iOS 11のサポートでQR、NFCに北米で復活のチャンス

今のところ世間の注目はピカピカの新iPhoneに集まっているが、iOS 11がわれわれの手元に届くのはそれより早い。9月19日にはモバイルOSのメジャーアップデートが実施され、対応するiPhone、iPadにインストールできるようになる。多くの新機能が用意されており、特にiPad、iPad Proのアップデートは大幅だ。

しかしiOS 11については、マスコミがあまり注目しない2つの新機能が将来のモバイル体験、ひいてはマーケティング全般を大きく変えることになるかもしれない。

iOS 11の2つの機能というのは、デバイスのカメラ・アプリから直接利用できるネーティブQRコード・リーダーとNFCチップのサポートだ(これまでNFCの利用はApple Payのみに制限されていた)。iPhone 7以降のアプリはNFCが利用できることを求められる。iPhone 6、6s以降のデバイスはApple Pay用のNFCチップを搭載していたものの、やはりこれは近接コミュニケーション・テクノロジーにおける大きな進歩だ。

その理由はこうだ。QRコードとNFCはモバイル・デバイスを現実世界に接続するためにきわめて有効な方法だ。QRはもちろん10年以上前からこの目的にために使われてきた。特にアジア市場では驚異的な普及をみせている。NFCもAndroidスマートフォンでは以前からサポートされていた。クレジットカードより偽造が難しく、交通機関における料金支払やショップでアイテムの購入に利用できる。また 公共施設のターミナルにスマートフォンをかざすだけでランドマークの情報を得られるなどさまざまな場面に応用可能だ。

NFCとQRはいわゆるハイプ・サイクルを何度もくぐり抜けてきた。実際QRコードが北米市場に紹介されたのは8年も前になる。当時、北米市場は日本を始めとするアジア市場で成功を収めたモデルをコピーして追いつこうと努力中だっった。NFCも大騒ぎされた後で失速し、それからある程度の成功を収めた。これが過去5年程度の間でおきた。

QRコードに至ってはアナリストや専門家によって何回も「死んだ」と宣告されている。しかしAppleはiOS 11でカメラが直接QRコードを読めるようにした(現在の一般公開候補のビルドでもデフォールトでそう設定されている)。これは北米でQRコードを復活させ、メインストリームに押し上げる効果があるかもしれない。残念ながらこれまでの努力はまったく実を結ばなかったのだが。QRコードはきわめて有力な規格で、現実世界の商品や広告ととスマートフォンを接続する方法としてこれ以上に使いやすく、また高機能なテクノロジーを新たに発明するのは難しいだろう。

NFCの普及はQRコードより困難度が高いかもしれない。AppleはNFCを何らかのタグの読み取りに制限しており、またアプリごとに実装されるべき機能としている。つまりデベロッパーはアプリを開発する際にアプリの中にNFCのサポート機能を独自に作り込まねばならないことを意味する。そうであっても、QRのサポートと同様、NFCにとって普及に向けた大きな一歩であることに変わりはない。

一部のアナリストや専門家は、「Appleのこれらのテクノロジーの採用は遅すぎだし、これ以前になされた普及の努力もほとんど効果を上げいない」などと批判するかもしれない。しかし新しいテクノロジーがメインストリームに普及するかどうかに関して、Appleがカギを握っていることを軽視すべきではない。ことに北米ではそうだ。その証拠に、たとえば、この次ホテルに泊まったときにベッドの枕元を見てみるといい。充電式の目覚まし時計に用いられているのはおそらく30ピン端子だろう。これは当初、iPhoneのコネクターとして普及したものだ。

QRコードとNFCは北米のメインストリームの消費者には依然としてほとんど知られていない。 しかしAppleがiOS 11に採用したことはこれらのテクノロジーへのアクセスを大幅に改善するだろう。当初の期待を実現するような普及への一歩となる可能性が十分ある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

iPhoneのGoogle Chromeに、QRコードスキャナーとバーコードスキャナーがビルトイン

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iPhoneから削除できるアプリがまた1つ増えた。今はたまに使われるだけのQRコードならびにバーコードスキャナーだ。米国時間2日に行われたアップデートで、Google Chromeにそれらの機能が備わったからだ。このビルトインスキャン機能は、アプリのアイコンを3Dタッチして呼び出すか、そうでなければスポットライト検索で「QR」を指定することで見つけることができる。

これらのショートカットには、単に「Scan QR Code(QRコードをスキャンします)」というラベルがついているだけだが、実際には従来の製品バーコードをスキャンすることもできる。そうすれば対象のアイテムのGoogle検索結果が表示されて、価格やレビューなどをチェックすることが可能だ。

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噂にかかわらず、QRコードは完全に死滅したという訳ではない。それどころか、Snapchat 、Kik、およびMessangerといった人気のアプリケーションや、食品ラベルが採用することで、復活を遂げつつある。Amazonさえ、そのプライベートブランドであるベビー用品のElements brandなどに、QRコードを採用している。

とはいえ、それはまだバーコードスキャンアプリを、携帯の中に入れ続けておきたくなるほど頻繁なものではない。

QRコードの普及が限られているため、スマートフォンメーカーたちは、カメラか検索ユーティリティの簡単なアドオンとして実現できる筈のQRコードスキャン機能を、OSへ本格的に統合することに対して躊躇っている。例えばiPhoneのQRコードリーダーは、クーポンや、搭乗券、あるいは入場券などのようなものをスキャンするために、Walletアプリの内側に取り込まれてしまった。それらがQRコードの主要な利用目的として想定されているせいだが、実際には、それらはQRコードの利用方法のサブセットでしかない。

Chromeにスキャン機能をバンドルすることで、他のアプリを使わなくても、より機能的なバーコードスキャナーを手にすることができる。iPhone用アップデートは、既に利用可能だ。

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(翻訳:Sako)