インドの電動スクーター企業Ola Electricが新たな資金調達で約5690億円の評価額に

インドの配車サービス大手のスピンオフであるOla Electric(オラエレクトリック)は初の電動スクーターの展開に苦労し、また同社の労働文化に疑問が呈されている中で、現地時間1月24日に新たな資金調達ラウンドで2億ドル(約230億円)を調達したと発表した。

Tekne Private Ventures、Alpine Opportunity Fund、Edelweissなどがこの新ラウンドに出資し、評価額は2021年9月の30億ドル(約3420億円)から50億ドル(約5690億円)になったと、ベンガルールに本社を置くOla Electricは明らかにした。

同社の共同創業者でCEOのBhavish Aggarwal(バビッシュ・アガワル)氏は声明で「投資家の方々の支援に感謝するとともに、EV革命をインドから世界へと広げるために彼らと協力することを楽しみにしています」と述べた。自動車を含め、より多くのカテゴリーに拡大することを検討していると、アガワル氏は語った。

Tiger GlobalとAlpha Wave Globalを既存投資家に持つOla Electricは2021年に、Ola S1という同社初の電動スクーターを発表した。価格は約1350ドル(約15万円)で、バッテリーを搭載したこのスクーターのフル充電時の航続距離は121キロメートル(75マイル)だ。

同社はスクーターの出荷を何度か遅らせているため、この数字はほとんどの人にとって仮説あるいは未検証の主張だ。せいぜい予約した顧客のごく一部しか受け取っていないのが現状だ。

一方、同じベンガルールに本社を置くスタートアップのBounce(バウンス)は、独自の電動スクーターを発表し、多くのアナリストがOlaの製品よりも優れていると話している。

インドで販売される車両のうち、全体の4分の3以上を二輪車が占めている。大手メーカーだけでなくスタートアップによる推進は、好意的に受け止められている近年の政府の奨励策と相まって、インドのEV推進を正しい方向に向かわせ始めている。UBSのアナリストは1月17日の週に発表したレポートで、2020年代末までにインドの全二輪車の37%が電動になると推定される、と書いている。

しかし、この予想が実現するためには、多くの要因が正しく作用する必要がある。

その1つは、インド最大のスタートアップの1社であるOlaの労働文化かもしれない。インドのメディアMorning ContextがOlaの有害な労働文化と不信感のある最高経営責任者について報じた結果、OlaとOla Electricではここ数カ月で複数の主要幹部が社を去った。アガワル氏は、最近73億ドル(約8310億円)の評価額で増資したOlaの共同創業者兼最高経営責任者でもある。

画像クレジット:MANJUNATH KIRAN / AFP / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

インドの配車サービスOlaが世界最大のスクーター工場を同国に建設するために約340億円投資

インドで配車サービスを提供するOlaは米国時間12月14日、同国のタミル・ナードゥ州政府と覚書に調印したことを明らかにした。同社は電気自動車で新たな取り組みを開始するにあたり、同州政府との間で「世界最大のスクーター製造施設」を南インドに設立する。

ソフトバンクが支援するOlaはこの工場の設立に約3億2700万ドル(約340億円)を投資することで約1万人の雇用を創出し、年間200万台の電気自動車を生産する初期能力を達成すると述べた。

事情に詳しい関係者によると、Olaは今後2四半期に複数の市場で電動二輪車の発売と拡大を計画しているという。2019年に同社からスピンアウト(未訳記事)したOla Electricは、2020年にアムステルダムに拠点を置くEtergoを買収(未訳記事)した。オランダでは交換可能な高エネルギーバッテリーを搭載したスクーターが配備されており、最大240kmの走行が可能だ。関係者によると、同社は同様の車種の生産を拡大する計画だという。

Olaはタクシーのように運転手が運転する二輪車ビジネスを2016年に開始し、インドでは30万人以上の人々が生計を立てている。インドで最も価値のあるスタートアップの1つである同社はここ数年、サービスを全国の小さな都市や町に拡大すべく、二輪車ビジネスに大きく賭けている。(自動車に比べて、二輪車と三輪車ははるかに手頃な価格でユーザーに提供され、混雑した交通の中でもより速く走ることができる)。

Olaは声明の中で、新工場はインドの電気自動車のエコシステムを改善し、ヨーロッパ、アジア、ラテンアメリカなどの市場の顧客にサービスを提供すると述べた。

「世界最大のスクーター工場を設立する計画を発表できることに興奮しています。これはOlaにとって重要なマイルストーンであり、共有型と所有型のモビリティを横断した持続可能なモビリティソリューションに世界を移行させるという私たちのビジョンの実現に向けて、急速に前進している私たちの国にとって誇れる瞬間です。また工場は、世界で最も進んだ製造施設の1つになるでしょう。この工場は世界市場に対応する世界クラスの製品を生産する、インドの技術と才能を示すものとなります」と、Olaの会長兼グループCEOのBhavish Aggarwal(バヴィッシュ・アガワル)氏は声明で述べた。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Olaスクーターインド

画像クレジット:Ola

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter)

インド政府がUberやOlaなどのライドシェアサービスにおける手数料率上限を規定

インドでは、OlaUberのようなライドシェア企業は、乗車料金の最大20%までしか取ってはならない。インド政府が米国時間11月27日に発行したガイドラインではそうなっている。特にソフトバンクが投資しているこの2社は重要な海外市場で苦戦しているだけに、この決定はこたえるだろう。

このガイドラインによってインドでは初めて、アプリベースのライドシェア企業に規制が及ぶことになる。また、UberとOlaがともに採用しているピーク時の高料金にも制限がかかる。

ガイドラインによると、OlaとUberおよびそのほかのアプリを利用するライドシェア企業は、最大で基本料金の1.5倍までしか料金を請求することができない。ただし、基本料金の50%を下限とする割引料金を提示することはできる。またドライバーの労働時間は1日12時間を上限とし、企業はドライバー全員に、保険をかける必要がある。

UberとOlaはこれまで、乗車料金のうちドライバーの取り分を公表したことはなかったが、業界の推計では、両社とも乗車料金の最大74%が税引き後のドライバーの取り分だ。新しいガイドラインではそれが、80%以上となっている。

ライドシェアの乗車料金の制限と、ドライバーへの保険の義務化で両社ともに経費が増える。しかも両社はこの数カ月におよぶパンデミック期間中に、コスト削減のためドライバーの数を減らしている。南アジアは多くの巨大国際企業が次の成長市場として惹かれているが、現在のところ過去に前例のない不況に陥っている(Bloomberg記事)。

UberもOlaも11月27日の時点でコメントを出していないが、このガイドラインは両社の足かせになるだけではない。私有の車による共有カー、すなわちカープーリングサービスも認めている。ただしそれには制限があって、市内の乗車は1日4回まで、都市間は週に2回までとなっている。

バンガロールのマーケティング調査およびコンサルティング企業であるRedseerの共同出資者Ujjwal Chaudhry(ウジワル・チャウドリー)氏によると、政府によるこのガイドラインの影響は良い面も悪い面もある。

「ポジティブな面としては、この業界が正式に認められ、また安全規則の改善で、車やドライバーを集める側の企業に対する消費者の信頼が増すことだ。しかし全体的に、このガイドラインのエコシステムの成長に対する影響はネガティブだ。高料金を制限したことによって、現在、50万人いるドライバーの収入は減少し、6000万から8000万いるといわれるユーザーにとっては、料金と待ち時間が増える結果になるだろう」とチャウドリー氏は声明で述べている。

ガイドラインのルールは、ライドシェアを取り巻くそのほかの要素にも触れている。ライダーまたはドライバーに課せられるキャンセル料は総料金の10%を超えてはならない。料金は100ルピー(約140円)を超えてはならない。カープーリングサービスを利用する女性客は車の共有者を女性に限定できる。また事業者はコントロールルームを24時間運用しなければならない。

インドのアプリを使用するライドシェア市場は、OlaとUberが支配している。どちらも自分たちがトップだと主張しているが、両社に投資しているSoftBankによると、インドではOlaがUberを若干リードしているとのことだ。

関連記事:Uberは昨年インドで週1400万回、業界トップの乗車を提供

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:UberOlaインド

画像クレジット:Indranil Aditya / NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa