリで、Microsoft Wordのような執筆用プラットフォームからテキストをインポートし、さまざまなツールを利用して著者自身でeブックに仕上げることができる。eブック用のファイルが完成した時点で1冊につき49.99ドルでKindleその他のプラットフォームにエクスポートができる。同一の本であればエクスポートの回数は無制限だ。3冊99ドル、5冊149ドルのパッケージもある。

Vellumの最大のセールスポイントはライブ・プレビュー機能だ。著者は制作したeブックがさまざまなプラットフォームでどのように表示されるか正確にプレビューできる。

Kindleでは著者は一連のツールでWordファイルをKindleフォーマットに変換し、カスタムフォントを追加し、プレビューしてからKindleにエクスポートする。エクスポートされた後で何か問題が発見されるとこのプロセスを一からやり直さねばならない。Vellumでは現在標準的になっている電子組版機能を取り入れており、コンテンツトが変更された場合、それに応じてインデント、スペースなどの調整が自動的に行われる。

Vellumではeブック用の著作権表示、あとがきなどを素早く追加でき、プラットフォームにアップロードする前に本の全体を読者が読むのとまったく同一のビューで即座にチェックすることができる。iBooks、Kindle、Nookの各プラットフォームへのアップロードはワンクリックですむ。また書評やプロモーションのためにEPubファイルの事前配布も可能だ。

eブックの市場が大きく拡大したにもかかわらず、クロスプラットフォームでのeブック制作はここ何年も驚くほど進歩がなかった。既存のツールは貧弱でひどいフラストレーションを引き起こすようなものばかりだ。Vellumのようなツールないしサービスには非常に大きな可能性があると思う。ダウンロードは制作会社のサイトから直接に行える。

〔日本版:詳しいスライドショーは原文参照〕

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Nook、今四半期は対前年で売上20%減と試練続く―デジタル事業の分社化は否定

Barnes & Nobleがeブックとeリーダー事業から生じた損失を取り返すことは容易ではないようだ。

同社がさきほど発表した四半期決算報告によれば、Nook事業の売上は前年同期比で20.2%落ち込んだ〔B&Nでは今年の5-7月期を2014会計年度の第1四半期としている〕。Nookの売上は1億530万ドルで、前年同期比ではマイナスだったものの、前四半期の1億800万ドルからは上昇した。

Nookのハードウェア事業は対前年同期比で23.1%ダウンだったのに対してデジタル・コンテンツの売上は15.8の減少にとどまった。B&Nではこの不振の原因を一部はNookのタブレット、eリーダーのセールスの不振に求めているが、同時に今年はHunger Gamesや50 Shades of Grey三部作のようなブロックバスター作品が出なかったことも影響したとしている。印刷版、オンライン版を合計した小売事業全体の売上は10億ドルで対前年同期比9.9%のダウンだった。

今回の報告でB&NはNook事業に今後も注力していう姿勢を鮮明にしたといえる。会長のLeonard Riggioは以前言明していた小売事業の再編は中止するとし、「その代わりにB&NはNookの1000万台普及を当面の目標とする。そのために店頭およびオンライン販売の双方に力を入れる必要がある」と述べた。つまりB&Nは以前報道されていたようにNook事業と現実店舗の事業を分社化するのではなく、双方を一体として運営していくという路線を取るようだ。

Nook MediaのCEO、Michael P. Husebyもコメントを発表し、「Nookシリーズは今後も価値あるプロダクトとして市場jに提供される。現在複数の新機種を開発中であり、すくなくとも1機種はクリスマスまでに登場する」と述べた。Nookデバイスの製造をサードパーティーのメーカーに開放するかどうかについては依然触れられなかった。今朝の10時にカンファレンス・コールが予定されているので、何か新しいことがわかればフォローする。

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MicrosoftがNook Mediaを10億ドルで買収検討との内部資料を入手―Nookは来年Androidから他のプラットフォームへ移行か?

