2014年の米国テック業界M&Aまとめ、今年の注目は自動車とヘルスケア

編集部注:この原稿はScrum Venturesの宮田拓弥氏による寄稿である。宮田氏は日本と米国でソフトウェア、モバイルなどのスタートアップを複数起業。2009年ミクシィのアライアンス担当役員に就任し、その後mixi America CEOを務める。2013年にScrum Venturesを設立。サンフランシスコをベースに、シリコンバレーのスタートアップへの投資、アジア市場への参入支援を行っている。また、最近サンフランシスコでコラボレーションオフィス、 ZenSquareを開設した。連絡先はこちら(Facebook / Twitter )。

2014年の米国テック業界では、日本円にして2兆円を超えるFacebookのWhatsApp買収を筆頭に、Nest(32億ドル / Google)、Beats Music(30億ドル / Apple)、Oculus VR(20億ドル / Facebook)など、1000億円を超える大型買収が相次ぎました。

詳細な統計データが出てくるのはもう少し先だと思いますが、引き続き盛んであった2014年の米国テック系M&Aを振り返り、その傾向の考察と、2015年に向けての展望を考えてみたいと思います。

まずは時系列で振り返る

筆者が運営するScrum Venturesでは、投資活動の一環として、米国におけるスタートアップの資金調達、M&A、IPOの情報を毎日収集し、分析しています。下記はその中からピックアップした2014年の注目すべきM&A案件のリストです。

新しい「プラットフォーム」の獲得

上半期で注目すべきは、Facebookによる「WhatApp」(関連記事)と「Oculus」(関連記事)の2つの大型買収です。

WhatsAppは、LINEと同じメッセンジャーの会社で、当時4.5億人のユーザを抱えていました。LINEとは異なり、ユーザーに年間1ドル課金をしているため、2000万ドル程度の売上があると言われていましたが、それでも、190億ドルというのは破格の買収額です。

一方のOculusは、Virtual Reality(VR)用のプラットフォームを開発する会社です。Mark Zuckerbergよりも若い22歳のCEOが立ち上げたばかりのスタートアップに20億ドルの値段がついたことは大きなニュースとなりました。

この2つのM&Aに共通するのは、Facebook自身が巨大なプラットフォームでありながら、今後成長が予想される「新しいプラットフォーム」を獲得しにいったということです。

メッセンジャーに関しては、その成長は明らかで、買収時に4.5億人だったWhatsAppのユーザー数はわずか1年弱で7億人まで成長しており、本体のSNSを凌駕する勢いです。

一方で、VRに関しては、まだ正式な製品リリース前ですが、買収時のポストでZuckerberg自身がコメントしているように、次のプラットフォームとしてかなり期待しているようです。モバイルに関しては、どこまでFacebookが成長してもAppleとGoogleのOSの制約から逃れられない立場であるため、ハードそしてOS全てを自由にデザインできる自分たちのプラットフォームを手にしたいと考えているのでしょう。今後の「VRプラットフォーム」の行く末には注目したいです。

買収で加速するGoogleのIoT戦略

もう一つ、上半期での注目はGoogleによるスマートホームデバイス「NEST」の買収です。AppleでiPodやiPhoneを手がけたメンバーが立ち上げたNESTは、2011年に発売した「スマートサーモスタット」が大ヒット。その素晴らしいUXが話題となりました。

Googleは、このNESTを自社のIoT戦略の核と位置づけています。先日オフィスを訪問して来ましたが、社員数は急拡大しており、現在800人(!)にまで膨れ上がっているということでした。NESTはこの買収直後に “Works with NEST“ というパートナープログラムを発表しており、様々なスマート家電がNESTと連携して動くアライアンスを進めています。

NESTを核としてM&Aも進めており、6月には家庭用監視カメラメーカーであるDropcamを買収しています。Android社の買収によってスマホプラットフォームとしての座を築いたのと同様に、IoTの分野でこの買収がどのような成果を上げるのか注目をしたいです。

止まらない「動画」の拡大:広告、ゲーム、 MCN

また、年間を通してみられた大きなトレンドは「動画」です。

Facebookによる動画広告プラットフォームLiveRailの買収、Amazonによるゲーム動画プラットフォームTwitchの買収、Disneyによる大手MCN(複数のYouTubeチャンネルと提携し、効果的なチャンネル運営や視聴者獲得のためのサービスを提供する組織)、Maker Studioの買収など例を挙げればきりがないほど、動画系のM&Aは花盛りでした。

これまで動画というと、長くYouTube一強時代が続いていましたが、インターネットの高速化、スマホの普及などにより、作成、共有、視聴、広告などバリューチェーン内のあらゆる分野でのイノベーションが期待される分野です。

コンサバ企業のM&A:Eコマース企業を買った老舗百貨店

もう一つ、ユニークなM&Aの事例をご紹介します。TrunkClubという男性向けEコマースのサービスを、全米最大の百貨店 Nordstromが3.5億ドルで買収しました。TrunkClubは、2009年創業の「スタイリストが選んでくれた洋服が自宅に届き、その中で欲しいものだけ購入し、残りは返す」という「キュレーション型富山の置き薬」と言えるサービスで、ビジネスは結構順調だったようです。日本ではまだあまり目にしない「巨大市場の老舗企業による新興企業の買収」ですが、ネットビジネスのさらなる拡大に伴い、ある種の防衛策として今後ますます増えるカテゴリーのM&Aだと考えています。

2015年のM&Aを占う

最後に、2015年の米国のM&Aの動向を予想してみたいと思います。2014年同様、2015年も引き続き活発なトレンドは変わらないと思います。小さなAcqui-hire(人材獲得型M&A)から大きな戦略的M&Aまで、様々なM&Aが起きて行くものと思われます。その中で筆者が、注目しているカテゴリーは「ヘルスケア」と「自動車」の2つです。

「ヘルスケア」は、現在米国で最もVC投資が集まっているカテゴリーの1つで、2013年は総額200億ドルの投資額だったものが、2014年は2Qまでの上半期だけで230億ドルと、ほぼ1年間で倍増しています。8000万人を超えるデータを持つ電子カルテスタートアップ、Practice Fusionなど今年IPOが予想されている企業も多く大きな動きがありそうです。中でも、ウェアラブルデバイスの普及等により今後急激に拡大する「ヘルスケアデータ」を取り巻くM&Aに注目しています。遺伝子解析サービスの23andMeがPfizerなど製薬会社12社とデータ提供のパートナーシップを結ぶなど、カジュアルなダイエットのようなものからシリアスな医療、研究開発の分野に至るまで目が離せません。

「自動車」は、今月開催されたCESでも注目のカテゴリーでありましたが、スタートアップ関連の動きも非常に面白いです。独BMWは、CVCであるBMW iVenturesを通して、運転データ解析のZenDriveやテレマティクス関連のChargeMasterなどに積極的に投資をしています。一大ロジスティクスインフラになりつつあるUBERや自動運転領域で最先端を行くGoogleが、コネクテッドカー、自動運転などの本格商用化に向けて、どのようなM&Aをしかけてくるのかに注目したいです。


なぜ今バーチャル・リアリティーなのか?

Oculus RiftがKickstarterでブームを巻き起こすことに成功して以来、ずっとくすぶり続けている批判がある。それは「なぜバーチャル・リアリティーが今度はうまくいくと考えねばならないのか?」というものだ。

ある意味でもっともな疑問ではある。過去何十年にもわたって大衆向けVRガジェットをつくろうとして失敗した試みが無数にあるからだ

「以前に非常に優秀な人々が同じことをやろうとした。それらはすべてうまくいかなかったのに、Oculusやその仲間がうまくいくという理由は何だ? 1955年に誰も Virtual Boyを欲しがらなかった。なぜ2015年にRiftを欲しがるようになるのか?」というわけだ。

しかしこうした考えは重要な(そして後からは自明に見える)点を見逃している。つまりそれを現実に可能にするテクノロジーが登場したことを考えていないのだ。

20年前の一般向けVRはこの程度だった

Oculusヘッドセットを可能にした個々のテクノロジーを観察してみよう。きわめて高精細度の液晶ディスプレイ、マイクロサイズのジャイロスコープ、位置トラッキングが可能なカメラ、3D環境をリアルタイムで処理できるコンピュータ(Oculusの場合は互換性のあるGear VRスマートフォン)。

これらの要素はすべて他の分野、特にスマートフォンとビデオゲーム・コンソールのおかげで一般消費者に十分手の届く価格で提供されるようになった。

わずか10年前でさえ、1080p以上の高精細度ディスプレイをVRヘッドセット用に製造できるメーカーがあっただろうか? もちろんノーだ。そんなレベルのディスプレイは禁止的な価格になっていただろう。しかもそんなデバイスはこっけいなほど巨大な外部バッテリーを接続しなければ作動しなかっただろう。

具体的に、たとえば、5.5インチ、4K、120コマ/秒のディスプレイで考えてみよう。 2003年にほぼ同様の画素数のディスプレイは8400ドルもした。しかもリフレッシュ・レートはわずか毎秒12コマだった。しかも消費電力はデスクトップ・コンピューター並だった。

現在のOculusのデベロッパー・キットはSamsung Galaxy 3の1080pディスプレイ を利用しており、毎秒75コマ表示できる。Gear VRはGalaxy Note 4の1440pスクリーンを採用しており、リフレッシュ・レートももっと速い。これが進歩というものだ。!

Samsung Gear VRはスマートフォンですべてのVR体験を処理する。つまりスマートフォンが新世代になればVR体験も向上する

リアルタイムのコンピュータ・グラフィックス能力の進歩もVR体験を成立させるために欠かせない要素だ。研究によれば、没入感を得るためには必ずしも非常にリアルな画像を表示する必要はないが、ただし動きが非常にスムーズであることが必須だという。つまり、たとえば周囲を見回そうとして顔を動かしたときに、表示の反応が一瞬でも遅れるとユーザーの没入感を損ねるだけでなく、深刻な船酔い症状を引き起こすことになる。その対策はといえば、強力なハードウェアとコードの最適化しかない。そしてそれこそゲームのハードメーカー、ソフトのデベロッパーがこの何十年も取り組んできた課題だ。

こうした進歩はバーチャル・リアリティーの世界の外で起きたが、その成果を投資家とアーリー・アダプターが納得するような仕方で初めてパッケージ化することに成功欧したのがOculusだった。今やバーチャル・リアリティーはOculus HQだけには限られない。ハード、ソフト、インターフェイスやアクセサリーを含めた新たなエコシステムが形成されつつある。前世代のVRが大学の研究室に閉じ込められていたのとは大いに事情が変わっている。

試みにGooglで“virtual reality Kickstarter”と検索すれば、新たなコントロール・メカニズムからアプリケーションまでありとさまざまなVRプロジェクトが次から次に生まれていることが分かるだろう。Oculusその他のVRイベントに行けば、驚くほど多数のデベロッパーに出会うはずだ。彼らそれぞれに「これこそ正しいやり方」だと信じるアイディアで、部屋中に設置したカメラや全方向に移動できるトレッドミルやWiiコントローラーの改良版などをデモしている。

半年後にはこうしたデベロッパーが何がうまくいき、何がうまくいかないか、多くを学んでいるだろう。過去半年についても同じことがいえる。これはOculusがKickstarterに登場する前から続いてきた動きだ。 バーチャル・リアリティーの世界はこれまでにない速さで動き始めている。

画像: South Park

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Oculus、新プロトタイプ、Crescent Bayを発表―ヘッドトラッキングは360度、ヘッドフォンつき

Oculusは昨日(米国時間9/20)開催されたConnectカンファレンスライブ中継)で、新しいプロトタイプ、Crescent Bayを発表した。私は幸運にもこのプロトタイプを短時間実際にテストしてみる機会に恵まれた。Crescent Bayはフレーム速度が向上し、ヘッドトラッキングが360度となり、ヘッドフォンが一体化されている。重量も大きく軽減された。

OculusはまたOculus PlatformをSamsung VRにも開放することを発表した。これはバーチャル・リアリティー・アプリとコンテンツのマーケットプレイスで、バーチャル・リアリティーをメインストリームのユーザーに届けるチャンネルとなることが期待されている。詳しくはわれわれの記事を参照。

CEOのBrendan Iribeは「DK1プロトタイプからDK2へも大きなステップアップだったが、DK2からCrescent Bayへのステップアップも同じくらい大きい」と述べた。とはいえ、このモデルもまだ消費者向け製品ではない。しかしまた一歩製品版に近づいたことは確かだ。

ただしCrescent Bayはデベロッパーキット(DK)ではなく、将来のOculusはこのようになるという「機能紹介プロトタイプ」という位置づけだ。OculusはDK2を発表する前にも Crystal Coveという機能紹介プロトタイプを発表している。そういうわけでCrescent Bayはそのままでデベロッパー向けに発売開始されるわけではないようだ。デベロッパー向けにはこの後DK3(に相当する)製品が提供されることになるのだろう。

Crescent Bayでは後方向けにカメラが増設され、ユーザーの頭の位置を360度追跡できるようになった。装着ユーザーは制約なしに周囲あらゆる方向を向くことができる。ヘッドトラッキングと高性能ヘッドフォンのおかげで、臨場感はさらに向上した。 Oculusはメリーランド大学で開発されたRealSpace3Dという高性能VRオーディオテクノロジーのライセンスを受けている。

Oculusはまたゲーム・エンジンのUnityと契約し、無料版、有料版のUnityのユーザー全員に対してOculusをサポートしていくことを発表した。

アップデート:実際に使ってみた

私はCrescent Bayのデモで、実際に装着してみることができた。Oculusは写真、ビデオの撮影を許可しなかったが、誰かがこっそり写真を撮ることに成功して私に送ってくれたので何枚か掲載しておく。以下、簡単に使用感をレポートする。.

10分間のデモで、私はティラノザウルスと遊んだり、高層ビルのてっぺんに座ったり、ポリゴンフィールドの怪物を見たり、シムシティーの上空を飛んだり、顕微鏡サイズに縮められて巨大なダニを見上げたり、SWATチームが巨大なメカと戦ったりするのを眺めたりできた。

新しいヘッドセットは驚くほど軽く、首への負担はまったくなかった。ゴーグル部分はプラスチックぽくてフィット感は最上とはいえなかったが、軽量なわりにしっかりした作りに思えた。Samsung Gear VRの視野は周囲に黒いフレームが見えてしまうので双眼鏡を覗いているような感じだが、 Crescent Bayの視野ははるかに広い。ただしCrescent Bayも下側に隙間があって床が見えてしまう。これは没入感をやや損なう結果となっている。

グッドニュースは頭の位置をモニタするモーショントラッキングの速度と精度がぐっと上がったことだろう。デモで私は鏡の前に立たされ、素早く動いてみるように言われた。私がどれほど速く動いても宙に浮いた私の映像に遅れは感じられなかった。

Crescent Bayのモーショントラッキング・カメラはデスクトップのパソコンではなく壁に設置されているため、ユーザーはどの方向へも1メートル弱動けるようになった。残念ながらまだティラノザウルスから走って逃げることはできないが、左右に身をかわしたり、体を縮めて上にやり過ごしたりすることはできる。

モーショントラッキングの基準となるLEDライトがDK2では前方にだけあったのに対しCrescent Bayでは後方にも設置されている。

Crescent Bayでも依然として欠けている重要なパーツは、移動したりコマンドを入力したりするには必須となる専用のゲームパッドないしコントローラーだ。今回のOculus Connectカンファレンスで発表されるという噂もあったが、空振りだった。しかしOculusの経営陣もコントローラーが必要だという認識で一致したということで、やがてこの問題も解決されると期待したい。

Oculus Wants To Win PC and Mobile VR

OculusのCEO、Brendan Iribeは「Oculusのデベロッパー・キットは世界130カ国に10万セット出荷された」と発表した。Iribeは「SFが好きならOculusはまさにその聖杯だ。いよいよ長年の夢が実現するときが来た。高度なバーチャル・リアリティーが実用化の時期を迎えている。Oculusの使命はゲーム、エンタテインメント、コミュニケーションに革命を起すことだ」と述べた。

昨夜、Oculusは DK1のデベロッパー・キットのソースコードをすべてGithubにアップロードし、オープンソース化したと発表した。これによってデベロッパーはOculusのデザインを深く学び、独自に改良を加えることができるようになる。Oculusのハードウェアを使わない独自のプロダクトを開発することも可能だ。

 

2014年はOculusにとって波瀾万丈の年となった。Kickstarterで250万ドルを集めた後、ベンチャーキャピタルから9340万ドルの資金を調達し、さらに直後に20億ドルでFacebookに買収された。買収の直後にはKickstarterの出資者やデベロッパーの一部から感情的な反発を受けたものの、Oculusの今後について、Facebookの傘下に入ったことは信頼性を増すことであって下げることではないとバーチャル・リアリティーのコミュニティーを納得させることができたようだ。

Crescent BayとPlatformをベースにデベロッパーがどのような新しいプロダクトを開発するか楽しみだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


日本発、Oculusに視線追跡機能が搭載されたようなHMD「FOVE」が夏にも開発キット提供へ

Oculus VRに視線追跡機能を付加したようなヘッドマウントディスプレイ「FOVE」(フォーブ)が、2015年夏の開発者向けキット発売に向けた準備を進めている。7月16日には日本企業としては初めてとなるMicrosoft Ventures Londonアクセラレータープログラムに採択され、ゲーム領域でのXBox事業との連携を視野に開発を進めるという。「熱量の高いハイエンドゲーマーをターゲットにしたい」といい、来年の年明けをめどにKickstarterでの資金調達を予定。現在はエンジェル投資家と東京大学の産学連携施設「Intellectual Backyard」からプロトタイプが作れる程度の数千万円の資金を調達して開発を進めている。

FOVEを創業したCEOの小島由香さんに話を聞いたところ、「自分たちがゲーマーなので、自分が使いたいものを作っている」と言っていて、主要なターゲット市場はゲーム。それに並んで医療関係の応用も模索しているという。

Oculus VRをかぶってみたことがある人なら分かると思うが、非常にシンプルなデバイスにも関わらず高い没入感を味わえる。周囲を見回すと、そこに世界が存在しているかのように映像が映し出される。FOVEは、こうしたOculus VRのようなVR機能に加えて、視線追跡機能を追加。頬骨の辺り、斜め下45度から赤外線を眼球に照射して利用者が見ている視線のアングルを検知する。目の動きを読み取ることで、ゲームなど3次元空間におけるポインティング・デバイスとして機能させることができるという。シューティングゲームであれば射撃の照準合わせとしての応用がある。

「ユーザーがどこを見ているか」を検知できることで、たとえば奥行きのあるFPSゲームのシーンで手前のオブジェクトを見ているのか、奥のオブジェクトを見ているのかが判別可能となる。左右の視差を計測することで焦点距離を読み取れる。ポインティングに加え、人間の「焦点」が合っていない部分、たとえば背景の映像をぼかすことで、従来以上の没入感を実現できるという。

これまでの3次元ゲームではマウスを使った操作が主で、これは3次元空間を球面に投射した2次元平面をポイントするには有効であるものの、奥行きが分からないという問題があった。「自分がマウスを持って世界に入ったと想像すると、これは非常に難しい」(小島CEO)。マウスは2次元のGUIの操作のために考案されたものだから当然だ。FOVEをマウスと併用することで、照準合わせのスポードと精度が格段に上がるのだという。

FOVEプロトタイプを試用させてもらったけれど、確かにOculus VRとは違った世界観があるように感じた。ぼくが試したデモは、仮想世界の森に佇むで女性と目が合うと微笑み返して来るというもの。首だけ向けて目をそらすと微笑んでくれない。やや遅延と精度が気になったが、キャリブレーションがうまく行けば精度は良く、そういえば画面内のキャラと「目を合わせる」という感覚は、これまで1度も味わったことがないなと思った。FOVE CEOの小島さんに聞けば、こうした仕組みを使った自閉症患者の治療という応用もあるそうで、福祉関係者と話を始めているという。医療福祉領域への展開では他にも、手が不自由な障害者向けに目でコンピューターの操作できる装置の開発も、筑波大学附属桐が丘特別支援学校の協力を得て進めているという。キーボードを視線で叩くデモを見せてもらったが、すでに十分実用レベルに見えた。

ちなみに現在の精度は立体角12度程度で、これは3度ぐらいまで上げられるだろうと共同創業者でCTOのロックラン・ウィルソン氏は話している。黒目を見るか白目を見るか、眼球から反射した光を見るかどうかなどは、人種(眼の色)によって有効なアプローチも違っていて、現在最適解を模索中だそう。

ロンドンのMicrosoftのアクセラレータープログラムに採択されたことは、XBoxのゲームでの応用があり得ることを示唆している。PCにはOculusがあり、ソニーにはProject Morpheusがあるが、XBox向けHMDはシアトルでの開発の噂が漏れ聞こえてくる程度。ゲームで奥行きという軸が加わるとしても、ゲーム側が対応してくれないと意味がないが、もしXBoxとの協業があるのであれば、コンテンツのエコシステムの面での展開もあり得そうだ。また、FOVEはPCゲームやコンソールだけでなく、アーケードゲームにおける大手ゲーム会社との協業も模索中という。

販売価格は既存のHMDと同程度を見込む。2014年現在、Oculusの登場で幕を開けた感のあるHMD市場は2018年に2400万台規模の市場になると見ているそうで、HMDユーザーの5〜15%に相当するハイエンドゲーマー向けをターゲットとしていくという。

FOVEは2014年5月法人設立。小島さんはソニー・コンピューター・エンターテイメントで、サルゲッチュやトロ、グリーでは探検ドリランドのユニットリーダーなどを担当するなど、ゲームディレクターとしての道を歩んできた。共同創業者でロックラン・ウィルソンCTOは、日本語のうまいオーストラリア出身のエンジニアで、空港の監視カメラの顔認識モジュールの開発などを経験。画像処理を研究してきたという。


Oculusが今秋初のデベロッパカンファレンスをハリウッドで + RakNetを買収してFOSS化

Facebookによる買収が決まったVRヘッドセットRiftのOculusが、今日(米国時間7/7)、二つの発表を行った。ひとつは、ゲームネットワークのための各種ミドルウェアを提供しているRakNetを買収したこと、もうひとつは同社初のデベロッパカンファレンスOculus Connectを9月19-20日にカリフォルニア州のハリウッドで開催することだ。RakNetが提供しているさまざまなサービスやプロダクト…クロスプラットホームな音声チャット、SQLのログ取り、インターネット接続のセキュリティなど…は、MojangやSony Online Entertainmentをはじめ、多くのインディー企業や大きなデベロッパ企業が利用している。

Oculus Connectカンファレンスでは、来場者がOculusのエンジニアやそのほかのVR産業のパイオニアたちとのセッションに参加できたり、ラボで自分のソフトウェアとOculusの社員とのハンズオンや直(じか)のフィードバックを体験できる。出展の申し込みは、7月10日から受け付け、その次週には承認が来る。Oculusはまた、同社の開発の最前線からのニュース(新バージョンRiftのプロトタイプ?)も定期的に提供する、と約束している…ただし具体的な内容は未定だ。キーノートには、Brendan Iribe、Palmer Luckey、John Carmack、そしてMichael Abrashらが顔を揃える。

OculusはRakNetの技術を自分のプロジェクトのためにすでに何年も利用している。買収後にはRakNetがオープンソースになるので、Oculusだけでなく、重要な開発パートナーたちも仕事がやりやすくなり、共に未来のVRプラットホームを築いていけることになる。RakNetのC++クラスライブラリは、売上が10万ドルに満たないゲームは無料で使えたが、今後は完全に無料になる。

” target=”_blank”>関連記事。〕

 

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


「千と千尋の神隠し」や「となりのトトロ」に続き「サウスパーク」もOculus Rift化完了

アメリカの人気アニメ「サウスパーク」をご存知だろうか。このアニメで描かれる街を、バーチャルで楽しめるようになった。

制作プロダクションのToolが、VR技術の向上を目的として、Oculus Rift向けにサウスパークのVR化を行ったのだ。

ちなみにこれはあくまでもテストプロダクトとしての位置付けであり、単純化されてしまっている部分もある。また何時間も遊べるようなインタラクティブな仕組みも用意されてはいない。何人かの住人を見つけ、また警官のBarbradyがパトロールする様子を見かければ、用意されているイベントをほとんどクリアしたことになる(但し、少なくともひとつのイースターエッグは用意されている)。

247ものエピソードの中で、街の様子も変わってしまっているところがある。それを正しくマップ化するのは不可能なことだ。それで街のデザインは、最近リリースされたSouth Park: Stick Of Truthというゲームを元にしている。風景はシーズン17で作られた3Dイントロに基づいたものとなっている。

物語やアニメのシーンをOculus化するという動きはほかにもいろいろとある。たとえばJerry Seinfeldの部屋や、「千と千尋の神隠し」の湯屋の風景、あるいは「となりのトトロ」のバス停シーンなどもVR化されている。小説『ゲームウォーズ』(Ready Player One)が予言していたように(この本は面白かった)、映画やゲーム世界で体験した世界を、VRで再体験するような動きが現実化しているわけだ。きっとホグワーツ魔法魔術学校も、まもなくOculus Riftを使って歩き回れるようになるのだろう。

Oculus Riftをお持ちでない方のためにはシミュレーターもある。こちらをチェックしてみると良いだろう。

訳注:「サウスパーク」はSouthpark Studios.comのサイトから全話閲覧できるようです。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


ZeniMax、Oculusとパーマー・ラッキー氏を訴える

20億ドルで買収されることが、何人かの敵を作ると誰が思っただろうか。

数週間にわたる脅しの後、ZeniMax ― id、Bethesda Games、その他数社の親会社 ― がOculusとPalmer Luckeyを正式に訴えた。その主張? Oculusは企業秘密を盗んだ。

問題は、思い切り単純化すると、伝説的プログラマー、John Carmackはid(ZeniMaxが2008年に買収した)を去りOculusに移った。ZeniMaxによると、彼の在籍中会社はバーチャルリアリティーおよび関連テクノロジーの研究に「数千万ドル」を費した。この種の横すべりが起きた時、境界はぼやけている。そして、境界がぼやけている時に20億ドルの買収が起きると、人々は怒る。

数週間にこの訴訟が噂された時、Oculusはすかさず「ZeniMaxはOculusの知的財産にもテクノロジーにも貢献していない」と主張する声明を発表した。

一方TwitterでCarmackは、彼がZenimaxで行った作業は何も特許化されておらず、またOculusは彼がZeniMaxで書いた「コードを1行も使っていない」と明言した。

これは多分長びきそうだ。

Palmer LuckeyのJohn Carmackとの運命的出会いを含む、私の書いたOculusの歴史がここにある

アップデート:Oculusが訴訟に対して正式な声明を発表した

ZeniMaxが起こした訴訟には何ら道理がない。ZeniMaxはOculusのテクノロジーに一切貢献していない。Oculusは徹底的に戦う。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Oculus Riftの中はこうなっている―ストップモーションのすぐれもの分解ビデオが公開

私は記憶にあるかぎり手に入れたすべてのガジェットを分解し、ときには再度組立てしてきた。

ガジェットの分解はインターネットで大いに人気のあるジャンルで、AppleやSamsungが新製品を発表するたびにビデオサイトには分解ビデオが溢れる。しかし私が気にいったビデオはほとんどなかった。

しかしこれは気に入った。

このサイト、Vsauceは最近急速に成長してきたギーク向けのYouTubeのチャンネルだ。このビデオではFacebookが20億ドルで買った拡張現実ヘッドセットの中身がどうなっているのか、わずか2分10秒のビデオの中に大量の情報がストップモーションで詰め込まれている。また画像の合間にちょっとしてトリビアがテキストで表示されのでRiftについて少し物知りになれる。

そしてとにかく分解の手際がいい。他のガジェットもこのレベルで分解したビデオが見たい。

Riftの中身が(一見したところでは)ごくシンプルなのが驚きだ。

[Kotaku経由]

アップデート: VsauceはPS4とXbox Oneの分解ビデオをアップしていた!

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


VR社員教育のプラットフォームとしてOculus Riftに賭けている会社がある

Oculus RiftとそのメーカーであるOculus VRはFacebookに買収され、それが原因で、MinecraftのデベロッパーMojangのように、同プラットフォームでの開発を見直す人々がいる。しかし、Oculusへの賭け金を倍増する人々もいる。社員教育ソフトウェア開発のTechnology Transfer Services(TTS)もそんな一社だ。

これもまた、エイプリルフールの早出しではないことを確認する必要のあるニュースだったが、そうではないことをTTSのJohn Hooverが保証してくれた。同社は本当に「没頭型学習環境」を開発中で、「バーチャルワールド、インストラクター主導教育、現場固有教育、カスタムEラーニング、およびシミュレーションを組み合わせることによって、社員を効率的に教育する」ものであると、TTS CEOのLou Riveraがメールによるリリースに書いている。

では具体的にそれは何を意味しているのか? 例えば、劣化ウランを処理する工場で働いている人が、危険物を正しく廃棄する方法を学びたかったら、手足や命を危険に曝す代わりに、安全なバーチャル環境で行うことができる。TTSはすでに、発電所シミュレーションのプロトタイプを作って運用しており、新入社員たちは、数百万人の命を危うくすることなく、経験を積むことができている。

もう一つ可能性のある用途:オフィスで動く人たちが、ドアやキャビネット、イス、鉛筆、くずかごなどの危険に、実際遭遇する前に備えるのに役立つかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Oculus RiftをVRからARに変える音楽トリップ実験

個人デベロッパでも自由にいじれるし、比較的安いOculus Riftは、これまでの企業級/ヘビー級のVRヘッドセットにできなかったことを成し遂げた。それは、気軽に実験ができることだ。

手元に350ドルとプログラミングの能力とおもしろいアイデアを持ち合わせている人なら、誰でも何かができる。10年前のVR製品は、お粗末で低能なヘッドセットに何万ドルもライセンス料を払わないと、触ることすらできなかった。

ここでご紹介するクレイジーな拡張現実(augmented reality, AR)の感覚実験はどうだろう? それもたぶん、ありえなかっただろうね。

(警告: 画面の揺れや色の変化、光の点滅などが激しいので、ある種の障害や病気の人は要注意!)

Mediated Perceptions, 作者: Terence Broad; from Vimeo.

Riftの前面にカメラを2台くくりつけて、リアルタイムのビデオのフィードをで操作すると、びっくりするようなARが映し出される。

曲に合わせてビューを変化させる実験なので、音の高低に合わせて部屋中のものが揺れ動く。ドラッグがなくても、音楽だけでトリップできるのだ。

このような実験を見ると、Riftの最終製品もぜひカメラ内蔵にしてAR対応にしていただきたい、と思う。Oculusのファウンダたちは、最近Facebookに買収されたことによって、どんな贅沢な機能でも盛り込めるようになった、と言っているから、楽しみに待とう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Oculus買収の動機を探る―Facebookが買ったのは来るべきバーチャル世界だ

Facebookが拡張現実のハードウェア・メーカー、Oculus VRを買収するという意外な展開に驚きの声が上がっている。Oculusがこれほど早い時期に買収されたことに対する嫉妬の混じった反感から、Facebookがバーチャル・リアリティーを使っていったい何をするつもりなのかという不機嫌なコメントまで反応はさまざまだ。

しかし最初に確認しておかねばならないが、Facebookのニュースフィードがバーチャル空間に展開されるなどというのはあまりに近視眼的な考えだ。誰かがニュースフィードをOculusで表示する仕組みを作るかもしれないが、そんなことはFacebookのビジョンとは無関係だ。Facebookの最終目的はゲームへの利用ですらない。もちろんOculusをめぐる当初の動きはゲームが中心となるだろう。Oculusがゲームへの応用を考えないとしたらその方がおかしい。

しかし、いかに巨大な市場であるにせよ、ゲームは最終目的ではない。Oculus Riftを中心としたプラットフォームを作ろうとしているのだというのは正しいが、それでもビジョンの半分にすぎない。

Facebookが最初にスタートした当時、現在のコンピューティング環境はまだその片鱗すら見せていなかった。当時のFacebookのコンピューティング環境とはデスクトップ上のウェブ世界であり、Facebookはその世界でいかようにも自由に振る舞うことができた。

そこにモバイル化の波が押し寄せ、大混乱が始まった。当初Facebookは対応にもたついたものの、大慌てでiOS版、Android版の開発にとりかかり、数年でかなり良いものを作ることに成功した。しかしモバイル化の地殻変動に対応するにはスマートフォンやタブレット使いやすいアプリを作るだけでは十分ではないことが明らかとなってきた。この地殻変動を起こしているのはインターネットの巨人―Apple、Microsoft、Amazon、Google―であって、その中にはFacbookは入っていなかった。

Facebookがインターネットのメジャー・プレイヤーでありたいならば(マーク・ザッカーバーグはもちろんそう望んでいるだろう)、Facebookに欠けているのはユーザーに直接つながるチャンネルだった。

AppleにはiOS、GoogleにはAndroid、Amazonには独自にカスタマイズしたAndroidであるFireOS、MicrosoftにはWindowsPhoneがある。

だがFacebookには? 

世界最大のソーシャルネットワークであり、世界でもっとも価値のある会社の一つであるFacebookが、その10億人のユーザーと会話するために他人の支配するチャンネルを使わねばならない。

タッチ・インターフェイスをメインとするモバイル環境はすでに成熟段階を迎えているので、後発プレイヤーがまったく新たなOSを作って割り込む余地はほとんどない(Samsungのように巧みに抜け穴を通ってAndroidを改造する余地は残っているにせよ)。

Facebookはモバイル世界によく順応して、十分な利益を上げている。しかしOculusを20億ドルで買収した真の動機は、没入的ゲームでもなければ友だちとバーチャル空間でチャットできるようにすることでもない。

Facebookのビジョンは、ハードウェア、OS、インターフェイスを総合したFacebook独自の次世代チャンネルの確立にある。

多くの専門家が予測するとおり、拡張現実は次世代のマン・マシン・インターフェイスの中核となるだろう。そして今度はFacebookはそこから閉めだされることはない。Facebookはいわばこの世界への「早期特別入場券」を入手したことになる。バーチャル・リアリティー・コンピューティングの波が押し寄せたとき、Facebookはその先頭に立っていたいのだ。

私の推測では、Facebookはモバイル、デスクトップを含めてすべての既存OSと互換性のあるバーチャル・リアリティー・チャンネルを作り上げるつもりだろう。どの既存OSからでもFacebookのVR世界にアクセスできるようになれば、逆に既存OSの重要性は薄れる。

人々がデスクトップを使う時間よりモバイルを使う時間の方が多くなったことにわれわれは驚いているが、Facebookは人々が現実の現実で過ごす時間より拡張現実で過ごす時間の方が長くなる時代に備えている。

最新のOculus Riftヘッドセットはモバイル・デバイスで使われているのとほぼ同様のハードウェアに大型のバーチャル・ディスプレイを組み合わせている。これほど高機能のハードウェアがこれほど小型化、軽量化されるとはわずか10年前には想像すら不可能だった。ではネットワークに接続したVRディスプレイが10年後にどれほど進歩を遂げているか考えてみるとよい。またクラウド・コンピューティングの発達も目覚ましいものがある。これらが結びついたとき、インターネットのユーザー体験は根本的に変わるはずだ。

われわれが仕事、交友、余暇の大きな部分をバーチャル世界で過ごすようになったらどうなるだろう? そんな生活は想像できない、いや、まっぴらだと感じる人も多いだろう。しかしこれは空想ではない。大いに有り得る未来なのだ。もちろん数年で実現はしないだろう。何十年も続く変化かもしれない。しかしそういう長期的なビジョンこそGoogleにGlassを作らせ、不老不死を研究させているものだ。Oculus買収はザッカーバーグもそうした遠大なビジョンに賭けるリーダーの一人であることを示したといえるだろう。

コンピューティングの次の革命が、ヘッドセットをかけたり外したりすることによってバーチャル世界に自由に出入りすることを可能にするものであるなら、Facebookは安い買い物をしたことになる。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Facebookはモバイルゲームで敗北した。だから自前のバーチャルリアリティーを持つためにOculusを買った。ゲームだけではない

Facebookは、ウェブ上のゲーミング・キャンバスで莫大な成功を収めたが、モバイルゲームの収益に関しては、プラットフォームオーナーのApple(iOS)とGoogle(Android)に締め出されている。次のビッグなゲーミングプラットフォームを逃がすまいと、Facebookは今日、バーチャルリアリティー(VR)ヘッドセット、RiftのメーカーであるOculus VRを現金および株式20億ドルで買収すると発表した。そして同社は、長期的にVRをゲームに留まらずリアルな人間同志の対面のシミュレーションに使うことを考えている。

もしAppleかGoogleにOculusを買われていれば、モバイルゲーミングの大失敗をまたまた繰り返すところだった。

ウェブでは、FacebookのキャンバスはZyngaをはじめとする大物デベロッパーを大量に引き込んだ。同社の個人データと成長の機会が魅力だったからだ。見返りとして、Facebookはデベロッパーがアプリ内購入で得た収益の30%を税金として徴収することができた。

しかしモバイルでは、AppleとGoogleがアプリストアを支配してる。30%の税金を得るのは彼らだった。Facebookは、HTML 5ゲーミング・プラットフォームの提供を試みたが失敗に終った。ウェブゲームがネイティブゲームに比べて大きく見劣りしたためだ。結局Facebookは、「ソーシャルレイヤー」へと追いやられ、ログイン、シェア、および広告を、ゲームデベロッパーに提供している。同社はParseを買収して、〈サービスとしてのモバイルバックエンド〉も選択肢に加えた。しかし、支配するのはやはりiOSとAndroidだった。

Oculusを買収したことによって、立場は逆転するかもしれない。バーチャルリアリティー機器向けに開発をしたいテベロッパーは、Facebookのドアを叩かなくてはならず、今度はAppleとGoogleが置いてきぼりを食うかもしれない。

アップデート:Facebookが具体的にどうOculusを収益化するかについて、CEO Mark Zuckerbergは投資家向けの会見でこう言った。「われわれがハードウェア会社でないことは明らかだ。ハードウェアで利益を上げるつもりは長期的にはない・・・しかし、もしわれわれがこれを、人々がコミュニケーションをとり、バーチャルズッズを買うネットワークにして、いずれ広告を出すことも考えられれば・・・それがビジネスの基盤になるだろう」]

当面Facebookは、Oculusの運営を独立にしてゲームに集中させる。それによって、この買収がFacebookのミッションである世界をよりオープンでつながったものにすることと、無関係に感じる人々もいるだろう。おそらくそれが、Facebookの株価を下げている理由だ。しかしZuckerbergは、将来的にVRがもっとはるかに広く使われると信じている。

「ゲームの後、われわれはOculusを様々な体験のプラットフォームにするつもりだ。試合のコートサイドで楽しむ人々や、世界中の教室で生徒と先生が勉強したり、医者と対面して問診を受けているところを想像してほしい ― 自宅でゴーグルを着けるだけで。これこそが新しいコミュニケーション・プラットフォームだ。心から楽しむことによって、実生活で無限の空間と体験を人々と共有できる。友達とオンラインで、ある瞬間を共有するだけでなく、体験や冒険そのものを共有するのだ」

アップデート:Zuckerbergは投資家向け会見でこう語った、「Oculusは、史上最もソーシャルなプラットフォームになる可能性を持っている」。さらに彼は、Facebookは人々がバーチャルリアリティーを喜んで使うようになり、人々の生活の重要な部分として次の重要なコンピューティング・プラットフォームになることを期待していると言った。]

いずれの発言も、Oculusが、人々をできるだけ生き生きとつなげるというFacebook長期戦略の中心となり得ることを表している。しばしば同サービスに向けられる批判に、Facebookは人々をつなげるのではなく実際には狐立させている、というものがある。ニュースフィードをスクロールしていくことは、友達と顔を合わせて話したり笑ったりするのと同じではない。しかしOculusによって、いつかFacebookは、あなたに愛する人が隣にいるように感じさせてくれるかもしれない ― たとえどんなに離れていても。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook