個性ある短編動画で仕事でのコミュニケーションを円滑にするPopcornの新しいアプリ

新しいスタートアップであるPopcorn(ポップコーン)が、仕事のコミュニケーションをより楽しく、個性的なものにしたいと考えている。同社のアプリは「ポップス」という名の短いビデオメッセージを録画する手段を提供する。これは長いメール、テキスト、Slackメッセージ、Zoomコールの代わりにさまざまな目的で使用することができる。最近は他にも、短時間の動画を撮影できる場所はたくさんあるものの、そのほとんどが職場環境としては適切ではないソーシャルメディア上に存在している。また、同僚に作業開始を報せたり、ちょっとした挨拶をしたいだけなのに、携帯電話で撮影した動画をメールに添付して送るのも大げさすぎる。

一方Popcornは、メッセージに個性を加えるために短い動画を作成して、その動画のURLをどこにでも送ることができる。

例えばビジネスネットワーキングの場面でPopcornを使用することができる。同業他社の人と初めてコンタクトを取ろうとする、いわゆる「コールドアウトリーチ」(初回接触)の場面だ。LinkedInでいきなりメッセージを送りつける代わりに、PopcornのURLを貼り付けて、より自然でフレンドリーな自己紹介をすることもできる。また、職場のチームでも、毎日の始業確認や、進行中のプロジェクトの進捗状況の共有、新入社員へ挨拶などにPopcornを使うことができる。

画像クレジット:Popcorn

動画の長さは60秒までで、これはPopcornを使う際に、まとまりのないものにならないようにするための制限時間だ。また、動画に映りたくない場合は、音声のみを録音することもできる。見る側が急いでいるときには再生速度を上げることもできる。また「ポップ」を受け取りたいユーザーは、自分の「ポップコード」を宣伝することもできる(例:私のコードは U8696 だ。良かったら試してみて欲しい)。

職場に短編ビデオを導入するというアイデアを持ち込んだのは、Popcornの共同創業者であり、CEOのJustin Spraggins(ジャスティン・スプラギンス)氏だ。彼は消費者向けアプリの開発に携わってきた経験を持っている。彼が作って初めて話題になったアプリの1つが、2014年にリリースされたTinder(ティンダー)にInstagram(インスタグラム)を組み合わせたようなLooksee(ルックシー)というアプリで、ユーザーは共有された写真を使ってつながることができた。その数年後、彼はUnmute(アンミュート)というソーシャル通話アプリを共同創業したが、これはClubhouseの前身のようなものだった。その後、消費者向けアプリの開発会社である9 Count(ナインカウント)を共同創業し、BFF(旧Wink)やJuju(ジュジュ)などのソーシャルアプリをローンチしてきた。

9 CountのリードエンジニアであるBen Hochberg(ベン・ホックバーグ)氏は、Popcorn(法人名はSnack Break[スナック・ブレーク])の共同創業者の1人だ。彼らがPopcornの開発に着手したのは2020年の、新型コロナパンデミックが始まった直後のことだった。しかし、その後のリモートワークへの急速な移行により、Popcornは分散したチームの間で支持されるようになってきた。現在のリモートワーカーは、オフィスでの対面式の会議には二度と戻れないかもしれないものの、一方ではZoom(ズーム)ミーティングに長時間付き合わされることにも疲れを感じている。

Popcornの目的は、仕事のコミュニケーションを楽しく、パーソナルに、そして一口サイズにすることだとスプラギン氏はいう。そして「消費者向けソーシャルアプリで私たちが夢中になっているものを、仕事の場に取り入れたいと思っています。今の私たちにとってそれはとても重要なことだと思っています」と説明している。

「いろいろな人たちと仕事をする際に。私たちはどうやって──ただしZoomの予定は入れずに、どうやって『人間味』を持ち込めばいいのでしょうか?」とスプラギン氏はいう。「仕事のためのツールを、単なる便利な道具ではなくSnapchat(スナップチャット)のようなものにすることに大きな喜びを感じています」。

Popcornをビジネス向けソーシャルアプリとして真に機能させるためには、セキュリティの強化、スパムの制限、悪質な行為への何らかの報告フローの提供などの多くの課題が残されています。また、最終的には健全な収益モデルに着地する必要もあります。

現在、PopcornはiPhone、iPad、Macで無料でダウンロードでき、Slackとの統合も可能である。よって同僚に、いますでにキャッチアップや連絡を取り合うために使用しているコミュニケーションソフトウェアを使って、ビデオメッセージを直接送ることができる。現在のアプリは非常にシンプルだが、今後はARフレームを使ってユーザーの個性を表現するショートビデオを充実させていく予定だ。

スタートアップは、General Catalyst(Niko Bonatsos[ニコ・ボナストス]氏)とDream MachineAlexia Bonatsos[アレクシアボナトソス]氏、元TechCrunchの編集長)からプレシードラウンドで40万ドル(約4400万円)を調達した。スプラギン氏によると、同社は2021年秋にはシードラウンドを行い、AR技術を含めた採用に役立てたいと考えているそうだ。

関連記事
従業員同士が自分の都合に合わせてコミュニケーションがとれる新しい非同期ビデオツール「Weet」
TikTokのライバル、最大60秒の動画を投稿できる「YouTube ショート」が日本を含む100か国以上で利用可能に
画像クレジット:Popcorn

原文へ

(文: Sarah Perez、翻訳:sako)