“社食版オフィスグリコ”の「オフィスおかん」運営が7億円を調達、累計で約1200社に導入

オフィスに冷蔵庫と専用ボックスを設置することで、従業員が惣菜やご飯、カレーといった健康的な食事を低価格で楽しめるサービス「オフィスおかん」。同サービスを提供するおかんは8月2日、複数の投資家より総額7億円の資金調達を実地したことを明らかにした。

今回おかんに出資をしたのはグローバル・ブレインと楽天(楽天ベンチャーズ)、それから既存株主でもあるYJ キャピタル、みずほキャピタル、SMBCベンチャーキャピタルだ。なおグローバル・ブレインについてはグローバル・ブレイン6号投資事業有限責任組合と31VENTURES Global Innovation Fund 1号(三井不動産とグローバル・ブレインにより組成されたファンドで運営はグローバル・ブレイン)からそれぞれ出資をしている。

おかんは2014年にサイバーエージェント・ベンチャーズとオイシックスから、2015年にもYJ キャピタルなど4社から資金調達を実施。今回も含めると累計の調達額は約10.5億円になるという。

同社では調達した資金をもとに、主力サービスであるオフィスおかんの拡大に向けてマーケティングや開発体制を強化する計画。また新規事業にも予算を投じていく。

働き方改革の波にも乗って、累計1200社に導入

オフィスおかんについては前回の資金調達時にも紹介しているが、“社食版オフィスグリコ”と言えばイメージがわきやすいかもしれない。

導入企業の従業員はさばの味噌煮、ひじき煮、玄米ごはんといった約20種類のメニューを1品100 円で購入できるのが特徴。冷蔵庫と専用ボックスを設置するスタンダードなものに加え、最近では規模が大きい企業用に自販機型のプランも始めている。ビジネスの構造としては法人向けのサブスクリプション型サービスとなっていて、企業が月額利用料を負担する仕組みだ。

もともとは個人向けサービス「おかん」からスタートし、2014年3月にオフィスおかんをリリース。主力事業へと成長したオフィスおかんの導入企業数は、2015年11月の約200社から3年弱で累計1200社まで増えている。

おかん代表取締役の沢木恵太氏によると「初期はIT系の企業に偏っていたが、最近では病院やクリニックといった医療福祉業界や百貨店やカラオケ店のバックヤードなどサービス業をはじめ、多様な業種で導入してもらえている」とのこと。規模も3名ほどの所から5000人を超える企業まで幅広く、対象エリアも1都3県から全国の企業へと拡大した。

近年は働き方改革や健康経営といったキーワードが徐々に浸透し始めていることもあり、ここ数年で導入を検討する企業のニーズも「健康経営を推進するための手段として導入したい、ホワイト500の取得に向けたひとつの施策として導入したい」といったより具体的なものが増えてきたという。

オフィスおかんは今後日本で高齢化と労働人口の減少が進んでいく中で、健康・育児・介護といったライフスタイルと仕事の両立をサポートするべく立ち上げたサービス。ここ数年で新たなトレンドが生まれ企業の意識が変わってきたことは、同社にとっても追い風だ。

導入企業では従業員の食のサポートに加えて「ロイヤリティ・満足度の向上」「社内コミュニケーション活性化」「女性の育休復帰率向上」など、社内の課題を解決するツールとして活用されているそう。特に最近では人材採用が難しくなっていることを受け、人材の定着や新規の採用促進の目的でオフィスおかんを導入するケースも増えているという。

裏側のサプライチェーンを磨いてきた4年間

表向きはシンプルでわかりやすいサービスに見えるだけに、特に初期は大企業に真似されたらどうするの?と言われることも度々あったそう。

ただ沢木氏によると裏側のサプライチェーンの構築が思った以上に面倒で、かつ事業を成長させるためのカギとなる部分であり、この仕組みを時間をかけて磨いてきた。

「一定日持ちするとは言え賞味期限があるので需要予測の重要性が高く、オペレーションによってもコスト構造がかなり変わってくる。そういった部分を4年以上やり続けてきた。ある意味エンドユーザーではないものの、ラストワンマイルを抑えている。そこに対するサプライチェーン部分をシステムなども絡めて構築できてきているので、真似しづらい独自の仕組みができてきたと思っている」(沢木氏)

現在オフィスおかんで提供しているメニューは、地方にある6〜7箇所の工場とタッグを組み共同開発という形で製造。一部定番のメニューはあるものの毎月3分の1ほどは入れ替えているそうで、だいたい3ヶ月でほぼ一新されるのだという。

各メニューについては販売データをウォッチしながら定量的なアプローチを中心に企画・開発していて、その点はD2C(Direct to Consumer)型のプロダクトに近い構造とも言えるだろう。

オフィスおかんの成長と新規事業の創出目指す

今回の資金調達のひとつの目的は、一連の仕組みができてきた中でさらにオフィスおかんの成長スピードを上げることだ。

「オフィスおかんについてはかなり社会的ニーズが強まっていて、自社としても形ができあがってきているのでスケールアップを目指していく。SaaSに近しいモデルなので、ユニットエコノミクスを見ながらマーケティングをしっかりやれば伸ばしていける感覚がある。(規模の拡大を目指す上で)提供している商品の品質やサプライチェーンの仕組みをさらに良くするための投資もしていく」(沢木氏)

また現時点ではまだ詳細は言えないとのことだが、オフィスおかんとはまた異なるアプローチで「『働く』と『ライフスタイル』の両立」を実現するための新規事業にも力を入れていく計画だ。沢木氏によると、新サービスはオフィスおかんよりも「HRや健康経営よりのプロダクト」になるという。

「高齢化や労働年齢人口の減少は重要な社会問題になっている。これを解決するためには個々人の努力だけでなく、企業側が正しい課題意識を持ち、正しい施策に対して投資をしていくことが必要。それを促せるような事業を目指していく。足りてないピースがまだまだあるので、そこをひとつずつ埋めていきたい」(沢木氏)

専用ボックスで1カ月保存可能な総菜を提供する「オフィスおかん」、運営会社がYJキャピタルなどから資金調達

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冷蔵庫や専用ボックスを設置して、1ヶ月保存可能な惣菜やご飯、スープなどをオフィスに提供する、“社食版のオフィスグリコ”とも言えるサービス「オフィスおかん」。サービスを提供するおかんが11月25日、YJキャピタルのほかSMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタル、シーエー・モバイルの4社を引受先とする第三者割当増資を実施したことをあきらかにした。金額は非公開。ただし数億円規模の資金を調達したと見られる。

おかんの創業は2012年12月。福井県にある総菜屋チェーンが保有する技術を用いて、冷蔵庫で約1カ月間保存可能な総菜を提供している。もともとは個人宅向けに毎月1回商品を配送するサービスを展開していたが、現在は法人向け事業に注力。東京23区内のオフィス向けにサービスを展開している。

導入企業はすでに200社以上。従業員5人程度のスタートアップから、1000人以上の上場企業まで、導入企業は幅広い。「もともと渋谷からスタートしたこともあって、当初は渋谷周辺のIT系企業への導入がメインだったが、現在では老舗メーカーや建設業、コンサルに士業、結婚式場など幅広く利用されている。社食があるような企業であってもオープンしている時間は限定されているので、それを補完するかたちで導入するというケースもあるし、本社には社食があるが、支社には社食がないので、その不公平感を埋めるために支社に導入するというケースもある」(おかん代表取締役の沢木恵太氏)

現在1カ月に提供している総菜の数は数万食。もともと総菜を製造していた福井県の総菜工場に加えて、ほか全国5カ所の工場と提携。工場の空き時間を利用してオフィスおかんの総菜を製造している。

おかんは今回の調達をもとに、オフィスおかんの規模拡大と新サービスの開発を進める。システムやサプライチェーンの強化を進めるほか、マーケティングや営業の人員を増強するほか、「企業の中に販売チャネルを持っていることを生かしたC(コンシューマー)向けサービスを展開する」(沢木氏)という。東京23区以外へのサービス展開については、「問い合わせも多いので今後は対応していきたいが、配送などもあるため、まずは東京でサービスを展開していきたい」(沢木氏)としている。

今度は”総菜版オフィスグリコ”‒‒「オフィスおかん」運営のおかんがCAVなどから資金調達

TechCrunch Japanでは1カ月ほど前、“野菜版オフィスグリコ”とも言えるようなサービス「OFFICE DE YASAI」を紹介したが、オフィスで商品を置き売りするサービスはほかにもある。「おかん」となんともインパクトのある社名のスタートアップが提供する「オフィスおかん」は、総菜をオフィスで置き売りするというサービスだ。もともと個人向けのEC(置き売りではなく月1回商品を配送していた)としてサービスを開始したが、現在はまず法人向けに注力しているとのこと。

同社は2012年12月の設立。福井県の総菜屋チェーンが持つ技術を採用することで、冷蔵庫で約1カ月保存可能な総菜を提供する。オフィスには専用の冷蔵庫と使い捨ての食器も提供するので、電子レンジさえあれば暖かい総菜を食べることができる。これまでサービス開始から2カ月で、ガイアックスやコイニーをはじめとした10社にサービスを導入している。各社の従業員数は7人から300人程度。従業員数200人の規模で、1回200商品を納品しても1週間で消費されるというケースもあるという。なお現在は、前述の総菜チェーンのほか、各地から送付される商品を一度おかんでとりまとめて、徒歩や公共交通を利用して各社に届けているそうだ。

約1カ月の保存が可能というところで商品の在庫ロスを低減できるだけでなく(正直ここは野菜では難しいだろう)、導入企業の男女比や年齢、商品の消費傾向といったデータを分析することで消費予測を行い、最適な商品数を届けていくという。また総菜屋側では、本業のアイドルタイムにオフィスおかん用の商品を製造することで、効率化を図っているという。今後は総菜屋の持つ保存技術を他社にも提供することで、商品ラインアップも拡充する予定だという。

導入の初期費用は無料で、商品は1個100円、もしくは200円となっている。企業に対して従業員1人あたり200円の月額基本料金と、商品1個あたり220円を徴収する。「あくまで社員食堂など福利厚生のサービスとして利用して欲しいので、企業に料金の一部を負担してもらい、従業員が安価に商品を購入できるようにしている。またこの仕組みによって料金未回収のリスクを下げている」(おかん代表取締役CEOの沢木恵太氏)

そんなおかんだが、サイバーエージェント・ベンチャーズとオイシックスから資金調達を実施したことを明らかにしている。金額は非公開だが、数千万円程度になるという。同社では今回の調達をもとに、サービス開発やアライアンス担当などの人材を強化。「この1年でサービスの体制を整え、5年後には製造から配送、データ解析までの仕組みを作る」(沢木氏)としている。今年度は企業数100社、6000人程度へのリーチを目指す。