Ophoneは、匂いの出るスマートフォン

交響曲の匂いを嗅げますか? もし、Le Laboratoireの思い通りになれば、もうすぐできるだろう。教育者で科学者のDavid Edwardsが2007年に設立した現代アートとデザインの会社が、今週ロンドンで行われたWired 2013イベントに登場し、最新の作品を披露した。それは誰も見たことのない嗅覚体験だ。メールやインスタントメッセージのように匂いがデジタル配信される。

Edwardsはかつての教え子Rachel Fieldと共に、はるかに洗練されたOphoneプロトタイプ第2弾を発表した。円筒形装置の中には様々な化学薬品が入れられている。その名が示すように、これはある意味で “phone” だが、iPhoneのように音声を送受信することはできない。Ophoneはどんな匂いを再生するかを指示するコード化データを受取る。

もちろんタイプミスではない。プロトタイプのしくみはこうだ。まずウェブサイトに行って「交響曲」の「楽章」番号を入力し、コーヒーの種類を選ぶ。次にチョコレート、次にキャラメル、最後にナッツの種類を選ぶ。これをOphoneのサーバーに送ると、デバイスを制御するスマートフォンが受信し、レシピをBluetooth経由でOphoneに送る。Ophoneは指示に従って材料を調合し、匂いを作り出す。

この体験は、匂いと味に関する最新の体験であり、Edwardsは嗅覚プロセスのしくみを、音楽や文章その他あらゆる手段と並ぶコミュニケーション方法の一つにするべく、探究を続けるつもりだ。すでに同社は、コーヒーなどを少量ふりかけるためのカプセルを提供している。材料は超微細粉末になっていて、機内持ち込みが可能で、旅行、税関でも全く問題ない。

Edwardsの考える将来のもっと大きな構想は、嗅覚データの配信機構があらゆる端末に内蔵され、携帯電話、テレビリモコン、その他あらゆるものから〈一嗅ぎの匂い〉を発せられるようにすることだ。同社は今後さらに時間をかけて製品を洗練し、Ophone型装置の量産することを目標にしている。

「今後数年間、誰もがこの小さなチップを持つ世界へと進むことは間違いない。これは世界共通であり、何種類の物質でも扱える。携帯電話のケースや、デスク、あるいは服の中などに入れておけば、あらゆるコミュニケーション、電話、メール、ウェブサイト、あるいはジェームス・ボンドの映画でも、何か嗅覚にうったえる要素のあるものがあれば、その匂いを嗅ぐことができる」

Ophoneは、現時点でビジョンの最先端を行っている。私がこれまで見てきた、匂いつき映画などと比べてはるかに良くできている。それは、これが並外れて繊細で、並外れてパーソナルだからだ。匂いの霧を漂わせる必要もない。嗅覚体験をやめたければ、顔を離すだけですぐに匂いは消える。

現在Ophoneは、最大320種類の匂いを作ることが可能で、体験するためのUI作りが彼らの課題だ。Fieldは、交響曲や匂いの基本セットは、とっつきやすい方法として考えたが、実際には驚くほど柔軟性があるので、一般提供できるようになったら人々がこれで何をするかを見るのが楽しみだと言っていた。Philips HueのLEDライティングで今起きているのと同じように、様々な「匂いレシピ」や「匂いアプリ」が作られる状況は容易に想像できる。

匂いに基づくメディアデバイスの概念は新しいものではなく、これまでにテレビからゲームにいたるまで、あらゆるも場面に適用されてきた。しかしOphoneとLe Laboratoireの壮大なビジョンは、嗅覚テクノロジーのるかに広大な応用を見据えている。まだまだSFの世界ではあるが、かつての発煙機から悪臭が発射されてくる方式より、この方がずっと趣味がいいし消費者向けだ。

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(翻訳:Nob Takahashi)