eコマースに焦点を当てたノーコードプラットフォームのParabolaが8.5億円を調達

今日の多くの労働者たちは依然大量の手作業に溺れている。データをスプレッドシートにコピー&ペーストし、毎朝同じ電子メールを送り、それなのにわずかな自動化さえ行えずにいる。なぜならコーディングスキルを持っていないからだ。Parabola(パラボラ)は、簡単なドラッグアンドドロップワークフロー構築を通してその状況を変えようとしている企業だ。同社は米国時間8月11日、800万ドル(約8億5000万円)のシリーズA調達を発表した。

ラウンドを主導したのはMatrix Partnersで、Thrive Capitalをはじめとする複数の個人投資家がそれに参加した。MatrixのIlya Sukhar(イリヤ・スカール)氏が、契約条項に基いて、Parabolaの取締役会に加わる。2018年に行われた220万ドル(約2億3000万円)のシードラウンドと合わせると、これで同社の調達金額は1020万ドル(約10億8000万円)に達した。

また同社は同時に、新しいShopify(ショッピファイ)コネクタも発表した。新型コロナウィルス(COVID-19)の影響でオンラインショッピングが劇的に増加したために、Parabolaはeコマースベンダーからの、ワークフロー自動化サービスに対する需要の増加を受けており、それをサポートするための機能を追加してきた。

創業者でCEOのAlex Yaseen(アレックス・ヤッセン)氏はこのツールを、(特にスプレッドシートを使って)定期的にデータタスクを扱うすべての人たちに対して、プログラミングのような自動化をもたらす方法だと考えている。「私たちが提供するのはドラッグアンドドロップ型の生産性向上ツールです。そしてプログラミングのパワーをすべての人に提供したいと考えています」とヤッセン氏はTechCrunchに語った。

彼らのツールはその目標を、ワークフローキャンバスにドラッグアンドドロップできる、ビルド済みステップのライブラリを提供することで実現する。そうした各ステップは、これまではExcelやGoogleシートの中で手作業で繰り返さなければならなかったデータタスクを、自動化するために役立つ。

画像クレジット:Parabola

リード投資家のスカール氏は、彼とヤッセン氏は常に、現在一般的になってきたローコードのことをプログラミングレベルの生産性向上スキルをより広範なユーザーに提供する手段とみなしてきた(中でも特に、eコマースに焦点を当てて)と語る。

「本当に大切なことは、適切なユーザーのセット、適切な抽象化、適切なニッチを見つけて始めることです。これがeコマースに私が注目していた理由なのです。だから私は、Parabolaの取ったアプローチを素晴らしくエキサイティングなものと考え、興奮したのです」と彼は語った。

eコマースがパンデミックの中で急増したため、ヤッセン氏はそれにつれてここ数カ月の間、彼のプラットフォームの利用が増えていると語る。小売業者たちがオンラインに移行したり、これまでのオンライン業務を拡大しており、その拡大に追いつくためにより多くの内部プロセスを自動化する手段を見つける必要に迫られているのだ。

同社はまだ開発の初期段階にあり、従業員数は20人程度だが、現在積極的に雇用を進め多様な労働力の構築を目指している。ヤッセン氏は、こうした採用のやり方がコーディング方法を知らない多くの人々にプログラミングレベルのスキルをもたらす、という会社の全体的なミッションに結び付いていると考えている。それを効果的に推進するために、社会を大きく反映した多様な従業員たちを必要としているのだ。

「私たちはこれを核になる価値として語ってきました。そして私たちはこれまでのところ非常に上手くやれていると思っています。テクノロジー業界全体がそうであるように、私たちにも改善の余地はたくさんあると思いますが、私たちは必死で努力しています」と彼はいう。

同社は今回のラウンドからの資金を使って、プラットフォームの設計を洗練し続けて、技術者ではないユーザーにとって、さらに簡単に使えるものにしたいと考えている。「今回のラウンドは、スプレッドシートでのタスクに慣れているユーザーにとって製品を快適なものにするための、開発ならびに設計作業にとても役立ちます。

【略】

そして私たちが製品をより簡単に使いやすくすることで、ますます技術には明るくない方々に採用してもらえるようになるのです」と彼は語った。

関連記事:ParabolaはExcelで苦闘している人々を救う――簡単プログラミング・アプリが220万ドルを調達

画像クレジット: Melpomenem / Getty Images

[a href=”https://techcrunch.com/2020/08/11/parabola-no-code-platform-raises-8m-series-a-as-it-focuses-on-ecommerce/” rel=”noopener”>原文へ]
(翻訳:sako)

ParabolaはExcelで苦闘している人々を救う――簡単プログラミング・アプリが220万ドルを調達

最近いわゆる知識労働者の仕事はますます複雑、困難になっている。そうしたタスクの多くはPythonでスクリプトを書けば簡単に実行できる場合が多い。しかし知識労働者の誰もがプログラミング言語を習得しているわけではない。Alex Yaseenはコンピューター言語の知識なしで複雑なタスクが実行できるツールを提供していこうと考えている。

Yaseenは自分が開発しているParabolaのようなツールがプログラミング言語を習得していない知識労働者と複雑なタスクとの間のギャップを埋める役にたつと信じている。 プログラミングせずにこうした課題を処理しようとすれば、従来は巨大なExcelシートを作成する必要があった。これに対してParabolaはプログラミングの技能を必要とせずに表計算アプリで複雑な作業する場合に必要となる単調でミスを犯しやすい繰り返しを自動的に実行してくれる。このほど同社はMatrix Partnersがリードする新しいラウンドで220万ドルを調達したと発表した。

YaseenはParabolaについてこう説明している。

理屈からいって将来誰もがPythonその他のプログラミング言語を使うようになるとは思えない。これは間違いないだろう。それと同時に、多くの投資家と話をして、知識労働者間の競争はますます激しくなり、ますます高い効率性を求められるようになるだろうという点で意見が一致した。われわれはこのギャップを埋めるために何ができるかを考え、高度な技術的知識がなくても扱えるツールを提供しようと考えている。いわばエンジニアリングの知識なしにエンジニアになれるようなツールだ。

簡単にいえば Parabolaは複雑なタスクをビジュアルなワークフローに分解し、フローチャートをレゴブロック式に組み立てれば、その内容を実行してくれるようなツールだ。その部品は通常の表計算アプリ、Microsoft ExcelやGoogleスプレッドシートなどが持つのと同様の機能だが、Parabolaの場合、ツールは実行の繰り返しや分岐を簡単に設定できる。また作業をモデル化して全体を見通すことが容易であり、修正にも部品のドラグ・アンド・ドロップで柔軟に対応できる。

Parabolaが想定しているのは財務や販売の専門家で、Excelのシートを数十枚開き、数百ステップのマクロを実行しなければならないような作業を日常行っているユーザーだ。Parabola上で作業をモデル化すれば、あとは表計算シートの仕様による細部の修正などに煩わされることなく、処理が実行できるという。同時にParabolaのユーザー・インターフェイスは表計算をベースにしているので、多くのユーザーに抵抗が少ない。Yaseenによれば、表計算アプリがポピュラーなのは簡単に再計算ができるところが大きいという。

Yassenによれば表計算アプリは大量データの複雑な処理にはもともと向いていない。それでも多くのユーザーが表計算でタスクを実行しようとするのは、一部を修正した後、ワンクリックで即座に結果を見ることができるからだという。「エンジニアでない人々のマインドセットはエンジニアとは異なる。処理の効率性より、試行錯誤してその結果をすぐに見られることを優先する傾向が強い。プログラミング言語はこうした使い方に向いておらず、それが非エンジニア系の人々が表計算アプリを使い続ける理由だ」という。

〔日本版〕トップのGIFビデオにParabolaを利用した作業の流れが例示されている。これによればデータソースとしてDropboxとSalesforceのファイルを選び、テーブル結合、カラム分離、グループ化などの部品で処理した後、結果をGoogleスプレッドシートに出力すると同時にSalesforceに書き戻している。それぞれの部品を追加するときに作動条件を指定している。Parabolaのサイトには各種の実例が掲載されている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+