次期iPhoneは大画面と大容量バッテリー搭載か

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iPhone 8は9月まで発表されることはないが、先週は来たるべきこのデバイスの噂でもちきりだった。そしてショウの主役はおそらくディスプレイだ。

噂によるとAppleは新しい端末を3種類発表する。iPhone 7とiPhone 7 Plusそれぞれの新バージョンと新しいハイエンド機で、これは1000ドルを超えるかもしれない。ディスプレイにまつわる噂は謎に包まれたこの”iPhone Pro” モデルについてらしい。

KGI Securitiesのアナリスト、Ming-Chi Kuo(いつもかなり信頼できる人物)によると、次期iPhoneには5.8インチ OLEDディスプレイが搭載されるが本体は今のiPhone 7とほぼ同じサイズになるだろうという。Appleはそのために画面周辺のベゼルをなくし表面を巨大なスクリーンだけにする。MacRumorsによるとこんな感じになる。

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この図でわかるようにAppleは下部にバーチャルボタンを置くスペースを残している。iPhone版Touch Barのようなものかもしれない。バーチャル〈ホームボタン〉のほかに、その時使っているアプリに関連するボタンが出てくるかもしれない。ミュージックアプリなら再生ボタン、メッセージアプリなら写真を選ぶボタンを想像してほしい。

TouchIDはどうなるのか? AppleInsiderは、Appleが指紋センサーをスクリーンに埋め込む特許を取得したことを確認した。Appleは多くのAndroid機のように端末の背面に指紋センサーを置くことはないと私は思っている。

もう一つ注目すべきは、画面が従来よりタテに長くなることだ。そうすることでAppleは幅の狭い端末を作り他の大型スマートフォンよりも持ちやすくすることができる。

画面は16:9ではなくなる。つまりYouTubeのビデオをフルスクリーンで見ると、左右に黒い帯が見えることになる。21:9のビデオなら黒い帯は左右わずか49ピクセルずつになる。

もうひとつ、5.15インチのメイン表示部分が5.8インチのOLEDそのものより少し幅が狭いのがおわかりだろうか。これが何を意味するのか私にはよくわからない。おそらくOLEDディスプレイの両サイドがSamsung Galaxy S7 Edgeのようにカーブしているのだろう(曲面部分にテキストは表示したくない)。

このディプレイには大量のピクセルが詰め込まれることになる。ピクセル密度528 PPIは現在のiPhone 7やiPhone 7 Plus(それぞれ326 ppiと401 ppi)よりも高画質だ。

iPhone 7 Plusと同じく、Appleは様々なレベルの「ズーム」と3x レンダリングを標準設定として採用するかもしれない。iPhone 7 Plusはどの画像もまず2208 x 1242ピクセルでレンダリングしてから、1920 x 1080にスケールダウンしている。メイン画面エリアの幅が1242ピクセルなら、大いに理にかなっている。

要するにこの噂のiPhoneはiPhone Plusと同じだけのコンテンツを表示して、かつ画面の高さがある分だけ何行か多くテキストを表示できる。ただしすべてが少し小さくなるので、Appleは2倍表示機能を用意してリアルタイムでスケールダウンすると思われる。

しかし小さい本体に大きい画面を載せるとバッテリーの持ちが悪くなるのが普通だ。KGIのMing-Chi KuoによるとAppleは同じケースにもっと大きなバッテリー を積む方法を見つけたらしい。Appleはメイン基板をスタック式にしてトランジスタを積み重ねる方式を採用するかもしれない。9to5macの画像がこれだ。

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メイン基板が小さくなればバッテリーのスペースが増える。そして、次期iPhoneはワイヤレス充電を採用するかもしれない。そうなれば一日中もっと簡単に充電できるようになるはずだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ヘビメタのスーパーバンド、アイアン・メイデンは著作権海賊が大好きという作り話がネットで事実に化けたわけ

もしヘビメタ・ロックのスーパーバンド、アイアン・メイデン(Iron Maiden)が世界のどの地域で音楽海賊がこのバンドの曲を違法に流通させているかという情報をベースに数千万ドル規模の世界ツアーを企画していると聞いたら? それが本当ならスーパークールな話だ!

Rolling Stoneの記事をリブログしようとしたが、しかし、私のようなアナーキー大好きな人間の耳にさえ余りにクール過ぎて、躊躇した。少し調べてみると、この記事に書かれていることを事実とする証拠は皆無だった。

ところが過去48時間にわたってテクノロジーと音楽業界は80年代に登場したメタル・バンドがかくもスマートなテクノロジーの利用法を採用したことを熱心に称賛した。

アイアン・メイデンは広く利用されているP2Pファイル共有システム、Bittorrentのデータを解析して南アメリカにファンが多いことを発見し、現地でのコンサートを企画したというのだ。

MusicmetricはBittorrentと各種ソーシャルメディアのエンタテインメント情報を分析するスタートアップだが、11月29日のGuardianの記事は「同社がアイアン・メイデンはそうしたオンライン情報を利用してコンサートを企画することで莫大な利益を得られると助言した」と書いた。

続いて12月20日にテクノロジーブログのCiteworldが、「アイアン・メイデンが最悪の音楽海賊を発見し、彼らのために演奏することに決めたわけ」という思わずクリックしたくなるようなタイトルの記事を載せた。この記事ではMusicMetricがアイアン・メイデンに南アメリカで予定外のコンサートを開催するよう直接アドバイスしたとほのめかされていた。

しかし私の取材に対してMusicMetricの広報担当は「残念ながらCiteWorldの記事は事実とはいえません。アイアン・メイデンが当社の分析データをツアーの企画のために使ったとわれわれが述べたことはありません」とメールしてきた。

匿名の広報担当者は続けて「誰かが何かを書き、大勢がそれについてツイートしてしまえば、もう打つ手はほとんどありません」と述べた。MusicMetricは自分たちがやりもしなかったことを手柄にしていると非難されるのを恐れているという。

告白しておけば、私にもこの根拠ない話を広めた責任の一端がある。私は問題の記事をよく読む前にその記事に関するツイートをリツイートしてしまった。現在、Citeworldは記事の訂正と謝罪を発表しているが、オンラインの噂ネットワークは活動を止めていない。間違った記事をベースにしたツイートや投稿が今日も大量に生産されている。

結局、この話はそれ自体荒唐無稽というわけではなかった。たとえば人気SF作家のニール・ゲイマンは、海賊版が一番読まれている地域は同時に正規の本の売上も一番多いことを知ってすっかり著作権海賊の贔屓になった(上にゲイマンのインタビューをエンベッドした)。

つまりIron MaidenがBittorrentのデータを利用して南アメリカ・ツアーを企画することは可能だった。私はアイアン・メイデンにコメントを求めているが、アイアン・メイデンがそうしたことを実行することはまずなさそうだ。

インターネットの「噂工場」がもっともらしいが間違った結論に達するのは珍しいことではない。ボストン・マラソン爆弾事件ではアマチュア探偵が所在不明だった学生、SunilTripathiを間違って犯人だと決めつけた。この噂は手に負えない勢いで広がり、とうとうTripathiはメディアのトップページで公衆の敵ナンバーワンにされてしまった。

私はMusicMetricが実際にアイアン・メイデンにBittorrent情報を使って効果的なツアー企画をアドバイスしてたらよかったのにと思う。しかし、よく言われるように、「それでは話がうますぎる」ということだったようだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+