コードレビューサービスの繁盛でPullRequestはシードから数か月後に$8MのシリーズAを調達

オンデマンドのコードレビューをクラウドサービスとして提供しているPullRequestは最近忙しい。でもそれは、どんなスタートアップでも大歓迎するような忙しさだ。昨年8月にY Combinatorを卒業したばかりの同社はまだ、スタートアップの流儀を学んでいる最中だ。12月には230万ドルのシードラウンド を勝ち取り、資金面では安泰なはずだが、今日同社は同社のシードをリードしたシード投資家Google Gradient Venturesが率いるシリーズAによる、さらに800万ドルの資金調達を発表した。

今日発表された投資には、Y Combinator, Fika Ventures, Lynett Capital, Defy Partnersなど、そのほかのシード投資家も参加した。同社はわずか数か月で合計1030万ドルを調達したことになる。

なぜどうして、花の蜜にたかる蝶のように投資家は同社に殺到するのか? PullRequestは、デベロッパーの大きな痛点を治療する。開発サイクルがはやくなると、真っ先に犠牲になるのが、コードの品質管理だ。同社のファウンダーでCEOのLyal Averyが昨年8月に本誌に語ったところによると、同社はオンデマンド方式でこの問題を解決している。彼は、こう語る:

“われわれは、コードレビューをSaaSとして提供している。デベロッパーがコードをプッシュすると、うちが抱えるオンデマンドのエキスパートたちがそれをレビューする。これによってデベロッパーたちは、負担増となる重いリソースを自分のところで抱えなくても、快調に前進できる。

12月のシードラウンドのときは、Averyはそのプラットホームにオートメーションとインテリジェンス(AI)を導入したい、と言ったが、最近では、今もその方向に向かって進んでいる、という。そこで早期の800万ドルの導入、となる。

今は、大規模なデータリークがあちこちで発生している。Averyも、今後のコードレビューではバグや問題を見つけるだけでなく、フィットネスのUnder Armourなどがやられたようなデータリークの防止にも力を入れなければならない、と言っている(Under Armourの名はたまたまごく最近の例だから挙げたにすぎない)。彼は自明の理由によりクライアントの名は明かさなかったが、最近同社は、コード中に脆弱性を見つけて、リークを未然に防ぐことができた、という。

投資をリードしたGradient Venturesの専務取締役Anna Pattersonは、オンデマンドとコードレビューは強力な組み合わせだ、と見ている。“PullRequestは、良質なコードと仕事の未来が交わるところにいる。AIを使ってコードレビューのアクセス性を良くし、大小を問わずあらゆる企業がコードレビューを気軽に発注できるようにしている”、と彼女は声明文の中で言っている。

コードレビューとバグ追跡は、スタートアップのホットな分野であり続ける。開発サイクルがどんどんはやくなっているから、企業もコードレビューを外注に頼らざるをえない。タイムフレームが長かった昔は、開発のワークフローの中でコードの品質管理をやる余裕があった。しかしタイムフレームはだんだん圧縮され、余裕がなくなり、PullRequestのようなところに頼まざるをえなくなっている。投資家たちは、そこに着目する。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

コードレビューサービスのPullRequestがGoogleのGradient Venturesらから$2.3Mを調達

Y Combinatorの今年の夏季の卒業生PullRequestが今日(米国時間12/7)、230万ドルのシードラウンドを発表した。そのラウンドをリードしたのは、GoogleのAIに特化した新設ファンドGradient Venturesだ。そして、Slack Fund, Fika Ventures, Defy Ventures, Lynett Capital, FundersClub, Joe MontanaのLiquid2 Venturesらがこの投資に参加した。

同社は、コードレビューをサービスとして提供する。今日の高速でアジャイルな開発サイクルでは、コードのレビューがおろそかになりがちだ。同社は、オンデマンドで仕事に応じるコードレビュワーたちのシステムを編成しており、彼らがバグやセキュリティの問題、コーディングのスタンダード、それにパフォーマンスの問題などをチェックする。

それはGoogleのGradient Venturesのミッションとは無縁なようだが、PullRequestのファウンダーLyal Averyによると、同社のロードマップには単なるコードレビューサービス以上のものもあるのだそうだ。

そのプランとは、コーディングという工程にオートメーションを導入して、コードの依存性や、オープンソースのコード片などの、重要なアップデートを自動的に検出することだ。実はSlackが同社のシードラウンドに参加しているのも、依存性を構成するピースがアップデートを要請していることをデベロッパーに伝えるSlackボットで、PullRequestが初めて、このような自動化に取り組んでいるからだ。そのプロジェクトはまだアルファでテスト中だが、同社の今後進むべき方向性を示している、とAveryは説明する。

Averyによると、コードレビューというサービスは、コーディングプロセスに関するデータの量がどんどん増えていくし、またレビュワーに問題がある場合もある。そこで同社は、コードレビューの過程そのものをレビューしスコアをつけて、適正なデータ集合を作らなければならない。彼の見解では、コードレビューが完全に無人化することはありえないとしても、そういうデータ集合を有効活用すれば、よくある一般的な問題なら修正を自動化できる。“最終的には、コードレビューをどこまで効率化できるか、という問題に帰結するんだよ”、と彼は語る。

8月にAveryに会った時点では、同社のレビュワーはおよそ200名、ユーザーは300社だった。それが今日(米国時間12/7)は、ユーザー企業1000社、レビュワー1900名に大きく成長している。

Y Combinatorを卒業したAveryは故郷のテキサス州オースチンに戻り、そこで新たに4名を雇用して社員数は6名になった。今回の資金の用途は、成長の維持と、来月とりあえず社員数を倍増することだ。そしてそこから、新たなスタートが始まる。

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誰か、オンデマンドでない不便なサービスを作ってほしい…本当に充実した人生のために

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テク企業は今、老いも若きもオンデマンド革命を推進している。おかげで今や、家の掃除も、昼飯(ひるめし)も、いろんな製品も、何もかも、自分が欲しいと思ったときに手に入る。

もちろん、それにはコストが伴う。サービスのユーザにとってはお金のコストという意味だが、でもまず間違いなく長期的には、サービスの供給側に経済的コストが発生する。また、画面をタップすれば何でも手に入るという方式は、人間をダメにし、怠け者にするだろう。

このトレンドに対する、解毒剤を提案したい。それは、Inconvenience-as-a-service(IaaS, サービスとしての不便)、つまり、不便であることに価値があるサービスだ。自分が欲しいものに到達するために、苦労と努力と工夫が必要なアプリケーションを、誰か作ってほしい。Amazonからの配達品を受け取るためには、別の都市(まち)に車を運転して行かなければならない、なんてどうだろう。品物の購入を確認するために、“これでよろしいですか?”ダイアログを10回も15回も出すeコマースサイトもいいね。

Uberのようなタクシー呼び出しアプリも、自分の足で長時間歩かないとその車に到達しない方が健康によろしい。会員制のレシピーサービス(料理用食材セット配達サービス)も、毎週空の袋が届いて、そこには地元のグロサリーの地図が印刷されており、「今週のレシピー」というタイトルの下には大きな活字で「自分で考えろ」と印刷されている。

オンデマンド経済への移行は、不公平なゲームだ。人間のお粗末な脳は、満足がインスタントに手に入ると分かると、それには抵抗できない。でも、どんなに豪華な料理を届けてもらっても、いずれ古くなるし、飽食は快適な気分を生まない。

すばらしいディナーも、インスタントに届いてインスタントに食えば、罪の意識に駆られ、食後の散歩が欠かせなくなる。クリーニングサービスも、出来上がりを受け取るためにはいちばん近い国立公園まで20マイル歩き、ボートを漕いで島に渡り、その島のいちばん高い木の枝から取ってくるのがよろしい。テイクアウトなんか、井戸に放り込んでしまえ。Netflixを見ながら一人パーティーをやるときは、必ず最初の3時間半、”Buffering”(バッファリング中)が表示されること(上図)。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa