芝刈りロボットのRobinが、専用自動ドアを発売

遡って2016年、TechCrunchのスタートアップ・バトルフィールドの壇上に登ったRobinは、単に売るだけではないサービスとしてのロボティック芝刈機の可能性をデモした。彼らは今も元気に活動中で、言われてみれば実に明白なアイデアを導入して特許も取得した。それは、前庭と裏庭の間を芝刈機が行き来できるようにする自動ドアだ。

裏庭を木製や金網の塀で前庭と仕切って、犬や子供を安心して遊ばせされるようにしておくのはよく見られる光景だ。しかし、幸運にもロボット芝刈機を持っている人にとっては、双方に持ち運ぶの面倒だ。そもそも持ち上げたり、操作したりしなくすむことが本質だったのではなかろうか?

Justin CrandallとRobinのチームがたどり着いたアイデアは単純明快、芝刈機だけを通すサイズの自動ドアだ。

「テキサスでは90%以上の家の裏庭に塀があり、シャーロットやクリーブランドのような都会でも25~30%に上るので、この種のテクノロジーは必須だ」とCrandallが私に言った。「通常ロボットは防犯上裏庭で保管する。前庭の芝を刈る時になると、われわれが塀に設置したドアに向かって進む。ロボットがドアに近づくと、地面に置いたセンサーを通過する。センサーがドアを解錠し、ロボット芝刈機を通す。

単純? そのとおり。ワイヤレスやIRセンサーではなく、磁気センサーを使っているのは誤検出を避けるためだ。価格は100~150ドルで、ロボットやベースをもう1台買うよりずっと安いし、ロボットを持ち運ばなくてすむことに3回か4回気づくころには元がとれるだろう。

特許をとっているが、ライバル(たとえば最近芝刈機を発売したiRobot)が(特許に触れない程度に)違うものを作る可能性はもちろんある。

Robinはいくつかの州とフランチャイズ(当初から計画していた)に販売範囲を拡大し、この全て込みの「サービスとしてのロボット」方式が、自分で買って所有するよりもよいという立場を貫いている。広い庭があって、芝刈りしてくれる若者がいない人は、住んでいる地域でRobinが利用できるかどうか調べてはいかが?

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

クラウド時代のスマートフォンを再発明するNextbit、Kickstarterで初の端末「Robin」を販売開始

Nextbitの「Robin」
Nextbitの「Robin」

Nextbitの「Robin」

iPhoneが世に出たのは2007年。Android端末の登場は2008年。そこから7〜8年が過ぎたが、その間に僕たちを取り巻くインフラ環境は大きく変化したのではないだろうか。

僕がその代表と思うのが「クラウド」だ。Googleのエリック・シュミットが「Cloud Computing」という表現をしたのは2006年で(AWSが正式にリリースされたのもこのタイミングだ)、Androidが登場した2008年時点でもクラウドの利用は今と比べるとまだまだという状態。個人向けのサービスになるとなおさらの話で、DorpboxやEvernoteが登場したのだって2008年になってから。無線LANの環境だって変化した。オフィスや自宅内などは別として、商業施設や店舗の公衆無線LANも増えたし、2009年からは新幹線の中でだって利用できるようになった。

つまり何が言いたいかというと、今のスマートフォンはクラウドとともに成長してきたのであって、“クラウドありき”で設計されたモノではないということだ。

今回紹介する米国のスタートアップ・Nextbitは、クラウドありきの今、スマートフォンを再発明するという。同社はクラウドファンディングサイトKickstarterにてAndroidベースのSIMフリー端末「Robin」を販売するプロジェクトを開始した。早期購入者は299ドル(すでに完売)からとなっており、2016年1月にもユーザーの手元に届く予定だ。

RobinはプロセッサにSnapdragon 808を搭載。メモリは内蔵32Gバイト(オンラインは100Gバイト)、ディスプレイは5.2インチのフルHD、リア13メガピクセル、フロント5メガピクセルのカメラを搭載。指紋認証も備える。製造はfoxconnが担当する。ちなみにこのRobinという名称はコミックや映画でおなじみの「バットマン」に登場するバットマンの相棒の「ロビン」から取ったのだそう。

RobinはAndroidベースのスマートフォンだが、その最大の特徴は「クラウドを使って内部メモリだけでなく、無限のストレージを提供する」というものだ。どういうことかというと、インストールしても使わないアプリなどを設定ごと自動的にクラウドにバックアップしていくのだ。

アプリをバックアップした場合、そのアプリのアイコンはグレーで表示される(僕が見たのはデモ版なのでその表現については変更があるかも知れない)。再びそのアプリを利用したければ、そのアイコンをタップすればいい。瞬時に再ダウンロードが行われ、ユーザーは最後に使用したのと同じ状態で利用を再開できるのだという。写真も同様に自動バックアップされ、普段は端末で見るのには問題ないサイズに圧縮されたものだけがローカルに残るといった具合だ。もちろん使用していなくても必ずローカルに残しておきたいアプリなどは、設定で任意に残すこともできる。

前述のDropboxやEvernote、最近ではGoogle フォトのようなプロダクトはあるが、Nextbitがすごいと思うところは、アプリのレイヤーでクラウドを扱うのではなく、OSのレイヤーで扱っていることだ。アプリのようにいちいち立ち上げなくても、ネットワーク環境にさえ繋がっていれば、クラウドを使ったほぼ無限のストレージに最適化してくれるのだ。バックアップ機能も備えており、端末を変更しても、Bluetoothのペアリングのような細かな設定までクラウド上からダウンロードしてすぐに利用できるのだという。

Nextbit CEOのTom Moss氏

Nextbit CEOのTom Moss氏

NextbitのCEOであるTom Moss氏は2007年にGoogleに入社。同年からAndroidのプロジェクトに参画。2008年にはアジアにおけるAndroidのおもにマーケティング領域を担当。日本に常駐し、キャリアやメーカーとの交渉を担当したとのことで、日本市場におけるAndroidの「育ての親」とも言うべき人物。

Moss氏は2010年夏には同社を退社。3LMなるスタートアップを立ち上げたが同社をMotorola Mobilityに売却。モトローラがGoogle傘下となったことから、Googleに出戻りするかたちとなった。その後Google、3LM両社でMoss氏を支えたエンジニアのMike Chang氏とともにNextbitを創業。さらにHTCでNexus Oneをはじめとした端末のデザインを担当したデザイナーのScott Croyle氏も同社に参画。Robinのデザインは同氏が担当している。

「クラウドは基本的に追加するもので、OSレベルで使われていなかった。そのためユーザーのストレージは尽きてしまう。NextbitのプロダクトはまさにクラウドOS。もちろんネットワークがなくても使えるものだ。これを完全に実現するには、(ソフトだけでなく)ハードウェアから作らなければならなかった」——Moss氏は自社のプロダクトについてこのように語る。

まずはKickstarter限定での販売となるし、その反応次第で戦略は変えていくということだが、今後は北米、イギリス、フランス、ドイツ、日本などの市場をターゲットにしたいという。「かつて日本にAndroidを紹介したからには日本でも成功したい。Robinのデザイン面でも日本のユーザーは意識している。魂のあるプロダクトを作りたかった」(Moss氏)

Moss氏は今後1年に1台ペースで端末をリリースしたいと語る。端末の価格にもこだわるという。「世界では、端末に700ドル以上払うならiPhoneを買うという人がほとんど。中にはSamsungを選ぶ人もいるが、iPhoneはブランドがあってAndroidにはまだそれがないという状況。だがハイスペックなAndroid端末を欲しがるユーザーはいるし、これからはそれを300〜400ドル程度で売る必要があると思う」(Moss氏)。しかしこの価格設定では、人も多ければ制作のプロセスも多い大手メーカーでは利益を出しにくいため販売できないはずだ。かといって中国のブランドが日本や欧米で認められるのは難しい。「だからこそ(Nextbitのような)新しいメーカーにはチャンスがある」という。

「『ちょっと違うね』じゃ面白くない。小さいことをやるんじゃなくて、新しいことをしたい。我々はハードもソフトも今までと全く違うものを作っていく」(Moss氏)