Netflixの『スペース・フォース』の予告第1弾が公開、『The Office』のスティーヴ・カレルが主演

Netflix(ネットフリックス)は、米軍をパロディ風に描いた最新シリーズ『Space Force(スペース・フォース)』の最初のトレーラーを公開した。このプロジェクトは、宇宙に焦点を当てた軍種が公式発表された直後に公開されたもので、実際の米国宇宙軍が発足したばかりであるにも関わらず、このように短期間のうちに洗練された作品のトレーラーが公開されたのは、非常に印象的だ。

シリーズは5月29日(ちょうど、NASAとSpaceXが初の民間宇宙船によるデモ飛行を行い、有人宇宙飛行を再開する予定日の2日後)から始まり、Steve Carell(スティーヴ・カレル)や John Malkovich(ジョン・マルコヴィッチ)、Diana Silvers(ダイアナ・シルバー)、Tawny Newsome(タウニー・ニューサム)、Lisa Kudrow(リサ・クドロウ)、Ben Schwartz(ベン・シュワルツ)が出演する。もしこのトレーラーから 『The Office(ジ・オフィス)』のような雰囲気を明らかに感じたら、それには正しい。同シリーズのクリエーターとなるGreg Daniels(グレッグ・ダニエルズ)を含め、クリエイティブチームの多くが『Space Force』に関わっている。

この雰囲気からこのシリーズを『The Office but with space army』と表現したくなるが、それはスティーヴ・カレルとMicheal Scott(マイケル・スコット)が演じる登場人物がしゃべっているとことから強力に連想させられるだけだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Virgin GalacticとNASAが共同で2点間移動用の超音速機を開発へ

Virgin Galactic(バージン・ギャラクティック)は、米国時間5月5日にNASAとの新しい提携契約を公表した。地球上の2点間移動のための高速航空機の開発が目的だ。NASAはこれまでも、超音速航空機の開発を独自に行ってきた。Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)が製造した低衝撃波の超音速試験機X-59はその1つだが、今回のVirgin Galacticとその子会社The Spaceship Company(ザ・スペースシップ・カンパニー)との新たな提携契約では、特に持続可能な高速移動技術を民間および商用航空に適用する道を探る。

Virgin Galacticは、このプロジェクトで幸先のいいスタートが切れると確信している。その理由の筆頭に挙げられるのが、現在が保有している航空機の開発、エンジニアリング、試験飛行を行ってきた実績だ。同社にはWhiteKnightTwo(ホワイトナイトトゥー)母機や、その母機から発射されて大気圏と宇宙の境目まで到達できる有翼宇宙船SpaceShipTwo(スペースシップトゥー)がある。Virgin Galacticのシステムは、通常の滑走路から離陸しまたそこへ着陸できるように構成されている。ロケット推進式のSpaceShipTwoは、地球の大気圏と宇宙との境目をかすめて飛行でき、商用宇宙観光として客を乗せ、感動的な眺めや短時間の無重力体験を提供することになっている。

実際、Virgin Galacticの技術は2点間高速移動に最適なように思える。おそらくSpaceX(スペースエックス)とその建造中のStarship(スターシップ)を使った野心的な計画の数々によって一般に認知されるようになった2点間移動は、超高速で地球上の2点をつなぐという考え方だが、大気圏の非常に高い(現在の民間航空路線の高度よりもずっと高い)ところか、もしかしたら宇宙空間を通ることになる。高高度を飛行するのは、空気が薄く空気抵抗も低いために超高速で飛行できるからだ。例えば国際宇宙ステーションは、地球の周回軌道を90分で1周している。

SpaceXによると、Starshipならニューヨークから上海までの移動はわずか40分だという。今の飛行機なら16時間かかる。Virgin GalacticもNASAも、まだまだ所要時間を語れるような段階には至っていないが、単純に比較するならばSpaceShipTwoの最高速度はおよそ時速4000kmなのに対して、ボーイング747はおよそ988kmだ。

Virgin GalacticとNASAのこの新しい提携は、米国Space Act Agreement(宇宙法協定)に基づくものだ。これはそのさまざまな目標、ミッション、計画指令の達成に役立つとNASAが判断した団体の協力を得るためにNASAが利用するという形の協定だ。具体的にどんなものになるかを想像するのは時期尚早だが、Virgin Galacticはその広報資料の中で「乗客の満足度と環境への責任にを重視した、次世代の安全で効率的な高速航空移動のための航空機の開発を目指す」と述べている。そしてそれは「業界のパートナーたち」との共同で行われるとのことだ。

画像クレジット:Mark Greenberg / Virgin Galactic / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

中国が新型の長征5号Bロケットで次世代乗員カプセルのデモ飛行

中国が新型の長征5号Bロケットを利用した、次世代宇宙船の実証ミッションを打ち上げた。これは、中国の次世代宇宙ステーションの部品の打ち上げにも使用される、新型の長征ロケットの最初の打ち上げでもある。

今回のミッションでは、中国で最新のロケット射場となる文昌(ウェンチャン)から、乗員を乗せない宇宙船が打ち上げられた。長征5号Bは推進力を高める4つのブースターを装備した10基のエンジンを搭載したロケットで、中国にとってこれまでで最も強力なロケットだ。このロケットは第2段がなく、大型のペイロードを地球低軌道に運ぶために特別に設計されている。これはまさに、同国が2022年までの建設を計画している宇宙ステーションの組み立てに必要なものだ。

乗員カプセルは低軌道で短期間の実証ミッションを行うが、現時点では飛行証明の準備段階だ。最終的には、軌道上の宇宙ステーションとランデブーし宇宙飛行士を送り込むために中国が現在使用している宇宙船の神舟と代わることになる。現在は3人乗りだが、最終的には一度に最大6人を輸送することができ、また最終的には月まで宇宙飛行士を運ぶことも可能になる。

これは中国の宇宙開発にとって重要なミッションであり、現在進行中のNASAによる商業有人ミッションと比較すると興味深い。アメリカは5月27日にSpaceX(スペースX)の商業宇宙船が宇宙飛行士を乗せて初のデモ打ち上げを行うという、大きなマイルストーンに近づいている。また同社のCrew Dragonは、構成によって最大7人の乗員を輸送できる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXはStarship試作機の最後の重要なテストに合格し初飛行へ

SpaceXは、次世代型ロケットStarship(スターシップ)の開発を始めてずいぶんになるが、テキサス州ボカチカで建造中の大型プロトタイプは、これまで「クライオ」と呼ばれる重要なテストになると決まって致命的なエラーに見舞われてきた。これは、宇宙の真空を再現した状態で燃料タンクに最大圧力で燃料を満たすというものだ。だが最新のプロトタイプSN4(シリアルナンバー4という意味)はこのテストに合格し、エンジン点火テスト、そしてそれに続く短距離飛行へと道が開かれた。

SpaceXのSN4プロトタイプは、同社が当初、新型Raptor(ラプター)エンジンの性能を披露するためだけに飛ばした小型の実験機Starhopper(スターホッパー)とは異なり、最終的なロケットの形に近い姿をしている。SN4もStarhopperと同じく、Raptorエンジンを1基だけ搭載していて、実験目的の短距離飛行が可能だ。次期バージョンのSN5は、SpaceXのCEOで創設者のElon Musk(イーロン・マスク)氏によると、Raptorエンジンを3基搭載し、実際に運用に使われる機体に搭載予定の6基には及ばないものの、軌道に載るデモ飛行に備えた長距離飛行が可能だという。

新しいロケットや打ち上げシステムのテストと開発には、どうしてもトラブルが付きまとう。世界中のどのシミュレーションも、現実の使用条件や物理法則を完全に再現できないからだ。しかし、これまでのStarshipのクライオ試験の段階での失敗は、もっと初歩的な問題によるものなのではないかと彼らは考えるようになった。結局それが、SN1からSN3までを失敗に追い込んだ原因だった。

これでSpaceXは、プロトタイプに搭載した形でRaptorエンジンの地上点火テストが行えるようになり、早ければ今週末にも実施される。その後は、高度150メートルほどの飛行が予定されている。これはStarhopperが実証飛行したときと同じ高さだ。もちろん、軌道までの距離からすれば足下にも及ばないが、これは実物大のロケットが低空でどのように挙動するかを確かめるためのものであり、高高度まで飛行できる、さらには軌道にのることができるプロトタイプの開発につながる鍵をSpaceXに渡すものとなるのだ。

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(翻訳:金井哲夫)

提携拡大でNASAが出資するプログラムにおけるPlanetの衛星画像を地球科学者が利用可能に

NASAとPlanet(プラネット)はパイロットパートナーシップを成功させた。その結果、同宇宙機関はPlanetとの契約を延長し、Planetの地球観測衛星の画像をNASAが出資するすべての研究プログラムに提供することになった。NASAは2019年4月に、Essential Climate Variables(ECV)の追跡に取り組む35人の研究者チームに同社の画像を提供する、最初の契約をPlanetと結んでいる。

ECVのトライアルではPlanetの画像が、ヒマラヤでの山崩れなど地球上のさまざまな環境現象を追跡し、洞察を得るのに役立つことが示された。研究者たちが早期警告の兆候を検出する上で重要な要素の1つは、Planetのコンステレーションの高い再訪率、つまり特定の地域を撮影する頻度だった。

Planetのデータは地球全体を少なくとも1日に1回はカバーしており、これには北極のような他の衛星による地球観測範囲にない地域も含まれている。その頻度とカバーする範囲、詳細さは地球科学にかかわるすべての人にとって貴重なリソースとなり、また数十以上のプロジェクトに関わる何百人もの科学者が利用できるようになったことを意味する。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Rocket Labが使い捨てElectronロケットのヘリでの空中キャッチに成功

Rocket Labは使い捨て用に設計されたたロケットを降下中に回収する方法を開発している。米国時間4月7日、同社は空中捕捉プロセスのカギとなる部分を実証するためのテストに成功したと発表した。予告なしに公開された動画にはヘリコプターがElectronロケットを空中でキャッチするところが撮影されている。

ロケットは打ち上げ後、大気圏外で衛星を搭載したキックステージ段を切り離し、大気圏に再突入する。回収プロセスのカギはElectronの1段目に誘導システムを搭載して操縦する点にある。これによって再突入角を調整し、1段目が大気との摩擦で損傷することを防ぐ。その後、1段目はパラシュートを展開して降下する。ヘリコプターが降下するロケットを空中でキャッチし、機体から吊り下げてRocket Labの発射基地に戻る。

今回公開されたRocket Lab空中キャッチのテストは、新型コロナウイルス(COVID-19)の流行にともなう社会的隔離の実行が要請される前の3月に実施されたものだ。同社はElectronの1段目と形状、重量が同等のダミーを使い、ニュージーランド沖の洋上でヘリコプターから落下させた。1段目がパラシュートを展開すると2機目のヘリコプターが落下地点に急行し、高度約1500メートルでダミーをキャッチした。

Rocket Labは再突入部分の回収システムのテスト2019年12月に開始していた。打ち上げテストを2019年12月と2020年1月に行っている。どちらの打ち上げでもロケットには誘導とナビゲーションのシステムが搭載され、データが収集された。2度目の打ち上げではロケットには、大気圏への再突入角度を調整して降下速度を遅くするシステムも搭載されていた。

重要なプロセスが意図した通りに機能することが証明されたため、実際に第1段を回収するという次のステップに進むことになったわけだ。Rocket Labではさらに次のステップとして第1段を実際に操縦し、パラシュートを展開させるテストを2020年後半に予定している。ただしこのテストでは空中キャッチは行われない。Rocket Labでは1段目を着水させた後、洋上で回収する計画だ。ロケットは地上施設に戻され、再利用可能な状態に整備される。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

スペースXの最新Starship試作機が圧力テストに失敗

まったく新しい宇宙船を設計、テストし建造するプロセスは確かに困難で、いくつかの問題に直面するに違いないものだ。SpaceX(スペースX)が建造する、完全に再使用可能な巨大宇宙船であるStarshipも例外ではない。「SN3」と名付けられた最新のStarshipのプロトタイプは、試験飛行中に宇宙船が体験する圧力をシミュレートするための極低温実証試験の最中に、致命的な失敗を起こしてしまった。

SpaceXの最初のプロトタイプであるMk1も、燃料タンクの圧力試験中に破壊され、次のフルスケールのプロトタイプであるSN1も、2月下旬の圧力試験中に破壊された。もう1つのプロトタイプであるSN2は、極低温試験のために簡素化され極低温試験を通過したが、次のフルスケールのプロトタイプであるSN3は、テキサス州ボカチカにあるSpaceXの発射台での極低温試験中に再び失敗した。

NASAspaceflightのMary(@BocaChicaGal)によるYouTube動画では、極低温圧力テストの最中にSN3型の機体が崩れる瞬間を確認できるが、このプロトタイプを作り直して再利用することはおそらくないだろう。当初の計画では、SN4を高高度飛行用のプロトタイプにすることになっていたが、今回の試験結果を考えるとその可能性は低い。

スペースXの創設者かつCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は、SN3の失敗は宇宙船自体の問題ではなく「テスト設定のミスだった可能性がある」とTwitterで語った。マスク氏は、午前中に一度だけデータレビューを受けると述べている。

これは確かに後退ではあるが、宇宙船開発では珍しいものではない。スペースXはこれまでの開発プログラムで成功を収めており、その中にはStarshipや最終的にはSuper Heavyブースターの推進力に使用されるRaptorエンジンの基本性能を証明した「Starhopper」のサブスケールプロトタイプのテストも含まれている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXの有人運用1号機にJAXAの野口聡一宇宙飛行士が搭乗

SpaceXは宇宙飛行士が搭乗する最初のフライトDemo-2の準備に取り組んでいる。厳密にいうと、これはCrew Dragonカプセルが正規ミッションとして飛行開始することが正式に認可される前に必要とされる最後のデモミッションとなる。

画像クレジット:SpaceX

Demo-2ミッションの範囲は多少調整され、宇宙飛行士のBob Behnken(ボブ・ベンキン)氏とDoug Hurley(ダグ・ハーレー)氏が、国際宇宙ステーションで実際にシフト任務を行うことになった。それでもCrew-1が、SpaceXの有人型宇宙船の公式な最初の運用ミッションであることに違いはない。今回、そこに誰が搭乗することになるのか、さらに詳しい情報を得ることができた。

日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)は、JAXA所属の宇宙飛行士、野口聡一氏がCrew Dragonミッションが正式に運用を開始し次第、その1号機に搭乗すると発表した。またJAXAは3月31日に、野口氏がISSに向かうためのトレーニングを開始したことも明らかにしている。同氏はこれまでに2回、別のミッションでISSに滞在した経験を持つ。最近ではロシアのソユーズで宇宙に向かい、2009年から2010年にかけて滞在した。それ以前にも2005年にはスペースシャトル・ディスカバリーに搭乗し、宇宙ステーションの組み立てに携わっている。

SpaceXとNASAは現在、Demo-1を準備している。すでに報じられているようにDemo-1には、2人のNASAの宇宙飛行士が搭乗する。現在の計画からスケジュールに変更がなければ、5月中旬から下旬には発射される予定だ。それが成功すれば、乗組員4人を運ぶことができるCrew-1のミッションが、2020年の後半には開始される予定となっている。

Crew-1には野口さんのほか、NASAの宇宙飛行士としてMike Hopkins(マイク・ホプキンス)、Victor Glover(ビクター・グローバー)の両氏、そしてNASAが米国時間3月31日にチームの新メンバーとして発表したShannon Walker(シャノン・ウォーカー)氏が搭乗することになる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

米宇宙軍のスペース・フェンス衛星追跡システムが正式運用開始

米国宇宙軍は新しい軍だが、そのリソースの中にはすでに稼働しているものがある。USSF(米国宇宙軍)は先週後半、スペース・フェンスと呼ばれるレーダーシステムが正式に運用可能になったことを発表した。ちょっと奇抜な呼び方だが「スペース・フェンス」というのが間違いなく正式な名称だ。スペース・フェンスはレーダーシステムで商用衛星、軍事衛星、宇宙ゴミなど軌道上の物体を精密にモニターする。

スペース・フェンスの主要システムは太平洋のマーシャル諸島にあるクェゼリン環礁に置かれ、現在、「初期運用・システム受け入れ」の段階にある。現行の宇宙監視ネットワーク(SSN)は2万6000個の軌道上物体を追跡しているが、新しいスペース・フェンスは独自の機能追加によりSSNのモニター能力を大きく拡大するとUSSFは期待している。

地球低軌道上の物体を詳細に追跡するためにロッキード・マーティンが開発したレーダーシステムは、最終的にはビー玉サイズの物体を認識できるようになるという。このレベルの観測能力があれば、軌道上にあるほとんどの物体のカタログを作ることができる。これには観測衛星、通信生成、軍事衛星(可能なものも含む)などあらゆる軌道上のアイテムが含まれるはずだ。

状況を正確に把握することは、軍にとって作戦を成功させるためのカギとなる。スペース・フェンスが正式に稼働することは宇宙軍にとって大きな一歩となる。先週、宇宙軍として最初の衛星打ち上げが行われた。これは米国軍の作戦にミリ波帯域で安全性の高いコミュニケーションを提供する先進EHF通信衛星システムを構成する衛星の6基目だった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Starlinerの二度目のエラーでNASAがボーイングのソフトウェア工程の見直しを要求

NASAのAerospace Safety Advisory Panel(ASAP、航空宇宙安全諮問委員会)は、12月に行われたCST-100 Starliner(スターライナー)の宇宙ステーションとの無人ドッキングテストで発見された二度目の問題を受けて、Boeing(ボーイング)のソフトウェア試験工程の見直しを推奨した。そのときStarlinerは計画どおりに宇宙ステーションと連結できなかったのだが、それは、ミッションのタイマーのエラーでカプセルが、多すぎる燃料を早すぎるタイミングで燃焼したためだった。

米国時間2月6日の会議でASAPのグループは、ミッションの過程でソフトウェアの第二の「異状」が見つかったことを明らかにした。Space Newsの記事によると、その異状はカプセルの飛行中に修正された。その問題が修正されずに見過ごされていたら、エンジンの誤噴射により「宇宙船の壊滅的な失態」に至っただろう、と顧問の一人Paul Hill氏がSpace Newsに語っている。

試験ミッションの間に起きた複数の問題を、今BoeingとNASAが調べている。両者が強調しているのは、その打ち上げはニューメキシコ州ホワイトサンズにおける大気圏突入と着陸に成功し、ISSに接続できなかったにもかかわらず、計画どおりの多くのテストを行えたことだ。

彼らの指摘によると、当時ミッションタイマーのそのエラーは、搭乗者に危険が及ぶものではなかった。しかしこの新たに発見されたエラーは、修正されなければ前のものよりも深刻だったと思われるが、カプセルの地球の大気圏への再突入の2時間前に修正された。

その結果顧問団は、Boeingのシステムエンジニアリングとソフトウェアインテグレーション、および検証試験の見直しを求めることになった。そしてそれが終了するまでは、有人無人を問わずいかなる本番打ち上げも試験飛行も行われない。12月の打ち上げに関して予定されていた次のステップも、すべてが延期になる。

顧問団によると、NASAはすでに「全社的安全性評価」を行うことを決めている。その評価は、昨年、同じく商用の有人事業であるSpaceXに対しても行われている。

そしてそのSpaceXは、顧問団によると、「近く有人飛行を行うことに関しては疑念のない段階に達しているが、正確な時期は未定」だそうだ。なかなか、心強いお言葉だ。なお、米国会計検査院が発表した、商用有人宇宙飛行に関する報告書は、最初の実用有人ミッションのためのCrew Dragonカプセルの納期が、最初のスケジュールよりも早くなった、と明かしている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Blue Originの準軌道打ち上げ機「New Shepard」が12回目の打ち上げで有人宇宙飛行の未来に少し近づく

Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が創業したBlue Originが、準軌道打ち上げ機であるNew Shepardのミッションに再度成功した。それは、人間の宇宙飛行のための宇宙船を目指す前段階として重要なステップだ。それはまた、この再利用型ブースターの6度目の飛行であり、同社の多段ロケットの信頼性と回収可能性の実証という点でBlue Originの新記録でもある。

Blue OriginがNew Shepardで商用荷重を運んだのはこれが9度目で、そのシステムは毎回少しずつ、実際にクルーを乗せられるレベルへと近づいていることが、デモンストレーションされた。今回の打ち上げは研究用の実験機器や、児童生徒たちの勉強で使われる教材を運んだ。それにまた、世界中の児童生徒たちが書いた数千枚のハガキも運んだ。それらの宛先は、Blue Originが学校と児童生徒たちに宇宙教育教材を提供する非営利団体として今年の初めに創ったClub for the Futureだ。

最終的にBlue Originは、New Shepardに有料の宇宙旅客を乗せて飛ばすつもりだ。ただしそれには、民間の宇宙飛行士が研究などの目的で同乗する。New Shepardの上部に搭載するBlue Originのカプセルは旅客定員が6名だが、テストにせよ商用のフライトにせよ、実際に人を乗せるのがいつになるかは、まだわからない。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

初の宇宙旅行会社Virgin Galacticが最初の乗客に対し宇宙飛行士準備事業を開始

Virgin Galactic(バージンギャラクティック)が、同社の「宇宙飛行士準備事業」(Astronaut Readiness Program)を開始した。それは最初、Under Armour(アンダーアーマー)のグローバル本社で行われる。Under ArmourはVirgin Galacticのパートナーとして、同社の宇宙飛行士が着る公式の宇宙制服を作っている。初めてお金を払って宇宙を旅する旅人たちは、同社の最初の地球外への旅でその宇宙服を着る。

宇宙飛行士準備事業は、Virgin Galacticの旅客が同社の軌道外宇宙船VSS Unityに乗って旅する前に必ず受けなければならない準備的課程だ。そこではVirgin Galacticのチームメンバーによるガイダンスと教育が行われる。先生はチーフ宇宙飛行士インストラクターであるBeth Moses(ベス・モーゼス)氏やチーフパイロットのDave Mackay(デイブ・マッケイ)氏らだ。この二人は、Virginが2月に行ったデモ飛行で宇宙へ行ったから、彼らの相当な量の経験と専門知識だけでなく、同社の有料宇宙観光客が乗るのと同じ実機に乗った経験に基づく知見もシェアできる。とくにモーゼス氏は、宇宙船の正しい乗り方も教えるだろう。

Under Armourは、旅客が着る宇宙服以外でも協力する。まず、宇宙飛行士は準備段階でどんな栄養を摂り、どんなフィットネスやって宇宙の旅とアドベンチャーに備えるべきか。これらに関しては、Virgin Galacticの専属医療チームも旅客に個別にコンサルする。Virginの顧客はNASAの宇宙飛行士のような厳しい肉体的フィットネスを強いられることはないが、でも同社によると旅路における旅客の健康と元気を確保することにはフォーカスする。

Virgin Galacticの初期の顧客は、ボルチモアで行われるこのような訓練プログラムに参加するだけでなく、今後同社がこのプロセスの開発と磨き上げを行なっていくための貴重なデータも提供する。

Virgin Galacticのプレスリリースはこう言っている: 「今週のボルチモアからのフィードバックを利用して、そのモデルをベースに構築していきたい。これまでも弊社は、宇宙飛行を待っている者と経験者の両方にとって、教育訓練とコミュニティのベストの形を共に議論してきた」。

同社のこのSpaceShipTwoには、すでに600名の顧客の搭乗申し込みがある。そのカーゴジェットをカスタマイズした軌道外宇宙機は、1人25万ドル(約2700万円)のチケットで90分の飛行を行う。有料顧客のためのその最初の飛行は、来年の前半を予定している。

画像クレジット: Virgin Galactic

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

三菱重工業のH-IIBロケット再打ち上げは9月24日を予定

先週、打ち上げ台上の火災でつまずいた三菱重工業(MHI)が再び、国際宇宙ステーションに備品などを運ぶ補給機HTV-8のミッションに挑戦する。打ち上げは当初9月11日を予定していたが、火災の後始末や原因調査などもあり、新たな打ち上げ日は日本時間の9月24日午前1時30分に決まった(米国東部時間9月23日午後12時半、太平洋時間午後9時半)。

火災は消火されロケットにも積荷にもダメージを残さなかったが、調査によると原因は静電気の蓄積による可能性が極めて高い。静電気の発生は、ロケットエンジンへの推薬補給時に排気口から滴下する酸素によるものと思われる。MHIはすでに対策に着手しており、ロケットと打ち上げ用施設設備は今や完全な機能性があって、二度目の打ち上げへの準備が完了している。

打ち上げに使われるH-IIBロケットはMHIのM-IIシリーズロケットの推力が最も大きい構成で、ISSの備品のほかに、さまざまな学術および商用の顧客のための複数の小型衛星とそのCubeSatランチャーも運ぶ。H-IIBは中心に1基のブースターがあり、エンジンは液体酸素を推薬(推進剤)として使用、そしてロケットの底部にある4基の固体燃料ブースターがさらなる推力を与える。静止遷移軌道への最大積載量は、8200キログラムである。

H-IIBのミッションは、来年あともう一度ある。その後、MHIは完全に使い捨ての打ち上げ機H3に注力する。これは主に商用の顧客の利用を目指していて、中程度のペイロードではコスト的にSpaceXなどの競合相手と互角に勝負できることを目指している。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

LightSail 2がついに太陽の光だけによる飛行に成功

非営利で宇宙を探究しているThe Planetary Societyは米国時間7月31日、これまでの一連の勝利の最終的成果を祝った。クラウドファンディングにも助けられて打ち上げられた宇宙船LightSail 2がついに、太陽の光だけで飛ぶことに成功した。Falcon Heavyに乗って打ち上げられ、自分の補助エンジンで定位置に到達した同船は、その後軌道を上げ、マイラー製の帆の表面に当る太陽からの光子の力だけで、最初の軌道より約2km上へ上昇した。

これは、すごい成果だ。通常CubeSatと呼ばれるような小型の人工衛星の軌道の高度修正を、光の力だけでやることが、一般的に可能になったのだ。LightSail 2は、地球の軌道で太陽帆走が可能であることを示した最初の宇宙船になり、太陽帆走を行った宇宙船としても、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)がまったく異なるミッションで2010年に行ったIkarosに次いで、やっと2機目だ。

LightSail 2の場合はあくまでもメインミッションとしての成功だが、まだその旅は終わっていない。太陽帆走による軌道の上昇は、軌道の遠地点(最高位置)を上げることを目指して今後も続行する。また、太陽帆走のパフォーマンスの改善にも取り組む。そのためには、「脱飽和」(Desaturation)と呼ばれる必要な処理の最適化が必要だ。それは、船体を目的とする太陽帆走の方向から一時的に逸らして、累積されている運動量を捨てる処理だ。

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今からほぼ1年後にLightSail 2は計画どおりに軌道を外れて地球の大気に入り、そこで燃え尽きる。

これは、宇宙探求のクラウドファンディングとしても大きな成果だ。ほぼ100カ国からの約5万名が資金を提供し、そのほかの団体や企業からの寄付も合わせると、宇宙船の開発と打ち上げのための資金として700万ドルの調達に成功した。

Planetary SocietyのCEOであるBill Nye氏は、帆走の成功を発表した米国時間7月31日のイベントで「私にとって、太陽の光による帆走は、とてもロマンチックなことです」とコメントした。

LightSail 2が集めたデータは、NASAなどほかの組織と共有される。NASA自身にも、地球近傍天体の調査を目的として独自の小さな太陽帆走人工衛星を打ち上げる計画がある。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

光子の力による宇宙帆走をテストするLightSail 2が送ってきた美しい写真

LightSail 2が自分の帆を広げて、本来のミッションである太陽からの光子の力だけによる帆走とそれに関する調査を開始するまで、少なくともまだあと数日はある。しかし、軌道上で時間を浪費していたわけではない。The Planetary Societyがクラウドファンディングで立ち上げたこの宇宙船は、このほどその特徴を生かした有利な場所から撮った、驚異的なほど高解像度の地球の写真を送ってきた。

LightSail 2はファームウェアがアップデートされ、太陽帆走の帆を使わないテストのあと、方向制御に関する問題を修正した。The Planetary Societyによるとパッチのアップロードは成功し、宇宙船は現状で全体として「健康で安定している」そうだ。太陽帆走の開始は早くて米国時間7月21日の日曜日だが、いつにせよそれは、ミッションのチームが実際に帆を広げることに確信を持ったときに限られる。

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LightSail 2の開発資金は、Bill Nye(ビル・ナイ)氏が率いるPlanetary Societyのクラウドファンディングキャンペーンの成功に負うところが大きいが、今でも目下実行中のオペレーションのためにCrowdRiseで資金を募集している。

マイラー(電気の絶縁材料)で作られている帆に当たる太陽からの光子の力だけで、この宇宙船が航行できるかテストすることが目的だ。宇宙の力だけによる航行は、スタートするまでの過程が極端に遅いが、極めて高いエネルギー効率で調査船が長距離航行できるだろう。

現在の軌道への打ち上げは6月25日に、SpaceXの最新機Falcon Heavyの積載量の一環として行われた

画像クレジット: The Planetary Society

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

太陽帆走に挑戦中のLightSail 2が見られるダッシュボード

Planetary Societyが、太陽光からの光子を帆に受けて帆走する宇宙船であるLightSail 2のミッションコントロールダッシュボードを立ち上げた。このクラウドファンディングで資金を得た宇宙船は今、その真の太陽帆走をテストするための軌道上にいる。ダッシュボードはその最新情報を提供し、それを誰もが見られて、用途が何であれ自由にダウンロードもできる。

それは、Kickstarterで100万ドルあまりを調達したLightSail 2の精神にも沿っている。このプロジェクトは人気キャスターのBill Nye(ビル・ナイ)氏が作った非営利団体が起案し、名前の終わりに「2」がつく二度目のプロトタイプがSpace Xの最新ロケットであるFalcon Heavyで打ち上げられた。

LightSail 2のミッションコントロールダッシュボードは、最近得た情報を伝えてくる。今同船は、初めての太陽帆走の展開に向けて準備中だ。データは、LightSail 2がPlanetary Societyの複数の地上局のどれかとの通信レンジに入ったときに得られるので、ときには遅れが生ずる。

そのダッシュボードを見れば、これまでのLightSail 2の宇宙滞在時間や、太陽帆走の準備や実施の現況もわかる。そのほか、バッテリー残量や宇宙船の内部温度、回転角度、姿勢制御の制御モードなども表示される。姿勢とは要するに、宇宙の中での方向のことだ。LightSail 2の現在位置を地図上に確認でき、またダッシュボードを見る人の位置によっては行うであろうオーバーヘッドパスも見られる。今後実際に帆走が始まったらそれもこのダッシュボードで見られるから、とても便利だ。

もっと情報が欲しかったら、ダッシュボードの画面下の「Download recent data」(最新データをダウンロードする)ボタンを押すと、これまで送信されたすべてのデータを得られる。大量すぎてぼくの手には負えないが、アマチュアとプロの両方を含めて、熱心な宇宙マニアや研究者にとっては素晴らしいデータだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

太陽光で帆走する宇宙船「LightSail 2」が帆を広げる段階に到達

Planetary Societyがクラウドファンディングした宇宙船であるLightSail 2が米国時間7月2日に朗報をもたらした。先週、SpaceXのFalcon Heavyに相乗りして宇宙に運ばれた同機がついに、正規の軌道に乗った。

LightSail 2は本日の早朝、そのことを伝えてきた。セットアップが良好で、太陽帆を十分に広げるというメインのミッションを十分に達成できそうだ。その後同機は計画されたコースを進み、軌道の位置を今よりも高くする。そのための唯一の動力が、反射性のマイラーでできた約10平方mのシートに当る太陽光の光子だ。それは太陽光のエネルギーを電気に換えるいわゆるソーラーパワーとは、まったく異なる。

帆の展開に成功したらLightSailとして初めての偉業になる。最初の機はほかのシステムのテストが目的で、帆走はしなかった。ただし生成する推力はきわめて小さいから、スピード競争には向かない。でもその設計は、加速性や最大速度が重要でないある種のミッションにのための、効率的で効果的で安上がりな方法であることを、理論的に実証するだろう。非常に軽い推力でも、その数が多くなることによって、宇宙の真空の中では大きなスピードを作り出せる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

月面のピット(竪穴)をロボで偵察して月の可住性を調べるNASAのプロジェクト

月面探査車はクールだけど、崖面を垂直下降できたら探査のお仕事はもっとクールだろう。カーネギーメロン大学(CMU)の研究グループは、NASAから200万ドルの研究助成金をもらって、垂直下降ロボットの開発に取り組む。それは、月面のあちこちにある竪穴を探検する方法を探る研究プロジェクトの一環だ。

ピットとクレーターは違う。クレーターは隕石の衝突によってできた面的構造物だが、竪穴すなわちピット(Pit)は地球上の陥没穴や洞穴に近い。表面はアクセスできるが地下には大きな空洞があって、そこには各種ミネラルや水や氷があるかもしれない。それだけでなく、未来の月探検者のための、すぐに使えるシェルターになるかもしれない。

CMUロボティクス研究所のRed Whittaker教授は、インテリジェントで機敏で早足のロボットを使って行うこれらのピットの接近調査には重要なミッションがある、と語る。すなわち、月を周回する軌道上からの観測でピットの存在はすでに分かっているけど、でもその詳細はまだまったくわかっていない。たとえば、これらの陥没穴のような竪穴は、未来の月探検ミッションの役に立つのか?役に立つとしたらどのように?

Whittakerの素案は「Skylight」というコードネームで呼ばれ、ある程度自律性のあるロボットが表面のどこを調べるか自分で選ぶ。しかもその行動は、速くなければならない。月面が夜になればずっとオフラインになる。だから1回のミッションで実働時間は約1週間だ。

NASAの野心的なミッションでは、2024年に再び月面に宇宙飛行士を送る。そして2028年には月に基地を作る。そのための重要な情報を「Skylight」のような偵察ミッションが提供する。しかし時間は切迫している。ロボットがピットを偵察するミッションは、2023年の予定なのだ。

画像クレジット: NASA/GSFC/Arizona State University

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

NASA探査機OSIRIX-RExが小惑星ベンヌで接近軌道の宇宙新記録を達成

宇宙のニュースが好きな人なら、Bennu(ベンヌ)という名前を聞いたことがあるだろう。それは、今から200年後ぐらいにわれわれの惑星に衝突するかもしれないと言われている地球近傍小惑星だ。衝突の確率は低いが、他の多くの小惑星よりは高い。この小惑星が注目される理由はいろいろあり、特に最近の発見では「アクティブである」と言われる。自分の軌道上をコンスタントに進みながら埃を噴出し、まわりの空間にばらまいているのだ。

その発見に促されてNASAは、宇宙を旅する岩を周回する探査機OSIRIS-REx距離を小さくする(小惑星により接近する)ことになった。探査機は昨年、観察のためにベンヌに到着したが、それはいくつかの既知の地球近傍小惑星の中から、調査ミッションに最適として選ばれたからだ。

OSIRIS-REx探査機は現在、ベンヌの質量中心の3000フィート(915m)上空にいるが、この距離は地球上空の平均的軍用攻撃ヘリの巡航高度よりも低い。NASAの親切な画像が、そのことを示している(訳注:図中の探査機の高度はBフェーズ更新後のそれと思われる)。

NASAは、今回の新しい(低い)軌道のことを「Orbital Bフェーズ」(B軌道段階)と呼んでいる。それはベンヌに限らず記録的な低さで、太陽系内の地球外天体への接近軌道としてはこれまででもっとも近い。8月半ばまでこの軌道にとどまり、今後数週間は小惑星表面の定期的写真撮影を行う。上で述べた、埃の噴出とばらまきを調べるためだ。

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NASAの火星用ヘリコプターが2020年のミッションに向けて最終テストへ

NASAの火星用ヘリコプターであるMars Helicopterは、この赤い惑星を探検する未来の人類にとっても重要な実験だ。それはNASAの2020年の火星ミッションに積載され、地球以外の大気における大気よりも重い重量物の飛行試験に向かう。最後の一連のテストに合格した同機は今、2020年7月の火星打ち上げを目指して最後の準備作業に入っている。

この重量4ポンド(約1.8kg)で自動操縦のテスト用ヘリコプターは、火星探査車Mars 2020に乗って火星まで運ばれ、地球からの数か月に及ぶ長旅を経て、予定では2021年2月18日に、探査車が火星のジェゼロ・クレータ(Jezero Crater)に着地した後に展開される。ヘリコプターはカメラを搭載し、電源としてソーラーパネルがある。今回はそのほかのセンサーや科学的機器類はいっさいなく、火星で果たしてドローンを飛ばせるか?という唯一の疑問に答えることだけを目的とする。将来の実験では、地上車である探査車にはできなかったデータを集めるためにセンサーが載ったりするだろう。

これまでMars Helicopterは、打ち上げと着地をシミュレートする激しい振動環境や、火星の表面のような過酷な温度条件、そして電気系統と機械系統の完成度をテストされてきた。現在はソーラーパネルも取り付けられ、ローターの試運転も経て、あとは現実に近い条件での最終的なストレステストが残っているだけだ。

NASAのMars 2020ミッションは最短でも1火星年、地球上の687日間行われ、新設計のコンパクトカーサイズの探査車には、火星の表面よりも下の岩石や土を採取する新しいコアサンプリング(円柱状標本採取)ドリルが搭載される。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa