「Polestar 2」のシングルモーター仕様が米国で販売開始、約560万円から

スウェーデンの高性能電気自動車ブランドであるPolestar(ポールスター)は、2021年発売されたデュアルモーター仕様のEV「Polestar 2」続き、一度の充電で270マイル(約435km)の距離を走行可能なシングルモーター仕様の同モデルを米国で販売開始すると発表した。

この「Polestar 2 Long range Single motor(ポールスター2 ロングレンジ・シングルモーター)」の車両価格は、4万5900ドル(約560万円)からとなっているが、連邦政府と州の補助金を考慮すると実質3万3400ドル(約406万円)となる。デュアルモーターで4輪駆動の兄弟車よりも4000ドル(約49万円)安く、航続距離も19マイル(約31km)長い。車軸に取り付けられた電気モーターの数以外(シングルモーターは前のみとなる)、両車は機能的には同じものだ。

「Polestar 2のすべてのモデルは、Googleインフォテインメント・システム、プレミアムでサステイナブルな素材、そして比類のない前衛的なデザインを備え、最先端テクノロジーにおけるブランドの優位性を発散させています」と、Polestar USAのGregor Hembrough(グレガー・ヘンブロー)社長は、プレスリリースで述べている。

4000ドルでさまざまな快適装備が追加される「Plus」パックと、安全および運転支援機能がグレードアップする3200ドルの「Pilot」パックは、どちらのパワートレインを選んでもオプションで付けることができる。

地元の石油化学コングロマリットに一矢報いたい人は、公式サイトまたは全米の主要都市にある同社の実店舗でPolestar 2の試乗を予約することができる。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のAndrew Tarantola(アンドリュー・タラントラ)氏はEngadgetのシニアエディター。

画像クレジット:Polestar

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(文:Andrew Tarantola、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Polestarのコンセプトカー第2弾はドローンを搭載したオープンカー

スウェーデンの高性能電動車ブランドであるPolestar(ポールスター)は、すでに生産が開始されている「Polestar 2」、発表を控えた「Polestar 3」と「Polestar 4」、そしてコンセプトカー「Precept(プリセプト)」の市販モデルとして2024年に登場予定の「Polestar 5」に続く、最新の電気自動車のアイデアを発表した。

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「Polestar O2は、スポーツカーの新時代に向けた私たちのビジョンです」と、Polestarのデザイン責任者を務めるMaximilian Missoni(マキシミリアン・ミッソーニ)氏は、現地時間3月2日に発行されたプレスステートメントで述べている。「オープントップドライビングの喜びと、電気モビリティの純粋さをミックスすることによって、1台のクルマで新たな入り混じった感情を解き放ちます」。

このPolestar O2は、Polestar 5と同じ「特注」の接着アルミニウム製ユニボディプラットフォームを採用しており、そのベースとなったPreceptのコンセプトデザインと全体的な類似したスタイルを持つ。Polestarの広報によれば、これは「Polestarの進化するデザイン言語が、強い同族類似性を保ちながら、異なるボディスタイルにどのように適応できるかを示す」ものであるという。つまり、Polestar 5が4ドアの高性能グランドツーリングカーであるのに対し、Polestar O2は同じ基本骨格をベースに作られていながらも、よりコンパクトな2+2シーターのスポーツカーとしてのフィールを提供するということだ。

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従来のオープンカーは、ルーフを切り取ることで失われる構造強度を補強するためにフレームが厚く重くなり、やはりルーフがないことで空力的なバランスも崩れてしまうという、どちらかといえば非効率的なクルマであることを考えると、オープンカーのEVとは一体どうなるのだろうと思う人もいるかもしれない。これはすばらしい疑問だ。Polestarはこのクルマの空気抵抗係数を公開していないものの「ホイールとボディサイド上の層流を改善する埋込み型ダクトや、車体後方の乱流を低減するエアブレードとして機能するテールライトなどの隠れたデザイン機能」が、航続距離を最大化するために研究されたものであると断言している。

ホイールベースが短く、補助的なリアシートのみを備えたPolestar O2は、Polestar 2よりもスポーティでアグレッシブなスタンスだ。そしてこのホイール!エクステリアはシャープなラインの習作で、角張ったフェンダーフレアと、広いトランクに格納される鋭角的なガラストップルーフの間に、低く構えたキャビンが収まっている。まるでFord GT40(フォードGT40)とPorsche 718 Spyder(ポルシェ718スパイダー)を合体させ、すべてのカーブをフラットにしたようなルックスだ。ゲーム「Grand Theft Auto」に登場するLos Santos(ロスサントス)の街角で見かけるロードスターのようで、私はファンになった。

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インテリアも同様にしなやかで、ハードな部分には熱可塑性モノマテリアルを、ソフトな部分にはリサイクルポリエステルのみを使用しているのが特徴だという。ポリエステルとプラスチックの上に低く座り、屋根を下ろして太陽の光をいっぱいに浴びるという体験は、何ものにも代え難いものだろう。

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ドライバーは、Polestar O2に搭載された撮影用ドローンを使って、開放的な冒険を撮影することもできる。Hoco Flow(ホコ・フロー)と共同で開発されたこの自律型カメラ付きドローンは、後部座席の後方に設置されたエアフォイルから発生する負圧領域のお陰で、走行中でも離陸が可能だ。ドローンは最高時速90kmで自動的に追従し、撮影した映像は、車両を駐車した後、中央のインフォテインメントシステムから編集し、ネットに上げて共有することもできる。個人的には、自動車メーカーが二次的な輸送手段を自動車に搭載するなら、電動バギー電動スケートボードが良いと思うのだが、確かに、カメラ付きドローンは最初に何度か飛行した後も、クールで斬新で便利な存在であり続けるだろう。それは同じようにドローンを搭載したRenault KWID(ルノー・クイド)やLexus LF-30 Electric Concept(レクサスLF-30エレクトリック・コンセプト)の成功を見てもわかるというものだ。

画像クレジット:Polestar

Preceptのように、公道を走れるO2が登場することは、おそらくないだろう。代わりにPolestarは、今後3年間で3台のニューモデルの発表を計画しており「それぞれのクルマには、これらのコンセプトカーが提示したアイデアのいくつかを徐々に現実化していく可能性があります」と言っているから、ひょっとしたらいつの日にか、電気自動車の後ろで低空飛行するドローンを見かけることがあるかもしれない。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者Andrew TarantolaはEngadgetの編集主任。

画像クレジット:Polestar

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(文:Andrew Tarantola、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

2024年発売予定の新型電動4ドアGT「Polestar 5」は軽量で高剛性のアルミニウム接着構造プラットフォームを採用

2024年末に発売されるPolestar 5(ポールスター5)は、それ以前のモデルとはまったく異なる作りになるようだ。スウェーデンに本拠を置く電気自動車メーカーのPolestar(ポールスター)は現地時間2月15日、今後登場するこの電動パフォーマンス4ドアGTが、Polestar 1や2のようなスチール溶接ではなく、まったく新しい軽量なアルミニウム接着構造プラットフォームを採用すると発表した。

画像クレジット:Polestar

アルミニウムを溶接すると一般的に降伏強度が半分になるため、同じ性能を得るためには2倍の材料を使用しなければならず、そもそも軽量な金属を使用する目的が失われてしまう。一方、アルミ製の部品を接着(ネジや接着剤で取付)すると、材料の使用量は減るが、生産時間は長くなる。

「接着剤を硬化させるためのサイクルタイムは、一般的な溶接セルと比較するとかなり長くなります」と、Polestarの車両エンジニアリング担当ディレクターであるSteve Swift(スティーブ・スウィフト)氏はEngadgetにメールで語り「製造の一貫性をコントロールする戦略は、従来の製造方法とは大きく異なります」と続けた。

アルミニウムを使用することによる素材の優位性を維持しつつ、部品を接着することによる生産上の不利を最小限に抑えるために、Polestarのエンジニアリングチームは、ボディとプラットフォームを一斉に組み立てる、より高速な製造プロセスを開発した。

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「プロジェクトの初期段階で、我々が求める運動性能を実現するために必要な構造剛性の目標値を固めることができました」と、スウィフト氏は述べ、ユニボディ構造の利点を説明する。

「そのため、性能を実現するために後から設計を変更する必要はなくなります」と、同氏は認めている。「従来の戦略では、プラットフォームとボディの性能に対する貢献度がアンバランスであることが判明した場合、妥協や修正が必要になります」。

この設計による時間短縮の効果はすでに生まれており、開発開始からわずか18カ月で、初期段階の一連の試作品を製造・納入することができたという。スウィフト氏は、このプロセスによって「必要となる一部の生産ツールの製作期間も短縮できる」と期待している。さらに、Polestarは火曜日の発表で、5は「伝統的な2人乗りのスポーツカーやスーパーカーよりも優れたねじり剛性を持つように設計されている」と言及し「より小さなセグメントの車よりも軽い重量になることが予想される」と述べている。これによって移動する車両の質量が減るため、航続距離が伸び、ハンドリングも改善されるはずだ。

画像クレジット:Polestar

この技術は、Polestar 2の生産にさかのぼって適用することはできないが、Polestar 5での成功をきっかけに、将来のプロジェクトにも適用される可能性はある。「まだ何も研究開発していませんが、私たちはその可能性を夢見ています」と、スウィフト氏は語っている。

編集部注:この記事はEngadgetに掲載されている。本稿を執筆したAndrew Tarantolaは、Engadgetの編集主任。

画像クレジット:Polestar

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(文:Andrew Tarantola、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ポールスター、スタッド付タイヤや4灯補助ライトを装備した雪上ラリーカー風の「ポールスター2」公開

雪の多いスウェーデンに本拠を置くPolestar(ポールスター)は、現地時間2月2日、電気自動車「Polestar 2(ポールスター2)」に極寒環境向けの装備と性能向上を施した特別仕様車を発表した。

このPolestar 2 Arctic Circle(北極圏)は、前後にモーターを搭載する(4輪駆動)Polestar 2 Long range Dual motor(ポールスター2 ロングレンジ・デュアルモーター)にPerformance Pack(パフォーマンスパック)を追加した仕様をベースに、さらにエンジニアは車高を30mm引き上げ、特別に製作されたスタッド付き冬用タイヤを装着した。専用にチューンされたÖhlins(オーリンズ)製ダンパーは、30%ソフトなスプリングと組み合わされ、車体のフロントとリアには、ねじり剛性とステアリングの反応を高めるストラットブレースを追加。2基のモーターの合計出力は300kWから350kWに、合計トルクは660Nmから680Nmに向上している。

そしてもちろん、Arctic Circleは本物のラリーカーのように、4つの巨大なStedi Quad Pro(ステディ・クアド・プロ)LEDライトと、カーボン製スキッドプレートが装備されている。

昔から自動車メーカーは、性能を誇示したり、人々の興奮を高めたりするために、ワンオフのコンセプトカーを使ってきた。これは、顧客の興味を判断するための効果的なツールであると同時に、自社のエンジニアに何か楽しいものを作らせる機会を与える。Tesla(テスラ)からGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)まで、すべての自動車メーカーは、最終的な市販仕様に先駆けて車両を公開し、量産が近づくにつれて、評判(および道路法規や生産上の制約)に基づいて調整を施していく。

このArctic Circleは市販される予定はないものの、将来的にポールスターがこのクルマのパーツを販売することは考えられる。4輪駆動のデュアルモーターはすでにラインアップにある。向上したパワーは、ポールスターによると、2022年中に無線アップデートで顧客に提供される予定だという。調整可能なダンパーもすでに購入可能だ。スタッド付きタイヤやバケットシート、スキッドプレート、ライトなども、サードパーティのベンダーから販売されている。

このクルマの開発を主導したのは、ポールスターのチーフシャシーエンジニアであるJoakim Rydholm(ヨアキム・ライドホルム)氏で、同氏は余暇にはラリーに参戦し、数々のトロフィーを獲得しているという。それを聞くと疑問が頭に浮かんでくる。かつてラリーで活躍したPorsche 911 Safari(ポルシェ911サファリ)のように、次は車高を引き上げたポールスター2のラリー仕様車が登場するのではないだろうか?

画像クレジット:Polestar

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(文:Matt Burns、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ボルボが車両のデジタル化が進む今後も「高い安全性」というイメージを維持する方法

現代の自動車において、安全性とはもはや単なるエンジニアリングの課題ではない。センサーやソフトウェアに依存し、ドライバーにとって明確で直感的なユーザーエクスペリエンスが鍵となる、テクノロジーとデザインへの挑戦なのである。

安全性の代名詞ともいえるVolvo(ボルボ)は、どのようにして核となるメッセージを失うことなく、彼らが革新的かつ先進的な考えを持ち、明敏な企業であることを顧客に伝えられるのだろうか。この新世界の目まぐるしい変化についていけなければ、最も高い安全性を象徴する自動車メーカーとしての評判を落とすことになりかねない。

Volvoがどのようにして、機敏かつ革新的でありながらも安全な会社であるというスイートスポットに到達しようとしているのか、そのヒントは伝統的なIPOの道を歩んでいる同社の株式公開へのアプローチや将来の自動車計画に見出すことができる。対照的に、スピンオフした兄弟企業のPolestar(ポールスター)は、ブランクチェックカンパニーとの合併により上場し、テクノロジーとデザインにおけるリーダーとしての地位を確立しようとしている。

Polestarのアプローチは、意図せずしてVolvoが安全性においてより慎重なリーダーであることを際立たせることになる。またVolvoは、Polestarのモデルで実証された最新の革新技術を利用しながら、差別化していくこともできるのである。

VolvoのUX部門の責任者であるThomas Stovicek(トーマス・ストヴィチェク)氏は次のように話している。「今私たちが目にしているのは、少し前にモバイル業界で起こったような業界の変革で、新しい機能や可能性、新しいセンサーなどが常に誕生している非常に興味深い分野だと思います。同時に、ユーザーにとっては複雑にもなりかねません。そのためユーザーエクスペリエンスの話をするときには、お客様にとっての使いやすさや、自動車という環境に置いたときの問題点を理解することについて話すことが多くなっています」。

しかしいくら安全性の先駆者とされるブランドでも、問題を完璧に避けることはできない。現代の自動車の安全性は、車体だけでなくシステムを運用するために必要な膨大なデータにまで及んでいる。Volvoは米国時間2021年12月10日、セキュリティ侵害により研究開発データの一部が盗まれたことを発表した。同社は「現在判明している限りの情報では、顧客の自動車の安全性やセキュリティ、あるいは個人データに影響を与えることはありません」と安全性への懸念に対してすばやく声明を出している。

関連記事:ボルボ、セキュリティ侵害で研究開発データの一部が盗まれる

オラフ vs エルサ

Polestarは企業アイデンティティを定義するにあたり、Volvoとは異なる方向性を示している。Volvoが「安全性と自律性を重視」しているのに対し、Polestarは「技術と性能を重視」している。またVolvoは「安全と責任」を掲げているが、Polestarは「持続可能で進歩的」を謳っている。

Polestarはクールでミニマルだが、 Volvoは暖かくて安心感のあるブランケットのようだ。「アナと雪の女王」で例えるならば、Volvoはオラフのような心地良い魅力を放ち、Polestarは氷の女王エルサである。

Volvoは姉妹ブランドであるPolestarの進化とは逆に、慎重に戦略を進めている。

例えば、VolvoはGoogle(グーグル)と共同でAndroid AutomotiveのOS開発に携わったにもかかわらず、Polestarブランドが先にこれを導入し「Polestar、Volvoには不可能な方法による電気自動車制作を目指す」などという見出しがつけれらている。

新参者であるPolestarは、 Volvoの年間販売台数が50万台であるのに対し1万台程度とまだ比較的小規模であり、その名を知らしめようと機会を模索している最中だ。

Polestarの広報担当者はメールで次のように伝えている。「Polestarはより大きなグループにおける技術リーダーであり、今後もそうあり続けるでしょう。すでに市場に投入されているGoogleのインフォテイメントシステムがその良い例です。Polestar 2が最初にデビューさせ、VolvoはXC40 Recharge、そして今回のXC60でそれに続きました。今後数年の新技術の展開に伴い、Polestarが先駆けてVolvoがそれに続くという形がますます増えていくと思います」。

画像クレジット:Kirsten Korosec

負荷を軽減

Polestarの先進的なメッセージとは対照的に、顧客向けの技術に関してVolvoは車内での体験を「Less is More」の考え方にシフトしている。そしてそのシステムも、Android Automotive OSの登場によって支えられている。

Volvoはこのシステムによってドライバーの認知的負荷を軽減させたいと考えており、人によってどのように情報が変化するかを理解するために、研究チームに行動心理学者を採用しているという。

「高いレベルでの原則として、当社は複雑さを単純化してからユーザーに提供しようとしているのだと思います」とストヴィチェク氏は話す。「まだまだできることはたくさんあります。私たちは衝突事故ゼロを目指していますし、今後プラットフォームに搭載される新機能を使えば、おもしろいことがたくさんできると思います」。

つまり、ドライバーに緊急事態を警告するために使用する場合を除き、鳴動音やブザー音、気が散るような通知は極力減らされるということだ。Volvoの広報担当者は「機能を隠すというのが目的なのではなく、ユーザーエクスペリエンスをシンプルにし、ドライバーの気を散らさないようにするというのが目的です」と伝えている。

「当社は、テクノロジーではなく、使う人を中心に設計、開発しており、可能な限り直感的なユーザーエクスペリエンスを実現できるよう追求しています」。

ここ数年、自動車にスクリーンが搭載されるようになって以来、自動車メーカーはインフォテインメントシステムにありとあらゆるものを投入するようになった。VolvoはXC90を発表した際、いち早く旧式のSensus OSを採用してスクリーンを標準装備している。現在も同社は、ドライバーに提示する情報をさらに厳選するために取り組んでいる他、NVIDIAに依頼して、グラフィック処理を必要とする入力ライダーセンサー、レーダー、カメラの匿名化された安全データを収集し、理解を深めようと試みている。

 完全電気自動車であるVolvo XC40に新しいインフォテイメントシステムを導入

最近Volvo XC60に乗ってみて私が気づいたのは、インフォテイメント画面が先代よりもシンプルで明るくなったということである。また、ワイヤレス充電システムはなかなか作動せず、設定画面を開かなければならなかった。目の前の画面での選択肢の少なさは、ここ10年で出た新型車に対するアンチテーゼとも言える。

Volvoは何十年もの間、道路上で最も安全な車という評判を守り続けてきた。同社がその安全性を主張できるのは、同社の画期的な研究開発によって得られた評価のおかげである。

1959年にはシートベルトが導入され、1972年には後ろ向きのチャイルドシート、1978年にはブースターシートが導入された。1994年には側面衝突防止装置が導入され、また2008年には衝突回避機能、そして歩行者保護機能が導入された。その年、Volvoは「当社の車の中では1人も重傷者を出さない」という目標を掲げている。2021年には米国道路交通安全局の新車評価プログラムにおいてVolvoの11車種が最高の安全性評価を受けた。

ハンズフリー

自動車メーカーたちは今、スマートフォンという運転上最も安全でないものを使って車載システムをコントロールしたがる顧客の欲求に直面している。しかしVolvoはスマートフォンを消費者の手から遠ざける方法を優先しているという。

同社のUX&イベント部門アシスタントトップのAnnika Adolfsson(アニカ・アドルフソン)氏は「ユーザーは車内では提供されていない機能を実現するために携帯電話を使用していますが、それが安全ではない環境を作り出しており、私たちはそれを避けたいと考えていました」。

サードパーティのアプリに対応するため、ソリューションはAndroid Automotiveのアーキテクチャに組み込まれ、運転中でも安全に使用できるプラットフォームとなった。

Volvoは、Android、Google Maps、Google Assistant、Google Play Storiesの各チームと協力し、その結果、シンプルでクリーンなエクスペリエンスが誕生した。「長い間使用し続けられるプラットフォームを開発できたという点が、特にすばらしい点だと思います」とアドルフソン氏は話している。

また、ドライバーが車に乗るとすぐに起動するため、先を見越した安全性が実現する。

「初めてクルマに乗った人がどのような体験をするのか、どうすればその人の助けになるのかを考えてきました。以前の車では、自分でセッティングから探さなければなりませんでした」とアドルフソン氏はいう。

安全第一

スモールオーバーラップ衝突試験。画像クレジット:Volvo

残念なことに、安全性と技術の進歩は、特に人間の判断が介在する場合には、必ずしも一致しない例が多く見受けられる。

「Tesla and self-driving accident(テスラと自動運転の事故)」で検索してみるといい。Teslaは際どい判断を下すことで有名だが、その莫大な価値には影響していないから不思議である(Tesla Model 3の衝突安全性については高い評価を得ていることを付け加えておきたい)。

TeslaもVolvoもその他の自動車メーカーと同様、最先端を行くためにより多くのADAS機能を将来の製品に組み込もうと精を出しているが、新技術の統合は消費者の信頼や一般的な安心感とは必ずしも一致しない。

AAA Foundation for Traffic Safetyの最近の調査によると、完全自律走行車に安心して乗ることができたドライバーは10人に1人しかいないという。

関連記事:【コラム】自動運転車の普及にはまず運転支援システムが消費者に信頼されることが必要

Volvoは自社のウェブサイトで「最近の消費者調査によると、 Volvoは安全な自律走行車を展開できる最も信頼されている自動車メーカーである」と述べている。完全な自律走行車の実現までには、まだ数年かかると同社は伝えている。

自動運転システムをいち早く完成させ、これまで以上に安全性を高めることができると顧客に確信させると同時に、一流の電気自動車メーカーになれると顧客に信じてもらうというのがVolvoの計画である。そのために慎重になっている同社だが、それは正当な考えだろう。

しかしここで、道路をより安全にするための技術がなぜ「技術第一」と呼ばれなければならないのかという疑問も当然起きてくる。これは、安全を守るということの意味を考える上で興味深い問題だ。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Tamara Warren、翻訳:Dragonfly)

クアルコムが自動車分野へのさらなる注力を表明、ボルボ、ホンダ、ルノーなど新規顧客を発表

大手テクノロジー企業のQualcomm(クアルコム)は2022年のCESで、自動車分野の技術をさらに発展させるという強い意志を示した。同社は、新しいOEM顧客を発表するとともに、最新のSnapdragon Digital Chassis(スナップドラゴン・デジタル・シャシー)で、欧州の自動車業界の顧客をサポートするために、ベルリンにエンジニアリング・ソフトウェア・オフィスを開設した。

「このオフィスの開設は、自動車分野に新しいエキサイティングな技術を提供するという当社の取り組みをさらに証明するものです」と、Qualcommの欧州 / MEA担当シニア・バイス・プレジデント兼Qualcomm Europe(クアルコム・ヨーロッパ)社長であるEnrico Salvatori(エンリコ・サルバトーリ)氏は、声明で述べている。

このSnapdragon Digital Chassisとは、自動車メーカーが全面的またはアラカルト的に採用できるクラウド接続の「プラットフォーム」群のことで、先進運転支援システム(ADAS)や自動運転に対応した「Snapdragon Ride(スナップドラゴン・ライド)」プラットフォームをはじめ、LTE、5Gコネクテッドサービス、セルラーV2X(Vehicle to X、車両とさまざまなモノとの相互接続)、Wi-Fi、Bluetooth、精密測位に対応した「Snapdragon Auto Connectivity(スナップドラゴン・オート・コネクティビティ)」プラットフォーム、そして次世代のデジタルコックピット / インフォテインメントシステムである「Snapdragon Cockpit(スナップドラゴン・コクピット)」などがある。

同社によると、Digital Chassisを含むQualcommの統合自動車プラットフォームには、130億ドル(約1兆5000億円)を超える受注パイプラインがあるという。現在のSnapdragonの背景にあるのは、2020年のCESで発表されたQualcommのCar-to-Cloud(カーツークラウド)サービスで、これは自動車を常にクラウドに接続させておくことを目的とした同社初の製品だった。これによって、より迅速な無線アップデートが可能になる他、車両や使用状況の分析データを収集し、同社とパートナーである自動車メーカーの両方に、新たな収益源を生み出すことができる。

「Qualcomm Technologies(クアルコム・テクノロジーズ)は、自動車メーカーが独自性と差別化を求めていること、そして自動車および輸送のビジネスモデルを再定義する大きな機会が到来していることを理解しています」と、Qualcommの自動車部門担当シニア・バイス・プレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるNakul Duggal(ナクル・ドゥガル)氏は、声明で述べている。「Snapdragon Digital Chassisのプラットフォームでは、ユーザーが車両を購入した後も継続的に新機能を利用することができ、自動車メーカーは顧客エンゲージメントの強化やサービスベースのビジネスモデルを実現するための新機能やサービスを生み出すことが可能です」。

Volvo Car Group(ボルボ・カー・グループ)は、自社の製品にSnapdragonを統合する多くの自動車メーカーの1つとなった。米国時間1月5日に行われた発表で、同社はボルボの次期型電気自動車SUVと、ボルボ傘下の高性能EVブランドであるPolestar(ポールスター)から登場する新型SUV「Polestar 3(ポールスター3)」に、Google(グーグル)のAndroid Automotive(アンドロイド・オートモーティブ)を搭載したQualcommのSnapdragon Cockpitプラットフォームと、Wi-FiやBluetoothをサポートする一連のワイヤレス技術が採用されることを明らかにした。これらの機能を搭載した車両は、2022年後半に発売される予定だ。

また、Honda(ホンダ)も同社の次期モデルにQualcommのデジタルコックピットを初めて採用する計画を発表。この新型車は2022年後半に米国で、2023年には世界各国で発売になる見込みだ。

Renault Group(ルノー・グループ)はすでに2021年9月に、電気自動車「Mégane E-Tech(メガーヌEテック)」にQualcommのデジタルコックピットを採用する計画を明らかにしているが、米国時間1月5日にはこのコラボレーションを、Auto ConnectivityプラットフォームやSnapdragon Rideプラットフォームなど、一連のDigital Chassisプラットフォーム全体に拡大する計画を発表した。

ボルボ、ホンダ、ルノーが加わり、数多くの自動車会社が名を連ねるQualcommのSnapdragon顧客リストは、2021年10月に同社が自動車技術会社のVeoneer(ヴィオニア)を買収した頃から本格的に活性化したように思われる。以来、QualcommはBMW、GM、Hyundai(ヒョンデ)、JiDu(ジドゥ、集度汽車)、Xpeng(シャオペン、小鵬汽車)、NIO(ニーオ)、WM(威馬汽車)など約40社の自動車会社と契約を結び、これらのメーカーの自動車にさまざまなSnapdragonプラットフォームを統合させている。

関連記事:Qualcommがマグナを退け、先進運転支援技術を手がけるヴィオニアを約5000億円で買収

QualcommのSnapdragonは、自動車のインフォテインメント機器を製造している他の企業の技術革新にも貢献している。今回のCESでは、同社はAlps Alpine(アルプス・アルパイン)と提携し、Snapdragon Cockpitを用いた「Digital Cabin(デジタルキャビン)」を開発すると発表した。このDigital Cabinには、周辺の視界を映し出すことで死角を改善するeミラー、大型の天井ディスプレイ、各乗員に個別の音楽を浴びせることができるサウンドゾーンなどの技術が含まれる。

Qualcommの顧客の多くは、コックピットやインフォテインメントシステムの強化を選んでいるが、おそらく同社が最も力を入れているのはRideプラットフォームだろう。そのシステムオンチップ(SoC)は、多くのADASや自動運転機能を実現するのに十分な強力なプロセッサーを提供する。Veoneerの自動運転ソフトウェア部門Arriver(アーリバー)が強化しただけで、Rideプラットフォームは、NVIDIA(エヌビディア)の「DRIVE Orin(ドライブ・オーリン)」SoCと直接競合できるようになった。NVIDIA DRIVE Orinは、Cruise(クルーズ)、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)、ボルボ、Zoox(ズークス)、そして最近ではTuSimple(トゥーシンプル、図森未来)などの顧客が、同様の機能を開発するためにすでに使用している。

画像クレジット:Qualcomm Technologies

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【レビュー】2022 Polestar 2、Android OSと交換可能なバッテリー&パーツがEVに磨きをかける

2020年、Polestar(ポールスター)が発売した最初の電気自動車は、デュアルモーターの全輪駆動構成、インセンティブ前の価格が約5万ドル(約570万円)という単一の仕様だった。しかし同社は2022年、新たなバリエーションを増やすという。

新たにPolestarが発売するのは、シングルモーターの2輪駆動バージョンのセダンだ。デュアルモーターのPolestar 2の特徴を多く備えながらも、より手頃な価格でより環境に優しい、電気自動車への切り替えを検討している人にとっては魅力的なオプションとなっている。今回、試乗であれこれとチェックさせてもらってきた。

シングルモーターVSデュアルモーター

画像クレジット:Kirsten Korosec

シングルモーターの「2022 Polestar 2」の航続距離は270マイル(約435km)とされており、パワーはやや劣りオプションもやや少ないが、ドライブを快適にしてくれるあらゆるテクノロジーが搭載されている。

デュアルモーターのように2つのモーターで4輪を駆動するのではなく、231馬力のパワーと243ポンドフィートのトルクをすべて前輪に配分するのがシングルモーターバージョンだ。2022 Polestar 2シングルモーターには、前輪と後輪の間の床下に78kWhのバッテリーパックが搭載されており、同社によると使用可能容量は75kWh。Polestar 2デュアルモーターにも同じバッテリーパックが搭載されている。Polestarは充電の高速化やバッテリーの設定を微調整して効率を上げるための無線アップデートをすべての車両において取り組んでいる。

The 2022 Polestar 2シングルモーターセダンには、オプションで機械式ヒートポンプ(Plus Packで4000ドル、約45万円増)が追加でき、より厳しい気候でも充電量を維持できるようになっている。同社によると特定の気候条件の下では、ヒートポンプが外気から熱を集め、航続距離を最大10%延長することができるという。Polestarの試算によると、2022 Polestar 2シングルモーターは、ヒートポンプを活用すればさらに27マイル(約43km)の航続距離を得ることができるということになる。

今回のモデルではフル装備のLaunch Editionが廃止され、Polestar 2シングルモーターがその代替となっている。Launch Editionではガラス製だったルーフを金属製に変更し、環境に配慮した内装を採用して装備を簡素化しているが「パック」と呼ばれる複数のオプションも用意している。

ヒートポンプ、ガラス製パノラミックルーフ、Harman Kardon(ハーマン・カードン)製プレミアムオーディオ、ワイヤレス携帯電話充電器などがセットになった「Plus Pack」を選ぶことも可能だ。筆者が試乗したPolestar 2のプロトタイプにはこのパックが搭載されていた。また、アダプティブ・クルーズ・コントロールやLEDエクステリア・ライティングなどを含むPilot Pack(3200ドル、約36万円増)を選ぶこともできる。残念ながら、筆者が運転した車両にはアップグレードされたADASシステムが搭載されていなかったため、同社がいうレベル2の運転支援機能を試すことはできなかった。

ネイティブAndroid OSとOTAアップデート

画像クレジット:Kirsten Korosec

Polestar 2は、Google(グーグル)のAndroid Automotive OSを初めて採用した車でもある。Volvo(ボルボ)も、Volvo XC40 Rechargeのような一部車両にAndroid Automotive OSを展開しているが、Polestarはブランド全体でこのプラットフォームを採用している。

Android Automotive OSはLinux上で動作するオープンソースのOSで、Polestarをはじめとする自動車のインフォテインメントシステムの基盤OSとして使用されている。その結果「Googleアシスタント」や「Googleマップ」「Google Playストア」などのGoogleのサービスが車にあらかじめ組み込まれているわけだ。Android OSは、スマートフォンの機能や操作感を車のセンターディスプレイに映し出すことができる、OSの上にある副次的なインターフェースであるAndroid Autoとは異なるものである。

関連記事:グーグルが自動車用Androidアプリの開発にライブラリの提供などで便宜強化

2022 Polestar 2では「Hey Google」というフレーズを使うことで、エアコンや道案内の操作など、車内のほぼすべての機能をボイスコントロールで利用することが可能だ。Googleのインフラはかなり一般に浸透しているため、誰でも非常に直感的に操作することができるだろう。

足もとが熱いことをシステムに伝えると、GoogleのOSがフットウェルの温度を下げてくれる。サンタバーバラで一番おいしいタコス屋を見つけたければ、筆者がやったようにGoogleに検索してもらい、そこまでナビゲートしてもらえば良い。運転中にタッチスクリーンに触れたことはほとんどなく、必要なことはGoogleにお願いするだけでほぼすべてのことができてしまった。

自然言語認識はGoogleが長年にわたって取り組んできたもので、その性能はますます向上している。このシステムを使っているとき、筆者は何度かリクエストを失敗したり、写真を撮るために地元のビーチに立ち寄ろうとしてぎこちないリクエストをしてしまったりしたことがあったのだが、システムは動揺することなく筆者の言葉を解きほぐし、要求した通りのことをやり遂げてくれた。

筆者が乗ったPolestar 2シングルモーターには、充電ステーションがAndroid OS上のGoogleマッププラットフォームに統合されていたのだが、ここには注意点がある。

Googleにルート上の充電スタンドを検索してもらうと、ブランドごとにフィルタリングをすることができる。しかし充電器が利用可能、または稼働中かどうかは教えてくれない。PolestarはChargePoint(チャージポイント)と提携して充電サービスを提供しているため、センタースクリーンにインストールされたChargePoint Appを使って選択した充電器の詳細を知ることができるが、画面をタップ操作する必要があるため最寄りの充電器に向かう前に一度車を止めることになるだろう。筆者の場合は、ハリウッドのパシフィックデザイン・センターからサンタバーバラまでの往復200マイル(約322km)の旅において、充電のために停車する必要はなかった。

同社によると、DC急速充電器であれば約30分で80%の充電が可能とのこと。Polestarのテクニカルオペレーション・スペシャリストであるGlenn Parker(グレン・パーカー)氏によると、これまでは80%充電するのに40分かかっていたためいくらか短縮されている。また、すべてのオーナーにアップデートを展開していく中で、今後も無線によるアップデートを継続することで、ポートフォリオ全体の効率と航続距離を向上させていくとパーカー氏は話している。

利用可能な充電器を探すのは面倒だが、Google MapsがPolestar 2の技術基盤に統合されたことで、新しい場所に移動したり、途中で寄りたい場所を追加したりするたびに推定航続距離が表示されるのは実に良い。筆者の日帰りドライブではロサンゼルスに戻るタイミングが悪く、ウェストサイドの渋滞に45分間も引っかかってしまったため、航続距離が20%ほど落ちてしまったのだが、最終的にはシステムが当初想定していた航続距離よりも数マイル多い状態で各目的地に到着したのはうれしい驚きだった。

路上にて

2022 Polestar 2デュアルモーターの試乗(ビデオクレジット:Kirsten Korosec)

Polestar 2シングルモーターは、静かかつ快適で、速い。同社によると0-60mphを7秒で達成できるとのことで、これは大したことではないように思えるが、特に低回転域のトルクがすぐに発揮されるため、加速車線から高速道路に合流するには十分な速度である。

筆者が試乗したプロトタイプでは、ステアリングフィールやワンペダルブレーキなど、いくつかの運転機能を調整することができ、車線逸脱警報などの運転支援システムのオン / オフを切り替えることもできた。残念ながら、前述のとおり筆者の試乗車には同社がPilot Packで提供している先進運転支援システムが搭載されていなかったため、それを試すことはできなかった。

電気自動車の楽しさの1つに、ブレーキモード(Bモード)、つまりワンペダルドライブがある。これはアクセルを離したときに、走っている車輪から得られる回生量を調整するものである。

Polestar 2では、ゆっくりと停止することができ、インフォテインメント画面で「Creep」モードの設定を切り替えると、アクセルペダルを踏まなくても車両がゆっくりと動きだす。筆者はほとんどの電気自動車を最もアグレッシブなブレーキ設定で運転しているが、これはロサンゼルスの交通事情においては最も効率的で楽しいモードだからである。Polestar 2の最高設定に多くの人は驚くかもしれないが、数分で慣れ、誰でも直感的に使えるようになる。ただし、筆者は回生ブレーキモードと組み合わせたときに不自然さを感じたので「Creep」機能はオフにした。

また運転中9割は「Firm」と呼ばれる最もアグレッシブなステアリング設定を使用した。基本的には選択した設定に応じてステアリングの比率が変わるシステムで「Firm」は最もダイレクト感のあるレスポンスを提供し、よりソフトな設定だとゆったりとしたレスポンスとなる。

修理、再調整、リサイクルの権利

同社は環境に配慮した製品づくりと素材選びにこだわりを持っており、自動車に搭載するバッテリーのライフサイクル全体に対して積極的に取り組んでいる。パーカー氏によると、同社はバッテリーに使用するコバルトの採掘をブロックチェーンで追跡しており、自動車の製造に使用する他の要素の追跡にもこのシステムの使用を検討しているという。

これに加え、同社はバッテリーとオーナーのライフサイクルについても比較的包括的に考えている。

Polestar 2シングルモーターのスタックパックは、部品が故障しても個別に交換することができ、パーカー氏によると1つの部品が故障した場合、同社がその材料を再び回収して閉ループシステムを形成するという。「再製造や、戻ってきた部品の再利用の方法を検討しています」と同氏。また同社では、修理方法の説明や、オーナーが直接購入できる部品カタログへのアクセスも提供している。

Polestar 2シングルモーターの価格は4万5900ドル(約520万円)からで、2022年1月から販売が開始される予定である(デスティネーションフィーおよび税金は含まれていない)。7500ドル(約85万円)の連邦税優遇措置と一部の州での優遇措置により、3万5000ドル(約400万円)程度まで下げることが可能だ(これにも税金とデスティネーションフィーは含まれていない)。

画像クレジット:Abigail Bassett

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(文:Abigail Bassett、翻訳:Dragonfly)

Polestar、約12.8万円のソフトウェアアップデートでEVの馬力をアップ

Polestarは、Polestar 2のトルクと馬力を向上させる無線アップデートを公開した。このアップデートにより、電気自動車のパワーは67hp増の469hp、トルクは15増の502lb.ftに向上する。

実用面では、0-60マイル時が4.4秒となり、コンマ1秒ほど短縮する。Polestarでは、最も加速が良くなるのはミッドレンジであるという。50-75マイル時の加速時間は2.2秒となり、これは一般的なPolestar 2の設定よりも約0.5秒速い。

ただし、このアップデートは無料ではない。英国、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、スイス、フィンランド、デンマーク、ドイツ、オーストリアの対象車には、Polestar Extras storeで提供され、約1000ユーロ(約12万8000円)の費用がかかる。同社は、春には米国とカナダでもこのアップデートを提供する予定で、価格は後日発表される。

EVの性能を向上させるためのアップデートを行っているのは、Polestarだけではない。Tesla(テスラ)は、Model 3やModel Yなど、一部のモデルで加速性能を向上させる有料アップデート提供している

編集部注:本記事の初出はEngadget

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Kris Holt、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Polestar PreceptはEV自動車メーカーの未来を暗示している

Polestar(ポールスター)は、今後3年間で電気自動車を発売するという壮大な計画を遂行していく。その集大成となるのが、コンセプトモデル「Precept(プリセプト)」。これは、同社の未来を物理的に表現した「ロゼッタストーン」のようなものだ。

Volvo(ボルボ)から独立したブランドであるPolestarは、このコンセプトを「マニフェスト」と呼んでいる。言い換えれば、Polestar 5として生産されるPreceptにより、EV自動車メーカーである同社が目指す姿を消費者や将来の株主に伝えるのだ。

Polestar USAの責任者であるGreg Hembrough(グレッグ・ヘンブロー)氏は、ニューヨークで開催された会社説明会でTechCrunchのインタビューに応じ、「今後数年間は、Volvoのルーツから離れ、自社ブランドを確立していくことになるでしょう」と語った。説明会では、同社のCEO、Thomas Ingenlath(トーマス・インゲンラート)氏をはじめとする経営幹部が、新しい市場に進出し、販売台数を10倍に増やし、またその過程で3つの新型車を発売する計画を打ち出した。この野心的な計画は、同社のコアバリューであるデザイン、サステナビリティ、イノベーションに基礎を置いている。

これまでの道のり

Polestarは1996年、Volvo Carsのためにパフォーマンス・ソフトウェアを販売・開発するレース会社としてデビューした。スタートからVolvoと関連があったが、同盟は2011年には正式なものになり、Polestarはパフォーマンスパートナーとなった。そしてVolvo車のスポーツ性能を向上させた。2015年にはVolvo Car Groupに完全に買収された。その直後に独自のブランドとして分離独立し、2017年には最初で唯一のハイブリッド車「Polestar 1」を、2019年にはフルEVの「Polestar 2」を世に送り出した。

この2つのモデルを約2万9000台販売した。その大半を、4ドアのEV「Polestar 2」が占めた。Polestar 2は現在、本格的に生産されている唯一のモデルだ。Polestar 1の限定生産は先日終了し、次期SUVのPolestar 3は2022年中の発売を予定している。

将来のデザイン

Preceptは最初から、Polestarの理念をできるだけ多く視覚的に伝えることを目的としてきた。その中でも最も顕著なのは、ラグジュアリーとパフォーマンスだ。これは、同社のブランド・アイデンティティの鍵でもある。兄弟ブランドとの差別化を図り、唯一無二の存在にするものだ。

「Polestar 1とPolestar 2を見れば、私たちの兄弟会社のDNAが少しずつ残っているのがわかると思います」とヘンブロー氏はTechCrunchに話した。「Preceptの意図は、当社の将来のデザイン言語の形を示すだけでなく、デザインやサステナビリティの観点から見えてくる要素を明確に示すことにありました。これらは単にあれば良いと思うもののリストではなく、実際に製品化されるものです」

このことを念頭に置くと、Preceptのビジネスの側面が物語を語り始める。Volvoファミリーの面影は薄れ、より個性的で特徴的な外観となっている。例えば、兄弟ブランドの特徴である「Thor’s Hammer」ヘッドライトは「デュアルブレード」となり、オリジナルのデザインを物理的に半分に割ったように見える。加えて象徴的に、ということでなければだ。

「シャークノーズ」のフェイシア(前面)には、エンジン冷却用のグリルがなく、代わりに「SmartZone」と呼ばれるセンサー群が配置された。先進運転支援システムを強化するためのレーダーエミッターやカメラが格納されており、機能的に、「呼吸する顔」から「見る顔」へと変化した。

また、エアフローを改善するために、フロントにウイングを組み込んだフロントエアロフォイルも採用した。「もちろん、見た目も素晴らしいですよ」と、インゲンラート氏はイベントで熱く語った。

イノベーション

Polestarは技術面で課題を抱えている。例えば、高速道路での自動運転を一定レベルで実現したいという野望があるものの、競合車を上回る性能を実現できなければ意味がない。

Preceptの表層の下には、Polestar 5のスポーティな足回りを暗示するアルミニウム製の構造がある。このグランドツアラーには、Polestar 3に載せたものをベースにした電気系統を備え、Nvidia(エヌビディア)製のコンピューティングを組み込む予定だ。モーターは「P10」という450キロワットのユニットを開発中で、約603馬力を出す。出回っている製品の中でも、最もパワフルなユニットの1つにすることを目指している。また、800ボルトのバッテリーパックは、充電インフラに合わせて400ボルトに切り替えることが可能で、双方向充電にも対応する。

多くの課題がある中で、ヘンブロー氏は、ユーザーエクスペリエンスへの集中が、Polestarを正しい方向に導くと言う。「それは、Polestar 2で早くから取り組んできたことの1つです。Polestar 2は、Googleのサービスを組み込んだAndroid Automotive OSを採用した最初のモデルとなりました。毎月、顧客の車のソフトウェアをワイヤレスでアップデートします。Webブラウザ、ゲーム、ビデオプレーヤーなど、あらゆる面で驚きと喜びを提供しています」

「Polestar 3では、それを迅速に次のレベルに引き上げます。Preceptで示されたように、アイトラッキングのようなものは便利であると同時に、安全性にも寄与します。UXはイノベーションの一部であり続けると思いますが、私たちは安全性から離れることはありません」と付け加えた。

サステナビリティ

同社は、持続可能性の問題を強調し、生産における二酸化炭素の排出量を完全にオフセットするとまではいかないが、削減することに重点を置く。

Polestarは、2030年までに完全にカーボンニュートラルな自動車を生産することを宣言している。これは単なる自己満足ではなく、顧客も積極的に関わる話だ。

「振り返ってみると、5年前、10年前には、こうしたことに消費者が関心をもっていませんでした。しかし、世界は劇的に変化しています。あらゆる消費者が強く意識し、求めているものです」とヘンブローは語る。

「Polestar 0」プロジェクトを宣言したことで、社内の危機感が高まった。多岐にわたる方法を用意していた。まず、Preceptのインテリアには、炭素繊維のような亜麻由来のバイオコンポジット部品など、新しく革新的な素材を使った。シートは再生PES(ポリエーテルサルフォン)プラスチックを織り込んだものだ。ファッションやフットウェアの世界ではすでに使用されている素材であり、Polestarが旧来の自動車メーカーとの差別化を図る方法の1つでもある。「こうしたことは単なるキャッチフレーズではなく、私たちの核心をなすものです」とヘンブロー氏は話す。

革新的な素材以外にも、同社は目標達成のために炭素回収技術を採用するほか、サプライチェーンレベルでの透明性を高め、サプライヤーの業務改善にも力を入れる。

2025年以降

このような大胆な試みは、Polestarの計画のごく一部を表すにすぎない。

同社は、2030年までに完全なカーボンニュートラルカーの生産を目指しているが、その先はどうなるのか。それほど先の未来を描くことは、まさに未知の世界への航海だ。同社自身も、こうした努力が差別化につながるかどうかは、振り返ってみなければわからないと認める。同社には、2040年までに完全に気候変動に中立な企業になるというもう1つの目標があり、それが今後18年間の選択のすべてとは言わないまでも、多くを決定づけることになると思われる。

画像クレジット:Alex Kalogianni

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(文:Alex Kalogiannis、翻訳:Nariko Mizoguchi)

Polestarが新型電動SUVをチラ見せ、今後3年間で販売台数10倍増を目指す

かつてのモータースポーツにおける活躍から、電気自動車メーカーとなった現在まで、スウェーデンのPolestar(ポールスター)は長い道のりを歩んできた。だが、Thomas Ingenlath(トーマス・インゲラート)CEOによると、Volvo(ボルボ)からスピンオフした同社はまだ、始まったばかりだという。

インゲンラート氏は、同社の経営陣とともに、米国時間12月2日にニューヨークで行われたプレゼンテーションで、ポールスターの3年計画を発表した。その中では、野心的な販売目標とともに、次の電気自動車が少しだけ披露された。

「クルマとは非常に感情的なものです」という言葉で、インゲンラート氏はメディアに向けて語り始めた。

2021年12月のイベントでティーザーが公開された新型電気自動車「Polestar 3」(画像クレジット:Polestar)

その核となる計画は、2024年までに3つの新型車を発売するとともに、欧州とアジア太平洋地域の新しい市場に進出することで、販売台数を約29万台に拡大するというものだ。そしてこの拡大の基盤となるのが、デザイン、サステイナビリティ、イノベーション、カスタマーエンゲージメントというポールスター独自のコアバリューである。

今回のプレゼンテーションでは、特にサステナビリティ(持続可能性)が強調され、2030年までにカーボンニュートラルな自動車を生産するというポールスターのミッションが再確認された。そのためには、リサイクル素材の使用から、サプライチェーンレベルにおけるビジネスの変更まで、大小さまざまな持続可能への取り組みが必要になる。

今後発表される新型車「Polestar 3(ポールスター3)」と「Polestar 4(ポールスター4)」については、我々はまだほとんど何も知らされていない。それでもインゲンラート氏は、生産に向けて動き出していると主張し、EV愛好家を魅惑するPolestar 3のティーザー画像も公開した。このオールエレクトリックSUVは米国のサウスカロライナ州チャールストンで製造される予定だ。

関連記事:ボルボの高級EVブランドPolestarが初のフル電動SUV「Polestar 3」を米国で生産へ

Polestar 3は、気候変動に配慮したやり方で生産が行われるとともに、LiDAR開発企業であるLuminar(ルミナー)製のハードウェアとNVIDIA(エヌビディア)製のプロセッサを搭載し、高速道路での自動運転を可能にする先進運転支援システムを搭載することになっているが、発売当初はこの機能を使用することはできないようだ。

2022年に発売されるPolestar 3について、我々はほとんど知らされていないが、2023年に登場予定というPolestar 4についてはさらに不明だ。今回のプレゼンテーションで公開されたティーザー画像によると、Polestar 4は3よりコンパクトなプレミアムスポーツSUV「クーペ」として作られるモデルであり、後方がより傾斜したファストバック型のプロフィールを持つとされているが、それ以上の情報はない。

ポールスターは、3と4の価格帯のベンチマークとして、それぞれPorsche(ポルシェ)の「Cayenne(カイエン)」と「Macan(マカン)」の名前を挙げている。このことから、両車が目指すラグジュアリーとパフォーマンスのレベルにおいても、これらの競合車が基準となっていることが推察される。

興味深いことに、現時点で最もよくわかっているクルマは、最も遠い存在であるはずの「Polestar 5(ポールスター5)」だ。

ポールスターは先日、コンセプトカーの「Precept(プリセプト)」が、5番目のポールスター車となる4ドアのラグジュアリースポーツGTとして市販化されることを正式に発表した。現状でプリセプトはある意味、ポールスターの未来を物理的に宣言するものであり、今後発表になる2台のSUVにも影響を与えることになるだろう。

関連記事:Polestarが次世代EVセダン「プリセプト」改め「Polestar 5」は2024年に市場投入と発表

3年間で販売台数を2万9000台から29万台に飛躍させることは、ポールスターの存在感が増すというだけでなく、大変厳しい話にも聞こえるが、インゲンラート氏は心配していない。「これから先のポールスターは、すべてが成長するためにあります」と、同氏は語った。

すでに生産が開始されているというPolestar 3については、近いうちにより詳しい発表があるだろう。

画像クレジット:Alex Kalogiannis

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(文:Alex Kalogiannis、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Polestarが次世代EVセダン「プリセプト」改め「Polestar 5」は2024年に市場投入と発表

