PC需要意外な急進でIntelに供給不足、ハイエンドチップから回復へ

Intelの暫定CEO Bob Swanが今日(米国時間9/28)、彼らしくない率直な書簡で、同社が今抱えるサプライの問題を強調した。それによると、不足の原因はPC業界の予想外の反転による急成長という、意外性だそうだ。Swanによるとその反転は“ゲームと商用システムの強力な需要”が、契機となった。

それは、さまざまな悪条件が重なった最悪の状況だ。需要の急増に対する、同社の10nmアーキテクチャの長年の歩留まり問題で、対応不能が広がった。それらのチップに関してSwanは、“状況は改善中”と言うが、正しくは“増産は2019年まで無理”、だろう。

書簡の中でSwanは、“サプライは確かに厳しい”、と認めている。“とりわけ、エントリーレベルのPCの市場が難しい”。しかしそれでも彼は、現状のサプライの量は今の会計年度の売上目標を満たすには十分、と信じている。

短期的にはIntelはXeonやCoreなどのハイエンド製品に注力し、“市場のハイパフォーマンスセグメントに対応”する。それ以降は年内の150億ドルの資本投下を計画中で、そのうちの10億ドルはアメリカとアイルランドとイスラエルにおける14nm製品の生産に向けられる。

今回の急なサプライ問題で、広い範囲のPC業界が苦境に立った。需要増による品不足は吉報かもしれないが、プロセッサーの不足とPC市場の成長が並行して今後も続けば、成功が帳消しになる事態もありうるだろう。

画像クレジット: Intel

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Intelが28コアのシングルソケットチップを今年の終わりごろローンチする

Intelは日に日に強さを増すAMDやQualcommからのプレッシャーを痛感しているし、Apple が独自のチップを開発してMacのIntelプロセッサーをリプレースするという報道が事実なら、競争はさらに激化するだろう。先週、Computexの前のEngadgetのインタビューで、IntelのクライアントコンピューティングのヘッドGregory Bryantは、Intelは昨年の真打ち18コア36スレッドのi9-7980XEよりももっとすごい、強力なチップを発表するだろう、と述べた。

今日(米国時間6/4)台湾の台北で行われたComputexにおけるIntelのキーノートは、今後のローンチのプレビューに終始したが、Bryantによれば、今年の後半にはシングルソケットのプロセッサーで、なんと28コア5GHzというものを発表するそうだ。至近の競合機種としてはAMDのThreadripperが思い浮かぶが、こちらは16コア32スレッドだ。

Bryantは、そのデビューは今年の第四四半期と言ったが、価格は公表しなかった。i9-7980XEは今1999ドルだから、それより高いことは確実だろう。

Intelは、新たな限定版チップi7-8086Kをリリースした。こちらは5.0GHzでこのチップとしては記録更新だが、ご先祖x86プロセッサーを記念する製品で、その最初の8086基は早いもの勝ちの無料で提供される。

Coreプロセッサーの第八世代(i10)、ニックネームWhiskey Lakeの計画も、発表された。Intelの14ナノメートル技術を使用し、軽量ラップトップ向けに設計され、バッテリーやファンのスペースを横取りしないそうだ。もうひとつのAmber Lakeチップシリーズも14ナノメートルで、超薄型ラップトップやタブレット用、という。

そのほかの発表は、Optane SSDのアップデート機905P、こちらはより小さいM.2のデザインで最大1.5TBを提供する。

チップ以外ではIntelは今、Sprintとデバイスを共同開発中だそうだ。そのハードウェアパートナーはAcer, ASUS, Dell, HP , Lenovo, Microsoftで5Gのネットワークに対応。ローンチは来年だ。

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Intelは今年後半に発売するチップにSpectreとMeltdownのハードウェアレベルの対策を導入

SpectreとMeltdownはハードウェアの設計レベルのバグなので、簡単なパッチなどでは修復できないことが明らかだった。しかし幸いにも、これらに対して十分な時間を投ずることのできたIntelは、今年後半に発売する新製品のチップに、その欠陥からユーザーとアプリケーションを保護する、ハードウェアのアーキテクチャレベルの改良を盛り込んだ。

このニュースは、CEOのBrian Krzanichが同社のブログ記事で発表した。パートナー数社に対する感謝の言葉に続いて彼は、過去5年以内の感染製品に対しては、それらの動作をバグから守るソフトウェアのアップデートを行った、と述べている。もちろんその効果に関しては議論の余地があるし、パフォーマンスへの影響も無視できないが、なにしろ一応、バグフィックスがあることはある。

本当は、互いにやや関連するバグが三つある: Spectreには変種1と変種2と変種3があり、研究者たちは変種3をMeltdownと呼んでいる。いちばん対策が難しいと思われているのが変種1で、Intelにもそれに対するハードウェアのソリューションはまだない。しかし変種2と変種3は、今回対応できた。

“プロセッサーのさまざまな部分の設計を変えて、変種2と3の両者に対して防御するパーティショニングにより、新たなレベルの保護を導入した”、とKrzanichは述べている。Cascade Lake Xeonと第8世代Coreプロセッサーにこれらの変更が含まれ、2018年の後半に発売される。現状では情報はまだ漠然としているが、リリースが近くなればIntelは大宣伝を開始するだろう。

なお、第1世代Coreまでさかのぼる古いハードウェアも、マイクロコードがアップデートされる。NehalemやPenrynをおぼえておられるだろうか? それらも、いずれはパッチされる。驚いた方もおられると思うが、大企業や政府機関ではまだまだNehalemのシステムが使われている。たとえばエネルギー省のどこかでは、Pentiumの上で動くWindows 98SEシステムが今でも使われているだろう。

この発表に関してユーザーがすべきことは何もないが、コンピューターとOSを最新の状態に保つことは必ずやるべきだ。そして、分からないことがあればカスタマーサービスに尋ねよう。

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AMDチップの欠陥を発見したセキュリティー調査会社、性急な発表で顰蹙を買う

AMDチップに見つかった一連の脆弱性は大きな波風を立てているが、それは事態が重大だからではない。自らの発見を公表した研究者らの、性急で一般うけを狙ったやり方のせいだ。プロの撮影したビデオと広報担当者のいるバグなど見たことがあるだろうか —— しかしAMDが警告を受けたのはわずか24時間前だ。欠陥は本物だとしてもこうしたやり方は不穏当だ。

問題の不具合を見つけたのはイスラエルのサイバーセキュリティー調査会社のCTS Labsで、欠陥にはRyzenfall、Masterkey、Fallout、Chimeraという派手な名前をつけ、専用のロゴとウェブサイトも作り、詳しい内容を記載した白書まで用意した。

ここまではまだよい。Heartbleedや、MeltdownとSpectreといった大きなバグにも名前とロゴはあった。

違うのは、過去のケースでは当事者たち、すなわちIntelやOpenSSLチームやAMDは、欠陥について十分前もって密かに警告を受けていたことだ。これが「責任ある開示」のコンセプトであり、公開前に開発者が問題の第一次対応を行う機会を与えるものだ。

大企業が自社にとって不都合な情報の開示について、どこまで統制力をもつべきかについては正当な議論があるが、一般に、ユーザー保護の観点から慣例は守られる傾向にある。しかし今回のケースでCTS Labsは、AMDの欠陥について事前にほとんど警告することなく、完全な形で公表した。

チームが発見した欠陥は本物だが、一連のアクションを実行するためには管理者権限が必要だ。つまり欠陥を利用するためにはターゲットシステムを深いレベルでアクセスする必要がある。調査報告書によると、バックドアは台湾企業のASmediaのチップに故意に仕掛けられたとしている。ASmediaは多くのメーカーと提携して部品を製造している。

この欠陥を利用するためには高度のアクセスが必要なことから、メモリー操作とアーキテクチャーレベルの欠陥を悪用したMeltdownとSpectreなどとくらべて問題ははるかに限定的だ。たしかに深刻ではあるが、その公表方法ゆえウェブには疑惑がうずまいた。

あの極端に専門性を排したビデオはなぜ背景素材にはめ込み合成されているのか? なぜAMDが軍で利用されていることを強調して恐怖を喚起する戦術をとってるのか? なぜ一連のバグには重大問題の識別に使われる標準追跡方法であるCVE番号が振られていないのか?なぜ、AMDには対応する時間がほとんど与えられなかったのか? なぜ、FAQにも書かれているように、数カ月のうちに修正できるのなら、少なくとも修正方法が用意できるまで公表を遅らせなかったか? そして、CTSはAMDの「業績に関わる直接または間接的な経済的利益を有する可能性がある」という情報開示はいったいなんなのか? これはこのような状況下で一般的に行われる情報開示内容ではない。

(私は欠陥の広報担当者[!]に連絡をとりいくつか質問をした)

AMDに対する何らかの悪意や恨みが背景にあるのではないかという疑念は拭いきれない。それが欠陥の深刻さを減じるものではないが、実に後味が悪い。

AMDは声明を発表し、「当社はついさきほど報告書を受け取り、発見された問題の手法と影響を解明すべく調査を続けている」と語った。これ以上1日に何かするのは困難だろう。

この種の大きなバグについはいつも言えることだが、真の影響範囲、実際にどれほど深刻なのか、ユーザーや企業は影響を受けるのか、予防するために何ができるのかといった情報は、専門家たちが詳しく調べデータを検証して初めて明らかになる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook