営業電話やサポセン、社内会議をAI搭載IP電話で円滑にするMiiTel開発のRevCommが総額15億円調達

音声解析AI技術を搭載するIP電話サービス「Miitel」(ミーテル)を手掛けるRevComm(レブコム)は10月5日、シリーズAラウンドで7億円を追加調達し、累計15億円を獲得したことを発表した。これによりシリーズAはファイナルクローズとなる。

第三者割り当て増資による調達で、シリーズAでは日米で投資活動を進めるWiLがリード投資家となり、今回のセカンドクローズはNTTドコモ・ベンチャーズ、グローバル・ブレインが運営するKDDI(KDDI Open Innovation Fund 3号)、新生企業投資、Sony Innovation Fund by IGV、ALL STAR SAAS FUND、ディープコア、DNX Ventures、博報堂DYベンチャーズ、三菱UFJキャピタル、ミロク情報サービスの計10社が新規投資家として加わる。ちなみにファーストクローズ時に、PERSOL INNOVATION FUND、エン・ジャパン、ブイキューブが計8億円を出資済みだ。

今回調達した資金は、新サービス開発、サービス品質向上ための研究開発、海外進出、組織基盤強化などの事業投資に充当する方針とのこと。

セカンドクローズには、各種ファンドのほかに事業会社としてミロク情報サービスが加わっている。同社は、企業向けコンピュータ管理会社で24時間365日対応のコールセンターを運営しており、今後MiiTelを活用して事業の効率化を図っていきたいとしている。

投資家としては、日米で投資活動を展開しているWiLやDNX Venturesのほか、ALL STAR SAAS FUNDのマネージング パートナーである前田ヒロ氏は、アジア向けに約117億円規模のEmerging Asia Fundもファンドも組成。海外展開を見据えた布陣となっている点にも注目だ。そのほか、ソフトバンク系でAI系スタートアップへの投資を進めるディープコアも投資家に加わっている。

RevCommは、2017年7月設立のスタートアップ。2019年にTechCrunch Japanが主催した「TechCrunch Tokyo 2019」の「スタートアップバトル」で応募120社超の中から最優秀賞に輝いたほか、同年開催されたB-Dash Camp 2019のPitch Arenaもダブル受賞。2020年にはGoogle for Startups Acceleratorに採択されている。Miitelはサービスリリース開始約1年半で1万ユーザーが導入しているという。

代表取締役の會田武史氏によると「昨年のB-Dash Camp2019やTechCrunch Tokyoでの優勝で認知されたことで、インバウンドでの問い合わせが増えた」とのこと。新型コロナウイルスの感染蔓延により、社会全体がリモートワーク導入に向かう中で、Miitelへの問い合わせはさらに増えているそうだ。搭載する音声解析エンジンについても改良が進んでおり、さらに高い精度での音声テキスト変換が可能になっているほか、オープンAPIとすることで音声解析ニーズのある企業との提携も進めていく予定だ。

Miitelは、電話営業やコールセンター業務での会話のラリーの回数や、話す量・聞く量、会話のジャンル、声の高低・遅速などをAIで検出し、高精度のフィードバックを行うことで商談獲得率・成約率向上を実現するIP電話システム。顧客と担当者が「何を」「どのように」話しているかわからない、というブラックボックス化問題を解消して、成約率を上げ、解約率と教育コストの低下につなげることを目指している。CRMツールとしては、Salesforce(セールスフォース)やサイボウズのkintone(キントーン)と連携に対応している。

また、担当者自ら学ぶセルフコーチングツールとして、リモートワーク環境の早期構築ツールとして活用されているほか、リモートワークにおける社内会議向けの議事録作成ツールなどにも活用事例が拡がっているそうだ。

カテゴリー:人工知能・AI
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AI搭載型クラウドIP電話「MiiTel」開発のRevCommが8億円調達、海外進出を目指す

RevComm(レブコム)は5月11日、シリーズAラウンドのファーストクローズで8億円を調達したことを発表した。第三者割当増資による調達で、引受先はWiL(WiL Fund II, L.P.)をリード投資家として、PERSOL INNOVATION FUND、エン・ジャパン、ブイキューブ。WiL以外の3社は、シリーズAラウンドに先立って新株予約権での投資をしていた実績がある。なお同社は、シリーズAラウンドで総額15億円の調達を目指している。

同社は今回調達した資金を、新サービス開発およびサービス品質向上ための研究開発、海外進出、組織基盤強化の事業に投資するとしている。同社が開発した「MiiTel」(ミーテル)は、AIによって通話内容を解析・テキスト化することで電話営業を可視化するAI搭載型クラウドIP電話。IP電話のため、電話回線の敷設や契約は不要でリモートワーク環境にも導入しやすいのが特徴だ。顧客との会話内容をあとから聞き直せるので、セルフコーチングツールとしても活用できる。同社によると、提供開始約1年半で5000ユーザーを獲得しているとのこと。

MiiTelの1ユーザーあたりの月額コストは、基本使用料5980円、電話番号使用料1500円、モバイルアプリ使用料500円。同社は新型コロナウイルスの感染拡大防止のための全国的な外出自粛要請を受け、3月2日~4月30日までの2か月間は利用料金を無償化していた。すでに受け付けは終了しているが、第2弾の無償サービス提供を実施済みで、申し込みを済ませた企業は最長で5月末までの無償利用が可能だ。

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テレセールスをテレワークで、新型コロナ対策でAI搭載IP電話「MiiTel」が2カ月無償に

RevCommは2月28日、同社が開発・提供しているAI搭載IP電話のMiiTel(ミーテル)を3月2日から2カ月無償提供することを発表した。新型コロナウイルスの影響でリモートワークが推奨されている中、テレセールスやサポートセンターなどの業務を在宅で遂行できるようになる。通常は、1ユーザーあたりの月額コストとして、基本使用料5980円、電話番号使用料1500円、モバイルアプリ使用料500円がかかるが、3月2日~4月30日までの2か月間は無償で利用できる。ただし、実際の使用に伴う電話料金は利用者負担となる。

MiiTelは、営業トークの内容を録音し、ログを取得できるのが特徴。取得した録音データをAIが分析し、沈黙した時間、会話を被せてしまった回数、声量、テンポなどを数値化できるほか、会話の内容を自動的にテキストデータ化することも可能だ。これらのデータを利用して、担当者自らが課題を確認してセルフコーチングすることもできる。

IP電話なので、電話回線を敷設する時間やコスト、携帯端末の用意はもちろん不要。PCとインターネット接続環境があればすぐに利用できる。記録されたログによって「誰がいつ誰と何を何分話したか」というデータを共有できるので勤怠管理も容易だ。

RevCommは、2019年にTechCrunch Japanが開催したテクノロジーとスタートアップのイベント「TechCrunch Tokyo 2019」の「スタートアップバトル」で最優秀賞に輝いた企業。2019年のスタートアップバトルは、過去最多の120社超から選抜された20社がファーストラウンドに登壇、その20社からさらに選抜された6社がファイナルラウンドに進んで最優秀賞をかけて戦ったピッチイベントだ。ちなみに同社は、TechCrunch Tokyo 2019だけでなく、2019年にはさまざまなイベントで賞を獲得し、サービスの知名度や契約者数を向上させてきた。人材サービスなどを展開するビズリーチが2018年10月に設立した「ビズリーチ 創業者ファンド」の投資第1号案件でもある。

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MiiTelを導入して本格的にテレワークを進めるには、PCやインターネットの常時環境、企業内に蓄積されている顧客データの共有といった環境整備が必要で、すぐに移行できるわけではない。しかし、導入が容易なIP電話システムを電話料金を除いて2カ月間無償で利用できるというのはかなりのメリットだ。東京五輪などの大型イベントに備えたテレワークの予行演習としてMiiTelを試験導入してみる価値はあるだろう。

Google for Startups Acceleratorが国内でスタート、空やRevcommが選出

Googleは2月17日、Google for Startups Acceleratorの参加企業9社を発表した。このアクセラレータープログラムは、AI技術を活用した有望なスタートアップ企業に、Googleによる技術・組織運営などの幅広い分野にまたがる専門サポート提供するというもの。具体的には、同社社員15名以上からなるチームによる支援、企業や製品に関する大枠な戦略策定のサポート、Google for Startups Campusの利用、資本投資なしのサポート、Googleのメンター(育成・指導)など。Google for Startups Campusは、同社が昨年に日本法人の拠点を六本木から渋谷に移した際に開設された。

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アクセラレータープログラムに参加するスタートアップは以下の9社。ホテルなどに向けてシーズンや曜日に応じた適切な価格設定を自動化する、いわゆるダイナミックプライジングサービスなどを開発・提供する空、AIとIP電話を活用して電話営業の効率化を図る「MiiTel」を開発・提供するRevCommなどが選ばれている。空はTechCrunch Tokyo 2017、RevCommはTechCrunch Tokyo 2019のスタートアップバトルで最優秀賞を獲得した企業だ。

  • エルピクセル : AI医療画像診断の支援技術を提供
  • カラクリ:顧客対応・カスタマーサポートのオートメーションサービスを提供
  • Singular Perturbations(シンギュラー パータベーションズ):最適なパトロール経路/安全な経路の策定・警備人員計画・犯罪要因分析などの犯罪リスクヘッジソリューションを提供
  • Selan(セラン):子どものお迎えと英語教育を同時に解決するサービスを提供
  • :ホテルの予約や市場データを元に料金設定業務を最適化し、収益創出の仕組み化を促進するサービスを提供
  • チャネルトーク:CX用のチャットツールと実店舗のアナリティクスサービスを提供
  • バオバブ:学習データ(アノテーション)作成サービスを提供
  • LeapMind(リープマインド):組み込みDeep Learning導入に向けたサービスを提供
  • RevComm(レブコム):電話営業・顧客対応を人工知能で可視化して、生産性向上を実現するクラウドIP電話を提供

AI搭載IP電話「MiiTel」開発のRevCommがカラダノートと提携、ノウハウを可視化して子育てママとのエンゲージメント強化へ

IP電話を利用した営業支援サービス「MiiTel」(ミーテル)を開発・提供するRevCommと、さまざまな子育て支援サービスを展開しているカラダノートは2月10日、2月1日付けでパートナーシップ契約を締結したことを明らかにした。カラダノートのクライアントである妊娠育児層向け事業会社での架電オペレーションにMiiTelを導入し、生産性向上に取り組む。

RevCommは、2019年にTechCrunch Japanが開催したテクノロジーとスタートアップのイベント「TechCrunch Tokyo 2019」の「スタートアップバトル」で最優秀賞に輝いた企業。2019年のスタートアップバトルは、過去最多の120社超から選抜された20社がファーストラウンドに登壇、その20社からさらに選抜された6社がファイナルラウンドに進んで最優秀賞をかけて戦ったピッチイベントだ。ちなみに同社は、TechCrunch Tokyo 2019だけでなく、2019年にはさまざまなイベントで賞を獲得し、サービスの知名度や契約者数を向上させてきた。

カラダノートは、提供中のアプリで合計で約55万MAU(月間アクティブユーザー)、新規で毎月3万人以上の接触可能ユーザーを獲得しており、既存ユーザーを含む登録ユーザーに向けて、前述の提携クライアントが電話や訪問などで販促活動を進めていた。しかし、その内容はこれまで共有されてこなかったそうだ。

写真に向かって左から、RevCommで代表取締役を務める會田武史氏、同社広報の藤村侑加氏、カラダノート事業企画室で室長を務める松枝愛子氏、同社代表取締役の佐藤竜也氏

カラダノートの事業企画室で室長を務める松枝愛子氏によると「各社とも独自の営業ノウハウをお持ちですが、すべてのノウハウがカラダノートのユーザー層にマッチするわけではありません。実際に、子育て中や子育て経験のある女性が多い営業部署ではアポ取得率が高く、男性中心の営業部署では低いというケースもありました」と語る。

とはいえ、子育て経験者だけを集めた営業部署は簡単に作れないので、経験者の知見を効率よく共有するために今回のパートナーシップ締結に至ったそうだ。すでに2月からカラダノートのクライアントの電話営業にはMiiTelが導入されており、オペレーターの応対を可視化している。MiiTelで取得・解析したデータはカラダノートにも共有され、子育て支援についてさまざまな知見を持つ同社がクライアントの電話営業の運用を支援していくという。

「提携クライアントからの突然の電話に戸惑うユーザーさんもいることから、当初は各種サポートや電話営業を担当する部署を社内に新設するという考えもありました。しかし、さまざまな営業ノウハウを持っているクライアント各社の営業部署にMiiTelを導入し、そのデータを可視化・共有したほうがより効率的だという結論に至りました。子育て経験がない営業担当者が理解することが難しい子育て家庭の環境や悩みなどを、カラダノート側でサポートする体制を整えていきます」と松枝氏。営業電話は押し売りと感じるユーザーも多いが、「カラダノートでは保険商品をいきなり売り込むのではなく、悩みを解き明かすヒアリングスキルをMiiTelで可視化・向上させ、まずは子育てでさまざまな不安を抱え、孤独になりがちなユーザーとのエンゲージメント強化を図りたい」と続ける。

RevCommが開発・提供しているMiiTelとは、音声解析AIを搭載したIP電話で、会話の速度や声の高さ、抑揚の強さなどの解析のほか、音声認識によって通話内容をテキスト化し、キーワードで分類できるのが特徴。営業電話を終えたあと、解析されたデータをオペレーター自身が参照することで、セルフコーチングに役立つほか、これまでブラックボックス状態だった各オペレーターの営業手法などを手軽に共有できるようになる。すでに契約者は3000ユーザーを超えており、主にBtoBインサイドセールスで活用されているという。業界としては、保険、不動産などが多いそうだ。

RevCommで代表取締役を務める會田武史氏は「MiiTelの導入で働く女性を支援したい」と語る。「通話の解析はもちろんですが、いつ誰が誰と何を話したかをMiiTelがすべて記録してくれるので、在宅勤務でもあってもオフィスと同じように仕事ができる」ことを強調。會田氏は以前から「女性が活躍できる場所を作りたい」という想いがあり、今回のカラダノートとの提携により、まさに同氏の想いが現実になった。

TechCrunch Tokyo 2019スタートアップバトルのファイナル進出6社が決定

11月14日、15日に開催されるスタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo 2019」。その中の目玉企画は、なんといってもスタートアップバトル。設立3年未満、正式ローンチが1年未満のプロダクト/サービスを持つスタートアップ企業が競うピッチコンテストだ。今年は過去最多となる約130社の応募があり、最終的に20社がファイナリストに決定。そして初日のファーストラウンドで6社が勝ち残った。

ファーストラウンド通過の順位はまだ明かせないが、実は審査員の総得点では、同得点で3位が3社、さらに同得点で6位が3社、そして2位から9位まで3点差というかなり熾烈な戦いだった。まず審査員の総得点でファイナル進出を決める5社は、1位、2位、3位3社の計5社で確定、残すは会場投票の1社。その会場投票でファイナル進出を勝ち取ったのは、同得点で6位に並んでいた3社の中の1社だった。結果的には、上位6社が選ばれたので順当な結果ともいえる。以下、ファイナルラウンド進出の6社を、ファイナルラウンドのピッチ順に紹介する。

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Linc’well

Linc’wellがプロデュースする診療所であるクリニックフォア田町では、オンライン予約システムやAIを取り入れた問診システムの活用、院内のオペレーションを効率化する電子カルテの導入などを通じて、患者の体験向上とクリニックの経営効率化を目指す。患者は、診断は公式サイトからスマホやPCを通じてオンラインで予約できる。具体的には、希望する診断内容を選択した後にカレンダーから空いている時間帯をチェックして希望の日時を選べばいい。診察時間は15分単位で事前にスケジューリングしているため、具合の悪い人がいる場合などに多少のズレはあったとしても、長時間待たされることはほとんどない。診察後の会計はキャッシュレスに対応している。

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オーティファイ

AIを活用してソフトウェアテストを自動化するプラットフォームを開発。現在、開発サイクルを素早く回す「アジャイル開発」という手法が普及してきたが、その際に問題になるのがソフトウェアの検証作業だ。人手に頼ると時間が掛かりすぎ、早期リリースのボトルネックとなる。同社のサービスを利用すると、非エンジニアでも簡単にウェブアプリの検証作業を自動化できるほか、AIがアプリケーションコードの変更を監視し、検証シナリオの修正を自動で行うため、メンテナンスコストを大幅にカットできるとのこと。
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SE4

VRシミュレーターを使用し、通常では実現が難しい遠距離、もしくは通信遅延が発生するような環境での操作を可能にするロボット遠隔操作技術を開発。将来的には、AIとVRを組み合わせて地球外でのロボット主導産業の実現へ貢献することを目標とする。孫 泰蔵率いるMistletoe(ミスルトウ)から出資を受けている。

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RevComm

電話営業や顧客対応を可視化する音声解析AI搭載型クラウドIP電話サービス「MiiTel」(ミーテル)を提供。電話営業や電話での顧客対応の内容をAIがリアルタイムで解析することで、成約率を上げつつ、解約率と教育コストの低下を目指す。顧客管理システムとの連携も可能で、顧客名をクリックするだけで簡単に発信できるほか、着信時に顧客情報を自動表示するいった機能もある。電話での会話内容は顧客情報に紐付けてクラウド上に自動録音されるため、すぐにアクセスできる。一部を抜粋して共有することも可能だ。

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KAICO

昆虫のカイコでバイオ医薬品・ワクチンをどこよりも早く大量生産する技術を擁する。現代は世界中の人・物の移動が頻繁に行われており、疫病などが世界中に蔓延するのも一瞬。未知の疫病が発生した時には、人々は感染恐怖にさらされる。そのときの人々が願うのは、治療薬でありまた予防のワクチン。同社の生産プラットフォームは、ほかの方法よりいち早くワクチンを大量に生産可能で、人々を感染の恐怖から救える。

Basset

仮想通貨交換業者や行政機関向けに、ブロックチェーン取引の分析・監視ソリューションを開発するスタートアップ。具体的には、暗号資産のマネーロンダリングを防止するためのデータ分析サービスで、ブロックチェーンデータを分析することで資金の流れを追うプロダクトだ。BTC(ビットコイン)やETH(イーサリアム)をはじめ、金融庁のホワイトリストで指定された暗号資産のリスク検知・評価とマネーロンダリング対策に対応していく予定だ。

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ICC KYOTO 2019スタートアップ・カタパルトの優勝は保険適用の夜間診察クリニックのファストドクター

優勝はファストドクター(YouTubeのLIVE中継をキャプチャ)

9月2日~5日かけて京都で開催されているICCサミット KYOTO 2019。9月3日にはスタートアップ企業のピッチイベント「スタートアップ・カタパルト」が開催された。

ICC(Industry Co-Creation)サミットは、B Dash CampIVS(Infinity Ventures Summit)などと同様に、ベンチャーキャピタルや投資家、大企業に向けての重要な露出の機会となるスタートアップの祭典だ。ICCサミットは毎年2回開催されており、2019年は2月18日~21日の福岡に続き、京都は2回目となる。

ICCサミット KYOTO 2019のスタートアップ・カタパルトの本戦出場を決めたスタートアップ企業は以下の15社だ。最終審査で、6位はシルタス、5位はLinc’well、4位はRevComm、2位は2社あり、データグリッドとガラパゴス、1位はファストドクターという順位となった。

RevComm

2017年7月設立。AI搭載型クラウドIP電話「MiiTel」(ミーテル)のサービスを提供する。5月に開始されたB Dash Camp 2019 Spring in Sapporoのピッチコンテスト「Pitch Arena」で優勝を勝ち取ったスタートアップだ。

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With The World

2018年4月設立。モニター通信授業による少人数のディスカッションや交換留学によって、社会問題について世界の学生たちと解決策を提案・実施する機会を創り、次世代のリーダーを育成するサービスを提供する。

ファミワン

2015年6月設立。LINEを利用した妊活コンシェルジュサービス「ファミワン」を提供。チェックシートへ回答することで、必要なアドバイスを受けられるのが特徴。妊活の専門家に病院選びを相談することもできる(初回無料)。

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エナジード

2012年10月設立。中高生向けの学習教材「ENAGEED」を開発・提供。現在、同志社中学校や東京都立高島高等学校などの学校や学習塾で100校以上で実際に使われている。国内だけでなく、フィリピン・ガーナ・ボリビアでも展開。そのほか、企業向け人材育成ツール「ENAGEED for Biz」の開発も手がけている。

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オリジナルライフ

2015年4月設立。結婚準備の情報を集めたポータルサイト「WeddingNews」を運営。結婚式に向けたメイクやネイル、スタイリンのほか、ウェルカムボードや席札のデザイン、人気のウェディングケーキなど結婚式にまつわるさまざまな情報を集約。キャンペーンやクーポンなどのお得情報も掲載する。

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Elaly

2018年5月設立。家具の月額レンタルサービス「AirRoom」を運営。約20ブランドが販売する500〜600品目の家具を月額定額で利用できるサービス。ユーザーはそれらの家具を月額500円から借りることができ、1カ月単位で自由に家具の入れ替えられる。高い料金のものでも月額5000円程度で家具を使うことができる。

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データグリッド

2017年7月設立。GANと呼ばれる技術を活用した「アイドル生成AI」「全身モデル自動生成AI」などを開発・運営。アイドル生成AIでは、実在のアイドルの顔画像を学習させることによって、架空のアイドルの顔画像を自動生成するサービスで注目された。全身モデル自動生成AIの場合は、実在しない人物の全身画像を自動生成可能なので、アパレルや広告などの業界で活用が期待される。

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シルタス

2016年11月設立。スーパーのポイントカードを登録するだけで、購入した食材などの栄養素を解析してくれるサービス「SIRU+」(シルタス)を提供。をリリース。神戸市内のスーパーでの実証実験を経て、今年7月からはダイエーの都内2店舗でもサービスが試験導入されている。

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Linc’well

2018年4月設立。クリニック向けのSaaSを開発・運営。患者の体験向上、およびクリニックの経営管理効率化のためのサービスで、ウェブやLINEを使った診察予約、 事前のウェブ・iPad問診、決済などの機能を備える。電子カルテとの連携なども可能だ。患者・消費者向けオンラインプラットフォームや院内オペレーションを最適化するためのサービスも提供している。

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YACYBER

2015年6月設立。近くの農園や直売所を探せるメディア「YACYBER」を運営。位置情報を利用して、現在位置から10km以内の野菜の直売所を見つけ出せる。同社は、食育やレシピなどの情報を集めたメディア「やさコレ」も立ち上げている。

Eco-Pork

2017年11月設立。モバイル養豚経営支援システム「Porker」を開発・販売。スマートフォンなどのモバイル端末を用いて農場現場で発生するさまざまなデータを現場で入力することで、繁殖や肥育の状況把握から経営分析までを可能にするシステム。2018年9月から提供を開始しており、2019年3月現在で全国20農家、母豚規模で3万5000頭ぶんの農場で稼働中とのこと。同社はTechCrunch Japanが2018年11月に開催した「TechCrunch Tokyo 2018」のピッチイベント「スタートアップバトル」のファイナリストだ。

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ファストドクター

2016年7月設立。夜間・休日に特化した救急往診を手配できるサービス「ファストドクター」を運営。保険適用可能で提携医療機関の医師がユーザーの自宅まで出向いて診察してくれる。対応エリアは東京23区。料金は、成人3割負担の場合で診察料が4950円~、往診にかかる交通費は実費(1000円程度)となる。往診可能時間は、月~金曜は19時~翌6時、土曜は18時~翌6時、日曜は朝6時~翌朝6時。

ギバーテイクオール

2017年2月設立。住宅・不動産業界向けのサービスを開発・運営。2018年2月に、LINEを使って住宅アドバイザーに家づくりについて相談できるサービス「auka」(アウカ)事業を立ち上げ。aukaでは、工務店の選定や住宅ローンを含む資金計画などもサポートしてくれる。

ガラパゴス

2009年3月設立。デザイナー向けAI「AIR Design」を開発・運営。AIを活用することで高品質なクリエイティブが短期間で制作でき、A/Bテスト実施を前提として計画からレポーティングまでワンストップで提供できる。

Tsunagu.AI

2017年4月設立。ウェブサイト開発プロセスをAI化して開発効率を高める「FRONT-END.AI」のクローズドベータ版をリリース。FRONT-END.AIは、複数のディープラーニングのモデルを独自に結合し、フロントエンド開発に特化した学習を行ったAIサービス。ページ全体のデザインカンプとウェブ用素材をアップロードするだけで、HTMLの構造および、デザイン要素の分析・自動でコーディングが可能。

資金に加えて採用も支援——ビズリーチがファンド開始、投資第1号は電話営業解析AIのRevComm

転職サイト「ビズリーチ」をはじめとした人材サービスを展開するビズリーチは10月11日、創業期のスタートアップを資金面・採用面から支援する「ビズリーチ 創業者ファンド(以下、創業者ファンド)」の立ち上げを発表した。この“ファンド”は投資組合として設立されたものではなく、同社の事業として企業へ直接投資する形。また投資第1号案件として、セールステック領域でAIを活用したサービスを提供するRevComm(レブコム)へ出資したことも明らかになった。

創業期の原体験をスタートアップコミュニティに還元

2017年版の中小企業白書によれば、起業家が創業初期・成長初期の課題として第1に挙げるのは、資金調達に関するもの。また、人材採用に関する課題も大きくのしかかっているという。

ビズリーチは、2009年の創業以来、転職サイトをはじめとしたサービスでスタートアップを含む企業の採用活動をサポートしてきた一方、自らもスタートアップとして人材採用に苦心した経験を持つ。これらの経験を創業期・成長初期のスタートアップ支援に生かすべく、資金と採用の両面をサポートするために立ち上げられたのが創業者ファンドだ。

ビズリーチ代表取締役社長の南壮一郎氏は「創業10年目の節目に、これまでを振り返る機会も多いのだが、正直、一番苦しかったことといえば、最初はひとりぼっちのところから、経営チームを組成するところだった。勉強会に参加したり、知り合いのつてをたどったりして、何とか人を探すところから始まった」と語る。

その後、創業期の原体験を元に何かスタートアップコミュニティに還元できないか、と考えるようになった南氏。海外で、投資家も含めたさまざまな人に会う機会が増えて感じたのは「シリコンバレーのVCの投資実績は、金銭だけでなく、補完的価値をどれだけ提供できて、出資先とどう向き合うかで見られている」ということだった。

「彼らはファンドの中に、創業期の経営者チーム組成のための採用支援を行う、プロのリクルーターを従業員として在籍させている。自分が創業当時なら受けたかった支援だ」(南氏)

こうした金銭面だけでない、事業への貢献・支援が世界中、特に米国のVCで広がっている、と南氏は言う。だが日本では、スタートアップと向き合い、事業にも踏み込んだ積極的なサポートはまだまだ浸透していない。そこで「自らの本業を、スタートアップ支援に生かせるのでは」と考え始めたのが、2017年秋のことだった。

「自分の創業期と違い、ビズリーチやキャリトレといった、企業からの声かけを待っている人材が何十万人も登録しているプラットフォームが、今はある。それに創業者としての考え方や、人材の採用テクニックも知っている。プラットフォームと採用活動のノウハウとを、資金と合わせて“投資”することができるのではないかと考え、1年ぐらい前から構想していた」(南氏)

そして構想だけではなく何らかの形で実現したい、そのためにプロトタイプとなるケースで実験できないか、と思っていた南氏に、ちょうど起業についての相談を持ちかけたのが、学生時代からの知り合いで、投資第1号案件となるRevCommを創業したばかりの會田武史氏だったそうだ。

會田氏の相談を受けて、南氏はまず「テクノロジードリブンのプロダクトを出そうとしているのに、エンジニアがいない。このままでは事業が立ち上がらないのではないか」と感じたという。そこで採用ノウハウと自社サービスを資金とともに提供する、というファンドの構想を會田氏に伝え、「モデルケースとしてサポートしていいなら、出資も含めて支援する」と申し入れた。

それからは「資金+付加価値を提供する、新しい日本のモデルケースとなる投資事業を一緒につくってきた」(南氏)というビズリーチとRevComm。ビズリーチの支援もあって、RevCommは3人のエンジニアを創業チームとして採用することに成功。2月には、プロダクト「MiiTel(ミーテル)」のプロトタイプを、6月にはクローズドベータ版をリリースした。

電話営業の可視化で生産性を向上させるMiiTel

RevCommは2017年7月、企業の生産性向上をフィロソフィーに掲げ、會田氏により設立された。會田氏は三菱商事の出身。商社マンとしていろいろな国の人と仕事をする中で、「日本の生産性はG7各国のうち最下位とされているが、果たしてこれは本当なのか」と疑問を持つに至る。「日本人のレベルは低くない。生産性=効率×能率としたら、日本人は教育水準も高く、能率は担保されているはず。では効率はどうか、と考えたときに、高いコミュニケーションコストに行き当たる」(會田氏)

「日本では『何を言ったか』ではなく『誰が誰に言ったか』『どう言ったか』に焦点が当たるようなコミュニケーションが多い。テクノロジーの力でコミュニケーションのあり方を変えたい」というのが會田氏の考えだ。

セールスやマーケティング畑が長い會田氏は、「マーケティングの世界は、かなりデータドリブンになってきているが、セールスはいまだに属人的。現状では気合いと根性で、とにかく数打ちゃ当たるという労働集約的な世界だからこそ、テクノロジーの力で生産性は大きく向上できる」と話す。

特に電話営業の分野では、営業と顧客が会話した内容が他の人には可視化されず、それが効率よく成果につながるものかどうかを知るすべがなく「ブラックボックス化」しやすい。そこで、AIによる音声解析を用いて電話営業を可視化しよう、と開発されたのが、AI搭載型クラウドIP電話サービスのMiiTelだ。

MiiTelはSalesforceと連携したIP電話で、営業トークの内容を録音し、ログを取得。AIでトークの音声を分析し、担当者自らが課題を確認してセルフコーチングできる。

會田氏も、自社プロダクトを営業する際にMiiTelを使ってみたところ、「話す・聞くの割合では、話す時間が長く、相手の話の途中で話をかぶせてしまう“発話かぶり”も多かった」とのこと。クセが可視化されたことで、意識して改善したところ、アポイント成立率や成約率が実際に向上したそうだ。「これなら、営業担当者自身のエンゲージメントも上がり、生産性が向上すると実感した」と會田氏は話している。

2月のプロトタイプからビズリーチでもテストを兼ねて活用されていたMiiTelは、6月リリースのクローズドベータ版がすでに有料で30社に利用されており、本日、正式版がリリースとなる。利用料金は月額4980円/ID。10 ID以下の場合は導入費用が8万9000円、11 ID以上では導入費は無料だ。

「5年後には、MiiTelの1万社への導入を目指す」という會田氏は、「生産性を向上するサービスを提供することで、(経営分析に必要な)ビッグデータを集め、将来的には経営判断を行うAIプラットフォームを開発したい」と話している。

資金+側面の支援で「アイデア」を「事業立ち上げ」へつなぐ

創業者ファンドでは「経営チーム組成のための採用ノウハウ・テクニックの提供」「転職サイトのビズリーチ、キャリトレのサービス1年間無償提供」「資金援助+調達ノウハウ、投資家ネットワークの紹介」「経営チームによるメンタリング」「プロダクトのプロトタイプのテスト利用とフィードバック」を出資先企業への支援内容としている。

対象企業は、企業の生産性向上をテクノロジーで促すSaaS型のB2B事業や、AI、ブロックチェーンなどの最新技術を活用した事業を営むスタートアップ。南氏は「ビズリーチの『働き方、経営の未来を支える』という理念に沿った事業を行うシード期の企業を対象とする。資金の他に採用ノウハウ・テクニックや自社サービスを“投資”することで、創業期の経営チーム組成を支援していく」と述べる。

會田氏は創業者ファンドについて、こう語る。「創業期は金も時間も足りない中で、マインドセットやスキルセットが合致したメンバー選びが重要になる。だが、ふつうに採用サービスを利用するとお金がかかる。ビズリーチのダイレクトリクルーティング機能を使い、『カジュアルでいいので会ってみませんか』と声をかけられたのは、非常に良かった」

南氏によれば、會田氏は「ビズリーチの登録データを何人も見て、数百人という相手に会っている」という。「創業前の企業でも興味を持つ人が、これだけいるのかと驚いた。スタートアップがキャリア選択の可能性のひとつになった。起業家もパッションさえあれば、データベースがあって、そこを探せば人材が見つかる、という状況になっている」(南氏)

南氏は「アイデアだけはある、というのが創業者でよくあるパターン。事業立ち上げまで支援できれば、それが自分が恩恵を受けてきた、スタートアップコミュニティへの恩返しになるのではないか」と考えている。

「スタートアップはやっぱり人。創業期は特にそうだ。自分の創業した時には人材のデータベースがなかったが、データベースからスタートアップ採用人材の情報が集められるというのは、衝撃的。これは起業家の諸先輩方を含め、みんなでつくってきたエコシステムだ。採用候補者が話を聞いてくれる、努力すれば見つかる、というところまでは来ている。創業者ファンドの支援によって、事業立ち上げの確度も上げていきたい」(南氏)

写真左から:ビズリーチ代表取締役社長 南壮一郎氏、RevComm代表取締役 會田武史氏