シェルが設立したスタートアップファンド「EEGF」、太陽光発電を提供しアフリカでクリーンエネルギーを促進

FinDev Canadaは、サハラ以南アフリカにおける初期および成長段階のエネルギー関連スタートアップに投資するファンドEnergy Entrepreneurs Growth Fund(EEGF)に1300万ドル(約14億8500万円)を出資した。資金の一部は、同地域のオフグリッド世帯や企業のクリーンエネルギーへのアクセス向上に役立てられる。

1億2000万ドル(約137億円)のEEGFは、2019年にShell Foundation(シェル財団)と英国のUKaid、そしてオランダのEntrepreneurial Development Bank FMOが共同で設立したファンドで、エネルギー分野の企業に対し、デット(触媒 / メザニン)または株式の形で融資を行っている。EEGFは、インパクト投資マネージャーであるTriple Jumpと、気候変動対策ベンチャーを支援する企業であるPersistentが運営している。

FinDev Canadaは、サハラ以南アフリカ、ラテンアメリカ、カリブ海地域の低所得者や十分な支援が行き届いていない層の経済的エンパワーメントを促進するインパクト金融ファシリティである2X Canadaを通して資金調達に参加した。

FinDev CanadaのVP兼最高投資責任者であるPaulo Martelli(パウロ・マルテリ)氏は、今回の資金提供は、新型コロナウイルスによる減速の後、クリーンエネルギー産業のイノベーションを加速するのに役立つと声明で述べている。

「パンデミックの影響で、健康危機以前から遅れていたアフリカの電化推進が遅れています。EEGFのこの分野への投資能力を高めることで、FinDev Canadaとその2X Canadaファシリティは、アフリカの家庭や企業においてクリーンで信頼できるエネルギーへのアクセスを拡大し、包括的で持続可能な成長と何百万人もの人々の生活の向上に貢献するエネルギー企業を支援します」と同氏は述べた。

このファンドの投資先は少なくとも半数が、アフリカの女性消費者や起業家のエネルギーニーズに明確に対応している企業、および企業や家庭に再生可能エネルギーのソリューションを提供している企業だ。サハラ以南アフリカは、電気を利用できない世界人口の75%を占めると言われており、そのギャップを埋めていく過程で再生可能エネルギーによるソリューションを採用できる可能性がある。

Shell FoundationのオペレーションディレクターであるGareth Zahir-Bill(ガレス・ザヒル・ビル)氏はこう述べている。「エネルギー貧困を緩和し、気候変動を軽減する、公正かつ包摂的なエネルギーシフトには、世界のエネルギーアクセス目標を達成するために頼りにされている起業家の資金ニーズを理解する必要があります」。

「FinDev Canadaによるファンドへの投資は、起業家への柔軟な融資ソリューションの提供を拡大し、アフリカの何百万人もの人々にとってクリーンで信頼できるエネルギーへのアクセスを加速するのに役立ちます」とも。

EEGFは2021年、時間をかけて支払うことが可能な太陽光発電ソリューションを提供するBaobab+とYellow、企業向けにモバイルソーラーファームの設計・設置を行うRedaviaに投資した。

ガーナ、ケニア、タンザニアに顧客を持つRedaviaは、このファンドから370万ドル(約4億2000万円)のメザニン投資を受けた。同社は、アフリカ大陸で85MWp以上の太陽光発電の設置を目標としている。2021年9月までに「90台近いソーラーユニットを設置し、7MWpのソーラー容量を確保した」とのこと。

マラウイとウガンダで事業を展開し、一般家庭や中小企業が分割払いでソーラーシステムを購入できるYellowは400万ドル(約4億5700万円)、一方Baobab+は230万ドル(約2億6300万円)を獲得した。Baobab+は、マリ、セネガル、マダガスカル、コートジボワールで事業を展開しており、ナイジェリアとコンゴ民主共和国の市場への参入を計画している。

画像クレジット:Pramote Polyamate / Getty Images

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(文:Annie Njanja、翻訳:Aya Nakazato)

全日空や三井物産が支援する再生可能ジェット燃料のLanzaJetにShellも出資

アルコールをジェット燃料に変えるプロセスの商業化を図っているLanzaJet(ランザジェット)には全日空、Suncor Energy、三井物産、British Airwaysなどが戦略投資家として出資している。その投資家リストにエネルギー大手Shell(シェル)も加わった。

LanzaTechからのスピンオフで、最初のクリーンテックブームの最後の生き残り企業の1社である未上場企業LanzaJetは、法人から段階的に出資を受けるアプローチを取っている。これにより、LanzaJetが生産施設を拡大するにつれ、投資家は追加でLanzaJetに出資することができる。

Shellの出資の取引条件、出資後のLanzaJetの評価額は明らかにされなかった。

LanzaJetは、航空業界がネットゼロエミッションを達成するのをサポートできると主張する。パリ協定で設定された温室効果ガス削減目標を世界が達成するのを支えるための長い道のりだ。

「LanzaJetのテクノロジーは、ATJプロセスを使ったSAF(持続可能な航空燃料)生産に向けた新しいエキサイティングな道を切り開いていて、航空部門の差し迫ったSAF需要を解決します。これは、我々が力を合わせた時に業界が機敏に動いてより多くのSAFを供給できることを意味します」とShell Aviationl社長のAnna Mascolo(アンナ・マスコロ)氏は声明で述べた。「需要と供給の両方を推進するための適切な政策メカニズムと規制に関して業界、政府、社会が協業するこで、航空業界はネットゼロエミッションを達成できます。LanzaJetと戦略が一致するのはすばらしいことです」。

関連記事:再生可能ジェット燃料LanzaJetが英国航空と提携、年間7500トン供給へ

LanzaJetは現在、アルコールをジェット燃料に変える施設をジョージア州ソパートンに建設中だ。完成すると、持続可能な合成ジェット燃料のための初の商業規模プラントとなり、年間1000万ガロンを生産できる。

燃料はエタノールを使って作られる。エタノールはShellが詳しいものであり、供給する用意も整っている。ブラジルの合弁企業Raízenを通じてShellはバイオエタノールを10年以上生産してきた。

LanzaJetは、二酸化炭素の排出を抑制する方法で飛行機を飛ばすために、持続可能燃料を従来の化石ジェット燃料に混ぜることを想定している。生産する燃料の約90%が航空燃料で、残り10%は再生可能ディーゼルだと同社は話した。

LanzaJetのSAFは化石ジェット燃料に最大50%混ぜることがASTM(米試験材料協会)に認められていて、エンジンや航空機、インフラに変更を加える必要のないドロップイン燃料だ。加えて、LanzaJetのSAFは従来の化石ジェット燃料と比べ、ライフサイクルベースで温室効果ガスの排出を70%超削減する。エタノールの汎用性、そして低炭素でゴミを材料とし、食品や餌をソースとしないこと、またエタノールが世界どこでも入手できることと併せ、LanzaJetのテクノロジーはSAFの永続的な解決策となっている。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:LanzaJet投資全日空三井物産Shell二酸化炭素二酸化炭素排出量

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

ShellのGamechanger Acceleratorがエネルギー移行のためのアクセラレーターとして3社を選定

米国時間3月11日、欧州の大手石油・ガス企業であるShell(シェル)は、化石燃料からの脱却を目指して技術開発を行う企業を支援するために同社が運営する、Shell GameChanger Accelerator(シェル・ゲームチェンジャー・アクセラレーター、GCxN)への新たな参加企業群を発表した。

この先この3社は、製品化の支援を行ってくれるShellの技術リソースを、利用することができるようになる。

ShellのGCxNプログラムマネージャーのHaibin Xu(ハイビン・シュー)氏は「GCxNの第4期生たちは、炭素を大量に排出していた従来のプロセスを、電気化学技術で代替できることを証明してくれるでしょう。再生可能エネルギーのコストが下がり続ける中で、業界を超えた取り組みやパートナーシップによって、これらの技術適用を、コスト効率よく拡大し、実用上の影響を与えることが可能であることが証明されるでしょう」と語る。

Shellのアクセレレーターは、このプログラムに選ばれたスタートアップ企業に対して、最大25万ドル(約2700万円)の非希釈的な資金を提供する。プログラム参加者は、インキュベーター、アクセラレーター、大学などのネットワークパートナーからの推薦を受け、ShellとNREL(米エネルギー省国立再生可能エネルギー研究所)による審査を経て決定される。

声明によれば、過去3回のプログラムの卒業生たちは、5200万ドル(約56億7000万円)を調達し、グリーン経済に51種類の新しい仕事をもたらしたとのことだ。

また、このアクセラレーターに参加した新会社たちはどれも、炭素集約型で持続可能な手法への移行が難しい分野の中で、炭素排出量を削減する方法を生み出すことに注力している。

さて前置きはこれ位にして、今回Shellが支援するスタートアップ企業たちを紹介しよう。

  • Air Company(エアーカンパニー):ブルックリンを拠点に、二酸化炭素をアルコール、蒸留酒、香料、殺菌剤、そして消費者向け企業用の製品に変えるビジネスを行っている。最終的には合成燃料事業への参入も狙っている
  • Ionomr Innovations(アイオナモー・イノベーションズ):グリーン水素製造、水素燃料電池、炭素回収技術には、イオン交換膜やポリマーが必要だが、バンクーバーにあるこの会社は、そうした部品をより安く、より環境に優しいものにすることを狙っている
  • Versogen(バーソジェン):Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領の出身地であるデラウェア州から参加した同社は、以前はW7 energy(W7エナジー)という名前だった。燃料電池のコストを下げるための高性能な水酸化物交換膜を製造している

NRELのGCxNプログラムマネージャーであるKatie Richardson(ケイティ・リチャードソン)は次のように語る。「私たちの現代生活のほとんどすべての側面が、特定の材料や燃料に依存していますが、それは多大な影響をもたらしています。例えば、米国の製造業は、今後10年以内に米国最大の温室効果ガス排出源になることが予想されています。今回選ばれたGCxNスタートアップ企業たちが再構築しているのは、基本的な商品やサービスの二酸化炭素排出量を削減するために必要な構成要素なのです」。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Shell再生可能エネルギー

画像クレジット:Tim Boyle / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:sako)

EVサブスクのOntoが充電ステーションへのアクセス拡大でShellと提携

英国の電気自動車(EV)サブスクサービスOnto(オント)は、今後数年で新たなEVがマーケットに投入される動きに備え、ユーザーに充電ステーションへのアクセスを提供すべくShell(シェル)と提携した。Shellが米国時間3月9日に発表したこの提携では、Ontoの顧客はShellが英国内で展開する3400カ所超の充電ポイントと、Shellのネットワーク下の17以上の充電パートナーを利用できる。

「電気自動車の購入は多くのドライバーにとって大きな、恐ろしいスイッチです」とOntoのCEOであるRob Jolly(ロブ・ジョリー)氏は最近のインタビューでTechCrunchに語った。「充電の不安はドライバーにとって問題です。当社はEVをできるだけアクセスしやすく、手頃価格のものにしようとしていて、Shellとの提携でそれがレベルアップします」。

Ontoにとって今回が初めての提携ではない。月額料金にサービス、道路税、保険、充電が含まれる「オールインクルーシブ」サブスクモデルである同社はすでにBP、Teslaとネットワーク提携を結んでいる。Ontoは2021年2月にHyundaiの車両を加え、Tesla、BMW、Jaguar、Renaultといったメーカー以外のプロダクトへも扱いを拡大している。

IEAの暫定見積もりによると、EVやプラグインハイブリッド車の販売は300万台超に上り、マーケットシェアは4%超に達している。4%というのはマーケット飽和とは考えられないが、新しいEVがマーケットに投入されるにつれ、既存のインフラが圧迫されると自動車メーカーや充電ネットワーク企業、エネルギー専門家たちは予測している。2021年に新しいEVの発売を予定している自動車メーカーとしてはVW、GM、Ford、Hyundai、Rivianなどがある。

サブスクエボリューション

英国では新規車購入者の90%超が融資を受け、即金で購入するのが一般的だった10年前から変わっている。ジョリー氏はEVサブスクモデルが自動車マーケットで次の進化になると確信している。特に英国や他の国がガソリン・ディーゼル車禁止に動き、ドライバーがEVを持つのにフレキシブルでアクセスしやすいオールインクルーシブの方法にすり寄っているからだ。消費者へのジョリー氏のPRは、Ontoのサブスク価格はプレミアムな融資取引と競合するが、サブスクには多額の前金はなく、充電場所を探して充電費用を払う必要もない、というものだ。

「英国の人口の40%が敷地内駐車場へのアクセスを持っていません」とジョリー氏は話した。「どうやって、そしてどこで給油するか知っているという状態から、充電がどんなものか知らないという状態へと移行します。彼らは家の近くの通りで車を充電するでしょうか、それとも出勤途中に充電するでしょうか?あるいは職場で充電するでしょうか?それがShellと取り組んでいる野心です。ドライバーが選択できるようにし、我々の充電インフラが可能な限りあちこちにあるようにします」。

Shellの英国でのネットワークには950超の充電ポイントがある。ここにはShell Recharge急速チャージャーとハイパワーチャージャー(それぞれ50kWh、150kWh)が含まれ、電気は再生可能エネルギーで賄われている。そして超ハイパワー(350kWh)の充電ポイントのIonityネットワークも含まれる。顧客はOntoで利用できるすべての充電ステーションをOntoのアプリかオンラインマップで見つけることができる。そして全顧客にShell Rechargeカードが発行され、Shellのネットワークにすぐにアクセスできる。

EVサブスクスタートアップと提携するというShellの動きは、ガソリンスタンドから離れ充電ステーションへ向かうという同社の計画と一致している。ShellはロサンゼルスのEV充電デベロッパーGreenlotsを買収した2019年にこの分野に初めて足を踏み入れた。2021年初め、同社は英国のUbitricityも買収し、今後4年間で50万の新規EV充電ステーションを立ち上げる計画を発表した。

関連記事:Shellが2025年までにEV充電ステーションを50万カ所に設置

カテゴリー:モビリティ
タグ:Onto電気自動車充電ステーションShell

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

Shellの気候計画における柱はEV充電ステーション、バイオ燃料、水素転換、化学物質

世界最大の上場石油製造会社の1社であるRoyal Dutch Shell Group(ロイヤル・ダッチ・シェル・グループ)が、温室効果ガス排出ゼロの気候に配慮した社会の中で同社がいかに生き残って行くかについての計画を発表した

この計画は、「電気自動車充電ステーションの大規模な展開」「潤滑油、化学品、バイオ燃料の重視」「大幅に拡大した再生可能エネルギー発電ポートフォリオとカーボンオフセット計画の策定」「水素・天然ガス資源の開発を継続し、石油生産を年間1〜2%削減」「二酸化炭素の回収と貯留への多額の投資」という5つの主要な柱に基づいている。

これらは同社の事業全体にわたるもので、大手石油会社による、最も包括的でハイレベルな計画となっている。低排出、そして究極的にはゼロエミッションのエネルギーと電源への移行によって石油業界が次の犠牲者となることを防ぐごうとする内容となっている(石炭産業を指している)。

ロイヤル・ダッチ・シェルのBen van Beurden(ベン・ヴァン・バーデン)最高経営責任者は声明で、「私たちの力強い戦略は、炭素排出量を削減し、株主、顧客、そして社会全体に価値を提供することになるでしょう」と述べた。

同社はまた、株主の離脱を防ぐため、コスト削減を実施し1株当たり年間約4%の配当の増加を約束した。これは高価な石油・ガス探査事業に投資した投資家に資金を還元することを意味する。さらに、同社は負債を返済し、営業キャッシュフローの20〜30%を株主に支払うことも約束した。とても……思いやりがある。

画像クレジット:Bryce Durbin

計画

同社の推計によると、シェルは100万社以上の商工業顧客と約3000万人の顧客を擁し、4万6000の小売サービスステーションに顧客が毎日訪れる巨大企業である。同社は成長の機会、エネルギー転換の機会、そしてアップストリームの’掘削作業と石油生成作業が徐々に衰退していく状況について考えを整理した。

成長が見込まれる分野について、シェルは約50億から60億ドル(約5300億から6400億円)の投資を計画している。2025年までに50万カ所の電気自動車充電施設を整備すること(現在の6万カ所からの拡大)およびそれにともなう充電促進の小売・サービス拠点の強化などが計画に盛り込まれている。

同社はまた、バイオ燃料や再生可能エネルギーの生産拡大とカーボンオフセットにも重点的に投資すると述べた。同社は年間560テラワット時を2030年までに発電したいと考えており、これは現在の発電量の倍に相当する。シェルが独立系発電事業者として事業を展開し、1500万の小売および商業顧客に自然エネルギー発電をサービスとして提供することを期待したい。

さらに同社は、水素関連事業も成長可能な分野だと捉えている。

低炭素経済に移行できる資産をすでに保有しているシェルは、そこにさらに力を入れる意向だ。つまりゼロエミッションの天然ガス生産と化学品製造の3倍の削減を目指す(ダウとBASFに着目)。同社は100万トンのプラスチック廃棄物を処理して循環型化学製品を製造する方針を固めており、これはリサイクル率の向上にもつながる。

アップストリームは長年にわたって石油・ガス事業の中心だったが、同社は声明で「量よりも価値に焦点を当てる」と述べている。これが実際に意味するのは、掘削が簡単で低コストの油井を探し求めることであろう(これは石油経済において、当分の間中東が重要であり続けることを示している)。同社は石油生産量を年間約1%から2%削減する予定である。また、カナダのQuest CCS開発、ノルウェーのNorthern Lightsプロジェクト、オランダのPorthosプロジェクトなどを通じて、年間2500万トン相当の二酸化炭素の回収と貯留に投資を行う考えだ。

「私たちは、顧客が求め、必要としている製品とサービス、すなわち環境への影響が最も少ない製品を提供する必要があります」とヴァン・バーデン氏は声明で語っている。「同時に、これまでの強みを活かして競争力のあるポートフォリオを構築し、社会と歩調を合わせたゼロエミッション事業への転換を図っていきます」。

米ドル紙幣による貨幣または財務のグリーンパターン。銀行、キャッシュバック、支払い、Eコマース。ベクトルバックグラウンド(画像クレジット:Svetlana Borovkova / Getty Images)

マネートーク

同社は、主要事業からの収益が削減される中で生き残っていくために、営業経費を抑え、もはや意味のない事業の大きな部分を売却しようとしている。

つまり、年間の支出を350億ドル(約3兆7200億円)未満に抑え、年間売上高は約40億ドル(約4250億円)で、投資家への配当と現金の流れを維持していることになる。

「長期的には、資本投資のバランスは成長の柱の事業にシフトし、新たな設備投資の約半分はこれらの分野に行われるようになる」と同社は説明している。「キャッシュフローも同じ傾向をたどり、長期的には石油やガスの価格との関連性が少なくなり、より広範な経済成長との結びつきが強まることが期待される」。

シェルは、全従業員に支払われる給与の一部として炭素集約度の削減目標を設定しており、その目標は目を見張るものがある。2016年を基準とする炭素集約度の削減率を6〜8%(2023年)、20%(2030年)、45%(2035年)、100%(2050年)と想定している。

同社によると、同社の炭素排出量は2018年に年間1.7ギガトンでピークに達し、石油生産量は2019年にピークに達している。

背景

シェルがこうした措置を取っているのは、同社が望んでいるからではなく、そうする必要があるからだ。化石燃料の汚染と気候変動を止めるために何か劇的なことをしない限り、世界は深刻な結果に直面することが予測される。

今週初めに発表された調査で、化石燃料による大気汚染で世界の人口の18%が亡くなっていることが示された。ハーバード大学が率いる研究者らの報告によると、化石燃料を燃やすことはガンと同じくらい致命的だということだ。

化石燃料に直接結びついた人的代償以外にも、気候変動には膨大な損失が見込まれている。米国では、これを逆転させるための措置を取らない限り、2090年までに損失は年間5000億ドル(約53兆円)のに上ると推定されている。

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タグ:Shell電気自動車二酸化炭素充電ステーション

画像クレジット:Westend61 / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:TechCrunch Japan)

Shellが2025年までにEV充電ステーションを50万カ所に設置

今後4年で50万カ所に電気自動車(EV)充電ステーションを設置するというShell(シェル)の計画は、EV充電インフラブームを示す最新の証拠だ。ブームで投資家はこの業界に資金を注ぎ、需要に対応するのに必要な資本を求めて数社に上場を促した。

年初来、この業界の3社が特別買収目的会社(SPAC)に買収され、公開への道を歩んでいる。その一方で3分の1の企業が商業化に向けた取り組みのために名だたるプライベートエクイティ投資家から数千万ドル(数十億円)を調達した。

SPAC攻撃はEV充電ネットワークChargePointが市場価値24億ドル(約2500億円)でSPACのSwitchback Energy Acquisition Corporationと合併する契約を結んだ時に始まった。同社は米国時間2月16日にニューヨーク証券取引所に上場する。

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2021年1月、EV充電インフラを展開するEVgoは26億ドル(約2720億円)のバリュエーションでSPACのClimate Change Crisis Real Impact I Acquisitionと合併することに同意した。これはEVgoの非公開株式の所有者、電源開発投資企業のLS Powerにとって大きな勝利だった。現在EVgoの全株式を所有するLS PowerとEVgoの経営陣は全資本を取引に組み込む。第2四半期にトランザクションがクローズすれば、LS PowerとEVgoは新合併会社の株式74%を保有することになる。

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その後にもう1つSPAC案件が続いた。Volta Industriesが2021年2月、Tortoise Acquisition IIとの合併に同意した。この合併では、バッテリーを発明したAlessandro Volta(アレッサンドロ・ボルタ)氏にちなんだ社名のVolta Industriesのバリュエーションは14億ドル(約1470億円)になる。本取引によりSPAC会社の株価は今週初め31.9%上昇し17.10ドル(約1790円)になった。現在は15ドル(約1570円)前後で取引されている。

プライベートエクイティファームも引けを取らずこのゲームに参戦している。プライベートエクイティのエネルギー投資で有名なRiverstone HoldingsはFreeWireに投資してEV充電に賭けた。FreeWireは初め新規ラウンドで5000万ドル(約52億円)を調達した。

「不吉な前兆があり、投資家たちは時宜をとらえなければなりません。マーケットにある従来の投資機会から飛び立つフライトがあります」とFreeWireのCEOであるArcady Sosinov(アーカディ・ソシノフ)氏はインタビューで述べた。「石油・ガス企業から、そして従来のユーティリティから去るフライトがあります。他の機会に目を向けなければなりません。これは今後10年で最も大きな成長機会となるでしょう」。

FreeWireは現在BPとインフラを展開しているが、同社の充電テクノロジーはファーストフード企業、郵便局、グローサリーストア、あるいは人々が足を運び20分間から1時間ほど過ごす場所であればどこにでも導入できる。米連邦政府が所有する車両をEVにするというバイデン政権の計画があり、郵便局は実際に充電ネットワークとなる大きな機会を手にしている、とソシノフ氏は話した。

「モビリティの電動化が魅力的だと我々が感じている理由の1つは、『もし』とか『どうやって』ではなく『いつ』だからです」とRiverstoneでESG(環境、社会、ガバナンス)責任者でパートナーのRobert Tichio(ロバート・ティキオ)氏は述べた。「ノルウェーや北欧に比べ、浸透率は驚くほど低い。そうした国々は浸透率2桁を達成しています」。

俳優のWill Ferrell(ウィル・フェレル)氏が登場した最近スーパーボウルで流れたGMのコマーシャルは、EV浸透においてノルウェーがいかに進んでいるかを示した。

交通の電動化における資本の需要は年間7500万ドル(約79億円)に近づき始めます」とティキオ氏は話した。「あなたの疑問への短い答えは、我々がともに政治的に、社会的に、そして経済的に抱えている資本の需要は、我々がどこに向かうかという観点でコンセンサスを得て転換点を迎えます」。

ShellはすでにEV充電インフラをいくつかのマーケットで展開している。2019年に同社はロサンゼルス拠点のEV充電デベロッパーのGreenlotsを買収した。また初めには英国のEV充電会社Ubitricityも買収している

「顧客の需要が進化するにつれ、我々はさまざなま種の代替エネルギーソースの提供を増やしていきます。これらはデジタルテクノロジーに支えられ、どこへ運転して移動する必要があろうが人々に選択肢とフレキシビリティを提供するものです」とShellのNew Energies代表取締役副社長Mark Gainsborough(マーク・ゲインボロー)氏はGreenlots買収に関する声明で述べた。「今日の米国ドライバーの低炭素エネルギー需要に応える最新の投資は、より良い明日をつくるという当社の広範な取り組みの一環です。EV充電をよりアクセスしやく、ユーティリティや事業者、コミュニティにとってより魅力的なものにするための一歩です」。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Shell電気自動車充電ステーション

画像クレジット:Shell

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi