3000ドルで売れるフルカラーの3DプリンターをXYZPrintingが発表、コロンブスの卵のようなアイデア

家庭用のフルカラーの3Dプリントは長年、消費者とホビイストの究極の夢だった。これまで、小さな装身具などをプリントするのは楽しかったけど、多色のアクションフィギュアのようなものを作れたら、それこそ消費者用3Dプリントの革命だ。そして実は、インクジェットという技術によって、その革命の入り口あたりにすでに近づいているのかもしれない。

3Dプリンターの人気製品Da Vinciシリーズを作っているXYZprinting日本)は、2014年にレーザースキャナーでもある3Dプリンターを発売したが、今日(米国時間8/31)は定価3000ドルのDa Vinci Colorを発表した。それは、プリントしながらフィラメントに、インクジェット方式で着色していく3Dプリンターだ。それまでのフルカラー機は、ナイロンの粉末とか複数のフィラメントを混ぜることによって、フルカラーをシミュレートしていた。Da Vinci Colorは、プラスチックのオブジェクトのプリントに使われている熱したPLAフィラメントに色を単純にスプレーし、フルカラーのオブジェクトを作る。フィラメントのスプールは35ドル、インクは65ドルだ。

そして、極めつけの特長は、使える色数がほとんど無限であることだ。プレスリリースはこう言っている:

業界初の究極のフルカラー3Dプリンター、XYZprintingの3DColorJetソリューションは、da Vinci ColorがPLAフィラメント上にCMYKの色の飛沫を鮮やかに、正確に、高い精度で輝かせることを可能にする。このプリンターの技術は、最終的に完成した3D製品上に、1600万色のフルカラースペクトルを実現する。弊社独自のその技術は、インクジェット印刷によって実現する微細な色分けと、高度でプロフェッショナルな3Dプリント技術を組み合わせている。

 

このやり方をトライしたメーカーは過去にもあったが、それを単純で低コストな技術として完成させたのはXYZが初めてのようだ。なにしろこれは、プリンターの価格が単色の3Dプリンターとあまり変わらない。とりあえず、われわれとしては、それ以上望むものはないだろう。下のサンプルを見ても分かるように、このプリンターは小さな部分にも運転時に彩色できる。フィラメントを交換して色の帯をプリントするほかの製品とは、大違いだ。そういうマシンは、かなり派手な色のプリントは可能だが、色がそのうちあせてしまう。それに対してこちらは、ふつうのフィラメントでプリントできるから、大進歩だ。

このプリンターは今、$2999.95で予約販売中、店頭に出たら$3500になる。

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こんなものがついに出たことに、ぼくはコーフンしている。これで3Dプリントが家庭に大普及するとは思われないし、色を後から塗るやり方でも場合によっては十分だが、でも同社の技術がもっと進歩したら、たとえばデザイナーが自分の製品(建物でも玩具でもよい)のプロトタイプをいろんな色で簡単に試作するなんてことが、可能になるだろう。ふつうの3Dプリンターを2000年代のドットマトリックスプリンターだとすれば、こちらは21世紀のインクジェットプリンターだ。その巧妙なハッキング的技術は、確実に次の時代を開くだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

複雑な計算を行う計算機をユーザーがほんの数分で作れるOmni Calculator、ベータの時点からユーザーが殺到

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世の中には、世界が炎上するのを見物したい人がおり、カスタマイズできる埋込み型計算機を提供したい人がいる。Mateusz Muchaは、後者だ。

Muchaは、専攻は社会学だが、これまで小さなスタートアップをいくつも作ってきた。彼の最新のプロジェクトOmni Calculatorは、完全に自己資本のみで三人の社員を抱え、いろんな公式を計算できるお利口な(モバイルとWebブラウザー上の)計算機を作っている。

Muchaは曰く、“ちょっとした計算をしたいことが、誰にでもある。この事業はうまくいくのか?、自分はこの家を買えるのか?、パティオを作るためにレンガはいくつ必要か?、この子にはイブプロフェンをどれだけ服ませるべきか?、などなど。でも計算ができないので、正しい数値が必要な場面で勘に頼ってしまう人が多い。始めた事業はうまくいかず、本当は手の届かない家を買ってしまい、欧州連合離脱というとんでもないナンセンスをやらかす”。

今100あまりの便利な公式をサポートしているMuchaのプロダクトを使って、ユーザーは自分が必要とする計算機を作れる。公式の中にはBMIの計算や単位の変換、住宅ローンの計算など、おなじみのものもある。今のバージョンはかなり制約があるが、彼はユーザーがその場で何でも計算できるカスタム化システムを今作っている。たとえば彼は、ほんの数分で、電子振り込みの手数料計算機を作った。いくつかの基本的な変数を、ドラッグ&ドロップで結びつけるだけだ。

なぜそんなものを? Muchaは、不動産や金融やテクノロジー畑の人たちが愛用するだろう、と考えている。埋め込みタイプだから、ブログ記事などに、読者の便宜のために計算機を含めてもよい。とても魅力的なコンテンツになるだろう。とにかく、あらゆる人の日常の生活や仕事の役に立つ、と彼は信じている。特殊な計算が必要な場面が、ふとあったりするから。“そんなとき、わずか2分で計算機を作れるなら、助かるだろう”。

モバイルアプリは月間アクティブユーザーが27万、Webサイトは各週のユーザーが(まだベータの段階で)8500だ。中には、企業ユーザーもいる。彼のミッションは、世界が燃えるのを見たい人たちとは違って、もっとシンプル: 計算力を万人のものにすること、だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

トースターのように誰もが使える3Dプリンタを目指したSkriware、799ドルでフルオート

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まず、下のビデオをご覧いただきたい。アクション映画の予告編のナレーションを担当しているような男が、ちょっとおかしな英語で喋っているこのビデオは、これまでぼくが見たKickstarter上の売り込みビデオの中では、最高傑作だ。おっと、いきなり脇道に逸れてしまったが、このポーランド製の3DプリンタSkriwareは、これまでの3Dプリンタおよび3Dプリントのあり方に不満だった連中が作った。もうこれ以上、新しい3Dプリンタは要らないよ、という声も聞こえるが、Skriwareはもっともっと使いやすいソフトウェアとハードウェアを目指している。

目標は、ユーザにワンタッチシステムを提供することだ。ネット上にさまざまな、3Dプリントオブジェクトのマーケットプレースがある。そこから何かをダウンロードしてプリント物が出来上がるまで、ほとんど人手が介入しない。それはほかの家庭用3Dプリンタでもできるが、799ドルの機種にそんなフルオートの機能はなかった。

低価格化の鍵は、プリントヘッドの設計を単純化したことと、熱をあまり必要としない素材を使ったことだ。彼らは、焦点を使いやすさに絞った。3Dプリントの市場においては、それは新しい切り口だ。

“Skriwareは、できるかぎり使いやすくて、直観的に使える3Dプリンタを目指した。ゲームのフィギュアを作りたい小学生でも、孫にテレビドラマの超人的ヒーローの形をしたクッキーを作ってあげたいと思っているおばあちゃんでも、簡単に使えるプリンタを作りたかった”、と彼らは書いている。

発売は来年の4月だが、すでに完成度は高いようだ。ヨーロッパ製の、電脳内蔵の、デバイスだ。3Dプリンタを売るために、こんな仰々しいナレーションは要らないと思うが、たしかに3Dプリントの市場は、今や変化の時期だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。