コンセプトカーから量産プロジェクトになった「Polestar Precept(ポールスター・プリセプト)」セダンの名前が変わり、正式な発売日が決まった。Volvo Car Group(ボルボ・カー・グループ)からスピンアウトしたEVパフォーマンスブランドであるPolestar(ポールスター)は、シャークノーズを持つこのセダンを「Polestar 5(ポールスター5)」と名付け、2024年に生産を開始すると発表した。

Polestarが2020年初頭に初めてPreceptを公開したときは、この新会社の方向性を示すための印象的な提案ではあったが、単なるコンセプトカーに過ぎなかった。同社はその年の9月には、Preceptを量産化すると発表した。当時、Polestarは「2025年までに」という曖昧な表現を使い、その時期を明らかにしなかった。

それ以来Polestarは、デザイン、開発、そして生産プロセスの内側を垣間見ることができるいくつかのYouTubeビデオを含め、Preceptセダンのティーザーといくつかの詳細を発表してきた。ポールスターの最新のビデオは、エクステリアデザインのインスピレーションに焦点を当てている。

今回のビデオでは、4分近くの時間の大半を、PreceptのエクステリアデザインマネージャーであるNahum Escobedo(ナハム・エスコベド)氏と過ごす。シャープなエクステリアラインは何からインスピレーションを受けたのか?少なくとも部分的には「サメと飛行機です」とエスコベド氏は語る。

画像クレジット:Polestar(スクリーンショット)

「このプロジェクトでは、非常にエレガントでありながら、スピード感のあるものを求めていました。私にとって、サメはそうしたフィーリングを持つものでした」と彼はビデオの中で語った。

Polestar 5のドラマチックなリアエンドには、長い一筋のエアロブレードライトが見られる。これも初期のデザイン上の特徴で、生産バージョンでも採用されているようだ。

画像クレジット:Polestar(スクリーンショット)

Polestarはこの新しいビデオの中で、バッテリーの航続距離やパワートレインなどのスペックを一切公開しなかった。しかし、2022年に生産開始が予定されている電動SUV「Polestar 3(ポールスター3)」に続くモデルであることはわかっている。

Polestarの最初の量産車は、プラグインハイブリッドのグランドツアラー「Polestar 1(ポールスター1)」だった。その後、2020年にはオール電化のセダン「Polestar 2(ポールスター2)」が登場した。(同社が数字による命名法を続けると仮定して)Polestar 4が何であるかはまだわかっていない。

かつてPreceptと呼ばれたEV、Polestar 5についての最新情報は、同社が2021年に行った2つの大きな事業拡大と財務上の動きに続くものだ。Polestarは9月下旬に、Gores Guggenheim Inc.(ゴアズ・グッゲンハイム)とのSPAC合併により上場することで合意し、合併後の会社の評価額は約200億ドル(約2兆3000億円)となる見込みと発表した。合併が完了すると、統合後の会社はPolestar Automotive Holding UK Limitedという新しい公開企業が保有することになる。この会社は「PSNY」というティッカーシンボルでNASDAQに上場する予定だ。

6月には、同社はPolestar 3を米国で生産することを発表した。ポールスター3は、サウスカロライナ州リッジビルにあるVolvo Cars(ボルボ・カーズ)との共同工場で組み立てられる。Polestar 3の生産は、2022年にグローバルで開始される予定だ。

関連記事:ボルボの高級EVブランドPolestarが初のフル電動SUV「Polestar 3」を米国で生産へ

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Dragonfly)

ボルボの高級EVブランドPolestarが約2兆2200億円の評価額でSPAC上場へ

スウェーデンのEVメーカーPolestar(ポールスター)は、特別買収目的会社(SPAC)のGores Guggenheim Inc.(ゴアズ・グッゲンハイム)との間で合併によるIPO(新規株式公開)に向けて合意したと発表した。これにより、Polestarの評価額は200億ドル(約2兆2200億円)に達する見込みだ。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙は米国時間9月26日、この取引に詳しい関係筋を引用して、SPAC合意が間近に迫っていると報じていた。TechCrunchは、公式発表の情報を反映してこの記事を更新した。合併が完了すると、統合後の会社は、Polestar Automotive Holding UK Limitedという新しい公開企業が保有する。この会社は「PSNY」というティッカーシンボルでNASDAQに上場する予定だ。

PolestarはVolvo Car Group(ボルボ・カー・グループ)のEVパフォーマンスブランドに該当するが、PolestarとVolvoはともに、中国の自動車メーカーであるZhejiang Geely Holding(浙江吉利控股集団有限公司)が所有している。

今回の発表により、Polestarは、過去2年間にSPACを通じて上場した、Arrival(アライバル)、Nikola(ニコラ)、EVgo、Proterra(プロテラ)、Lucid Motors(ルーシッド・モーターズ)、Bird(バード)などのEVおよびEV関連企業の仲間入りを果たす。

Polestarは、EV製造業界におけるライフサイクルアセスメントの枠組みを構築することを目指している。製造、販売、廃車のプロセス全体が透明でトレーサブルであり、カーボンニュートラルな自動車を作ることができるというものだ。同社は、6月に初のSUVであるPolestar 3(ポールスター3)を米国で製造する計画を発表し、2022年にはグローバルに生産を開始する予定だ。高品質の部品と米国での製造施設は、決して安い取り組みではない。今回の報道が事実となれば、IPOはPolestarが目標達成に必要な資金を得る手段になり得る。

また、この合併は、PolestarがTesla(テスラ)に対抗するために、米国での市場投入を早めることにもつながる。Polestarは、セダンタイプのPolestar 2をTeslaよりも優れたクルマと位置づけているが、EV業界で同じような知名度を持ち、信頼されるためには、資金が必要だ。2020年、Polestarは部品の不具合により、全世界の車両のリコールを余儀なくされた

SPAC(特別買収目的会社)であるGores Guggenheimは、3月のIPOで8億ドル(約888億円)を調達し、7月にはBloombergがPolestarと交渉していると報じていた。

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画像クレジット:Geely holdings/Polestar

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Aya Nakazato)

高級電気自動車メーカーのPolestarが2021年内に販売店舗数の倍増を計画

Polestar(ポールスター)は、年内に9つの新たな市場で販売を開始する予定であり、世界的な存在感を倍増させて電気自動車セダンの販売拡大を目指す。

Volvo Car Group(ボルボ・カー・グループ)傘下の高級電気自動車ブランドであるポールスターは、年末までに販売店の数を100店舗に倍増させ、サービスセンターも増設する予定だと述べている。販売店の中には、期間限定のポップアップストアも含まれる。このスウェーデンの自動車メーカーは現在、販売を展開している市場で650以上の「サービスポイント」と呼ばれるメンテナンス拠点を設けているが、これを2021年末までに780以上に増やしたいと考えている。

ポールスターは2020年に米国、中国、カナダ、ベルギー、ドイツ、イギリス、スウェーデン、オランダ、ノルウェー、スイスで販売を開始した。2021年内にはさらに、オーストリア、デンマーク、フィンランド、オーストラリア、ニュージーランド、香港、韓国、シンガポールへの展開を計画している。

米国内では、オースティン、ベルビュー、ワシントン、ボストン、デトロイト、デンバー、ロサンゼルス、ミネアポリス、ニューヨーク、プリンストン、ニュージャージー、サンフランシスコ、サンノゼ、アリゾナのスコッツデールにサービスセンターと販売店がある。今後は、カリフォルニア州オレンジ郡、ニュージャージー州中部、ノースカロライナ州シャーロット、テキサス州グレープバインにも店舗を開設する予定だ。

この拡大の勢いは今後も衰えることはないようだ。ポールスターのThomas Ingenlath(トーマス・インゲンラート)CEOは声明の中で、同社が2022年に新たな市場でも同様のペースで拡大することを目指していると述べている。「この継続的なペースは、新しい販売店コンセプトと相まって、オーナーの期待を超えるという当社の目標を支えることになるでしょう」と、同氏は付け加えた。

現在、ポールスターの主要製品は、完全な電気自動車である「Polestar 2(ポールスター2)」の1車種のみだ。しかし、今後数年間でさらに車種を増やしていく計画がある。2021年6月には、同社初となるオール電動SUVを米国で生産すると発表した。「Polestar 3(ポールスター3)」と名付けられたこのSUVは、サウスカロライナ州リッジビルにあるVolvo Cars(ボルボ・カーズ)との共有工場で組み立てられる。

ポールスター3は、電気自動車セダンのポールスター2と、ハイブリッド・グランドツアラーの「Polestar 1(ポールスター1)」に続くモデルとして、2022年に世界の複数の地域で生産が始まる予定だ。

ポールスターは規模の拡大に合わせて、顧客を獲得するための新しい方法を模索している。その主な戦略は、販売店を増やし、既存の市場で拡大を続けるとともに、新しい市場に進出することだ。同社は7月26日の発表で「Polestar Destinations(ポールスター・デスティネーションズ)」という新しいコンセプトの販売店も試みていくことを明らかにした。既存の「Polestar Spaces(ポールスター・スペーセズ)」と呼ばれる販売店が、基本的に都市中心部に置かれているのに対し、この新コンセプトの店舗はより規模が大きく、アクセスしやすい都市郊外の場所に設置される。これらのデスティネーションストアは、オンラインで注文・決済された車両を顧客が受け取る納車センターとしても機能する。

同社では2021年末までに60カ所の試乗できる場所も増設し、ポールスター2の実車により触れることができる機会を用意する。

このような事業拡大を支えているのは、ポールスターが4月に行った5億5000万ドル(約606億円)もの外部資金調達だ。この投資ラウンドはChongqing Chengxing Equity Investment Fund Partnership(重慶承興株式投資基金パートナーシップ)、Zibo Financial Holding(淄博ファイナンシャル・ホールディング)、Zibo Hightech Industrial Investment(淄博ハイテク産業投資)が主導し、韓国のグローバルコングロマリットであるSK Inc.をはじめとするさまざまな投資家が参加した。

このラウンドはポールスターにとって初めての外部資金調達ラウンドだったが、同社は当時、これが最後にはなるわけではないことを示唆していた。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Polestar電気自動車Volvo Car

画像クレジット:Geely holdings/Polestar

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ボルボの高級EVブランドPolestarが初のフル電動SUV「Polestar 3」を米国で生産へ

Volvo Car Group(ボルボ・カー・グループ)の独立したEVパフォーマンスブランドであるPolestar(ポールスター)が、初のフル電動SUVを米国で製造することになった。

同社は中央ヨーロッパ時間6月16日、この「Polestar 3(ポールスター3)」の組み立てを、サウスカロライナ州リッジビルにあるVolvo Cars(ボルボ・カーズ)との共同工場で行うと発表した。Polestar 3は、EVセダン「Polestar 2(ポールスター2)」と、ハイブリッドグランドツアラー「Polestar 1(ポールスター1)」に続くモデルとなる。Polestar 3の生産は、2022年にグローバルで開始される予定だ。

PolestarのDennis Nobelius(デニス・ノベリアス)COOは、米国での生産により、納期の短縮、世界各地への車両輸送にともなう環境負荷の低減、Polestar 3の価格低減が可能になると述べている。

「これらすべてが、重要な米国の販売市場において、ブランドの競争力をさらに高めます」とノベリアス氏は語った。

また、Polestarは2021年、米国内に約25カ所のリテールスペースを開設し、顧客が同社の車両を試乗できるようにするとともに、無料のピックアップ&デリバリーサービスや出張サービスを提供する予定だという。

Polestar 3は米国の顧客向けに設計されており、同ブランドの車両としては初めて米国で製造されるモデルになる。今回の発表は、PolestarがChongqing Chengxing Equity Investment Fund Partnership、Zibo Financial Holding、Zibo Hightech Industrial Investmentが主導した最初の外部ラウンドで5億5000万ドル(約607億円)を調達してから2カ月後のことだ。そのラウンドには韓国のグローバルコングロマリットであるSK Inc.(SKグループ)をはじめ、さまざまな投資家が参加した。

Polestarは、かつてVolvo Cars傘下のハイパフォーマンスブランドだった。2017年には、Tesla(テスラ)が最初に満たしそれ以来席巻しているニッチ分野である、エキサイティングで運転するのが楽しい電気自動車の生産を目的としたEVパフォーマンスブランドとして再編成された。Polestarは、Volvo Car Groupと中国のZhejiang Geely Holding(浙江吉利控股集団有限公司)が共同で所有している。Volvo Carsは2010年にGeely(ジーリー、吉利汽車)に買収された。

Polestarは設立以来、中国に製造施設を開設し、グローバルな販売・流通体制を構築して、Polestar 1とフルEVのPolestar 2で2車種を発売してきた。

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タグ:Polestarアメリカ電気自動車

画像クレジット:Polestar

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)

グーグルが自動車用Androidアプリの開発にライブラリの提供などで便宜強化

2021年中に、Volvo(ボルボ)とGMとRenault(ルノー)およびPolestar(ポールスター)の計10車種以上にAndroid Automotiveオペレーティングシステムが搭載され、内蔵のGoogle(グーグル)アプリとサービスのすべてを利用できるようになる。今後同社は、サードパーティの開発者が、ナビゲーションやEVの充電、駐車、メディアなどのアプリを車のスクリーン上にもっと容易かつ直接的に実装できるよう図っていく。

Googleは米国時間5月18日に行われたデベロッパーカンファレンスで、Android for Cars App Libraryの拡張を発表した。ライブラリスイートAndroid Jetpackに含まれ、Android Automotiveオペレーティングシステムをサポートする。これにより開発者は、Android OSとAndroid Autoという、2つの異なる(ただし重複部分もある)プラットフォームに対応したアプリを開発できるため、良いニュースでもある。また開発者は、アプリを1つ開発したらそれが複数の車種で問題なく動くという状態を維持確保できる。

Googleの発表によると、同社はすでに初期パートナーたちとの共同事業を開始しており、ParkwhizやPlugshare、Sygic、ChargePoint、Flitsmeister、SpotHeroらの開発者とともにAndroid Automotive OSで動く各種車載アプリの開発を進めている。

画像クレジット:Google

Android Automotive OSとAndroid Autoを混同しないように。後者はオペレーティングシステムの上に来る二次的なインタフェイスだ。Android Autoは、ユーザーのスマートフォンで動くアプリで、クルマのインフォテインメントシステムとワイヤレスで通信する。一方、Android Automotive OSはLinuxの上で動くオープンソースのモバイルオペレーティングシステムAndroidがその基本形だ。ただしAndroidであってもスマートフォンやタブレットで動くのではなく、自動車メーカーが車載用に使えるよう、Googleが変更を加えている。GoogleはこのOSのオープンソースバージョンを自動車メーカーにしばらく提供していたが、しかし最近では自動車メーカーがテクノロジー企業と共同で、Google AssistantやGoogle Maps、Google Play StoreなどGoogleのアプリとサービスをすべて内蔵するAndroid OSをネイティブで作り込んでいる。

Spotifyなど多くのサードパーティ開発者がAndroid for Cars App Libraryを使って独自のAndroid Autoアプリを開発し、Play Storeへ出している。Cars AppをOSの拡張とすることにより開発者は、アプリを1度だけビルドすればよい。

2年前にGoogleは、Android Automotiveオペレーティングシステムをサードパーティの開発者に公開して、音楽などのエンターテインメントアプリをクルマのインフォテインメントシステム用に作らせようとした。それが最初に実現したのが、Volvoが電動車専門のパフォーマンスブランドとして誕生したPolestarの、Polestar 2だ。その後のVolvo XC40 Rechargeなども、この方式を採用している。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)

市場成長を受け電気自動車メーカーPolestarが初の外部資金調達ラウンドで約597億円調達

Volvo Car Group(ボルボカーグループ)の独立した電気自動車ブランドPolestar(ポールスター)は、Chongqing Chengxing Equity Investment Fund Partnership、Zibo Financial Holding、Zibo Hightech Industrial Investmentがリードする初の外部資金調達ラウンドで5億5000万ドル(約597億円)を調達した。

韓国のグローバルコングロマリットSK Inc.や数多くの投資家も本ラウンドに参加している。

Polestarにとって初の外部資金調達ラウンドである一方で、これが今回限りではないことを同社のコメントはうかがわせている。同社は米国時間4月15日、電気自動車(EV)をより経済的なものにするテクノロジーの進化、そして成長しているEVマーケットが投資家を引きつけた、と述べた。同社は潜在的な追加の資金調達について世界の投資家と協議中だとも付け加えた。

「当社の新たな投資家は、世界の自動車産業が電動化へと向かう中での最高の成長ポテンシャル、そしてPolestarが確立された産業能力と技術力という魅力的な組み合わせを提供していることを認識しました」と同社CEOのThomas Ingenlath(トーマス・インゲンラート)氏は声明で述べた。

新たな資金はPolestarの資金調達構造を多様化し「今後数年内に画期的な車を発売するのに先立ち、製品開発と技術力を加速させるのに使えるリソースを強化します」と同社は発表文で述べた。

PolestarはかつてVolvo Car傘下の高パフォーマンスのブランドだった。2017年に同社は、刺激的で乗るのが楽しい電気自動車の生産を目的とする電動パフォーマンスブランドに生まれ変わった。このニッチな部門は最初にTesla(テスラ)が切り開き、以降独占してきた。PolestarはVolvo Car Groupと中国のZhejiang Geely Holding(浙江吉利控股集団)が共同で所有している。Volvoは2010年にGeelyに買収された。

立ち上げ後、Polestarは中国に製造施設を開所し、グローバルの販売・流通オペレーションを構築し、Polestar 1と全電動のPolestar 2の2種を発表した。

同社はラインナップを増やしており、今週、Polestar 2のベース価格が安い2つのバージョンを製造すると発表している。

1つのバージョンはモーターが1つのタイプで、デュアルモーターモデルの78kWhバッテリーを搭載し、推定航続距離は260マイル(約418km)だ。そしてレンジが10%アップするPlus Packも提供する。シングルモーターのPolestar 2は2021年末に北米デビューする。

そしてデュアルモーターのバージョンもより簡素化する。デュアルモーターのPolestar 2の推定航続距離は240マイル(約386km)で、新しいPlus Packを加えればレンジはさらに伸びる。

同社はまた、2030年までに初のクライメート・ニュートラル(温室効果ガスの正味排出量がゼロ)のクルマを生産するという、さらに大きな野心も発表した。クライメート・ニュートラルとするのにカーボンオフセットを使うのではなく、新しいEVの製造方法を根本的に変更することで達成する、と同社は話した。ここには、材料の調達から製造に至るまでサプライチェーンの再考、そしてよりエネルギー効率のいい車両製造が含まれる。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Polestar資金調達電気自動車

画像クレジット:Polestar

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

Polestarが2030年までに温暖化ガスの排出量をすべて見直して初の「クライメートニュートラル」なEV開発を目指す

Volvo(ボルボ)からスピンアウトしたスウェーデンのEVブランドPolestar(ポールスター)は中央ヨーロッパ時間4月7日、2030年までに初のクライメートニュートラルな自動車を開発するという「ムーンショット・ゴール」を発表した(moonshot=困難だが実現する価値のある壮大な取り組み)。そのためには、植林などの一般的に行われているオフセット手段ではなく、新型EVの製造方法を根本的に変えていくという。

それは、材料の調達から製造、さらには車両のエネルギー効率の向上まで、サプライチェーンのあらゆる要素を見直すことを意味する。

Polestarのサステナビリティ部門の責任者であるFredrika Klarén(フレデリカ・クラレン)氏は、TechCrunchのインタビューに応じ次のように述べた。「当社は、今日多くの人が頼りにしているようなオフセットではなく、排ガスを削減し、除去することでこれを実現しようとしています。オフセットは憂慮すべき戦略だと考えています。製品を生産する際の排出量をオフセットできるかどうか、科学的な裏付けは実際ありません」。

直接的な成果となるのは「Polestar 0(ポールスター0)」と呼ばれる新型車だが、製造工程を全面的に見直す必要があり、最終的にはPolestarの他のモデルにもプロセスが適用される可能性がある。Polestarの全車両が2030年までにクライメートニュートラルになることはないが、同社と親会社のVolvoは、2040年までにPolestarを含む全事業でクライメートニュートラルになるという目標をすでに設定している、とクラレン氏は語った。

Polestarの現行モデルであるPolestar 1(ポールスター1)とPolestar 2(ポールスター2)は、いずれも中国で生産されている。Polestar 0の詳細はまだ決まっていないが、同様に中国製となることを希望しているとクラレン氏は述べた。中国はいまだに石炭への依存度が高いものの、持続可能な技術や製造業は大きく発展していると同氏は指摘した。

「もし私に投票権があるのなら中国での生産を継続しますが、そうは言ってもPolestar 0はどういったソリューションを用いるのかまだ特定されておらず、どこで生産するのか、どんな材料を取り入れるのかなど、以前は考えられなかった新しい方法で考える必要があります」とクラレン氏は述べている。

また、内部システムも定まっていない。Volvo CarsとPolestarの親会社であるGeely AG(ジーリー、吉利汽車)は独自の内部コンピューター・バッテリプラットフォームを開発しているが、Polestarの新モデルにこのシステムを採用するかどうかは決まっていない。

EVの製造工程の中で、クライメートニュートラルに移行するために最も困難な部分は素材であり、具体的にはアルミ、鉄、バッテリー部品がそれにあたると同氏は語った。

「我々は、生産にともなう排出物に取り組む必要があります」と彼女は説明している。鉄やアルミ、そしてリチウムバッテリーに使われる基本的な材料を生産する際の環境負荷は依然として大きい。

Polestarはこの新型車の発表と同時に、Polestar 2および今後発売されるすべてのモデルのカーボンフットプリントを明示するという製品サステナビリティ宣言も発表した。

PolestarのCEOであるThomas Ingenlath(トーマス・インゲンラート)氏は声明の中でこう述べた。「オフセットは言い逃れでしかありません。完全にクライメートニュートラルなクルマを作るために自分たちを奮い立たせることで、当社は今日の可能性を超えることを余儀なくされます。ゼロに向かってデザインするためには、すべてを疑ってかかり、革新し、急成長技術に目を向けなければなりません」。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Polestar電気自動車二酸化炭素Volvoカーボンオフセット

画像クレジット:Polestar

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:TechCrunch Japan)

スウェーデンのEVメーカーPolestarとEVインフラのChargePointがシームレス充電導入に向けて提携

スウェーデンの電気自動車メーカーPolestarとEVインフラのスタートアップのChargePointとの新しい提携は、顧客がPolestar 2の車をシームレスに充電できる車載アプリを発表し、充電体験の向上に狙いを定めている。

充電ステーションに接続して充電と支払いを行うシームレス充電は、請求や支払いを車両に任せることができるが、これまではTesla(テスラ)がSuperchargerネットワークによって支配してきた。他のほとんどのEVドライバーは、RFIDカードまたはスマートフォンを使用して充電料金を支払わなければならず、その利便性のレベルは従来のガソリンスタンドと同等だ。この提携により、ChargePointの13万カ所以上のステーションではこれらの余計な手順が不要になる。アプリはPolestar 2の車載インフォテイメントシステムに直接埋め込まれ、Google(グーグル)のAndroid Automotive OSで動作する。

シームレス充電への進出は他の場所でも行われているが、特に注目すべきはVolkswagen(フォルクスワーゲン)がディーゼル車の排ガス問題をめぐる米国規制当局との和解の一環として設立したElectrify Americaによるものである。同社は2020年11月にPlug&Chargeと呼ばれる車内決済技術を導入し、2021年モデルのポルシェのタイカン、フォードのMustang Mach-E、LucidのAirが同社のステーションでシームレスに充電できるようにした。

この提携はTeslaが自社ブランドの家庭用充電器Wall Connectorで追求したもう1つの分野である、購買体験にも狙いを定めている。Polestar 2のドライバーは699ドル(約7万6000円)の家庭用充電器ChargePoint Home Flexを車両購入と同時に注文でき、納車前に家に設置できる。

ChargePointのシニアバイスプレジデントであるBill Loewenthal(ビル・ローウェンタール)氏は声明の中で、これは両社の今後の提携のための青写真だと述べた。今回の提携はユーザー体験をバリュープロポジション(価値の提案)の重要な要素と考えている自動車メーカーとEVインフラ企業の間で、より多くの提携が始まるきっかけになるかもしれない。

カテゴリー:モビリティ
タグ:PolestarChargePoint充電ステーション

画像クレジット:Polestar/ChargePoint

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(文:Mike Butcher、翻訳:塚本直樹 / Twitter

電気自動車のPolestarが最新EVで1カ月で2度目のリコール、4600台が対象

Volvo Car Group(ボルボカーグループ)のスピンアウトで、電気自動車ブランドのPolestar(ポールスター)は最新車両でまたもリコールを発表した。

Polestarはインバーターの不具合を理由に4600台を自発的にリコールするとReutersが報じている。Polestarは声明文の中で、影響を受ける顧客には11月2日から連絡すると述べた。

「納車された車両の多くに搭載された不具合のあるインバーターを交換します」とPolestarは述べ、インバーターはバッテリーに蓄えられたエネルギーを電動モーターが必要とするパワーに変えていると説明した。

同社によると、修理は1回の持ち込みで済むという。北米に納車された車両はリコールの対象ではない、と広報担当者はTechCrunchに語った。スイスに納車された車両もまた対象外だ。

加えて、High Voltage Coolant Heater (HVCH)の修理も必要だとPolestarは述べた。HVCHはキャビンと高電圧バッテリーヒーティングの両方に関わっている。初期生産分の車両に搭載された不具合のあるパーツを交換する必要があるという。リコール対象となる納車済みの車両は3150台だ。

「リコールとサービスキャンペーン措置の一環として、対象となる車両は今後導入される無線通信経由(OTA)のアップデートを利用できるようアップグレードされます」と同社は述べている。「これによりPolestarは、OTAアップデートが利用可能になったときに新たなソフトウェアを直接Polestar 2車両に配信できます」。

Polestarは、エキサイティングで運転するのが楽しい車両の生産を目的に、2017年に電動専門ブランドとして一新され、全電動のPolestar 2の生産を今春、中国の工場で開始した。Volvo Car Groupと吉利汽車が共同所有するPolestarにとって、生産開始はマイルストーンだった。

だが、Polestarはのっけから問題に直面した。複数の車両が走行中に突然停止したことを受け、同社は10月2日にリコールを発表した。「走行中の停止は極めて稀なケースです」とPolestarのCEOであるThomas Ingenlath(トーマス・インゲンラス)氏は10月に開催されたTCセッション「Mobility 2020」でのインタビューの中で述べている。その際、同氏は走行中の停止は米国では報告されておらず、事故につながった例もないと述べた。この問題はソフトウェアのアップデートで修正された。

関連記事:スウェーデン拠点のPolestarが電気自動車Polestar 2のリコールと約375kmのEPA格付けについて言及

カテゴリー:モビリティ
タグ:Polestar電気自動車リコール

画像クレジット:Screenshot/Polestar

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(翻訳:Mizoguchi

スウェーデン拠点のPolestarが電気自動車Polestar 2のリコールと約375kmのEPA格付けについて言及

スウェーデン拠点のPolestar(ポールスター)は、Volvo(ボルボ)と吉利汽車(Geely、ジーリー)からスピンアウトした若い自動車メーカーだ。現在、設立からわずか4年で2台の車を市場に投入しているが、間もなくさらに多くの車を発売する予定となっている。多くのスタートアップと同様に、同社も政府の規制当局と早期リコールの嵐を乗り切っている。

今週初め、米国環境保護庁(EPA)はPolestar 2の電気範囲に関する調査結果を発表し、フル充電で233マイル(約375km)の走行が可能であることを証明した。これは、競合するTesla Model 3よりも約90マイル(約k145km)少ない。Polestar 2のファーストインプレッション記事はこちら

PolestarのCEOであるThomas Ingenlath(トーマス・インゲンラス)氏はTechCrunch Sessions: Mobilityに登壇し「PolestarはドライバーがEPAの航続距離を超える結果を実際に目の当たりにしていることを知っています」と述べた。

「私たちは車が実際に何をしているかを知っています。大きな違いのように見えるかもしれませんが、実際にはそれほどの差ではないことも知っています。EVとしての日常生活には間違いなく十分だと考えています。また、これは私たちの電気自動車のバージョンの1つであり、今後Polestar 2にはより高いEPAを持つさまざまなバリエーションを追加していく予定です。航続距離は競合する電気自動車の中では本当に良いレベルだと思います」と同氏。

インゲンラス氏は、Polestarが航続距離でテスラに勝っているわけではないことを認めつつも、EPAの評価ではなく実際の性能の比較を奨励している。「紙の上では大きな違いのように見えるものは、実際にはそれほどではありません」と同氏。そして、より長い距離を走れるバージョンが開発されていることも明かした。

「来年、2021年にはシングルモーターバージョンを計画しています。もちろん、同じバッテリーでより良い航続距離を提供します。そして、その途中でソフトウェアの改良を行い、同じkW(キロワット)時のバッテリーでより効率を上げることができるようになるでしょう。私たちは旅に出ています。そこからスタートし、月々良くなっていくでしょう」と続けた。

インゲンラス氏はまた、走行中に突然停止した車両をめぐるPolestar 2の最近のフルリコールについて「これは非常にまれなケースで起きたことです」と述べ、「市場には2200台のPolestar 2しかなく、報告されたケースはいずれも米国では起きていません。影響を受けた車両が事故に巻き込まれたことはありませんでした」と説明した。なお、この問題はソフトウェアのアップデートで修正されている。

「私たちには学ぶべきことがたくさんあり、企業として改善すべきこともあります。私たちは駆け出しのスタートアップです。そしてもちろん、すべてがスムーズに進むことを期待することはできません。私たちは改善していかなければなりませんし、お客様ともその道をともに歩んでいかなければなりません。そして、自動車業界では、実際に誰も問題を起こさないようにするために非常に早い段階でリコールを行うというのは、本当に素晴らしい基準だと思います」と述べた。

早期リコールには大きな問題はないという。その代わりに現在は「リコールに関連してPolestar 2のオーナーと接する際に会社が顧客サービスに優れていることを確認することに注力している」と同氏は語った。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Polestar、電気自動車

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(翻訳:TechCrunch Japan)