OperaがSurfEasyを買収してブラウザからVPNができるようになる…とくに途上国ユーザがターゲット

【抄訳】

Operaは、モバイルデスクトップでWebを閲覧するためのソフトウェア、つまりブラウザを作っている企業だが、そのOperaブラウザには今、3億5000万人のユーザがいる(主に途上国のモバイル)。同社がこのほど、Webをもっとセキュアに閲覧するための仮想非公開ネットワーク(virtual private network, VPN)のアプリケーションを作っているカナダのトロントの企業SurfEasyを買収した。

Operaがセキュリティ関連の買収をするのはこれが初めてだが、それは近年、消費者の要求が、Operaが得意としてきた簡単容易にWebを閲覧できることから、プライバシーの保護に変わってきているためだ。

【中略】

Operaのユーザが圧倒的に多いのは途上国のしかもモバイル市場だが、ここのユーザはとくに、政府の監視や検閲をかいくぐったり、特別なコンテンツを見るために地理的条件を偽ったりするために、VPNというトンネル技術が日常的に重宝する。だからブラウザにVPNをくっつけてしまえば、この市場においてOperaは今後ますます有利になる、と同社は考えているのだ。

Operaの計画では、SurfEasyの製品は当分、SurfEasyの製品のままであり続ける。

それらはまず、Windows、Mac、Android、およびiOSデバイスのためのフリーミアムVPNアプリだ。USBスティックに収めたVPNプロダクトSurfEasy Private Broswerもあり、これは、いろんなデバイスをほかの人と共有しているような場合に便利だ。SurfEasyのブランドをそのまま残すOperaの戦略の根拠は、このブランドがすでに消費者のリビューなどで好評であるためだ。消費者が食いつくためには、OperaのVPN、という新ブランドより有利だろう。

VPN機能がOpera製品(とくにブラウザとデータ圧縮関連)に完全に統合化されてSurfEasyブランドがなくなる日は、まだ遠い先だし、Opera自身がそれには全然言及していない。しかしSurfEasyのままであっても、フリーミアムなどからはOperaとしての収益が得られる。

なお、買収の形式や価額などは、公表されていない。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa


Googleがプライバシーポリシーをユーザに無断で統一したとしてオランダ政府が$15Mの罰金刑

オランダ政府のデータ保護当局がGoogleに対して、同国のデータ保護法に従ってそのプライバシーに関するポリシーを2015年2月末までに改めなければ、最大1500万ドルの罰金を課す、と通告した。

Googleは2012年の1月に、同社の60あまりのプロダクトのプライバシーポリシーを統一する、と決定した。それは主に、ターゲティング広告のためのユーザ情報を集めやすくするためだったが、早速10月にはEUの当局がそれを批判し、次いでフランスのデータ保護監視機関が噛み付いた。これらに続いてヨーロッパの6か国のデータ保護機関が個別に調査を開始し、その一つであるオランダは昨年4月に、Googleの個人データの扱いに関する調査に着手した。

オランダのデータ保護当局CBPは、Googleに対してしびれを切らしたらしい。今週初めに発表した声明文でCBPは、Googleは複数のプロダクトにの複数のプライバシーポリシーを統一するにあたって、ユーザからの明確な同意を得るべきだ、と述べている。つまり、プライバシーポリシーに関する一般的な同意…[同意する]ボタン…ではだめで、明確な許可画面を要する、とCBPは主張する。

Googleはまた、どんな個人データをどのサービスから取得して、何の目的のために使っているか、という情報を、プライバシーポリシーの中で明確かつ一貫性のある形で開示すべきだ、とも言っている。

CBPはさらに、YouTubeがGoogleのサービスであることをはっきりと明示せよ、と懸念を表明している。ただしこのオランダのデータ保護当局(CBP)は、Googleはこの点に関しては適切な行動をとった、とも述べている。

CBPのJacob Kohnstamm長官は、“Googleはわれわれの個人情報を目に見えない蜘蛛の巣で捉えているが、そのことをわれわれに告げることもなく、またわれわれの許可を求めてもいない。それは2012年以来行われており、われわれの忍耐をこれ以上試すことは許されない”、と述べている。

Googleは調査を開始した6か国(フランス、イタリア、ドイツ、スペイン、オランダ、イギリス))に書簡を送っている、とCBPは付け加えている。その書簡には、プライバシー保護に関するヨーロッパの法令をGoogleが遵守するための大量の方策が詳細に書かれている、とCBPは言っている。

しかしながら、CBPによれば、Googleが提案しているそれらの方策によって、プライバシーの侵犯が明らかになくなるとは、まだどこも判定していない。

オランダ政府からの罰金の脅しに対してGoogleのスポークスパーソンは、次のように述べている: “オランダのデータ保護当局からご指示を頂いたことは残念である。なぜならば弊社はすでに、彼らの懸念に対応して弊社のプライバシーポリシーに数多くの変更を加えているからである。しかし最近弊社は、ヨーロッパのプライバシー規制グループからさらなる変更のご提案を頂いている。近くこれらについてご説明申し上げたいと願っている”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


忘れられる権利の適用をヨーロッパのサブドメインだけでなくgoogle.com本体にも、とEU規制当局が求める

【抄訳】

Googleはそれを蹴った。会長Eric Schmidtも先月、公衆の門前でそいつを蹴り上げた。しかしEUの規制当局は、そのいわゆる“忘れられる権利(right to be forgotten, RTBF)”の規則が、Google.co.ukのようなヨーロッパのサブドメインだけでなく、Google.comにも適用されることを求めている。

それをしないと、Google.co.ukでだめならGoogle.comをトライすることが、誰でも容易にできてしまうからだ。特定個人のスキャンダル等をGoogle.comで見つけて、それがGoogle.co.ukでは出ないことを知るのも、簡単だ。

‘忘れられる権利’という奇妙な名前で呼ばれているものの実体は、(公人以外の)個人に関する不正確で古くて今の当人とは関係のない情報が、その人の名前で検索をしたときに、いかなる検索エンジンでも検索結果として出現しないことを求める、個人の権利のことだ。情報をインターネット上から消すリクエスト、という報道が一部為されているが、それは誤りだ。またEUのこの規則の適用対象はGoogleだけでなない。しかしヨーロッパでも検索におけるGoogleのシェアは90%もあるから、Googleが標的になることが圧倒的に多い。

規則が今年の5月に公布されてからほぼ半年になるが、その間にGoogleが受け取った情報隠蔽リクエストは17万5000件、URLの数では60万を超えている。これらの中でGoogleが隠蔽化したのはリクエストの半分以下(41.5%)、URL数では20万8500だ。

RTBF規則の根拠となる上位法は、EUのデータ保護法であり、インターネットの検索エンジンもその法を守る義務がある、とされている。個人の保護を目的とするが公人はその保護の対象外となるこのルールには、曖昧性や難しい問題が入り込む可能性が多々ある。これまでのGoogleのやり方については、この文書が参考になるだろう。

【後略】

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スノーデンのプライバシーに関する助言:Dropboxは捨てろ、FacebookとGoogleには近づくな

エドワード・スノーデンによると、プライバシーを重視する人は、Dropbox、Facebook、Google等の人気サービスには近寄らない方がよいらしい。

スノーデンは今日(米国時間10/12)、New Yorker Festivalの中でリモートインタビューを受け、プライバシーを守るために、何がわれわれにできるかについていくつか質問に答えた。

最初の回答は、政府方針の改革についてだった。自分には「隠すものは何もない」という立場を取る人々に対して、それは「権利のしくみに関する責任の在り方を覆すことだ」と反論した。

「私には隠す物など何もない」と言うことは「この権利のことなど私にはどうでもよい」と言っているのと同じだ。つまりは「私はこの権利を持っていない、なぜならそれを正当化しなくてはならなくなったからだ」とあなたは言っている。本来、政府によるあなたの権利に対する侵害は、政府が正当化しなくてはならない。

さらに彼は、個人レベルでは暗号化ツールを活用し、「プライバシーの敵」であるサービスは使うのをやめるべきだと言った。例えばDropboxを避けるべき理由として、「暗号化をサポートしていない」ことを挙げ、SpiderOakのようなサービスを使うべきだと言った(スノーデンは以前にも、Dropboxがユーザー情報の保護は最優先であると回答したことに対して同様のコメントを述べた)。

[アップデート:Dropboxはスノーデンの発言に関連して、6月のブログ記事に「Dropboxで送受信されるファイルは、ユーザーとサーバーの間で暗号化」されており「サーバー上でも同様である」と書いている。DropboxとSpiderOakの違いは、ここにも説明されているように、SpiderOakは、ユーザーのコンピュータ上でもデータを暗号化している点だ。]

彼によると、FacebookやGoogleはセキュリティーを改善してはいるが、今でも使うのを避けるべき「危険なサービス」だという(彼がこう話すのを見ている人の画面には、必ずGoogle HangoutかYouTubeのロゴがスノーデンの顔の上に表示されていたわけだが)。この点に関する彼の最終的アドバイスはこうだ。暗号化されていないテキストを送るな、代わりにRedPhoneSilent Circleのようなサービスを使え。

インタビューの中でスノーデンは、iOSが暗号化を強化したことが犯罪取り締りに支障を来たすとする主張を退けた。たとえ暗号化されていても、政府機関は対象者の電話機を全面調査する捜査令状を取ることが可能であり、電話機には暗号化データの解読キーが入っている。しかも、AppleやAT&T、Verizon等がデータの召喚を受ける可能性もある、と彼は言った。

プライバシー問題以外に、スノーデンはなぜ彼が政府の電子監視プログラムを暴露する文書をリークするに至ったかについても話した。

秘密のプログラムはあってもいい。取り調べを受けている個人全員の名前を米国民が知る必要がないことはわかるだろう。諜報機関のあらゆるプログラムに関して、われわれが技術的詳細を知る必要もない。しかし、政府がどんな力を持っているのか・・・そしてそれがどうわれわれに影響を与え、どう海外との関係に影響を与るのか、大まかな概要は知る必要がある。なぜなら、もし知らなければ、もはや我々は市民ではなく、もはや我々にリーダーはいないからだ。我々は国民であり、我々には指導者がいる。

なぜスノーデンは米国へ帰って法廷に立たないのかという理由について彼は、米国政府のThomas DrakeChelsea Manningなどの内部告発者に対する扱いを見て、自分が開かれた法廷で陪審員によって裁かれることはないと確信したからだと言う。

「私は政府と交渉する中で、開かれた裁判、即ちDan Ellsbergと場合と同じように公正な裁判を行う用意があるなら喜んで応じると、再三再四政府に伝えた」と彼は言った。「しかし、未だに拒否され続けている」

スノーデンは、彼が中国やロシアという、それ自身人権やプライバシーに関して潔白とはいえない国々の保護を受けていることの矛盾は認めている。いわく、ロシアは彼が中南米へ行くための乗り継ぎ地のはずだった ― しかしパスポートは彼がモスクワ空港にいる間に取消された。

New YorkerのJane Mayerはインタビュー最後の雑談で、スノーデンにこれで自由にウォッカが飲めるだろうとほのめかした。彼はこう答えた。「実は私はアルコールを飲まない。殆ど知られていない事実だが、私は今までに酔ったことがない」

インタビューの全篇ビデオを下に貼った。プライバシーと消費者向けインターネットサービスに関する議論(2つの質問は続いている)は、58:30付近から始まる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Facebook、「共有範囲を確認」メニューを新設―3ステップでプライバシー設定をチェック

Facebookに対するユーザーの最大の不満は「自分の情報が誰と共有されているかわかりにくい」というものだ。そこでFacebookではプライバシー設定が3ステップで簡単にチェックできる「共有範囲を確認」という新たなメニューを追加した〔日本語化ずみ〕。

このメニューは3月にテストされたものだが、今回、全ユーザーに公開された。

当面、この機能はウェブ版のみだが、モバイル版ユーザーの膨大な数を考えればいずれモバイル版も開発されるだろう。Facebookとしては、チェックのために多少の手間がかかっても、ユーザーが自分のコンテンツや個人情報が誰と共有されているかはっきり知っている方が、Facebook上でのより多くの活動を期待できると考えているようだ。この「共有範囲の確認」は近く、Facebookでログイン動作を行うたびに、ホームスクリーンにポップアップすることになるようだ。

「共有範囲を確認」の最初のステップは「投稿」で、現在の投稿の共有範囲が表示され、必要なら変更できるようになっている。

次のステップは「アプリ」で、アプリの情報の共有範囲が表示される。

最後のステップは「プロフィール」でユーザーのプロフィール情報の共有範囲がアイテムごとに表示される。

これまでFacebookではユーザーが情報をうっかり意図しない範囲に公開してしまうことがしばしば起きていた。その結果、就職に失敗したり、インターネット・ストーカーを引きつけてしまうなどの深刻な結果となる可能性があった。.

新しい青い恐竜のマスコットはFacebookのプライバシー問題を象徴しているようで面白い。一見するとかわいらしく無害そうだが、ユーザーのデータを食べて育つときわめて強力な存在になる。シンプルな3ステップのチェックだけで錯綜したプライバシー問題がすべて解決するわけではないが、ともあれ正しい方向への(恐竜の)一歩であることはまちがいない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Facebookに対するヨーロッパのプライバシー集団訴訟が1万1000人を集める

先週の金曜日にヨーロッパ対Facebookというキャンペーン・グループがFacebookを標的とした新たな法廷闘争を開始した。このグループはアメリカとカナダ以外の地域に居住する成人の非商用Facebookユーザーに対し、集団訴訟に参加するよう呼びかけた。

今日、グループがTechCrunchに提供してきた情報によると、この集団訴訟にはすでに1万1000人が参加したという。国別にみると、約半数はドイツ語圏で、これにオランダ、フィンランド、イギリスが続く。

このグループは特に以下のような点をFacebookによる不法行為だと主張している。

  • Facebookのデータ利用約款はEU法に照らして無効
  • 多くのデータ再利用について実質的な同意を得ていない
  • NSAのPRISM監視プログラムに協力した
  • (「いいね!」ボタンなどのツールにより)Facebookサイト外でユーザーの行動を追跡している
  • ビッグデータ処理によりユーザー行動を監視し、解析している
  • 「グラフ検索」の導入は不法
  • 同意を得ずにユーザーデータを外部アプリに引き渡している

この訴訟はFacebookのアイルランド子会社を被告としてオーストリアのウィーンの商事裁判所に起こされた。原告は「ヨーロッパ対Facebook」グループの代表であり、ウィーンを本拠にする弁護士、プライバシー活動家のMax Schremsだ。実際の訴訟活動を行うのはSchremsだけで、他の訴訟参加者はなんら義務を負わない。訴訟のコストはオーストリアの法律事務所、ROLAND ProzessFinanz AGが負担している(勝訴した場合、賠償額の20%を得る)。

賠償金額は1ユーザーあたり500ユーロと意図的に少額に抑えられている。しかし訴訟参加者の数が増えれば巨額になり得る。現在の1万1000人の参加者でも総額は550万ユーロ(7億5671万円)だ。

訴訟に参加するためにはFacebookのアカウントを持っていることと同時に住所、氏名、生年月日(成人であること)などかなりの個人情報が必要だ。また身元を証明するためにパスポートなど政府発行の身分証明書をアップロードする必要がある。こうした面倒な手続が必要であるにもかかわらず、わずか数日で1万1000人もの訴訟参加者が集まったのには驚かされる。

Schremsは訴訟の場所としてFacebookのヨーロッパ本部が置かれているアイルランドではなくオーストリアを選んだことについて「アイルランドはIT産業振興の点からFacebookに過剰に肩入れしているからだ」と述べた。

【後略】

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


インターネットを救うためにはサーバが死ぬ必要がある

【抄訳】

今のインターネットは、私たちにとってふさわしいインターネットだろうか? もちろんそうだ、という意見もある。Webのユーザたちは、コンテンツが無料であることを当然のこととしている。しかし実は、私たちは払っているのだ。目に見えるお金だけでなく、自分のプライバシーを支払っている。デジタル世界のビジネスモデルでは、彼らが集める大量のユーザ情報が、一見無料のサービスが成り立つための暗黙の貨幣だ。

ユーザは、大量の時間とエネルギーを、広告や、広告が仮装した劣悪なコンテンツを見るために支払っている。私に何かを売るために、彼らは友だちの写真まで利用する。もちろん、私自身のプロフィールやインターネット閲覧履歴も、大々的に利用される。

Webの商業化は、今のインターネットを動かしている大量のサーバやデータセンターが稼働できるための隠された費用である、という醜い現実がある。そして、その、Webの商業化は、今日のWebを支配する巨大なデジタルプラットホーム、GoogleFacebookAmazonなどによって増幅される。友だちがそこにいるデジタル空間に自分も参加したければ、彼らのルールに従わざるをえない。

でも、もっと良い方法があるのではないか。個々のWebユーザと、スタートアップのデベロッパたちの両方の、利益になるような。

スコットランドのTroonという小さな町で生まれたMaidSafeは、今日のインターネットの数々の問題点は、その基盤的なアーキテクチャの設計がおかしいことに、その根本原因がある、と見ている。Webの慢性的な問題、1)コンテンツのための持続可能なビジネスモデルを見つけることや、2)ユーザのデータとプライバシーを安全に守ること、3)ハッカーやマルウェアや政府等による監視を未然に防ぐこと、などなどの解決や実現は、インターネットの基本的な利用形態〔アプリケーション層〕のアーキテクチャを完全に変えることから始まる、と彼らは主張する。

もちろんそれは、簡単に実現できる課題ではない。MaidSafeは2006年からネットワークのアーキテクチャの問題に取り組み、今年やっとステルスから抜け出て、彼らのプランの詳細を明かし始めた。今は、計画している三つの試験的なネットワークのうちの最初の一つを、今年のQ4のベータローンチを目指して、まだアプリケーションがまったくない状態でテストしている。その試験的なネットワークは180のノードから成り、それらはシンガポールとサンフランシスコとアムステルダムとニューヨークに散在している。

MaidSafeのNick Lambertは、そのプロダクトをこう説明する: “それは完全にクロスプラットホームで、完全に分散自律型のデータ送受信とコミュニケーションのためのネットワークだ”。具体的にどういうことかというと、コミュニケーションをしたいAさんとBさんのあいだに、今のインターネットのように中間者(サーバやデータセンターの層)が介在しない状態を指す。言い換えるとそれは、完全にピアツーピアのネットワーキングインフラストラクチャだ。元SkypeのCOO Michael JacksonがMaidSafeのアドバイザーであるのも、偶然ではない。ピアツーピアのコミュニケーションシステムの元祖といえば、Skypeだから。

このネットワークでは、ネットワークのユーザが自分が常用しているハードウェアをネットワークのインフラとしても提供する。そして、そのためのインセンティブとしてネットワーク固有の暗号化通貨SafeCoinを使用する。

Bitcoinのマイニングに新たなBitcoinの作成と流通というインセンティブがあるように、 MaidSafeネットワークのユーザも、コンピューティングリソースの寄与貢献をSafeCoinを稼ぐことで償われる。SafeCoinの現在価値はUSドル換算で約2セントだが、もちろんネットワークの拡大とともに価値が上がることが期待されている。同社は、この、リソース寄贈行為のことをfarming〔仮訳: 農場拡大〕と呼んでいる。

Lambertの説明は続く: “このネットワーキングソフトウェアでは、ネットワーク上のすべてのコンピュータが一つの巨大なコンピュータを構成する。一つの巨大なサイバー頭脳、と呼んでもいいだろう。つまりネットワーク上のすべてのノードがつながって、一つの巨大なデータセンターになる、と考えてもよい。もちろん今のような(コミュニケーションの当事者にとって)第三者的なデータセンターは存在しない。むしろこれは、データセンターをリプレースするネットワークインフラストラクチャであり、願わくば今日のような巨大なテクノロジ企業も不要なものとしたい”。

【中略】
〔完全な分散化〜P2Pネットワークにおけるリダンダンシーの実現・確保の方法、デベロッパの仕事がどう変わるか、など。〕
〔原文は、ものすごく長い!〕

“われわれが今やろうとしていることは、ものすごく難しい。だからこれまで、実現しなかったんだ。インターネットの完全分散化は、これまでとまったく違う考え方だ。それを実際にやろうとするMaidSafeのような企業も、これまでなかった。巨大サーバパラダイムに対する批判は前からあったが、実際に完全にプライベートに自分のデータにアクセスする方法は、どこにもなかった。中間者が介在しないデータの保存共有の方法も、なかった。ぼくの知るかぎり、一つもなかったと思う”。

“みんな、考え方を変えなければならない。今のデベロッパは初期の段階から、サーバがあってクライアントがある、クライアントがサーバにログインする、等々という構造を頭に叩きこまれている。そしてこの構造が、プログラミングの世界全体を支配している。MaidSafeのような発想がこれまで、なぜあちこちで生まれなかったのか、それは、この頭脳支配に原因がある”。

“協同ファウンダの一人であるIrvingが、蟻たちの生態をヒントに、MaidSafeの前身であるSafeネットワークを設計したときは、サーバの存在を前提としてサーバが抱える問題を克服しようとしていた。でも最終的には、サーバの存在そのものが問題だ、と気づいたのだ”。

“これまではみんな、サーバをどうやって良くするか、を考えていた。でも、そうやってサーバを問題視することを続けるのはやめて、むしろ、サーバをなくすことを考えようじゃないか”。

今や、思想が実装へと動き出している。

[画像: Tristan Schmurr/Flickr]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ヨーロッパ司法の忘れられる権利を笑劇に変えてしまった凄腕のGoogle

まばたきをしても、それはまだ見えるだろう。錯視ではなく、目の前の現実だから。ヨーロッパ司法裁判所の忘れられる権利に関する裁定を実質的に無効にしてしまうGoogleの戦略が、見事に成功している。

5月の終わりに下されたその裁定は、人の名前で検索をしたときに拾い出されるその人に関する古い、または不適切な情報を、その人からのリクエストがあった場合には検索のインデクスから外す(==今後の検索結果に現れない)ことを、Googleに課している。

そのデータが外されるのは、European Googleの検索結果のみであり、Google.comではない。また、対象は私人としての個人であり、公人に関しては公共の利益を根拠として対象から除外される。Googleによると、同社はこれまでにおよそ7万件のリクエストを受け取っている。

リンクを検索のインデクスから外す、という遵法作業をGoogleは、先月(6月)の終わりに開始している。しかし今週(7月第1週)に入ってこの巨大広告企業は、検閲反対のキャンペーンを、Googleに同調するそのほかのメディアの力を借りる形で展開しつつある。

たとえば今週初めにはBBCのジャーナリストRobert Pestonが、Why has Google cast me into oblivion?(なぜGoogleは私を世間から忘れられた存在にしてしまったのか?)と題する感情的なブログ記事を公開し、Googleがジャーナリストとしての自分の過去の業績を消し去ることに疑問を呈した。

これは、一種の挑発だろうか? 違う。

これは、彼のような職業にとっては、当然の懸念だ。

メディアは自分たちの過去の成果を検索で見つけてほしい立場だから、Googleへの同情票はGoogle自身が指一本動かさなくても、いくらでも集まる。

しかしそうは言っても、最近の動きには明らかに、紐付きの気配がある。まず、Googleは今では、記事のリンクを検索結果から削除したことをニュースサイトなどにメールで通知している。しかしそれは、メディアに対する、裁定を批判し攻撃せよ、という暗黙の合図でもある。Googleは、これまでに送った通知メールの数を公表しない姿勢だ。

裁定によると、Googleがやるべきことへの要件には、このような、情報のパブリッシャーへの通知は含まれていない。Google自身もこれまでは、たとえば、あらゆる種類のサイトに影響を与える検索結果のランク付けアルゴリズムの重要な変更などを、とくにユーザに通知することなく行ってきた。

しかし今回の問題は、Google自身の今後の業績に負の影響を及ぼす可能性がある。人には忘れられる権利があるとする裁定は、ヨーロッパの裁判所や立法府が、元々その気のないGoogleの顔に投げつけた変更要請であり、そのプライバシー保護のための強制事項は、同社のメインエンジンであるビジネスモデルに真っ向から反している。そのビジネスモデルとは、個人がデータを収穫することを基本商材とし、しかし収益を広告に依存することにより、その基本商材へのアクセスは完全に無料にする、というものだ。ヨーロッパの法廷の裁定は、その重要な商材に無視できない傷を与えるから、Googleが易々諾々と受け入れることは絶対にできない。

今のところGoogleのメディア戦略は見事に成功している。各メディアは、削除されたリンクに関する記事を掲載するから、裁定の効果は、当初の目的だった“忘れられる”から、“人びとが思い出す”へと、完全に逆転している。古い記事や不適切な記事を葬ってしまいたい個人は、むしろそれらの、墓場からの掘り出しを眼前にしているのだ。

今週、その裁定はデジタルの劇場(ないし見世物小屋)となり、Googleは自分にとって容易に作ることのできた「ヨーロッパのデータプライバシー」と題する笑劇に、笑い転げている。

Andrew OrlowskiはThe Registerで、Googleは個人からのリクエストをEUのデータ保護監視機関に送り返せばよい、と指摘している。そして、監視機関がリクエストを是とするたびに、控訴すればよい。もちろん、それをやれば、たいへんな手間にはなるが。

‘司法の空振り三振’を見せつけるためのもっとも簡単な方法は、情報に関する公共の関心と利益を強調し、裁定が有害な検閲行為に相当することを明らかにして、メディアや人びとにヨーロッパ司法裁判所に対する非難の声を上げさせることだ。

もちろん私は、個々のインデクス外しに関してGoogleの意思決定に関与してはいないが、結果がすべてを物語っている。Google自身は、個々のリクエストに対する意思決定の過程については、何も明かさない。

昨日(米国時間7/3)のReutersの記事によると、Guardianが、「うちの記事が勝手に検索結果から消えた、けしからん」、と騒ぎ立てた記事を、Googleは黙って復活させたそうだ。

Guardianに書いた自分の記事を6つも‘消された’同紙の記者James Ballは(一部の記事は‘復活’したのだと思うが)、Googleのやり方を“報道の自由に対する宣戦布告” と呼び、“表現の自由が同様の犠牲者になるのは時間の問題”、と論じた。

Googleが一部の記事の検索インデクスを戻した(復活させた)あと、GuardianのスポークスウーマンがReutersにこう語った: “Googleの今のやり方は解釈の幅が広すぎるようだ。あの判決の目的が、パブリッシャーに対する検閲のためのバックドアを設けることではない、とするなら、われわれは、Googleが決定に用いている基準を同社が一般公開するよう、求めていくべきだ。また、パブリッシャーが異議申立てをするための方法と窓口と手順も、正式に整備されなければならない”。

上記の‘解釈の幅が広すぎる’は、Googleの姿勢をぴたり言い当てているようだ。多めに拾っておけば、問題ないだろう、大は小を兼ねる、という姿勢だ。

Googleは、その処理が現在は“進化の途上にある”、と言うだけだろう。それなら、どんな批判の弾(たま)も逸らすことができるし、いずれは裁定を覆すためにわざと良い記事を消した場合でも、“進化途上”がその言い訳になる。

私がGoogleにコメントを求めたときに返ってきた声明も、今週初めに発表されたものとほぼ同じだ: “弊社は最近、ヨーロッパ司法裁判所の裁定のあとに弊社が受け取った削除リクエストに対する対応を開始しました。これは弊社にとって、新しくて進化途上のプロセスです。弊社は今後も継続的にフィードバックに耳を傾け、またデータ保護の専門化などとも協働して、裁定を順守して参ります”。

BBCのPestonの例が典型的に示しているように、裁定へのGoogleの対応の仕方は、それが重要で公共性のある情報に対する‘検閲’だという、ネガティブでおどろおどろしい反応を作り出している。

Pestonが、正当な理由なくGoogleに‘消された’と騒いでいる記事は、2007年のブログ記事で、投資銀行Merrill Lynchの前頭取Stan O’Nealについて書いている。O’Nealは銀行が巨額の損失を出したために頭取の座を追われたが、Prestonの記事は“同行が行った無謀な投資による途方もない額の損失”、といった書き方をしている。

今度は投資銀行家たちとジャーナリストが、ポスト金融危機の時代のもっとも憎まれた人たちをめぐって対立する。ステージにはパントマイムの悪役が登場し、Googleに代わり、忘れられる権利をボードに大書する。でも、銀行家の過去の行為を拭い去ることを助けるような法律を、誰が支持するのか?

しかも問題は、O’Neal自身がPrestonのブログ記事の削除をリクエストしたのではないことだ。それにO’Nealの名前で検索すると記事は消えていないから、銀行家の過去は拭い去られていない。

Pestonは自分の記事を更新してこの事実を書き記した。それによると、削除をリクエストしたのは、元のブログ記事にコメントを寄せた某氏だ、という。だから、O’Nealの名前ならPrestonの記事は出てくる。コメントを書いた某氏の名前で検索したら、出てこないのだ。

こういう、見当はずれが起きる。

でも、裁定の筆の幅が太すぎるために、Googleは無害な記事でもリクエストに応えて削除し、それがひいては、メディアの自由を奪うという悪評につながる。Googleが笑劇を書くためには、好都合だ。だから本当は、裁判所はGoogleがリクエストに応じるべき記事を、いくつかのパラメータとその値域で、具体的に指定すべきだった、という議論が生まれる。

今明らかなのは、今週のGoogleの笑劇によって、この裁定が保護しようとしたまさにその人が、ハイライトを外され、舞台の影の目立たない脇役みたいになってしまっていることだ。(公人でなく)私人の古い情報や不適切な情報が検索で出たら、その後の人生が生きづらくなるのか。失業者になり、別の仕事を探さなければならなくなるのか。自分のデジタルの足跡が、無関係な他人の評判にくっついて現れるのをどうやって防ぐのか。自宅の住所は、許可無く公開されてもよいのか。…等々の、中心的な問題点が、どっかへ行ってしまっている。

平均的個人のプライベートな生活の権利こそむしろ、Googleがあなたに忘れてほしいと思っているものなのだ。

忘れられるためのリクエストを提出する作業を助けてくれるサービス、Forget.meの初期のデータによると、リンクの削除を求める最大の動機が、プライバシーだった。

‘プライバシーの侵犯’と‘名誉毀損や侮辱’が、同サービスを利用してリクエストを提出しようとする人たちの理由の半数近くを占める。そしてプライバシー関連の理由の上位3項目は、1)自宅住所の開示、2)ネガティブな意見、3)失業(失職)だ。名誉既存(誹謗中傷)の最上位の理由は、‘(本当は)当人と無関係なことへの結びつけ’だ。

個人のプライバシーを守ろうとするこの裁定に、メディアが慌ただしげに、‘恣意的な検閲’というブランド名をつけることは、無責任だけど意外ではない。

個人のプライバシーを害するおそれのあるデータを大量に保持することは困難であり、その困難性は日増しに増大する。この問題が単純だ、というふりはすべきでない。経営と利益を重視する私企業が、背後で紐をひっぱているときにはなおさらだ。

[画像: Edmond Wells/Flickr]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


プライバシー保護を重視したスマートフォンBlackphoneがSilent Circle社に$30Mの新資金を呼びこむ

暗号化通信の専門企業Silent Circleがさきほど、新たな資金調達ラウンドを発表したが、その目的は同社のプライバシー保護を強化したスマートフォンBlackphoneの需要増に応えるため、という。この、堅固なセキュリティを誇るAndroidハンドセットは、スペインのGeeksphoneとの共同開発だ。

今の、いわゆるポストSnowdenの時代には、プライバシーが新しいホットな投資分野としてもてはやされているようだ。しかもSilent Circleは昨年の夏に、同社の暗号化メールサービスを、NSAのスパイ行為が露呈したため、そして政府による盗み見行為への共謀を自ら断つために、自主的に閉鎖した。そういう意味では今回の資金調達は、同社にとって時宜にかなったもの、と言えよう。

セキュアなメールサービスを収益源とすることをやめたSilent Circleは、その焦点をセキュアなモバイル通信技術に変え、そしてその、企業としての思い切った意思決定が、新たに大きな資金獲得機会を招いたのだ。

その3000万ドルのラウンドを率いた投資家は、Ross Perot Jrとプライベート投資ファンドCain Capital LLCだ。

Perot Jr.とBritish Telecomの元CEOで会長のSir Peter BonfieldがSilent Circleの顧問団に加わり、元Dellの上級役員だったAnurag Jainが、顧問団の副会長に任命された。

Silent Circleによると、新たな資金はBlackphoneの、同社の言葉を借りれば“圧倒的に膨大な需要”に応ずるために使われる。そしてそれによって、セキュアな通信の市場における同社の成長を、加速したいのだ。

本稿未了…

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google検索に個人情報リンク削除リクエストが殺到, EU司法裁判所は藪をつついて巨大怪獣を出した

ヨーロッパの司法裁判所があるスペイン人からの苦情を受理して、彼の名前と資産喪失に関する記事のリンクを検索結果から取り去るよう裁定して以来、この、“デジタルの世界で忘れられたい”という要望がGoogleに殺到し始めている。これらのリクエストすべてにまともに対応することは、Googleにとってたいへんな負荷になるから、もちろん嬉しいことではない。ことの発端となったスペイン人からのささやかなリクエストは、その後起きることの、いわば先例となってしまったのだ。

削除要求の例としては、たとえば、再選を望んでいる元政治家が、オフィスにおける彼の悪行に関する記事のリンクが、彼の名前による検索では出てこないことを求めている。またある医師は、患者からのネガティブなリビューが、やはり彼の名前では現れないことを求めている。児童性愛で有罪になった人が、彼が児童虐待の画像を保有していたなどの詳細判決文の、取り下げを求めている。

これらはすべてBBCがほじくりだした例だが、どれも裁判所が最初の訴訟を持ち込んだスペイン人に有利な裁定を下して以降、寄せられたものだという。WikipediaのファウンダJimmy Walesをはじめ、多くの反検閲団体や言論の自由を守ろうとする団体が、この裁定を批判している。これが判例になった場合、濫用されるおそれがあることと、情報の公開を拒む人たちを一方的に有利にしてしまうことが、批判の根拠だ。

裁判所は、有名人や公的人物の場合はプライバシーの基準が違う、という説を掲げるが、有名人・公的人物の厳密な定義が難しい。しかも、情報の抑圧が公共の福祉に反することも大いにありえる。事実が歴然とした事実で、信頼できる否定情報がない場合は、とくにそうだ。

この裁定に関してGoogleは、ドイツのプライバシー保護当局に対して、一般大衆がそういうリクエストをできるための仕組みを今後2週間以内に実装する、と言っている。つまりGoogleとしては、裁定には不満だがEU各国の暗黙の意思には従わざるをえない、というところだ。

これでもって、Googleに大きな頭痛のタネが増えることは確実だ。すでに、著作権侵犯を理由にリンクの削除を求めるリクエストは毎週数百万件舞い込んでいる。EUだけに限るとしても、すべての個人に苦情申し立てのために手段を与えることは、選別、確認、応答など、ものすごい量の作業負荷としてGoogleに返ってくるだろう。しかもGoogleが大量の訴訟を絶対的に避けようとするなら、事前に大量の検閲を行うだろうから、少なくとも世界最大のWeb発見ポータル(Google)をインタフェイスとするインターネットは、“厳しく検閲されたバージョンの”インターネットになってしまう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


広告業界は、Appleのユーザーデータ保護方針に不満を感じている

Appleは、自社ユーザーに関して様々な知識を持っており、サービスや製品の改善に利用している。名前、住所、位置情報。購入履歴等だ。しかし、それを広告主が自由に使えるようにはしていない。そのことが広告業界をひどく怒らせている、とAdAgeの最新記事は書いている。記事は、なぜAppleとAmazon(似たような運営方針をとっている)が、広告ビジネスの構築に苦労しているかを詳しく解説している。

Appleはデータに関してライバルに先行できる ― 共有さえすれば。

これは記事中の強いメッセージだ。Appleの持つ情報の質は「最上級に属する」と、元Appleのソフトウェア技術者でiAdのデータ測定プラットフォームの中心設計者だった人物は言っている。しかし、広告パートナーに提供しているものは、ゼロに等しい。クッキーベースの広告追跡やターゲティング機構を提供するのではなく、事実上広告パートナーは、どんな種類のユーザーにリーチしたいかを告げるだけで、あとはAppleのすることを信じるしかない、とAdAgeは言う。そして、ここで指摘しおくべきなのは、Appleが、広告売上を増やす可能性よりも、顧客のプライバシーを優先していることだ。

Apple自身が公式広告ページに書いているように、広告パートナーは分析・効果レポートをアクセスできる他、自動あるいは手動のターゲットオプションを使ってキャンペーンをカスタマイズできる。ターゲット項目には、地域、性別、年齢、具体的なユーザーの好み等がある。しかし、広告主がこれらのデータを直接アクセスして自身のデータマイニングツールやターゲティングシステムを使うことを、Appleは許していない。これは広告業界の標準ではなく、おそらくマジソンアベニューの広告関係者たちを苛立たせている理由だろう。

もちろん、Appleのやり方は同社の顧客満足度維持という全体方針と一致している。顧客の満足とは、大切な個人情報が責任をもって保護され使用されると知っていることだ。iAdの論理は明快だ。Appleはエンゲージメント向上を提案し、詳細なレポートや投資効果を高めるためにキャンペーンを簡単に微調整できるツールを提供するが、そのために必要な舞台裏は見せない(見せる必要がないとAppleは言うかもしれない)。

Appleは以前にも、ユーザーとの関係を巡って既存業界を不快にさせたことがある。同社がiPhoneを発売した時、キャリアーは電話機メーカーとエンドユーザーとの橋渡し役を放棄せざるを得なかった。長年に渡りキャリアーの収入源となっていた余計な機能やサービスポータルの類を、Appleが認めなかったからだ。今回も似たような既存ビジネスの再考察と言えるが、一般消費者にとっても利益になるはずだ。

広告主たちも、Appleのシステムの価値を認める意志はあるようだ。多くの有力広告主が結局iAdに参加しており、開始時から利用しているところもある。同プラットフォームは全世界で6億人以上のユーザーに到達可能であり、ユーザーの区分化に関して独自の優位性を持っている。携帯キャリアーと同じく、捨てるには大きすぎるメリットであり、最終的に業界のシフトを後押しすることになるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Google、地方ロードショーでGlassの認識是正を期待

Google Glassの一般公開はまだ何ヵ月も先だが、初期の騒動以来最近のニュースの殆どはネガティブである。Google Glassに関してポジティブ話題が出るたびに、ネガティブな声が直後に聞かれるようだ。

例えばつい数日前、ニューヨーク警察がGlassをテストしているという噂が広まった。私が知る限りGoogle自身は警察に協力していないので、恐らく誰かが実験プログラムに参加してGlassを入手したのだろう。それでも、そのニュースはプライバシーとGlassを巡る恐怖がニュースサイクルに(そしてDrudge Reportに)乗るには十分だった。人々がGlassをどう思っているかを知りたければ、これに関するCNNの記事を見てほしい。

Googleの問題は、ごくわずかな人しかGlassに触れていないのに、誰もがこれに関して一家言を持っていることだ。同社はまだ一般販売する準備ができていないため、昨年終り頃からGlassの全米ロードショーを行っている。例えばこの週末には、Glassチームがアトランタを訪れ、現地の人々がGlassを試す機会を作った。

発想は単純だ。試してもらえばそれが何かを理解できる。今でも大多数の人々が、Glassは常にまわりにある物すべてを録画していると思っている。顔認識システムが内蔵されていてプライベートを侵害していると信じる人もいるだろう。現実は、それよりずっと面白くない。アトランタのイベントでGoogleは、多くのスポーツ関連GlasswareやWord Lensを披露して、Glassが天気やGoogle+のアップデートをチェックする以外にも大いに役立つことを示した。

Googleは、ロードショーで人々にGlassを使わせるだけでなく、地元政治家が試す機会も必ず用意している。政界で名を上げたい人物が、Glassを一度も試すことなくGoogleを攻撃し、地元のニュースで15分間(あるいはケーブルニュースで数分間)名声を得るのは簡単なことだ。

Glassに対する一般認識を変えるために(それがまだ可能であれば)、Googleは一般公開前にこの種のプログラムを拡大する必要がある。それまでの間、Glassは殆どの人にとってプライバシー侵害、顔認識、盗撮用ヘッドセットであり続けるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


オランダの司法当局がGoogleのユーザデータの使い方はプライバシーの法律に違反している, と指摘

2012年に発表された、ユーザのデータを同社のすべてのサービスで利用するというGoogleの新方針は、オランダではプライバシー侵犯であり違法だ、とオランダ政府のデータ保護局(Data Protection Authority, DPA)が声明した。DPAが発行したプレスリリースは、“ユーザのどんな個人データを集めて、一緒にして、どんな目的に利用しているかを、Googleはユーザに正しく知らせていない”、と述べている。

DPAはGoogleが明らかに違法とは言っているが、Googleに対する罰則の適用や、矯正命令などにはまだ踏みきっていない。しかし同局の声明によると、ユーザのデータを収集する件に関して、ユーザの許可を求めるGoogleの今のやり方では不十分だ、という。つまり、一般的なプライバシー方針が一つだけあるとか、サービス約定のドキュメントがあるだけでは十分ではない。“インターネットの上ではGoogleのサービスを利用しないことはほとんど不可能”であるだけに、なおさらである、とDPAは言っている。

しかしComputerworldが入手したメールによる声明文によると、一国の法に明らかに違反しているとされたGoogleは、当局のその主張は無効だ、と言っている。Googleによると、同社は今オランダのDPAと話し合いを続けており、共同でこの問題を解決していきたい、という。その話し合いの次のステップは、DPAが考えている修正方式や懲罰方式について、Googleが聞く番だ。

Googleのプライバシーポリシーの変更が、ユーザを苛立たせたことは間違いないし、一部の政府機関が問題として取り上げたことも事実だ。先日は、ユーザがオプトアウトしなければGoogle+の画像を広告で使う、と発表された。このような具体的な変更や新しいやり方は、今後もいろいろあるだろう。今回のオランダ当局の矯正アクションが、今後のGoogleのユーザデータの集め方や使い方に良い効果を及ぼすことを期待したいが、しかしそれは、空しい期待に終わってしまう可能性もあるね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Facebookが投稿本文のグラフ検索をアメリカの一部ユーザーに提供開始―ご用心! 過去、現在のすべてが明るみに

人気テレビ番組についてみんなは何と言ってるだろう? 私の友だちは何と言ってるだろう? 古い写真に私についてどんなコメントがついているだろう?

今日(米国時間9/30)、Facebookが投稿本文のグラフ検索(Graph Search)を一部ユーザーに公開した。対象となったアメリカの英語版ユーザーは1兆件にも上る投稿を自由に検索できるようになる。ありとあらゆる物事について世界がどう考えているかが瞬時に明らかになるとともに、検索できないことによって守られていたプライバシーも過去のものになるだろう。

Facebookがこの1月にグラフ検索を発表したとき、対象はユーザー、写真、場所、興味に限られていた。特定の条件でユーザーや写真を検索できるだけだった。レストランなどのローカル・ビジネス、友だちのお気に入りのブランドなどを知るためには便利な機能だ。しかし国際アクセス、モバイル・アクセス、本文の検索という3つの重要な機能が欠けていた。

それ以後Facebookはグラフ検索のサポートを限定ベータ・ユーザーからアメリカの英語版ユーザー全員へと拡大した。しかしグラフ検索は自然言語の質問文を利用したセマンティック検索なので、多言語化が難しい。またFacebookはモバイル第一のサービスにシフトしているという割には現在まだモバイルからのグラフ検索もできていない。

しかし今日、Facebookは3番目の課題、本文の検索を解決した。グラフ検索でFacebookに投稿されたあらゆる情報、近況からコメント、写真のキャプション、ノート、チェックインまでが検索可能になった。今日この機能が公開されたのはアメリカの英語版ユーザーのごく一部に過ぎないが、私の取材に対してFacebookの担当者が語ったところによると、「ユーザーからのフィードバックによってさらに改良を加えた上で近くすべての(アメリカの英語版)ユーザーに公開する」という。

検索不可能性によるプライバシーの終焉

Facebookの歴史を考えると、グラフ検索はタイムラインの導入が目指した方向の自然な延長線上にあるとわかる。タイムライン以前は過去の投稿を読むにはその友だちのプロフィール・ページを訪問し、何百回も「もっと読む」ボタンをクリックしなければならなかった。これはいってみれば「検索できないことによるプライバシー」だ。ユーザーの過去の投稿は公開されており、理論的にはアクセス可能jだが、探しだすために手間がかかりすぎて現実には秘密にされているのと同じことになっていた。

ところがタイムラインの導入でこうした過去の投稿を表示することが劇的に容易になった。グラフ検索では友だちだけでなくあらゆるユーザーのあらゆる公開情報が検索可能となる。グラフ検索は「検索できないことによるプライバシー」を過去のものにする。なんであれユーザーのFacebook上の発言はすべて検索によって明るみに出されてしまう。酔っ払った、興奮した、鬱だ、などという発言も汚い言葉で罵ったこともすべて白日の下にさらされてしまう。

私は無用に恐怖を煽るものではない。もちろんグラフ検索には便利で面白い面が多々ある。しかしこれを機に自分の活動のログを見なおしてプライバシー上問題がありそうな情報が含まれていないか見なおしておくことをお勧めする。Facebookがグラフ検索の新機能の公開を一挙に行わないのは一般ユーザーに準備の時間を与えるという面があるかもしれない。【後略】

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


使い捨て電話番号のBurner; ベーシックな電話で何ができるか, 可能性の氷山の一角

【抄訳】

NSAいくつかの国家が、世界中の一般市民に対する大規模なスパイ行為を行っていることを、世界が知る前から、モバイルアプリBurnerは、ユーザに使い捨ての電話番号を提供してきた。そういう電話番号は、プライバシーの保護やそのほかの目的に利用できる。たとえばCraigslist(オンライン三行広告)にポストするときやオンラインデートでは匿名が便利だし、旅行中や誰かに嘘をつきたいときにも、ニセの番号を利用できる。そのBurnerが今日(米国時間9/26)、Founder CollectiveとVenrockが仕切る投資ラウンドにより、200万ドルの資金を調達した。またこれと並行して、iOSアプリのデザイン変更と機能のアップデートも発表した。

Ad Hoc Labsというスタートアップが開発したこのアプリは、今ではiOSとAndroid用があり、使い方はとても簡単だ。まず、自分の本物の電話番号をBurnerに教える。代わりにBurnerがくれる電話番号は、入呼も起呼もOKで、SMSもできる。そのほかボイスメールによるあいさつとか、呼び出し音の指定、SMSの通知なども指定できる。複数のBurner番号を使うときは、番号ごとにあいさつや呼び出し音を変えられる。複数のニセ番号を目的別・相手別に使い分けるユーザが、けっこう多い。

協同ファウンダのGreg Cohnによると、Burnerはロングテイルのユースケースがおもしろい。“ありとあらゆる使い方があるね。デートやCraigslistなどありふれたものから、教師、弁護士、ミュージシャン、産婆さん、いなくなった犬を探している人、それにセレブたちも、Burner番号を利用している”、という。Cohnの説明でおもしろいのは、“人びとが使い捨て番号を使うのは、実際にそれを捨てるためというよりむしろ、いざとなったら捨てられるという安心感のためだ”、というあたりだ。実際に、最初短期間(3~5日)の無料サービスを利用したユーザの多くが、その後、長期の有料ユーザに変わる例が多いそうだ。

今では、電話とSMSというベーシックに代わって、独自の機能やサービスを提供するモバイルメッセージングアプリがたくさん雨後の筍している。それらの中には、消費者向けのソーシャルアプリ(Whatsapp、LINE、Snapchat、Viber、WeChat、Pathなどなど)もあれば企業用(SendHub、Ansaなどなど)もあり、その中間(Voxer、GroupMe、Google Hangoutsなどなど)もある。Burnerはこれらの混雑の中で、伝統的な携帯電話によるコミュニケーションを、より便利にしようとする。Burnerがあれば、友だちでも家族でも会社の同僚でもない人たちと、安心してコミュニケーションできるのだ(ただし今は合衆国とカナダのみ、TwilioのSDKを使っている競合サービスHushedは多くの国で使える)。

“うちはまだまだ、モバイル上のプライバシーと本人性という問題の、表面をかすっているだけだ。しかしキャリアは、あれほどバカでかい市場を抱えているにもかかわらず、この問題に関しては何もイノベーションしない”、とCohnは言う。“だからこの分野には大きな機会があり、しかも音声とテキストによる伝統的な電話コミュニケーションは、昔からの原始的な状態のままで、キャリアもソーシャルネットワークも魅力的なプロダクトを作り上げていない…うちなんかが多くの人から利用されるのも、そのためだ”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Facebook、プライバシー約款改定へ―ユーザーデータの利用をさらに拡大

今日(米国時間8/29)、Facebookはユーザー・データ利用の権利と責任に関する2つの文書の改定案を発表した。これらの文書は広告、サードパーティーのデータ利用方法を含めてユーザーデータの取り扱い方法を定めたものだ。

今回発表されたのは改定案であり、私の取材に対してFacebookは「ユーザーからのコメントや提案を受け付ける」と述べた。しかしユーザーの意見によってFacebookが案の内容を大幅に変えるとは思えない。最高プライバシー責任者のErin Eganが発表した短いプレスリリースによれば、この改定は広告に関連した訴訟の和解条件の一環だという。

改定の範囲はかなり広い。以下主要な部分を簡単に見ていく。

広告

広告に関する改定案は簡明だ。「ユーザーは氏名、プロフィール画像、コンテンツ、広告、スポンサー投稿に関連して生じる情報をFacebookが利用することを許可するものとする」

つまりFacebookは原則としてユーザーのあらゆる情報を広告システム、そのアルゴリズムの中で利用できるということだ。ただし、Facebookはユーザーのプライバシー設定を尊重するという。「ユーザーがコンテンツを特定の範囲に限って公開することを選択している場合、Facebookはその選択を尊重して使用する」。これはよいことだ。

訴訟

Facebookに対する訴訟は北カリフォルニア地区連邦裁判所またはサンマテオ郡に所在するカリフォルニア州裁判所にのみ提起することができる。従来はサンタクララ郡だったが、本社が移転したため改定となったもの。

データ利用

Facebookは新たに「ユーザーが利用しているコンピューターまたはデバイスの種類」の情報を利用できるようになる。つまりAndroidかiPhoneかというような情報を収集し、それに基づいて処理を行うことができる。以前からFacebookは「GPSその他による位置情報を利用できる」と定めている。ビッグブラザーのFacebookが「友だちが近所のバーに入った」とプッシュ通知してくる日も近いだろう。

ユーザーデータ共有

Facebookはユーザーの公開データを第三者と共有する権利を求めている。Facebookはユーザーが公開しているデータを誰とでも共有できることになるので、もう一度プライバシー設定を見なおして、あちこちに公開されて欲しくないデータが公開設定になっていないかよくよく確認することをお勧めする。

第三者のデータ保存

ユーザーがFacebookアプリにサインアップした場合、そのアプリにアクセスを許可したユーザーデータ(メール・アドレス等々)をアプリのプロバイダはサーバーに保存することができる。この場合、ユーザーがFacebookからアプリを削除した後でもプロバイダはそのユーザー・データの保存と利用を続けることができる。

つまりアプリを削除した後でもアプリのプロバイダはユーザーデータのコピー(もし作成していれば)を保管し、その後も利用できる。それを望まない場合、ユーザーはプロバイダに直接データの削除を要求する必要がある。

この改定に反発してFacebookを使うのを止めるかどうかは各自の判断だが、すくなくとも酔っ払って出会い系アプリを片っ端からインストールし、ユーザー情報全部へのアクセスを許可するのはよした方がいいだろう。

すべての改定の逐条的説明はこちら

画像:Acid Pix

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Facebook、アメリカの英語版でグラフ検索を公開―「ニューヨークに住む20代の独身女性の友だち」を検索できるようになる

Facebookがこのほど公開したグラフ検索(Graph Search)は自然言語でFacebook上の人物を検索できるツールだ。

これを使うと、「私が生まれた町の出身者で今住んでいる都市に住んでいいる友だち」、「友だちの友だちでポーラ・ディーン(シェフ・料理研究家)が好きな人」、「ニューヨークに住んでいる20代で独身の女性の友だち」などの検索が可能になる。現在、グラフ検索はアメリカに居住していて言語設定をアメリカ英語にしているユーザーが利用できる。

まだ利用できないユーザーが多いわけだが、グラフ検索は実に面白い暇つぶしになる。もちろんある種の状況(初めてある都市を訪れる際に、役に立ちそうな人を探す)では実用性もある。同時に、グラフ検索によって今まで以上に詳細な個人情報が特定されるようになるわけだからユーザー全員が自分のプライバシー設定を見直す良い機会でもある。個別の投稿やコメントから情報が拾い出されてしまうし、いずれモバイルからも利用できるようになるだろう。

Facebook自身も以前から注意しているとおり、Facebookのプライバシー設定から「誰がどんな情報にアクセスできるのか」をもう一度確認しておくべきだ。一方で、強力なグラフ検索の全面公開とともに、Facebookの重要なプライバシー機能が終了する予定だ。

Facebookは去る12月に「私を名前で検索できる人の範囲」を設定する機能を数ヶ月後に終了させる予定だと発表した。その理由は「この機能がめったに使われず、また別の方法で個人名が検索できるから」というものだった。この機能は、検索窓に名前を入れて検索したときにその検索結果に表示されないようにする。Facebookではその重要性をできるだけ小さく見せようと努力しているものの、一部のユーザーにとっては実にありがたい機能だった。

「強力なグラフ検索機能とそれに対応する詳細なプライバシー設定機能が導入されるので名前検索制限は不要になった」というのがFacebookの公式見解だが、名前検索制限を利用していたユーザーはそもそも「強力なグラフ検索機能」の導入自体を嫌っているはずだ。しかしFacebookは「精密な知識グラフを構築するためにはプライバシーによって保護される部分は少なければ少ないほど良い」という立場をくずそうとしない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


携帯電波、Wi-Fi、GPS電波をすべてシャットアウトして、電脳世界で「消える」ことのできるスマートフォンケースのOFF Pocket

スパイ目的のドローンに補足されることを防ぐためにステルス・パーカーを作った人物がいた。この人物が、新たなプライバシー保護ツールを世に問うている。そのプロダクトとは、防水加工の施されたメタル素材のスマートフォンケースだ。このケースはあらゆる無線信号を防御することができるようになっている。

携帯電話の電波はもちろん、Wi-Fi、GPSなども通じなくする。ポケットに潜む自動備考装置(スマートフォンのことだが、スマートフォンがそうした機能を持っていることはもう少し意識した方が良いように思う)の「いつでも追尾機能」をオフにすることができるのだ。この種のプロダクトによくあるように、Kickstarterで支援を集めようとしているものだ。これはタイミング的にも素晴らしいのではないだろうか。と、いうのも政府による怪しげな動きが衆目を集めているからだ。但し、厳しさをましている、空港のセキュリティチェックではケースから取り出すことを強要されるかもしれない。

ニューヨークで活動するこのクリエイターによると、このスマートフォンケースは、電波をシャットアウトするための他の方法よりも遥かに優れている。もう(エドワード・スノーデンのように)スマートフォンを冷蔵庫に入れる必要もない。あるいはカクテルシェーカーの中に詰め込んでおく必要もないのだ。遮蔽対象は800MHzから2.4GHzで、100dB以上の能力があるのだとのこと。携帯電話は電源を切っても全ての電波をオフにするというわけではなく、また電池を抜いても完全に追跡不能とはならない機種もある。完全なプライバシーを求めるなら、やはり紹介しているプロダクトを利用するのが便利だ。もし電源OFFや電池の取り外しで完全に電波をクリアできるタイプであっても、手間暇を考えると、やはりこのOFF Pocketに軍配が上がることとなろう。

実は、このOFF Pocketは第二世代プロトタイプとなっている。第一世代版は1月にデビューしたところ売り上げとなっている。今回の第二世代版はデザイン面を見直し、またさらなるフィールドテストも行なってきたのだそうだ。今回のクラウドファンディングにより調達を目指す金額は3万5000ドル。調達申込みの期限は8月27日に設定されている。75ドルの早期割引の予定申し込み数は完了してしまったので、現在はOFF Pocketの入手には85ドル以上を支払う必要がある。申込者に対しては9月後半からの出荷が予定されているようだ。

ところで先にも記したように、ますます強力になるテックパワーを用いた監視活動に対抗しようとするプロダクトは他にも存在する。たとえば顔認証防止グラスというものもある。また、冒頭に記したように、監視目的ドローンの使う熱放射スキャナから隠れるためのステルスパーカーといったものも存在する。

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(翻訳:Maeda, H)


Mozillaからの企業や広告業界への要求: 消費者のプライバシーを犯さない個人化技術を採用せよ

Mozillaが今進めているプロジェクトが完成すると、ブラウザがユーザのすべての関心事のリストを収める中心的なリポジトリになる。今日(米国時間7/25)Firefoxブラウザの非営利の母体的団体Mozillaは、多くのWebサイトで個人化が進んでいるが、しかしそのために、“ユーザが知らず知らずのうちに自分の個人情報その便利な機能のいわば代価として払っている場合が多い”、と論争を挑んだ。個人の関心グラフをオンラインで多くのベンダと共有するのではなく、Firefoxのやり方ならユーザの閲覧履歴を見るだけで趣味や関心事を見抜ける、と。

Mozillaは前にもこのアイデアを提唱したことがあるが、今日の提案はMozillaが広告業界と、クッキーやDo Not Trackトラッキング拒否)の取扱いについて長らく議論している最中に行われたのだ。

この提案は、ユーザが、自分が訪れたWebサイトと自分の関心を共有する場合は、それを明示的かつ透明に(==自分に分かるように)行われるべきだ、という主張に基づいている。Webサイトは、ユーザの関心事に関する個人プロファイルを密かに勝手に作らなくても、個人化は十分にできる。そのような個人化なら、ユーザがそのサイトを初めて訪れた場合でも可能だ(閲覧履歴が見られるならば)。

“Web上の対話的な活動に個人が明示的に参加することによって、欲しいものを容易に得られるようになるべきだ。その参加の仕方も、ユーザに見えない楽屋裏部分があるのではなく、その全体が明示的に定義されていなければならない”、Mozillaの企業および法務担当SVP Harvey Andersonが、今日そう書いている。“Webサイトのコンテンツの個人化とそれに関連したイノベーションはすべて、ユーザの体験の質を上げるものでなければならない。そのためには、個人化を行おうとする側が消費者に、彼/彼女にどれだけの個人情報を公開する意思があるかを問う、明確なオプションを提示すべきである。サイトは、それに基づいて、もっとも適切なコンテンツやサービスをユーザに提供するものでなければならない”。

Mozillaはこの考え方の実装を目下実験中だが、誰もが利用できる公式の実装が提供されるのはまだまだ先のようだ。Mozillaがこれについて初めて語ったときにはしかし、Webサイトはユーザの個人的情報を勝手に記録すべきでないし、どんな情報を共有するかしないかはユーザ側が完全に決められるべきだ、と述べていた。しかしそのことを、企業の善意と良心と良識にだけ依存して実現するのは、とても難しいだろう。

しかし当面Mozillaは、とにかくこの問題について会話を始めよう、という姿勢だ。広告業界もMozillaには一目置いているから、会話ならそんなに難しい課題ではないと思われる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Facebookのグラフ検索がGoogleに追いつくには課題山積―精度の向上とサードパーティーのデータへのアクセスが必須

今日(米国時間7/8)、Facebookはアメリカで英語版のグラフ検索の一般公開を開始した。実際にこのサービスを利用してみると、Facebookから構想が発表された当初には予想されなかったような問題が表面化している。

現在、Facebookサイト内の検索はユーザー、投稿された写真、場所、施設などをより適切に発見させることを対象としている。 しかしこのグラフ検索が機能するためには、たとえばレストランの推薦やお気に入りの音楽アルバムなどのユーザーデータを利用することが必要だ。

一言でいえば、グラフ検索はさらに広範囲なユーザー・データへのアクセスを必要とする。ところがPRISMスキャンダルで、NSAがFacebook、Google、Yahoo、Microsoftその他のサイトから情報を得ていたことが明らかになり、ユーザーの不安が増している。

Facebook自身のデータだけでは十分ではない

現在のグラフ検索の核心をなす検索エンジンは、Facebookユーザーが友だち、友だちの友だちと共有し、あるいは一般に公開しているデータを対象としている。この中には居住地域、訪問した場所、位置情報タグのついた写真、「いいね!」したFacebookページなどの情報が含まれる。

残念ながら、Facebookの「いいね!」データは、特に企業のページに対する「いいね!」はユーザーが本当に推薦していることを意味しない。 「汚い「いいね!」(dirty likes)と呼ばれたりするが、企業はFacebookページでファンを増やすためにあの手この手でキャンペーンを仕掛けて「いいね!」をかき集める。「いいね!」を押すと懸賞に応募できたり、特別なコンテンツが見られたり、割引クーポンが入手できたりするなどの仕掛けが頻繁に使われている。 こうして集めた「いいね!」は本来の意味からはかけ離れたものが大部分だ。

これに加えて、ユーザーは定期的にアップデートを受け取るために仕方なく「いいね!」をする場合がある。たとえば近所の生鮮食品店やショッピングモール、子供の通う学校などだ。実際に意見を聞いてみれば別に推薦しているわけではないということもよくある。また「いいね!」を押さない主義のユーザーもいるし、Facebookにページが作られていない企業のプロダクトを強く推薦するユーザーもいる。

つまりFacebookの「いいね!」は、検索エンジンが関連性を判定する情報、検索用語でいう「シグナル」として利用できる。しかしこれ単独ではユーザーが「いいね!」の対象を推薦していると判断する材料にはできない。

Facebookはユーザーがレストラン、店舗、施設などにチェックインしたときに残すレビューも利用しようとしてしている。しかしレストランやホテル、観光地などのユーザー・レビューの分野ではFacebookよりはるかに知名度が高く、膨大なデータを抱える専門サイトがいくつも存在する。だからグラフ検索の精度を高めるためにはFacebookはユーザーがサードパーティーのサービスで共有した情報にもアクセスする必要がある。しかしFacebookはこの点では将来どういう連携策を取るつもりなのか、スケジュールを含めて明らかにしていない。

Facebookはさらにユーザーデータを必要とする

アメリカの英語版Facebookユーザーは今日から新しい検索インタフェースが利用できる(全員に公開されるまでには数週間かかるもよう)。さて、そこでユーザーはまず何を検索するだろう? ある会社に友だちが働いているかどうか、近く訪問する予定の都市に友だちがいるかどうかを調べるかもしれない。あるいは「パリの写真」を検索して友だちの目でパリ観光を楽しもうとするかもしれない。

しかし長期的な視野で考えると、Facebookはグラフ検索をGoogle検索の代わりとして使わせ、Facebookへのトラフィックと滞在時間を大きく増加させたいだろう。前述のようにFacebokkは今後ローカル・レビューやSpotifyのような音楽ストリーミングなどサードパーティーのサービスと提携して検索対象のデータを拡大する計画だ。

今年中にはグラフ検索をモバイル化すると同時に、ユーザーの近況アプデートのテキストを解析して場所や友だちとの関係に関する情報をさらに詳しく収集し、推薦情報を得られるようにするという。

プライバシーに関する懸念

PRISMスキャンダルが暴露される以前は、 「いいね!」やチェンクイン、レビュー投稿などの情報をベースにしたグラフ検索は、Google検索に代わって、それまで個々のユーザーのソーシャルグラフ中に囲い込まれていたデータを広く共有し、役立てることができる素晴らしいツールになるという楽観的な見方が強かった。しかし現在ではユーザーはFacebookの主張する「もっと透明でもっと結び付けられた世界」に対して懐疑的になっている。グラフ検索はもちろんユーザーのプライバシー設定を尊重する仕組みになっているが、ユーザー情報の共有の拡大を目指していることには変わりがない。行き過ぎたソーシャル化への懸念とゆり戻しが起きている現在、ユーザーの関心は情報の共有範囲を狭め、匿名性を拡大する方向に向いている。これはFacebookを含むさまざまなソーシャル・サービスにとって逆風だ。

Facebookはグラフ検索を広告プラットフォームに利用する計画なので、PRISMスキャンダル以後の懐疑的な空気の中で、個人情報を検索エンジンに入れることに対するユーザーの警戒心を解くためにさらに努力する必要があるだろう。その点からも、Spotifyで聞いている曲とかひいきの寿司レストランといった公開することに抵抗の少ないサードパーティー・サービスの情報にアクセスできるかどうかはグラフ検索にとって決定的に重要だ。

残念ながら現在のFacebookのグラフ検索はこうした点で大いに改善の余地がある。しかしこのサービスは今誕生したばかりだ。Facebookには膨大なサードパーティーのデベロッパーとアプリ、そのデータが存在する。グラフ検索はウェブ検索でGoogleに及ばないとしても、この強みを生かすことができればFacebookに少しでも長く滞在させ、Facebook広告を少しでも多くクリックさせるのに役立つだろう。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+