メッセージサービスTelegramの月間アクティブユーザーが4億人に到達

インスタントメッセージサービスのTelegram(テレグラム)は、月間アクティブユーザー数が4億人に達したと発表した。これは開始から7年目となる同サービスが、2019年10月に米証券取引委員会(SEC)に開示した時点での3億人のアクティブユーザー数から、成長を続けていることを意味する。

ロシアのソーシャルネットワークサイトのVKの創設者でもあるPavel Durov(パベル・デュロフ)氏によって設立されたTelegramは、毎日約150万人のユーザーが増え、20カ国以上で最もダウンロードされているソーシャルメディアアプリであると述べた。

TelegramはZoomやHousepartyの人気が高まりを受けて、年内にセキュアなビデオ通話機能をユーザーに提供するべく取り組んでいるという。なおドバイに本社を置く同社は、2018年に発表したものの2020年初めに計画が保留されたGram cryptocurrency walletTON Blockchainの将来については語らなかった。

「Telegramと旧来の競合サービスとの人気の差が縮まるにつれ、我々は当初の仮説の妥当性をさらに見出している」と、同社はブログ投稿で述べている。

Telegramは、世界で20億人以上のユーザーを集めているWhatsAppを含む、数多くの人気インスタントメッセージングサービスと競合している。同サービスはFacebook(フェイスブック)傘下の同サービスが停止すると、ユーザー数が急増することがよくある。また、デュロフ氏はWhatsAppを最も声高に批判している人物の1人でもある。

Telegramのデスクトップアプリはオンライン機能の利用に電話が必要なく、フォルダやクラウドストレージなどのさまざまな機能により、熱心なユーザーを獲得している。

しかしこれらの機能は、少なくとも数百万人のユーザーが映画や楽曲、アプリケーションの違法コピーを配信したり、ダウンロードするためにサービスを利用するなど、Telegramのプラットフォームの悪用も引き起こしている。違法コピーの問題は、今日でも蔓延している。

Telegramは常に、政府当局やさまざまな企業の意見を無視して運営されてきたが、その結果として興味深い事例がいくつか発生している。例えば中国において同サービスは禁止されているだが、実際のところ同国は最大の市場の1つとなっている。

中国の人々は仮想プライベートネットワーク(VPN)を使ってTelegramをダウンロードし、利用している。同国での厳しい検閲の中でTelegramは2020年初めに、新型コロナウイルス(COVID-19)に関する信頼できる情報を求めるWeChatユーザの避難所となった。

Telegramは米国時間4月24日、2万以上のステッカーを掲載したディレクトリを公開し、Android上の新しい添付ファイルメニューなどの改善点を説明した。同社はまた、学生のための教育テストのデータベースを作成しており、そのテストを作成するクリエイターに40万ユーロ(約4700万円)を配布する予定だと述べた。

なおTechCrunchは、Telegramが4億ユーザーのマイルストーンに達したとの情報を先週掴んでいたが、その時点では同社からの回答は得られなかった。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Telegramの史上最大、17億ドルのICOが大混乱――初期投資家が大量に利食い売り

Telegramの新規暗号通貨売出しは新たな非集権的インターネットのプラットフォーム構築の資金となると期待されていた。しかし現実としては精緻に組み立てられた企業の資金調達市場に大混乱をもたらす結果となっている。Telegramの初期の投資家が利食いを狙って大量のトークン売却に出ているからだ。

今週、Wall Street Journalが報じたところによればTelegramは最近ICOの一般向け販売をキャンセルした。同社がこれに先立って特定投資家向けのトークン販売で17億ドル相当の資金調達(SEC提出書類)に成功したことはTechCrunchも報道している。 しかしこの問題が起きたのはそれより以前からだった。

TelegramはTON(Telegram Open Network)と呼ばれるブロックチェーン・テクノロジーを利用したプラットフォームとこれを利用するためのメッセージ・アプリを提供している。Telegramのビジョンは、各種支払だけでなく、ファイル保存、検閲を受けないブラウジング、その他各種の非集権的アプリのプラットフォームとなることだ。この3月、Telegramはメッセージ・アプリの1日当たりアクティブユーザーが間もなく2億人になると発表していた。当初のホワイトペーパーによれば、Telegramは招待オンリーの特定投資家と一般投資家、双方へのトークン売出しで12億ドル相当の資金を調達することを計画していた。

Telegramは調達額目標を17億ドルにアップし、その後一般投資家への売出しをキャンセルした。これは同社がTONネットワークを構築するために必要な資金をすでに確保したことを意味すると同時に、SEC〔米証券取引委員会〕がスタートさせた公衆から資金を調達するICOに関する調査を避ける意味合いだと考えられている。

この結果、一般投資家はGramと呼ばれるTelegramのトークンを直接購入することができず、トークンが取引所に現れるのを待つことになったが、Gramの取引所における売買が開始されるスケジュールは現在不明だ。しかしTelegramのメッセージ・アプリが大成功を収めていること、また初期投資家は大幅な割引価格でトークンを購入できたため、トークンを取引所外で売買するセカンダリーマーケットが出現した。これにより一部の投資家はすでに大金を手にしている。

TechCrunchが取材したある情報源によれば、初期投資家向けトランシュではトークンあたり価格は0.37ドルだったという。それが現在では1.30ドルでの売りを狙っている。実現すれば、公開取引が開始される前にすでに3.5倍の値上がり益を手にできる。これ以外にもさまざまな価格で同種の取引が行われてきたとTechCrunchでは考えている。簡単に大きな値ざやが稼げるところから新たな仲介者も現れた。売り手と買い手をマッチングさせ、取引が成立すれば手数料を得るブローカー業者だ。

ここに挙げたのは同種の非公式取引の一例にすぎない。Gramに対する需要が旺盛なためトークンを所有する初期投資家は現金化の機会を得た。また一般向け売出しがキャンセルされため、この傾向にはますます拍車がかかった。初期投資家は大幅な割引価格でGramを購入できたのできわめて容易に大きな利益を手にすることができるわけだ。

TechCrunchが取材した別の情報源によれば、Telegramはこうした非公式なトークンの売買が行われていることを認識しているものの、なんら法規に違反しているわけではない――ICOは公的規制を受けていない――ため、打つ手はないのだという。Telegramがこうした巨額の資金移動をコントロールできていないという事実はICOプロセスに強い懸念を抱かせる。【略】

TelegramのICOはこれまでで最大の暗号通貨売出しによる資金調達だ。2位のFilecoinの2億5000万ドルのICOをはるかに引き離している。しかしICOとして模範的なものとなったとは到底いえそうにない。

トークンの無秩序な売買に加えて、このICO自体の不透明性が当初から強く批判されていた。 Pantera Capitalの Charles Noyesは、TelegramのICOを「オポチュニスト的」と述べ、ホワイトペーパーについて「簡単に言えば、こうなれば良いという希望的観測のリストだ。クラッシュと炎上を避けられたらこうなるはずという筋書きを述べたもの」だと批判した。MIT Technology Reviewの記事は「大胆だがアイディアに乏しい」とした。またこの文書中のテクノロジー面の理論付けは他のプロジェクトからリサイクルされたものだという批判も出ていた。

しかも現在Telegramにとっての難題はICO関係だけではない。ロシア政府は強引な検閲によりTelegramのメッセージ・アプリを無効化しようと試みている。Telegramに対する取締りを逃れるために利用されていたIPアドレスでロシア政府よってブロックされた数は1900万に上ると推定されている。この大規模なもぐら叩きの巻き添えを受けてTwitch、Slack、Soundcloud、Viber、Spotify、Fifa、Nintendoなどのサービスにも被害が出ている。

TechCrunchはTelegramのCEO、Pavel Durovにコメントを求めたが本記事執筆時点では回答がない。

情報開示:執筆者のJon Russellは少額の暗号通貨を所有している。

画像:Carl Court / Getty Images

〔日本版〕フランス政府は政府職員がTelegram利用することを禁止し独自アプリに移行させることを準備中。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

暗号化メッセージングアプリのTelegram、月間アクティブユーザー数1憶人を達成。新規ユーザーは35万人/日

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時間はかからなかった。Telegramはわずか2年半前に開業し、今日(米国時間2/23)のMobile World Congress 2016で、 月間アクティブユーザー数が100,000,000人に達したことを発表した。

このメッセージングアプリは、スタート直後に10万人のユーザーが暗号化プラットフォームを利用していることを発表、2014年12月にはアクティブユーザー数が5000万人になり、毎日10億通のメッセージが交換された。

そして今、2016年2月、Telegramの月間アクティブユーザー数は100,000,000人、1日当たり新規ユーザー数は350,000人、1日当たりメッセージ数は150億通になった ― すべて安全な暗号化システム上でやりとりされている。

Facebookは先月、Messengerが8億月間アクティブユーザー数を達成したことを報告し、数週間前時点でWhatsappの月間ユーザー数は10億人だった。

Nikolai Durov、Pavel Durovの兄弟は、2006年にVK(当初はVKontakteと呼ばれた)をスタートし、2012年初めからTelegramの開発に取りかかった。2人が「セキュリティーが高くて楽しい」ものを作りたいと考えたからだった。Telegramがスタートしたのは、エドワード・スノーデンがNSAとPRISMの機密を暴露した直後だった。

しかし、Telegramは成長と共に厳しい監視に曝され、アプリがテロリストの通信を幇助、隠蔽していると非難された。

「プライバシーは、究極的には、テロリズムのような悪いことが起こることに対するわれわれの恐怖よりも重要だ」とPavel Durovは、本誌のMike ButcherにTechCrunch Disrupt NYで語った。

当然ながら、MWC 2016のキーノートでDurovはTim Cookの支持にまわった。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

CEOの座を追われたVK.comのPavel Durov, 主要技術者全員を引き連れて中欧某国へ脱出, 永住の地を模索

【速報・抄訳】

これは、今年のスタートアップのピッチの中で、強く心に残るものの一つになるだろう。ロシアの人気SNS VKontakte.comのファウンダPavel Durovは、サイト上の政治的コンテンツを検閲すると政府に脅された、と主張している最中(さなか)の今週、上位株主たちの意思により、同社のCEOの座を失った

今彼は、まるでVKに対する当てつけのように、VKではなくFacebookへの投稿で、12名の技術者とともに、当面の本社を中欧某国に移した、と述べている。それに続けて彼は、“プライバシーと言論の自由を確保しながら”新しいプロジェクトを作っていけて、本社を恒久的に置ける国や都市の提案を読者に求めている。新しいプロジェクトの最初のものは、彼が今週初めに本誌TechCrunchに明かしたモバイルのSNSだ。

Facebook上にDurovは次のように書いている: “どの国や都市がぼくたちにいちばん合っていると思われますか? この記事の下のコメント欄で教えてください。ぼくたちサイドの要件としては、ぼくたちは官僚主義と警察国家と大きな政府と戦争と社会主義と過剰な規制がきらいです。ぼくたちは、自由と強力な司法と小さな政府と自由市場と中立性と人権が好きです”。要するに彼が言わんとするのは、ロシアは自分たちが居たい場所ではない、ということだ。

キラキラしたお目々と、ひねったユーモアと、反抗的な態度で知られるDurovは、全世界的に熱心なファンが多くて、今すでに数十通の提案が寄せられている。挙げられている候補国は、エストニア、スペイン、スイス、シンガポールなどだ。

投稿の全文を下に引用しよう。

【後略】

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))