スイス警察、通常任務用車両としてTesla Model Xを導入

TeslaのModel Xが、法執行機関からの注目を集めているようだ。と、こんな言い方をすると誤解を招いてしまったかもしれないが、悪い意味ではなく、肯定的な評価を得ているようなのだ。たとえばトロント警察は、警察車両として利用する場合のカラーリングを施したデモ車を公開していた。そしてスイスのバーゼルシュタット警察は、正式な警察車両としてModel Xをオーダーしたのだ。

Electrekによれば、オーダーされたもののうち、最初の7台が秋に納車される予定となっているとのこと。バーゼルシュタット警察のこれまでの公式車両と比べて初期費用は高くつくものの(これまでは、1台あたり平均9万7千ドルのディーゼル車を使用していた。新しい警察仕様のModel X P100Dは14万7千ドル程度となっている)、トータルでのメンテナンスおよび燃料費をおさえることができると踏んでいるそうだ。

秋に導入される最初の7台に続いて、2019年中にも納車されることとなっている。バーゼルシュタット警察によれば、エコロジー面およびトータルコストの観点からModel Xの採用にいたったとのこと。荷物の積載量の多さも決め手のひとつだったと述べている。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

Axon(前のTaser)、警察向けボディーカメラは急成長―電気ショック銃からデジタル証拠管理にピボット

警察向けの電気ショック・ピストルで広く知られたTaser社は先月、Axonに生まれ変わった。警察向けに数千台のボディーカメラを無料で配るというAxonのキャンペーンは新市場を目指すピボットなのか、やけっぱちの賭けなのか注目されていた。Axonにとって幸いなことに前者だったようだ。Axonは急成長している。

細かい数字には立ち入らないが、Axonの第1四半期の決算によれば、「ソフトウェアおよびセンサー事業」の売上は対前年比で2160万ドルと2倍以上に伸びた。この事業部は警察向けのボディーカメラとカメラから得られる情報を処理するソフトウェアを販売している。全社の純売上は43%アップして7920万ドルとなった。

純利益は460万ドルで、これ自体は驚異的な額というわけではないが、先月同社がボディーカメラに興味を示した警察組織に対して「初年度は無料」という大型キャンペーンを開始したことを考えれば十分な成果だといえる。四半期末にアメリカの68の大都市の警察部のうち、36の組織がAxonのカメラを購入し、あるいはEvidence.comという証拠映像管理サービスに加入している。Axonは非常に健全なユーザーベースを確保したといえるだろう。

多くの警察組織がデジタル時代に対応する抜本的な装備とシステムの改革を行っている。このトレンドはAxonのピボットに追い風となっている。デジタル・テクノロジーは法執行機関にとって新奇な実験ではなく警察活動の標準的な手続きになりつつある。

こちらにAxonの四半期決算の発表

画像: David McNew/Getty Images

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AIに投資するTaserは、ボディカメラを使った犯罪予測システムを開発か

主たる事業を非致死性兵器から警察用ボディカメラに転換すると発表した時、スタンガンで知られるその会社は警察の説明責任に興味を示しているかと思われた。しかしthe Intercept およびTaserの2017年警察技術報告書の分析によると、実態はもっと複雑であり、はるかに薄気味悪いものらしい。

現在はAxonと呼ばれるその会社がボディカメラ部門を設立したのは数年前だが、2017年になって事業を拡大している。2月にDextroとFossil Groupという AI企業2社を買収して以来、この会社が新たな機械学習チームの目標を警察活動においていることを示す兆候が見られている。

同社は予言的警察活動システム構築への関与を明確に否定し、「当社が顧客のために予測を立てることはない」と主張しているが、報告書には同社が「公共安全に関するあらゆる情報の収集と分析を自動化し、これまで不可能だった実態解明の鍵を見つけ出すこと」を目標としていると公然と書かれている。報告書のAIおよび機械学習に関する部分では、ほかの業界が顧客の行動予測に活用している巨大データ群から優れた洞察を抽出していることを誇っている。

「トム・クルーズの映画『マイノリティ・リポート』に出てくる認識予測のレベルには達していないかもしれないが、個人の行動パターンは特定の振る舞いをする確率を知るための有効な情報になりつつある。そして当社のデータセットがさらに大きくなれば、確実なパターンを見つける分析アルゴリズムはさらに精緻化されるだろう。予言的警察活動が拡大することは必然だ。私はこれを悪いことだと考えていないし、TASERの2つの原則とも一致している。命を守ること、そして真実を守ることだ。善良な市民のプライバシーと権利を守りつつ、この2つの称賛されるべき目標の達成を促進するテクノロジーがあるなら、それを採用すべきだ」

Taserが人工知能につぎ込んでいる膨大な投資を考えれば、警察が生死にかかわる判断を下すのを助けるデータを提供することは、この会社の得意とするところだろう。同社が独自に設置した倫理委員会がその使命をどう果たしていくのかについては、今後を見守るしかない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ボディカメラの装着で警官に対するクレームが93%減少

METHUEN, MA - AUGUST 20: Methuen police officer Nick Conway wore a body camera while he wrote a citation on Saturday August 20, 2016. In May, the Methuen Police Department, with little fuss, became the first major law enforcement agency in Massachusetts to start using body cameras, putting them on 47 patrol officers after a six-month trial run last year. (Photo by Matthew J. Lee/The Boston Globe via Getty Images)

ケンブリッジ大学の研究によれば、警察官へのウェアラブルカメラの装着を義務付けると、警察官に対する苦情が大幅に減ることがわかった。特定の警察署にて一部の警官に対してカメラの装着を義務付けた場合、カメラを装着しない警官の振る舞いも変化するようでもあるとのこと。

データは7つの警察署から集めたものだ。2014年および2015年に収集し、記録時間はトータルで140万時間で、対象となったのは1,847人の警察官だ。データはCriminal Justice and Behavior誌に掲載され、こちらでPDFを閲覧することもできる。

カメラを装着する警察官は、1週間毎にランダムに選ばれた(全体の半数の割合で装着させた)。装着が義務付けられた警察官は、他人と話すシーンでは常にカメラをオンにしておくことが義務付けられた。カメラがどのような効果をもたらすのかについては、警官への不満の多寡を指標として用いた。たいていの警察署では、問題行動のあぶり出しのために一般市民から寄せられる不満などについて計測してもいるので、カメラの効果を確認しやすいという意味もあった。

カメラ装着実験を行う前年は、警官の行動に対する不満申し立て件数は1539件となっていた。そしてカメラの装着実験を行った2年目には、不満申し立ての件数は113件に減少したのだった。

Figure from the paper showing how much complaints were reduced in each experimental site.

実験を行った警察署における、不満申し立て件数の減少率

この結果を見る限り継続した研究ないしカメラの採用を本格的に検討すべきであるようにみえる。もちろん不満の申し立てが、必ずしも警察官による不適切な対応を示すというわけではないが、苦情の申し立て件数が減れば、調査のための時間も費用も削減することができる。また、研究では、カメラを積極的に採用すべきかもしれないもうひとつの変化も指摘している。

すなわち、カメラを装着した警察官に対する不満申し立てと、非装着の警察官に対する不満申し立て率に、違いが見られなかったのだ。

これはちょっと気になる話だ。公平な証拠を記録に残すカメラの存在が、警察官および市民の双方を冷静にして、カメラが存在する場合にトラブルが減少するという方が正しい帰結であるように思える。しかしカメラを装着しない警察官に対する不満申し立ても同じように減っているのだ。

「カメラで収集したデータを何度もみるうちに、警察官側に振る舞いを変えるべきだという意識が生まれたのかもしれません。それにより、コミュニケーションがうまくいくようになったという可能性もあります」と、研究のリードオーサーであるBarak Arielはニュースリリース中で述べている。「100%近く苦情申し立て件数が減っている中、他に考えられる要因は見当たりません」。

研究社たちは「contagious accountability」と名付けている。カメラに監視されていなくても、ただしい振る舞いをしようとする人が増えていく、というような意味だ。

この調査からは、警官が自らの振る舞いを大きく変えたのか、それとも苦情申し立て側(ないし被疑者など)が慎重になっているのかはわからない。両者が相乗効果を示しているのか、あるいは別の要因があるのかもしれない。そうしたことを明らかにしていくためには、さらに詳細な調査が必要ともなるだろう。ただ、調査の結果をいろいろとみてみる限り、他の要因が考えられるにしても、警官側の振る舞いが変わった可能性が高いようにもみえる。

今後、さまざまな角度からの検討が望まれるのはもちろんのことだ。しかしここに示される結果は十分に魅力的に見える。警察はウェアラブルカメラの導入に前向きであるべきなのかもしれない。

Arielおよび共同執筆者のAlex Sutherlandは、CambridgeのFestival of Ideasにて今回の研究成果を発表することになっている。近くに住んでいて興味のある方は、ぜひでかけてみてはどうだろうか。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

不法飛行のドローンを強制着陸させるために、訓練した鷲に襲わせるオランダ警察

ドローンを飛ばす民間人がますます増えているから、スタジアムとか政府の建物などの上空を飛ぶ操縦の下手なドローンをできるだけ早く地上に下ろしたい、という当局のニーズも指数関数的に膨らむ。

でもドローンメーカーはデバイスのコントロールを警察などが横取りするためのバックドアを今のところ提供していないから、当局筋は、飛行中のドローンを安全に下におろすための方法を、独自に考案しなければならない。

オランダのGuard From Above社は、訓練した猛禽類(鷲、鷹、…)にUAVを撃墜させるという、画期的な方法を開発した。

同社は主に、“国内だけでなく各国政府のセキュリティ機関”のための仕事をしているが、今はオランダ国家警察とパートナーして、猛禽類を利用するドローンの強制着陸方法の実用性を、試験している。

幸運にもオランダ国家警察は、鷲を使ってドローンを下におろす方法が最高にクールだと認めてはいるが、どんな場合にも使えるとは思っていない。そこで彼らは、鷹や鷲を使えない場合に備えて、“網や電子的方法”も探している。

当然ながら、法執行機関がドローンを下ろす最良の方法を探しているのは、オランダだけではない。先月、東京の警察が公開したビデオでは、警官たちが複数のドローンに大きな網を持たせて、小さなドローンを飛行中に“捕らえている”。

なお、鷹や鷲は生き物なので、オランダ国立科学研究所は、鳥たちが職務中に傷つかない方法を研究中だ、と宣言している

Feb 01, 2016 16:43

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Instagram上の犯罪容疑者と偽アカウントで友だちになる「犯罪捜査」は合法か?

警官が偽のInstagramアカウントを作成して、誰かと友だちになり、そして流れてくるフィードを調査したり、犯罪の証拠を摘発するようなことは合法だろうか。ニュージャージー州地方裁判所裁判官のWilliam Martiniによると、そのような行為は完全に合法であるとのこと。捜査令状も必要ない。

ArsTechnicaの記事によると、この判断は宝石窃盗団のリーダーであったDaniel Gatsonの裁判で示されたものだ。Gatsonは2013年に、FBIにより逮捕された。その際に、警官側はInstagram上に偽アカウントを作ってGatsonと友だちになり、そこから犯罪の証拠を集めたのだそうだ。

Gatsonはプライバシー設定(投稿は友だちのみが見られるようになっていた)により安全だと判断して、いくつか盗品の写真をアップロードしていたりした。この写真を見るために警官は偽アカウントを作成して友だち申請したのだ。裁判所は、Gastonがその友だち申請を受け入れた以上、そこから得られた情報に基づいてGastonの家宅捜査令状が発行されたことにも全く問題はないと判断している。

Vergeの記事にもあるが、InstagramがFacebookのような実名登録の仕組みを採用していれば話はまた違ったのかもしれない。実名登録が必要なかったので、警察側はGatsonがうっかり友だち承認してしまうような偽のアカウントを簡単に作ることができたわけだ。

こうしてソーシャルメディア上の「プライバシー」の境界は曖昧になり、犯罪捜査や刑事裁判などでも利用されていくことになるわけだ。もちろんこれはソーシャルメディアに限った話ではなく、インターネット時代となって、個人情報の取り扱い方を改めて考えなければならなくなっていることの一環でもある。

アカウント設定をいかにいじったところで、オンラインに公開した情報はプライベートなものではあり得ないのだ。全く用途が異なるはずのTinderを犯罪捜査に使うというような例もでてきている。

GigaOmの記事にもあったが、裁判所の公式ドキュメントはこちらで読むことができる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


Google Glassに究極のアプリが登場: 警官,消防士,災害救助などの現場が使用する多用途情報機器へ

Google Glassは、ポケットから携帯を取り出さなくてもTwitterでも何でもチェックできる、というだけのもんではない。もっともっといろんなアプリケーションの可能性がある。今日(米国時間8/19)、公共的通信の安全性に関するカンファレンスAPCOで紹介されたMutualinkも、そんな例の一つだ。それは、警官や消防士や救急隊員などのためのGoogle Glassアプリだ。

このアプリを使って犯罪や事故や災害などの現場の公務員たちが、リアルタイムビデオで現場の状況をストリーミングしたり、重要な文書(ビルの図面、被害者の医療記録など)を送ってもらって見たり、現場の監視・防犯カメラの画像を見たり、などなどができる。緊急時の現場作業員のための究極の情報機器であり、行政無線などが死んでいても本部やそのほかの組織と連絡できる。

このようなアプリには、プライバシー侵犯の懸念がある。最近ではニューヨーク市長のMichael Bloombergらが、警官のユニフォームにカメラを装着することに反対した。ありとあらゆる悪用の可能性があるから、という。しかしMutualinkは、機器のコントロールは最初から最後まで警官等の公務員の手中にあるので、そのセキュリティは保全される、と主張している。

公共の安全を担当する公務員たちがそうやって各現場で使うようになれば、Google Glassにとって大きなイメージアップだ。今後は建築現場などいろんな場所で、搭載ならぬ“頭載”型のコンピュータが一般的に使われるようになるだろうから、見た目にも違和感はなくなる。だからそれは、Google Glassにとって非常に長期的な用途の一つかもしれない。Mutualinkは今すでに、NATOの特殊部隊や、合衆国の国土安全保障省、警察庁、消防庁などにサービスを提供している。つまり、この製品の基盤となるような関係が、すでにあったわけだ。

まだロボコップではないが、一歩近づいたとはいえる。ただし下手をすると現場の人間が情報過剰で身動きできなくなる可能性もあるから、事前に十分なテストと教育訓練が必要だろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))