Palette 2はどんな3Dプリンターもカラー化する

Mosaic ManufacturingのPalette 2——オリジナルのPaletteの改訂版——は自己完結のフルカラー3Dプリンティングシステムだ。複数の色のフィラメントを切ったりつないだりして、作品のプリントに合わせてプリンターに送り込む。Splice Coreと呼ばれる独特の内部カッターがフィラメントを適切な長さに切ってプリントに使うフィラメントの色を迅速に切り替える。

プリンターは4色を出力可能になり、好きな色も好きな量だけプリントできる。余分な色はタワーと呼ばれる小さな塊に射出するので、必要に応じて各色をわずかな量でも多くの量でも利用できる。フィラメント切れ検出もあるので長時間かけて大きな作品を作ることもできる。

Paletteは既存の多くの3Dプリンターで使うことが可能で、Paletteや上位機種のPalette Proを使うためにプリンターを改定する必要はない。Canvasという新しいソフトウェアを使うとユーザーはカラープリントの計画を立てて、命令をPaletteとプリンターの両方に送り込める。

Palette 2の価格は449ドル、Proは699ドル。ProはPalette 2よりも高速にプリントできる。

これは実に賢い工夫だ。プリンターに全部の仕事をやらせる代わりに、フィラメントに働かせる。ほぼあらゆるプリンターでPaletteを使うことが可能だが、現在同社は多くの人気プリンターにネイティブサポートをするよう交渉している。スマートフォンのケースや伸縮可能な素材を使ったラバー風ウォッチバンドや教材なども3Dプリントできる。いちばん印象深いのは何か? このシステムを使うと脳の断面図をプリントして腫瘍の部分を黄色で表すことができる。(まだ)完全なフルカラーではないものの、Paletteは低予算でカラー3Dプリントを考えている人にとってはすばらしいソリューションだ。

  1. scaled-2

  2. scaled-1389

  3. scaled-1391

  4. scaled-1401

  5. scaled-8367

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

3000ドルで売れるフルカラーの3DプリンターをXYZPrintingが発表、コロンブスの卵のようなアイデア

家庭用のフルカラーの3Dプリントは長年、消費者とホビイストの究極の夢だった。これまで、小さな装身具などをプリントするのは楽しかったけど、多色のアクションフィギュアのようなものを作れたら、それこそ消費者用3Dプリントの革命だ。そして実は、インクジェットという技術によって、その革命の入り口あたりにすでに近づいているのかもしれない。

3Dプリンターの人気製品Da Vinciシリーズを作っているXYZprinting日本)は、2014年にレーザースキャナーでもある3Dプリンターを発売したが、今日(米国時間8/31)は定価3000ドルのDa Vinci Colorを発表した。それは、プリントしながらフィラメントに、インクジェット方式で着色していく3Dプリンターだ。それまでのフルカラー機は、ナイロンの粉末とか複数のフィラメントを混ぜることによって、フルカラーをシミュレートしていた。Da Vinci Colorは、プラスチックのオブジェクトのプリントに使われている熱したPLAフィラメントに色を単純にスプレーし、フルカラーのオブジェクトを作る。フィラメントのスプールは35ドル、インクは65ドルだ。

そして、極めつけの特長は、使える色数がほとんど無限であることだ。プレスリリースはこう言っている:

業界初の究極のフルカラー3Dプリンター、XYZprintingの3DColorJetソリューションは、da Vinci ColorがPLAフィラメント上にCMYKの色の飛沫を鮮やかに、正確に、高い精度で輝かせることを可能にする。このプリンターの技術は、最終的に完成した3D製品上に、1600万色のフルカラースペクトルを実現する。弊社独自のその技術は、インクジェット印刷によって実現する微細な色分けと、高度でプロフェッショナルな3Dプリント技術を組み合わせている。

 

このやり方をトライしたメーカーは過去にもあったが、それを単純で低コストな技術として完成させたのはXYZが初めてのようだ。なにしろこれは、プリンターの価格が単色の3Dプリンターとあまり変わらない。とりあえず、われわれとしては、それ以上望むものはないだろう。下のサンプルを見ても分かるように、このプリンターは小さな部分にも運転時に彩色できる。フィラメントを交換して色の帯をプリントするほかの製品とは、大違いだ。そういうマシンは、かなり派手な色のプリントは可能だが、色がそのうちあせてしまう。それに対してこちらは、ふつうのフィラメントでプリントできるから、大進歩だ。

このプリンターは今、$2999.95で予約販売中、店頭に出たら$3500になる。

  1. img_9944.png

  2. img_9971.png

  3. img_9952.png

こんなものがついに出たことに、ぼくはコーフンしている。これで3Dプリントが家庭に大普及するとは思われないし、色を後から塗るやり方でも場合によっては十分だが、でも同社の技術がもっと進歩したら、たとえばデザイナーが自分の製品(建物でも玩具でもよい)のプロトタイプをいろんな色で簡単に試作するなんてことが、可能になるだろう。ふつうの3Dプリンターを2000年代のドットマトリックスプリンターだとすれば、こちらは21世紀のインクジェットプリンターだ。その巧妙なハッキング的技術は、確実に次の時代を開くだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

炭素繊維とガラス繊維を使って鋼鉄よりも強度のある機械部品を3DプリントするMarkforgeのX3とX5

ボストンで3Dプリンターを作っているMarkforgedが、二つの新機種、X3とX5を発表した。どちらも、ふつうのフィラメント方式のプリンティングで、炭素繊維を満たしたオブジェクトを作れる。それらのオブジェクトには、スチール製のオブジェクトを置換できるほどの強度がある。

どちらの機種もレベリングとスキャンニングを自動的に行い、完全に同じオブジェクトをプリントできる。またどちらも、Markforged特製の特殊な熱可塑性ファイバーフィラメントを用い、X5の方は“ガラス繊維フィラメントの連続的供給”を行うので、通常のプラスチックよりも“19倍も強く10倍の硬度のあるオブジェクト”を作れる。つまり同じマシンで実用に耐える部品と実用に耐える工具の両方を作れるし、ガラス繊維のフィラメントのおかげで、それらは使用中に折れたりしない。あるユーザーは、わずか10分で、自転車の車輪の(チューブの)バルブを締めるバルブレンチ(下図)を作った:

次は悪いニュース。X3はたったの36990ドル、X5は49900ドルだ。Markforgedは、“国内の製造業企業”がターゲット、と言っている。良いニュースは、ユーザーのニーズの変化によっては、X3の機能をX5にアップグレードできること。またどちらも、製造業企業がプロトタイプではなく最終製品の生産に使えることだ。しかも、エンドユーザーの現場でも。

“顧客は、特定の部品が必要になったその日のうちに、強度とコスト要件を満たす部品を作れる”、とCEOのGreg Markは語る。

これらのプリンターは、Markforgedが最終的に目指している“物質転送システム”への途上にある。その複雑なスキャンニングと測定システムにより、ユーザーは遠方から3Dプリントのモデルだけを受信し、完全に同じものを自分の目の前に実現する。そのシステムにはフェイルセーフモードがあり、プリントが異常停止した場合にはレーザースキャナーがその原因を調べる。そしてプリンターはその箇所からリスタートする。同社は金属の3Dプリントについても独自の研究開発を行っていて、それにより複雑な機械の複雑な部品でも、実用に耐える強度のものをプリントできる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

トースターのように誰もが使える3Dプリンタを目指したSkriware、799ドルでフルオート

82cc42358bd4bc1fd3cb3fd9b384f350_original

まず、下のビデオをご覧いただきたい。アクション映画の予告編のナレーションを担当しているような男が、ちょっとおかしな英語で喋っているこのビデオは、これまでぼくが見たKickstarter上の売り込みビデオの中では、最高傑作だ。おっと、いきなり脇道に逸れてしまったが、このポーランド製の3DプリンタSkriwareは、これまでの3Dプリンタおよび3Dプリントのあり方に不満だった連中が作った。もうこれ以上、新しい3Dプリンタは要らないよ、という声も聞こえるが、Skriwareはもっともっと使いやすいソフトウェアとハードウェアを目指している。

目標は、ユーザにワンタッチシステムを提供することだ。ネット上にさまざまな、3Dプリントオブジェクトのマーケットプレースがある。そこから何かをダウンロードしてプリント物が出来上がるまで、ほとんど人手が介入しない。それはほかの家庭用3Dプリンタでもできるが、799ドルの機種にそんなフルオートの機能はなかった。

低価格化の鍵は、プリントヘッドの設計を単純化したことと、熱をあまり必要としない素材を使ったことだ。彼らは、焦点を使いやすさに絞った。3Dプリントの市場においては、それは新しい切り口だ。

“Skriwareは、できるかぎり使いやすくて、直観的に使える3Dプリンタを目指した。ゲームのフィギュアを作りたい小学生でも、孫にテレビドラマの超人的ヒーローの形をしたクッキーを作ってあげたいと思っているおばあちゃんでも、簡単に使えるプリンタを作りたかった”、と彼らは書いている。

発売は来年の4月だが、すでに完成度は高いようだ。ヨーロッパ製の、電脳内蔵の、デバイスだ。3Dプリンタを売るために、こんな仰々しいナレーションは要らないと思うが、たしかに3Dプリントの市場は、今や変化の時期だ。

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。