JX通信社がQUICKと共同通信から数億円規模の資金を調達、金融分野でのニュース技術の開発へ

screenshot_602

ニュース速報アプリ「NewsDigest」などを開発するスタートアップ、JX通信社は7月27日、QUICKおよび共同通信社を引受先とした第三者割当増資を実施したことをあきらかにした。金額および出資比率は非公開。関係者からの話によると、数億円規模の資金を調達したと見られる。

JX通信社は2008年の設立。2012年に自社初となるニュースアプリの「Vingow」をリリースしている。Vingowの特徴はキーワードを元にした記事収集と自動要約機能。現在はこの機能をカスタマイズし、法人向けのニュースエンジン「XWire」として提供。これまで共同通信や産経新聞をはじめとする大手新聞社、ニュースアプリなどに導入。その数は200メディアを超えるという。

またこれと並行して、2015年には速報配信に特化したニュースアプリ「NewsDigest(ニュースダイジェスト)」の提供を開始。さらにこの速報配信技術をもとに、法人向けサービス「FASTALERT」も開発。大手メディアや金融機関への提供を進めているという。先日資金調達を発表したSpecteeも速報性(とAI)を武器に報道機関に情報を提供するサービスだが、JX通信社もまた違うアプローチで速報性の高い情報配信にチャレンジしている。

JX通信社では今回の調達を受け、QUICKと共同で金融分野でのニューステクノロジーの開発を進める。なお同社は2015年にも共同通信デジタルとの資本業務提携を実施しており、共同通信グループとの連携もより強化していくという。

日経グループのQUICKからまさかの美少女キャラゲームーー背景には3年がかりの大プロジェクト

quick

QUICKと言えば、日本経済新聞グループで金融・経済向けツールやレポートを提供する、1971年設立の言ってみれば“おカタい”会社。そんな同社が、美少女ゲームアプリを出したというのだから驚きだ。

同社は12月21日より、iOS向けにゲームアプリ「IRroid(アイアールロイド) 恋の有効フロンティア」の提供を開始した。App Storeから無料でダウンロードできる(アイテム課金あり)。来春にはAndroid版のアプリも提供する予定だ。

このゲームでは、NTTやキリンホールディングス、旭硝子、帝人、コロプラなど、約30社の応援キャラクター(各社とも擬人化され、美少女イラストとなっている)が登場。ユーザーは「カブ主」となって、お気に入りのキャラクター5人をポートフォリオ(カードゲームで言うところのデッキだ)に自分の資産(実際のお金ではなく、ゲーム内通貨だ)を配分して投資を行う。

株価はリアルな株価データと連動している。ユーザーは投資で資産を増やしつつ、そこで得た通貨でアイテムを購入してIRroidたちにプレゼントを贈るなどしてコミュニケーションをとり、親密度を高めていく。キャラとの親密度が高くなれば、キャラごとのストーリーが閲覧できるほか、株価が上がった際などにボーナスがあるという。

プレスリリースには記載がなかったが、アプリを立ち上げると開発元としてユビキタスエンターテインメントのロゴが表示された。正直なところ最初は提供元と美少女キャラのギャップに戸惑ったのだけれど、本気のゲームアプリとして仕上がっている。

このアプリ、そしてアプリのベースとなる「IRroid」の世界観を作っているのは、「チャンス部」と呼ばれる選任5人、兼任2人で組織されたQUICK若手社員集団とのこと。

同部署の部長である大河内善宏氏に聞いたのだが、IRroidは(1)若年層に企業への関心を高めファンにする(投資家層の拡大)、(2)金融リテラシーの向上と“投資”の社会イメージの改善(証券全体のリブランディング)、(3)証券金融市場の活性化と投資教育(投資・企業情報の啓蒙活動)ーーという3つのミッションを掲げた本気(と多分担当者の趣味と)のプロジェクトなのだという。

プロジェクトは3か年の中期計画のもと進行しており、2014年8月にまず、IRroidのサイトがオープン。これまでに105社の上場企業の応援キャラクターを生み出し、各社の株価データ(や4コママンガ、イラストなど)を提供してきた。

「1年目は今回のコンセプトに共感いただける企業を増やしていくことに注力をいたしました。2年目はいかにユーザーに想い入れを持っていただき、ファンを拡大するうえで、キャラクターにストーリーを加味したアプリをリリースいたしました」(大河内氏)

3年目となる2016年には、「IRroidのブランドを、証券会社、発行体の方々にライセンス提供を行い、実際に投資家を増やすお手伝いをしていきます」としており、6月にはキャラクターを起用した企業紹介ムックを出版する。さらにはテレビの経済番組、新機軸のIRイベント等も企画しているという。