FacebookのTimehopクローン、「過去のこの日」はすでにユーザー6000万人

2016-03-26-onthisday

Facebookのノスタルジー機能が発表されてからちょうど1年経つ。Facebookは「過去のこの日」の誕生1周年を記念して、いくつかの数字を発表した。

過去のこの日」Timehopを大胆にコピーしたサービスだが、スタートアップの良いアイディアを大きいプラットフォームが横取りするのがいかに成功への近道であるかを実証してもいる。毎日6000万人がFacebookの「過去のこの日(On This Day)」を訪問しており、1億5500万人が通知を購読している。このサービスは過去のその日の写真、近況、その他Facebookへの投稿を再現する。

ちなみにTimehopは2011年に開始されており、2014年の終わりには1200万の登録ユーザーを集めた。1日あたりアクティブ・ユーザー(DAU)は600万人だ。

TimeHop vs On This Day

上のスクリーンショットを見ればわかるとおり、右側の「過去のこの日」は先行サービスであるTimehopにあまりにも似すぎている。

「過去のこの日」がリリースされたとき、TimehopのCEO、Jonathan Wegenerは脅威になるという見方を抑えようと懸命だった。Wegenerは私の取材に対し「〔Facebookの新サービスは〕Timeopが価値のあることをしているのだという印象を強めた。われわれの投資家の一人は『Facebookが真似しないようだったそのサービスはそもそもやる価値がないのだろう』と言ったがうまい表現だ」と語った。TimehopはShasta Ventures から2014年7月にシリーズBのラウンドで1000万ドルを調達した他、総額1410万ドルのベンチャー投資を受けている

Timehopは現在もTwitterその他のソーシャルメディアから多くの訪問者を集めているが、「過去のこの日」がカバーするユーザーが増えるにつれて、Facebookのユーザーからの利用は下降するだろう。Facebookは15億9000万人という途方もないユーザーベースにものを言わせてニュースフィードでプロモーションに努めた結果、スタート以來わずか1年で「過去のこの日」の利用者を5倍に増やした。

Facebookは私の取材に対して「この1年間プロダクトの改良を重ねた結果、われわれはユーザーがどんなコンテンツを見たいか理解を深めることができた。ユーザーを悲しませるような内容は表示されないようになっている。『過去のこの日』に何が表示されるかを決めるのに人工知能を幅広く利用している。ユーザーの過去の行動や人口動態的属性を考慮したパーソナライズが行われており、ユーザーがすでにブロックしている相手や、元カノ、元カレなどすでにロマンチックな間柄ではない相手に関するコンテンツはFacebook側で予め除去している」と説明した。

On This Day Web

Facebookはオンライン上に登場してからすでに12年たつ。Faceboookの持つわれわれの歴史は驚くほど詳細だ。Timehopその他のサービスはユーザーの過去のオンライン履歴を収集することにかけては優秀でも、Facebookはわれわれを一人ひとりよく知っており、そこに違いが生まれてくる。たとえば手当たり次第に過去の写真を表示するのではなく、昔から仲が良かった友達とのツーショットを表示するという具合だ。

Timehopは生き延びている。しかし今回公開された統計数字はデベロッパーに対する深刻な警告だろう。プロダクトを開発する際に、体重400キロのゴリラのようなプラットフォームに近寄り過ぎることは賢明ではない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

「過去の今日」の投稿を再表示するFacebookのノスタルジア機能、On This Day、公開へ

Facebookは2010年に過去記憶をよみがえらせるMemoriesという実験を行ったが、その後はこれといって新たな展開がなかった。しかしモバイルのTimehopアプリが1日600万ユーザーを獲得したのを見て、Facebookも公式にそのライバルとなるノスタルジア機能をリリースすることにした。On This DayはFacebookのユーザーが過去のその日に投稿した写真や近況を表示する機能だ。

On This Dayはここ数日で全世界に公開される予定で、モバイルアプリ、モバイル・ウェブ、デスクトップ・ウェブがサポートされる。このURL https://www.facebook.com/onthisday〔日本では未公開〕、またはFacebookのブックマーク・メニュー、検索、などからアクセスは可能だ。

Timehopが過去の記憶をFacebook、Twitter、Instagram、Foursquare、Flickr、Dropbox、iPhoto、ユーザーのカメラロールなどから幅広く掘り起こしてくるのに対して、On This DayはもちろんFacebookだけが対象だ。

FacebookでOn This Dayのプロダクト・マネージャーを務めるJonathan Ghellerは私の取材に対して、Timehopを比較の対象として名指しすることを避け、「われわれはユーザーの行動を分析して得た結果に基いてこの機能を追加した」と述べた。

私が繰り返しOn This DayとTimehopの機能はよく似ているのではないかと尋ねると、Ghellerは「われわれはユーザーがFacebook上でどんな行動を取るかに注意を集中している。よその場所で他の人々が何をやっているかにはあまり関心がない。ユーザーがFacebookに何を望んでいるかを調べ、それを実現するために最大限の努力をしている」と答えた。

Timehop

またFacebookではこの機能を直接マネタイズする計画はないという。そうであってもユーザーがOn This Dayに表示された過去の投稿をニュースフィードで共有すれ全体としてエンゲージメントが上昇し、ひいては広告のクリック数も上昇することを狙っているのだろう。

一方、TimehopのCEO、Jonathan WegenerはOn Thsi Dayによって自社のアプリに深刻な悪影響があるとは考えていない。私の取材に対して、「これはむしろわれわれのアイディアが正しかったというお墨付きをFacebookから得たようなものだ。またわれわれの使命はFacebookの特定のコンテンツを再表示するよりもずっと広汎なものだ。われわれは人々のデジタル・ヒストリーを広く再構築する」と語った。

On This Dayはアメリカでは今日(米国時間3/24)公開され、その後1週間ほどかけて全世界に順次公開される。

On This Dayはウェブ・ブラウザ版の場合はサイドバーのブックマークの一つとして表示される。 ウェブのモバイル版およびiOS、Androidアプリの場合はナビゲーション・メニューに追加されるはずだ。またこの記事中の上記リンクをクリックしてもよいし、検索窓に“On This Day”と入力してもよい。すると、去年、あるいは何年も前の今日、自分が投稿したか、あるいは友達が自分をタグづけした近況や写真が表示される。これを閲覧できるのは投稿したユーザー本人だけだが、ユーザーがそう選べば友達と共有ないし公開することもできる。

GhellerはOn This Dayのサンプルとして、現在1歳半の彼の娘が1年前にゼロ歳の赤ん坊だったときの写真を見せてくれた。また2年前に妊娠中の妻が彼をタグづけた近況も表示されていた。GhellerはMemoriesの実験に触れ、「われわれはこのアイディアを数年前から温めていた。その後、われわれは大規模にドッグフードを食い〔社内で実際に使ってテストし〕、また外部でも世界各地でテストを重ねて洗練されたプロダクトを作り上げた」と説明した。

Facebookは「今年のまとめ」に亡くなった娘が表示されユーザーの心を傷つけた問題への反省から、別れた恋人や亡くなった友人など、ユーザーの心を乱すような情報が表示されないよう特別なアルゴリズムを開発したという。たとえば、ユーザーが誰かを恋愛のパートナーに指定し、次いでそこから削除した場合、その人物に関するコンテンツが表示されないようにしたという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+