われわれはMicrosoftがNook Media LLCのデジタル部門を10億ドルで買収することを検討しているとの内部文書を入手した。Nook Mediaは一般電子書籍と大学向け電子教科書を販売するためにアメリカの大手書店、Barnes & NobleがMicrosoft及び他の投資家とともに設立したジョイント・ベンチャーだ。

Microsoftが買収を検討しているNook Mediaのデジタル事業部には大学向け電子教科書部門、一般電子書籍部門、Nook eリーダーとタブレット部門などが含まれる。

またこの文書には、2014年末までにNook MediaがAndroidタブレット事業を閉鎖し、Nookのデジタル・コンテンツをサードパーティーのデバイスで配信する計画が含まれている。

Nookがeリーダー事業から撤退するという情報はこの2月に浮上した。問題の文書はこのサードパーティーのタブレットがMicrosoftのWindows 8デバイスになるかどうかを明らかにしていない。ただしサードパーティーのタブレットは2014年内に発表されるとしている。

ただし現行のNook e-リーダーはある時点で完全に終了するというわけではないようだ。むしろ、ユーザーが電子書籍を一般のタブレットのような多目的デバイスで読むようになるにつれれて、自然に役割を終えて消えていくというシナリオが描かれている。

MicrosoftとB&Nはこの件に関してコメントを避けた。

Nook Mediaのデジタル事業部を買収するというのはMicrosoftに取って自然な成り行きだ。MicrosoftがNookのデバイスとコンテンツに関連してBarnes & Nobleと提携することを発表したのは2012年4月だった。このときMicrosoftは3億ドルをNook Mediaに投じている。またMicrosoftはNookのWindows 8デバイスの開発の費用の前払い金としてさらに1億8000万ドルを支払う(現在開発が進行している)。

現在Nookデバイスはeリーダーとタブレット合計で1000万台が販売されており、700万人以上のアクティブ・ユーザーがいる。MicrosoftはこれまでWindows 8ベースのデバイスにあまり大きな関心を示してこなかった(ただし1億以上のライセンスを販売したとしている)。現在NookアプリはAndroid、iOS、Windowsを含むすべての主要OS版が提供されている。

Nook Mediaは Barns & Nobleの書店チェーン部門から昨年10月に分離・独立した。この際、Microsoftは16.8%の株式持分と引き換えに3億ドルを出資した。この提携は、当時誕生したばかりのWindows 8タブレットにB&Nの電子書籍コンテンツを確保することが目的だった。当時、Nook Mediaのデジタル・プロダクト責任者だったJamie Iannoneは、「ハード、ソフト、コンテンツ、Nookに関するすべてをNook Mediaが担当する。もちろん、NookビジネスはBarnes & Nobleとの長期的な協力のもとに行われる」と述べた。

しかしNookビジネスの不振は戦略の見直しを強いることになったようだ。Barnes & Nobleのファウンダーで大株主でもある、Leonard Riggioは書店チェーンの株の買い戻しを提案したことがある。

TechCrunchが入手した文書はB&Nの会社評価額を16億6000万ドルと見積もっている。Nook Mediaの創立時点では、Nook Media単独で17億ドル近くの評価額だった。Pearsonが1月に8500万ドルで5%の株式を取得した際の評価額は18億ドルだった。Microsoftの10億ドルの評価額はこれよりだいぶ下がっていることになる。

われわれが入手した文書は、情報を公的な提出書類と経営陣との面談によっているが、Nook事業部は会計年度の2012年度(毎年5月1から4月30日まで)は12億1500万ドルの売上高に対して2億6200万ドルの損失(EBITDAベース)を計上している。2013年には売上が10億9100万ドルに減少、損失は3億6000万ドルに増加すると予測されている。その後、タブレット事業の閉鎖し、売上の回復によって2017年度には、19億7600万ドルの売上に対してEBITDAベースの利益が3億6200万ドルになると予測されている。

しかしNook事業は昨年のクリスマス商戦の不振により打撃を受けている。新製品は値崩れが数週間も続き、フラグシップの10インチ Nook HD+は当初の269ドルから179まで値下げされた。 KindleはFire HDを同価格で販売している。Nookのハードはいろいろな面でKindleをしのいでいるが、売上でも市場シェアでもAmazonの製品に及んでいない。MicrosoftがNook事業を傘下に収めることになれば専用eリーダーをめぐるB&Nとジェフ・ベゾス率いるAmazonとの対決はついに終了することになるだろう。

この記事の執筆にはJohn Biggsが協力した。.

アップデート:Publishers’ Lunchは今回の会社評価額には、大学教科書部門のMicrosoftの株式持分やMicrosoftによる追加投資があった場合の影響など、さらに考慮すべき要素があるかもしれないと論じている

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