週3勤務や在宅も可、新しい働き方にフォーカスした転職サイト「パラフト」が開始

リモートワークに副業、週3勤務も可――。時間や場所にとらわれず、多様なワークスタイルを許容するIT企業の求人情報だけを扱う転職メディア「Paraft(パラフト)」が2月16日、ベータサービスを開始した。まずは都内のIT企業20社の求人を掲載する。

職種はエンジニアやマーケター、デザイナーが中心で、いずれも正社員のみの募集。ECサイト構築「STORES.jp」のブラケットや家計簿アプリ「Dr.Wallet」のBearTail、物流アウトソーシングのオープンロジなど、TechCrunchでもお馴染みのスタートアップが募集している。

求人案件の一例を挙げると、こんな感じだ。

・地方に住みながら、東京のITベンチャーの正社員になれるフルリモート
・週3日のみの稼働がOKなパートタイム正社員
・早朝7時出社で17時には帰れるスーパーフレックス正社員

日本はまだ「週5日8時間勤務」が主流。ただ、育児や介護、地方在住といった理由でフルタイム勤務が難しい人は少なくない。優秀な人材の中にも、働く時間と場所を譲歩してもらえれば転職できる人も多いかもしれない。

特に大手に比べて知名度が低いスタートアップは勤務条件を緩くする分、優秀な人材を獲得できる可能性が増えるし、パラフトを通じて、柔軟な働き方ができることをアピールすれば、採用市場でも存在感を高められそうだ。

「近い将来、サラリーマンは1社だけに帰属するのではなく、2社以上と仕事をするようになる」なんて調査が少し話題になったけど、パラフトがきっかけとなって、こうした働き方をする人も増えてくるかもしれない。


リモートワークに副業もOK、時間と場所に縛られないIT求人サイト「パラフト」

優秀な人材を獲得するためにオフィス環境を充実させるネット大手が増えている。ランチ無料のカフェテリアは当たり前、最近では美容室マンガ喫茶図書館マッサージルーム、そしてなぜかバスケットコート付きのオフィスまである。とはいえ、こうした手厚い福利厚生で勝負できる企業はごくわずか。特に資金力がないスタートアップにとって、どうすれば優秀な人材を獲得できるかというのは大きな課題だ。

その1つの解となり得るかもしれないのが、多様なワークスタイルを許容する企業の求人情報を扱う転職・求人メディア「Paraft(パラフト)」だ。パラフトでは、副業やリモートワーク、早期帰社など柔軟な働き方が可能な正社員の求人情報のみを掲載する。高額な給与を支払うのが難しい企業でも、働く「時間」と「場所」を譲歩することで、優秀な人材を獲得できる可能性もありそうだ。

現在、ウェブページ上で求人掲載企業、求職者の事前エントリーを受け付けており、来年1月末にβ版として20社前後の掲載でスタートする。現状では家計簿アプリ「Dr.Wallet」のBearTailオンライン学習塾「アオイゼミ」の葵、クラウド型マニュアル作成ツール「Teachme」のスタディストといったITベンチャー企業がエンジニアやマーケター、セールスの人材を募集する予定だ。

パラフトを運営するリライドは、得意なプログラミング言語やスキル、希望報酬をサイト上に登録したエンジニアと企業をマッチングする「PROsheet(プロシート)」を手がけるシェアゼロの子会社。プロシートでは業務委託契約としてエンジニアを企業に紹介していたが、パラフトではあくまで正社員雇用が前提となっている。サービス名はパラダイムワークシフトの略称。従来の求人掲載情報に「働き方の選択」という角度から求職活動を支援したいという。

場所や時間を問わない働き方としてはクラウドソーシングに注目が集まっているが、リライドの中川亮社長は「高報酬な案件は少なく、プロフェッショナルな人は動かない」と指摘する。優秀な人材の中には「家庭の事情で残業ができない」や「副業もしたい」といった理由で転職できない人もいるが、実際にサイボウズでは多様なワークスタイルを認めることで離職率が28%から4%に下がった事例もある。中川氏は「一部の企業では柔軟な働き方が浸透しているが、こうした求人情報を集めることで優秀な人材の流動化を加速させたい」と意気込んでいる。