エンタープライズ向けAPIプラットフォームのPostmanが約160億円を調達

APIは、一連の異なるアプリケーションおよびデータソースへの接続を実現する方法を提供し、企業が直面する複雑な統合問題の多くを簡素化するのに役立つ。Postman(ポストマン)はエンタープライズ向けAPIプラットフォームを構築している企業だが、パンデミックの最中の米国時間6月11日、なんと20億ドル(約2100億円)という評価額の下に、1億5000万ドル(約160億円)のシリーズC調達を行った。

既存投資家であるCRVとNexus Venture Partnersの協力を受けて、ラウンドをInsight Partnersが主導した。同社によれば、今回のラウンドにより調達総額は2億700万ドル(約220億円)に達したという。これには、1年前に行われた5000万ドル(約54億円)のシリーズB(未訳記事)も含まれていて、結果として1年のうちに2億ドル(約210億円)が調達されたことになる。これは潤沢な現金だ。

PostmanのCEOで共同創業者のAbhinav Asthana(アビナフ・アスタナ)氏は、そうした投資を引きつけている魅力は、そのエンドツーエンドのプラットフォームだと語る。「私たちは、開発者、QA、DevOps、ともかくAPIの構築に携わっている方なら誰でもが、同じプラットフォームで作業できるように支援します。利用者は、高品質のAPIを開発するために、私たちのツールを設計、文書化、テスト、監視のために利用できますし、開発速度も向上させています」とアスタナ氏はTechCrunchに語った。

彼は、このラウンドが進むまでは、投資を積極的に求めていなかったと言う。実際、彼によれば、パンデミックが3月にカリフォルニアですべてを閉鎖してから、投資家たちが彼に接近してきたのだと言う。そして彼はそれをスタートアップの価値が認められたからだと理解している。

「私たちは、それは会社の強さを表していると考えています。開発者や企業を横断して驚異的な採用が進んで、パンデミックは(私たちに大きな影響を与えていません)。わが社は(投資家の皆さんから)クレイジーと言えるほどの関心を集めているのです」と彼は語った。

彼はまだ株式公開の問題に触れたくはないようだったが、この巨額の評価額が市場に対して、自社がしっかりした企業でありこの先もしっかり存続していくというメッセージを送ったとは感じている。

今回のリード投資家であるInsight Partnersの、共同創業者兼マネージングディレクターであるJeff Horing(ジェフ・ホリング)氏は、確かにそのように考えている人間だ。「市場機会、現経営陣、およびPostmanの成功実績が組み合わさることで、彼らがソフトウェア業界の次の大成功者になる準備が整っていることが示されています」と彼は声明で述べている。

現在、同社の従業員数は約250人で、米国とインドのバンガロールに分かれているが、彼は来年にはその数が2倍になるとみなしている。パンデミックが彼に示したことの1つは、彼の従業員がどこからでも働くことができることだった。この先彼は最も多様な人材プールを可能な限り活用して、世界中から人材を雇うつもりだ。

「私たちが労働力を増強していく際に、私たちの大規模なコミュニティの中から多様な才能を探すことは、労働力確保の解決のための重要な手段となることでしょう。それとともに、さまざまなコミュニティの人たちにイベントに参加してもらい、それらのコミュニティと常に連絡を取り合うようにしたいと思います。そうすることで、非常に強力で多彩な雇用機能を構築することができる筈です」と彼は言う。

彼はさらに付け加えて「私たちはそれについて慎重に考えたいと思っています、そして今後数ヶ月にわたって、私たちが具体的に何をしているのかについてより多くの光を当てていくことになるでしょう」と語った。

関連記事:Postman raises $50 million to grow its API development platform(PostmanがそのAPI開発プラットフォームを拡大するために約54億円を調達、未訳

画像クレジット: Postman

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(翻訳:sako)

迅速安全なAPI開発のためのプラットホームPostmanがシードで$1Mを調達…登録ユーザ数150万に

postman

問題解決への意欲から、強い企業が生まれる。それは、ファウンダを個人的に苦しめた問題であることも多い。APIを開発するチームのためのプラットホームを提供するPostmanも、それが良いスタートを切るためのバネだった。加えてこのインドのスタートアップは、Nexus Venture Partnersから100万ドルのシード資金を獲得した。

PostmanのCEOで協同ファウンダのAbhinav Asthanaは、Yahooでインターンをしていた2009年にAPIの開発を手伝い、その問題に遭遇した。

“APIの制作と、それを使った開発とのあいだを、行ったり来たりしなければならないんだ”、と彼は説明する。“その結果、APIも目的アプリケーションも、どちらも、ものすごく時間がかかる。時間がないから、APIのドキュメンテーションもきちんと整備できない”。

バンガロールのオフィスでAsthanaは、その後もこの問題に付きまとわれた、と語った。彼が2010年にパノラマ写真のアプリケーションTeleportMeを作ったとき、それはその後2012年に苦労してオープンソースのソリューションを開発するきっかけになったのだが、サイドプロジェクトの方がおもしろい、と感じる機会があった。そこで彼は2013年9月にPostmanをスタートし、元AdobeのエンジニアAnkit SobtiをCTOに迎えてAPI開発用プラットホームの構築に着手した。

それから18か月経った今、PostmanのサービスはChromeのアプリケーションとして可利用になり、一気に成長した。今、登録ユーザのデベロッパは150万に以上おり、そのうち80万あまりがアクティブユーザだ。ユーザは世界各国に分布し、合衆国ではBoxやMicrosoft、Ciscoなども利用している。

インドの社員9名の企業にしては悪くない結果だが、今回のシード資金で年内にサンフランシスコにオフィスを開く予定だ。社員増も、考えている。ただし、あまり大人数の会社にはしたくない、とAsthanaは言っている。

Postmanの中心的な機能は、APIのためのGoogle Docs、といったところだ。つまりチームが変化変更を追跡でき、コラボレーションで仕事ができる。それにより、破綻のない、コミュニケーションの齟齬のない、APIの開発ができる。

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つまりPostman Syncは、API開発のワークフローの全体を一つの場所に置く。検索ができ、アプリ内のAPIをチェックすることもできるので、複数のサイトやドキュメンテーションを行ったり来たりして、どこで何がどう変更されているかなどを調べる必要がない。

またPostmanは、ユーザであるデベロッパにAPIのアップデートに関するニューズフィードを提供し、データをクラウドへシンクする。これによってバグをなくし、変更によってAPIが不具合になることを防ぐ。そして、サービスやアプリケーションが完全な管理下に置かれる。

“APIの扱い方を変えたいんだ”、とAsthanaは言う。“APIの最大の問題点は、仕様等がよく変わるけどそれがドキュメンテーションされないことだ。だから必然的に、アプリケーションはぶっ壊れる。うちは、そんな野蛮時代を終わらせたい”。

このサービスには無料のバージョンもあるが、Postman Syncの有料サービスはデベロッパ10名までが月額49ドルだ。Asthanaは、登録ユーザのせめて5%は有料会員にしたい、と願っている。また大企業などが利用するときは、料金の相談に応じる。

口コミで伸びてきたPostmanだが、今はSyncのコラボレーションプラットホームを改良中だ。それが終わったら、今度はネイティブアプリを作りたい、とAsthanaは言っている。モバイルアプリからの利用が多くなる、と見込めるならば、ということだが。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa