自治体にクラウドベースのITサービスを提供するOpenGovが54億円を調達

OpenGov(オープンガブ)は、ビッグデータ解析を専門とする企業であるPalantirJoe Lonsdale(ジョー・ロンズデール)氏が共同で創業した会社で、自治体や市民団体向けにクラウドで動く財務その他のデータを整理・分析・レポーティングするツールを提供している。OpenGovによる今回の資金調達は、再び大型のラウンドとなった。資金は事業拡大のために使う。5100万ドル(約54億円)を調達した今回のシリーズDは、Weatherford Capital8VC(ロンズデールの投資会社)がリードし、既存株主であるAndreessen Horowitzも参加した。

これで同社の資金調達総額は14000万ドルとなった。これまでの投資家には、JC2 VenturesEmerson CollectiveFounders Fundが名を連ねる。同社はバリュエーションを公開していない(TechCrunchから質問は送付)。参考となるのは、PitchBookがレポートしている前回公開ラウンド時のバリュエーション約19000万ドルだ。もっとも、前回ラウンドは2017年であり、同社の経営陣の顔ぶれと成長性を踏まえれば、バリュエーションはその後上昇している可能性が高い。

1点目の経営陣について。同社によると、取締役会にはロンズデール氏(現在は同社会長)のほか次のメンバーがいる。First Republic Bankの共同創業者兼副会長であるKatherine August-deWilde氏(キャサリン・オーガスト・デウィルドJC2 Venturesの創業者兼CEOであり、Cisco Systemsの元会長兼CEOJohn Chambersジョン・チャンバースAndreessen Horowitzの共同創業者兼ゼネラル・パートナーMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏OpenGovの共同創業者兼CEOを務めるZac Bookman氏(ザック・ブックマン)氏

2点目の成長について。同社によると、現在2000団体を超える自治体を顧客としており、最近新たにウェストバージニア州、オクラホマ州、アイダホ州長官室、ミネアポリス市、および ニューヨーク州サフォーク郡が顧客となった。TechCrunch2017年に同社の急成長について掲載した時には、同社の自治体の顧客数は1400団体だった。トランプ氏が勝った2016年の米大統領選以降、同社は急成長している(明らかにこの選挙がデータに関するセキュリティ強化と透明性向上を促す契機となった)。

通常、自治体のデータは、古いレガシーシステムに格納され、また非常に遅い官僚的なプロセスによって運用されている。これがスタートアップによる参入機会となった。成長するクラウドサービスを市民団体やその職員である都市計画やファイナンスの専門家のニーズに合わせて提供したのだ。OpenGovの場合、OpenGov Cloudと呼ばれるプラットフォームにサービスをパッケージ化している。

 OpenGovの使命は、自治体がもっと有効に機能し説明責任を果たせる組織となるようサポートすることによって、公共部門が迅速に変革できるよう支援することだ」とOpenGovCEOであるZac Bookman(ザック・ブックマン)氏は説明する。「今回の投資ラウンドは、OpenGovが自治体向けエンタープライズクラウドソリューションのリーダーであることを示すものだ。調達した資金で我々は、組織にとって欠かせないこの新しいテクノロジーを開発、販売、導入する体制を拡充することができる。このテクノロジーは自治体の幹部にとって安全で信頼できる選択肢だ」。

また、自治体の幹部が公共サービスを離れた後で、公共サービスの調達担当者とのネットワークを生かしたい場合にも信頼できる選択肢となるようだ。

共同でリードインベスターを務めたWeatherford Capitalのマネージング・パートナーで、フロリダ州の元下院議長であるWill Weatherford(ウィル・ウェザーフォード)氏は「OpenGovは、革新的な技術、優秀な人材、市場におけるリーダーシップ、問題解決優先のアプローチによって、行政が抱える問題に正確に応えている」と言う。「OpenGovの成長を支え、公共セクターのオペレーション近代化に関われることを大変うれしく思う」。

今後気になるのは、今回調達した資金を使って同社が法人向けテクノロジーの分野で買収を行うのか、行うとすればどのような買収になるのかだ。LiveStoriesのような、住民データを一般に公開するのに役立つサービスを提供する会社などは、OpenGovのビジネスを補完する役割を担えるだろう。OpenGovは過去にも買収を行ている。例えば、Ontodiaを買収した際は、OntodiaのオープンソースのデータとテクノロジーをOpenGovのプラットフォームに取り込む狙いがあった。

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(翻訳:Mizoguchi)