Trifoが新ロボット掃除機を発表、約16億円の調達も

ちょうど2年前、PerceptIn(パーセプティン)はシリーズAで800万ドル(約8億7000万円)を調達したと発表した。200万ドル(約2億2000万円)のシードラウンドに続いての資金調達で、このスタートアップは車からロボット掃除機まで、幅広い製品のためのセンサーを披露することが明かされた。

その間、同社はかなり忙しかった。さらに会社名も変更している。PerceptInは今ではTrifo(トリフォ)という、覚えやすいわけではないがパンチの効いた名称となった。そして米国時間1月2日の発表によれば、数日後のCESで同社は3機種目となる新型ロボット掃除機「Lucy」(ルーシー)を正式発表する予定だ。

Lucyの登場に伴い、TrifoはSamsung Venturesが支援するスタートアップからさらに大きな資金を調達した。TrifoはシリーズBで1500万ドル(約16億円)を調達し、x総額は2600万ドル(約28億円)となった。今回のラウンドにはYidu Cloud、Tsinghua AI Fund、Matrix Partnersからの出資も含まれており、家庭用ロボット分野でより多くのハードウェアとソフトウェアソリューションを投入することや、雇用の拡大、アメリカとヨーロッパ市場への進出に焦点を当てている。

今のところ、ロボット掃除機がTrifoの主要な一般向け製品のようだ。これは競争の厳しい市場であり、従来は1社、iRobotが支配していた。しかし現在は、大小さまざまなプレーヤーがこれに対抗しようとしている。

Lucyを特徴づけているのは2台のカメラで、これはプライバシーを考慮すると利点にも欠点にもなりうる。ペアのカメラは1080pのカラー画像と深度検知を組み合わせて、自宅の監視と明暗環境でのマッピングを可能にする。ロボットはあらかじめ定義されたルートで自宅を「パトロール」するような動作もできる。

Lucyはまた、1インチほどの物体も検知できる障害物回避機能や、部屋ごとの掃除機能、満充電時に最大2時間の掃除が可能な5,200mAhのバッテリーを内蔵している。価格は799ドル(約8万7000円)で、iRobotの製品と同価格帯だ。製品は第1四半期(1月〜3月)のどこかで発売される予定となっている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

深海調査のための自動運転深海艇を運用するTerradepthが約8.8億円を調達、創業者はNavy SEALs出身

海洋は、まだその多くが探検されていない。だからそこには、大量の貴重な情報が眠っていることだろう。海洋、中でも深海は、その地図の作成やデータの収集に、機器の操縦をはじめとして多くの人手を要し、費用が膨大なので、短期的な調査しか行われていない。

しかしテキサス州オースチンで元米海軍特殊部隊のNavy SEALs(ネイビーシールズ)にいた二人が立ち上げたTerradepth(テラデプス)は、自動運転の潜水艇を使ってこの状況を変えようとしている。それを適切な規模の船隊として展開すれば、深海に関する情報をサービスとして提供できるだろう。

同社は、ストレージのハードウェアを作っているSeagate Technology(シーゲイト・テクノロジー)がリードするラウンドで、800万ドル(約8億8000万円)を調達した。同社はこの資金で、来年の夏には同社が持つ技術のデモンストレーションを実際の海域で行えるだろう。その後同社は、さらに規模を広げて潜水艇をネットワークでつなぎ、「Autonomous Hybrid Vehicles」、またはAxVと呼ぶ自動運転水中ロボットの船隊を運用するつもりだ。

同社の技術により潜水艇は自動運転で航行するため低コストで大規模運用可能で、そのデータは、元データや同社の機械学習システムが分析したデータ、あるいはクラウド上のサードパーティが分析したデータとして獲得あるいは提供できるとTerradepthは説明する。また彼らは沖合にある機器装置やリソース向けにマルチスペクトル画像や、監視データ、予報予測サービスなどを提供していきたいとしている。

Terradepthのチームには、共同創業者のJoe Wolfel(ジョー・ウェルフェル)氏とJudson Kauffman(ジャドソン・カウフマン)氏のほかに、ソフトウェアやハードウェア、それにロボティクスの専門技術者もいる。彼らの潜水艇は深海潜航と海面航行の両方が可能になっており、深海機と海面機が適宜コミュニケーションを行う。両方を同時に充電でき、集めたデータを人工衛星に送り、さらにデータセンターや顧客に中継できる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

デリバリーロボが地図なしで配達先のドアを自力で見つける方法

MITの研究者が開発した新しい行路発見方法は、さまざまな業界で客先まで物を届けなければならないロボット、いわゆるデリバリーロボットにとても役に立つ。彼らが考案したのは、前もって地図が与えられていなくてもロボットが客先の入り口のドアを見つける方法だ。

今ある自走デリバリーロボットの多くは、Starshipが開発してその後Postmatesなど多くの企業が採用した、車輪付きクーラーボックスタイプも含めて、顧客が外の路上に立っていなければならない。しかし未来のデリバリーロボットが自力でドアまで辿り着くためには、人間の配達員と同じく詳細な地図的能力(マッピング能力)だけが問題ではない。

MIT Newsによると、正確に客先のドアまで行けるためにご近所全体のマッピングができる能力は、それを全国レベルあるいは全世界レベルで実現しようとすると非常に難しい。それは一般的に難しいだけでなく、個々のユーザー企業の特殊性に合わせたマッピング能力ともなると桁違いに難しい。そこで研究者チームは詳細なマッピング方式を諦め、ロボットが現場で周囲の情報を処理してドアの場所を見つける方法を考えた。

これは、SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)と呼ばれる方法の変形だ。MITのチームはちょっとした工夫により、ロボットがまわりの物を見つけてそれにラベルを付けていくセマンティックマップではなく、「前進するコスト」のマップというものを考案した。それは、訓練用の地図から得られたデータを使ってロボットが自分の身の回りのヒートマップを作る。そしてその色分けマップの中に「いちばん正面ドアらしいもの」を見つけ、そこへの最も効率的な経路を割り出す。

私たち人間も、初めて訪れる家では「家の正面ドアとはこんな形をしていて壁のどこそこにあるものだ」という過去の知識に基づいて入り口のドアの所在を判断する。MITのデリバリーロボットは、それと似たことをする。それはどちらも思考力を使わない直感的な判断だ。

ロボットが既存の地図に頼らずにAI的な能力で自分の周囲の環境を判断できることには、今後いろんなユースケースがありうる。でも商用のユースケースとして今のところいちばん需要が大きいのは、デリバリーロボットだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

MITのブロック型ロボットは相互通信によって集団行動

MITのComputer Science and Artificial Intelligence Laboratory(コンピューターサイエンスと人工知能研究所、 SAIL)が考案したこのキューブ状のロボットは、自力で移動し、お互いとコミュニケーションして協調しながら自分たちを何らかの構造物へ組み立てる。その振る舞いをMITの研究者たちは蜂の巣作りみたいだと述べた。ビデオを見るとその様子がよく分かる。


このキューブ状のロボットは平らな面の上を転がったり、お互いの上や向こう側に行ったり、短い距離をジャンプしたりする。そして最近の改良で簡単なコミュニケーションができるようになった。固有のバーコードを自分のIDとして持っているので、互いに個体を同定できる。16のブロックが自分のコミュニケーションシステムを使い、自力で動き回って仕事をする。主な仕事はさまざまな形状を作ることだが、矢印や光線に従うこともできる。

今の彼らにできることはごく限られているが、研究者たちが夢見ているのは、このような自己組み立て型ロボットが、災害時などに自力で橋や傾斜路や階段などになってくれることだ。それにもちろん、もっと世俗的なアプリケーション、例えばゲームなどに応用しても面白いと彼らは感じている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Mistyがプログラム可能な教育用ロボを支援者に出荷開始

CESで教育用ロボットを開発するSphero(スフィロ)のスピンオフとなるMisty(ミスティ)を見た時には、プログラム可能なロボットことMisty IIが4月に発売される予定だった。このスタートアップは米国時間9月4日の朝、数週間のうちに500人ほどのクラウドファンディング支援者に、ロボットを出荷すると発表した。数カ月遅れているが、ロボットのスタートアップにはよくあることだ。

以前の記事でも書いたように、この会社の野心的な計画にはかなり長い道のりがある。彼らは昨年、モジュール式のハンドメイドのMisty Iからスタートした。Misty IIもプロダクトというよりはプラットフォームで、開発者にさまざまなロボットタスクを創作する場所を提供することを目的としている。

2つの初期モデルがすでに少数の開発者に配布されており、彼らは土地の調査、環境モニタリング、老人介護、自閉症の治療など、この優秀な小さなロボットにさまざまな機能を持たせはじめている。さらに、ロボットに搭載されているさまざまな技術(移動や顔認識、プログラム可能なパーソナリティなど)を活用することで、さまざまな用途が期待できる。

「Misty IIをクラウドファンディングの支援者に提供することは、Mistyを今年中に市場投入するための準備という点で、会社にとっては大きなマイルストーンだ」と、創設者のIan Bernstein(イワン・バーンスタイン)氏は述べている。「我々の支援者は、パーソナルロボットが我々の生活の中で現実のものになるというビジョンに投資している。我々は何百人もの開発者がMistyに命を吹き込む様子に、とても興奮している」。

500人の開発者は最初の一歩だが、この製品に関心があることは確かだ。同社は今後も2399ドル(約26万円)でロボットの予約注文を受け付けており、年内には本格的な市場投入を予定している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Amazonがオハイオにロボット・フルフィルメントセンターを開設へ

米国時間7月22日の朝、Amazon(アマゾン)はロボットを利用したフルフィルメントセンターをオハイオ州に開設すると発表した。70万平方フィート(約6万5000平方m)以上の面積を誇る2つの倉庫は、州北部のAkron(アクロン)とRossford(ロスフォード)にそれぞれ設置される。

これらのフルフィルメントセンターはAmazonの他の配送センターと同じように、人間の従業員と配送ロボットによるコラボレーションを提供する。その様子は、最近訪れたStaten Island(スタテンアイランド)のロケーションの記事から参照できる。

Amazonはオートメーションが人の仕事を奪うことについての批判にもなれてきており、今回は2つのスペースが2500以上のフルタイムジョブを生み出すと主張している。また昨年のBernie Sanders(バーニー・サンダース)上院議員からの批判に応え、これらの仕事では最低賃金15ドルが支給される。

この新しい拠点は、米国内での1日配送を推奨しているAmazonにとっても役立つはずだ。すでに目標達成のために負担を強いられているとされる従業員が、最終的にどれだけの負荷を負うことになるのかについての懸念は大きい。

今回の2500人の追加雇用により、中西部におけるAmazonの合計従業員業員は8500人となる。なお、2つの倉庫の具体的なスケジュールに関する情報はまだない。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Amazon Alexa対応の車輪付き家庭用ロボ、開発に本腰

Bloomberg(ブルームバーグ)は4月に、Amazonが「ベスタ」(Vesta)というコードネームで家庭用ロボットを開発中と報じたが、今度はそのプロジェクトが継続中と報じている。しかもその記事にはロボットの具体的な詳細もあり、実はAlexaをサポートしていて車輪で動き回るそうだ。友人の天才的イラストレーターに想像図を描いてもらったら、上図のようになった。

「Vestaは今年リリースされるらしいが、まだ大量生産の準備はできていない」とブルームバーグの情報筋は言っている。どんなプロジェクトでも途中で棚上げにされることはあるが、でも同社はこのところ技術者など開発スタッフを増員してリリースを目指しているそうだ。

現在のプロトタイプでは、ロボット本体の高さは人間の腰の高さぐらいで、センサーを入力源とするコンピュータービジョン技術が介助する。ブルームバーグの記事に書かれている社内デモによると、Alexaにありがとうと言うとユーザーのところへやってくる。その機能はEchoデバイスとほとんど同じのようで、呼びかけに応える、タイマー、音楽の再生などができる。

Vestaが実際にローンチした場合の外見は、Kuriが良いヒントになりそうだ。この、Bosch(ボッシュ)の社内的スタートアップであるMayfield Robotics(メイフィールド・ロボティクス)が開発したロボットは昨年閉鎖され、市場には出なかった。Kuriには、ビデオや写真の撮影、ゲームプレイ、家族との対話などができた。

またAmazonはさらに、Sonosに対抗する高品質のEchoスピーカーを来年出すらしい。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アマゾンが20万台以上のロボットを世界に展開中

Amazon(アマゾン)はロボットに真剣だ。他のほとんどの企業にとっては縁の遠いこの技術だが、アマゾンはすでにロボットシステムを一斉に導入している。ロボティクス部門でバイスプレジデントを務めるBrad Porter氏は、アマゾンがすでに20万台のロボットを世界に展開していると、ラスベガスで開催されたre:MARSのカンファレンスにて発表した。

今年はじめ、アマゾンは自社製、あるいは他社製の10万台以上のロボットシステムを約25カ所の米国内の配送センターに展開したと発表した。アマゾンのステートン・アイランドの配送センターを最近訪れた際には、Kivaベースのロボットが中心的な役割をはたしていた。

そして米国時間6月5日、アマゾンはXanthusとPegasusという新型ロボットを発表した。イベントでの発表によれば、米国の配送センターでは800台のPegasusがすでに展開されているという。

Porter氏は、失業に関する質問を事前に防ごうとした。「これらのロボットは拠点にて重要な役割を担いますが、すべての作業を自動化しているわけではありません。同時に、30万人以上のフルタイムジョブを世界中で追加しています」

アマゾンによれば、同社のロボット・パレッタイザーは20億台以上のパレットを積み込んだという。しかし、Prime会員の翌日配送の標準化に向けて、同社がさらに前進しようとしているのは明らかだ。このような動きは、現在労働環境によってストレスにさらされている倉庫従業員に影響することは間違いない。この手の仕事についてネガティブな報道が登場する中、アマゾンはロボットによってその負担を軽くしようとしているようだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ロボットも人間のように偏見を持つ、防ぎ方も人間集団と同じ

カーディフ大学とMITの研究者たちによる、おもしろい研究によれば、複数のロボットが一緒に仕事をするとき、偏見が生じることがある。チームワークをシミュレーションするロボットたちが、他のチームのロボットに対する偏見を表現した。研究者たちによると、“自動機械のグループが、お互いの振る舞いを単純に認識し、コピーし、学習することによって偏見が現れる”。

その理論をテストするために、研究者たちは、シミュレーターの中で簡単なゲームをした。そのゲームでは、評判や寄付の戦略に基づいて、外部の集団や、ロボットの個人的グループに寄付を行なう。そして、内部への寄付と外部への寄付を比較して、偏見のレベルを調べる。そのシミュレーションを動かすと、徐々に、外部に対する偏見が増えていった。

研究者たちは、シミュレーターの中で偏見を成長させることが、容易であることに気づいた。だからそれは、ロボットだけによる何かの自動運転をするときは、注意しなければならない問題だ。

カーディフ大学のRoger Whitaker教授は、こう述べている: “われわれのシミュレーションは、偏見が自然の強い力であり、それは進化して、容易に、仮想ポピュレーションの中で報奨により強化される。そしてそれにより、他者との幅広い接続性が損なわれる。偏見のあるグループから守ろうとして別のグループが、意図せずして偏見的になることもある。その結果、その仮想ポピュレーションに分裂が生ずる。偏見のそのような拡散は、逆転が困難である。差別を認識して他をコピーできる自動機械が、将来的に、人間の中に見受けられるような偏見的な現象に影響されてしまうことも、ありえる”。

おもしろいことに、“ひとつのポピュレーションの中に、はっきりとした違いのあるサブポピュレーションが多ければ多いほど”、偏見は減少する。これは、人間の偏見に関しても考えるべき、重要なポイントだ。

“サブポピュレーションの数がとても多ければ、偏見のないグループが共同して、搾取もいじめもされずに協力しあえる。これはまた、マイノリティーとしてのステータスを弱め、偏見の影響を受けにくくする。しかしながらこれは、成員が、自分たちのグループの外部との対話に向かう、より高い気質を持っている情況を必要とする”、とWhitaker教授は述べている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

この2足歩行ロボットは頭がドローンでできている

2足ロボットを作るのは難しい。常に絶妙なバランスを保っている必要があり、驚くべき技をこなすATLASのようなロボットでさえ、時には転んでその電子の頭を強打してしまう。しかし、もしその頭がクワッドコプターならどうだろう?

東京大学で作られた意欲的ロボット、Aerial-Bipedはまさにそれだ。ロボットは完全な二本足ではないが、真に2本足で歩くための面倒な問題を回避しつつ、2足歩行ロボットのように行動する。歩く真似をしながら実際には歩かない操り人形の足を想像するとよいかもしれない。

目標は、2足歩行のように見せながら動的な移動能力をもつ、新しいビジュアル体験をあたえるロボットを作ることだ。このロボットはフラミンゴのような非常に細い足を使いながらも、移動能力を損なうことなく歩くことができる。このアプローチによって、専門知識がなくても二足ロボットの歩行を演出できるようになる。しかも、通常の二足歩行ロボットよりずっと安価に作れる、と研究チームはIEEEに語った。

このロボットは、 Balluという、浮遊する頭部とヒョロ長い足をもつ異様な外見の風船ロボットに似ている。もっともらしい歩き方は機械学習を通じて会得し、その結果実際には飛行システムでありながら、リアルな歩き方の印象を与えている。気の利いた小さなプロジェクトだが、巨大な2足歩行ロボットが倒れてくると危険なテーマパークのような環境で面白い使い方ができそうだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

この陽気なロボットは、自閉症児のセラピーに一役買う

LuxAIが作ったQTrobotという名の小さなロボットが、セラピストや両親と自閉症の子供たちとの橋渡しになるかもしれない。液晶画面の顔とロボティックアームを備えたロボットは、人との触れ合いを恐れる子供たちにとって居心地の良いセラピー環境を作ることができる。

プロジェクトの主体はルクセンブルグ大学のスピンオフ、LuxAIだ。彼らは今月末にRO-MAN 2018で成果を発表する。

「このロボットは、人間セラピストとロボットと子供の間に三角形のつながりを生むことができる」と共同ファウンダーのAida NazarikhorramがIEEEに伝えた。「子供は教師やセラピストとすぐに打ち解け、ロボットについて質問したりその行動に関するフィードバックをくれる」。

ロボットは自閉症児の不安を緩和し、「ハンドフラッピング」など多くの行動がロボットの存在によって減少したところを研究者らは観察している。

ロボットはアプリやタブレットよりも良い結果を生む、という点も興味深い。ロボットが具現的であることから、子供の注意を引き、iPadとアプリの組み合わせと比べて学習効果が高いと研究者らは考えている。言い換えると、子供達はタブレットで遊び、ロボットとは勉強する。

ロボットは完全自立で容易にプログラムが可能。一回の充電で数時間動作可能で3DカメラとCPUを内蔵している。

ロボットはセラピーの中心になるのではなく、セラピストと患者の接触を補助する役割を担う。これは優れた(かつ気の利いた)小さなテクノロジーが生んだ優れた研究成果であることは間違いない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Amazonで1600ドルの戦闘ロボットZeusはユーザー同士の世界ファイティング大会を開催

1月のCESではPilot Labsの戦闘ロボットZeusがおもしろかった。その理由は、この動き(下図)を見れば分かる:

誰も期待しなかったみんなの予想に反して、このロボットは今やAmazonで買える。何もかも桁外れに非常識だが、そのお値段もそうだ。キットなら1600ドル、完成品は1700ドルだ。ワイヤレスのコントローラーや電池、充電器、ケース、そしてもちろんロボット本体が含まれている。今後ユーザーがカスタマイズできるために、大量の設計ファイルも提供される。

Zeusの身長は14インチ(36センチメートル)、重さは5ポンド弱(2.3キログラム)、22個のモーターを搭載している。CESのデモは感動的だったが、戦闘をまる一日続けると調子が落ちる。ビデオでお分かりのように、腕の動きなども不安定だ。発売までに、細部の仕上げをお願いしたい。

一回の充電で50分間戦える。Pilot社は今、AIとコンピュータービジョンを実装し、Alexaで音声制御できるバージョンを開発中だそうだ。同社はさらに、“国際戦闘ロボットコンテスト”を主催して巨額の賞金を出す、とも言っている。あなたも、Zeusの腕と脚(あし)の代金ぐらいは、取り返せるかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

人間の脳とロボットをつないで、失敗を未然に防ぐシステム

ロボットに壊滅的なことをしないよう教えるにはどうしたらよいか? 言葉やプログラムで命令を与えることもできるが、人間の脳を見て苦痛の兆候を感じ取り、自らを止めさせる方法もある。MITのロボティクス研究所が作った新しいシステムは、人間の脳とつないでロボットに作業の指示を出す。

初期のシステムは実にシンプルだ。作業ロボットのBaxterには頭皮上脳波計と筋電計がつながっていて、ロボットがやってはいけないことをすると、人間が手を振るなどの身振りでやめさせる。決められた仕事——ドリルで穴を開ける等——をこなすことのできるロボットが、慣れない状況に遭遇したとき、すべきことを人間が身振りで指示することもできる。

「筋肉と脳の信号を両方を見ることによって、人間の自然な身振りを解釈して、何がおかしくなったかをすばやく判断できる」と博士候補生のJoseph DelPretoは語った。「こうすることで、人間は人間に対するのと同じようにロボットとコミュニケーションがとれる」

このシステムでは、身振りや感情的反応などの微妙なニュアンスを用いるため、ロボットを訓練して障害のある人とやりとりをしたり、懸念や危険を言葉で言われる前に察知して、事故を防ぐこともできる。これによって作業員は、何かを壊す前にロボットを止めたり、作業が始まる前にわずかな変更をロボットに理解させたりできるようになる。

テストでは、Baxterに飛行機胴体にドリルで穴をあける訓練をした。作業内容はときどき変更され、近くにいる人間が穴の位置の変更を身振りでロボットに教える。こうすることで、現在の作業をしている最中に、新しい作業を教えることができる。しかも、ここで人間の側はプログラミング自体には関わることがなく、ロボットに右か左かを教えるだけだ。いちばん重要なことは何か? 機械とつきあうために人間が特別な考え方をしたり、自分を訓練したりする必要がないことだ。

「このアプローチがすばらしいのは、ユーザーに決められた考え方を教える必要がないことだ」とDelPretoは言った。「機械が人間に寄り添う。その反対ではない」

チームはこの成果を、Robotics: Science and Systems (RSS) カンファレンスで発表する。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ロボットサッカーの現状はこんな具合

基本的にスポーツは苦手だ。だから、というわけでもないのだが、ロボットがサッカーをプレイする未来を待望していたりする。というわけで、SPL(Standard Platform League)のGerman Openファイナルをご案内したい。対戦しているのはNao-Team HTWKとNao Devilsだ。人間がプレイする必要のないスポーツというのは、私のような人間にとっては「輝かしい未来」に思えるのだがどうだろうか。

プレイしているのは、ソフトバンクがStandard Platformリーグ用に開発したNaoだ。Naoはフィールドを走り回り(人間が走るのとは様子が違うけれど)、豪快なシュートを放ち(これも人間のシュートとはちょっと違う)、倒れたときにはもちろん自分で立ち上がってプレイに復帰する。試合の様子は見慣れたサッカーとは異なるものかもしれない。しかしシュートを決めようとボールを追いかけるロボットにはつい胸が熱くなってしまう。

人が手を(足を)煩わせることなく、サッカーが楽しめるというのは素晴らしいことだと思う。

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(翻訳:Maeda, H

IKEAの家具を組み立てるロボットをMITとシンガポールNTUが開発

世の中には2種類の人間がいる。IKEAの家具を組み立てるのが嫌いな人と狂人だ。しかし今ではIkeaBotのおかげで狂人をリプレースできる。〔IKEAの家具を組み立てるのが好きな人は狂人だ、という意味〕

こちらのIkeaBotは、シンガポールNTU(南洋理工大学)Control Robotics Intelligenc(CRI)グループのプロジェクトだ。チームはロボットに、ピンを挿入してIKEAのパーツを扱うやり方から教え始めて、それから徐々に、ロボットに家具の扱い方を教えていった。結果は、Billy〔IKEAの書棚〕の組み立てで誰かと競争したことのある人を、元気づけるものだった。

以下はIEEE Spectrumより:

CRIの組み立て工程は必ずしも自律的ではない; “すべてのステップが自動的に計画され制御されるが、それらの順序は相当量の技術的努力によりハードコードされた”。研究者たちによると、“順序の自動的決定を、組み立てマニュアルや、人間監督者の自然言語による対話や、最終的には椅子の画像から行うことは構想可能である”。しかしわれわれは、彼らがRoss Knepperとチャットすべきだったと感ずる。彼の方のIkeaBotは、そういうことをいっさいせずに、上手に仕事をするからだ。

つまり、そのNTUのロボットは半自動だが、無駄な努力ではない。そして、ベーシックなヒューリスティクスにより、次のステップを見つけ出せる。そのロボットは今、椅子を約20分で組み立てるが、それは誰にでも真似できる偉業ではないだろう。最後のダンスは、ロボットが自分をほめているようだ。

ベストシーンは? ロボットもいらついて部品を放り投げることがある:

ぼくとしては、IKEAの椅子作りロボットに人類が支配されてもよい、と思うね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

この亀は、ロボット虐待はいけないことだと子供たちに教える

人類が危機に瀕しロボットに追い詰められたとき、私は何人かを相手にバットを振り回すことをいとわない。しかしそれまでの間、私たちは機械じかけの同士たちと仲良くしてければならない。そしてこの亀ロボットは、人間の子供たちにロボット虐待がいけないことだと教えてくれる

Naver LabsとKAIST、ソウル国立大学の研究者らは、子供たちにロボットに対する行動がどんな結果を呼ぶかを教えるためのこのロボットを作った。Shellyという名のロボットは、触られたり叩かれたりすると反応を示す。怖いときは色を変え、手足を引っ込める。子供たちは、Shellyが叩かれると怒ることを学ぶ。Shellyがかみつくことはない。

「子供の虐待行為が原因でShellyが遊ぶのをやめると、もっとShellyと遊びたかったほかの子供たちが不満を訴え、最終的に互いに虐待行為を制止するようになる」とNaver LabsのJason J. ChoiがIEEEに話した。研究の結果、Shellyの反応によって子供たちから受ける虐待が減ることがわかった。

研究者チームは、先週行われたACM/IEEE International Conference on Human Robot InteractionでShellyを披露した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Boston DynamicsのSpotMiniが人類に代わって地球を支配したらこんな光景か?

Black Mirrorのワンシーンのようなこのドキュメンタリーふうビデオは、Boston DynamicsのSpotMini
の大集団が地球上を覆い尽くす未来を描いている。もちろんフィクションだが、でもBoston Dynamicsのロボットに対する唯一の防御策として、エンジニアにホッケーのスティックを持たせることしかないのなら、このシーンはやがて現実になるかもしれない。

Boston Dynamicsのロボットは、技術もデザインも着実に進歩していて、その最新作、黄色い皮膚のSpotMiniはドアを開けることもできる。このビデオでは、何千台ものSpotMiniが地表を自由に動き回っている理由や経緯が分からない。充電はどこでするのか? リーダーはいるのか? 砂塵が吹き荒れているようだが、どうやって自分を洗うのか? ロボットの大公たちに、訊きたいことは山ほどあるね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

人間に教わらなくても自力で未来を予見でき、正しく行動できるロボットをカ大が研究中

ロボットは通常、リアルタイムで反応する。何かが起きると、それに応える。カリフォルニア大学バークリー校の研究者たちは、ロボットたちに“自分のアクションの未来を想像させる”システムを研究している。つまり、目の前にまだない「もの」や「こと」に対応できるロボットだ。

その技術は予見視覚(visual foresight)と呼ばれ、ロボットが“自分が一連のある特定の動きをしたらそのあと視界(ロボットのカメラ)に何があるか”を予測できるようにする。

研究者たちの言葉で表現すると:

この想像力ロボットはまだかなり単純で、数秒先の未来しか予見できないが、でも数秒あれば、テーブルの上の物を障害物にぶつからずに動かすには十分である。重要なのは、ロボットが人間からの介助なしでこれらの仕事のやり方を学習でき、またそのために、事前に物理や環境、物性等の知識も要らないことだ。なぜならこの想像視覚は完全にスクラッチから学習され、その探究を誰も補助したり監督しない。それでもなおロボットは、テーブルの上のオブジェクトとプレイできる。このプレイの段階でロボットは、世界の予測モデルを作り、そのモデルを使って、前に見たことのないオブジェクトでも操作できるようになる。

バークリー校の電気工学科/コンピューターサイエンス学科のSergey Levine助教授はこう語る: “人間が、自分がどう動けば物がどっちへどれだけ動くかを想像できるように、この方法ではロボットが、自分のいろんな行動がまわりの世界に与える影響を視覚化できる。複雑な現実世界の状況で、柔軟性の幅の大きいスキルの、インテリジェントなプランニング(行動計画)ができるようになるだろう”。

このシステムはたたみ込み型再帰ビデオ予測(convolutional recurrent video prediction)という方法で、“画像中の画素がロボットのアクションで次のフレームではどこへ移動するかを予測する”。それにより、物に触ったりそれを動かしたりする前に、次の行動をプランできるのだ。

Levineの研究室の博士課程の学生で、独自のDNAモデルを作ったこともあるChelsea Finnは、こう言う: “これまでは、ロボットによるスキルの学習は、付き添いの人間がフィードバックを提供することによって進行した。この研究がすごいのは、ロボットが物を操作するスキルを、完全に自力で習得することだ”。

そのロボットには、まわりの環境に関する情報も要らないし、特殊なセンサーも要らない。ただ自分の目(カメラ)に映った画像を分析して、正しく行動しようとする。それは、人間がテーブルの上の物を目で見ながら、落ちたり他の物を壊したりしないよう動かすのと同じだ。

“子どもたちは、おもちゃを動かしたり、握ったり、いろいろ遊びながら世界について学習する。この研究の目的は、ロボットにそれと同じことをやらせることだ。自律的な対話を通じて世界の形や構造を学習する”、とLevineは語る。“まだほとんど多芸ではないが、スキルを完全に自動的に学習することがキモだ。事前に観察した対話(“プレイ”)のパターンに基づいて、前に見たことのないオブジェクトでも、それらとのフィジカルで複雑な対話を予見できるようになる”。

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MITとハーバード大学が、安価で超強力な人工筋肉を開発

MITのコンピュータ化学・人工知能研究所は、ハーバード大学のワイス研究所と協力して超強力で低価格の人工筋肉を開発した。この技術を使って自重の1000倍の重量を持ち上げる「スーパーパワー」を持つソフトロボットを作ることもできる。

新しいソフトロボティック人工筋肉は、折り紙からヒントを得たもので、1ドル以下で一般に入手できる材料を使って最低10分で組み立てることができる。「スケルトン」と呼ばれる基本構造を密閉されたバッグで包み、バッグの中を真空にすることによって動作を変えることができる。

内部のスケルトンの部品は様々な材料で作ることが可能で、どう組み立てるか(どう折るか)によって動作が決まる。つまり、内部構造を包む皮膜が収縮したときの折れ方を変えることで、簡単かつ自分の手で「プログラム」できる。

こうしたシンプルさと材料選びの柔軟さによって、この人工筋肉は数ミリから1メートル大まで、全体性能をほとんど変えることなく、様々な大きさのものを作ることができる。筋肉が大きいほど持ちあげる力が増す。プロジェクトのメンバーたちは、いずれ象型ロボットを作って本物の象と同じように働く鼻をつけることを思い描いている。

このソリューションはソフトロボティクスが抱えている課題にエレガントな方法で取り組んでいる。現在ソフトロボティクスの応用分野で使われている他の方法で作られた人工筋肉は、柔軟性、強度などに制約がある。

このテクノロジーの実用的応用例として、医療補助機器、工業用ロボット、宇宙探査、様々なウェアラブル外骨格などが考えられると研究者らは話している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Boston Dynamicsの二本足ロボット(ヒューマノイド)Atlasはパルクールの達人

そうか、パルクールだ! 全世界のロボット工学が、究極的に目指すべきものは、パルクールではないか。人類にとって、これを上回るほどの高貴な営みはない。だからもちろんロボットも、このいわゆる‘王者のスポーツ’をマスターすべきだ。実際、それは本当に高貴な人間と高貴なロボットにのみ、ふさわしいスポーツだから。

Boston Dynamicsが最近発表したニューバージョンのSpotMiniは、消費者好みの、丸みのある甲冑を身に着けていて、前ほど怖くはなかった。でも今度は、同社の二本足ロボット、というか同社の作品群の中でいちばんヒューマノイドらしいロボットAtlasが、われわれを釘付けにする。

今度のAtlasは、高さのあるブロックからジャンプし、空中で完全な回れ右をする。ジャンプの高さはかなり高くて、後ろ宙返りもする。そしてそのあとの、誇らしげなしぐさ! そこまでやんなくても、きみの凄さは分かるよ、未来のデストロイヤーくん。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa