機械学習を自動化するPecan.aiが約12億円を調達

米国時間1月28日、ビジネスアナリストが自動で機械学習モデルを構築できるようにするスタートアップとして突如姿を現したPecan.aiは、シリーズAで1100万ドル(約12億円)を調達したと発表した。

画像:Stuart Kinlough / Getty Images

このラウンドを主導したのはDell Technologies CapitalとS Capital。非公開だったシードラウンドの400万ドル(約4億3000万円)と合わせて、ここまでの合計で1500万ドル(約16億3000万円)を調達した。

CEOのZohar Bronfman(ゾーハ・ブロンフマン)氏は、10年来の知り合いである共同創業者のNoam Brezis(ノーム・ブレジス)氏とともに、機械学習の自動化プラットフォームの構築を目指してこの会社を始めた。機械学習モデルの構築に関わる作業の多くはアルゴリズムが使える形のデータを取得することであると見て、こうした作業をPecanで自動化した。

ブロンフマン氏は「Pecanの革新的なところは、データの準備、エンジニアリング、処理、そしてテクニカルなさまざまなステップを(ユーザーに代わってすべて)実行することだ」と説明する。

ターゲットとなるユーザーはBIや分析ツールを使うビジネスアナリストだ。このようなユーザーはデータ分析に機械学習を活用したいと思っているが、そのスキルが不足している。「ビジネスアナリストは、データのこともビジネスの課題もよく知っていて、経営者にその問題を直接提起する。そして現在は基本的な分析をしている」とブロンフマン氏は語る。

Pecanにはビジネスによくある問題に答えるテンプレートが用意されている。テンプレートには2つのカテゴリーがある。ひとつはどの程度のチャーン(解約)があるかといった顧客の問題に関するもので、もうひとつはリスクや不正手段といったビジネス運営の問題に関するものだ。どちらにも属さない問題の場合はオリジナルのテンプレートを作ることができるが、この方法は相当高度なユーザー向けだとブロンフマン氏は言う。

Pecanのテンプレートカタログと、さまざまなデータソースからチャーンのデータを取得する画面(図:Pecan.ai)

テンプレートを選択し、データベースやデータレイク、CRMのリポジトリといったデータソースを指定すると、Pecanはデータソースに接続し、データをダッシュボードに表示する。アルゴリズムを書き出して外部サービスやアプリケーションで使うこともできる。またPecanが自動で、たとえばチャーンレートなどアルゴリズムが計算したデータでデータリポジトリを更新することもできる。

共同創業者の2人は、創業した2016年からこのプラットフォームを作り、ここ1年半ほどは顧客にベータ版を提供してきた。そしてこのたび姿を現し、本格的に市場に参入した。

ブレジス氏は現在の拠点であるテルアビブに残ってエンジニアリングを担当する一方、ブロンフマン氏はニューヨークに移って米国にセールスとマーケティングのためのオフィスを開設する計画だ。初期段階のスタートアップながら約12億円の資金を得て製品を市場に投入し、成り行きを見ていく。

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(翻訳:Kaori Koyama)