アマゾンが顧客のメールアドレスなどを漏らした社員を解雇

Amazon(アマゾン)は、顧客のメールアドレスと電話番号をサードパーティと共有した数名の社員を「弊社のポリシーに違反した」として解雇した。

2020年1月10日に顧客に送られたメールによると、社員はデータを共有したため解雇され、同社は司法による彼らの訴追に協力しているという。

アマゾンはこの事件を、TechCrunch宛のメールで確認した。スポークスパーソンによると、数名の社員が解雇されたという。しかしながら、該当社員らに関する情報は何も得られず、また、情報がいつ誰と共有され、何名の顧客が被害に遭ったのかも不明だ。

顧客に送られたメールには、「お客様のアカウントに関連するその他の情報は共有されていません。これは、お客様が何かをされたことの結果ではありません。また、お客様が、何か対応をする必要もありません」と書かれている。

Amazonの顧客宛のメールには、社員は解雇されたと書かれてある。複数の社員が解雇された、とAmazonは言っている。

これは、初めて起こったことではない。Amazonは2019年に起きた同様のメールアドレス侵害についての明言も、コメントも避けている。

Amazonによると、また別の件で同社は今週、スマートカメラとドアベルの子会社Ringの社員4名を解雇した。Ringによると、解雇した社員らは、顧客のカメラにある映像を視るという不正を犯した。

アップデート: 記事のタイトルにおける社員(employee)を単数形から複数形に変更した。

関連記事: Amazon admits it exposed customer email addresses, but refuses to give details…Amazonが顧客のメールアドレスの露出を認める(未訳)

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アメリカの複数の国会議員がAmazonの顔認識ソフトウェアの精度で質問状、表現の自由の無視、人種差別の疑いも

一部の国会議員たちは、Amazonがその物議をかもしている顔認識ソフトウェアRekognitionに関する質問に“十分な答を提供していない”とし、いつものように質問に無言で応じることは、答とは認めない、と主張している。

質問状には、上院議員のEdward Markeyや下院のJohn LewisとJudy Chuら8名の議員が署名し、同社の技術の仕組みやその使われ方について、Amazonの最高経営責任者Jeff Bezosに説明を求めている。

書状が送られたのは、このクラウドとリテールの巨大企業が、アメリカ政府およびフロリダ州オーランドを含むアメリカの一部の大都市からサーベイランスを受注して注目を集めた直後だ。

質問の主旨は議員たちによると、“Amazonがそのバイオメトリックス技術をアメリカの移民関税執行局(Immigration and Customs Enforcement, ICE)に積極的に売り込んでいるが、そのパイロット事業にはAmazonによる法執行職員たちに対する実地訓練が欠けている、という報道を契機として、高まった懸念を表明すること”、だという。

議員たちによると、そのシステムは精度に問題があり、人種的偏りに導きかねず、憲法で保証されている表現の自由を犯すおそれもある、という。

書簡は曰く: “しかしながら、現時点では、このタイプのプロダクトには深刻な精度の問題があるという重大な懸念を持たざるをえない。それにより有色者のコミュニティにいわれなき重荷を強い、公共の場において修正第一条の権利を実行したいとするアメリカ人の意思を抑圧するおそれもある”。

議員たちは、Amazonがどうやって精度をテストしたのか、それらのテストは独立的客観的に実施されたのか、そして偏りをどのようにテストしたのか、Amazonに説明を求めている。

[Amazonは耳に栓をするのではなく、顔のサーベイランスが誰にでももたらす深刻な脅威に関し責任を取る必要がある。とくに脅威が大きいのは、有色者や移民、そして活動家だ。Rekognitionを警察やICEの手に渡すべきでない。]

この質問状送付は、ACLUが、そのソフトウェアが28名の議員の顔認識に失敗したことを見つけたあとに行われた。とくに失敗率が高かったのは、有色者だった。

顔認識のソフトウェアは、そもそもの最初から物議を招いている。自社の社員たちからの懸念表明があったあとでもAmazonは、にもかかわらず現状の計画を推進し、何がなんでもその技術を売っていく、と言っている。

Amazonは、二週間あまりのうちに、質問状に答えなければならない。Amazonのスポークスパーソンは、コメントの要求に応じなかった。

関連記事: Amazonは顧客のメールアドレスを露出したことを認めたが詳細を明かさず〔未訳〕

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3Dプリンターがプラスチックでなく濡れた紙パルプを使ったら楽しいアートができる

紙弾(かみつぶて)を撃って遊ぶ子どもたちのように、デザイナーのBeer Holthuisも、いたずらをするための最良の素材は濡れた紙だ、と考えた。彼の3Dプリンター、RepRapの粗末なクローンは、文字通り紙パルプの長い紐(ひも)を吐き出して、プラスチックよりも持続可能性のある3Dオブジェクトを作る。

3DPrint.comの記事によると、Holthuisは、大量の廃棄物で汚染を増大させない素材を探していた。そして彼は、すりつぶした紙に到達した。濡れた紙を押し出すと、パルプの太い飾り紐のようなものができて、それを重ねると装飾的なオブジェクトを作ることができた。

“そうやってプリントしたオブジェクトのデザインは、この技術の可能性と美しさを示すものだ”、とHolthuisは語る。“触感がいいし、紐の太さやプリントのスピードを変えていろんな形を作れる。しかも、意外と強度があって、長持ちする”。

おもしろいのは、彼は天然バインダーを使って層をくっつけているので、完全にリサイクル可能であることだ。紙をマシンに放り込んで、自動的にパルプを作らせたら、リサイクルの過程も自動化されるだろう。でも、このお話の最良の部分は、作品がまるで、高度な知性を持った蜂のコロニーが他の集団と交易するために作った物のように見えることだ。そう思うと、楽しいよね。

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Amazonのレジ無しコンビニAmazon Goの三号店(これまでで最大)が開店、ミールキットも売る

Amazonが、同社の“未来のストア”構想のピッチを上げている。今日(米国時間9/4)は、先週二号店をご紹介した同社のレジなしコンビニAmazon Goの三号店が開店する。近くほかの都市にも出店するようだが、Amazonはまだその計画を明らかにしていない。

今度の最新の場所は、全体で三つめ、Amazon本社のあるシアトルで三つめだ。Boren Ave.とThomas St.の角にあるその店は、床面積2100平方フィート(195平方メートル)、これまでで最大だ。一号店は1800平方フィート(167平方メートル)で、2016年12月に予告も宣伝もなくサプライズ開店した。 二号店は1450平方フィート(135平方メートル)で、先週の月曜日にオープンした

Amazon Goストアは、顧客が買ったものの代金をアプリが計算することによって、レジをなくす。店内に大量のカメラや重量センサーを置くことによってお客が取ったものを判断し、正しい合計計算をする。

関連記事: Amazonの監視カメラだらけのレジ無しコンビニエンスストアにて

最新の三号店には、朝食、ランチ、ディナー、スナックなどもあり、パンやミルクやチョコレートなどの一般的な食料品もある。一回の食事用の料理食材セット、いわゆるミールキット(meal kit)は、Amazon Meal Kitsが調製提供する。2017年にローンチしたこのプロダクトは、Blue Apronなど既存のミールキット・デリバリーサービスともろに競合する。

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米国コミック、印刷本の減少で売り上げダウン

コミック本とグラフィックノベルの売り上げは、過去最高だった2016年の10億1500万ドルから、2017年は6.5%減少した。グラフィックノベルが5.7億ドル、コミック本は3.5億ドルだった。

Comichronに掲載されたレポートによると、流通経路別ではコミックストアが今も最大の収入源で、デジタルダウンロードは9000万ドルだった。

「成長の年が続いたあと、2017年コミックショップ市場は再び落ち込んだ。新たな雑誌が低調だった結果グラフィックノベルの売り上げも伸び悩んだ」と、ComichronのJohn Jackson Millerは書いている。「2017年第3四半期は最悪の対前年比減少を記録したが、その後の2018年春は好調に転じた。」

今や出版界では見慣れたパターンだが、子供向けコミックとグラフィックノベルが市場を支えた。同じことは書籍市場でも定期的に起きていて、児童書が活発に売れる一方で、大人はソフトカバーやハードカバーを捨てデジタルダウンロードに走る。紙のコミック本は今もあきらかに人気が高く、デジタルダウンロードは定期購読販売を上回るペースだが、印刷本に比べるとまだごくわずかだ。

なぜかComichronは売上をコミックとグラフィックノベルとデジタルダウンロードに分類しているが、デジタル売り上げを本の種類別に比較できたら面白いだろう。ともあれ、消費モデルがデバイスへと移行するにつれ、メディアが変わっていく様子は興味津々だ。

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Amazonの新規Prime会員のうち500万はビデオのオリジナルプログラムを見たい人だった

Amazonのオリジナルコンテンツへの取り組みは、少なくともPrimeの新会員を大きく増やしたことで、十分報われている。Primeは今や誰が見ても、このコマース巨人のメインの価値だ。Reutersが入手した文書によると、Primeビデオの、19の番組から成るトップのオリジナルプログラムは、2014年の終わりから昨年の初めまでの間のPrimeサービスの新規会員のなんと1/4を集めている。

その文書によると、Primeビデオのアメリカのオーディエンスは、オリジナルとライセンスコンテンツの両方を含めて、およそ2600万に達する。そして、そのプログラムを見たいがために入会したPrime会員はおよそ500万、そのうち115万はAmazonのThe Man in the High Castleシリーズが目当てだった。その製作費7200万ドルを新規会員獲得コストと考えると、Amazonの内部文書によると、年会費99ドルの新規会員の獲得に一人あたり63ドルのコストを要している。Amazonがオリジナルプログラムの編成に力を入れるのも、当然である。

でも、Primeの新規会員の登録動機がPrimeビデオの番組だった、とどうして言えるのか? 同社は、彼らの会員になってから最初のストリーミングが何であるかを調べ、また以下はぼくの想像だが、最初のとは言ってもその番組を見るためにあまり日にちや時間が経ったやつは、除外しているだろう。

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共同創業者曰く、Facebookは「アメリカンドリーム」を破壊する

2004年4月、ハーバード大学の寮生たちが雨の大学キャンパスを歩いていた。彼らは数カ月前に設立されたインターネット企業の共同ファウンダー3人のうちの2人だった。そのソーシャルネットワークのスタートアップは現在Facebookとして知られている。

若者のひとりで歴史学専攻の学生、Chris Hughesは、もうひとりのコンピューター科学専攻の学生、Mark Zuckerbergに、新会社の権利の分け前について主張していた。Hughsはソーシャルネットワークの10%を要求していた。

しかし、ワイドナー図書館の階段で話し合った末、ずぶ濡れのHughesは降参した。気の済むようにしてくれ、と同じくずぶ濡れだったルームメートに言った(二人とも傘を持っていなかった)。後にHughesは、Zuckerbergが新会社の「わずか」2%しか渡さなかったことを知った —— 現在の価値で100億ドル以上。あれは「壮大に失敗した交渉だった」とHughesは打ち明ける。

このストーリーを始めとするHughesの数多くの思い出が、彼の近著、”Fair Shot: Rethinking Inequality and How We Earn“に書かれている。これはアメリカンドリームの物語だ。ノースカロライナ州の労働階級に生まれた子供がハーバード大学へ行き、Zuckerbergともうひとりのルームメイト、Dustin MoskovitzとともにFacebookを設立し —— ハーバードキャンパスでの交渉には失敗したが —— 5億ドルを手にした。

しかしこの本は、Hughesの言う「アメリカンドリームの崩壊」を書いた本でもある。Facebookの勝者総取りの性格はアメリカ資本主義の問題を体現しているとHughesは言う。不平等は1929年以来の水準にあり、「ほとんどのアメリカ人が非常時の400ドルを持たない」一方で私は「3年働いただけで5億ドルを稼いだ」。この憂慮すべき格差は「経済」にとっても「この国」にとっても「深刻な誤り」であるとFacebookの共同ファウンダーは信じている。

Chris Hughesは、現在アメリカとFacebookが抱える問題には、恐ろしい対象性があると考えている。かつてのルームメイトであるMark Zuckerberは、Hughes —— 子供時代「新エルサレム」と呼ばれる地方の協会に通っていた —— が言う「神の来たりしとき」(反省すべきとき)を迎えていると彼は言う。

今Facebookには、偽ニュースを始めとするアメリカ民主主義を蝕む腐敗したオンライン勢力と戦う責任がある、と彼は言う。ZuckerbergとFacebookは自らを再発明する必要がある。そしはアメリカについても同じだと彼がFair Shotで主張している。

Hughesのようなワンパーセンター[上位1%]は、それ以外の人々に気を配る道義的責任があると彼は強調する。Hughesが重要な新法案 —— アメリカンドリームを救う「勤労者の収入保証制度」など —— を推進している理由はそこにある。つまり、アメリカとFacebookは神の来たりしときを同時に迎えている。どちらも2004年4月のワイドナー図書館の階段にいたHughesのような湿っぽい結果にならないことを願うばかりだ。

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印刷書籍、2017年の売上は1.9%増(米国市場)

物理的書籍の強みをささやかに称賛するかのように、NPDは2017年に印刷書籍の売上が1.9%増加したことを報告した。これは2013~2016年の3%増を下回っている。NPDは米国内の書籍売上を追跡している。

報告書にはこう書かれている。

「2016年の『ハリー・ポッターと呪いの子』の大ヒットと、大人向けぬり絵本の人気上昇の後、2017年の書籍売上の成長は近年では比較的控えめだった」とNPD Groupの書籍業界アナリスト、Kristen McLeanは語る。「巨大なヒット作は出版業界にとって恩恵であると同時に恐怖でもある。ヒットの出た年は出版社に膨大な成功をもたらす。しかしその後の必然的な通常状態への落ち込みは喪失感を与える。翌年、取って代わる大ヒットが生まれなければ天国から地獄だ」

これは読者にとって何を意味するのか? まず、物理的書籍の売上は市場を支えるような大ヒット作 —— たいていは子ども向け —— がなければ停滞することを知らしめた。児童書籍は印刷業界にとって最後の望みだ。

「児童書は2017年も3%の成長を達成した。引っ張ったのはR.J.パラシオ『ワンダー』とジェフ・キニーの『グレッグのダメ日記:にげだしたいよ!』だった」とNPDは書いている。「幼児向け書籍が好調だった。ボードブック(厚紙でできた絵本)が前年比11%増、漫画が20%増で、デイブ・ピルキーの”Dog Man”シリーズの成功が後押しした」。

NPDは具体的数字は提供しておらず、印刷とデジタルの比較もしていないが、こうした横ばいからわずかな成長という知らせは、印刷活字ファンにとってよい兆候ではない。

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小さなサイトがGoogle Newsから消えてしまったエラーをGoogleは目下修復中

お知らせ: 最近急にGoogle Newsに載らなくなった、と感じている小さなニュースサイトのみなさま、Googleが今、この問題を直し中です。

過去二日間、小さなWebサイトの多くが、Google Newsのページに載らなくなり、Googleからの説明もなかった。本誌に問い合わせてきたあるサイトのファウンダーは、問題が自分のサイトだけではないことを知った。

Googleが新しいSEO対策を事前の警告なしで展開しているのだ、という説もあった。これまでもGoogleは、検索アルゴリズムの微調整を、ユーザーに黙ってやってきたからだ。

しかも同社は、Facebookと共に、ニュースを操作しているとして話題になった。それはとくに、上位に表示されるニュースの質が高くない場合だ。Googleはこれまでずっと、この状況の改善に努めており、こんな対応を採ったこともある。

しかし今回の、サイトの削除という問題は、Google自身のエラーのようだった。それを本誌が指摘して以降、Googleはこの問題を調査し、目下修復に努めている。Google Newsのチームを率いるMaricia Scottが、こんな声明文をくれた:

“多くのサイトがGoogle Newsから外された件に関し、お詫び申し上げます。これは意図せざる技術的問題であり、私たちが手を下したことではありません。今、影響を受けたサイトを調査しており、できるかぎり早期に正常に復帰したいと願っております”。

被害に遭ったサイトが、Googleにわざわざそのことを連絡する必要はない、とGoogleは言っている。Google自身が今調べているから分かる、と。

Google NewsのValerie Streitが、同社のパブリッシャーフォーラムで述べている:

親愛なるパブリッシャーのみなさま,
最近Google NewsからWebサイトが外された、という問題に関する報告があることは、私共もすでに承知いたしております。私共はこのフォーラムやその他の場所で、そのようなポストを積極的にモニタいたしております。私共のチームは目下調査中であり、なるべく早い時期により詳細なアップデートをご提供いたします。

それと同時にまた、私共はみなさまの忍耐に感謝申し上げます。いただいたフィードバックについても、早急な調査に努めて参ります。

Webサイトにとって、Google Newsから外されることの影響は大きい。ニュースサイトは取り上げるソースの偏重と固定化を避けようと努力しているが、Google Newsのようなサイトは、リファラーとしての影響力も大きい、とモニタリングサイトParse.lyが言っている

2017に、Googleのリファラルは、AMPページの成長にも影響されて17%アップした。またそれは、友だちのポストよりもニュースのポストを優先する方針をやめた、Facebookの方針変更も影響している。

すでに問題は解決した、と本誌に報告をくれたサイトも、一部にはある。

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Amazon Echoの普及でスマートホーム市場が元気になりそうだ

AmazonのEcho系列は今年の早期に顔ぶれを一新し、ベーシックなEchoをバージョンアップ、スマートホームのハブとしてのEcho Plusを導入、そして頑丈なEcho Dotは変わらなかったが、相変わらずコスパの良いデバイスだ。

その新しい陣容によってこのデバイスは、市場をさらに拡大した。今月はカナダでも発売されたから、今ではカナダ人であるぼく自身のアパートで、たくさんのEchoデバイスを試している。この陣容一新の最大の功績は、目新しい小物デバイスという印象が消えて、近未来の日常家庭用品というイメージになったことだ。つまり、どの家庭にも必ずあるべき、新しい消費者電子製品だ。

Amazonも明らかに、この感じ方を強めようとしている。新しいAmazon Echoはほぼ全体が布で包まれているし、ソファーなどの家具の仲間のような印象も、偶然ではなく意図的だ。インテリアの一部のような感触は、このスマートスピーカーが従来のオーディオスピーカーのように固定式ではなく、本棚でもテーブルでもどこへでも置けることにも由来している。どっかに隠す必要もない。そして全体が布だから、目ざわりでない。小物電子製品を、日常の中で気に障(さわ)らないものにするためには、こんなデザインが必須だろう。

ぼくのところでは、まさにそのとおりで、Echo(とEcho PlusとEcho Dot)は、照明のスイッチやカウチや電子レンジなどと並ぶ家庭用品だ。その最新世代は、音質が良くなったなどの改良がある。新しいEchoだけでなく、Echo Plusも音は良い。まあ、似たような製品だけどね。

うちでは複数のEchoで、Hueのライト(スマート電球)をコントロールしている。スイッチは、もう随分長く使っていない。そのほか、ホームシアターのコントロールや、Nestのサーモスタットによる温度コントロール、ニュースや天気予報、キッチンのタイマーなどにも使っている。今ではEchoを使うことが自然な習性になっているので、手でスイッチを操作するなど昔のやり方がすごくかったるい。昔のやり方がすごく不便、ということは全然ないのに。

しかし、若干の疑問もある。たとえばスマートホームのハブを統合したEcho Plusは、家庭用デバイスのワイヤレス接続に二つの主なスタンダードがあるのに、一つしかサポートしていない。でも今のところ、それは気にならないし、Echoは日に日に、コーヒーテーブルや皿洗い機などと同じく、頼りになるデフォルトの生活用品になっていく。

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Amazon、KDPをだました出版社との仲裁を申請

Amazonは、Kindle Direct Publishing(KDP)システムを利用している出版社、マーケター、および著者らに対して、売り上げ数値を人為的に水増ししているとして非難してきたが、このほど米国仲裁協会(AAA)に仲裁申請を提出した。

Amazonは申請した書類(TechCrunchが入手済み、下記参照)で5件の仲裁を要求している。訴えによると、関係者は読み終わったページ数の水増し、偽カスタマーレビュー、偽ユーザーアカウントを作成して電子書籍をダウンロードするなどの方法によって、著者や出版社がAmazonから得るロイヤリティ金額を増やしていた。

訴えの中には、ある出版社が著者に対してAmazonベストセラーにすることを保証するために、翌日までに1万件の自動ダウンロードを行うサービスを利用してる疑いがあると指摘するものもある。

「KDPを利用している大半の著者や出版社は、電子書籍の出版や広報に真摯に取り組んでいるが、ごくわずかな者たちが詐欺行為によって不当な利益を得ている」とAmazon広報がTechCrunchに話した。「今日のニュースは、不正を行う者から読者と著者を守り、誰もが信頼を置けるサービスを提供するという当社の取り組みを反映したものだ」。

現在Amazonは、違反者に対する行為の差し止め命令を求めるとともに、「仲裁で確定する金額」の賠償金支払いを要求している。

これはKDPに関しては初めての事例と思われるが、Amazonはこれまでにもサイト上の詐欺行為に対して数多く裁判を行ってきた。2016年、Amazonは偽レビューを徹底追及し、金を払ってレビューを書かせた売り手を少なくとも3社訴えた

仲裁事件の書類5件を以下に貼った。

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Apple、iOSのNewsアプリを全パブリッシャーに公開

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Appleの全iOSデバイス(*)にインストールされているNewsアプリが、全パブリッシャーに開放される。2015年秋の公開時、Newsアプリの配信ツールは、AppleのパートナーであるConde Nast、New York Times、CNN等の主要メディアのみに提供された。これからは誰でも、つつましいブロガーでも、サインアップしてコンテンツを収益化できる。[* 日本語版注:日本では未サポート]

ただし、Newsアプリは完全自由化されるわけではない。コンテンツ制作者が配信ツールを利用するためには、Appleの承認を得る必要がある。

同社はApple News FormatというNewsコンテンツ用文書フォーマットを制定し、パブリッシャーはこれに沿ってコンテンツをカスタマイズしたり、テキスト、フォトギャラリー、ビデオ、アニメーション等をNewアプリ用に追加できる。Apple News Formatに関わりたくない制作者はRSSフィードを、News PublisherというiCloudアプリケーションに送れば、記事をNewsアプリにプッシュ送信してくれる。その後パブリッシャーは、News Publisherの分析ツールでトラフィックを監視したり、Appleの広告プラットフォーム、iAdでコンテンツに広告を差し込んだりできる。

Apple Newsは全iPhoneおよびiPadに塔載されているが、パブリッシャーが実際どれだけ収益を得られるのかは不明だ。例えば、Apple Newsにはライバルが既に山ほどいる。Flipboardが最有力だが、Facebook Instant ArticlesSnapchat Discover等のサービスも読者獲得を争っている。

さらに、Wall Street Journalが2ヵ月前に報じたところによると、Appleはアプリを利用している読者数を過少に評価し、配信パートナーに不正確な情報を提供していた。Appleのインターネットソフトウェア&サービス担当上級副社長、Eddy CueはWall Street Journalに対して、正確な数字をパートナーに渡すべく問題解決に努めていると言ったが、もちろんこれは、優れたコンテンツ制作者を集め、維持していくためには不可欠だ。

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“Czur”は1冊当たり5分でデジタル図書館を作れるスキャナー

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西ゴート族がアレクサンドリア図書館を焼き払った時、プトレマイオス1世ソーテールは、その宮殿のような大理石張りの特別室にCzur(「シーザー」と発音する)スキャナーがあればよかったのにと思ったに違いない。

Czur

は強化されたブックスキャナーで、300ページの本 ― あるいは金で買えない古代知識の巻物 ― を5分ほどでスキャンできる。

Czurは、一種のカメラ/スキャナーのハイブリッドで、使用者はスキャン台に本を置いてページをめくっていく。各ページを写真に撮り、画像処理し、写り込んだ指さえ消してくれる。早割価格の189ドルはブックスキャナーとしてはかなりのお買い得だ。高解像度カメラの下に他の物体を置いて、HDMIポートからプロジェクターに画像を送ることもできる。遠隔操作用の足踏みペダルとソフトウェアを使って、平均的な人で1分間に約80ページをスキャンできる。

チームは目標の2万ドルを突破しており、マーケティング資料は少々雑だがシステムの概要は見ることができる。スキャンしながらページの歪みを正しく修正し、美しい画像とOCR出力を得られるのは魅力だ。

Czurは、大規模な海賊本製作機にもなるのって? かもしれない!しかし、長編のノンフィクションや調査に取りかかっている人は大いに助かるだろうし、デジタル未来への移行に関心のある小さな図書館にとっては天の恵だ。チームは来年1月の出荷を目指している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

英国の印刷書籍は売上ダウン、電子書籍はアップ

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米国の印刷書籍売上は安定しているが、英国出版協会が非常に興味深い傾向を報告している。印刷本の売上は5%減の27億ポンドだったのに対して、電子書籍の売上は11%増の5.63億ポンドだった。未だにEブックが書籍売上全体に占める割合はわずかだが、印刷書籍にじわじわと迫っていることが確実に見てとれる。

しかし、何よりも重要なのは子供向けEブックの急増だ。これまで出版社は、親は自分の子供にタブレットより絵本やペーパーバックを与えたがっていると想定してきたが、それも急速に変化している。事実、デジタル児童書は36%増えている ― 印刷屋が気に留めるべき変化だ。

「デジタル出版が成長を続け、多くの分野で発展していることは大変喜ばしい。子供向けデジタル書籍の伸びは、70%の世帯がタブレットを所有している今、驚きではなく、子供向け出版で革新が起き、魅力的なコンテンツが作られていることの証だ」と、英国出版協会のRichard Mollet会長がリリースで語った。

教科書分野でも成長が見られ、学校が購入したデジタル書籍は20%増えた。しかし、「総学校図書購入費」のうちデジタル書籍に使われた費用はわずか4%にすぎないことは注目すべきだ。これは「つながった教室」時代に向けてさらに重要になってくる事実と言える。それでも、電子書籍が地盤を固めつつあることは間違いない。

via TheDigitalReader

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

YC支援のBooktropeは編集チームをマーケットプレイスで募る新しい出版プラットフォーム

なんらかの物書きであれば、本の出版に関するホラーストーリーを聞いたことがあるだろう。次から次とあらゆる版元から突き返された原稿。版元のロッカーに何年も埋まっていた原稿。出版はされたものの版元の支援がゼロだった本、等々。

一方で著者自身によるセルフ・パブリッシングにもリスクが一杯だ。優秀な編集者やデザイナーを自費で雇うとなれば大金がかかる。その費用を惜しめばみっともない表紙に誤植や辻褄の合わぬ文章だらけの見るからに「自費出版」の本になってしまう。

これに対して現在Y Combinatorで現在開講中のインキュベーター・クラスに所属しているスタートアップ、Booktropeは異なるアプローチを提案している。Booktrope自身が版元だが、著者は伝統的版元が出版を受け入れる際の高いハードルに妨げられるずにプロの出版チームの支援を受けられる。

最高マーケティング責任者のKatherine Searsによれば、彼女自身も共同ファウンダーも出版業界の出身ではないという。 「私たちの強みは先入観なしに問題に取り組むことができたことだ。しかし私たちは全員、熱烈な読書家だ」とSearsは語った。

小さな版元から本を出したことがあり、優秀な出版のプロにも知り合いがいる私としては、部外者が出版ビジネスを始めたと聞いて、いささか懸念を覚えた。しかしSearsやCEOのKen Shear(ちなみにTwitchTVの共同ファウンダーEmmett Shearの父)、CTO Andy Robertsに取材するうちに、彼らは出版業界出身ではなくても、出版に関して知識豊富であり、ビジネスモデルも綿密に検討していることが分かった。

著者はBooktropeに自分自身と出版を希望している本に関する情報を送る。Booktropeはすべての申し込みをそのまま受け入れるわけではない。アルゴリズムと人間の判断を組み合わせた選定プロセスが用意されている。

ただしBooktropeが重視するのは内容の質もよりも著者とBooktropeプラットフォームとの適合性だ。世の中には内容はお粗末、レビューでも手ひどく批判されているにもかかわらずどこからかファンが湧いて出てベストセラーになった本がたくさんある。

「読者公衆は別に文学的価値判断を必要としていないと思う」とSearsは言う。Booktropeのアプローチは編集者や発行者は控えめなフィルターの役割を果たし、本の価値はできるかぎり読者自身に判断させるというものだ。

いずれにせよ、申し込みがBooktropeに受け入れられた場合、著者は完成した原稿を送付する。Booktropeは運営するオンライン・マーケップレイスでそのプロジェクトに関心を持つ編集者、デザイナーを募る。チームが集まれば、Booktropeが提供するオンライン・ツールで編集、制作が行われる。著者はチームに報酬を直接には支払う必要はなく、著者印税の一部を提供することを約束すればよい。著者はポケットマネーを負担せずにすみ、チームには本の売上に貢献しようとするインセンティブが与えられるわけだ。

BooktropeはScribdなどと同様、印刷版とデジタル版の両方をAmazon、現実の書店、定期購入のブッククラブなどさまざまな流通経路で販売する。現在Booktropeを利用する著者は以前にセルフ・パブリッシングを試したことがあり、その結果に満足できなかった人たちが多いという。一方、編集者、デザイナーは出版業界で働くフリーのプロが多い。

Booktropeは利益の30%を手数料として徴収し、残りの70%を著者と編集製作チームで分け合う。その比率はチーム内の合意によって決定する(Shearが強調したところによると、ここでいう利益とは本の売上から直接の制作費用を差し引いた額であり、Booktrope自身のいわゆる「一般管理費」は含まれていないという)。

SearsとShearによると、Booktropeをスタートさせたのは3年近く前になるが、実際に運営を開始したのはもっと最近でRobertsが参加してオンライン・システムが構築されてからだという。Booktropeはすでに400冊弱を出版し、合計250万部を販売した。

画像: Brenda Clarke/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


電子書籍は2018年に紙を越えられるか


PricewaterhouseCoopers(PwC)のアナリストたちは、近々電子書籍が出版社の稼ぎ頭の座を印刷書籍から奪い取るだろうと(またも)予測している。これは何を意味しているのか? 要するに、電子本が普及し価格が安定すれば、ユーザーはパルプよりもビットに多くの金を費やすだろうということだ。その結果起こる変化は、印刷本にとどめをさすことになる。

NYT か作ったこのグラフは、米国における電子本のシェアが、2018年にわずかに半数を越えることを示している。

本当にそうなるのか?私は2018年という数字は買っていない。第一に、
The Digital Readerも指摘しているように、PwCは毎年毎年何度も何度も同じ予測を出している。なぜか? いつかは正しくなるからだ。

正直なところ、私は米国で電子本が印刷本を越えるのはもっとずっと早いと思っていた。 数字は依然として印刷本が電子本を上回り、ヨーロッパではまだまだ印刷が主流だ。しかし、安い電書リーダーが普及すればそれも変わるだろうし、世代の問題もある。子供や高年齢層 ー 書籍市場を支える読者たち ー がまだ印刷書籍を読んでいることは、 『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』、『トワイライト』、『ハリーポッター』の古書が大量に流通していることが証明している。しかし、親たちが子供を寝かしつけるのにタブレットを使うようになるにつれ、固執層の前半は近く崩壊すると私は感じている。高年齢層についても、祖父母や親たちが子供のKindleに馴染むにつれ、数字は減少していくだろう。

紙の本はいまもありふれている。電子本が「勝つ」ためには、印刷本が崇拝の対象になる必要がある。私は電子出版が驚くべきツールの数々を著者に提供したことを理解している書籍愛好家の一人として、最近Cory Doctorowの新刊『Information Doesn’t Want To Be Free』をハードカバーで買った。なぜ紙版を買ったのか理由を思い出せないが ー たぶん私がAmazonを注意して見ていなかったからだろう ー 美しい装丁の本を手にして、カバーが表紙から少しずれるのを見ながら、きっちりとしたページをめくるたびに時が刻まれていくことには、きっと何かがあるのだろう。しかし、インディー作家のひとりとして、遠からず私は電子本の体験をもっとロマンチックなものに変えることかできるだろう。われわれは今2つの世界に捕らえられている。新しい方はまだ準備が整っていない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


クリスマスを前に戦争は終わった―HachetteとAmazonがKindle版価格設定問題で和解

メリー・クリスマスと叫ぶのにはまだ少し早いが、例の戦争は終わった。AmazonとHachette Book Groupはeブックと印刷本の販売に関して「複数年にわたる合意」に達したという。この合意によれば、Hachetteはすべてのeブックに関して価格を自由に設定できる。 ただしHachetteは「低い価格に対してよりよい販売条件を得られる」という。つまりHachetteは自分で価格を設定できるが、無茶な設定をしなければ得をするらしい。

AmazonのKindle担当副社長、David Naggarはプレスリリースで、「今回の合意に、Hachetteが価格を引き下げればメリットがあるようなインセンティブの仕組みを導入できたことを嬉しく思っている。これは読者、著者をともに大きく利するものだと信ずる」と述べた。

新たな合意によるeブックの価格設定は2015年から適用となるが、AmazonはHachetteのタイトルに対する制裁をすぐに中止するという。制裁を受けていたHachetteの本は再び「目立つようにプロモーションされる」ようになる。

簡単に言えば、AmazonはHachetteに価格設定権というアメを与えたわけだ。しかしHachetteがAmazonの価格ルールに従えばメリットがあるような仕組みが導入されたことは大きな効果があるだろう。HachetteがAmazonに対して独占的な低価格でKindle版を提供すればAmazonストアのショーウィンドウの目立つ位置に飾ってもらえる、ということなのだろう。Hachetteは価格設定の自由を手に入れはしたが、やがてこれも「悪魔との契約」だったと考えるようになるかもしれない。 

画像: Stephen Woods/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


AmazonのクラウドライティングサービスWriteOnは読者と作者のコミュニティ、Wattpadなどにも対抗

Amazonが、クラウドエディティング/ライティングサービス(crowd-editing and -writing service)WriteOnを非公開ベータで立ち上げた。Kindle Author Forums上の発表によると、このサイトは、“読者と筆者が対話をしながら良いストーリーを作っていったり、すぐれたストーリーをさらに良くしていく”ための場だ。

読者は、招待コードX9RJTE9Hでここからベータに参加できる。

このサービスでは、まず著者がストーリーやその部分的な章を自分の著者ページにアップロードする(ぼくのページはここ)。すると、好評のストーリーが徐々にランクの上の方へ上がっていく。

今日の発表声明から引用しよう:

自分の作品を磨きたい人や、フィードバックのスキルを研ぎ澄ましたい人、あるいは熱心な読者や筆者のグループを見つけて参加したい人のためのコミュニティを構築します。しかも、まだベータ状態の新しいKindleプロジェクトの、今後の内容や方向性について、あなたが介入し手助けすることもできます。それはちょっとした実験であり、一種の出たとこ勝負であり、そして参加者全員に楽しい時間を過ごしていただきたいと願う試みです。参加は、完全に自由です。作品を投稿するにあたり、契約義務のようなものはまったくありません。ですから、いつでも取り下げることができます。ただ、みんなの力で良い作品を作りたいという願いや、ほかの人の作品を良くしていくために自分も参加したいという熱意だけが、このプロジェクトを支えます。https://writeon.amazon.com/を訪ねて、X9RJTE9Hを入力し、この助け合いの場に参加してください。

このサービスは夏から始まっていたが、広く知られるようになったのはThe Digital Readerのおかげだ。まだ機能が少なくて、ブログに毛が生えた程度のもののようだが、すでに多くのインディー作品がアップロードされている。

この種のサービスはほかにもあるが、けっこうトラフィックを稼げるサイトだろう。Wattpadなんかは、ユーザ数が数百万、すでに数百万ワードの作品がアップロードされた、と言っており、成功例もある。Amazonは同社のKindle Worldsサービスでインディーのライターたちに取り入ろうとしていた。それは、ファン・フィクションをアップロードして公開するという、奇妙なシステムだった。しかしWriteOnは、オリジナルのフィクションや短編など、もっとふつうの著作をねらっているようだ。

Amazonはすでに、インディーにとって重要な場の一つだ。でもこれまでは、彼らのコミュニティがなかった。WriteOnを手始めとする今後の取り組みによって、その穴をうめていくのだろう。どこまで良質なコミュニケーションが行われるか、それが今後の見ものだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Amazonでは5分に1冊新しい本が出る

Claude Nougatというライターが書いたおもしろい記事によると、U.S. AmazonのKindle Storeには8月16日現在で約340万種の本(とアプリ)があり、1時間に12種ずつ増えている。1時間に12ということは、えーと、5分に一つだ。そしてたぶん、その多くはインディーの本だ。

よーく考えてみよう。

楽観主義の人にとっては何も問題ないが、わずかでも悲観主義の人にとっては、考えさせられる数字だ。Nougatはこう書いている:

“ある程度成功している自費出版の著者にとっても、ライター人生は厳しいものである。われわれ、その他大勢はいったいどうなるのか?

それはつまり、新人が一人現れるたびに彼/彼女を呑み込んでしまう本の津波なのだ!”

この津波は、もっとメジャーな本も呑み込む。合衆国の五大大手出版社は、Amazonのドアの前で立ち止まる。これだけたくさんの本から選べるのだから、有名出版社の本のKindle版に14ドル99セントも払うのはもったいない。99セントの、あるいは無料の、いろいろな本を試した方が楽しい。有名出版社の本はプロが念を入れて作っている、という主張はもちろんある。しかしそれも、急速に変わりつつある。

インディーの出版物は今ものすごく人気があり、中にはロボットが書いているものもある。あっという間に10万種の本を書いたロボットもいる。ロボットがいようといまいと、ジャンクの多い世界だから、レビューやランク付けがますます重要だ。そしてランクやレビューに頼るようになると、多くの人びとがせいぜい上位100ぐらいしか検討しない。101番目以降は、忘却の彼方へと消え去る。

インディーの100万長者ですら、楽ではない。ヴァンパイア小説で数百万ドルを稼いだAmanda Hockingも、今では本を無料または安くせざるをえなくなり、ランクはぐっと下降した。Hugh HoweyのDustはAmazonという本の大神殿で800位にいるが、それは実質、340万種のビリにいるのと等しい。

ライターであることは、ますます難しい。インディーのための出版ツールが本の出版を容易にし、Amazonは彼らに道を開いた。でもAmazonの稼ぎでボートを買ったり、生活を支えていくことは、奇跡以外ではありえない。不可能ではないが、でもあなたが大津波に飲み込まれてしまう理由が340万ある(1時間に12ある)。奇跡を起こす秘訣は、このノイズに打ち勝つことだが、それはいつの時代にも、人が何かを書くことの高貴な目標だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Amazon Unlimitedに出版ビッグ5が参加しない理由

Amazon Unlimitedは、本のNetflixと評された。これは、Netflixが、低予算インディーズ作品の山と、いくつかの主要小スタジオの作品からなるという意味である限りは正しい。実は、Amazonの新しい9.99ドル読み放題サービスには、「商業出版社ビッグ5」の本が含まれていない。Amazonが口をつぐんでいる話題だ。

私はAmazoに説明を求めているが未だに回答はない。しかし、Unlimitedのリストにある人気作品を見渡せば、いずれも、小さな出版社 ー 「小さな」は相対的表現 ー あるいは独立系作品であることがわかる。例えば、 Life Of Piの発行元は、Mariner Booksで、ここは教育系出版社、Houghton Mifflin Harcourtの傘下だ。Michael LewisのThe Flash Boysは、W. W. Norton & Companyから出ている。そして目玉作品のHarry Potterは?これを所有するのはPottermore Limited、J K Rowlingのビジネスベンチャーだ。要するに、大物たちは参加していない。

実際、主要出版社の多くは、他のパートナーの開発と投資に必死だ。 例えば、Oyster Booksは、このアンチAmazon感情の恩恵に預かっているし、Zola Booksのように、出版インサイダーらが出資した会社もある。これらのサービスが実を ー 現金を ー 成らせられるかどうかは、別問題だ。

インディーズ作家の一人として私は、Amazonがロングテールのためにしていることは重要だと知っている。自分の本を[試して」みる人たちからお金をもらえるのはすばらしいことだ。しかし、Amazonの行動にまつわる騒動はまだ終わっていない。Hachetteとの戦いは収まる様子がなく、今やビッグ5は、Amazonが味方であるより、はるかそれ以上に敵であることに気づき始めている、全体的に見て、Unlimitedの人気作品に関する見通しは明るくない。しかし、Netflixが実証したように、少数の大ヒット作品を前面に掲げ、そこそこ人気のタイトルを無限リストに加えることは、堅実なビジネスモデルだ。

ついでだが、Unlimitedは電子デバイスでの読書を探求したい子供たちにとって、実に有難いサービスだ。例えば私の息子は、Minecraftの電子書籍をすでに数十冊ダウンロードしており、著者はロボットか小学生らしい。一冊など、全編がインターネットから集めてきたMinecratf用語から成っていた。ちなみに、彼はまだハリーポッターを読もうとしない。無料なのに。

この事実は、ビッグ5をためらわせるにちがいない。もしAmazonが一儲けすることができなければ、富は広く分散されることになり、Oprah Book Club受賞作品の著者たちも実入りは少なくなるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook