943.6億円と評価されたインドのQRコード決済サービスBharatPeが新たに113.1億円調達、新たなフィンテックユニコーン誕生か

インドでもうすぐ、また新しいフィンテックユニコーンが生まれるかも知れない。インド時間2月11日、ニューデリーに拠点を置く金融サービススタートアップのBharatPe(バラピ)は、9億ドル(約943億6000万円)の評価額の下に1億800万ドル(約113億1000万円)を調達した。なお2020年の評価額は4億2500万ドル(約444億9000万円)だった。

この創業3年のスタートアップのシリーズDラウンドを主導したのはCoatue Managementだ。Ribbit Capital、Insight Partners、Steadview Capital、Beenext、Amplo、Sequoia Capitalといった既存の機関投資家も、今回のラウンドに参加している。これによってBharatPeの株式による調達総額は2億3300万ドル(約243億9000万円)となり、負債額は3500万ドル(約36億6000万円)となった。

同スタートアップは、今回の新たな資金調達ラウンドの一環として、1717万ドル(約18億円)をエンジェル投資家と従業員にストックオプションとして還元したと述べている。

BharatPeの共同創業者であり最高経営責任者のAshneer Grover(アシュニー・グローバー)氏は「バランスシートに十分な資本(銀行に約209億4000万円以上の現金)を持つことになりました。この先着実に事業を進めて、2023年3月までに取引総額300億ドル(約3兆1000億円)を実現し、小規模加盟店相手の貸付残高を7億ドル(約732億8000万円)とする予定です」と語る。

BharatPeが運営しているのは、その会社名が表しているが、オフライン型加盟店がデジタル決済を受け入れ運転資金を確保できるようにするためのサービスだ。インドはすでに、6億人以上のユーザーを抱える世界第2位のインターネット市場として台頭しているが、国内の多くはオフラインのままだ。

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インターネットの届かないところで、ロードサイドのティースタンドや近隣のお店が、小規模に営まれている。こうした商店がデジタル決済を簡単に受け入れられるようにするために、BharatPeは政府がバックアップするUPI決済インフラを利用する、QRコードとPOS機を利用している。

インドでは、多くの大手企業やスタートアップが、近隣の小規模店舗にサービスを提供しようとしている

BharatPeは、2020年11月までに5万台以上のPoSマシンを設置し、1億2300万ドル(約128億8000万円)以上相当の月次取引を可能にしたという。同社は通常のQRコードアクセスに対しては加盟店への請求を行わないが、一方貸付で収益を得ようとしている。グローバー氏は、スタートアップの貸付事業が2020年には10倍に成長したという。

「この成長は、小商いの方々や近隣店舗のオーナーのみなさんから寄せられている信頼を、改めて証明しているものです。これは私たちの旅の始まりにすぎません。私たちは小規模店舗のみなさまにワンストップサービスを提供できる、インド最大のB2B金融サービス会社を構築することを真剣に目指しています。BharatPeにとって、商店のみなさまは常に、構築するすべてのものの核となる存在なのです」と同氏は述べている。

BharatPeの成長は、特にそれが商人を支援する最初のスタートアップではなかったことを考えると、すばらしいものだ。Bank of America (バンク・オブ・アメリカ)のアナリストは、顧客に対する最近のレポートの中で、フィンテックは勝者がすべてを取る市場ではないことを、BharatPeの存在が証明したと述べている。

TechCrunchがレビューしたそのレポートの中には「おそらくBharatPeは、この分野では後発者としての優位性を持っている。同社はUPI上でのQRコード利用を最初にサポートした業者の1つであり、商店に1つのQRコードを持つ利便性を提供した(最終的にはPaytmのような他の企業もそれに追随した)。フィンテックの同業者たちとは異なり、BharatPeは商店を教育するのではなく、すでに商店を教育した大規模な同業者のやり方に従っている」と書かれている。

現在75の都市で事業を展開している同スタートアップは、新たな資金を得て、全国でのネットワークをさらに拡大することを計画している。

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タグ:BharatPe資金調達QRコード決済インドユニコーン企業

画像クレジット:BharatPe

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(文:Manish Singh、翻訳:sako)

PayPalとVenmoがQRコード決済を導入、米大手薬局チェーンCVSで利用可能に

PayPal(ペイパル)は米国時間11月16日朝、薬局チェーンCVSの全米8200店でPayPalまたはVenmo QRコードを使って決済できるようになったと発表した。PayPalのQRコード決済テクノロジーをPOS(販売時点情報管理)に統合した初の大手小売だ、と説明している。新たな決済方法は、CVSでの「タッチフリー(非接触)」支払い手法を拡大するものだ。米国では新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中、タッチフリーは大人気の決済方法となっている。

CVSとPayPalは2020年7月にPOSソリューションで協力する計画を発表している(未訳記事)。当時、両社は2020年第4四半期のどこかで展開を開始するというタイムフレームを示した。

QRコードを使った決済プロセスでは、品物の購入に必要な資金を顧客のPayPalまたはVenmoの口座残高、銀行口座、あるいはデビットカードかクレジットカードから引き出す。オンラインで行われる決済と同じようなものだ。VenmoユーザーはVenmo Rewardsを活用することもできる。

画像クレジット:PayPal

この決済に手数料はかからない、とPayPalは話す。加えて、CVSのExtraCare Rewards Program会員は、決済でPayPalのQRコードを使う時、ExtraCareアカウントを活用してポイントを使ったり貯めたりもできる。

カード決済の場合はカードをスワイプしたりマシーンに差し込んだり、あるいはキーパッドで数字を入力したりする必要があるのに対し、QRコードを使った決済はQRコードをスキャンするなどすべてタッチフリーで行うことができる。

この手法まさしくCVSでコンタクトレス決済の需要が高まっているときに導入される。

Forresterのデータによると、CVSでは2020年1月以来、タッチフリーの決済が43%増えた。加えて米国の人口の11%がパンデミックのために初めて電子決済を使っている、とPayPalは指摘した。同社独自の調査ではまた、消費者の57%が小売事業者が電子決済に対応しているかどうかが買い物の決定に影響を及ぼすと答えたことも明らかになった。

新しいQRコード決済オプションを使うには、客はまずPayPalかVenmoのアプリを立ち上げ、「スキャン」ボタンをクリックする。そして「show to pay(表示して支払い)」オプションを選択する。

この決済手法は決済テクノロジープロバイダーInComm(インコム)との提携により可能となった。InCommはこの機能をPOSで利用できるようにするクラウドベースのソフトウェアアップデートを通じてPayPal QRコードテクノロジーを実現した。

CVSはPayPalのQRコード決済を展開する初の全国小売だが、Nike(ナイキ)、Tumi(ツーミ)、Bed Bath & Beyond(ベッドバスビヨンド)、Samsonite(サムソナイト)など、大手小売10社が同様の決済を展開する予定だとPayPalは述べた。その他に小売100社超とも協議中だ。

「CVSでのPayPalとVenmoのQRコード立ち上げは、健康意識の高い顧客にタッチフリーの決済方法を提供するだけでなく、安全で確かなPayPalとVenmoの決済を店舗にもたらす」とPayPalで消費者サービスとデジタルコマースを担当する上級副社長Jeremy Jonker(ジェレミー・ヨンカー)氏は声明文で述べた。「冬に向かう中で薬局小売は必要不可欠な存在という状況において、PayPalとVenmoのQRコードがCVSの顧客と従業員の安全維持に貢献することに興奮している」。

CVSのニュースに加えて、PayPalは2020年8月に発表した購入代金を分割払いできる「Pay in 4」オプションが多くの小売店で利用できるようになっていることも明らかにした。

カテゴリー:フィンテック
タグ:PayPalVenmoQRコード決済

画像クレジット:SOPA Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi