新型コロナは世界をどう変えるか? Parliaでならそれがわかる

Is Greta Thunberg a hypocrite?(グレタ・トゥーンベリは偽善者か?)」とググると、何千もの結果が得られる。それは、インターネットの上では「Q&A」というモデルがほとんど壊れていることの証明だ。かつてはYahoo AnswersやQuoraが、Web 2.0の「Read/Write Web(リード/ライトウェブ)」の若き希望の星ともてはやされたが、今は大量の検索結果のカオスがあるだけだ。率直にいって、Q&Aを革新しようと試みた人は多かった(「Mahalo」を覚えている人はいるかな?)けど、成果は乏しく、多くがゾンビサイトになってしまった。

でもよく見ると、何かに気づくだろう。Parliaというサイトが、「グレタ・トゥーンベリは偽善者か」の検索で3位に登場する。しかしParliaは、2019年10月にステルスでローンチしたばかりだ。ではなぜ、検索で上位にヒットするのか?

このQ&A分野の新人は最近、Bloomberg BetaやTiny VCなどからのシードラウンドを完了した。資金の額は公表されていない。

創業者で元ジャーナリストのTuri Munthe(トゥリ・ムンテ)氏によると、Parliaは「オピニオンの百科事典」を目指している。

ムンテ氏は「Parliaは一種のWiki(参加型共同編集サイト)であり、ニュースや現在行われている議論に対するすべての視点を整理し紹介する。神は存在するか? や、メッシは本当にロナルドよりも優れているのか? といった永遠の疑問も扱う。サイトの構築の仕方とその目標は、今日の社会の分極化や暴言、情報の引きこもり蛸壺化を解決することだ」と語っている。

Q&Aサイトの多くは、X対Yという対立項が登場して理性的な議論を進めるが、Parlia(議会、討議場)はすべての意見を整理しながら載せる。地球平面説も排除しない。規範的であるよりも記述的(ありのまま)を目指し、QuoraよりもWikiに近い。前者は、自分をエキスパートとして売り込もうとする人が多い。

Parliaのサイトはすでに活気がある。今の時代にとても合ってるような気がする。

現在、上位の話題は「How to stay healthy during quarantine at home?(家に隔離されていて健康を維持する方法)」や「What are the effects of spending long periods in coronavirus isolation?(新型コロナウイルスで長期間孤立したときの影響)」、「Will the coronavirus crisis bring society together?(コロナウイルスの危機は社会をまとめるだろうか?)」などだ。ユーザーは議論を静観したり、関心を示さなかったり反論したりとさまざまだ。

「2016年に、政治的コンセンサスの時代は終わったと気づいた。英国のEU離脱をめぐって大量の言葉が氾濫したが、離脱に賛成し反対する理由は、どちらもせいぜい片手で数えられるぐらいしかない」とムンテ氏はいう。

Brexitのような国を分かつような大きな問題でも、それをめぐってごく少数の有限の数の議論しかないため、あらゆることについてそうだろうと彼は考えた。だから例えば銃規制や避妊の是非、新型コロナウイルスへの対応、AIの脅威などなどの問題でも、すべての議論をマップに落とせるはずだ。

しかし、何のためにそんなことをするのだろうか? もちろんそれ自体が良いことだし、人びとが自分以外の人びとの考えを理解し、世界中の意見の分布や構成も理解するだろう。

ビジネスモデルには事欠かない。広告を載せられるしスポンサーもつく、会員制や寄付もありうる。また、データそのものが売れる。やり方が正しければ、文字通り意見や考え方の世界地図が得られるだろう。

ムンテ氏は、ユーザーはすべてGoogle検索からやってくると考えている。そしてParliaの「メディアとしてチャンスの総量は月間ページビュー換算で1億にはなる」という。

共同創業者のJ. Paul Neeley(ジェイ・ ポール・ニーリー)氏は英王立美術院の元教授で、ユニリーバのサービスデザイナーや英国内閣府も経験している。ムンテ氏自身は、メディアのエコシステムにおけるシステム的な問題をしばらく研究していた。最初はレバノンで小さな雑誌を創業し、2003年にはイラク戦争を報道、その後ネット上の写真代理店であるDemotixを創業してエグジット、次いでメディアにフォーカスするVC North Base Mediaを立ち上げた。

商業化すると、偏向が生じる恐れもある。しかしムンテ氏は「政党とは絶対に仕事をしないし、独自の倫理顧問委員会を設ける。しかし多様な意見のマップを知ることは、マーケティングリサーチや、さまざまな研究機関の役に立つだろう」という。

というわけで、Parliaのサイトでは「How coronavirus will change the world(新型コロナウイルスで世界がどう変わるか)」ということもわかるのだ。

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

デザインコラボプラットフォームのFigmaが約53億円調達、新型コロナ禍でも需要増

コラボワークやクラウド作業ができるデザインプラットフォームのFigma(フィグマ)は4月30日、5000万ドル(約53億円)のシリーズDのクローズを発表した。本ラウンドはAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)がリードし、パートナーのPeter Levine(ピーター・レヴィン)氏と共同創業パートナーのMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏がディールをまとめた。既存投資家のIndex、Greylock、KPCB、SequoiaそしてFounders Fundとともに、Durable CapitalのHenry Ellenbogen(ヘンリー・エレンボーゲン)氏を含む新たなエンジェル投資家も本ラウンドに参加した。

本ラウンドによりFigmaのバリュエーションは20億ドル(約2140億円)になったとForbesは報じている。Figmaの創業者でCEOのDylan Field(ディラン・フィールド)氏は、Andreessen HorowitzとFigmaの話し合いは実際には2019年2月にクローズした資金調達シリーズCの終わり頃から始まっていた、とTechCrunchに語った。

「できちゃった結婚みたいな感じがした」とフィールド氏は語り、それでも両社は互いをよく知ることにした、と説明した。両社は2019年に関係を構築し、シリーズDのクローズに至った。フィールド氏はまた、本ラウンドに参加した他の投資家には直接顔を合わせておらず、ディールの大半はZoom越しに行われたとも語った。

「シリコンバレーの将来を考えたとき、シリコンバレーの資本インフラ、そしてシリコンバレーにいなければアクセスできな人、という点で興味深い疑問がある。私は今回オンラインでのディールがいかにうまくいくかを目の当たりにした。より多くの投資家がシリコンバレーにいるかどうかを気にしなくなると思う」とフィールド氏は話した。

Figmaはステルスモードで6年近くかけて準備された後、2015年に創業された。デザインのGoogleドキュメントとなるような、コラボができてクラウドベースのデザインツールをつくる、というのが目的だった。

以来、Figmaは個人のデザイナーや中小企業、大企業の使い勝手が良くなるようなプラットフォームを築いてきた。例えば同社は2019年にプラグインを開発した。デザイナーが取り組んでいるレイヤーに新たに名前をつけたり整頓したりといったことが自動的にできるプラグイン(Rename.it)のようなものをデベロッパーが自分のツールで構築できるようにする。また自動的に見つけて後に置き換えるプレイスホルダー・テキストをユーザーが加えることもできる(Content Buddy)。

同社は、Communityという教育用プラットフォームも立ち上げた。このプラットフォームではデザイナーが自分の作品をシェアし、他のユーザーがそのデザインを「リミックス」したり、単にどんなふうに作られたのかをチェックしたりすることができる。

同社の広報担当はTechCrunchに対して、今回のディールは機会に恵まれたものであり、資金調達前でも資金は豊富だった、と述べた。新型コロナウイルスが猛威を振るう現在では、多くの企業が購入を控えたり将来が見込まれる企業の成長が緩やかになったりしており、新たな資金調達はこの不確実な時代にFigmaの取り組みを拡大させるものとなる。

Figmaはチームがクラウドでコラボするように作られているため、同社のデータは企業の購入活動を語るものになるとフィールド氏は説明した。

「販売面に目を向けると、大きな取引がどんどん進んでいる」と同氏は述べた。「Figmaは今すぐ役立つルールだ」。新型コロナウイルス蔓延の中で興味深い変化の1つは、Figmaでのコラボ作業でユーザー利用時間が飛躍的に伸びたことだ。また、企業がデザイナーチーム内だけでなく組織全体でコラボ作業を行うツールとしてFigmaを利用し始め、ホワイトボード作業、ノート取り、スライド作成、図表の作成などが増えた。

今回のラウンドにより、Figmaがこれまでに調達した資金は1億3290万ドル(約140億円)になった。同社はまだ黒字化できていないが、成長するためにアグレッシブに展開し、新規採用を行っても今回の資金調達で今後3、4年の事業費を賄える、とフィールド氏は述べた。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

DevOpsのためのモニタリングと試験プラットフォームのChecklyがシードで2.4億円相当を調達

DevOpsチームのためのモニタリングと試験のプラットホームを開発しているベルリンのChecklyが米国時間4月28日、Accelがリードしたシードラウンドで225万ドル(約2億4000万円)を調達したことを発表した。エンジェル投資家でInstanaのCEOであるMirko Novakovic(ミルコ・ノバコビッチ)氏やZeitのCEOであるGuillermo Rauch(ギジェルモ・ラウフ)氏、Twilioの元CTOであるOtt Kaukver(オット・カウクバー)氏らも、この投資に参加した。

同社のSaaSプラットホームを利用することでデベロッパーは、彼らのAPIエンドポイントとウェブアプリケーションをモニタし、異変の警告を受けることができる。そのトランザクションモニタリングツールを使えば、フロントエンドのウェブサイトの試験を定期的に繰り返し行うことが容易になり、コードは一行も書く必要がない。この試験ソフトウェアはGoogleのオープンソースのPuppeteerフレームワークを使っており、そしてその商用のプラットフォームを開発するためにChecklyはさらに、Puppeteer Recorderというものを開発して、エンドツーエンドの試験スクリプトをローコードツールの中に作り込んでいる。デベロッパーはそれに、Chromeのエクステンションからアクセスする。

モニタリングツールの市場は混み合っているが、Checklyのチームはエンドツーエンドの試験とアクティブモニタリングの組み合わせ、およびモダンなDevOpsチームへのフォーカスが自分たちの強みだと考えている。

創業者のTim Nolet(ティム・ノレット)氏は 「モニタリングの市場の1人の顧客として、それらのツールは90年代にずっと行き詰まりになっていて、チームをJavaScriptでサポートし、DevOpsのチームの中のいろんな役割で使えるツールが必要だと感じていた。自分で作り始めてみてすぐに気づいたのは、モニタリングと同様に試験も重要だということだ。Checklyで開発したのは、顧客が以前からずっと求めていたような新しいタイプのツールだ。評価は口コミですでに相当広がっている。DevOpsのチームに信頼されるプラットフォームというビジョンの今後の構築に向けて、Accelをパートナーにできたことは非常にうれしい」と語っている。

Noletの共同創業者は、TestObject(後にSauce Labsが買収)を創ったHannes Lenke(ハネス・レンケ)氏と、Saucd LabsのEMEA担当営業部長だったTimo Euteneuer(ティモ・オイチューニア)氏だ。

同社によると現在の顧客は約125社で、同社のプラットフォーム上で1日に100万回のチェックを行なっているとのこと。料金は個人デベロッパーなら月額7ドル(約750円)から、小さなチームのためのプランは月額29ドル(約3090円)となっている。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

デジタル金融サービスのインフラを構築する香港のOrienteが約53億円を調達

香港に拠点を置くOriente(オリエンテ)は、デジタルクレジットなどのオンライン金融サービスのテックインフラを開発するスタートアップだ。今回のシリーズBラウンドで5000万ドル(約53億3000万円)を調達した。香港最大の不動産開発会社の1つであるHenderson Land(ヘンダーソンランド)の共同会長であるPeter Lee(ピーター・リー)氏がラウンドをリードし、ウェブサイト開発プラットフォームのWix.comなどの投資家が参加した。

Orienteは、2017年にSkypeの共同創業者であるGeoff Prentice(ジェフ・プレンティス)氏と、Hubert Tai(ヒューバート・タイ)氏、Lawrence Chu(ローレンス・チュー)が立ち上げた。既存の金融機関がサービスを提供していない市場に注力している。新しく得た資金はOrienteの既存市場であるフィリピンとインドネシアでの成長と、ベトナムを含む新規市場への拡大に使う。

調達した資金は、Orienteのテクノロジーの開発継続にも向けられる。同社のテクノロジーはビッグデータ分析によって小売業者がセールスコンバージョンを向上し、リスクを低減するのに役立つ。Orienteは、2018年11月のラウンドで調達した1億500万ドル(約111億9000万円)を含め、これまで1億6000万ドル(約170億5000万円)を超える金額を株式と負債で調達した。

Grab、Google、Facebook、Amazon、Uber、Apple、Samsungなど多くの大手テック企業が検討しているデジタル決済といったオンライン金融サービスにはテクノロジーのインフラが必要であり、さまざまな市場で規制対応を支援してくれるパートナーも必要だ。

Orienteは決済プロバイダーとは競合しない。プレンティス氏はTechCrunchに「オフライン、オンラインを問わず、小売業者のデジタルクレジットソリューションの迅速な立ち上げを可能にするテクノロジーを開発し、『サービスとしてのクレジット(Credit as a Service)』を創造する」と語った。

同氏はまた、Orienteが「エンドツーエンドのデジタル金融サービスインフラの開発に注力している唯一の企業だ」と述べた。同社にはコンシューマー、オンラインおよびオフラインの小売業者、法人クライアント向けのサービスがある。

同社は現在消費者向けに、フィリピンではCashalo、インドネシアではFinmasという2つのアプリを提供しており、合計で500万のユーザーと1000を超える小売業者を抱えるという。サービスには、中小企業向けの現金ローン、オンラインクレジット、運転資金提供が含まれている。

Orienteによると、2019年に取扱高は前年比で700%増加し、サービスを提供する新規ユーザーは400万人を超え、販売パートナーの販売量は20%以上増加した。

Orienteは今後数カ月にわたり「Pay Later」のデジタルクレジット機能を拡張し、資金調達を必要とする中小企業向けに新しい成長資本ソリューションを立ち上げる予定だ。同社はまた、大企業向けのエンタープライズソリューションを拡張するために、いくつかのパートナーシップを結んでいる。

Orienteはベトナムで、CashaloやFinmasと同様のコンシューマープラットフォームのベータテストを行っている。オンラインクレジットやファイナンスだけでなく、現地の企業と提携して他のサービスも提供する。

同社はまた、新型コロナウイルスパンデミックの間に企業にサービスを提供する方法を検討し始めた。多くの小売業者が売上高の減少、ユーザーの逸失、キャッシュフローの問題に直面しているからだ。

「過去数週間にわたり、当社は企業戦略に優先順位をつけて、各市場における最大の機会に焦点を当ててきた。また現在および将来の市場の状況とより焦点を絞った戦略に基づき、オペレーションとファイナンスの効率を最適化するため、組織を再構築するさまざまな措置を講じている」とプレンティス氏は説明した。

「当社の目的は、予想される流動性の危機を緩和することだけでなく、不況下で当社のビジネスが市場で勝利をおさめ抜きん出る能力を証明し、将来にわたって株主価値を高めることだ」。

画像クレジット:Oriente

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

好調の外国語eラーニングサービス「Duolingo」が10億円超を調達した理由

SEC(米証券取引委員会)への提出書類によれば、外国語のeラーニングを提供するユニコーン企業(10億ドル企業)であるDuolingo(デュオリンゴ)は2020年4月初めにベンチャーキャピタルのGeneral Atlanticから1000万ドル(約10億7000万円)の資金を調達している。好調を伝えられるオンライン言語学習プラットフォームとしては、ほぼ3年ぶりの外部投資の受け入れとなった。これにともないGeneral AtlanticはDuolingoに取締役の席を1名分確保した。

Duolingoの最近の会社評価額は15億ドル(約1605億3000万円)だったが、「今回のラウンドにより評価が増加した」と述べている。ただし具体的な額についてはコメントを避けた。

General AtlanticはOpenClassroomsRuangguruUnacademyなど世界で多数エドテック企業に投資している。Duolingoは「General Atlanticのグローバルなプラットフォーム、アジアでのオンライン教育の経験は、特にこの地域におけるDuolingoの英語試験を拡大する計画に大いに役立ち、同社の成長を加速させる」と述べた。

Duolingoは2019年12月に15億ドルの会社評価額で3000万ドル(約32億1000万円)を調達している。こうした資金調達の数カ月後にそれより小さい額の資金調達を行うのは異例だ。 過去の例をみると、そうした資金調達は次のようないくつかの理由で起きている。1つは後の投資が同じ資金調達ラウンドの一部だった場合だ。もう1つの可能性はなんらかの理由で企業がさらに現金を必要とする事情があり、単にそれを調達した場合だ。あるいは新しいラウンドでも多額の資金を調達しようとしたそれができなかった場合もある。

ではDuolingoはどれだったのか?

Duolingoは、新しい投資家を獲得したかったが、多額の資金は必要なかったため1000万ドルとなったとしている。同社はキャッシュフローには余裕があると述べている。

過去数週間で、Duolingoは子供たちが読み書きを教えるアプリをリリースした。このDuolingo Plusの有料サブスクリプションは100万を超え、収入は通年換算で1億4000万ドル(約149億8000万円)となったとしている。また同社は最近、最初の最高財務責任者と顧問弁護士を採用した。

DuolingoはTechCrunchの取材に対して次にようにコメントしている。

「我々のビジネスはとても急速に成長しており、資金も十分以上にある。自己資本を拡大するために資金調達を行う必要性は少なかった。しかし、我々は2019年にGeneral Atlanticとの提携関係を強化してきた」。

他方でGeneral AtlanticのマネージングディレクターのTanzeen Syed(タンジーン・サイード)氏は「Duolingoは外国語学習では市場リーダーだ。急速な成長を維持しながら事業は利益を上げており、ビジネスモデルも効果的だ」と述べている。

もう1つの興味深い事実は、1000万ドルの調達と同時に二次市場における発行済株式の売買があったことだ。こうした取引は株主が持ち株を売却したり、会社が自社株買いを実施した場合などに起きる。

Duolingoの場合は、General Atlanticの所有率を押し上げるために既存投資家が持ち株の一部を同社に売却した。General Atlanticはこの取引の詳細を明かすことを避けている。

この情報に照らしてみると、常に大量の英語学習者を抱える有望市場であるアジア地域へのDuolingoの進出をGeneral Atlantiは歓迎しており、他の投資家は株式売却によって負担を減らしたようだ。

つまり公開株式市場が厳しさを増し、未公開株の市場も事実上停止している状況でDuolingoの既存投資家の一部は株式の現金化を図ったのだろう。現在、スタートアップが未公開のまま留まる期間がこれまで以上に長期化しているため、二次市場における取引はまったく普通のことになっている。

二次市場における売却は既存株主が投資先企業の方向性に対して懸念を抱いていることを示す場合ももちろんある。

しかしDuolingoはこの分野の世界制覇という大きな目標に向けて全力で前進しており、金庫にキャッシュを加え、取締役会にこの提携先の代表も加えた。

画像クレジット:Bryce Durbin

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

Linux VMインフラのパフォーマンスを最適化するGranulateが13億円相当を調達

最近の企業は経費節減にますます熱心なため、その波に乗ってイスラエルのアーリーステージスタートアップGranulateは、インフラストラクチャの使い方を最適化する巧妙な方法を提案しようとしている。同社は米国時間4月22日にシリーズAで1200万ドル(約12億9000万円)を調達した。

このラウンドはInsight Partnersがリードし、TLV PartnersとHetz Venturesが参加した。投資に伴う合意により、Insight PartnersのマネージングディレクターのLonne Jaffe(ロン・ジャフェ)氏がGranulateの取締役会に加わる。Granulateによると、これで同社の調達総額は1560万ドル(約16億8000万円)になる。

同社は、オンプレミスでもクラウドでもインフラストラクチャのコストを20%から最大80%カットできると主張している。現在、世界の経済が大波乱に陥っているため、かなり意義のある節約率となる。

Granulateの共同創業者でCEOのAsaf Ezra(アサフ・エズラ)氏によると、同社はLinux仮想マシンについて徹底的な研究を行なった結果、その効率化技術に到達した。6カ月あまりの実験により、ボトルネックを取り除き、Linuxのカーネルが効率を大幅にアップするためにやっていることの利用の仕方を学んだ。

Linuxはリソースの公平性を目指して最適化をしていることが判明しているが、Granulateの創業者たちはその発想を逆転して、公平性ではなく反復性に着目した。多くのファンクションに公平にリソースを割り当てるのではなく、1つのファンクションに集中させる。

「実際のプロダクションシステムでは、マシンの中に大量の反復性がある。ユーザーは、1つのことをしっかりやって欲しいと考えている」と彼は語る。

またエズラ氏は、VMである必要はないと指摘する。コンテナやKubernetesのポッドで十分だという。ここで忘れてならないのは、Linuxに固有のインタラクティビティや公平性はもはや気にしないということであり、むしろ重要なのは、マシンがある特定のものに向けて最適化されていることだ。

「そのプロダクションシステムのユーティリティファンクションが何かを教えていただきたい。すると我々のエージェントが、そのユーティリティファンクションを用いるすべての意思決定を最適化する。つまり、そういう利益を得るために何一つコードを書き換える必要がない」とエズラ氏は説明する。

しかも、そのソリューションは機械学習を利用して、さまざまなユーティリティファンクションがどのように機能しているかを理解し、長期的にもっとパフォーマンスを向上するためのさらなる最適化を提供する。

InsightのJaffe(ジャフィ)氏は、そんなソリューションのポテンシャルと適時性をよく認識している。

「パフォーマンスの高いデジタル体験とインフラストラクチャの低いコストの両立が今ほど厳しく求められている時代はない。Granulateの機械学習を利用する高度に差別化されたプロダクトは、構成管理やクラウドリソースの購入などのレベルに依存していない」とJ声明で述べている。

エズラ氏も、このようなプロダクトが特に今、役に立つことを理解している。「我々は現在、ユニークな立場にいる。我々のプロダクトは現在、人を解雇せずにコストを節約することによって、沈滞期における企業の生存を助ける」と彼はいう。

同社は2018年に創業され、現在は20名の社員がいる。年内に倍増する予定だ。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

今後の経済を支え続けるために重要なエネルギーグリッド向け予測ソフトのAmperonが約2.2億円を調達

エネルギー需要が世界的に減少している。原油価格も急落している。エネルギーの世界は全体的にかなり厳しいように見える。ただ、明かりをつけて電子を動かし続けることは、混乱に陥った経済の世界を維持していくためにも依然として重要だ。

データ分析に基づく予測ツールを電力小売業者やグリッドオペレーターに提供するAmperon(アンペロン)のようなスタートアップが今でも存在感を放ち、資金を調達し続けているのはそのためだ。

Amperonは、パンデミックが米国の両海岸を襲う前の2020年2月に終了したラウンドで200万ドル(約2億1500万円)を調達した。共同創業者のAbe Stanway(アベ・スタンウェイ)氏は、このような状況でも同社のサービスは現在も重要だという。

「当社は電力小売業者やグリッドオペレーターに、彼らの顧客が使用する短期・長期の電力量を伝える」とスタンウェイ氏は自社のサービスについて語った。「外因性ショックが加わり、滅多に起こらないブラックスワンな事案が発生すると、当社の価値は高まる。グリッドがどのように動作するか理解するために機械学習が必要になるからだ」。

Amperonの価値提案は、ラウンドをリードしたBlackhorn Venturesのような投資家だけでなく、ラウンドに参加したGaruda VenturesIntelis CapitalPowerhouse VenturesSK VenturesV1.VC.といった投資家にとっても明らかだった。

Powerhouse Venturesの創業者兼最高経営責任者であるEmily Kirsch(エミリー・キルシュ)氏は「Amperonは電力会社、電力小売業者、グリッドオペレーター、機関投資家向けにスマートメーターとAIを介したリアルタイムの運用グリッドインテリジェンスツールを構築している。Amperonの反復的な需要予測は、世界的なパンデミック、気候災害、ますます複雑化するグリッドに起因する、これまでにないグリッドの不安定性を説明することができる」という。

Amperonは4つの広域組織と協業している。豪州の主要なグリッド地域2つ、テキサスをカバーするERCOT(テキサス電気信頼度協議会)地域送電機関、中部大西洋のグリッドを管理するPJM(ペンシルバニア、ニュージャージー、メリーランドの略)だ。

スタンウェイ氏は「新しい資金は米国内で会社のリーチをもっと多くのグリッドオペレーターに拡げるために使う」という。

Amperonのテクノロジーは、危機的状況下の電力会社やグリッドオペレーターにとって非常に有用だが、平時でも支出削減に役立つ。同社によると、長期的な電力計画では通常、予算が毎年1%超過しており、不要な余剰発電容量に何十億ドル(何千億円)も費やしている。

支出削減は、消費者にとっては電気料金削減を意味する。同社によると、電力供給者の問題解決に役立つもう1つの点はグリッド管理の複雑化だ。電力会社やグリッドオペレーターがまだ効果的に管理できていないグリッドに再生可能エネルギーが加わると変動性が高まってしまう、と同社は話している。

画像クレジット:ArtisticPhoto

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

クラウドのセキュリティを問題別にプレーブック化したBridgecrewが15億円相当を調達

経済状況が厳しくなると、企業は自動化によってできるかぎりコストを下げようとする。そこで、クラウドのセキュリティを自動化するツールを提供しているアーリーステージのスタートアップBridgecrewは、今日(米国時間4/17)シリーズAで1400万ドルを調達したことを発表した。

Battery Venturesがこのラウンドをリードし、参加したNFXは同社の400万ドルのシード投資家だ。ほかにも、Sorensen Ventures、DNX Ventures、Tectonic Ventures、そしてHomeward Venturesが参加した。数名の個人投資家も、この投資に加わった。これで同社の調達総額は1800万ドルになった。

BridgecrewのCEOで共同創業者のIdan Tendler氏によると、クラウドリソースのプロビジョニングはますます容易になっているけど、それと共にセキュリティは逆にますます難しくなっている。企業のクラウドの利用では、「DevOpsでセキュリティ技術が大きなボトルネックになっていて、DevSecOpsになっていない。クラウドのインフラストラクチャのセキュリティにも問題がある」。あちこちでその実態を見たTendler氏は、Bridgecrewの創業を着想した。

同社が目にしたのは、問題の多くに構成ミスが絡んでいることだ。そして既存のセキュリティソリューションはいろいろあるけど、費用が高い。またそれらのソリューションは、セキュリティの問題を自分で実際に直さなければならない技術者向けにできていない。

そこで同社は、技術者の考え方や仕事の仕方に合ったソリューションをクラウドユーザーである企業に提供したい、と考えた。Tendler氏はこう説明する: 「そのためにやったのは、問題を条文で表すことだ。技術者がやってることを、条文で書き表す。会社のクラウド環境を改善するために彼らがやるべき仕事のすべてを書き出して、プレーブックを作った」。

そんなプレーブックがあれば、個々の具体的な問題も解決しやすくなる。よくあるタイプの問題でなく、新しい問題にぶつかったら、プレーブックを新たに書く。彼によると、問題の90%はかなり一般的で、AWSのベストプラクティスに従うとか、SOC-2基準書のコンプライアンスの問題などが多い。でも技術者が、自分のニーズに基づいて条文を変えてもよい。

Tendler氏によると、同社のプロダクトがオートメーションでコストを下げたいと考えている企業に実際に役に立っているので、社員を増やしたいと考えている。「そしてもっと速く成長したい。ニーズは大きいし、COVID-19でますます多くの企業がクラウド化でコストを下げようとしている。うちは、そんな彼らの前あるバリヤーを減らすお手伝いをして、クラウドのセキュリティのボトルネックをなくしたい」、という。

同社は14か月前に創業して、今では100冊のプレーブックがある。リーンな会社を志向しているので、社員はわずか16名だが、年内に倍増したいと言っている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

企業のクラウド支出の無駄を削ぎ落とすイスラエル拠点のPileus

米国時間4月15日、正式にローンチしたイスラエル拠点のPileusは、企業のクラウドへの支出をコントロールをサポートする。同社はさらに、個人のエンジェル投資家からの100万ドル(約1億800万円)のシード資金の調達を発表した。

同社のプラットホームは機械学習を利用してユーザーのクラウドの使い方を継続的に学習し、それに基づいて予測や毎日の個人化されたリコメンデーションを提供して、クラウドの使い方が予算内に収まるよう導く。

現在AWSをサポートしているが、Google CloudとMicrosoft Azureにも近く対応する。

そのサービスはユーザーのクラウドの使い方に関するすべての情報を集めて、そこに異状を見つけようとする。クラウドへの支出の詳細なログを記録して詳しいレポートを提供し、またプロジェクトやリソースごとのクラウド支出をダッシュボードに表示する。

こんなプロジェクトを手がけた人はよくご存知と思うが、この種のレポートはその良否をタグに依存している。タグは、個々のプロジェクトやリソースを正確に同定できるものでなければならない。そこでPileusは、タグ付けのポリシーを強制できるタグ付けツールを提供し、タグに高い優先度を置いている。

PileusのCEO Roni Karp(ロニ・カープ)氏は「このソリューションの実現には、何度も徹夜しなければならなかった。Pileusをやっとリリースできることは、とてもうれしいし、多くのクラウドユーザーがこれまでよりも効率的に、クラウドの使い方や費用を理解できるようになってほしい」と語る。

Pileusは現在、30日の無料試用期間中だ。その後は月額180ドルまたは年額800ドルになるが、しかし実際に同社が徴収するのは、同社のサービスによって節約できた金額の1%だ。月額や年額は、あくまでも名目である。

同社が狙う顧客は、個々の企業だけではない。同社はマネージドサービスを提供しているクラウドプロバイダーにも食い込み、彼らの顧客への課金を管理しレポートを作る。カープ氏は「こっちの方が大きな売上になる」と想定している。「今、クラウドベンダーのためのツールにはいいのがない。特に狙うのはAzureだ」と語る。

しかしPileusが狙うこの市場にはすでに、スタートアップに人気のあるCloudabilityを初め先客がいる。しかしカープ氏は、Pileusは機械学習の利用とレポート提出の早さで有利だと見ている。競合他社は結果報告が数週間後というものがざらにあると彼は説明する。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

大学の学資ローン免除を支援するSaviが6.4億円調達

学資ローン危機はますます深刻化を増している。新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行により米国中の大学が閉鎖され、経済の急速な落ち込みは就職への道を薄暗くしてしまった。今の学生や卒業生は、上手な資金繰りを教えてくれるツールを必要としている。

悪いことに、米国の学資ローンは非常に複雑にできている。ローンの条件、返済方法、公的な利息免除のオプションが、文字通り数百種類ある。学生にとって、このルールに従いつつ、負担を最も小さくできる最良の方法はなんだろう?

ワシントンD.C.に本社を置くSavi(サビー)は、学資ローンを借りている人たちを、いちばん有利なオプションが選べる「Savvy(抜け目ない)」な人間にすることを目指しているが、このほど、その緊急の課題に取り組むためのさらなる資金を手に入れた。同社は今日、フィンテック界で最も影響力のある投資企業のひとつNyca Partners(ニカ・パートナーズ)主導のシリーズA投資600万ドル(約6億4000万円)を調達したことを発表した。

金融系スタートアップでは、利用者と自社の収益モデルとの間にインセンティブのずれが生じることがよくある。家計の健全化のためのアプリは、人々がまったく必要としていない新しいクレジットカードやローンを売り歩いた紹介料で密かに儲けていたりする。

Saviの面白いところは、常に利用者第一の姿勢を保つように最初から作られている点だ。同社は公益法人であり、米国の若者の成果の改善に共に尽力してきた2人の理想的な人物によって創設された。

ジョージタウン大学ローセンターを卒業したAaron Smith(アーロン・スミス)氏は、若者に焦点を絞ったシンクタンクであり人権擁護団体のYoung Invincibles(ヤング・インビンシブルズ)を創設し、そこで4年間働いていた。この団体はそもそも、オバマ政権初期に行われた保健医療制度の見直し論議の際に、若者の問題に注目してもらおうと設立されたものだ。一方、Saviのもう1人の創設者Tobin Ostern(トービン・オスターン)氏は、Students for Barack Obama(バラク・オバマを支援する学生の会)のリーダーとして、オバマ氏の最初の大統領選挙戦で若者に投票を呼び掛ける活動を行った後、超党派政策機関アメリカ進歩センターに加わった。

Saviの共同創設者トービン・バン・オスターン氏とアーロン・スミス氏(写真提供:Savi)

2人は、学資ローンを抱える若者の支援を目指すという進歩的な使命を果たそうと、Saviの共同創設を決意した。学資ローンの世界は「非常に複雑で、当然のこととして政策面の継続的な改善が欠かせないと思う一方で、学資ローンを抱える学生たちのための解決策が今すぐ必要なのです」とスミス氏は話す。「それが、ある意味でSaviの推進力にもなっています。テクノロジーを使って、そうした解決策を生み出すのです」

Saviは、利用者の学資ローンのデータを取り込み、数値を計算して、利用者の目標を考慮しつつ、返済や免除のための最良のオプションを導き出そうとしている。

学生相手の融資は1兆ドル(約107兆円)を超える市場だが、Saviは、その進歩的なルーツに立脚し、ソーシャルワーカー、教師、公務員といった利用者にプラットフォームを提供することに特別に力を入れている。同社の提携先の中でも最も大きな組織として、300万人の会員を擁するアメリカ最大の教師組合NEAがある。Saviは会員特典として提供されている。

企業や団体は、その従業員や会員に、自分の経済状況をよく理解してもらおうとSaviの学生ローン評価ツールを使わせている。このツールは無料で利用できるが、例えばば書類手続きの自動化機能などを使って学資ローンを積極的に管理したい場合は、サブスクリプション契約が必要となる。ただし利用者は、サブスクリプション料金を支払う前に、資金繰りの節約方法をSaviで計算できる。もしSaviが役に立たないとわかったときに、料金を支払わずに済むようにする配慮だ。同社によると、平均的な学資ローン利用者は、月に140ドル節約できるという。サブスクリプション料金は月額5ドル(約536円)だ。

雇用条件によっては、Saviはローンの免除に関して特別な専門性を発揮する。これは、多くの学資ローンが公益法人に勤める人に与えている権利だ。こうした権利には、繁雑で難解な適用規則がつきまとうものだが、Saviはそれぞれのローンの規則に準拠しつつ、利用者が免除の道を探れるように取り計らってくれる。現在、同社は150件を超える免除と返済オプションに取り組んでいるという。

組織向けの評価ツールに加えて、Saviは新型コロナウイルス関連の新しいツールをローンチした。医療従事者またはパンデミックで職を失った人たちが、自分の学資ローンの状況を知り、新しい援助プログラムが探せるようにするものだ。「私たちの利用者のうち、新型コロナ危機対応の仕事に就いている人たちの割合が驚くほど多かったのです」とオスターン氏は話していた。

学資ローン管理関連のスタートアップは、ベンチャー投資の間では人気が高い。昨日、私の同僚Alex Wilhelm(アレックス・ウィルヘルム)も、学資ローン・プラットフォームのFrank(フランク)が暫定戦略的ラウンド500万ドル(約5億3600万円)を調達し、エドテックの最大手Chegg(チェグ)が
役員の座に着いたという記事を書いていた。私も2019年末に、Summer(サマー)が1000万ドル(約10億7000万円)を調達したことを伝えた。SummerはSaviと同様、学資ローン利用者の負担を最小限にすることを目指す公益法人だ。

Nycaに加えSaviは、AlleyCorp、Temerity Capital、9Yards Capital、そしてMichelle Kang(マイケル・カン)氏、Catherine Reynolds(キャサリン・レイノルズ)氏、Sheila Lirio Marcelo(シェイラ・リリオ・マルセロ)氏からも資金を得ている。

新型コロナウイルス 関連アップデート

画像クレジット:Topp_Yimgrimm  / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

ノースカロライナ拠点の気候監査Climate Serviceが約4.1億円を調達

世界中の企業が、自社による事業活動が地球規模の気候変動に与える影響に注目する中、投資家たちは気候変動の影響を食い止めるためのソフトウェアやサービスを次々と支援している。

その中でも最も新しい資金調達を行ったのがThe Climate Serviceで、直近の資金調達ラウンドで382万ドル(約4億1000万円)を調達した。

興味深いことに、ノースカロライナ州ダーラムを拠点とするThe Climate Serviceは、従来のベンチャー投資会社やエンジェル投資家に加えて、国際公認会計士協会(Association of International Certified Professional Accountants)からも出資を受けている。

さらに、Persei VentureやSynovia Capitalなどの機関投資家も、このラウンドに参加した。

The Climate Serviceは今回調達した資金を、同社のソフトウェアサービスで監視する気候シナリオやリスク、資産クラスの範囲を拡大するために使用するという。

同社の気候監査サービスは、Climate-Related Financial Disclosuresのタスクフォースが策定した枠組みに基づいて気候リスクのモデルと価格設定を行っており、世界中の1000以上の組織で使用されているという。

「投資家、市場、規制当局は企業に対し、気候変動に関連するリスクへのエクスポージャーを測定するようさらに求めている。その結果として気候リスクを理解し、定量化し、管理するよう迫られている業界の要求に応えるために、The Climate Serviceはこの資金調達ラウンドを計画した」と、Persei VentureのDavid L.Jadow(デビッド・L・ジェドー)氏は語る。「我々はThe Climate Serviceに今後も大きな成長が見込まれ、気候リスクをグローバルな意思決定に組み込むという同社のビジョンとミッションを支援することを誇りに思う」。

原文へ

(翻訳:塚本直樹 Twitter

植物性流動食のKate Farmsが一般消費者市場への進出を目指す

Kate Farmsは、固形食を食べられない患者のために病院などが栄養補助食品として使っている植物性の流動食のサプライヤーだ。同社はこのほど、2300万ドルの資金を調達した。

会長でCEOのBrett Matthews氏によると、そのお金は消費者とヘルスケアプロバイダー双方からの、最近の大きな需要増に対応するための、生産能力の向上に充てたいという。

同社を創業したRichard Laver氏とMichelle Laver氏は、最初そのフォーミュラを娘のKateのために作った。脳性小児麻痺のKateは固形食を食べられず、市販のチューブ食もだめだった。その後企業のビジネスに育ったKate Farmsは、今では全米の病院に奉仕している。

Matthews氏は、息子が上部呼吸器系の疾患と自己免疫症に苦しんでいた。彼は最初、顧客として同社を知ったが、「自分の子が重症で、治療のためには食べ物がきわめて重要だった。同社の製品と医療品としての食品について、その後多くを学び、同社への参加と投資を決意した」、と語る。

Matthews氏は、Kate Farmへの最初の投資の次には取締役会の会長になり、そしてついに、CEOに登りつめた。

Kate Farmsはこれまでもっぱら、個人から資金を調達し、企業としての投資家とは縁がなかった。今回もその例に漏れず、資金は一連の大物投資家たちからやってきた。彼らの一覧は、次のようになる:

  • David Roux(Silver Lakeの共同創業者)
  • John Hammergren(McKessonの元会長で現CEO)
  • Gregg Engles(植物性乳製品代替食品のWhiteWave Foodsの元会長で現CEO)
  • Kristin Loomis(Lazardの元CEO、HHV-6 Foundationの常勤役員)
  • Pete Nicholas(Boston Scientificの創業者で元CEO)
  • Robert Zollars(Baxter Internationalの元社長、Diamond Foodsの会長、Cardinal Healthの執行副社長)
  • Celeste Clark(元Kellogg’s Global Nutritionのチーム管理団役員)

昨年調達を完了したそのお金は現在、COVID-19の疫病とそれへの政府の対応によって生じた需要増に応ずるための増産に使われている。Kate Farmsは、南カリフォルニアの高齢者配食事業に100万ドル相当の同社製品を寄贈している。サンタバーバラに本社のある同社は、100万ドルは22万5000食に相当する、と言っている。

同社の植物性で遺伝子組み換えでない流動食は、チューブ食(経管栄養)を必要とする子どもや大人の栄養状態を改善することが、臨床的に証明されている。Matthews氏によると、American Society for Parenteral and Enteral Nutrition(全米非経口および腸溶性栄養協会)の季刊誌に載った研究は、アトランタ胃腸病学連合が行なった臨床試験に基づいている。

氏は曰く、「小児科の市場では弊社製品が体重の増加を改善し、また、薬物耐性も改善している」そうだ。

Matthews氏によると、アメリカでは、チューブ食を必要とする人びとはおよそ70万名おり、そのほかにも同社製品によって栄養状態を改善できると思われる人びとが1億5000万名いる。その市場の大きさはアメリカでほぼ30億ドル、全世界では100億ドルだ。

でもKate Farmsは、もっと大きなご褒美を目指している。同社が声明で言っているように、植物性の乳製品代替食品の消費者市場の大きさは2017年で210億ドル、2024年には375億ドルに達すると予想されている。そしてUBS Investmentsによると、次の10年間には代替食肉が2018年の46億ドルから2030年には850億ドルに成長する。

「もちろん、今は医療食が中心だが、今後は大きく進化するだろう」、とMatthews氏は言っている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

新型コロナで需要急増中の遠隔診療コンサルTyto Careが約54億円調達

在宅健康診断デバイスと遠隔診療コンサルテーションアプリのプロバイダーTyto Care(タイト・ケア)が、新たなラウンドで5000万ドル(約54億円)を調達した。

声明によると、本ラウンドは Insight Partners、Olive Tree Ventures、 Qualcomm Venturesがリードし、Tyto Careの累計調達額は1億500万ドル(約114億円)超となった。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的パンデミックにより、需要が急増する中での資金調達となった。Tyto Careのツールキットは遠隔診療の診断ソリューションとして使われており、2019年だけでも売上は3倍超となっている。

同社は2019にBest Buyと提携し、American WellやTeladocなど主要遠隔医療プロバイダーのほとんどと協業している。

既存投資家のOrbimed、Echo Health、Qure、Teuzaなどが本ラウンドに参加したとTyto Careは声明で述べた。

今回調達した資金で、Tyto Careはすでにある診断プラットフォームをベースに新たなツールを購入したり構築したりするとともに、在宅健康テストキットを新分野に拡大する。

Scanwell Healthのような企業は、尿路感染症などの病気の在宅診断テストを提供している。Tyto CareのCEOで創業者のDedi Gilad(デディ・ジラッド)氏は、在宅で行えるさまざまな種類のテストに新しいプロダクトを用意する、とインタビューで話した。

Tyto Careの遠隔診療は現在かなりの需要があり、インスラエルの全病院で新型コロナウイルスに感染した隔離中の患者をリモート診察するのに使われている。他の病院ネットワークもまた同様の使用目的でTyto Careの診断ツールに目を向けている、とのことだ。

遠隔の医療検査はCOVID-19を引き起こすウイルスSARS-Cov-2への曝露から医療関係者を守り、感染していない患者が実際に医療機関に足を運ぶことなく基礎的な健診を受けられるようする。

「過去2年間、Tyto Careはそれまでよりも成長を加速させ、ヘルスケアのあり方の変革をリードしている。遠隔診療は新型コロナパンデミックで注目を集めている。我々のソリューションが、ウイルスとの戦いでヘルスシステムや世界中の顧客を支援していることを誇りに思う」とジラッド氏は声明で述べた。「今回の資金調達は遠隔診療の進化に向けた転換期に行われたものであり、新たな資金で我々は引き続き、最善のバーチャルケアソリューションでもって世界のヘルスケア産業を変えていくことができる」

画像クレジット: Tyto Care

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

Airbnbが新型コロナ禍の中、未公開株式投資会社から1000億円超を調達

Airbnb(エアビーアンドビー)は米国時間4月6日、未公開株式投資会社であるSilver Lake(シルバー・レイク)とSixth Street Partners(シックス・ストリート・パートナーズ)から、融資および株式で10億ドル(約1090億円)調達したと発表した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、同社のオンライン宿泊マーケットプレイスが急激に落ち込む中でのことだ。

契約条件は公表されていない。Airbnbが以前公表していた上場計画に、この出資がどう影響を与えるのかもわかっていない。

新型コロナウイルスによって起こされるCOVID-19は、世界中の政府に自宅待機命令の発出を促し、旅行、接客業界にキャンセルの波を引き起こした。Airbnbはこの資金調達について、長期的投資に向けた現在進行中の事業を支援するためであると説明し、これが戦略的な投資であり低迷からの回復のためではないこと強調した。

「現在の状況が接客業界にとって困難なものであることは明らかだが、旅に出て本物の体験をする欲求は、基本的かつ永遠のものだ」とSilver Lakeの共同CEO兼マネージングディレクターのEgon Durban(イーゴン・ダーバン)氏は声明で述べた。「Airbnbの多様かつ国際的で弾力性のあるビジネスモデルは、世界が必ず復活し外へ出て旅を体験する時、発展するために最適である」

同じく米国時間4月6日にAirbnbのCEO、Brian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏は、人とつながり旅に出る欲求はこの期間に強まっているが「それを具現化する方法は世界の変化とともに明らかになっていくだろう」と述べた。

Airbnbは、人々の働く場所と方法が変わっていくことに賭けている。そのため、同社は企業の焦点と新たな資金を「ホスト」「長期滞在」および「Airbnb体験」という3つ主力製品につぎ込むと語った。

2020年4月にAirbnbは、新型コロナの影響を受けたホストを救済するために2億5000万ドル(約272億円)を準備すると語った。これは、3月14日~5月31日の期間、新型コロナによる予約キャンセルがあった場合、ホストが通常のキャンセルポリシーの下で受け取るはずだった金額の25%をAirbnbが支払うものだ。このポリシーは上記期間の予約取り消しすべてについて遡って適用される、とAirbnbはいう。

これは新型コロナのために予約をキャンセルした宿泊客が全額返金を受けられる、という同社のポリシーに不満を募らせるホストに対する補償を目的としている。そのポリシーは現在も有効で、3月14日以前から5月31日までの間の宿泊を予約し宿泊客は、キャンセルして通常の返金または旅行クレジットを受け取れる。

画像クレジット:TOSHIFUMI KITAMURA / Contributor / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

機械学習モデルをさまざまなハードウェアに合わせて最適化するOctoMLが16億円相当を調達

OctoMLは機械学習のコンパイラースタックプロジェクトApache TVMのチームが創ったスタートアップだ。米国時間4月3日に同社は、Amplifyがリードし、90万ドル(約4億2000万円)のシードラウンドをリードしたMadrona Venturesが参加したシリーズAのラウンドで1500万ドル(約16億円)を調達した。OctoMLとTVMの中核的なアイデアは、機械学習を使って機械学習モデルを最適化し、さまざまなタイプのハードウェアでより効率的に動くようにすることだ。

OctoMLのCEOでワシントン大学の教授Luis Ceze(ルイス・セズ)氏は「機械学習モデルの開発はかなり進歩しているが、モデルを手にした時点から例えば、それを実際にエッジやクラウドで有効に使うためにはどう活用するのかという大きな苦労が始まる」と語る。

そのためにセズ氏と彼のワシントン大学のアレンコンピューターサイエンススクール(Paul G. Allen School of Computer Science & Engineering)の仲間たちがローンチしたのが、TVMプロジェクトだ。今やそれはApacheのインキュベイティングプロジェクトであり、AWS、ARM、Facebook、Google、Intel、Microsoft、Nvidia, Xilinxなどの企業からの利用、サポートが多いことから、チームは本格的な商用化が必要と考えた。そこで生まれたのがOctoMLだ。今日では、Amazon Alexaのウェイクワードの検出にもTVMが使われている。

セズ氏はTVMを、機械学習のモデルのための新しいオペレーティングシステムだ、と説明する。「機械学習のモデルはコードではないため、そこにコンピューターが実行する命令はない。そこにあるのは、統計的なモデリングを記述する数字だ。そんなモデルを特定のハードウェアプラットフォーム上で効率的に動作させるには非常に多くの問題があります。実行性能の良い方法を決めるのは非常に困難なで、人間の直観を必要とする重要な作業です」。

そのためOctoMLと、そのSaaSプロダクト「Octomizer」が登場した。ユーザーは自分のモデルをこのSaaSへアップロードすると自動的にモデルはユーザーが指定したハードウェアとフォーマットに基づいて最適化され、ベンチマークされ、パッケージされる。さらに高度な使い方として、このサービスのAPIをCI/CDの工程中に加えるやり方もある。そうやって最適化されたモデルは、それが動くハードウェアを完全に有効利用するよう最適化されているため相当速いが、多くの企業にとってさらにありがたいのは、効率化されたモデルがクラウドの利用コストを下げてくれること。そして性能の低い安価なハードウェアを使っても、これまでと同じ結果が得られることだ。ユースケースによっては、TVMはすでに80倍のパフォーマンス向上を達成している。

現在、OctoMLのチームは約20名だ。今回の新しい資金で増員を予定している。採用されるのは主にエンジニアだが、エバンジェリストも雇いたいとセズ氏は言う。また彼によると、SaaSプロダクト「Octomizer」は出だしとしては良いが、本当の目標は機能がもっと完全に揃ったMLOpsのプラットフォームだとのこと。「OctoMLのミッションは、MLOpsを自動化する世界で最良のプラットフォームを構築することだ」とセズ氏は語っている。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

植物由来の包装資材やクーラーボックス用断熱材を生産するVericoolが21億円相当を調達

プラスチックの包装資材や断熱材を植物由来の製品で置き換えようとするカリフォルニア州リバーモアのVericoolが、新たな資金調達ラウンドで1910万ドル(約21億円)を獲得した。

同社の目標は、これまで使われてきたポリスチレンなどの包装資材を植物由来の断熱性のある素材で置き換えることだという。

同社はその技術で再生紙やその他の植物性素材を使用して、歩道の縁石や漆喰(しっくい)なども作っている。

今回のラウンドの投資家はRadicle Impact PartnersThe Ecosystem Integrity FundID8 Investments、そしてAiiM Partnersとなる。

Radicle Impact Partnersのマネージングパートナーで、新たにVericoolの取締役のトップになったDan Skaff(ダン・スカフ)氏は「Vericoolをサポートできることは喜ばしいことだ。同社はイノベーションと高性能な製品と安定したパテントポートフォリオ、および回復力のある環境への注力においてすばらしい実績がある。我々は再犯に対処しや出所者の就労確保といった社会問題に取り組む同社の姿勢にも感銘を受けている」と語った。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

大学の講義のスケジュールを合理化して学生と大学経営を助けるCoursedog

2年前に、コロンビア大学の寮で同じ部屋にいたJustin Wenig(ジャスティン・ヴェニグ)氏とNicholas Diao(ニコラス・ディアオ)氏は、学生たちに人気のあるコンピューター科学のクラスを受講しようと苦労していた。結局、2人は受講に成功したが、クラスのスケジューリングをめぐるそのときのフラストレーションから「こんな問題はコンピューターが解決すべきだ」と決意した。

ヴェニグ氏とディアオ氏が創業したCoursedogは、クラスや教授や演習などのスケジュールを、それらに対する需要や関心に基づいて作るソフトウェアを提供している。「クラスのスケジューリングシステムのためのSuperhumanみたいなソフトだ」とヴェニグ氏は説明する。

米国時間3月9日、CoursedogはFirst RoundのJosh Kopelman(ジョシュ・コペルマン)氏など多くの投資家から420万ドル(約4億3400万円)を調達したことを発表した。その他の投資家や、投資に伴って同社の取締役会に入ることになった者について、同社は公表していない。Y Combinatorを卒業した同社のこれまでの調達総額は570万ドル(約5億9000万円)になる。同社の投資家はFoundersX VentureやEFund、そして学校の入学事務をコンピューター化するSchoolMintのCEOであるJinal Jhaveri(ジナル・ジャベリ)氏などだ。

資金は同社の新製品開発、特にコースの需要を予測し、そのコースで学生たちが効果的に勉強できるための席数を求めるプロダクトの開発に充当される。

ヴェニグ氏はTechCrunchのインタビューに対して「現在の高等教育は遅い、と考えている人が多いけど、勉強をしっかり身につけるためには遅いことも必要だ」と述べている。ただし、現在の大学はテクノロジーを採用することよりも、データの保護に関心があると彼は言う。

競合についてヴェニグ氏は、学習管理サービスのBlackboardは今でも大学に強いが、Coursedogは大学の管理者がスケジューリングのために利用する学生情報システムであるため方向性が違う、競合関係にはないと言う。

ヴェニグ氏とディアオ氏が何百もの大学に電話セールスとしたとき、最初に契約できたのがColumbia Law School(コロンビア大学のロースクール)だった。その後同社は、大小さまざまの60校のカレッジや大学を顧客にできている。

Coursedogの顧客は本当に大小さまざまで、最小は学生数約600人のLaguna School of Art and Designだ。顧客には公立校と私立校が入り混じっているが、ヴェニグ氏によると、公立校のほうがイノベーションに熱心だとのこと。

ヴェニグ氏によると「多くの州が州立大学を補助金で支えているが、ユタ州などでは大学の大きさで補助金の額がわかる」そうだ。Coursedogのソフトを利用してひとりひとりの学生に合ったクラスを受講させれば、無事に卒業できる学生が増えるという。

「今、我々は大学の学生情報システムを利用してスケジューリングやカリキュラムの計画、要覧の発行などを助けている。これによって徐々に、彼らがスプレッドシートを使ってやっていたような古いやり方を駆逐しつつある」という。

Coursedogの目標は、顧客である大学の数を年内に100まで増やし、製品開発チームをもっと大きくすることだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ゲームの人工音声をより「人間らしく」するSonanticが約2.8億円を調達

ゲームやそのほかのエンターテインメントの人工音声を「人間らしく」するイギリスのスタートアップであるSonanticが、230万ユーロ(約2億7680万円)の資金を調達した。

EQT Venturesがこのラウンドをリードし、前からの投資家であるEntrepreneur First(EF)とAME Cloud Ventures、そしてHorizons VenturesのBart Swanson(
バート・スワンソン)氏が参加した。なお、Twitchの共同創業者Kevin Lee(
ケビン・リー)氏も、初期の投資家の1人だ。

2018年にCEOのZeena Qureshi(ジーナ・クレシ)氏とCTOのJohn Flynn(
ジョン・フリン)氏は、ロンドンで行われたEFのインキュベーター事業に参加して同社を創業した。以前はSpeak Aiという社名だったSonanticは、世界のゲームとエンターテインメントの音声技術に革新をもたらしたいと考えている。同社は開発した人工音声技術を、ゲームスタジオがオンデマンドで使える「表情豊かでリアルな演技音声」と呼んでいる。すでにAAA(トリプルエー)のゲームスタジオ10社あまりとの研究開発パートナーシップを進めている。

Sonanticが解決する問題について尋ねると、クレシ氏は次のように答えている。「ゲームに会話を入れる工程は時間がかかり、高価で労働集約的な作業だ。この工程はキャスティング、スタジオの予約、契約、スケジューリング、編集、監督などなど、大量の調整作業を要する。音声つきのビデオゲームは、頻繁に変わるゲームデザインに付き合わされて1本のゲームが完成するまでに10年かかることもある。そのたびにゲームデベロッパーは、同じような繰り返し作業を強いられる。しかも途中で予算オーバーになったり、ゲームのリリースが遅れたりすることもある」

こういった問題を解決するためにSonanticは、クレシ氏が「オンデマンドで動的な演技音声」と呼ぶ技術を提供する。この技術は、キャラクターに求められる性別や個性、アクセントの特徴、声色、感情などに基づいて正しいタイプの声を作り出す。同社の人間の声に近いテキスト音声変換システムはAPIで提供され、ユーザーはGUIのツールで合成声優を編集し、変化させ、まるで人間の俳優に行うように監督(演技指導)する。

そのためにSonanticは、俳優たちといっしょに彼らの声を合成し、その際の演技指導も行う。「さらにその声のデジタルバージョンを提供することで、彼らの受動的収入源になり、俳優たちの助けにもなる」とSonanticのCEOは説明する。

経費を下げ、すぐに利用可能な音声モデルを用意していることで、Sonaticはゲームスタジオが短期間で繰り返しの作業が安価でできるようにしている。同社のSaaSとAPIによりいろんな音声演技を作って試すことも簡単で、ストーリーの細かい変更や編集、そして監督も楽にできるようになる。

一方でSonanticは怒り、悲しみ、喜びなどさまざまな感情のこもった音声を作り出す同社の技術をいずれ一般公開したいと考えている。同社によるとそれは、本当に有能な本物の俳優や声優にしかできない技能だそうだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

GUIでオーディオシステムを開発するAudio WeaverのDSP Conceptsが16億円相当を調達

DSP ConceptsのソフトウェアであるAudio Weaverは今やTesla、Porsche、GoPro、Braun Audioなど、さまざまな企業が利用している。同社はこのほど、シリーズBで1450万ドル(約16億円)を調達したことを発表した。

CEOのChin Beckmann(チン・ベックマン)氏とCTOのPaul Beckmann(ポール・ベックマン)氏夫妻によると、同社の目標は、企業がオーディオ処理ソフトウェアを開発するために使用する標準的なフレームワークを作ることだ。

チン氏によると「シリーズBの投資家にはこの業界を本気で支援し支持して欲しかったため、その選別には気を使った」とのこと。

そこでこのラウンドはTaiwania Capitalがリードしたが、投資家にはDSP Conceptsに対する戦略的投資家が多く含まれる。シリーズAをリードしたのはみなDSP Conceptsの大型ユーザーの系列であるBMW i Ventures、Innovation Growth VenturesのSony Innovation Growth Fund、MediaTek Ventures、Porsche VenturesそしてARM IoT Fundなどだ。

ポール氏によると、Audio Weaverは、もともとベックマン夫妻がやっていたコンサルティング事業の「秘密兵器」として始まった。オーディオのエンジニアリングプロジェクトの進捗を、一気に超高速化することができる。コンサルティングをしている途中で顧客は必ず「そいつの使い方を今教えてくれないか?」と言われ、夫妻はこのAudio Weaverプラットホームにフォーカスしたスタートアップを立ち上げた。

Audio Weaver - AWE Designer

ポール氏によるとそのソフトウェアは「グラフィカルなブロック図エディター」だ。GUIを使って、オーディオ処理のためのさまざまなソフトウェアモジュールを組み合わせたり、カスタマイズしていく。

「オーディオはそのほかの業界に比べるとまだ石器時代にある。たとえばタッチ画面から使うプロダクトを作るとすると、オーディオはグラフィクスをスクラッチから書く世界、ほかの業界ではとっくにQtのようなGUIフレームワークが使われている」と彼はいう。

またポール氏によると、今でもオーディオエンジニアは手書きでコードを書くという大変な作業を大量に行っているが、Audio WeaverのGUIを使えばパズルのいろんなピースを簡単にまとめることができるし、これまで作って改良し蓄積してきた何百ものモジュールを今の仕事に利用できるようになる。

DSP ConceptsのエンジニアたちはAudio Weaverのプラットホームを使って、GoProで撮った映像から風の音を減らすアルゴリズムの何百ものアイデアを、すべて実際に試せる。そして、最良のアルゴリズムをGoProに渡せばよい。すると同社のチームがそのアルゴリズムを自分たちのソフトウェアに使って、部分的に変えたりもできる。

ベックマン夫妻によると、同社はチップのメーカーとも密接に協力して、彼らのチップセットを使っているデバイスでオーディオのソフトウェアが正しく動くように努めている。

さらに同社のTalkToというモジュールは、Alexaのような音声アシスタントの聴力を超高感度にする。ロックコンサートのような大音量の環境でも、ノイズをすべてキャンセルしてコマンドを聞き取ることができる。下のビデオは、TalkToのデモだ。

DSP Conceptsは、これまでの累計で2500万ドル(約27億9000万円)あまりを調達している。

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

データの利用や管理でメインフレームとクラウドを橋渡しするModel9

イスラエルでメインフレームを扱っていたグループが起業したModel9は、メインフレームコンピューターとクラウドの間でデータを転送するサービスだ。同社は米国時間2月900万ドル(約98700万円)のシリーズA調達を発表した。

Intel Capitalがこのラウンドをリードし、StageOneやNorth First Ventures、Glenrock Israelなどの既存の投資家が参加した。同社のこれまでの調達総額は、1300万ドル(約14億2500万円)近くになる。

実は、大きな銀行や保険会社、航空会社、大型リテイラーなど世界最大級の企業は、まだメインフレームを使っている。これらの企業は、毎日の大量のトランザクション処理のために、そのがっしりとしたマシンを必要としているが、そのままでは貴重なデータを現代的なデータ分析にかけることが難しい。その難問をModel9が解決する。

Model9のCEOで共同創業者のGil Peleg(ギル・プレグ氏によると、同社の技術はメインフレームのユーザーがデータをクラウドやそのほかのオンプレミスのストレージに持ち込むことを助ける。「メインフレームのデータはプロプライエタリなストレージに閉じ込められていて、急速に進化し変化しているクラウドの世界で起きていることにまったくアクセスできない。そこで、私たちの特許を取った技術が、メインフレームが直接、クラウドや、メインフレームではない分散ストレージシステムにデータをリードライトできるようにする」と同氏は説明する。

重要なユースケースがいくつかあり、例えばそんなストレージやクラウドが使えるとテープによる高価なバックアップがいらないので、事故からのリカバリーに利用できる。また、データをクラウドに送れれば、現代的なデータ分析を適用できる。それは前には不可能だったことだ。

同社のソリューションは、AWSやGCP(Google Cloud Platform)、Microsoft Azure、IBMのクラウドサービスなどと互換性がある。またEMC、Nutanix、NetApp、などのオンプレミスのストレージソリューションも使える。それにより同社の顧客は、本格的なハイブリッドクラウドを構築できる。クラウドは、プライベートクラウドでもパブリッククラウドでもどちらでもいい。

同氏は「理想は顧客がハイブリッドクラウドのトポロジーをデプロイして、両方の世界の利点を享受できることだ。メインフレームには、信頼性とセキュリティの面で強みがあり、クラウドはスケールと毎日急激に増加するデータを管理できるし、事故時のリカバリーやデータの管理とアナリティクスなど、現代的なテクノロジーがある」と語る。

同社は2016年に設立され、ソリューションの開発に2年を要した。現在の同社はメインフレームを使っている大企業数社を顧客にしている。同氏によると、今回得られた資金は営業とマーケティングを拡充してこのソリューションの市場を広げることに当てたいという。

関連記事:IBMのメインフレーム事業は健在、新機種z15を発表

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa