Qualcommがインド通信大手Reliance Jio Platformsに約100億円出資へ

Qualcomm(クアルコム)は、創業4年目になるReliance Jio Platforms(リアイアンス・ジオ・プラットフォームズ)の最新の著名な投資家となった(未訳記事)。同社は多数の投資家から過去12週間で157億ドル(約1兆6800億円)以上を調達した

Qualcomm Ventures(クアルコムベンチャーズ)は米国時間7月12日の夕方、インドの大手通信事業者であるReliance Jio Platformsに9700万ドル(約100億円)を出資し「完全希薄化ベース」で0.15%の持ち分を取得すると発表した。Qualcommは、Jio Platformsによる「インドユーザー向けの高度な5Gインフラストラクチャとサービスの展開」を支援すると述べた。

インドのBharti Airtel(バーティ・エアテル)およびVodafone Idea(ボーダフォンイデア)と競合しているReliance Jio Platformsは、通話およびデータプランの料金割引でインドの通信市場に新風を吹き込んだ。約4億人の加入者を集め、4年足らずで世界第2位のインターネット市場でトップのキャリアになった。

Reliance Jio Platformsはインドで最も価値の高い企業であるReliance Industries(リライアンス・インダストリーズ)の子会社だ。競合他社のARPU(ユーザーあたり平均収益)と同水準を維持しつつインドの通信事業者として優位性を確立し、名だたる投資家から注目を集めた。Facebook(フェイスブック)、Silver Lake(シルバーレイク)、General Atlantic(ジェネラルアトランティック)、Intel(インテル)などが、世界的なパンデミックの中でJio Platformsに投資した。Jio Platformsは、過去12週間で25.24%に相当する株式を発行した。

Reliance Industriesのデジタルユニットは、音楽、ライブTVチャンネル、映画、テレビ番組のストリーミングサービスなど多くのデジタルサービスを運営している。2020年7月初めにはそのラインナップに新しいサービスを追加した。ビデオ会議サービスだ。

Qualcommの最高経営責任者であるSteve Mollenkopf(スティーブ・モレンコフ)氏は、Reliance Jio Platformsが将来的に「インドの消費者に新しいサービスとエクスペリエンスをセットで提供する」と確信していると語った。

「5Gは比類のない速度と新たな利用方法により、今後数年間であらゆる業界を変革することが期待されている。Jio Platformsは広範なデジタルとテクノロジーの能力を通じてインドのデジタル革命をリードしてきた。当社はインドで長年の存在感を持つ投資家および支援者として、インドのデジタル経済にさらに革命を起こすJioのビジョンに貢献できることを楽しみにしている」とモレンコフ氏は声明で述べた。

関連記事:India’s richest man built a telecom operator everyone wants a piece of(未訳記事)

一部の投資家らはTechCrunchに対しこの数カ月間、Reliance Jio Platformsのオーナーであるインドで最も裕福な人物のMukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏がインドの与党に近いことも、多くの投資家がReliance Industriesのデジタルユニットに魅せられる重要な理由だと語った。

投資家らはJio Platformsの株式を購入すれば、彼らが現在インドで直面している規制上の負担が軽くなると考えている。彼らは政治的な関わりについて公に語ることを望まないため匿名を希望した。

Reliance Jio Platformsに投資した12社のうち1社の情報筋は同社の魅力について、グローバル企業にとって中国への依存や接点を減らす手段となることだと語った。

インドと米国はこの数カ月、中国企業への依存を制限するための措置を講じている。インド政府は2020年6月に、中国企業が開発したTikTokを含む59のアプリとサービスを禁止した。Reliance Jio Platformsは興味深いことに、これまで中国の投資家から資金を調達していない。

「Qualcommは数年にわたる重要なパートナーであり、堅牢で安全なワイヤレスおよびデジタルネットワークを構築することと、デジタルコネクティビティの利点をインドの全国民へ広げることにより、すべてを繋げるという共通のビジョンを持っている」とアンバニ氏は声明で述べた。

画像クレジット:PUNIT PARANJPE / AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

クアルコムの新しいロボット開発プラットフォームは5G対応

米国時間6月17日の午前に、Qualcomm(クアルコム)は、そのロボット開発プラットフォームの最新バージョンを発表した。今回同社が発表したのは、昨年発表したRB3から番号を1つスキップしたRpbotics RB5というものだが、最大の特徴は特に5G接続性の提供にあるようだ。

次世代のワイヤレステクノロジーである5Gは、IoT製品やロボット製品などの主要な構成要素と見なされており、幅広いコネクテッドデバイスに新しいレベルの高速ワイヤレスをもたらす。こうしたことから同社がここを懸命に推進しようとしていることは不思議ではない。もちろんシステムは、念の為に4Gもサポートしている。

クアルコムは、サードパーティによるロボット開発の最前線に参入しようとしている、数多くの事業者の1つだ。おそらく同社にとってのライバルの中で、最も注目すべき対象はNvidia(エヌビディア)のIsaacプラットフォームである。しかしクアルコムは、コンポーネントという観点から、接続性、処理能力、AIに関する深い知識と共に、多くのことを確実に行っている。また、すでに新しいプラットフォーム向けに開発を始めているIntel(インテル)、パナソニック、AirMap、SLAMCORE、ROS gatekeepers、Open Roboticsなどの有力なパートナーも多数抱えている。

このシステムは、インテルのRealSense深度カメラやパナソニックのTOF(飛行時間)カメラなど、多くのサードパーティコンポーネントをサポートする予定だ。現在、新しいプラットフォームを採用している早期採用メーカーは20社以上におよび、最初の商用製品は今年の末までにはリリースされる予定だ。

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(翻訳:sako)

2019年の5Gデバイスの売上は米国スマホ市場の1%未満

5Gは当然のように人気上昇中だ。率直に言って、調査会社NPDの店頭結果を見るかぎり、言えることはそれしかありえない。この調査レポートでは、5Gのハンドセットは米国における総売上の1%未満としている。

購入時の障壁もわかりきっている。価格が高いうえ5Gを使えるところが少ない。また2019年のほとんどの期間、店頭に並ぶ機種が少なかった。LGやSamsung(サムスン)、OnePlus(ワンプラス)などの製品が出てから増え始め、その年の後半は前半の9倍の売上になった。

知名度もかなり上がった。年の後半には、米国の消費者の10人中9人が5Gを知っていた。それは前半に比べて73%の増加だ。そして65%が買うことに関心を示した。しかし実際にどれだけ売れるかは未知数だ。

今ではQualcomm(クアルコム)などの低価格コンポーネントもあるから製造コストは下がる。また米国などの市場では年内に5Gの圏域が大きく増えるので、消費者の購買意欲を後押しするだろう。そしてもちろん、Apple(アップル)の最初の5G機のインパクトも見逃せない。

スマートフォンのメーカーは、5Gへの関心が増えればこのところ不振だったスマートフォンの市場がやっと盛り返すと大いに期待している。

もちろん、新型コロナウィルスの影響という新しい未知数もある。こういう場合、消費のそのほかの部分と同じく、スマートフォンも高級品を買う人は減るだろう。スマートフォンを買うことなどは、目の前のパンデミックに比べてどうしても影が薄くなる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

クアルコムが自動車用クラウドサービスでアップデートや遠隔測定をネット化

Qualcomm(クアルコム)が米国時間1月6日、同社のCar-to-Cloud(カーツークラウド)サービスを発表した。その名のとおり、クルマをクラウドに接続するこのサービスは、同社初となる自動車のコックピットプラットフォームとSnapdragon自動車プラットフォームを、4Gと5Gサポートで統合する製品だ。

このプラットフォームにより、自動車メーカーは自分のクルマをアップトゥデートに保ち、クラウド上のインフォテインメントプラットフォームも最新状態を維持できる。さらにまた、このサービスを使って自動車とその使われ方のアナリティクスを集められる。Qualcommによると、自動車メーカーはクラウドを介してさまざまな有料サービスを提供できるため、売上機会も増やせるという。

クルマの所有という概念が変わりつつあり、またドライバーが期待するものも変わってきた。今ではアップデートできるインフォテインメントシステムが新車の標準装備になりつつあるが、そのアップデートはディーラーのWi-Fiで行われている。Qualcommは、自分たちのCar-to-Cloudサービスを使えばアップデートは確実になり、また、そのデプロイも迅速になり、アップデートのコスト効率が良くなるとも主張している。さらに、こんなクラウドチャネルがあれば、カーシェアリングやCar-as-a-Service(CaaS)などのコネクテッドサービスやオンデマンドサービスといった分野で新しいプロダクトがどんどん登場してくる、とQualcommはこのクラウドプラットフォームを売り込んでいる。

ドライバーには、もっと個人化された体験が提供できるようになる。高級車には今でもパーソナライズ機能はあるが、今後は大衆車にも浸透してくる。さらにQualcommの売り込みでは、自動車メーカーやディーラーなどが独自のコンテンツやアプリやサービスを販売できるようになり、ここでも売上機会が増える。

Qualcomm Technologiesの製品管理担当上級副社長のNakul Duggal(ナクル・ダガル)氏は「Qualcomm Car-to-CloudServiceを、Snapdragon Automotive 4G and 5G PlatformsとSnapdragon Automotive Cockpit Platformsに結びつければ、自動車メーカーとティア1のサプライヤーに力を与えて、今日の見識あるクルマのオーナーの期待に応えることができる。現代の自動車保有者はテクノロジーの柔軟で継続的なアップデートに慣れており、車の生涯時間の間にさまざまな新しい機能を自ら進んで経験する」と語る。

CES 2020 coverage - TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

クアルコムは全レベルの自動運転車に対応するSnapdragon Rideを発表

画像クレジット:Frederic Lardinois

Qualcomm(クアルコム)は、米国時間1月6日、Snapdragon Rideと呼ばれる新しい自動車用プラットフォームを発表した。このプラットフォームは、あらゆるレベルの自動運転車に対応するように設計されたものだ。現在の乗用車のアクティブセーフティシステムから、やがて街中を定期運行することになるはずのロボタクシーまで対応できる。

このプラットフォームは拡張性があり、Snapdragon Ride SOC(システム・オン・チップ)、アクセラレーター、自動運転用スタックによって構成されている。

Qualcommは、おそらく携帯電話用のチップメーカーとして最もよく知られているが、クルマ向けのテレマティクスシステム用半導体を含む、自動車用製品のファミリーも持っている。Snapdragon Rideは、すでに競合の多いADAS(先進的運転補助システム)や自動運転車の業界で、より多くの市場シェアを獲得するための、最新かつおそらくこれまでで最も注目すべき取り組みと言える。また、この結果Qualcommは、再びNVIDIA(エヌビディア)や、Intelの子会社、Mobileye(モービルアイ)などと競合することになる。

Snapdragon Rideプラットフォームは、自動運転に関する上位3つの業界セグメントをサポートするように設計されていると、Qualcommの製品管理担当上級副社長であるNakul Duggal(ナクル・ドゥッガル)氏は、最近のTechCruchによるインタビューで語っている。このプラットフォームは、現在の乗用車に搭載されるような、アクティブセーフティを実現する先進的な運転補助システムのハードウェアの要求を満たすことが可能。例えば車線維持、交通標識認識、自動緊急ブレーキなどにも対応できる可能としている。ドゥッガル氏によれば、高速道路の自動運転や自動駐車など、いわゆるレベル2+システムをサポートするための、より厳しいハードウェア要件にも対応可能という。さらに、ロボタクシーなどを実現する、都市部での自動運転機能として指定されるレベル4にも対応できるとしている。

このプラットフォームは、モジュラー型のマルチコアCPU、消費電力の少ないAIおよびコンピュータービジョンエンジンそしてGPUによって構成される、と同社は述べている。発熱も少なく、低レベルのアクティブセーフティシステム用には、30テラオペレーション/秒(TOPS)、自動運転用なら、最大700TOPS以上を、130Wの消費電力で実現できる。これは、水冷システムなどを追加しなくても、さまざまなレベルに対応して動作できることを意味している。ドゥッガル氏によれば、コストを下げつつ信頼性を向上させることが可能で、とりわけ電気自動車には最適だという。

Snapdragon Rideは、2020年の前半には開発の前段階用として、各自動車メーカーと一次部品メーカーに対して供給されるものと予想される。2023年には、Snapdragon Rideを搭載したクルマも生産されることになるだろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

クアルコムがaptX VoiceでBluetooth経由での音声通話品質を改善

これまでスマートフォンや携帯キャリアによるHD音声品質のメリットを得られた機会は、そう多くないかもしれない。HD通話は通常の通話よりもはるかに音質がいいが、Bluetoothヘッドセットを使って通話する場合、使用デバイスがコーデックに対応していないためHD音声の利点は得られない。しかしQualcomm(クアルコム)は現在、既存のaptXコーデックを進化させたaptX Voiceによって、Bluetoothデバイスでも高品質の通話を実現しようとしている。

aptX Voiceを使うと、アクセサリとスマートフォンを接続するBluetooth Handsfree Profileの一部として、32kHzのサンプル音声と16kHzのフラット周波数帯が利用できる。これにより、たとえスピーカーフォンを使用しているときや、小声で話しているときでも通話品質が向上する。

クアルコムの音声・音楽・ウェアラブル担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるJames Chapman(ジェームズ・チャップマン)氏は、「aptXテクノロジーは前例のないワイヤレスオーディオ品質をもたらし、Bluetoothによるステレオリスニング体験に革命をもたらした。そしてaptX Voiceは、音声通話にも同様の品質を提供するために提供される」と述べた。「利用者が電話をかけたり受けたりするためにワイヤレスヘッドセットやイヤホンを使うようになった現在、aptX Voiceは通話体験のより高い透明性と品質を保証するための答えとなる」。

AptX Voiceは現在、Snapdragon 865と765のモバイル向けプラットフォームで利用可能で、Qualcommが2020年にローンチするBluetooth Audio SoCに基づいたアクセサリで利用できるようになる。それまでは、もう少し大きな声で話すことにしよう。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

ナイアンティックとクアルコムが共同で拡張現実グラスを開発

Pokémon GO(ポケモンGO)を作ったNiantic(ナイアンティック)が、今の拡張現実にできることに限界を感じていることは、かなり前から知られていた。4Gのセルネットワークでは避けられないレイテンシーやARではプレーヤーがスマートフォンを振る必要があることなど、その技術はとうていナイアンティックが望むものではない。4月の同社に関する記事では彼らはもっぱら、5GとARグラスでできることを精力的に探求していた。CEOのJohn Hanke(ジョン・ハンケ)氏は、スマートフォンの次はARグラスの時代だと確信していた

だからナイアンティックがQualcomm(クアルコム)と組んで5G対応のARグラスを作っていることは、当然の成り行きだ。米国時間12月5日の朝、クアルコムが発表した新しいチップセットであるXR2は、拡張現実と仮想現実のデバイス専用のプラットホームだ。

その発表のあとナイアンティックのCTOであるPhil Keslin(フィル・ケスリン)氏がステージに立ち、同社はこのプロジェクトでクアルコムとの複数年のコラボレーションに取り組む、と発表した。で、結局それはどういう意味か?

至近のビッグプロジェクトは何もない。今年のクリスマスにクアルコム/ナイアンティック製のARグラスでポケモンGOを遊べるわけではない。

しかしもうちょっと先には、両社共作拡張現実グラスの参照ハードウェアが世に出て、一部のユーザーによるベータテストが始まったりするだろう。

同時にナイアンティックは、同社のこれまでのすべてのゲームのベースであるReal World Platformを、これまでのように徐々にサードパーティに対して公開するだけでなく、XR2向けにチューンアップするだろう。ナイアンティックはこの数年間、過去に作ったすべてのアーキテクチャをARグラス向けに秘かに改造してきた。そしてこれからは、具体的なチップへの対応を図り、より現実性のある取り組みになる。ケスリン氏によると、その次の段階としては、それらの技術のすべてをReal World Platformへ集約し、誰もがNiantic Creator Programで利用できるようにする。その最終ローンチは2020年の年内を予定している。

クアルコムは安心してパートナーできる企業だし、AR世界のよそ者でもない。同社はこれまで1年以上、AR/VR専用のチップを研究開発してきた。昨年の5月にはXR1プラットホームを披露した。またVuforia SDKの立ち上げにより、拡張現実の開発プラットホームの構築にも深く入り込んでいる。ただしそのプロジェクトは、チップにフォーカスするために2015年に売却された

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

クアルコムが5GサポートのAR/VRプラットフォーム「XR2」を発表

Qualcomm(クアルコム)は豪勢にも、太陽輝くハワイのマウイでSnapdragonサミットを開催した。同社はSnapdragon 865/765という新しいチップをお披露目して注目を集めているが、またXR2プラットフォームを発表し、「世界最初の5G接続をサポートするXRプラットフォーム」だと説明した。

クアルコムのXR1プラットフォームはすでに多数のVR(仮想現実)、AR(拡張現実)デバイスの駆動に用いられており、引き続きメインストリーム向けテクノロジーとして提供される。クアルコムでは新しいXR2は「体験をこれまでになかったまったく新しいレベルに引き上げる」ものだとしている。

XR2には同社の5Gモデムと高度なAIが用いられてり、例えばHoloLens式の透過表示式複合現実カメラを7台まで同時にサポートできる。スタンドアロンのVRも動きがはるかにスムーズになり現実感がアップするということだ。またXR2はユーザーの手を動きを26カ所のトラッキングポイントでモニターでき、もちろん環境の3Dマッピング精度も向上する。

XR2は既存デバイスであっても90フレーム/秒で縦横3000ピクセルの3Dディスプレイをサポートし、60フレーム/秒の8K 360度ビデオを表示できる。レイテンシーは「極めて低い」という。

近い将来AR/VRがどの程度普及するかについては議論の余地があると思うが、クアルコムではAR、VRは消費者向けゲームの世界では2019年にメインストリーム参入に向けてスタートが切れたと考えている。同社のバイスプレジデントでXRの最高責任者であるHugo Swart(ヒューゴ・スワット)氏はサミットで以下のように述べている。

「 2014年や2015年にAR/VRがバズワードになり始めたとき、その応用はもっぱらゲームが考えられていたと思う。しかし我々はエンタープライズアプリケーションに普及していくと見通していた。2019年はこれがはっきりと実現に向かう重要な年となった。一般消費者向けでもエンタープライズ向けでも数多くのAR/VRテクノロジーが導入された」。

ずいぶん前から5Gネットワーク最大のメリットは高精細度のビデオを低いレイテンシーでストリーミング可能であり、これによってAR/VRのような没入的体験を提供できることだと言われてきた。クアルコムのプロダクトマネジメントのディレクターであるHiren Bhinde(ハイレン・ビンデ)氏は次のように主張した。

「5GはXRにとって決定的に重要な要素だ。この点については過去に繰り返し述べてきたが、 XRプラットフォームを利用する(没入型高精細度)ビデオは5Gネットワーク普及のカギとなるキラーコンテンツを提供する。(XR2は)世界最初の5Gアクセスを前提とするプラットフォームだ。来年は圧倒的に広い帯域と接続速度の5Gネットワーク上で、コンテンツのデベロッパーやビデオストリーミングのサービスが従来とはまったく異なる革命的なビデオ体験を、XR2を利用して実現していくものと期待している」。

【Japan編集部注】トップ画像はQualcommデザインによるSnapdragon XR2チップを利用するARグラスのコンセプトモデル。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Snapdragon 865と765が登場、Qualcommの最新SoCは何ができるのか?

Qualcomm(クアルコム)は今週、ハワイで例年の大集会を開き、Snapdragonのニュースを次々と小出しにしている。米国時間12月3日のイベントでは、Snapdragon 865と765の派手なお披露目があり、このチップは来年以降の高級品および中級品のスマートフォンなどに搭載されるだろう。

本日の主役はコンポーネントだ。最近の同社のやり方から見ると、明日もその続きになるだろう。しかし本日すでに、これらのチップの特徴がかなりはっきりとわかってきた。では、トップダウンでSnapdragon 865から説明していこう。昨年の例に倣えば、このプレミアムチップは1月のCESと2月のMWCで搭載機が発表されるだろう。重要なハイライトは、間違いなく5Gだ。なにしろ2020年は5Gが購買意欲をそそって、このところ不振のスマートフォンの売上が盛り返すと言われている。

関連記事:Qualcomm unveils Snapdragon 865 and 765 platforms(QualcommがSnapdragon 865と765を披露、未訳)

このチップの5Gの統合はまだ発表がなく、クアルコムの5GモデムX55と併用される。忘れてならないのは、来年になってもフラグシップ機の多くが5G未対応であることだ。なによりもまず、5Gにしたらお値段が高すぎて売れない。しかも多くの市場で、5Gの圏域は面というよりも点だ。でもメーカーは結局、モデムとペアで買わされることになるのだろう。

5Gの周波数レンジのサポートはかなり広い。キャリアの5G対応がかなり小口だからだ。キャリアごとに大きく異なるし、T-Mobileのように1つのキャリア内で相当違うこともある。

もうひとつの焦点がAIだ。こちらもやはり意外性はない。ここ数年のスマートフォンの進化はAIが軸だったし、今後もますますそうだろう。それらがこれからは第5世代のAIチップで動くようになり、パフォーマンスは前世代の倍になる。

Amazon AlexaやGoogleアシスタントなどの音声アシスタントの待ち受けを低電力で実現するための、ウェイクワード聞き取り機能を内包している。画像関連では200万画素の写真や8Kをサポート、スピードも大きく上がった。ディスプレイ出力やゲーム向けとして、144Hzのリフレッシュレートをサポートする。

一方Snapdragon 765は、もっと幅広い機種で5Gの採用を早めようというクアルコムの意欲の表れだ。オプションで5Gが統合されるのも、それを狙っている。コストや消費電力は低いままで。実機は2020年の早期に各社から登場するだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Fossilがスマートウォッチの新モデルを発売

GoogleのWear OSは、関係者の努力が足りないから苦戦しているのではない。Googleはここ数年、ウェアラブル市場に真剣に挑戦してきた。ハードウェアの著名なパートナーを何社か得ても、Googleは成果を残せなかった。

今のところ、Fossilの新しいスマートウォッチはそれほど興味を引くものではない。しかし今回はクリティカルマスといえるようなところに達したのかもしれない。何しろ、Googleは1月に4000万ドル(約42億5000万円)をはたいて、Fossilのスマートウォッチの開発部門のかなりの部分を、その時点で開発中だったデバイスも含めて手に入れたのだ。

それが、今回発表されたFossilのスマートウォッチの「ジェネレーション5」と考えられる。Qualcommのウェアラブル分野への挑戦であるSnapdragon Wear 3100プラットフォームが登場し、Googleのウェアラブル用オペレーティングシステムも新しくなったタイミングで、このデバイスが登場した。

これは何を意味するのか。Fossil、Google、Qualcommはいずれもそれぞれの分野での大手だが、3社のこの先の道は険しい。Appleがスマートウォッチ市場をすっかり支配し続けている。Fitbitは、最近の製品では機能を削って売上が伸びなかったものの、興味深い戦いをしている。こうした状況から、3社はSamsung(サムスン)やGarmin(ガーミン)などと残りの市場を争っていくのだろう。

攻勢のためにGoogleアシスタントが重要な役割を担うことは明らかだ。Fossilの新製品に新たに搭載されたスイムプルーフスピーカーにより、アシスタントの応答を聞き、電話をかけ、アラート音を鳴らすことができる。デジタル心拍計が内蔵されているのは、FossilがFitbitやAppleなどとヘルスヘア分野で戦おうとしていることの現れだ。糖尿病や睡眠時無呼吸などのさまざまな状態を監視することもできる。

Fossilは、一部の電力消費機能を調整してバッテリーが1日以上持つようにする新しいバッテリーモードも開発した。また、Wear OSの新しいタイル機能で、情報をひと目で簡単に見ることができる。

デザインはシンプルでしっかりしていて、かなりよい。最近のFossilに対する期待に応えるデザインだろう。

サイズは44mmのものしかない。このため、潜在的な市場を切り捨てることになり、大きなチャンスを逃しそうだ。すでに販売は始まっており、本稿翻訳時点の日本のFossil公式サイトでは4万5360円で販売されている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

EUが独禁法違反でクアルコムに290億円の制裁金

Qualcomm(クアルコム)が、10年ほど前のUMTSベースバンドチップ販売時に不当な価格引き下げを行ったかどうか。長い間続いていた独占禁止に関するEUの調査は、クアルコムに2億4200万ユーロ(約290億円)の制裁金を科すという結果となった。この額は、2018年のQualcommのグローバル売上高の1.27%にあたる。

EUの競争委員会は、Qualcommが当時主要なライバルだった英国企業Iceraをマーケットから締め出すために不当な価格で販売したと結論づけた。具体的には、製造コストを下回る価格でUMTSチップセットを戦略的に重要な顧客である中国のHuaweiとZTEに販売したというものだ。

競争政策担当のMargrethe Vestager(マルグレーテ・ベステアー)氏は今回の決定について声明文の中で次のようにコメントしている。「ベースバンドチップセットはモバイル端末がインターネットにつながるために鍵を握る部品だ。Qualcommはこれらのプロダクトを、競合他社を排除する目的で主要顧客にコストを下回る価格で販売した。Qualcommの戦略的な行為はこの分野における競争とイノベーションを妨げ、多大な需要と革新的なテクノロジーの可能性を伴うこの分野で消費者に提供する選択肢を狭めた。これはEUの独占を禁止するルールに反することから、我々は本日Qualcommに2億4200万ユーロの制裁金を科した」。

これに対し、Qualcommは不服を申し立てると語り、争う姿勢をみせている。Qualcommはまた「係争期間中に制裁金を払う代わりに保証金を提供する」とも語った。

Iceraからの申し立てが発端となった今回のケースは2015年にさかのぼり、2009年から2011年にかけてのQualcommの事業に関連している。疑惑のベースバンドチップセットはスマートフォンやタブレットを3Gを含むセルラーネットワークにつなげるために使用された。

「IceraはQualcommのチップセットよりも高度なデータレートパフォーマンスを提供していて、それゆえにQualcommにとって脅威となった」と競争委員会は指摘する。

競争委員会は「2009年から2011年にかけてUMTSベースバンドチップセットのグローバルマーケットでQualcommが支配的地位にあった」とした。当時、Qualcommは約60%のマーケットシェア(最大の競争相手の3倍だ)を握り、またマーケットへの参入も阻んでいたとした。Qualcommが持つ特許の多さのため、そうしたチップセットやIPをデザインするためのR&Dへの初期投資などが阻まれたとのことだ。

欧州の競争ルールでは、マーケットにおいて圧倒的な立場にある企業は、競争を制限して強い立場を乱用しないよう特別な責任を持つ。

競争委員会は、Qualcommが当該期間に不当な価格で販売したとの結論は、Qualcommのチップセットの価格・コストのテストと「Iceraがマーケットでの存在感を高めるのを阻止しようとしたQualcommの行為の裏にある反競争的なものを示す広範な多くの証拠」に基づいているとしている。

「価格・コストのテストの結果は、競争委員会が集めた証拠と矛盾しないものだった」と書いている。Qualcommの値引きが意図したものにより、Iceraのビジネスは大きな悪影響を受け、その一方でQualcommのUMTSチップセット販売による売上高への効果は小さいものとなった。また、Qualcommの行いがその正当性を証明できるような効果があったという証拠は見当たらない」。

「よって、Qualcommの行為は競争に著しく有害な影響を及ぼした。マーケットでの競争からIceraを排除し、イノベーションを妨げ、消費者の選択を狭めた」。

2011年5月、Iceraは米国テック企業のNvidiaに3億6700万ドルで買収された。そしてNvidiaは2015年に、ベースバンドチップセットの営業部門をなくすことを決めた。

EU競争委員会の決定に対するプレスリリースの中で、Qualcommの副会長で法務部長のDon Rosenberg(ドン・ローゼンバーグ)氏は、競争委員会のセオリーは前例がなく矛盾していると主張し、反論する姿勢をみせた。

「競争委員会は顧客2社への販売の調査に数年を費やした。これら2社は価格のためではなく競合他社のチップセットがテクニカル的に劣っていたためにQualcommのチップを選んだ、と語った。今回の決定は法律や経済原理マーケットの現実に反している。我々は不服を申し立てる」と発表文に書いている。「競争委員会の決定は、短期間、そしてかなり少量のチップがコストを下回る価格だったという、新しいセオリーに基づいている。このセオリーに前例はなく、高度なコスト回復の経済分析や競争委員会のプラクティスとも矛盾している」。

「競争委員会の発見とは裏腹に、Qualcommの疑われている行為で不服を申し立てたIceraへの反競争の悪影響はなかった。IceraはのちにNvidiaに数億ドルで買収され、疑惑行為が終わってからの数年間、関連するマーケットで引き続き競争している。我々は調査にずっと協力してきていて、競争を妨げる行為を示す事実はないと調査当局が認めることを確信している。不服申し立てでは今回の決定の根拠のなさを主張するつもりだ」。

Qualcommに対する制裁金の規模は、欧州経済エリアにおけるUMTSチップセットの直接的・間接的売上の額と、競争委員会が認定した違反が行われた期間に基づいて計算された。この制裁金の規模は、同社がiPhone LTEチップセットに関する不正行為で1年前にEU規制当局から受けた12億3000万ドルという制裁金に比べると小さいものだ。制裁金に加え、競争委員会はQualcommに今後同様の行為を行わないよう命令した。

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(翻訳:Mizoguchi)

インテルやクアルコムなどがファーウェイへの部品供給を停止か

トランプ政権が先週、中国の大手通信企業かつスマートフォンメーカーのHuawei(ファーウェイ)を貿易に関するブラックリストにくわえた後、複数の重要メーカーが同社との取引を中止したことが報じられている。Bloomberg(ブルームバーグ)よると、半導体企業のIntel(インテル)やQualcomm(クアルコム)、Xilinx(ザイリンクス)、Broadcom(ブロードコム)は、通知がない限りファーウェイへと部品を供給しない。これは米国時間5月20日に報じられた、Google(グーグル)がファーウェイとの取引を中止し、オープンソースのAndroidにしかアクセスできなくなった別の報道に続くものだ。

今回のブラックリストへの追加は、ファーウェイのビジネスに影響を与えるだけでなく、5Gネットワークの立ち上げを準備している通信事業者にも影響を及ぼす。中国では3大キャリア(チャイナ・モバイル、チャイナ・ユニコム、チャイナ・テレコム)のすべてがファーウェイに大きく依存しており、5Gのロールアウトを遅らせるかもしれない。一方、米国の特に小規模な携帯キャリアは、すでに導入したファーウェイ製の機器を交換したり、あるいは新たなサプライヤーを見つけるために、数百万ドルを費やす可能性がある。

Huawei Factsによる先週のツイートによれば、同社はブラックリストを「ルーズ・ルーズ」な状況だと指摘した。さらに最近のツイートでは、「おっと!米国はすでにファーウェイから距離を置くのが思っていたよりも難しいことを認めてしまったようだ」とつぶやいている。これは、米当局がサービス中断を防ぐために一時的なライセンスをファーウェイに与えるとの報道に、Huawai Factsが反応したものだ。

ロイターが最初に報じたように、グーグルによるサムスンに次ぐ第2位のスマートフォンメーカーであるファーウェイの排除は、オープンソース版のAndroidにしかアクセスできなくなり、また他のスマートフォンメーカーにも悪影響を与えることになる。

ブルームバーグによれば、ファーウェイは米政府による制裁を見越して、3カ月ぶんのチップを備蓄していたという。これは、2012年の議会報告で安全保障による潜在的驚異としてファーウェイが名指しされたことを受けてのものだ(同社はこの訴えを否定している)。

ザイリンクスのスポークスパーソンはTechCrunchに対し、「我々は米国商務省がファーウェイに下した拒否命令を承知しており、協力を進めている。現時点では、これ以上の情報はない」と伝えている。また、ファーウェイのスポークスパーソンはノーコメントと返している。TechCrunchはブロードコムやクアルコム、そしてインテルにもコメントを求めている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Google アシスタント対応ヘッドホンの開発キット、GoogleとQualcommがローンチ

Qualcomm(クアルコム)は米国時間5月9日、Google(グーグル)と提携し、Google アシスタント対応Bluetoothヘッドフォンを開発するためのリファレンスデザインと開発キットを作成すると発表した。

従来、このようなヘッドフォンを作るのは簡単ではなく、多くのハードウェアやソフトウェアスタックを構成する必要があった。大手メーカーならいざしらず、そうでないヘッドフォンメーカーが自分のデバイスにボイスアシスタント機能を追加することを妨げていたのだ。

GoogleのTomer Amarilio氏はリリースにて「ヘッドフォンやイヤホンのようなワイヤレスBluetoothデバイスの人気が高まるにつれ、多くのヘッドセットで同じく素晴らしいアシスタントの経験を簡単に得られるようにする必要がある」と言及している。

「Qualcomm Smart Headset Development Kit」と名付けられたこの製品は、Qualcommの「QCC5100シリーズ」Bluetoothオーディオチップを搭載し、新しいヘッドセットを開発したり、Googleアシスタントとやり取りするための完全なリファレンスボードを提供する。

興味深く、またQualcommにしては珍しいことに、同社は完全なリファレンスデザインとして独自のBluetoothイヤホンも作っている。搭載機能では、例えばボリュームボタンなどをホールドしてGoogleアシスタントのセッションを開始できる。

本体にはUSBポートが搭載されかつ武骨で、通勤で使いたくなるようなスタイリッシュなヘッドフォンではない。しかし、メーカーが独自のデバイスを作るためのデザインを提供するのだ。

このリファレンスデザインは開発者がGoogle アシスタントを統合しやすくするだけでなく、GoogleのFast Pairテクノロジーにも対応している。新しいヘッドセットをAndroidスマートフォンに接続する際の、面倒な煩わしさを伴わない。

Qualcommでプロダクトマーケティングとボイスアンドミュージックを担当するシニアディレクターのChris Havell氏は、「外出先でのボイスコントロールとアシスタントの利用にたいする需要は、消費者市場全体で急速に高まっている」と述べた。

「Smart Headset Platformと組み合わせることで、このリファレンスデザインはGoogleのクラウドベースのサービスを利用し、大いに差別化されたユーザー体験を提供したいメーカーに柔軟性を提供するのだ」。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

アップルとの訴訟和解でクアルコムの株価が23%急上昇

巨額のライセンス料金を不服としてApple(アップル)がQualcomm(クアルコム)を訴えたことに端を発する両社の訴訟の全面和解のニュースを受けて、Qualcommの株価は23%急上昇した。米国時間4月16日のQualcommの初値は57.46ドルだったのに対し、終値は70.45ドルに達した。

これだけ大幅な株価のアップは市場がこのニュースにいかに驚いたかを反映している。ことにAppleはIntel(インテル)チップの採用によりQualcommのテクノロジーを自社の製品から締め出す戦略を取っていただけに全面和解は意外と受け取られた。この2年間、Appleは「Qualcommの特許のライセンス料金は不当に高額」と主張、逆にQualcommはAppleが特許を侵害しているとして互いに相手を訴えていた。

和解の財務的、法律的詳細は不明だが、Appleと Qualcommは「6年間にわたるライセンス契約を結んだ」と声明を発表した。これでQualcommの知財問題に関する強硬な戦略がトップ顧客との関係を悪化させているという懸念が解消された。Qualcommに対する投資家は、Appleが「訴訟が決着するまでライセンス料金の支払いを保留する」ようQualcommの顧客に対して呼びかけていたことに不安を抱いていた。

一方、IntelとAppleの株価はほとんど影響を受けなかった。

画像:Ethan Miller / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アップルがクアルコムと和解、6年間のライセンス契約で合意

長年続いてきたApple(アップル)対Qualcomm(クアルコム)の法廷闘争が 終結した。

2017年にAppleが「Qualcommが要求する特許のライセンス料金は高すぎる」と主張したことで、互いに相手を訴える巨額の訴訟が起きていた。AppleがチップにIntel製の採用動く一方、Qualcommはいくつかの国で特許権侵害訴訟に勝ち、それらの地域へのiPhoneの輸入を阻止した。

こうした中、両社はさきほど和解に達したことを発表した。これによれば、両社は世界各地で互いに対する訴訟をすべて取り下げることで合意した。

和解内容の詳細は明らかにされていないが、公表された主なポイントは次のとおりだ。

  • AppleはQualcommに特許料金の支払いを行う(金額は不明)。
  • 両社は6年間に及ぶ特許利用契約(最長2年間の延長オプションを含む)と同時に「複数年にわたるチップ供給」の契約を結ぶ。

これによりQualcommの株価は急上昇中だ。

画像:Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アップルはクアルコムの3つの特許を侵害、米連邦裁判所が判決

モバイルチップメーカーのQualcomm(クアルコム)はApple(アップル)を相手取った裁判でまた1つ小さな勝利を勝ち取った。

ロイターの報道によると、サンディエゴの連邦裁判所は3月15日、Qualcommの3つの特許を侵害したとしてAppleに3100万ドルの支払いを命じる判決を下した。

我々が以前報じたように、電力消耗やiPhoneの起動にかかるスピードに関するサンディエゴでの特許をめぐる裁判は2017年半ばから2018年後半にかけて展開されてきた。

クアルコムは、この期間に販売されたiPhoneが未払いで特許を使用したとして、1台あたりロイヤルティー1.41ドルが支払われるべきだと主張していた。

Qualcommは近年、米国、欧州、アジアでAppleを相手取ってたくさんの特許訴訟を起こしている。Appleの主張するライセンス契約は不公平で違法であるとする両社間の大きなバトルにおいて、訴訟はほんの小競り合いにすぎない。

サンディエゴの判決について、Qualcommの代表取締役副社長で法務部長のDon Rosenberg氏は以下のように述べた。

今日の満場一致の判決は、対価を支払うことなく我々の価値あるテクノロジーを使用していることについてAppleに責任があると指摘している我々の世界中での特許訴訟の中で、最新の勝利となった。Qualcommが開発したテクノロジーとその他が、Appleのこの分野への参入、そして急速な成長を可能にした。今回のケースでの3つの特許の侵害は、Qualcommの数万という価値ある特許ポートフォリオにおいては小さなものだ。我々のIPの使用に対して支払いを拒むAppleの戦略を世界中の裁判所が却下していることをうれしく思う。

特許訴訟に関連するiPhoneのモデルはiPhone 7、7 Plus、8、8 Plus、Xで、Qualcommの米国特許番号8,838,949(フラッシュレス・ブート)の特許と、米国特許番号9,535,490(アプリケーションプロセッサとモデムの間のデータマネジメント)の特許を侵害している。そして、iPhone 8、8 PlusそしてXはQualcommの米国特許番号8,633,936(高パフォーマンスのパワーマネジメントを伴うビジュアルグラフィックス)の特許を侵害しているとさている。

特許はモデムに含まれておらず、「セルラーデバイスに不可欠な標準とはなっていない」とQualcommはしている。

ロイターの報道は、この判決がAppleとQualcommの間で展開されている10億ドル規模のロイヤルティー裁判に適用されるなら、裁判所が下した損害賠償はさらに大きな意味を持つ、としている。そして、QualcommのIPに1ドルの価値を認めることで、サンディエゴの裁判はチップのライセンスプラクティスが正当なものであるという主張を潜在的に支持している、とも指摘している。

この記事執筆時点で、Appleが判決に対して不服を申し立てるかどうかは明らかではない。ロイターの報道によると、Appleは判決について遺憾の意を表明した後、この件についてのコメントを却下した。

我々はAppleにコメントを求めている。

ロイターへのAppleのコメントは次の通りだ。「特許を侵害しているというQualcommが展開中のキャンペーンは、米国の連邦裁判所、そして世界においてQualcommが直面しているビジネスプラクティスの調査という、より大きな問題から注意をそらすため以外の何ものでもない」。

Appleは2年前にQualcommに対し10億ドル規模のロイヤルティー訴訟を起こしている。

今回、強気の裁判になっているのには理由がある。1つには、QualcommがAppleに特許ロイヤルティーリベートの支払いで10億ドル近くを借金しているという裁判が別にあることが挙げられる(CNBC経由)。この裁判は来月始まる。

米国の連邦取引委員会はまた、2017年にQualcommに対し独占禁止の訴訟を起こしている。ここでは、Qualcommが法外な標準規格特許ライセンス料金を課すことでAppleを除外していると主張している。

この訴訟は1月に完結し、判事Lucy Koh氏の判決はまだ出ていない。

同時にQualcommはAppleを相手取って世界でいくつかの訴訟を起こしてきていて、そのうちのいくつかでは勝訴している。

12月、Appleは中国マーケットでiPhone販売停止となっていたかもしれない予備判決を覆すために中国で控訴した。

一方、ドイツでは古いiPhoneモデルの販売が1月に禁止された。しかし2月までに、Intel(インテル)ではなくQualcommのチップを使っているにもかかわらず2つのモデルを再び販売している。

この記事はQualcommからのコメントがアップデートされた。

イメージクレジット: Justin Sullivan

 

原文へ 翻訳:Mizoguchi)

アップル対クアルコム、4月の10億ドル訴訟に先立って別の特許裁判がスタート

Apple(アップル)がQualcomm(クアルコム)を訴えた。と思ったらQualcommがAppleを訴えた。するとAppleがQualcommを反訴。QualcommもAppleを反訴。

この2年、AppleとQualcommの関係はだいたいこういう具合に推移してきた。こうした特許訴訟は一部の市場でAppleにかなりの不便をもたらしている。2017年1月、AppleはQualcommのビジネスの核心的をなすIP(知的所有権)のライセンス料金を不当とする訴訟を起こした。その結果Appleは自社デバイスの製造にあたってQualcommのIPを避けることとなった。

このドラマは次第に興奮の度合いを強めており、いよいよ数週間後にクライマックスに突入する。つまりAppleの10億ドルの訴訟の審理が始まる。これに比べるとやや地味だがAppleがモデムでQualcommの特許を侵害していたかどうかを判断する裁判がサンディエゴ連邦地裁で開始される。

2017年半ばから2018年後半にかけて販売されたiPhoneの消費電力と起動時間の改善に関するこの事件を審理するのはDana Sabraw連邦判事だ。Reuters(ロイター)の記事によれば、Qualcommはこの期間に販売されたiPhoneの特許権侵害によって1台あたり最大1.41ドルの損害を受けたと主張しており、これが認められればQualcommは総額で数千万ドルを得る可能性がある。

Qualcommは、Appleに対してすでに小さな勝利を収めている。同社は、iPhoneの一部の機種についてドイツと中国で販売差し止めを勝ち取った。しかし中国での販売差し止めはまだ実行されておらず、Appleはドイツでは判決に従ってiPhoneに若干の修正を加えた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

CES 2019:Qualcomm、自動車用スマートコックピットを発表

CES 2019の開幕を控え、Qualcommはラスベガスでプレスカンファレンスを開催し、Snapdragon自動車コックピット・プラットフォームの第3世代を公開した。これは同社として最新のAIベースのスマート自動車コントロール・システムだ。伝統的なカーナビから未来的な音声コマンド操作まで幅広い機能がウルトラ・モダンなデザインのインターフェイスに統合されている。

このプラットフォームはパフォーマンス、プレミア、パラマウントという3つのレイヤーを持つ。これはそれぞれエントリーレベル、ミッドレベル、ハイエンドの層を意味するが、コアとなるテクノロジーは同一でSnapdragon 820Aプラットフォーム上に構築されている。820Aは同社のAIエンジン、信号プロセッサー、CPU、GPUなどハードウェアをすべて管理する。

Automotive at CES 2019 - TechCrunch

システムにはQualcommのHexagonプロセッサーが含まれる。これは自然言語処理や外界の対象の認識と分類、機械学習アルゴリズムをを動作させる。またQualcomm Visionカメラから得た画像データを処理するコンピューター・ビジョン・ハードウェアも搭載されている。

ただしこのコンピューター・ビジョンは自動運転のために用いられるわけではなく、「車線レベルの詳細なデータを得てクラウドソーシングでロードマップを作成するなど多様なユースケースに対応してドライバーの運転をサポートする」ものだという。つまり適切なコンテキストの下で社内外をモニターして安全性を高め、運転をサポートするドライビング・アシスタント・システムだ。【略】

自動車メーカーや関連企業は現在すでにこのプラットフォームおよびシステム開発ツールの利用が可能だ。

CES 2019 coverage - TechCrunch

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滑川海彦@Facebook Google+

Qualcomm、コスト削減でさらに269人を解雇

データセンター事業の低迷で、Qualcommはさらに数百人を解雇する。このニュースは最初にThe Informationが報じ、その後TechCrunchが確認した。

チップメーカーのQualcommは今回、計269人を解雇する。内訳は、データセンター事業を展開するノースカロライナのローリーで144人、そしてQualcommのホームタウンであるサンディエゴで125人だ。今回が、Qualcommが今年展開してきたコスト削減のための解雇の最新版となる。4月に同社は主にカリフォルニアで1500人超を解雇した。

このニュースは、同社がマウイで開催したイベントで2019年のロードマップーSnapdragon 855を含むーを明らかにするなど、華やかな1週間の最終段階で明らかになった。

この解雇に先立ってQualcommは、Intelとの競争で苦戦してきたデータセンター事業で241人を解雇するつもりだと6月に発表していた。しかしながら、その時点では同社はデータセンター事業から撤退することは完全否定していたーこれはTechCrunch向けの声明で繰り返していたことだ

Qualcommは特定のエリアでフルタイムの従業員と臨時雇用者をわずかに削減した」と広報はTechCrunchに対し語った。「これは我々の全従業員数においてはかなり小さなパーセンテージだが、どんな規模であれ従業員削減は対象となった人だけでなく、その家族や同僚、コミュニティにも影響することだと認識している。我々はこの影響を最小限に抑えるため、削減対象となった人にサポーティブな契約解除のパッケージを提供した」。

しかしながらノースカロライナのリサーチ・トライアングルでは従業員50人余りが最近退職したと報道されていて、Qualcommの見通しはかなりおぼろげだ。

イメージクレジット: Joan Cros/NurPhoto via Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

Qualcommは7nmの8cxプラットホームでPC市場にさらに大きく賭ける気だ

QualcommはPC、とくにラップトップ市場でメジャーになることを望んでいる。Windows 10がARM上にもある今、それは単なる夢ではない。しかしこれまでのQualcommベースのWindows 10ラップトップは、PC用に特製されたSoC、Snapdragon 850を使っていたが、それは同社のスマートフォン用プラットホームの直接の子孫のようなチップだった。

しかし今日(米国時間12/6)同社が発表したSnapdragon 8cxプラットホームは、“これまでで最高のSnapdragon”と自画自賛され、同社のモバイルの専門技術とビルディングブロックを一部に使用しながらも、強力なPC向けに一から新たに設計されている。

8cxはPC向けに最適化され、ピーク時のパフォーマンスやマルチタスクにも十分対応する。それは初めての、7nmプロセスのPCプラットホームでもあるが、発売は2019Q3以降となる。

QualcommのSnapdragonプラットホームをPC(それをQualcommとMicrosoftは“Always Connected PC”(常時接続PC)というブランドで呼んでいる*)に使うとどうなるのか。Q社の売りによるとそれは、複数日の電池寿命でIntelのチップと同等のパフォーマンスが得られることだ。最初の世代のデバイスは電池寿命はグレートだったが、パフォーマンスはまだまだだった。今度の8cxでは、その点が改良されたとQualcommは約束している。そして同社は、その7nmチップは“従来のPC業界よりも数世代先を行っている”、とあえて〔10nmでつまづいた〕Intelを名指しせずに主張している。〔*: Always Connected PC, 日本ではHPのCore i5機が最初に使用。〕

8cxプラットホームをローンチしながらQualcommは、依然850をキープしている。8cxの位置づけは、既存の850プラットホームを補完して、ベンダーが多様な価格帯のPCを提供できるようにするための、プレミアムプラットホーム(ハイエンド機用チップ)だ。

8cxはQualcommのKryo 495 CPUとAdreno 860 GPUを搭載し、後者は4KのHDRモニターを駆動できる。またQualcommの最新の高速充電技術や、いつもの接続性オプション(Bluetooth, USB-C, LTE, …)により、常時接続をサポートする。

QualcommのSVPでモバイル部門のゼネラルマネージャーAlex Katouzianが、今日の声明で言っている: “パフォーマンスと電池寿命をつねに重視するわれわれは、7nmのイノベーションをPCに導入し、スマートフォンのような能力を持たせることによってコンピューティング体験を変革する。これまでで最速のSnapdragonプラットホームであるSnapdragon 8cxによって、弊社の顧客のみなさまは、複数日の電池寿命と複数ギガビットの接続性、および薄く軽くファンのないデザインによる強力なコンピューティング体験を、消費者と企業に提供できる”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa