宇宙内衛星サービスが成功を見せつけて軌道上の宇宙船操作の記録を破る

Northrop Grumman(ノースロップ・グラマン)が初めて行うMission Extension Vehicle(ミッション延長用宇宙船, MEV-1)のデモンストレーションミッションの成功が証明され、Intelsat(インテルサット)の衛星の寿命を5年延ばすことができた。そのミッションには、2月25日にノースロップのMEVがインテルサットのIS-901衛星と軌道上でドッキングすることが含まれ、そのあとインテルサットの軌道が変えられて稼働時間を延長できた。

最初のドッキングは2月の終わりごろ行われたが、MEVはそれまでの時間をIS-901の軌道を変えることに費やし、その後インテルサットはさらに、一部の顧客をそれまで使われていなかった衛星に移して、通信サービスに使えるようにした。両社の発表によると、今それは「フルサービス」を提供しており、それが今後5年続く。そのあとMEVは使われなくなっていた軌道に戻って最終的に引退する。そのときMEV−1は再び、ほかのスペースタグ(space tug, 宇宙のタグボート)ミッションで使えるようになり、ほかの衛星のために同じサービスを実行できる。

これは、軌道の持続可能性(サステナビリティー)と宇宙内サービス、および寿命延長の点で画期的であり、とくにNorthrop Grummanはこれをサービスとして提供できるようになる。一方Intelsatにとっては、中断のないサービスを継続できる点で「コストパフォーマンスが良くて効率的」であり、まったく新しい衛星を作って打ち上げなくても顧客のニーズに対応できる、とプレスリリースで言っている。

今、業界には変化が起きつつあり、巨大な静止衛星から、低地球軌道を飛ぶアジャイルな小型衛星の艦隊へ移行して、コストを下げようとしている。今回のような軌道サービスはもう一つのオプションを与えるが、しかし今のところは、新しい人工衛星コンステレーションのスタートアップではなく、レガシーの宇宙産業の衛星事業者にアピールするものだろう。

Northropは、インテルサットの別の衛星のための第二のMEV宇宙船の打ち上げを計画しているから、短期的にも市場性があるわけだし、また将来的には大型宇宙船の経済性を変えてしまうだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

2021年のノースロップ・グラマンによるOmegAロケットの初打ち上げは米空軍の認定飛行に

宇宙開発業界の重鎮ことNorthrop Grumman(ノースロップ・グラマン)は、中〜大型サイズのOmegAロケットの打ち上げに関する初契約を結んだ。OmegaAは、2021年春の打ち上げを目標に準備を進めている。

OmegaAは、ノースロップ・グラマンの以前のロケットからさらにペイロードが増加し、同社の主要顧客である防衛当局および国家安全保障機関に貢献することを主な目的としている。OmegAの開発資金の一部は米政府との契約から拠出されており、その中には米空軍との7億9200万ドル(約860億円)の打ち上げ契約も含まれる。

ただし、最初の顧客は米空軍ではなく、Saturn Satellite Networksになる。これは実際には米空軍による認定飛行という扱いだが、同社の2機のNationSats衛星も軌道に投入されるだろう。

商業打ち上げは、間違いなくOmegAが提供しようとしている計画の一部であり、米政府の代理として国家安全保障に関する衛星を打ち上げることが主たる目標だ。なお、NationSatsはより小さな軌道に投入される静止軌道衛星(地球上の特定の場所の上空にとどまる衛星)となる。その重量は約1300ポンドから3800ポンド(約590〜1700kg)まで幅があるが、OmegAは1万7000ポンド(約7700kg)以上を静止移行軌道に投入することができるので、2つの人工衛星を搭載していたとしても打ち上げに問題はない。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

米陸軍はレーザービーム兵器の早期実用化に本気

設立1927年の長寿の軍需企業であるNorthrop Grumman(ノースロップ・グラマン)が、かなり前から、米軍との契約でドローンを撃墜するレーザー兵器を研究開発している。

軍が望むのは、出力50キロワットのレーザーシステムをGeneral Dynamics(ジェネラル・ダイナミクス)が設計した装甲車Stryker(ストライカー)に載せたビーム兵器を、米軍の短距離防空システムの一員にすることだ。つまりこのレーザー兵器の目的は、前線の戦闘部隊をドローンの攻撃から守ること。

この計画には、Stryker装甲車にビーム兵器を組み込むことによって一種の先導機として利用し、短距離防空システムの目的である前線部隊の完全な保護を実現することが含まれている。

Northrop Grummanのミサイル防衛および防御システム担当副社長兼ゼネラルマネージャーであるDan Verwiel(ダン・ヴァーウェイル)氏は「Northrop Grummanはその革新的で実証済みの技術と統合化専門技術の蓄積を活かして、わが国の機動部隊の次世代型保護装備を強力かつ迅速に提供していきたい」と声明でコメント。

軍は全地形型車両であるStrykerの一群に、ドローンやヘリコプター、ロケット、火砲、 臼砲などに対する防御システムを載せるつもりであり、その開発をNorthrop GrummanやRaytheon(レイセオン)に委託している。つまりRaytheonも、このプロジェクトに参加している。

陸軍中将で超音波兵器ビーム兵器宇宙兵器および迅速調達担当ディレクターであるL. Neil Thurgood(L・ネイル・サーグッド)氏は声明で「今や、ビーム兵器を戦場に持ち込むべき時である。陸軍は陸軍現代化計画の一環としてレーザービーム兵器の必要性を認識している。これはもはや研究事業やデモンストレーション事業ではない。それは戦略的戦闘能力の一環であり、それを兵士たちが手中にすることは正しい方向性である」とコメントしている。

陸軍にとってレーザーは、従来の動力学的兵器につきものだったサプライチェーンのハードル(前線への弾薬の補充など)をさらに削減してくれる技術だ。5月に陸軍は、歩兵、車両、および航空機をサポートするさまざまなレーザー兵器のプロトタイピングと現場導入を加速する戦略にゴーサインを出した。

そして陸軍は、今契約しているRaytheonとNorthrop Grummanだけでなく、独自の研究成果を持つ他のベンダーからの売り込みを歓迎する、と言っている。デモに成功したら、総額4億9000万ドルの計画の一片に食らいつくことができる。そしてその技術を搭載した車両の実用化を陸軍は2022年と予定している。

陸軍の迅速配備展開部門(RCCTO)のビーム兵器担当上級研究員であるCraig Robin(クレイグ・ロビン)博士は声明で「レーザーのビーム利用に関しては軍と商用部門の両方が大きな進歩を遂げ、今では戦術的に有効なプラットホーム(装甲車など)で、十分な軍用能力のあるレーザービームを利用できる。今やわれわれは、そのための最良のソリューションを迅速にプロトタイプし、競争により最良の実装を実現して、前線の戦闘部隊に届けるべき時に来ている」と述べている。

画像クレジット: Northrop Grumman

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa