SuseのOpenStackクラウドが終了へ

Suse Linuxディストリビューションをその名の由来とし、ますます多くのマネージドエンタープライズサービスを提供し、最近新しく独立オープンソース企業に戻ったSuse(スーゼ)は、企業向け開発者スペースにおける変化のトレンドの先端にとどまるために米国時間10月9日、ちょっとした新しい戦略を発表した。

過去数年間にわたって、SuseはOpenStackプラットフォームに重点を置いていた。OpenStackプラットフォームは、大企業が自身のデータセンターの中に、AWSやAzureなどのパブリッククラウドのコアサービスに似たものを構築できるようにするための、オープンソースプロジェクトだ。今回の新しい戦略によって、SuseはOpenStackから離れていくことになる。同社はOpenStack Cloudの新しいバージョンの開発と、既存のOpenStack製品の販売の両方を中止する。

「Suseは、世界最大の独立系オープンソース企業として、成長と進化の次の段階に着手するために、私たちの戦略を現在ならびに将来の企業ユーザーの皆さまのニーズに合わせることによって成長していきます。企業ユーザーの皆さまは、ますます動的でハイブリッドなマルチクラウドアプリケーション環境とDevOpsプロセスに移行しようとしています」と同社は声明の中で述べている。「私たちはお客さまが、エッジからクラウドに至る、あらゆるコンピューティング環境を受け入れていくプロセスを助ける、こうした戦略を進めて行く上で、理想的なポジションにいるのです」。

Suseが今後注力するのは、よりアプリケーションデリバリーを強化するためのCloud Application Platform(オープンソースのCloud Foundryプラットフォームに基づくもの)とKubernetesベースのコンテナプラットフォームである。

もしこのセグメントでの売上が成長を続けるようなら、SuseはOpenStackサービスを停止しない可能性もある。OpenStackに関する過剰な宣伝は近年鳴りを潜めたとはいえ、それはいまだに世界でもっともアクティブなオープンソースプロジェクトであり、世界最大規模の企業(通信大手も含まれる)の実運用環境を支えている。OpenStackプロジェクトが、すべてのマインドシェアがコンテナ、特にKubernetesに移行してしまった世界で、自分の立ち位置を見出すためには、数年の時間が必要だった。とはいえ、同時にコンテナは、OpenStackの新しいチャンスを生み出している。なぜなら、これらのコンテナとインフラストラクチャの残りの部分を管理する何らかの方法がまだ必要だからだ。

プロジェクトの舵取りを行う、包括組織のOpenStack Foundationは楽観的だ。

「OpenStackディストリビューションの市場は、Linuxや他の大規模なオープンソースプロジェクトがそうだったように、高度なサポートを提供する、よく慣れたコアグループによって支えられています」と声明の中で語るのはOpenStack FoundationのCOOのMark Collier(マーク・コリアー)氏だ。「すべての企業は戦略的な優先順位を随時調整しています。そしてプライベートクラウドへのコンテナーやVM、そしてベアメタルなどのオープンソースインフラストラクチャ製品の提供に、引き続き注力しているディストリビューションプロバイダーにとって、OpenStackは市場をリードする選択肢なのです」。

コリアー氏によれば、分析会社451 Researchは、KubernetesとOpenStackを合わせた市場規模が約110億ドル(約1兆1800億円)あると考えていて、そのうち77億ドル(約8260億円)はOpenStackに集中していると指摘しているという。「オープンソースクラウド市場全体が、各自8桁(1000万ドル、約10億7000万円)以上の収益に向けて前進を続けていて、そのほとんどがOpenStack製品とサービスに集中していますので、ディストリビューション同士の自然な統合が採択に影響を与えないことは明らかです」と同氏は主張する。

Suseにとっては、OpenStack製品は終わりを迎える。ただし現時点では、同社は引き続きOpenStack Foundationのトップレベルのプラチナスポンサーであり、SuseのAlan Clark(アラン・クラーク)氏はFoundationの役員を務めている。SuseはOpenStackブランドのその他のプロジェクトのいくつかに関与しているため、同社はスポンサーであり続ける可能性が高いが、おそらくトップレベルのスポンサーを続けることはないだろう。

関連記事:SUSEがエンタープライズサービス好調で再び独立企業に

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(翻訳:sako)

MirantisのModel Designerツールでオンプレミスクラウドの構成を楽に

OpenStackの初期を担った主要企業として記憶に残るMirantisは米国時間4月29日、企業がオンプレミスのクラウドの構築とデプロイを容易にできるためのサービスを立ち上げた。

そのMirantis Model Designerと呼ばれるサービスによりITのオペレーターたちは、自分たちのクラウドを容易にカスタマイズできる。来月はOpenStackのクラウド、その後はKubernetesのクラスターに関し、それらのデプロイのための構成の作成を支援する。

従来の構成作業は、大量のYAMLファイルを手書きすることを要し、間違いも起きやすいので、それが好きだというデベロッパーはまずいない。

でもそれがまさに、Infrastructure as Codeモデルの中核だ。しかしModel Designerは、MirantisがOpenStack用の人気の高いインストーラーFuelから学んだことを拡張している。Mirantisの協同ファウンダーでCMOのBoris Renskiが今日の発表の前にデモしてくれたところによると、Model Designerはユーザーに提示するGUIで構成を一歩々々進めていく。

うまいな、と思ったのは、その各ステップに難度のレベルがあって、設定をどれだけカスタマイズしたいかによってユーザーが選ぶ。レベルはDoomを参考にしたとあって、「I’m too young to die」とか「Ultraviolence」などがあるが、なぜか「Nightmare!」はない(Infrastructure as Code参考記事)。

Model Designerはクセの強いツールだが、ユーザーの自由度もかなりある。構成の段階が終わったらMirantisはその設定を実際にJenkinsのオートメーションサーバーで動かして、その構成を検証する。

Renskiによると、その段階では各プラットホームの特異性に十分対応していないが、ファイルが正しいことは確証される。そのあと、このツールはユーザーに構成ファイルを提供し、OpenStackのクラウドの実際のデプロイは、それらのファイルとMirantisからダウンロードできる中核的なバイナリを一緒にしてオンプレミスのクラウドに持って行き、コマンドラインのスクリプトを実行するだけだ。それが、この工程のすべてである。

そこからはMirantisのDrive Trainツールにバトンが渡ってクラウドをプロビジョニングする。アップグレードは、以上のプロセスを繰り返すだけだ。

Mirantisの収益源はサポートで、それにはベーシックから顧客のクラウドの完全管理まで何段階かある。Model Designerは多くの企業に同社の存在を知ってもらうための方法の一環であり、そうやって同社のツールを使ってもらえるようになれば、次はそのサポートという算段だ。

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使い慣れたプログラミング言語を使ってクラウドのインフラストラクチャを管理できるPulumiが商用バージョンを開始

シアトルのPulumiを使ってデベロッパーは、自分が知っているプログラミング言語を使ってクラウドインフラストラクチャを指定しそれを管理できる。同社は今日(米国時間10/22)、Madrona Venture GroupがリードするシリーズAのラウンドで1500万ドルを調達したことを発表した。Tola Capitalがこのラウンドに参加し、同社のマネージングディレクターSheila GulatiがPulumiの取締役会に加わる。Madronaからはすでに、元Microsoftの役員でMadronaのマネージングディレクターS. SomasegarがPulumiの取締役会に加わっている。

資金調達の発表に加えてPulumiは今日、その商用プラットホームをローンチした。それは、同社のオープンソース製品をベースとするものだ。

Pulumiの協同ファウンダーでCEOのEric Rudderはこう語る: “これまでは企業とコミュニティの両方からの関心がどちらも大きくて、彼らから大量のオープンソースのコントリビューションが寄せられている。たとえばVMwareとOpenStackのサポートは、コミュニティの尽力によるものだ。だからうちでは、オープンソースのコミュニティの活力が大きいが、それと同時に、商用化への関心も大きかった。つまり企業のチームはPulumiの運用面の充実を求めており、それを彼らのプロダクションに入れることと、プロダクトとして購入できることを要望していた”。

