レガシーな会計技術スタックを一新するために仏Pennylaneが約65.7億円を調達

フランスのスタートアップ企業Pennylane(ペニーレイン)は、Sequoia Capital(セコイア・キャピタル)、Global Founders Capital(グローバル・ファウンダーズ・キャピタル)、Partech(パーテック)などの既存投資家から5700万ドル(約65億7800万円)のシリーズBラウンドを調達した。このスタートアップは、フランスで、そしてヨーロッパで、レガシーな会計ソリューションに取って代わりたいと考えている。

会計士であれば、CegidやSageのようなツールに馴染みがあるかもしれない。基本的に、Pennylaneはこれらのツールを全面的に見直し、会計事務所の技術スタックを現代化したいと考えている。

Pennylaneは、貴重な情報を保持しているサードパーティサービスと直接接続する。例えば、Pennylaneのインターフェースで銀行の明細を取得したり、Dropboxから領収書をインポートしたり、Stripeから請求情報を取得したりすることができるのだ。

また、オンラインプラットフォームであるため、会計事務所が共同でPennylaneを使用することも可能だ。クライアントもこのプラットフォームにアクセスし、領収書の一元管理、請求書の作成、一部のタスクの自動化などを行うことができる。表計算ソフトや写真の添付で情報をやり取りする代わりに、クライアントと会計事務所の双方がプラットフォーム上で直接やり取りできる。

現在、300の会計事務所がPennylaneを利用している。その中には、数人のクライアントと一緒に使い始めた事務所もあれば、完全に新しいツールに切り替えた事務所もある。興味深いことに、Pennylaneのクライアントは、このプラットフォームをもっと使いたいと思っており、つまり、彼らが新しいクライアントを連れてきているのである。

「9カ月前、90%のクライアントが直接私たちにコンタクトを取り、そのうち10%が会計事務所経由でクライアントになっていました。9カ月後、その傾向は変わりました。私たちのクライアントの81%が会計事務所からなのです」と共同創業者兼CEOのArthur Waller(アーサー・ウォーラー)氏は教えてくれた。

同社は収益の数字を共有したがらなかったが、ウォーラー氏は、この夏以降、毎月20%ずつ成長していることを教えてくれた。2020年以降、Pennylaneは9600万ドル(約110億8300万円)を調達している。

一歩後ろに下がって眺めてみると、Pennylaneには大きな市場機会が待っているということがわかる。英国や米国など、より成熟した市場では、企業はQuickBooksやXeroなどのSaaS型ソリューションを利用してきた。しかし、会計業界は断片的で、各国が独自のソフトウェアソリューションを使用している。フランスのように、会計のための決定的なSaaSソリューションが存在しない国もある。

「フランスには、約1万2000の会計事務所があります。現在では300の会計事務所と取引しています。4、5年後には150万社の中小企業と取引することが目標です」とウォーラー氏はいう。

この先、地理的な拡大だけでなく、製品チャンスもある。Pennylaneは、財務管理に関連するあらゆるものの中心的なハブとなる可能性があるのだ。

例えば、Swan(スワン)と共同で社用カードのベータテストを開始し、決済の円滑化を図っている。社用カードから発生する交換手数料を、会計事務所とレベニューシェアするようなイメージだ。同社は、フランス市場にだけでもまだやるべきことがたくさんあるため、今回の資金調達で、製品のイテレーションができるようになると考えている。

同社は、年内に従業員500人を計画している。同社は、技術と製品がこのスタートアップにとって最も重要な分野であると考えており、ほとんどの採用はこれらのカテゴリーで行われる予定である。基本的に、Pennylaneは、新しく始める会計士が何も考えなくてもよいような製品を作りたいと考えているのだ。

画像クレジット:Pennylane

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(文:Romain Dillet、翻訳:Akihito Mizukoshi)

顧客と会計士の体験を両方改善させるフランスの会計サービスPennylaneが19億円を調達

自動化されたプロセスと人間の会計士を組み合わせた会計サービスを提供するフランスのスタートアップPennylane(ペニーレイン)が、1500万ユーロ(約19億円)を調達した。既存も投資家のGlobal Founders CapitalとPartechが再び投資を行っている。

Pennylaneは、顧客の財務データを扱うSaaS企業であると同時に会計事務所でもある。会計士と直接仕事をすることで、同社のプラットフォームを介して担当会計士と話ができるということだ。すなわち財務データを一元管理できることになる。

同スタートアップは、顧客と会計士双方の体験を改善させたいと考えている。通常、会計事務所には毎月、あるいは四半期ごとにデータが送られてくる。会計士はファイルを開いたり、会計ソフトに情報を入力したりするために、膨大な時間を浪費している。

同様に、会計報告書もCEOやCFOにとってはブラックボックスで、そのデータを財務予測と可視化に活用することができていない。Pennylaneが狙っているのは、エクセルを使って会社の損益計算書を予測する必要性をなくすことだ。

Pennylaneで作業を開始する際には、まず自分のアカウントをすでに貴重な情報を持っているStripe、Payfit、Qonto、Zoho、Sellsyなどのサードパーティサービスと接続する。こうすることで、各サービスからデータを手動でエクスポートするだけではなく、情報を常に自動的に最新の状態に保つことができる。

ローンチから1年が経過したPennylaneは、550社のクライアントを獲得し200万ユーロ(約2億5000万円)の売上を達成した。現在、30人の会計士が同社のために働いている。

次は、より多くの企業、特に社内に会計チームを持っている企業や、すでに会計事務所と連携している企業を勧誘したいと考えている。Pennylaneのソフトを、顧客が自社の会計士から利用することもできるようにする予定だ。

Pennylaneは以前、Global Founders Capital、Partech、Kima Venturesから、シードラウンドとして400万ユーロ(約5億1000万円)を調達していた。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Pennylane資金調達SaaS

画像クレジット:StellrWeb / Unsplash

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(翻訳:sako)