楽天モバイルの低価格データプランが日本で全面的にローンチ

Rakuten Mobile(楽天モバイル)が今日、日本における低価格データプランの完全商用ローンチを発表した。月額2980円でこのプランは、楽天自身のネットワークがあるところなら無制限の通話とデータが提供される。また同社は、リモートワーキングとオンライン教育ツールの利用増に対応して、国内ローミングデータの量を上げた。

今週初めに安倍晋三総理大臣は、3月のCOVID-19患者の新たな増加に対応して、7つの都府県で緊急事態宣言を発令した。これにより都府県の長は、不要不急と見なされる店舗や企業の閉鎖を求める権限を持つ。東京とその周辺の公立学校はすでに早くから休校となり、5月初頭までは再開されない。

このパンデミックの間にはオンラインサービスのニーズの増大に応えることに加え、楽天モバイルの低料金は日本最大のキャリアであるNTT DocomoとKDDIとSoftBankらとの互角の競争力を同社に与えるかもしれない。楽天モバイルは、世界で初めての仮想化モバイルネットワークと同社が呼ぶものを利用している。それは、ハードウェアのインフラストラクチャをあまり要さず、デプロイのコストを下げ、それにより同社が、消費者にとってより手頃な料金体系を提供できる。

昨年の発表によると、同社はモバイルサービスのローンチにより日本に合計4000のエッジサーバーを展開する。そのネットワークが日本全土をカバーするのは、来年の3月という。

Rakuten UN-LIMIT 2.0と呼ばれるそのプランは、楽天モバイルのパートナーがいるところならユーザーに5GBのローミングデータを与える。無制限のローミングデータは、そのリミットに達したあとでも最大1Mbpsのスピードを提供する。最初のRakuten UN-LIMITプランでは2GBの国内ローミングと最大128kbpsのスピードが提供された。

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AmazonがAlexaとそのEchoデバイスを日本で発売、検索以外はすべて日本語対応

Amazonが今日、同社の音声スマートアシスタントシステムAlexaと、その自社製実装デバイスEcho, Echo Plus, Echo Dotの、日本における提供を開始した

Alexaシステムの日本ローンチとは、日本語をサポートするAlexa Skills(Alexaのスキル)をデベロッパーが開発できることを意味する。また上記のAmazon自社製デバイス以外に、デベロッパーが独自の日本語対応Alexaデバイスやアプリケーション、サービスなどを開発し消費者に提供できる。Amazonによると、Alexaの音声検索も、近く日本語をサポートする。

Echoデバイスの実際の発売は、来週からである。今回の日本語対応は、先週のインド進出に続く、同社ハードウェアビジネスのアジア展開の一環だ。

日本では日本ローカルのRakutenが強いので、eコマースの分野でAmazonはアメリカのように日本市場を大きく支配していない。Rakutenは金融サービスなどそのほかの分野でも日本でのプレゼンスが大きいが、しかしAmazonも負けてはいない。たとえばAmazonのeブックは2010年から日本でも売られており、当日配達を含むPrimeサービスは、日本でも完全な姿で提供されている。

今回の、Alexaとその自社製デバイスの提供により、Amazonの日本でのプレゼンスは増強されると思われるが、それでRakutenを抜くことはありえない。しかしいずれにしても日本は世界で三番目に大きな市場だから、そのパイの小さな切れ端ですら、その将来的可能性は決して軽視できない。

Amazonは、世界のそのほかの市場も無視してはいない。昨日は、世界の100の市場で発売する‘ベーシックエディションの’Fire TV Stickを発表したし、また昨年はPrime Videoサービスの全世界提供を開始した。まだAlexaが世界展開していないから、その新型のFire TV StickをEcho等から操作することはできないが、まずアジアやアフリカ等でのAmazonのプレゼンスを深く浸透させてから、そのあと、Alexaとそのデバイスを持ち込む、という戦略なのだろう。

日本オリジナル記事

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キーワードは“決済”——フリマアプリ「フリル」が楽天傘下での成長を選んだワケ

Fablic代表取締役CEOの堀井翔太氏

Fablic代表取締役CEOの堀井翔太氏

フリマアプリ「フリル(FRIL)」を運営するFablic。同社の楽天による買収が9月5日、正式に発表された。楽天では8月末にFablicの発行済み全株式を取得。買収額は非公開だが、数十億円規模だと見られる。

楽天はすでにフリマアプリ「ラクマ」を展開しているが、それぞれサービスを補完しつつも、独立した運営を続ける。Fablicの創業者であり、代表取締役CEOの堀井翔太氏は今後も同社のトップとして指揮を執る。同社のこれからについて堀井氏に聞いた。

成長には大きな資本が必要

Fablicは2014年にクックパッド、コロプラ、ジャフコを引受先とした第三者割当増資を実施。アプリは500万ダウンロードを達成。10代から20代の女性を中心にサービスを拡大してきた。そんな中で発表された今回の楽天の買収。堀井氏は次のように語る。

「7月から次の資金調達を目指して動いている中で三木谷さん(楽天代表取締役会長兼社長 最高執行役員の三木谷浩史氏)と話した。(買収額は)正当な評価。2016年にあった買収の発表としてはかなりの金額ではないか。これからプロモーションなども含めてサービスを育てていく、資金調達的な側面も大きい」「サービスの成長は順調。だがそれ以上のところに引き上げるには大きな資本が必要だった」(堀井氏)

国内フリマ市場を見ると、後発サービスである「メルカリ」が月間流通総額100億円以上という数字を発表しており、事実上の独走状態が続いている。これに対して楽天では、若い女性に強いフリル、そして30〜40代男性や主婦層中心で、家電やガジェットなど高単価商品が多い(手数料無料であることが影響しているようだ)ラクマという2つの特化型のサービスをぶつけていく(日経新聞などの報道では2サービス合計での月間流通総額は30億円程度とのこと)。

すでにフリルの楽天ID対応や、楽天スーパーポイントを利用したキャンペーンの実施などが発表されているが、これに加えて、楽天の各種サービスからの送客なども検討中だという。また、テレビCMをはじめとしたマーケティングを実施するほか、フリルの手数料無料化も間もなく開始する。

楽天は海外事業を見直している状況だ。これまで積極的に海外に進出してきた同社だが、2016年に入ってシンガポールやインドネシアなどでのマーケットプレイス事業を終了。その他の地域でも一部の拠点を閉鎖した。一方でリソースをラクマに集中。3月には台湾でサービスを開始したほか今後の東南アジア展開も控える。ここに今後フリルが関わる可能性もある。米国での躍進が聞こえてくるメルカリをはた目に、アジア圏でのサービス拡大を狙っているようにも見える。(ただしCarousellShopeeといった現地のサービスが先行している)。

フリマアプリは「決済」に繋がる

堀江氏は今後の展開について、「日本で一番長い間フリマアプリをやっているからこそ思うが、フリマアプリは(機能的に)コモディティ化してきている。お金で殴り合うだけでなく(大量の資金を投下してマーケティングなどで競合と戦うという意味)、その次を作らないといけない」とも語る。ではその次とは何か?堀井氏と話す中で浮かび上がってきたキーワードは決済だ。

今、決済まわりのサービスが非常に活気づいている。例えばBASEがの「PAY.JP」を立ち上げ、コイニーが「coineyペイジ」、AnyPayが「AnyPay」といったスタートアップ発の決済サービスが多く登場しているし、LINEも「LINE Pay」をヤフーも「Yahoo!マネー」を提供している。

僕がこれらの決済サービスの話を聞いて思ったは、これらのサービスは「モノを買う」処理を自前で行うということだけを狙っているのではないということだ。当たり前のことながら決済をすれば売り手と買い手のお金が動くわけだが、今度はその動いたお金(=売上)を同じ決済プラットフォームで流通させる、要は「財布がなくても決済プラットフォームだけを使ってお金を電子的にやり取りする」ということを目指しているのではないか。

例えばBASE代表取締役の鶴岡裕太氏はPAY.JPでID決済を提供する際に「現金をリプレイスするプラットフォームを作る」と語っていたし、AnyPay代表取締役の木村新司氏は「デビットカードをリプレイスする」ということを語っていた。すでに中国ではAlipayやWeChat Paymentといったモバイル決済の利用が拡大している。日本では資金決済法の絡みもあってスタートアップが簡単にチャレンジできる領域ではないが、魅力的な市場があることは間違いない。Fablicも楽天と組んでこの領域にチャレンジするのではないか、ということだ。

堀井氏にそんな話をしたところ、具体的な回答こそ得られなかったものの次のように語ってくれた。「楽天はECの会社であると同時にFinTechの会社。資金移動業者であり、銀行も証券も持っている。ECはこの先、物流や決済と繋がっていく。そのとき(楽天は)強力な後ろ盾になってくれる」(堀井氏)

楽天グローバル市場の縮小が続く…今度はイギリスとスペインとオーストリアから撤退

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日本のeコマースのトップ企業Rakuten(楽天)が、再びその国際的なプレゼンスをダウンサイジングすることになり、ヨーロッパの三つの国におけるeコマース事業を閉鎖する計画を発表した

イギリスのRakuten.co.ukとスペインのRakuten.es、およびケンブリッジとバルセロナの同社オフィスを閉じる動きは、2月に行われた同様の合理化意思決定の再現である。そのときは同社は東南アジアから撤退し、ブラジルにおけるプレゼンスをリストラして3億4000万ドルの資産を償却した。

今回オフィスとオペレーションを閉鎖する三つ目の国はオーストリアだが、この国の顧客は隣国ドイツのサービスを引き続き利用できる。実際の閉鎖は8月に行われ、以降Rakutenはヨーロッパではフランスとドイツに力を入れる。フランスではPriceMinisterの事業をダウンサイズしたものの、これら二か国は“そのスケールとポテンシャルからして、今後の持続的な成長が可能”、としている。

“イギリスとスペインでは、事業のサイズに比して成長のための費用が不釣り合いなため、オペレーションを閉鎖する計画に至った”、とRakutenは声明で述べている。

Rakutenのスポークスパーソンによると、閉鎖はヨーロッパにおける同社のそのほかの企業や事業には影響が及ばない、という。それらはたとえばビデオプラットホームのWuakiや、メッセージングアプリViber、ロンドンに本社がある昨年買収したファッションのeコマースFits.meなどだ。Fits.meは元々エストニアの企業だが、ロンドンに拠点を移してRakutenのeコマース事業におんぶしていた面も大きいだけに、今回のイギリス撤退をどう思っているだろうか。

“今後の協議次第だが、三つのマーケットプレースを閉鎖する現在の計画では、およそ100名の社員に影響が及ぶと予想される。可能なかぎり、代替職を提供していく”、とスポークスパーソンは語った。

ヨーロッパで縮小している同社だが、フランスとドイツでは新しい企画を展開しようとしている。ドイツでは会員に対するポイントサービス、フランスでは商業者のためのローコストのコミッションプログラムなどだ。

Rakutenがイギリスに進出したのは2011年に同社がPlay.comをわずか4000万ドルで買収したときだ。そのサイトがのちに、Rakuten.co.ukになったが、Rakutenが今後も注力を続けたいほどの業績を上げ得なかった。

RakutenのCEOで協同ファウンダーのHiroshi Mikitani(三木谷浩史)は今年の2月に同社の‘2020年ビジョン’を発表し、 不採算部門や将来性の薄い事業の切り捨てがその第一歩となった。最近行ったさまざまな買収をMikitaniは高く評価し、それら(Viber(2014年に9億ドル)、ビデオサイトViki(2013年に2億ドル、とされる)、アメリカのディスカウントストアEbates(2014年に10億ドルなどなど)により、eコマースとモバイル上の顧客機会をより大きくとらえられる、と考えている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

楽天が日本のドローンメーカーに投資し、まずゴルフコース上への飲み物配達でドローン利用をテスト

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日本のRakuten(楽天)がAmazonやAlibabaに続いてドローンを利用するeコマース大手の仲間入りをする。この東京の企業は日本の最大手のインターネット商業企業だが、今週はドローンメーカーへの投資と、ゴルフ場というあまり条件の良くない場所で実践試験を行う計画を発表した。

Rakutenによると、同社が投資ラウンドに参加する企業はAutonomous Control Systems Laboratory(ACSL)で、産業用のロボットやドローンを作っている日本の企業だ。ACSLは2013年に千葉大学からスピンアウトし、同社が’Mini Surveyor’と呼ぶドローンを、測量や空からの査察、モニタリングなど用に提供している。最近では、消費者向けドローンで最大手だった中国のDJIも、今後の大きな成長が望める産業部門に進出し、Sonyもやはり同じ方向を向いている

RakutenはACSLの株の20%を持つことになるが、投資額は明らかでない(公表しない)。しかし声明文は、“両者は協働して、産業用ドローンの利用においてお互いの強みを活かし、日本起源の技術とサービスで社会にイノベーションを提供していきたい”、と言っている。

しかし、その最初のテストが行われる場所は、産業とは無縁なところのようだ。NHKの報道によると両社は、千葉のゴルフコースでプレイしているゴルファーたちに飲み物やボールなどを届ける実証テストを行う。つまり、ゴルファーが自分のスマートフォンのアプリから飲み物や軽食などをオーダーすると、クラブハウスから飛び立ったドローンがコース上にそれらを届けるのだ。

これは、顧客への荷物の配達にドローンを使おうとしているAmazonやAlibabaとはかなり違うやり方だ。Alibabaは昨年、三日間のパイロットをやり、Amazonは2013年から‘Prime Air’を実験してきた。昨年Amazonは使用するドローンをアップデートし、最初のドローンよりも大型で、しかもドローンと通常の飛行機のハイブリッドのようなデザインになった。

Rakutenのドローンへの関心は、同社が発表した成長のための新戦略がその下地にあるようだ。その戦略の一環として同社は東南アジアのeコマースマーケットプレースを閉鎖し、同社が全世界的に保有する資産の内3億ドルあまりを償却した。

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楽天とUTECが千葉大発のドローンスタートアップに出資、5月にもゴルフ場で実証実験

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Amazonが「空飛ぶ配達ドローン」の実現に向けて動いているようだが、国内でも楽天がスタートアップと組んで実証実験を開始する。実験のパートナーとなるのは、千葉大学発のドローンスタートアップである自律制御システム研究所(ACSL)だ。同社は3月28日、東京大学エッジキャピタル(UTEC)および楽天から総額7億2000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

ACSLは2013年11月の設立。千葉大学・野波健蔵研究室で1998年から行われている還元自立型ドローンの技術をベースに、産業利用可能な純国産ドローンの開発進めている。

両者は5月から千葉県御宿町のゴルフ場で実証実験を行う予定。ゴルフ場の利用者に対して,飲み物やゴルフボールなどを届けるサービスを提供するとしている。

またこれとは別に、楽天は千葉市が4月から国家戦略特区で実施する配達ドローン関連の実証実験にも参加する予定。この実験には楽天やACSLヤマト運輸なども参加する予定。

楽天が国内スタートアップ対象の100億円のファンドを組成

rakuten事業会社がCVC(コーポレートVC)を立ち上げる例が増えているが、日本を代表するネット企業の楽天グループが、運用資産額100億円という、かなり大きなファンド「Rakuten Ventures Japan Fund」を立ち上げたことを今日発表した。楽天創業者の三木谷浩史氏もボードメンバーの1人としてCVCの運営に携わっていて、「スタートアップ企業の支援を通してネット業界をエンパワーしていくという三木谷の思いがある」(同社広報部)という。

楽天グループは、これまで「Rakuten Ventures」として、アーリーステージ対象の2つのファンドを運用してきた。1つは2013年からシンガポールを拠点にスタートしたもので東南アジア対象の1000万ドル規模のもの。もう1つは2014年からイスラエル、アジア太平洋地域、米国企業を対象とした1億ドル規模のグローバル・ファンド。今回のRakuten Ventures Japan Fundは3つめとなる。アーリーステージ投資に加えて、グロースステージも投資対象としていて「1億円以上の投資もあり得る」(広報部)としている。

投資対象はインターネット関連事業を展開する日本のスタートアップ企業ということで、特に注力する領域などは定めていないという。楽天のノウハウやサービスを通した支援をしていく。投資先を楽天グループで買収するという流れを想定しているのかという質問に対しては「明確に考えてはいないが、自然と協業という形になっていくことはあるだろう」(広報部)と話している。

ファンド運用は、マネージング・パートナーであるサエミン・アン(SaeMin Ahn)氏とインベストメント・マネージャーのホーギル・ドー(Hogil Doh)氏が中心となって行う。ホーギル氏は東京を拠点としている韓国人で、これまでは楽天グループでM&Aを担当していた。日本語、韓国語、英語が話せるという。国内事業を進めるスタートアップへの投資に加えて、東南アジアや欧米市場をブリッジするような役割を果たしていくとしている。

楽天が1億ドル規模のFinTechファンドを立ち上げ——欧米での投資を加速

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楽天代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏

昨日の話になるが、注目集まるFinTech領域で少し大きな動きがあったので紹介しておく。楽天は11月12日、最新の金融テクノロジー、いわゆるFinTechを対象としたベンチャーキャピタルファンド 「Rakuten FinTech Fund」の運用を開始したことを発表した。ファンド規模は1億ドルに上る。

Rakuten FinTech Fundでは、初期段階から中期段階のFinTechスタートアップに対して、世界規模で投資を行うという。楽天ではこれまでにもCurrency CloudWePayなどFinTech領域への投資を行っているが、新ファンドはこれをさらに発展させたものになるという。当初は北米および欧州——特にロンドン、サンフランシスコ、ニューヨーク、およびベルリン——の企業に対して投資を行い、その後は他の地域に規模を拡大する見込み。

楽天では直近、グループの「インターネット金融事業」(楽天カード、楽天証券、楽天銀行、楽天生命など)の名称を「FinTech事業」と変更しているが、今回のファンドはそのFinTech事業で組成されたものだという。同社では「FinTechのスタートアップ企業に投資することによって、世界のイノベーションを先取りし、FinTech企業を支援して世界規模でインターネット上の金融サービスに強く影響を与えることができる。また、日本および海外で迅速に成長する楽天のFinTech事業と起業家の橋渡しをする役割も担う」としている。

楽天がセキュリティを強化した独自のAndroidアプリストアを開店

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日本のオンラインリテイルのトップ企業Rakutenが今日(米国/日本時間8/19)、あたかもAmazonに見倣ったかのように、同社独自のAndroidアプリストアを立ち上げた

その‘Rakuten App Ichiba’と呼ばれるアプリストアは、同社によると、アプリを買うとポイントがもらえるだけでなく、Googleのアプリストアよりもセキュリティが強化されている。

Rakuten App Ichibaは、最初のスケジュールでは6月の終わりに開店の予定だったが、結局本日の開店へとずれ込んでしまった。アプリは180のデベロッパからの380種が揃っており、一部はこのストアでしか買えない。アプリが100万種を超えているGoogle Play Storeに比べるとあまりにも少ないから、Androidユーザに広くアピールするためには豊富な品揃えを急ぐ必要があるだろう。なおRakutenのポイントSuper Pointsは、アプリストアに限らずいろんなサービスで幅広くもらえる。同社は今や銀行もやっているし、スマートフォンの独自の料金プランもあり、もちろんふつうのeコマースサービスもある。アプリストア内でも、ストア内やアプリ内の支払ができる。

でも、いちばんおもしろい部分は、セキュリティ関連だろう。Androidがマルウェアの巣窟であることは、いろんなところで報道されている。AppleのCEO Tim Cookもかつて、そのことを強調した。しかし今回Rakutenは、セキュリティ企業のTrend Microと提携して、その脅威と戦おうとしている。

Rakuten App Ichibaにアップロードされたアプリはすべて、Trend Microの技術によりチェックされ、さらにストアは、毎月ユーザのスマートフォンの上でセキュリティ検査を行う機能を提供している。

企業が独自のアプリストアを作る、というお話は久しぶりだ。過去にはAmazonの例があったし、日本で人気のインターネットポータルYahoo Japanにもある。Rakutenのアプリストアもおそらく、同社のホームグラウンド日本限定だろう。

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楽天市場が返品無料の“試着体験”を強化——靴・ファッションECの「ロコンド」が出店

LOCOMALL

返品送料無料で靴やファッションアイテムを試着して購入できるEC「ロコンド」を運営するロコンド。5月にはアルペンからの10億円の資金調達を発表していたが、その際にロコンド代表取締役社長の田中裕輔氏は「今期の黒字化が見えた」と語っていた。そんな同社が楽天のECモールである「楽天市場」に進出。さらなる販路の拡大を目指す。

出店する店舗名は「LOCOMALL(ロコモール)」。当初はロコンドで取り扱う商品のうち約7万点(ロコンドでは季節によって変動するものの、1000ブランド15〜20万点の商品を扱っている)の販売を行うが、今後ラインアップを拡充していく予定。

田中氏は「創業から5年が経過して年商100億円が見えてきた中で、成長曲線を上げていきたい。 サービスの認知度が上がり、品揃えも増えてきたが日本のECユーザーの90パーセント以上は『試して(試着して)買う』という概念をまだ知らない。『サイズが合わないEC』では、ユーザーにとってエンターテインメントにはならない。ECで自分にピッタリのモノを買えることを知ってもらいたい」と説明。まずは店舗感覚で試着できる返品無料のECを体験して欲しいと訴える。

中小規模の店舗が出店する楽天市場だが、その一方ではZOZOTOWNをはじめとしたファッションEC対抗のサービス構築を進めている。2012年に出資したスタイライフを子会社化し、「楽天ブランドアベニュー」を展開するなどしている。

楽天のファッション部門を統括する楽天 スタイライフ事業 事業長で楽天市場営業第四部 部長の松山奨氏は「楽天市場は『商品数が豊富』『安い』に加えて『サイズや色がそろっている』と評価されているが、ユーザーには『高価なアパレルはサイズが分からない』『返品リスクがある』と購入ボタンに踏み切れない心理がまだある」と説明。その上で、「ロコンドの『試着』というエクスペリエンスを提供していきたい」と語る。

実は「試着」によるユーザーエクスペリエンスの向上は楽天が現在注力しているポイントの1つ。7月にはオンラインでのフィッティング技術を持つエストニア発のスタートアップFits.meも買収している

楽天ではロコンドの出店にあわせて返品送料無料商品の特設ページを用意(もともとあったそうだが、実質的にはフルリニューアルとのこと)する。楽天では今後返品送料無料の商品を拡充したいとしているが、これは店舗側の対応によるところが大きいし、ロコンドでも効率的な仕組み作りには苦労したと聞いている。もちろんすでに一部店舗では独自に送料無料をうたっているのだが、大々的な実施に関してはまだ少し先になりそうだ。

楽天、バーチャル試着室のスタートアップ、Fits.Meを買収―ファッションeコマースに意欲

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日本のAmazonともいうべき巨大eコマース企業、楽天はデジタル・メディアとeコマースの強化に惜しみなく投資中だ。今回はファッション分野のスタートアップを買収した。

楽天が買収したのはエストニアで創立され、現在ロンドンに本拠を置くFits.meだ。同社の開発したバーチャル試着室は消費者とリテラーの双方にメリットをもたらす。消費者は関心を持ったファッション・アイテムが自分に似あうかどうかオンラインで試着できる。同時にリテラーはユーザーに関する詳しい情報を入手できる。

楽天はFits.meを引き続き独立の事業として運営させる考えだ。同社はこれまで通り、独自にテクノロジーを開発し、ビジネスを拡大することになる。Fits.meのテクノロジーを利用している既存のクライアントにはThomas PinkHugo Bossのような有名ブランドやホーム・ショッピング・サービスのQVCなどがある。

Fits.meには65人の社員がおり、買収後もJames Gambrellが引き続きCEOを務める。共同ファウンダーのHeikki HaldrePaul Pallinも社員として活動中だ。

われわれの得た情報によると、楽天がFits.meを買収したのは数週間前だという。両者ともこの点についてはコメントを避けている。

この半年ほど楽天は精力的に買収と投資を進めている。3月にLyftに対する5億3000万ドルの投資ラウンドをリードし 、6月には資金を確保するため1880億円に上る株式の公募増資を行った。この増資のために設けられた大型買収の停止期間が今日(米国時間7/12)終了した。そこでFits.meの買収が公表されたわけだ(なお、楽天は別のヨーロッパ企業の買収にも興味を示しているという。一方、一時進んでいると伝えられたPopSugarの買収は不調に終わったもようだ)。

Fits.meは将来は楽天とさらに密接に事業を展開することになるだろう。まだ詳細は明らかでないが、楽天の事業にFits.meを利用できる分野が多数あるのは明らかだ。

メイン・ポータルRakuten.comにファッションや美容分野のショップが無数に出店している他に、楽天はファッション通販専門の StyLife(日本) やVault (アメリカ)を運営している。また楽天はPinterestの大株主だが、このソーシャル写真サイトは最近コマース分野に力を入れ始めている。

Fits.meが開発した消費者向けテクノロジーの一つは、ユーザーが関心を抱いたファッション・アイテムを着用してみせるオンランのバーチャル・マネキンだ。このロボット・マネキンは消費者が身長、体重、年齢などの情報を入力するとそれに合わせてサイズなどを変化させる。

楽天は当初Fits.meへの投資を考えていたようだが、交渉が進むうちにまるごとの買収を提案したという。Gambrellによれば「楽天はFits.meにとって適切なパートナーだと考えて提案を受諾した。楽天はさらなる成功のためにクリエーティブな方法を求めており、われわれは楽天の事業のさまざまな分野でその方法を提供できる」という。もう一つの考慮は、ライバルとの競争だ。GambrellによればFits.meが注目しているライバルは、バーチャル試着室のMetailからオンラインの消費者のアイテムの選択を助けるサービスまで320社もあるという。

これに加えて、この分野における集中化のトレンドもすでに目立っていた。eBayがPhiSixを、MyntraがFitiquetteを、それぞれ買収している。またFits.me自身もClothes Horseを買収している。楽天の傘下に加わることでFits.meは生き残りと事業の拡大の保証を得たことになる。

Fits.me、楽天ともに買収金額を明らかにしていないが、情報源によれば「投資家は皆ハッピーになった」という。

楽天の最近の買収は日本のトラベル・サイトVoyaginだった。ヨーロッパでの買収にはメッセージ・アプリのViber、ビデオストリーミングのWuaki、フランスのeコマース・ポータル、Priceministerなどがある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

「資金も溶かした、美しいだけじゃ食えない」アクティビティ予約のVoyaginが楽天に買収されるまで

楽天は7月2日、CtoC型のアクティビティー(旅行体験)予約サイト「Voyagin(ボヤジン)」を運営するVoyagin Pte. Ltd.の株式の過半数を取得したと発表した。株式取得の価格は非公開。買収に関してはすでに翻訳記事も出ているが、Voyaginのリリースから間もない頃から話を聞いている高橋氏に、今の心境を語ってもらった。

「インバウンド対応を強化」を狙う楽天

Voyaginは現地の魅力を紹介したい個人(ホスト)がアクティビティーを
企画してサイトに登録。それを旅行者(ゲスト)に販売できるCtoC型のアクティビティー予約サービスだ。

サービスは現在、日本語のほか、英語、中国語(簡体字・繁体字)で展開。日本のほか、インドネシアやインド、ベトナムなどアジアを中心に50以上の国と地域で約1700のアクティビティーを提供している。現地の個人ならではの文化体験や隠れスポットへのツアーなど、多種多少なアクティビティが並ぶ。

楽天では今回の買収の理由について、旅行予約サービス「楽天トラベル」との連携、LCCを中心にした国際線の増便や東南アジアから日本へのビザ要件の緩和、2020年の東京オリンピック・パラリンピックなどでの訪日旅行者の増加を期待。訪日外国人向け事業(インバウンド)を強化する狙いがあると説明する。

Voyagin代表取締役CEOの高橋理志氏

Voyagin代表取締役CEOの高橋理志氏

Voyagin(当時の社名はエンターテイメント・キック)では、2011年8月にVoyaginの前身となるインバウンド特化のアクティビティー予約サイト「Find JPN(ファインドジャパン)」をスタート。2012年12月からはVoyaginとしてサービスを展開している。

デジタルガレージグループのOpen Network Labが展開する起業家育成プログラムの「Seed Accelerator Program」の3期生(Find JPNとして)、6期生(Voyaginとして)にも選ばれている。

4000万円を溶かして得た気付き

「今だから語れるが、全然運営がうまくいかなかった。調達した4000万円を溶かしても成果が出なかった」——Voyagin代表取締役CEOの高橋理志氏は、こう過去を振り返る。同社は2012年3月にデジタルガレージから資金を調達。Voyaginのサービスを開発してきたが、サービスは鳴かず飛ばずという状況だった。

「失敗は一気にアジア8カ国に展開したこと。自分たちでは『こうやればうまくいく』という思い込みだけがあって焦りがなかった。自分だけじゃなくてみんな苦しいから創業期より『地獄』だった」(高橋氏)——3人いる役員の報酬は10カ月ストップした。さらに資金が尽きる前にブリッジの調達(次の調達ラウンドの手前に「つなぎ」の資金を調達すること)を行おうとするも、そんな状況の同社に出資するベンチャーキャピタルはいなかった。

そんなとき、シンガポール政府が関わるベンチャー支援プログラムが発表される。高橋氏は英語が話せることから、資金を調達してサービスを継続できるならと、支援の条件に合わせて法人をシンガポールに移した(これが現在のVoyagin Pte. Ltd.)。

全部自前の商品でなくていい

無事シンガポールで資金を調達したVoyagin。「最初はCtoCをやりたかった」と語る高橋氏だが、その方向を転換。「売れるものを売る」と考え、BtoCでさまざまなアクティビティを仕入れはじめる。例えば東京・新宿にあるアミューズメント施設「ロボットレストラン」もその1つだ。実は現在、オンライン予約の10%はVoyagin経由なのだという。

「言ってみれば個人の購入代行だが、『外国人が来るときに必要なモノを全部提供する』という方向に転換すると、サービスが当たりだした」——高橋氏は振り返る。「訪日旅行者ならロボットレストランくらいは知っているもの。VoyaginはSEO強いので、旅行者が検索してサイトにやってくる。そのページにランディングさせれば、他のアクティビティも買ってくれる」(高橋氏)。Voyaginの売上は非公開だが、予約は月間数千件程度だという。

高橋氏はVoyaginを「セブン-イレブンでいい」と例えて語る。サプライヤーの商品もあればプライベートブランドの商品もある。どちらがいいかではなく、その2つでユーザーのニーズをすべてかなえるのが大事だと。

「BtoCをやらなかったのはくだらないプライドだった。もともとやりたかったのは『Airbnb』だから、法人のセールスを手伝う必要はないと思っていた。でも会社がバリューを出すことで、旅行者に貢献しているのであればそんなプライドは必要なかった。当たり前の話だけど、自分が作りたいモノだではなくて、お客が欲しいモノを提供しないといけない。美しいだけじゃ食えません(笑)」(高橋氏)

実はこのあたり、いろいろ考えることがある。僕は「CtoCでアクティビティを提供する」とうたうサービスをこれまでいくつか見てきたが、なかなか苦戦しているように見えるところが多いからだ。

中にはサービスを売却した事例もあるが、それは金額や条件面でハッピーだったというよりは「手放さざるをえなかった」というような起業家もいる。また一方では競合サービスとしてVoyaginを名指しして、「彼らはBtoCに走ったが我々は違う」と語る起業家もいる。前者は現在新しい環境で活躍していると聞くし、後者は自分たちで魅力ある商品を提供して欲しいと思って応援しているが、アクティビティ予約は送客して1割2割の金額を手数料として得るビジネスだ。いかに成約件数を増やすかというのが大事なので、高橋氏の言う「美しいだけじゃ食えない」という言葉は重い。

東京オリンピックに向けてサービスを拡充

同社が勝負をかけるのはもちろん東京オリンピックの開催される2020年だ。「今後は楽天グループとして、そこに向けて最速でいいプロダクトを作るのが重要。すでに楽天トラベルは多言語対応もやっており、連携はいろいろと考えられる」(高橋氏)。インバウンド対応に関しては、アクティビティにかかわらず、交通やホテル、スキー場の予約など幅広くサービス展開したいと語る。

今後も高橋氏はVoyaginのメンバーを牽引していくという。「プライドを捨ててまで伸ばしてここまで来た。乗りかかった船なので最後までやりたい」(高橋氏)

楽天、東京の一風変わった旅行サイト、Voyaginを買収

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楽天は、日本最大のEコマースサイトを運営するだけでなく、同国最大級のオンライン旅行代理店として、毎月380万件の宿泊を取扱っている。

このたび同社は、東京拠点のツアー計画スタートアップ、Voyaginを買収し、その視野をホテルとフライトからさらに広げようとしている。

契約の金銭条件は公表されていないが、Voyaginの共同ファウンダー、高橋理志氏とTushar Khandelwalは、楽天はキャッシュで支払い、現在50%以上の株式を保有していると語った。本誌は、同社が2012年末にスタートした数ヵ月後にVoyaginを紹介した。旅行者に、地元住民主催の一風変わった旅を提供するサービスだ。

現在同サイトには、1800以上のアクティビティーが掲載され、この一年間で3万人以上の旅行者にサービスを提供した。主な市場は東京、京都、沖縄,およびバリだが、Voyaginは、その他の東南アジアおよび中国にも拡大する計画だ。

Voyaginは、楽天の旅行カタログを増やし、現在国内が殆どのユーザーを海外からも多く呼び寄せる手助けをする。Voyaginの従業員は13名だが、今回の資金でエンジニリング、セールス、および運営チームの強化を行う計画だ。

Voyagin

日本への旅行は、最近の円安および中国、タイ、マレーシア、イントネシア、ベトナムに対するのザ政策緩和によってブームとなっている。去る4月、約180万人の外国旅行者が日本を訪れ、これは対前年比43.3%増だった。この数字は、さらに速く成長することが見込まれる。日本が2020年に東京オリンピックを控えているためだ。

サイトは今後も別ブランドとして運営されるが、Khandelwalは、楽天の他の旅行部門との統合に取り組んでいると話した。

「楽天は既に日本最大のOTA[オンライン旅行代理店]だが、OTAとしてあらゆる分野をカバーしたいと考えている。既にフライトとホテルを提供しており、Voyaginによってこの分野の最後の1マイルをカバーすることが可能になる」とKhandelwalは言った。「楽天はアジアでもOTAの拡大に興味を持っている。われわれは既に旅行とアクティビティーのアジア拠点プラットフォームへの旅をスタートしているので、楽天の拡大に役立つことができる」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

国際送金サービスのAPIエンジン、Currency CloudにSapphire Ventures、楽天などが1800万ドル投資

2015-06-24-mobilemoney

イギリスの国際送金サービスのスタートアップ、Currency CloudがシリーズCのラウンドで1800万ドルの資金調達に成功した。これで2012年以来の調達資金の総額は3600万ドルとなる。今回の資金調達はSapphire Venturesと楽天という新たな投資家の顔ぶれでも注目を集めた。

Sapphire Venturesはドイツの巨大ソフトウェア企業SAPグループのベンチャーキャピタルとして出発したが、現在は独立して運営されている。楽天は日本で最大級の総合eコマース企業だ。Anthemis、Atlas Ventures、Notion Capital、XAnge Private EquityなどCurrency Cloudの既存の投資家も今回のラウンドに参加している。

しかしSapphireとRakutenの参加はきわめて戦略的なものに違いない。Currency CloudはSAPの顧客企業に国際送金サービスを提供できる。一方、楽天はグループ内のベンチャーファンド、FinTech Fundを通じて投資を行った。われわれ国外のものにとって楽天はeコマースの企業として知られているが、楽天は日本で大規模な金融ビジネスを行っている。Currency CloudのCEO、Mike LavenはTechCrunchの取材に対して「楽天が金融事業をアジアに拡大しようとする際にわれわれは重要な役割を果たすだろう」と述べた。

Currency Cloudのコア・テクノロジーはPayment Engineと呼ばれるAPIで、これはAzimo、TransferWise、xe.comなど125件もの国際送金サービスのバックボーンとなっている。

【中略】

Currency Cloudは今回のラウンドにおける企業評価額を明らかにしなかった。

画像: maggee/Shutterstock

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

楽天、Kobo Glo HDを予約受付中―Kindle Voyageと同クラスの高解像度で70ドル安い〔日本発売は不明〕

Koboの新しいGlo HD eリーダーのキャッチフレーズは「最高の解像度を最低価格で」だ。販売開始は5月1日で、価格は129.99ドルが予定されている。楽天傘下のKoboの新製品は300ppiの解像度の6インチ・ディスプレイを備える。199.99ドルのKindle Voyageと解像度では同等なのでピクセル感のまったくないシャープなフォントが表示されるだろう。

実は、Kobo Glo HDとKindle Voyageはどちらもe-inkのCartaスクリーンを使っており、テキストのレンダリングの精細さにかけてはiPhoneや最新のAndroidデバイス同等だ。ただし低消費電力のeインクを使っており、表示はモノクロだが、長時間の読書には適している。

Glo HDはまたKoboのComfortLightテクノロジーを使っており、暗い場所でも読める。その他のスペックとしては、1GHzプロセッサー(これもVoyageと同等)、4GBの内蔵ストレージ(これもVoyage同等)などが判明している。重量は180gでサイズは 157 x 115 x 9.2mmとVoyageより少し短く、少し厚い。

Glo HDになくてVoyageにあるのは、周囲の明るさに合わせて照明の強さが自動的に調節される機能とベゼルに設けられたページめくりボタンだ。またKoboはWi-Fi接続のみでVoyageのようにセルラー接続は用意されていない。こうしたVoyageの機能はあれば便利だが、やはり最大のセールスポイントは解像度だ。Koboがこの点でまったく同一のスクリーンを備えたモデルを大幅に安い価格で投入してきたことはKoboファンにはうれしいニュースだろう。ただしAmazonのKindleエコシステムに満足しているユーザーをKoboに引き寄せるのに足りるかどうかは不明だ。

〔日本版〕楽天のKoboページにはまだ情報がない。

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楽天、eブック・マーケットのOverDriveを4.1億ドルで買収―Koboに250万タイトルを追加

楽天はeブック、デジタル・コンテンツ事業の強化を図るためオーディオブックのマーケットプレイス、OverDriveを4億1000万ドルで買収すると発表した。

日本のeコマースの巨人である楽天は2011年にeブックリーダーのメーカー、Koboを3億1500万ドルで買収し、デジタル・コンテンツ・ビジネスに参入した。 アメリカを本拠とするOverDriveは1986年に創立された老舗で、現在5000のパブリッシャーの250万タイトルが登録されている。Koboユーザーの読書の幅は大いに広がることになるから楽天のOverDriveの買収は理にかなっているといえるだろう。

「OverDriveの豊富なコンテンツ・ライブラリーとパブリッシャー、学校、書店との緊密な関係は楽天がデジタルコンテンツ事業を新たな市場に拡張し、成長を加速させることを助けるだろう」と楽天のeブック事業の責任者、相木孝仁氏は述べた。

興味あることに、楽天はOverDriveの買収(来月手続きが完了する見込み)により、「eブック事業が今年中にほぼ損益分岐点に達する」としている。これはOverDriveの良好な財務体質によるものだ。同社の2014年のEBITDA利益は2500万ドルだった。

楽天が力を入れているのはeブックとオーディオブックだけではなく、他のエンタテインメントにも相当の投資をしている。2013年には ビデオプラットフォームのVikiを2億ドルで買収しており、2012年に買収した Netflix的なビデオサービス、Wuakiコンテンツジャンルタイトル数も着実に拡張している。

チャットと通話アプリのViberも目立った買収だった。昨年9億ドルで買収されたViberは楽天社内で、同社のeコマースをモバイル化する際のカギを握るプラットフォームだとされている。またアジアとラテンアメリカへの進出に大きな助けになると期待されているという。これら各社はすべて楽天の傘下に入ることで相乗効果を発揮するはずだ。TechCrunchとしてもVikiとWuakiはViberサービスの重要な柱になっていくだろうと予想している。

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ピーター・ティールいわく「ベンチャーはディスラプトなんて無視しろ!」


「バズワードとして常に疑っているのは『ディスラプション』(破壊)という言葉。やたらポジティブに使われているけど、ベンチャー企業が持つべきマインドセットじゃない」。

著書「ゼロ・トゥ・ワン」のPRキャンペーンで来日中のピーター・ティールが2月23日、楽天主催の「楽天金融カンファレンス2015」に登壇してこう語った。

ゼロから1を生み出せば市場を独占できる

シリコンバレーでバズワードとなっている「ディスラプト」に否定的な見方を示したティールは、音楽業界を「破壊」したNapsterを引き合いに出して、次のように続ける。

「Napsterは音楽業界を大きく壊したけど、ビジネスとして成功したわけじゃない。既存企業を壊すことよりも、まだ注目されていない問題に着手するほうがよっぽど健全だよ」。

さらにティールは、著書のテーマでもある「ゼロから1を生み出すこと」が、市場の独占につながるメリットがあると強調する。

「1からnへ向かうことは、コピーにほかならない。一方、ゼロから1を生み出すのは、何もないことからイノベーションを起こすこと。これを正しく行えば、独占企業になれる。2002年以来、Googleが検索で競合がないのが良い例。ひと言で言うなら、競争するのではなく、誰もやってないことをやれということだ。」

三木谷氏「日本の起業家にとってバイアウトは賢い選択」

ティールとともに登壇した楽天の三木谷浩史会長は、日本の起業家が「バイアウト」を目指すようになってきたと、持論を展開した。

シリコンバレーでもそうだが、eBayやYahoo!がアクティビスト(モノ言う株主)に苦戦しているのは事実。だからこそ、多くの起業家がIPOではなく事業売却を目指しているのだと、実際にいくつかのベンチャーを買収してきた三木谷氏は語る。

「バイアウトは賢い選択。とはいえ、日本の起業家はまだまだ、売却したがらない。小さな時価総額でもIPOしようしていて、少し頑固なんじゃないか」。


楽天、日本のサッカーチーム、ヴィッセル神戸を買収。Alibabaに続く


アジアのEコマース巨人が新たな買収によってサッカーに参入する。

どこかで聞いた話だって?

Alibabaは、中国のサッカー* フットボールチーム、Guangzhou Evergrandeをこの夏に買収し、今度は楽天ヴィッセル神戸の買収に合意して日本のスポーツ界に乗り込む。神戸は1995年に創立されたJリーグの主要チームだ。

実は楽天をAlibabaと比較するの少々フェアではない。なぜなら同社はすでにプロ野球チームの東北楽天ゴールデンイーグルスというスポーツ事業を持っているからだ。しかし、フットボールはスポーツ以上の存在だ(人生そのものという人もいる)。

AlibabaがEvergrandeの過半数株を取得したのとは異なり、楽天はヴィッセル神戸を完全買収した。契約は年内に締結予定だが金額は明らかにされていない。

両者には以前からつながりがあった。日本のEコマース会社は2004年以来ヴィッセル神戸のユニフォームスポンサーだった。今回の買収は、オンラインショッピングに留まらず銀行、スマートフォン等同社の無数のサービスを推進すると楽天は言っている。

さらに同社は、スポーツの「経験」と資源を、ヴィッセル神戸チームの「強化と発展」に役立てることを約束した。

楽天は、世界規模のEコマース市場で最もよく知られているが、今年は数々の異業種へと企業展開している。9月には米国で小売業のeBatesを10億ドルで買収する大きな動きに出た。それ以前に9億ドルでViberを買い、モバイルメッセージング分野に足を踏み入れたのは、FacebookがWhatsAppを買う直前だった。

楽天はそのブランドがほぼ浸透している日本が主な市場であり、MVNO通信方式によるスマートフォン事業を提供しているほか、今夏には格安航空会社のエアアジアにも投資して日本におけるサービスを開始した。

* 英国人である私は、フットボールをサッカーと呼ぶことに気が進まないが、多くの読者がフットボールと言えばアメリカンフットボールを連想することから、記事タイトルにはサッカーを使う方が良いと判断した

Second image by Flickr user Masashi Hara Hara reproduced under a Creative Commons 2.0 license

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


日本の楽天、国際展開を本格化―イギリスでRakuten.co.ukマーケットをスタート

日本のeコマースの巨人、RakutenはAmazonやAlibabaと対抗できるようなグローバル・パワーを目指している。今日(米国時間10/22)、イギリスで自社ブランドのオンライン・マーケット、 Rakuten.co.ukをオープンした(プレスリリース)。この市場では楽天自身とサードパーティーの小売業者が多様な商品を販売する他、Koboの eブックやWuakiビデオ・ストリーミング・サービスも提供される。

なお同時に2011年に4000万ドル弱で買収したPlay.comブランドは閉鎖された。

書籍、ガジェット、各種デジタルコンテンツに加えてRakuten.co.ukは食品、飲料、健康、美容、医療、ペット用品などを販売する。Amazonに対抗しておそらくおもちゃや生鮮食品の取り扱いも始めるものとみられている。

Rakuten.co.ukをローンチした理由はわかりやすい。楽天はこれまで主として買収を通じてヨーロッパに進出してきた。それがある程度進展したので楽天ブランドのもとに戦略的統一を図ることにしたものと考えられる。これまで楽天はPlay.comの他にFranceのPriceMinisterを2010年に(2億5000万ドル)、ドイツのTradoria2011年7月に買収している。また特定分野では、eブックのKobo、スペインのビデオ・ストリーミングのWuaki、メッセージ・アプリのViber、クラウドソースのビデオ字幕サービスのVikiを買収している。

楽天はアメリカでも買収したBuy.comブランドを閉鎖し、Rakuten.comに衣替えした。Buy.comはURLとしても大いに価値があるブランドだったが、楽天は短期の損失には目をつぶって長期のブランド確立を重視したわけだ。

またこの楽天ブランドへの統一は単に規模の経済を追求する一環でもありそうだ。たとえば今年末まで、傘下の全サービスを通じた支払システムを稼働させる計画だという。また「スーパーポイント」と呼ばれるポイント還元システムもブランドの統合によって、たとえばキャットフードを買ったときに付与されたポイントでWuakiの映画を見るというような使い方ができるようになった。

楽天はAlibabaに比べると規模でははるかに小さい。現在の時価総額はAlibabaの2210億ドルに対して150億ドルにすぎない。しかし野心はAlibabaに決して劣らないようだ。

楽天は最近もアメリカでショピング・ポイント・サービスのEbates(10億ドル)とショッピング履歴モニターのSliceを買収している。

しかし楽天のライバルはAmazonやAlibabaばかりではない。今日(米国時間10/22)、SoftbankはベンチャーキャピタルのSequoiaと共同でインドネシアのAmazonスタイルのオンラインマーケット、Tokopediaに10億ドルを投資した。SoftbankはインドのSnapdealにも6億5000万ドルを投資したと報じられている(この件に関してはさらに取材中)。

それでは楽天が新たに進出した地域でeBayやAmazonに対抗して成功を収める策はあるのだろうか?

楽天独自の「eコマース・コンサルタント・サービス」はその一つだろう。楽天によれば、これは楽天に出展するマーチャントに対してコンサルティングを行うユニークはサービスだという。楽天によればその目的は「われわれのマーチャントの成功を助けるため、各種のサポートとガイダンスを行う」ことだという。楽天への出店者はこのサービスによって「楽天プラットフォームについて深い知識を得ることができ、また強力なツールの利用法を学び、成功のチャンスを最大化できる」のだという。通販業者は月極めでこのサービス(と同時に楽天市場への出店)を契約できる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


楽天、1億ドルの新ベンチャーファンドを組成―イスラエル、アメリカ、アジア太平洋を対象

6月が終わろうとしているが、日本の巨大インターネット企業、楽天にとっては大いに忙しい半年だった。楽天はメッセージ・アプリのViberを9億ドルで買収したのに加えて、日本と東南アジアのスタートアップを対象として組成した1000万ドルのベンチャーファンドからCarousellVisenzeCoda PaymentsSend Anywhereなどに投資した。

今回、楽天はもっと広い世界を対象とする1億ドルのベンチャーファンドを組成した。この新たなファンドはアメリカ、イスラエル、アジア太平洋地区を主な投資先とする。

新ファンドはシンガポールから運営される。Rakuten Venturesのマネージング・パートナー、Saemin Ahnは「このファンドはより良いユーザー体験とソリューションのためのテクノロジーの潜在能力を備えるスタートアップを育成するというRakuten Venturesの広汎かつ長期の目標を支えるものだ。将来はこれによるテクノロジー、ビジネスのエコシステムの育成に加えて財務的な成果も期待される」と述べた。

楽天は新ファンドが投資を考えている候補についてまだ何も明らかにしていないが、「〔投資対象は〕戦略的重要性をもったスタートアップであり、買収に進むこともあり得る」としている。

Ahnは「対象スタートアップは必ずしもモバイル分野に限られない」と述べたが、これまでの楽天の東南アジアにおける投資はモバイル・コマースに集中している。たとえばCarousellはC2Cのeマーケット、CodaPaymentsはeペイメントだ。またビジュアル検索のVisenzeのようなデジタル・コンテンツ分野にも出資している。

ここ2年の楽天の投資とM&A戦略は、同社をAmazonに対抗できるようなグルーバルなeコマースのコングロマリットに成長させようというもののようだ。たとえば買収では、Viberの他に、eブック・プラットフォームのKoboを3億1500万ドルのキャッシュで、ストリーミング・ビデオ・サービスのVikiを2億ドルで買収したのに加えて、額は不明だがスペインのストリーミング・ビデオ・サービス、Wuaki.tvも買収している。

楽天は2012年にはPinterestが15億ドルの評価額で1億ドルを調達したラウンドにも参加している。

Ahnは楽天の全社的な戦略について語ることは避けたが、投資先を多様化していることを認めた。

Ahnは「楽天は城と堀を活用する。われわれの城はeコマースで、いろいろな堀を作ってユーザーをわれわれのエコシステムに留めておく努力をしている。これはGoogleがAndroidやYouTubeという堀で検索という城を守っている戦略に似ている」と説明した。

画像:Flickr user Andy BeattyCC BY 2.0ライセンス

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