そこで、その機会に応えるべく同社は、チームとプロダクトの両方に底入れするために、新たな資金調達を決意した。そして今では、そのプロダクトには商用バージョンの‘team edition.’(チームエディション)が含まれ、この新しいエンタープライスバージョンには、ユーザー数を限定しないサポートと、サードパーティツール(GitHub、Slackなど)の統合、ロールベース(役割に基づく)のアクセスコントロールとオンボーディング(研修など)、そして12×5のサポート(月-金、昼間のみ)が含まれる。無料でシングルユーザーのコミュニティエディションと同様、このチームエディションもSaaSプロダクトとして提供され、すべてのメジャーなパブリックおよびプライベートクラウドプラットホームへのデプロイをサポートする。

Pulumiへの投資の動機を聞くとTolaのGulatiはこう答えた: “クラウドは今や規定の結論だ。でもエンタープライズがクラウドへ行こうとすると、厄介な問題を多く抱える。しかも、今のエンタープライズは、仮想マシンとコンテナとサーバーレスのすべてを理解し使いこなせねばならない。しかもそれを、1)単一のツールセットで、2)実際のプログラミング言語を使って、3)今日的な最新のスキルを使い、そして4)企業にとってもっとも有効にクラウドを利用しなければならない。率直に言ってPulumiは、このような複雑な課題と、それらをめぐるデベロッパーとITの現実によく応えている。デベロッパーとITは、ランタイムとデプロイの両側面から良好な関係を築かなければならない。それを助けるプラットホームとしては、私の知る限りPulumiがベストだ”。

オープンソースのツールは、今後も開発を続ける。また、コミュニティの構築にも厚く投資していく。同社によると、Pulumiにはすでにこれまでも相当な勢いがついていたが、新たな資金によりその努力を従来の倍にできる。

新たな資金により、オンボーディングのプロセスを容易にし、それを完全なセルフサービス型にしたい。でもそれをすべて企業任せにすることはできないから、Pulumiとしては売る前と売った後のお世話も充実させる必要がある。今現在は、この段階のスタートアップの多くがそうであるように、同社の社員はほぼ全員がエンジニアだ。だから営業の充実が、当面の優先課題になる。

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OpenStackがオープンソースのCI/CDプラットホームZuulを切り離して独立化

OpenStackほど複雑なオープンソースプロジェクトはほかにないと思われるが、これは要するに、AmazonのAWSのような総合的なクラウドコンピューティング環境を、企業が自分のデータセンターの(主としてプライベートな)インフラストラクチャとして装備するためのシステムだ。それを構成するさまざまなサブシステムを作るためにチームは、独自のDevOpsツールを作らざるをえなかった。2012年には、その一環として、オープンソースの継続的インテグレーションとデリバリ(CI/CD)プラットホームZuulを作った。そしてこのほど、Zulu v3のリリースを契機に、ZuluをOpenStackから切り離して独立のプロジェクトにした。でもOpenStackのエコシステムを去るわけではなく、依然としてそれは、OpenStack Foundationがホストするツールだ。

構造をざっと展望すると、OpenStack Foundationは一種の母体的組織であり、その傘下のメインプロジェクトとしてOpenStack本体のほかに、昨年おそく登場したKata Containersと、今回のZuulがある、という構造になる。すなわちOSFは近年、本体OpenStackのほかに、関連のインフラストラクチャプロジェクトも揃えよう、としているのだ。

Zuulはデベロッパーたちに、プロジェクトに新たな変更を加えようとするときの、コードのマージ、ビルド、そしてテストの工程を自動化するシステムを提供する。サポートする開発プラットホームはかなり幅広くて、GitHubや、コードレビューとプロジェクト管理のツールGerritなどもサポートしている。

Zuulの現在のコントリビューターは、BMW, GitHub, GoDaddy, Huawei, Red Hat, そしてSUSEだ。BMWのソフトウェアエンジニアTobias Henkelは語る: “ソフトウェアプロジェクトがCD/CIを幅広く採用することは、高品質なソフトウェアをタイムリーにデリバリするための基盤だ。それにより、個々のコミットチェックからフルリリースに至るまでの、開発サイクルの重要な部分を、すべて自動化できる。弊社BMWのCI/CDチームは、Zuulコミュニティの一員であることを誇りとし、オープンソースのZuulプロジェクトの積極的なコントリビューターであり続けたい”。

Zuulがスピンオフして独立した今の時期は、CI/CDに関して選択肢がとても多くなっている。GoogleとNetflixはオープンソースのSpinnakerで、Zuulと同様の機能を提供しようとしているし、またJenkinsとその類似プロジェクトたちも依然として強い。これらに対してZuulは、大規模で複雑な開発プロジェクトをうまく扱えるmulti-repo gatingマルチリポジトリ・ゲーティング)機能の有利性を強調している。

今カナダのバンクーバーで、これらのオープンソースプロジェクトの代表者たちによるOpenDevカンファレンスが行われており、そこでOpenStack Summitも併催されているので、数日〜数週間後にはこれらのプロジェクトすべてに関するより詳しい情報が出てくることだろう。

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HeptioがKubernetesとOpenStack用のロードバランサーをオープンソースでローンチ

Heptioは、コンテナのエコシステムの中でおもしろい企業のひとつだ。まず同社は、Kubernetesを作った三人の技術者のうちの二人、Craig McLuckieとJoe Bedaが作った企業だ。しかしそれだけでなく、同社が開発している技術と、これまで調達した巨額の資金も、注目に値する。

同社の今日(米国時間4/23)の発表によれば、2018年第一四半期の売上は前四半期比で140%増加した。さらにまた、社員数は2017年の初めに比べて4倍に増加した。元の数の発表がないから、これらが実際にどれだけすごいことかよく分からないが、なにしろ同社が好調で、今急成長中のKubernetesのエコシステムに自分の足場をしっかり築きつつあることは分かる。

これらの数字の発表と並んで同社は今日、新しいオープンソースプロジェクトのローンチを発表した。それは、クラスターリカバリツールArkや、KubernetesのクラスターモニタリングツールSonobuoyなど、同社の既存のツール集合に、新たに加わるものだ。

そのHeptio Gimbalと呼ばれる新しいツールは、そのユースケースが非常に特殊で、少数のユーザーにしか関心がないと思われるが、でも彼らにとってはライフラインだ。GimbalはYahoo Japaの子会社Actapioとの共同開発で、エンタープライズがトラフィックをKubernetesのクラスターやOpenStackのデプロイへルートするタスクを助ける。多くのエンタープライズが今ではこれらの技術を並列で動かしていて、一部はOpenStackを超えてもっとKubernetes中心のアーキテクチャへ移行しつつあるが、でもOpenStackへのこれまでの投資の成果を今すぐ完全に捨て去る気はない。

ActapioのCEO Norifumi Matsuyaはこう述べている: “われわれがHeptioにアプローチしたのは、OpenStackなどのバックエンドシステムへのこれまでの投資を無駄にすることなく、自分たちのインフラストラクチャをKubernetesで現代化したかったからだ。アプリケーションを大きなスケールでデリバリすることが、うちのビジネスにとってもっとも重要だ。そのためには、より高速なサービスディスカバリーと、即時のロールバックとパフォーマンスの測定を可能とするカナリア分析を伴う、デプロイメント能力が必要だった。Gimbalはわが社のデベロッパーたちに、これらのチャレンジへの対応能力を与え、彼らの生産性を上げるとともに、システムのパフォーマンスを最適化する”。

GimbalはHeptioの既存のオープンソースツールの多くを利用し、またCloud Native Computing Foundationのクラウドネイティブプロジェクト群の一つであるEnvoyプロキシも使っている。今のところGimbalは、OpenStackの2016年のMitakaリリースのみサポートしているが、今後はVMwareやEC2もサポートしていく予定だ。

〔・Heptio関連記事:
Kubernetesによるコンテナクラスターのプロダクションレベルのデプロイを「安全化」するHeptioのオープンソースプロジェクト
Kubernetes展開お助けサービスで起業したHeptioが創立1年足らずでシリーズB $25Mを調達
オープンソースのライセンスをレビューするOpen Source InitiativeにMicrosoftが参加
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25歳になったRed HatはLinuxの先を見つめる

Red Hat Linuxディストリビューションは先週25歳になった。最も初期のLinuxディストリビューションの1つとして始まった企業は、いまや最も成功したオープンソース企業となり、その成功は他の企業たちが従う触媒となった。今日のオープンソースの世界は、LinuxがMicrosoftのデスクトップ支配に敢然と立ち向かうかのように見えた90年代半ばの熱狂とは異なっているものの、RedHatそのものは今でも強くなり続けている。

こうしたこと全てを視野に入れつつ、私は同社の過去、現在、未来、そしてオープンソースソフトウェア一般について、同社の現CEO(元Delta Air Linesの COO)Jim Whitehurstに話を聞いた。WhitehurstがRed HatのCEOに着任したのは10年前のことなので、彼は業界の最初期にはまだ関わっていなかったものの、いまやかつて無いほどの広がりを見せつつある、企業におけるオープンソースの進化に関しては、間違いなく目撃した人物なのである。

「10年前のオープンソースは、従来のソフトウェアに代わる、実用的な選択肢を提供することに重点を置いていました」と彼は語った。「既存の技術を置き換える技術レイヤーを販売していたのです。[…]当時はオープンソース技術を用いることで、低コストでの構築を行えることが売りでした。安価であることが、その価値の中心だったです」。

その当時、市場はWindowsをLinuxに、そしてIBMのWebSphereJBossに置き換えようとしていたのだという。またそれが、エコシステムにおけるRed Hatの役割も定義していた、技術的な情報の中心はパッケージングに関するものだった。「RedHatは、こうしたオープンソースプロジェクトへの取り組みを始めて、それらが従来の企業の中で利用可能になるようにしてきたのです」とWhitehurst。

Jim Whitehurst、Red Hat社長兼CEO(写真:Joan Cros/NurPhoto、Getty Images)

だが約5〜6年前に、何かが変わった。GoogleやFacebookなどの大企業たちが、自分たちのプロジェクトのオープンソース化を開始した。何故なら彼らはオープンにした基盤技術の一部を、競争上の優位性だとみなしていないからだ。自分で抱え込む代わりに、それらを彼オープンにしておくことで、その周りに形成されたエコシステムから利益を得ることができたのだ。「最も重要な点は、この考えに改宗したのはGoogleとFacebookだけではなかったということなのです」とWhitehurs。「オープンソースを巡るソーシャルテクノロジーにより、プロジェクトの遂行が簡単になりました。企業たちもそのことに対する功績を認められています」。

彼はまた、開発者たちは現在、その職歴の一部にオープンソースへの貢献を含めるようになっていることも指摘した。職場を定期的に移動する人材がますます増えているため、才能の獲得を競う企業たちは、彼らに競争上の優位性を与えない技術の少なくとも一部は、オープンソース化することを余儀なくされている。

オープンソースのエコシステムが進化するにつれて、Red Hatも進化してきた。企業たちがオープンソースの価値を理解し(そして恐れることを止め)始めるにつれて、RedHatは潜在的な顧客に対し、オープンソースがただ節約になると語ることから、いかに革新の推進に役立つかをアピールするようになり始めた。「私たちは『とにかく使える者たち』の段階から『革新する者たち』への段階に移りました。私たちが推進している技術は、今や真に新しい革新を推進しているのです」とWhitehurstは説明する。「いまや私たちは、お金の節約について語るのではなく、企業内での革新の推進を支援しようとしているのです」。

ここ数年、この革新を推進するための買収も行われてきた。例えば、Red HatはIT自動化サービスのAnsibleを2015年に買収した。また先月には、Kubernetesコンテナエコシステムの主要な独立プレイヤーの1つであるCoreOSの買収を行っている。もちろん全てはオープンソースとしての出自を保ったままだ。

Linuxディストリビューションの周りで行うことのできる革新だけでも沢山あり、そして公開企業として、RedHatはコアビジネスを超えて、顧客に役立つものをその上に構築しなければならない。そのような取り組みの一環として、例えばOpenShiftのようなサービスが立ち上げられた。これはRed Hat Enterprise Linux上のコンテナプラットフォームであり、DockerやKubernetesといった技術を統合して企業内でより簡単に利用できるようにするものである(オリジナルのLinuxディストリビューションが果たした役割と似ている)。

こうしたことに取り組む理由は?「私はコンテナが、アプリケーションの構築、展開、管理を行うための主要な手段となるだろうと信じています」と彼は言う。そして特にCoreOSの買収後、RedHatはコンテナとKubernetesの両方のリーダーになったと主張する。「ITの将来におけるコンテナの重要性について考えるならば、その価値は私たちにとっても、顧客の皆さまにとっても明らかです」。

他にRed Hatが注力している主要なオープンソースプロジェクトは、OpenStack である。これは、AWSやその他のクラウドプロバイダーを代替するオープンソースのオンプレミス環境への、企業の大規模な移行に対して否定的な見解が多く出された昨今の情勢を考慮すると、少々驚くような話かもしれない。「OpenStackは、大規模なテクノロジー企業たちにとって、Amazon対抗の救世主になるだろうという思いがありました」とWhitehurstは語る。「しかし、問題なく動作するOpenStackを利用しても、Amazonが5年前に既に実現していたことをようやく実現できるだけなのです。Cisco、HP、あるいは大手OEMたちにとって、OpenStackはある意味失望でした。しかし、ソフトウェア会社としての私たちからの立場から見れば、魅力的なものなのです」。

OpenStackは特に電気通信事業者に人気が高いため、Whitehurstは、それが5Gへの移行で大きな役割を果たすだろうと考えている。「通信事業者たちと話してみると、[…]OpenStackが5Gをリリースするためのプラットフォームになることを確信できます」。

OpenShiftとOpenStackによって、Red Hatは、将来のアプリケーション開発と、そのアプリケーションが実行されるインフラストラクチャの両方を、カバーできると考えている。さらにその少し先に目を向けて、Whitehurstは、自社製品をよりスマートで安全にするために、人工知能と機械学習をどのように使用できるかの見極めを始めていると語り、またその技術をエッジコンピューティングのためにどのように利用できるかの検討も始めていると指摘した。「今や大企業もオープンソースに貢献していますから、私たちが知識として使える材料には実質的に限りはありません」と彼は語った。

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(翻訳:sako)

OpenStack FoundationがOpenStack以外のオープンソースプロジェクトもホストする方向へ

【抄訳】
最近の数年間で、Cloud Native Compute FoundationやCloud Foundry Foundationなど、オープンソース関連の団体がいくつか立ち上げられた。これらの多くはLinux Foundationの一員になっているが、その仲間に加わっていない大きなオープンソース団体のひとつが、OpenStack Foundationだ。ここは、少なくともこれまでは、クラウドコンピューティングプラットホームOpenStackの開発にフォーカスしてきた。

しかし、時代は変わりつつある。隔年で開催されるOpenStack Summitの最後の数日につき合ってみて明らかに感じたのは、OpenStack FoundationがOpenStackプラットホーム以外のものにも目を向け始めていて、将来この組織はLinux Foundationに似たものになるのではないか、という感触だ。ただしそのビジョンはもっとシンプルで、現在の関心に沿ったオープンなインフラストラクチャにフォーカスするだろうが、それらは必ずしもOpenStackプラットホームの一部である必要はなく、プロジェクトも今のガイドラインに縛られないものになるだろう。

OSFのこの多様化路線がうまくいけば、Linux FoundationやApache Foundationなどと並ぶ、大きくて総合的なオープンソース団体がもう一つでき、彼らのOpenStack関連の知識と経験がコミュニティをサポートしていくことになって、オープンソースのコミュニティに変動をもたらすだろう。またOpenStack Foundationが従来ならLinux Foundationに行ったようなプロジェクトもホストするようになると、二者間に興味深い競合関係が生ずるかもしれない。

その初期からOpenStackを採用しているMirantisの協同ファウンダーでCMOのBoris Renskiによると、OSFのこの新しい動きを引っ張るにふさわしい人物は、CTOのMark Collierと事務局長のJonathan Bryce、そしてマーケティングとコミュニティサービス担当のVP Lauren Sellだ。Renskiの見解では、OSFが多様なプロジェクトを手がけていくのは良いことであり、OpenStackが安定期に入りつつある現在は、新しいことに取り組む時期としても適している、と。

では、OSFが今後新たにフォーカスしていくべきテーマは、なんだろうか? Bryceによると、今計画に上(のぼ)っているのは、データセンターのクラウドインフラストラクチャ、コンテナのためのインフラストラクチャ、エッジコンピューティング(Collierがとくに関心を持っている)、継続的インテグレーション/継続的デリバリ、そして可能性としては機械学習とAIの分野だ。

Linux Foundationが主にLinuxユーザーの便宜のためにさまざまなプロジェクトを傘下に収めてきたのと同様、OSFも主にOpenStackでメインのシステムを構築しているユーザーの便宜を図っていく。だから団体の名称はOpenStack Foundationのままでよい、とBryceらは考えている。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Cloud Foundryの企業採用が進む

今や、最新のソフトウェアの開発、展開、管理の方法を主導していくために、オープンソースプロジェクトがこれまで以上に大きな役割を果たすようになっている。例えばコンテナのためにはKubernetesがあり、エンタープライズ規模のインフラ運用のためにはOpenStackがあるといった具合だ。しかしここ数年の間に、Cluod Foundryという名のまた別のプラットフォームが、企業が内外のサービスを開発する方法を変えてきた。

Cloud Foundryは「サービスとしてのプラットフォーム」(PaaS)に分類されるもので、OpenStackのような「サービスとしてのインフラストラクチャ」(IaaS)とは区別される。Cloud Foundryが目指しているのは、インフラストラクチャを運用するという厄介な作業やデータベースのようなより高度なサービスを抽象化して、開発者にアプリケーションを書くための単一のプラットフォームを提供することだ。

ここでの前提は、Cloud Foundryの下にあるものを、開発者が気にする必要はないということだ。たとえばそれはオンプレミスのOpenStackクラウドかもしれないし、AWS、Google Cloud Platform、IBM Bluemix、Azureなどのパブリッククラウドかもしれない。これは、企業がアプリケーションをあるクラウドから別のクラウドに移動させる(または複数のクラウドを同時に使用する)能力を得ることを意味する。もちろんその際に、それぞれのクラウド特質に合わせてコードを改変する必要はない。Cloud Foundry FoundationのCTOであるChip Childersによれば、プロジェクトの目標は開発者を幸せに(そして生産的に)することだ。

Cloud Foundryの歴史は、当初の開発者VMwareが最初のバージョンをリリースした2011年に始まるが、2015年以降はLinux Foundationの助けを借りてプロジェクトを推進している(CFとLFとの提携が行われたのは正確には2014年12月)。その提携以前にもプロジェクトは成功していたものの、以降は真に独自の成功を収めて来ている。Fortune 500社の半分が現在、何らかの形でCloud Foundryを利用している。

企業の変化はゆっくりで、しばしば沢山の古いソフトウェアを維持しなければならないために、完全に移行した例はまだ多くないが、現在多くの企業が新しいソフトウェアの全てをCloud Foundryの上に構築している最中だ。最大手のユーザーでも、Cloud Foundryで実行しているアプリケーションはおそらく10%程度に過ぎないが、将来はこのプラトッフォームに賭けられている。

「多くの人たちがその方向に集中しています」と、Cloud Foundry財団のエグゼクティブエディタであるAbby Kearnsは語った。「多くの企業にとって、デジタルトランスフォーメーションはまだ初期段階ですが、企業の変革には通常7〜8年かかると考えられていますし、その中には更に時間がかかるものもあるでしょう」。

会社の従業員たちによる切り替えを簡単にするために、Cloud Foundryでは従業員たち自らがが選択した言語で記述することが可能だ。「Cloud Foundryの目標は、開発者の手に多くの自由を戻し、自ら開発が可能になるようにすることです。そのためには邪魔になるものを減らして行きますが、同時に十分なガードレールも与えます」。

さらに、財団は現在、そのプラットフォームとクラウドネイティブ開発パターンの両方を、一般的に利用する開発者を養成する認定プログラムを提供している。

先週、Cloud Foundryは年次開発者会議を主催したが、その講演者の顔ぶれは、Allstate and Liberty Mutualから、Ford、Home Depot、Google、Microsoft、SAP、IBM、そして独自のサービスを現在これらの企業に提供している多くのスタートアップたちに及んだ。これらの企業はすべてCloud Foundry財団のメンバーであり、Google、Microsoft、IBM、SAP、VMware、Cisco、DellEMC、Pivo​​talといった顔ぶれがこのプロジェクトを構築するためにここに集まっているのは時代を象徴している。

MicrosoftとGoogleが参加するこのラインナップに、明らかに欠落しているのはAWSクラウドのAmazonだ。彼らがすぐに参加してくるとは思わない。しかしながら、ユーザーたちはすでにAWS上にCloud Foundryをデプロイしはじめているため、プラットフォームの進化に対して意見を言うことも大きな関心事になることだろう。

Childersが強調したように、このプロジェクトはオープンソースが主眼というよりも、共同の研究開発を狙ったものである。このことがプロジェクトの哲学を他のオープンソースプロジェクトとは少し異なるものとしている(ガバナンスモデルも他のLinux Foundationプロジェクトとは少し異なる)が、最終的な結果はとても似通ったものとなっている。

将来については、Childersは、財団は明らかに製品会社ではないため、そのロードマップはメンバーやさまざまなサブプロジェクトに非常に依存していると語る。全体の取り組みに関わる商用ベンダーたちはそれぞれのロードマップを持っているので、このプロジェクトが何処へ向かうのかを正確に予測することは困難だ。

例えば、現在エンタープライズ分野で囁かれる、多くの構想段階の概念の1つとして、サーバーレスコンピューティングがある。Cloud Foundry財団は、まだこの騒ぎには跳び乗っていない。Childersはその理由を、今年は企業たちが実際にそれに手をつけようとしていないためだと述べているが、やがてプロジェクトが実際に取り組むときが来るかもしれないことは認めている。「私たちは、エコシステムにイノベーションを導入したくなる、微妙な地点にいるのです」とChilders。「それを素直に押し出して『これには意味がある、世間には沢山の選択肢があるが、私たちはリリースするプラットフォームの全体の中にこれを取り込むことが正しいことだと考えている』と言える場合もあるでしょう。しかし私たちはそれが正しい答えだと言い切る準備はできていません。[…]私たちは目新しいものに飛びつくことはしません」。

プロジェクトが積極的に検討しているのはユニカーネルだ。これは特に、DockerがUnikernel Systemsを買収したことで、ゆっくりと再浮上してきたコンセプトだ。またグループは、Cloud Foundryが、ネットワークのエッジ部分にさらに多くのコンピューティングパワーをもたらすためにどのように役割を果たすことができるかも検討している(コンピューティングをクラウドへ何年も集中してきた動きを思えば、興味深い転換だ)。

「イノベーションは難しいことです。私たちは、コミュニティとして、こうした問題に取り組んでいきます」とChilders。「実を結ぶこともあれば、そうでないときもあるでしょう」。Cloud Foundryは安定したコアを手に入れたため、この先の数ヶ月から数年の間にこうした探求の結果をより多く目にすることになるだろう。特に企業たちはただクラウドを一般的に活用するだけでなく、複数のクラウドベンダーからの最高のサービスを同時に活用できるようにしたいと願っているからだ。

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(翻訳:Sako)

 

FEATURED IMAGE: BRYCE DURBIN

OpenStackの第15リリースOcataはコンテナのサポートをさらに充実、プライベートクラウドの第二の夜明けを目指す

Fibre-optic cables feed into a server inside a comms room at an office in London, U.K., on Friday, Oct. 16, 2015. A group of Russian hackers infiltrated the servers of Dow Jones & Co., owner of the Wall Street Journal and several other news publications, and stole information to trade on before it became public, according to four people familiar with the matter. Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg via Getty Images

今日(米国時間2/22)OpenStack Foundationが、同プラットホームの最新バージョンをローンチする。企業はOpenStackを使って、AWSのようなクラウドコンピューティングプラットホームを自己のデータセンターでプライベートに運用できる。Ocataと呼ばれる今日の15回目のリリースは、前回のリリースからわずか4か月後と早いが、今後は通常の6か月サイクルに戻る。今回とくに早かったのは、Foundationが近くデベロッパーのためのイベントを開催するからだ。短いサイクルなので新しい機能よりも安定性が重視されているが、しかしそれでも、いくつかの新機能を見ることができる。

今やOpenStackは巨大なプロジェクトで、20近いサブプロジェクトで構成されている。もちろんどれもコンスタントにアップデートされているが、今回の新機能で目立つのは、OpenStackにおけるソフトウェアコンテナのサポートがさらに充実したことだ。OpenStackのCOO Mark Collierによると、コンテナプロジェクトは他のプロジェクトよりも進捗が早い。彼によるとOpenStackとGoogle生まれのコンテナオーケストレーションシステムKubernetesの組み合わせは“クラウドのLAMP”みたいなものであり、Kubernetesの人気が高いのはGoogleや特定一社がそれをコントロールしようとせずに、オープンソースのコミュニティにその成長を委ねたからだ、とCollierは語る。

今回のOctaリリースにおけるコンテナサポートの改良は、OpenStackのコンテナによるデプロイをサポートするプロジェクトKollaにKubernetesをより完璧に統合したことだ。それによってOpenStackのデプロイの管理が容易になるだけでなく、アップグレードもよりシンプルな工程になる。そのほかのアップデートとしては、コンテナのオーケストレーションサービスを支えるOpenStackのメインプロジェクトMagnumがMesosphereをより本格的にサポートするようになったことが挙げられる。またOpenStackのコンテナネットワーキングサービスKuryrが、Docker Swarmをサポートする。

OpenStackは明らかに、コンテナエンジンに関してえこひいきはしていない。わずか1年前ですら、コンテナがOpenStackの死を招くか云々という議論がまだあった。しかしそんな不安はいかにも大げさであり、今やコンテナはこのプロジェクトの中核的部分のひとつだ。

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OpenStackの今後に関連してCollierの説では、このところ、企業のプライベートクラウドの見方が変わってきている。OpenStackにかぎらず、最初の世代のプライベートクラウドサービスは、あまり使いやすくはなかった。“今よりもずっと大きなチームを必要としたし、採用もPayPalやWalmartなど超大企業に限られていた。つまりクラウドをプライベートで立ち上げるのは、ふつうの企業には無理だった”。でもCollier説によると、今はプライベートクラウドの第二世代だ。プライベートクラウドを立ち上げるのに、もはや巨大なチームは要らない。それに今では、セットアップを手伝ってくれる企業のしっかりとしたエコシステムがある。

初期には、OpenStackのクラウドをセットアップするために必要なマンパワーの量が大きすぎて、小さなチームでは難しかった。しかしCollierによると、今では費用の面でもプライベートクラウドがAWSなどのパブリッククラウドサービスと十分に競合できる。パブリッククラウドサービスはいろんなオプションなどで費用がかさむことが多いが、OpenStackなどを自前で使えば、持続可能なワークロードを低費用で維持できる。つまり彼の主張では、これからはプライベートクラウドの方がAWSなどを使うより費用効率が良い、というのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

SUSEがHPEのOpenStackおよびCloud Foundry関連資産(そして人材)を買収

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SUSEの名は、Linuxのディストリビューションで知ってる人が多いと思うが、相当前から、OpenStackエコシステムの、目立たないけど一貫した活動メンバーだった。しかし最近の数か月、このドイツ企業はこの世界の強力なコンペティターとしても動き始めている。とくに今という時期は、OpenStackをめぐる企業の整理統合が進んでいるだけに、その動きは注目される。

今日(米国時間11/30)SUSEは、同社がHPE(Hewlett Packard Enterprise)のOpenStack(IaaS)およびCloud Foundry(PaaS)関連資産と人材を買収する、と発表した。これはHPEの、ソフトウェアビジネスをMicro Focusに売り払う(HPEは“spin-merge”する、という言葉を使っている)という決定に続く動きだ。ちなみにそのソフトウェアビジネスには、HPEが110億ドルで買ったAutonomy(その後90億ドルに減価)も含まれる。さらにもうひとつ言うと円が閉じるのだが、Micro FocusはSUSEのオーナーでもある。そしてそのSUSE が、今回はHPEのOpenStackおよびCloud Foundry資産を拾っているのだ。

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SUSEの主張では、今回の買収で同社のOpenStackポートフォリオがより充実し、またCloud FoundryのようなPaaS資産は、同社自身のエンタープライズ対応SUSE Cloud Foundryソリューションの市場化を助ける。

SUSEのCEO Nils Brauckmannはこう語る: “この買収の原動力となったものは、弊社の顧客とパートナーにエンタープライズ的価値をお届けしている、オープンソースのソフトウェア定義インフラストラクチャの提供への、SUSEのコミットメントだ。これはまた、有機的成長(本体の成長)とテクノロジーの買収を組み合わせてビジネスを構築していく弊社のやり方を、世に示すものでもある。重ねて申し上げると、この戦略は市場と世界のオープンソースコミュニティに、SUSEが進歩的で活発な企業であるという、強力なメッセージを送っている”。

SUSEはこれにより、LinuxとOpenStackとCloud Foundryに関してHPEの最優先オープンソースパートナーになる。

しかしHPEはOpenStackとCloud Foundryのゲームから完全に撤退するわけではない。HPEはSUSEのOpenStackおよびCloud Foundry技術を、同社自身のHelion OpenStackとStackatoソリューションに向けてOEMしていく。HPE自身の言葉によると、今回の動きは同社の戦略の“進化”を意味しているにすぎず、それによって同社は“ハイブリッドクラウドソリューションの次の進化の開発に集中できるようになる”、のだそうだ。同社の顧客がHelionプラットホームの将来性について不安を抱(いだ)き始めない、とは想像できないが。

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CoreOSのOpenStackクラウドを15分でデプロイできるツールStackanetes(OpenStack+コンテナ+Kubernetes)がテクニカルプレビューに達す

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6か月前に、小型のLinuxディストリビューションとコンテナ管理サービスを提供するCoreOSは、その複雑さで敬遠されがちなOpenStackによるプライベートクラウドを、コンテナと、Googleのコンテナ管理ツールKubernetesを利用して容易にデプロイできるやり方をデモした。そして今日(米国時間10/26)同社は、そのツールのテクニカルプレビューのローンチにまでこぎつけ、誰もがたった一つのコマンドで、Kubernetes上のOpenStackをわずか15分でデプロイできるようになった、と発表した。

この、OpenStackとKubernetesをセットにしたプロダクトは“Stackanetes”と呼ばれ、CoreOSのチームは残念ながらこの奇妙な名前を気に入っているのだが、OpenStackの最新リリースであるNewtonを使用し、そのプラットホームのすべてのインフラストラクチャサービスを揃えた完全な高可用性OpenStackデプロイメントをセットアップする。

しかしOpenStackのクラウドをセットアップしている企業の多くは、Mirantis, Canonical, HPEなどのサードパーティベンダを利用してミッションクリティカルなワークロードをセットアップしている場合がほとんどだから、15分自力セットアップを訴求するCoreOSの今回のプロダクトは、一種のスタントでもある。しかしこれにより、OpenStack/コンテナ/Kubernetesという組み合わせが、少なくともOpenStackのベーシックなデプロイを、これまでになく、大幅に簡易化することを、多くの人びとに見せつけることはできる。これまで、OpenStackを使うことなど考えたこともなかった企業すら、前向きの関心を示すかもしれない。

StackanetesはコンテナエンジンとしてDocke Engineではなく、それと競合するCoreOSのrktを使用し、クラスタオーケストレーションツールとしてKubernetesを用いる。またCoreOSのチームによれば、Kubernetes自身もそのキー-ヴァリューストアとしてCoreOSで育ったetcdを使用している。

CoreOSのこのプロダクトでは、OpenStackのクラウドをセットアップするために必要なKubernetesの全オブジェクトが、約300行のYAMLのマークアップで定義されている。

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OpenStackが14回目のバージョンアップ、スケーラビリティと自己回復力、ベアメタル上のコンテナに注力

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OpenStackは、企業がこれを使って自分のデータセンターにAWSのようなクラウドプラットホームを構築運用できる大規模なオープンソースプロジェクトだ。それが今日(米国時間10/6)、その14度目のメジャーバージョンアップをリリースしたNewtonと呼ばれるニューバージョンは、ここ数年間における、OpenStackのさらなる成熟を示している。そして今回は、OpenStackのコア的サービスの一部の、スケーラビリティと自己回復力の強化に力が入れられている。またそれと同時に、重要な新しい機能が二つ加わった。そのひとつは、コンテナとベアメタルサーバーのサポートの改良だ。

Newtonに寄与貢献したデベロッパーとユーザーは2500名あまりに達する。その数からもそれがビッグプロジェクトであることが分かるが、コンピュート、ストレージ、ネットワーキングといったデータセンターの中核的サービスをサポートするだけでなく、多様な小規模サービスも各種提供している。

OpenStack FoundationのCOO Mark Collierによると、Newtonの力点は新しい機能よりもむしろ、新しい種類のワークロードをサポートするためのツールの充実に置かれている。

CollierとOpenStack Foundationの上級役員Jonathan Bryceが強調するのは、OpenStackの仕事はあくまでも、ユーザーが自分のワークロードを動かすために必要とするインフラストラクチャを提供することだ、という点だ。ワークロードの種類やタイプ、そのために求められるツールは、いっさい特定しない。“クラウドと仮想マシンが同一視されることは、最近ではなくなった”、とCollierは述べる。むしろ今多いのは、ベアメタルとコンテナの併用だ。OpenStackはそんなユーザーに、すべてを一元管理できるための、単一の制御インタフェイスを提供しなければならない。

しかし企業の変革の歩みは遅くて、OpenStackを使っているアーリーアダプター的企業でさえ、コンテナの採用はまだ始まったばかりだ。Bryceは曰く、“アーリーアダプターの中には、すでにコンテナをプロダクションで(本番運用で)使っているところもある。しかし私の考えでは、OpenStackである・なしを問わず、コンテナをプロダクションで使うのは時期尚早だ”。しかしそれでも、彼によると、最近ではOpenStackのさまざまなコンポーネントを活用して、コンテナの採用を早めたい、というユーザーが増えている。

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OpenStackのコア・フィーチャーであるNovaコンピュートサービスや、Horizonダッシュボード、Swiftオブジェクト/blobストアなどは、今回のアップデートでスケーラビリティが向上した。OpenStack上のコンテナ管理プロジェクトMagumuは、すでにDocker Swarm, Kubernetes, およびMesosをサポートし、オペレーターがKubernetesのクラスターをベアメタルサーバーの上で動かすこともできる。またそういうベアメタルサーバーのプロビジョニングフレームワークIronicは、Magnumとよりタイトに統合化され、マルチテナントのネットワーキングもサポートする。

今回のリリースには、そういった多様なアップデートや改善改良が含まれる。その圧倒的な全容と各プロジェクトの詳細は、ここで見られる。

OpenStackはすでに、6か月先の次のリリースにも取り組んでいる。それは、今月後半にバルセロナで行われるOpenStack Summitまでには準備段階を終えて、来年2月に一般公開されるだろう。

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AppFormixの総合クラウド監視最適化サービスが監視対象として仮想化ネットワークをサポート

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AppFormixは、Rackspaceなどのクラウドプラットホームを利用する企業の、OpenStackおよびコンテナベースのクラウド上のシステム監視し最適化する。その同社が今日、そのサービスにvirtualized network functions(VNF, 仮想化ネットワーク機能)*のサポートを加えた、と発表した。〔*: 日本では言葉として、NFV(Network Function Virtualization, ネットワーク機能の仮想化)の方がよく使われるようだ。〕

これまでのネットワーキングは、高度な専用ハードウェアを駆使するシステムだったが、しかし最近では徐々に、ありふれた日用品のようなコンピューターの上でソフトウェアを動かしてネットワークを実現するようになった。ハードウェアに要する費用は激落した。ただしネットワーキングという機能は、とくに通信業界などではレイテンシー(遅延)に敏感だ。しかもこの業界はVNFの主要ユーザーのひとつであり、またOpenStackのユーザー企業がとても多い。しかし、厳しくチューニングされた専用ハードウェアではなく、安価な日用品的コンピューターを使うと(そのままでは)、遅れやジターといった問題に悩まされがちだ。

AppFormixの協同ファウンダーでCEOのSumeet Singhによると、同社のサービスを利用するとジターを最大70%減らせる。彼は述べる: “VNFはまだ新しい技術だが、通信企業はこれによりネットワーキングをハードウェアからソフトウェアへ移行させようとしている。そして問題にぶつかる。弊社のサービスは一種のリアルタイムシステムで、これら仮想化ネットワークの状態…あらゆる性能要素…を常時監視し、分析し、その結果に基づいて最適化する”。

VNFの場合、最適化とは、ワークロードの構成やリソースの割り当てを変えることだ。AppFormix自身の調査によると、CPUの割り当てはジターにあまり影響しない。むしろ、問題の原因は多くの場合、キャッシュやメモリの使い方にある。たとえばAppformixのサービスがキャッシュの割り当てを適正化すると、ジターは減少する。

Singhが強調するのは、仮想化ネットワーキングの常時監視と最適化が重要なのは通信企業だけでなく、ユーザーを満足させる迅速なネットワーキングサービスをコンスタントに提供しなければならないeコマースなどでも重要、という点だ。

AppFormixの総合的なクラウド最適化サービスにVNFのサポートが加わったことにより、OpenStack(によるクラウド)とKubernetes(によるコンテナ管理)をベースとするクラウドシステムのユーザー企業はより安心して、ネットワーキングのソフトウェア化に取り組めるだろう。

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MirantisとSUSEがパートナーしてOpenStackユーザーの広範なサポートを開始

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OpenStackを使っている企業に、ソフトウェアやサポートや教育訓練を提供しているMirantisが今日(米国時間8/9)、LinuxディストリビューションSUSEで知られるドイツのSUSE社とパートナーし、SUSEのエンタープライズLinux製品のカスタマサポートを提供していく、と発表した。また今後両社は、SUSE Linux Enterprise Serverを、Mirantis Openstackで用いる開発プラットホームにしていく。しかもさらに両社は、共同で、Red Hat Enterprise LinuxとCentOSもサポートする。

OpenStackに関してはSUSEとRed Hatの両社にそれぞれ独自のソリューションがあるので、Mirantisがこの競合する二社をサポートするのは一見奇妙に思えるが、しかし実は、末端のユーザー企業が、たった一種類のLinuxディストリビューションだけを使っていることはめったにないのだ。

Mirantisの協同ファウンダーでCMOのBoris Renskiは今日の声明文で、次のように述べている: “弊社の大企業顧客の多くが、2〜3種類のLinuxフレーバーを使っている。これからは、OpenStackのユーザーであれば、それらすべてのLinuxディストリビューションに関して、Mirantis一社からサポートを受けられるようになる。世界中の主要な業界で、何千社もがSUSEをメインに使っている。なぜならSUSEは、エンタープライズ級の信頼性の高い、企業が社運を賭けるに足る、高いレベルのサービス約定を提供しているからだ。SUSEとのパートナーシップはMirantisの顧客に、彼らが自社のプライベートクラウドを構築しようとするとき、そのような高いレベルのサポートを提供する”。

一方、SUSEで戦略と企業連合とマーケティングを担当するMichael Millerプレジデントによると、SUSEには元々、ユーザーを単一のディストリビューションに封じ込める趣味はない。そして彼は、“とくにOpenStackと関わるときには、〔企業間の〕政治のことは忘れるべきだ”、と述べる。彼によると、OpenStackはまだアーリーアダプターの時期にあり、そのデプロイも管理もきわめて難しい。しかしまた、それと同時に、OpenStackは、コンテナやネットワーク仮想化など、自分よりも後から登場した最新技術とのすり合わせに努力している段階だ。〔互いに争っている場合ではない。〕

MirantisのOpenStackディストリビューションは現在、CentOS向けに最適化されている(OpenStackのデプロイと管理サービスFuelのデフォルトOSとして)。またOpenStackのノードを動かす環境としては、Ubuntuが使われている。しかしMirantisの最新バージョンでは、OpenStackのコンピューティングノードとしてRed Hat Enterprise Linuxを使えるし、オープンソースのFuelツールもRHELを使っている。ただし、これらの公式サポートはまだだ。

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OpenStackがもうすぐKubernetesを利用してコンテナ内で動くようになる…Google, Intelなど主要プレーヤーが尽力

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企業等がAWS的なクラウドコンピューティングサービスを自分のデータセンターで動かせるためのオープンソースのプロジェクトOpenStackが、最近の数回のアップデートを経てコンテナのサポートを加えてきた。しかし、OpenStackそのものをコンテナで動かす、となると、別の話だ。CoreOSはStackanetesという奇妙な名前のプロジェクトで、OpenStackをコンテナに入れて動かすための環境を作ったが、それはOpenStackのコミュニティやOpenStackの中核的なデプロイおよび管理のためのツールの、外部で起きたことだ。

しかしもうすぐ、Mirantis, GoogleおよびIntelなどの尽力で、デプロイメントツールOpenStack Fuelが、CoreOSの〜〜netesの場合と同じく、KubernetesをOpenStackのオーケストレーションエンジンとして使えるようになる。理想としては、これにより、OpenStackの大規模なデプロイメントの管理が容易になるだろう。

MirantisのCMO Boris Renskiはこう語る: “コンテナのイメージフォーマットとしてはDockerが、そしてコンテナのオーケストレーションではKubernetesが今やスタンダードだから、分散アプリケーションのオペレーションにやっと継続性が見えてきた。KubernetesとFuelの組み合わせでOpenStackの新しいデリバリモデルが開かれ、それによりアップデートをより迅速にこなして、顧客に結果を早く届けられる”。

これは、もうすぐOpenStackをGoogleのクラウド上のコンテナで動かせるようになる、という意味でもある。というか、Kubernetesをサポートしているクラウドサービスならどこでも…。

Googleの上級プロダクトマネージャーでKubernetesプロジェクトのファウンダーの一人でもあったCraig McLuckieは今日の発表声明で、こう述べる: “FuelでKubernetesを利用すればOpenStackが本格的なマイクロサービスアプリケーションになり、レガシーのインフラストラクチャソフトウェアと次世代のアプリケーション開発とのあいだのギャップを橋渡しする。コンテナと高度なクラスタ管理を、障害に強くスケーラビリティの高いインフラストラクチャの基盤として利用すれば、多くの企業が大きな利得を得るだろう”。

Mirantisのチームは以前、IntelやCoreOSとともにStackanetesを手がけたことがあり、そのときの経験や見聞が今回の新しいプロジェクトにとって実質的に概念実証になっている。“今日(米国時間7/25)発表したGoogleやIntelとのイニシアチブでもCoreOSとのコラボレーションを継続し、Stackanetesに見られるものの一部を取り入れたい”、とMirantisのスポークスパーソンは語った。

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Crayの最新のスーパーコンピューターはOpenStackを搭載してオープンソースのビッグデータツールを動かす

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Crayといえば、スピードとパワーをつねに連想するが、同社の最新の計算怪物Cray Urika-GX systemは、ビッグデータのワークロード専用に設計されている。

しかも、そのベースシステムはオープンソースのクラウドプラットホームOpenStackで、その上でビッグデータを処理するHadoopやSparkなどのツールが仕事をする。

Seymour CrayがCray社を立ち上げたのは70年代の初頭だが、その後のコンピューティングの進化を同社はよく認識している。作っているのは相変わらずハイパワーのコンピューターだが、今ではクラウドコンピューティングという強敵がいる。人びとはコンピューターを買わずに、その都度必要なぶんだけ利用して、料金を払う。

そんな強敵と戦うためにUrkia-GXは2ソケットのIntel® Xeon® v4(Broadwell)を16〜48ノード搭載し、そのコア数は最大で1728、DRAMは最大で22TBを持つ。ストレージは35TB PCIe SSDと192TBのハードディスクを、ローカルストレージとして持つ。

しかも同機はCray特有の高速マシンであるだけでなく、差別化要因として、顧客企業が求めるビッグデータ処理ソフトウェアの完全セットアップサービスがつく。HadoopやSparkだけでなく、顧客が求めるものは何でもインストールし、構成し、実働状態にしてから納品する。

また、同社独自のグラフデータベースCray Graph Engineを標準で搭載する。それは複雑なビッグデータ分析において、既存のグラフソリューションの10倍から100倍は速いそうだ。グラフというデータ構造はいろんなものを複雑に結びつけたり比較する処理に適していて、たとえばeコマースのサイトでは顧客が買った物と似たものを見つけたり、逆にそんな物が好きな友だちをソーシャルネットワーク上に見つけたりという、複雑な関係操作が得意だ。

今クラウドに人気があるのは、ITの面倒な部分をすべてクラウドベンダが肩代わりしてくれるからだ。そのことを認識しているCrayは、クラウド上のSaaSではなく、オンプレミスのSaaS、ソフトウェアのインストールから構成〜実働までのすべての面倒を見るサービスに徹しようとしている。それは、Urika-GXとビッグデータ分析に関して、上で述べたとおりだ。しかもソフトウェアのアップデートも、半年ごとにCrayがすべてやってくれる。

顧客が日常使うのはシステムの最上層のアプリケーションだが、その下の部分は顧客企業のIT部門を手伝いながら主にCrayが担当する。ソフトウェアのメンテナンスのお世話をする、という言葉は単純だが、顧客が上の方の、Crayがせっかくインストールしたソフトウェアの上で黙って勝手なことをして、おかしなことになっても、その修復がCrayの仕事になるから、たいへんだ。

でもCrayのプロダクト担当SVP Ryan Waiteによると、同社は顧客と一緒に仕事をしていく歴史が長いから、どんなにわかりにくい問題が生じても十分対応できるそうだ。

費用についてWaiteは、そのほかのビッグデータ処理ソリューションとそれほど変わらない、と言う。みんなが考えるほど、高くはない、と。ということは、Crayコンピューターの数百万ドルというプライスタグは、すでに過去のものか。彼によると、価格はハードウェアとソフトウェアの組み合わせ次第で変動幅が大きい、という。言い換えると、顧客のニーズ次第、ということだ。

というわけで、まだ表面的なことしか分からないが、Crayが今でも強力なコンピューターのプロバイダであることは確実だ。かつてのギークたちの夢は、どっこい、まだ生きていた。

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CoreOSのStackanetesを使えばOpenStackのコンテナをKubernetesで管理運用できる

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オースチンで行われているOpenStack Summitで今日(米国時間4/26)CoreOSが、OpenStackと、Googleのコンテナ管理サービスKubernetesを共用できるシステムStackanetesを発表した。OpenStackとKubernetesはともにオープンソースのソフトウェアで、前者OpenStackは、企業がそれを使ってAWS的なクラウドコンピューティングサービスを自己のプライベートな、あるいはパブリックなクラウドで運用できる。Stackanetes(そう、あまり良い名前ではないかもしれない*)を利用すると、Kubernetesで管理されるOpenStackソリューションを、Kubernetes単独、またはCoreOSのTectonicプラットホーム上で動かせる。〔*: Stackanetesの’netes’はたぶん、Kubernetesの’netes’。〕

OpenStackプロジェクトは、Dockerの成功でコンテナの人気が盛り上がるよりも以前にスタートした。最初、OpenStackとコンテナという二つの技術は同じ市場を争う、と思われていたが、しかし実際には両者は相補的な関係にあることが分かってきた。CoreOSは最初、コンテナを作って動かすことを主眼とする同社の軽量Linuxディストリビューション(CoreOS)に力を入れてきたが、その後、同社独自のコンテナ管理プラットホームTectonicを立ち上げた。

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そしてこれからは、Tectonicの上でOpenStackのクラウドを運用し管理することができる。CoreOSの仕事はすべてGitHubのレポジトリにあるので、CoreOSのユーザーであれば誰でもTectonicを使える。特別の会員登録などは、要らない。Tectonicを介さずに直接Kubernetes + OpenStackを使うこともできるが、その場合は、今日のデモで示されたように、コマンドラインからの操作になる。

Kubernetes自身がいわゆる自然治癒(self-healing)のためのツールセットを提供しているから、そこからOpenStackのHorizonダッシュボードを自動的にリスタートしたり、そのほかのダウンしたOpenStackコンポーネントを再起動したりできる。またもちろん、デプロイメントのスケールアップ/ダウンもできる。

CoreOSの協同ファウンダーでCEOのAlex Polviによると、重要なのはOpenStackが単なるソフトウェアである、という認識だ。同社のチームは3週間でこのサービスを構築し、今日それをGitHub上でリリースする。このやり方でOpenStackをデプロイすれば、OpenStackのサービスのライフサイクル管理が容易になり、OpenStackとコンテナの両者をデプロイするための単一のプラットホームが提供される、とCoreOSは主張する。そして、この構造の中でいつでも、OpenStackの上にKubernetesをデプロイできる。

Polviによると、結局のところ今回の仕事(Stackanetes)も、CoreOSの全体的なミッションの一環だ。すなわち、インターネットの安全を確保し、そしてGoogleのインフラストラクチャ(Polviの造語ではGIFEE)を誰もが利用できるようにすることだ。

OpenStack FoundationのCOO Mark Collierはこう語る: “Kubernetesの実力は、OpenStackコミュニティの一員として体験的によく知っている。最近行ったユーザー調査でも、KubernetesはOpenStackのクラウド上でアプリケーションを管理する方法として人気がある。今回CoreOSがKubernetesとOpenStackの両コミュニティを結びつけ、同社の広範なコンテナ専門技術/知識を寄与貢献してくれることは、非常に喜ばしい”。

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クラウド管理者の需給ギャップを解消するためにOpenStack Foundationが公式の技能検定試験とそのための準備の機会を提供開始

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今や誰もが知っているように、優秀な技術者を見つけるのは相変わらず難しい。OpenStackクラウドの管理のような、複雑で高度に専門的な技能となると、なおさらだ。そこでOpenStack Foundationは今日(米国時間4/25)、人材の社会的在庫を増やし、またITのアドミンたちが自分のOpenStackスキルを実証できるためのプログラム、OpenStackアドミニストレーターの技能検定事業を、オースチンで行われているデベロッパーサミットで初めて立ち上げた。

OpenStack Foundationの理事長Jonathan Bryceが、今日の発表声明でこう述べている: “テクノロジーの大きな変化が起きるときはいつもそうだが、クラウドコンピューティングも企業に、技術者の技能再習得と、企業文化および業務過程の再定義を要請している”。検定試験に合格した、有資格のOpenStackアドミニストレーターが多数輩出するようになれば、OpenStackを採用した企業や団体におけるクラウドアドミニストレーターの需要が満たされ、順調に成長していけるだろう。

最初の試験は、今週のOpenStackカンファレンスで行われる。OpenStack Foundationが言ってるように、LinkedInは最近、”Cloud Computing”を”hottest global skill of 2015(2015年において需要がトップだったスキル)に掲げた。またIndeedのデータによると、OpenStackの求人数は2015年に前年比で倍増した。

OpenStack Foundationは、試験のための準備と試験の開催の両方を提供していくために、Canonical, Hewlett Packard Enterprise, Linux Academy, Linux Foundation, Midokura, Mirantis, PLUMgrid, Rackspace, およびSUSEなどとパートナーした。

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Rackspaceが同社のプライベートクラウドの顧客のためのモニタリングツールとしてAppFormixを選ぶ

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Rackspaceが今日(米国時間4/25)、AppFormixとのパートナーシップを発表し、同社のOpenStackによるプライベートクラウドの顧客に、AppFormixのクラウドモニタリングとパフォーマンス最適化ツールを提供していくことになった。

このパートナーシップによりRackspaceはAppFormixのツールをライセンスし、Rackspaceを利用して自分たちのクラウドを管理しているプライベートクラウドの顧客全員に提供する。それによりR社の顧客はA社のリアルタイムモニタリング、アナリティクス、および最適化ツールにアクセスでき、またR社の技術者も、これらのツールを利用して顧客のクラウドを管理する。

Rackspaceにとって、これはやや異例な動きである。従来、同社のクラウド事業の技術的側面を管理するツールは、同社自身が作るのが通例だった…なんといってもRackspaceは、NASAと共に、OpenStackプロジェクトの創始者だ。Rackspaceのプロダクト管理担当シニアディレクターBryan Thompsonに、なぜ同社のOpenStack Private Cloudビジネスのために、ツールの内製でなくAppFormixを選んだのか、尋ねてみた。

彼は、最初は内製するつもりだったが、“AppFormixにはクラウドツール専門のチームがいた。チームと面談した結果、彼らがたいへん有能であることを知った。われわれがこれまでやろうとしていたことと、相性がとても良い。ツール作りに関しては、彼らにまかせた方が早い、と感じた”、と答えた。

それは、大企業がスタートアップを買収するときのよくある理由付けであり、Thompsonによると、内製よりも買収を選んだことで機嫌を損ねた社員も一部にはいるそうだ。

AppFormixのCEOでファウンダーのSumeet Singhによると、同社は必ずしもOpenStackオンリーの企業ではない。Googleが育てたコンテナ管理ツールKubernetesも、もちろんサポートしている。そして今では、KubernetesとOpenStackの併用は円滑にできるし、とくに問題はない、と。

AppFormixは昨年、August Capital率いるシリーズAのラウンドで700万ドルを調達し、すでにIntelなどとのパートナーシップにより、多くの顧客に同社のサービスを提供している。

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OpenStackの第13リリースMitakaは大企業のプロダクションユースの増加に対応して管理性とユーザー体験に注力

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OpenStack Foundationが今日(米国時間4/7)、そのオープンソースのエンタープライズクラウドプラットホームの13回目のリリース、Mitakaをローンチした。

多くの点でこの新しいリリースは、2010年にRackspaceとNASAから孵化したこのプロジェクトの、さらなる成長ぶりを見せている。重要な機能を新たにたくさん加えることよりも(今回も多いことは多いが)、焦点はこのプラットホームをクラウドの運用者にとって管理しやすくすることと、全体的なユーザー体験の改良に置かれている。

“焦点の置きどころを変えたのは、ほぼ2年前ぐらいから、大企業や大きな組織がOpenStackを彼らのITの最前線で使い始めているからだ”、とOpenStack FoundationのCOO Mark Collierは語る。

そういう大型ユーザー、AT&TやComcast、SAP、Time Warnerなどは、デプロイが容易であることを強く求める。どう転んでもOpenStackが相当複雑なプロジェクトであることに変わりはないから、ユーザーはまず、デプロイに関してさまざまな意思決定を迫られる。そう強調するCollierによると、そのため今では、このプラットホームのコアなコンポーネントはなるべくデフォルトの設定で行けるようにして、ユーザー元におけるセットアップや構成の努力を省力化している。それらのデフォルトは、OpenStackの大型ユーザーの多くが開発してきたベストプラクティスに基づいている。そのひとつの例であるOpenStackの”Keystone“アイデンティティサービスは、アドミニストレーターがActive Directoryなどのアイデンティティサービスを統合でき、またセットアップのプロセスを単純化している。

さらにCollierによると、この新しいリリースはユーザー体験の改良にも力を入れ、デベロッパーがOpenStack用のより良質なアプリケーションを書けるようにしている。たとえばデベロッパーは、これからはOpenStackの統一化クライアントを利用できるので、ワンセットの呼び出しでプラットホーム上にさまざまなリソースを作ることができる。今回のMitakaリリースはSDKもアップデートし、デベロッパーがOpenStackの”Neutron”ネットワーキングスタックをずっと容易に使えるようにしている(その一部はまだ開発途上ではあるが)。

ここ数年の動きの中でCollierにとってとくに意外だったのは、多くの通信企業が今では、ネットワーク機能のソフトウェアによる仮想化を採用するためのデファクトの方法としてOpenStackを利用し、これまでのようにプロプライエタリで高度に専用機化されているハードウェアを使わずに、情報のルーティングを行っていることだ。とくに彼が注目したのは、たとえば今のAT&Tの顧客は、電話をかけるたびに、なんらかの形でOpenStackに触(さわ)っている可能性が高いことだ。AT&T以外にも、Deutsche Telekom, Telefonica, (AOLとTechCrunchの親会社)Verizonなどの著名企業が、今やOpenStackのユーザーだ。

Collierがもうひとつ強調するのは、OpenStackに対する関心の多くが、これまでは、それをプライベートクラウドの構築に利用している企業に由来していたが、しかし今では、とくにアジアとヨーロッパで、OpenStackをパブリッククラウドのデプロイに使用している企業もたくさんあることだ。ただし合衆国は、まだそこまで行っていない。DreamHostやRackspaceなど、OpenStackによるパブリッククラウドに力を入れているところも少なくはないが、ユーザー数で言えばAWSが圧倒的に大きいのだ。

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