UbuntuのCanonicalがスマートフォンから撤退、デスクトップはUnityからGNOMEに戻る

人気の高いLinuxディストリビューションUbuntuを作っているCanonicalは、スマートフォンやタブレットでモバイルの世界に進出したい、という願いを持っていた。今やUbuntuで動くスマートフォンを買うのは(少なくともアメリカでは)容易ではないが、しかしここ数年、さまざまな機種が出たり消えたりを繰り返した。そしてCanonicalのファウンダーMark Shuttleworthの今日(米国時間4/5)の発表によれば、同社はスマートフォン事業への投資を終了する。

さらに、Ubuntuに関しては、18.04のリリースからGNOMEデスクトップに戻り、独自に開発していたUnity8デスクトップ環境を捨てる。

そしてCanonical自身は今後、クラウドとIoTに注力する。ただし、“数百万もの人びとが依存しているUbuntuデスクトップへの情熱と投資と責任感は今後も継続することを強調しておきたい”、とShuttleworthは書いている。“弊社は世界でもっとも使いやすいオープンソースデスクトップの生産を継続し、既存のLTS〔長期サポートバージョン〕のメンテナンスも怠らず、多くの商業的パートナーと協力してそのデスクトップを配布し、それに依存している企業顧客をサポートし、そしてそれらの上でイノベーションを志向する何百万ものIoTとクラウドのデベロッパーたちを喜ばせたい”。

今やパブリックとプライベートのクラウドの大半がLinuxの上で動いており、またその多くがUbuntuを使っている(もちろんRed Hatなどとの競合もある)。最近行われるクラウド関連のカンファレンスに、何らかの形でのCanonicalのプレゼンスがない、ということは一度もなかったと思う。同社はLinuxのディストリビューションがいちばん有名だが、UbuntuやOpenStackやコンテナを(多くの場合Kubernetesを伴って)自社のデータセンターで使う大企業顧客向けにサポートすることからも、収益を得ている。同社は数字を発表していないが、売上の大きな部分が、このようなエンタープライズ・サポートであり、しかもそれは急速に成長し利益も大きい分野だろう。

IoTの世界では、Ubuntu Coreと同社のSnapsコンセプト(サンドボックス化したアプリケーションをどのLinuxディストリビューションでもインストールし動かせる)が、徐々にユーザーを増やしている。たとえば先日のMWCでは、Shuttleworthが私を連れて、Canonicalのブースと、Snapsを使っているサードパーティ全社のブースを訪問した。このようなSnapsの人気には、Shuttleworth自身がかなり興奮していたようだ。

“究極の選択は、企業の成長に寄与している分野に投資することだ”、とShuttleworthは書いている。“それらは、デスクトップとサーバーとVMを提供するUbuntuそれ自身、弊社のクラウドインフラストラクチャ製品(OpenStackとKubernetes)、クラウドオペレーションの能力(MAAS, LXD, Juju, BootStack)、そしてSnapsとUbuntu CoreによるIoT路線だ”。

Unity8については、公平に言っても、多くのUbuntuユーザーがその消滅を悲しいとは思わないだろう。それを好きなユーザーも一部にはいるけど、なんといってもGnomeはLinuxのデスクトップ環境として長年、もっとも人気が高い(しかもこのところ、どんどん進化している)。分派行動で実装が多様化〜分裂していることもないから、デベロッパーにとっても使いやすいはずだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

スポーツ観戦もますますモバイルへ。NBA League Passにモバイル版が登場

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TurnerおよびNBAが共同で提供しているサービスにNBA League Passがある。シーズン中、すべてのゲームをライブ配信するものだ。全チームを視聴する場合は年額199ドル99セントで、特定の1チームだけを見る場合には119ドル99セントとなっている。番組はスマートフォン、タブレット、スマートテレビなど、ネットワークに接続している機器ならたいてい閲覧することができるようになっている。

しかしこれまで、流される映像は50インチのテレビでも、5インチのスマートフォンでも同じものが使われていた。すなわち、テレビで見るほうがはるかに快適で、スマートフォンで観戦する場合にはディテイルがはっきり見て取れないという状況だった。スマートフォンによる観戦は、他にどうしようもない場合の最後の手段的に位置づけられていたわけだ。

しかしその状況が変わることとなった。NBA Mobile Viewなるサービスが始まるのだ。League Passの利用者が使うことができる。家にいるときと外にいるときに、それぞれ最適な映像を樂しむことができるようになるわけだ。Mobile Viewではスマートフォンなどの小さな画面に最適化した映像が流されることとなる。

見て直ちに気付くのは、Mobile View版では画面がズームインされた状態になっていることだ。下にKyrie Irvingなどが登場するシーンのサンプルビデオがある。これまではスマートフォン上では誰がプレイしているのかを確認するのが非常に難しかった。しかしMobile Viewではジャージにある選手名などがすぐに読み取れる大きさになっている。大画面でみるときと同様の情報をキャッチできるようになるわけだ。

従来版と、Mobile View版の双方を映した比較ビデオを掲載しておこう。

画面をみて「ズームしただけじゃん」と感じる人もいることとは思う。実ははるかに手が込んでいる。29ヵ所すべてのアリーナでMobile View専用のカメラが設置され、当然ながら専任のカメラマン、プロデューサーが現地に配置される。Mobile Viewには基本的に専用カメラからの映像を流すことになるわけだが、現場の判断で他のストリームからの映像を使うこともできる。

今のところ、得点などの画面上のテキストなどは、従来のストリーミングと同じものを利用している。しかしこれも専用版を用意する予定があるとのこと。音声も現在はひとつの音声を双方に流しているが、将来的にMobile View版のようなものを用意したいと考えているようだ。

NBA曰く、Mobile Viewはファンの声に応じる形で生まれたものだ。League Passにアクセスするひとのうちの70%がモバイル環境からであり、その割合は毎年上がっているのだそうだ。そこでNBAは昨シーズン、Mobile View風のストリームも試験的に流して効果を確認してみたとのこと。するとやはり、モバイル機器から閲覧する人は、Mobile View仕様の映像の方を好んだのだそうだ。比率でいうと、モバイル版を選んだ人が2.5倍にものぼったとのこと。

モバイル環境で、プレイヤー毎の動きや、細かなプレイ内容を知りたいという人にとってはとくに朗報だろう。もちろん、さほど細かい所に興味はないのだという人もいるだろうが、動きがよく見えることについてはやはり好評であるとのこと。

いずれにせよ、モバイル環境でゲームがいっそう楽しめるようになったことは間違い無いだろう。外出先で観戦手段がスマートフォンしかないという場合でも、かなり楽しめるようになりそうだ。テレビに比べて得られる情報に制限がありすぎると感じていた人も、納得できるようになるのではなかろうか。

こうした動きはNFLのストリーミングサービスであるSunday Ticketにも影響を及ぼすこととなるだろう。今のところはモバイルユーザーに向けた特別な配慮などなされていないのだ。

NBAのMobile Viewは現地火曜日から利用できるようになる。1週間のLeague Passトライアル期間にもMobile Viewを試してみることができるようになっている。

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(翻訳:Maeda, H

タブレットで電話もする、がアジア途上国市場でビッグなトレンドに…携帯/スマホは邪魔者

携帯電話サイズのタブレット、別名ファブレット(phablet)は、アジア生まれだから、今この地域で、ガラスとプラスチック製のもっと大きな板で電話をするトレンドが興りつつあるのも、自然な成り行きかもしれない。今度のはファブレットよりもさらに大きくて、“今パッドフォーン(pad phone)で電話してるの”、と言うらしい。

アナリスト企業のIDCによると、画面サイズ7インチ以上のタブレットで携帯電話の機能のある製品が、日本を除くアジア太平洋(APeJ)地域で伸びており、タブレットの総売上台数に占める比率は、今年のQ1の15%からQ2(4〜6月)では25%に増大した。

すなわち同社の報告書Worldwide Quarterly Tablet Trackerによると、2014Q2にAPeJ地域で売れたタブレットの総台数1380万台のうち、350万台に、セルネットワーク上の音声通話の機能があった。

350万台すべての上で携帯電話機能が使われているとはかぎらないが、電話もできるタブレットの需要が増え、メーカーもその需要に応じた生産をしていることは事実だ。

IDCによると、電話のできるタブレットの本年Q2における売上は、前年同期比で60%以上増加している。そのすべてが、Android機だ。

携帯電話としても使えるタブレットは、数年前のSamsung Tabが初めてだが、その急激な伸びは今年に入ってからだ。つまり、タブレットで電話をするというトレンドは、今年始まった。

成長がとくに著しいのは、インドやインドネシアなどの途上国市場だ。IDCの報告書によると、これらの市場ではタブレットの総売上台数の50%近くが、携帯電話機能つきの製品だ。

タブレットの携帯化を盛り上げている要因は、なんだろう? IDCの分析では、途上国市場の消費者は一台でなんでもできるモバイル製品を求めている。映画やテレビ番組を見られる、写真を撮れる、メッセージングや音声電話ができる、…そのためなら画面が7インチと大きくてもかまわない。しかもこれらの市場では、高級機ではなく一般大衆向けのAndroidタブレットがとても安いのだ。IDCのアナリストAvinash K. Sundaramは、そう分析している。Androidタブレットが、本来の携帯電話〜スマートフォンの売上の一部を食っているのだ。

Sundaramによると、Androidタブレットを、それ一台だけの総合機として使用する途上国市場のトレンドは、製品の低価格がそれを引っ張る形で、今後さらに勢いを増す。

だからAsusが2011年にタブレットと携帯のハイブリッド機Padfoneを出したのも、そのときすでに同社が何かに感づいていたからだ。しかしそのときの同社は、低価格という重要な要因に気づいていなかった。画面が大きくてなんでもできるデバイスが、安くて、しかも電話もできるのなら、電話機能が主体の、あのちっちゃな機械は要らないのだ。

[Image by Cheon Fong Liew via Flickr]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))