macOSのChromeがSafariより高速に、グーグルが発表

Google Chrome(グーグル・クローム)のバージョン100が数週間以内にローンチされるが、いまだにブラウザを高速化する余地はまだ残されている。Google(グーグル)が米国時間3月7日に発表したように、macOS上のChromeのバージョン99は、Apple(アップル)のWebKitチームが独自に開発したSpeedometerベンチマークで300点を獲得することに成功した。これは、これまでのブラウザの中で最速のパフォーマンスだと、Googleは指摘している。

Speedometer 2.0は応答性をテストするため、ユーザーエクスペリエンスの良い尺度となる。Mozilla(モジラ)のFirefox(ファイヤーフォックス)とAppleのWebKitベースのSafari(サファリ)を例外として、ほとんどのベンダーが同じChromiumコードベースでブラウザを構築している現在、ブラウザ市場の競争が速度に焦点を当ててからしばらく経つ。しかし、だからといって、さまざまな開発チームがユーザーエクスペリエンスを高速化する方法を考えるのをやめたわけではない。多くの成熟したテクノロジーと同様に、最近は大きなブレークスルーが見られないだけだ。Interop 2022の一環として、各社のブラウザをウェブ標準により適合させるために集まっていても、各ベンダーの競争がなくなったわけではない。

新しいチップが登場すれば、常に最適化の余地がある。元々、AppleのM1チップ上のChromeのパフォーマンスは合格点だったが、このArmベースのチップの発売から15カ月後、Chromeはこのチップ上で43%速く動作するようになったとGoogleは指摘し、さらにこの分野でのいくつかの新しい技術のおかげで、ブラウザのグラフィックパフォーマンスがSafariを15%上回ったと強調している。これは、Googleが2021年すでに発表した数多くの一般的なJavaScriptの最適化に加えて行われたものだ。

Windowsユーザーのためのニュースはないが、GoogleはAndroid上のChromeもまた、いくつかの改善がみられると述べている。同社は「ブラウザのユーザーインターフェイスのスレッドで重要なナビゲーションの瞬間」を優先するいくつかのナビゲーション最適化のおかげで、ページの読み込みが15%速くなるはずだと述べている。

このような変化に気づくだろうか?高速接続の最新ブラウザは、事実上どんなページでも瞬きする間にレンダリングする。しかし、ソフトウェアの応答性を感じるには、それほど多くの時間は必要ない。M1 Macの43%は、TikTok(ティックトック)の閲覧(あるいはJiraチケットの管理など、さまざまな場面)において、より生産的な感覚を覚えるだろう。

画像クレジット:Halil Sagirkaya / Anadolu Agency / Getty Images

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:Yuta Kaminishi)

アップルがiOS 15.3をリリース「活発に悪用された可能性がある」iPhoneの脆弱性を修正

Apple(アップル)は米国時間1月26日、iOS 15.3とmacOS Monterey 12.2のリリースにより、数十件のセキュリティ問題を修正した。

iOS 15.3では、同社が活発に悪用された恐れがあるとしている不具合を含む、合計10件のセキュリティバグが修正されている。CVE-2022-22587として追跡されているこの脆弱性は、IOMobileFrameBuffer(デバイスのメモリが画面表示を処理する方法を開発者が制御できるようにするカーネル拡張)のメモリ破壊バグで、悪意のあるアプリによるカーネルコードの実行につながる可能性がある。

また、AppleはmacOS Monterey 12.2をリリースした。ユーザーの最近のブラウジング履歴やGoogleアカウント情報が、Safari 15やサードパーティ製のウェブブラウザから流出する可能性があるというWebKitの不具合を研究者が発見し公表していたが、macOS 12.2ではそのバグに対する修正が含まれている。

この脆弱性は、ブラウザのフィンガープリンティングと不正行為の検出サービスを提供するFingerprintJSによって最初に発見されたもので、ブラウザにデータを保存するアプリケーションプログラミングインターフェース(API)であるIndexedDBのAppleによる実装に不具合があったという。

CVE-2022-22594として追跡されているこの不具合は、IndexedDBを使用しているウェブサイトが自分のドメインのみならず、ユーザーのブラウジングセッション中に他のウェブサイトが生成したIndexedDBデータベース名にアクセスすることを可能にし、ひいては、ユーザーが別のタブやウィンドウで訪れた他のウェブサイトを追跡することも可能にする。また、IndexedDBのデータベース名にユーザー固有の識別子を使っているGoogleなどのウェブサイトでは、攻撃者がユーザーのGoogleアカウント情報にアクセスできる可能性があるとFingerprintJSは警告している。

また、iOS 15.3には、アプリがルート権限を取得する可能性があるセキュリティ問題、カーネル権限で任意のコードを実行する問題、およびアプリがiCloudを通じてユーザーのファイルにアクセスできる問題の修正が含まれている。

一方、macOS Monterey 12.2では、合計13件の脆弱性が修正されている。後者は、以前に報告されたSafariでのスクロールの問題を修正し、MacBookにスムーズなスクロールをもたらすことも約束している。

また、レガシーバージョンのmacOS Big SurおよびCatalinaのセキュリティ修正プログラムもリリースされた。

今回の最新セキュリティアップデートの公開は、HomeKitを介して悪用され、持続的なサービス拒否(DoS)攻撃の標的となる可能性があるiOSおよびiPadOSの脆弱性が確認されたのを受けて、それを修正するためにAppleがiOS 15.2.2をリリースしてからわずか2週間後に行われた。

関連記事:アップルがAirTagストーカー問題に対応、「Personal Safety User Guide」を改定

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

原文へ

(文:Carly Page、翻訳:Aya Nakazato)

アップルがiOS 15.3をリリース「活発に悪用された可能性がある」iPhoneの脆弱性を修正

Apple(アップル)は米国時間1月26日、iOS 15.3とmacOS Monterey 12.2のリリースにより、数十件のセキュリティ問題を修正した。

iOS 15.3では、同社が活発に悪用された恐れがあるとしている不具合を含む、合計10件のセキュリティバグが修正されている。CVE-2022-22587として追跡されているこの脆弱性は、IOMobileFrameBuffer(デバイスのメモリが画面表示を処理する方法を開発者が制御できるようにするカーネル拡張)のメモリ破壊バグで、悪意のあるアプリによるカーネルコードの実行につながる可能性がある。

また、AppleはmacOS Monterey 12.2をリリースした。ユーザーの最近のブラウジング履歴やGoogleアカウント情報が、Safari 15やサードパーティ製のウェブブラウザから流出する可能性があるというWebKitの不具合を研究者が発見し公表していたが、macOS 12.2ではそのバグに対する修正が含まれている。

この脆弱性は、ブラウザのフィンガープリンティングと不正行為の検出サービスを提供するFingerprintJSによって最初に発見されたもので、ブラウザにデータを保存するアプリケーションプログラミングインターフェース(API)であるIndexedDBのAppleによる実装に不具合があったという。

CVE-2022-22594として追跡されているこの不具合は、IndexedDBを使用しているウェブサイトが自分のドメインのみならず、ユーザーのブラウジングセッション中に他のウェブサイトが生成したIndexedDBデータベース名にアクセスすることを可能にし、ひいては、ユーザーが別のタブやウィンドウで訪れた他のウェブサイトを追跡することも可能にする。また、IndexedDBのデータベース名にユーザー固有の識別子を使っているGoogleなどのウェブサイトでは、攻撃者がユーザーのGoogleアカウント情報にアクセスできる可能性があるとFingerprintJSは警告している。

また、iOS 15.3には、アプリがルート権限を取得する可能性があるセキュリティ問題、カーネル権限で任意のコードを実行する問題、およびアプリがiCloudを通じてユーザーのファイルにアクセスできる問題の修正が含まれている。

一方、macOS Monterey 12.2では、合計13件の脆弱性が修正されている。後者は、以前に報告されたSafariでのスクロールの問題を修正し、MacBookにスムーズなスクロールをもたらすことも約束している。

また、レガシーバージョンのmacOS Big SurおよびCatalinaのセキュリティ修正プログラムもリリースされた。

今回の最新セキュリティアップデートの公開は、HomeKitを介して悪用され、持続的なサービス拒否(DoS)攻撃の標的となる可能性があるiOSおよびiPadOSの脆弱性が確認されたのを受けて、それを修正するためにAppleがiOS 15.2.2をリリースしてからわずか2週間後に行われた。

関連記事:アップルがAirTagストーカー問題に対応、「Personal Safety User Guide」を改定

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

原文へ

(文:Carly Page、翻訳:Aya Nakazato)

iOS・iPadOSとmacOS用の最新版Safari 15に深刻なバグ、Googleアカウント情報やブラウズ履歴が漏えいの恐れ

iOS・iPadOSとmacOS用の最新版Safari 15に深刻なバグ、Googleアカウント情報やブラウズ履歴が漏えいの恐れ
iOS・iPadOSとmacOS用の最新版Safari 15に深刻なバグ、Googleアカウント情報やブラウズ履歴が漏えいの恐れ

9to5Mac

iOS/iPadOSとmacOS用の最新版Safari 15にバグがあり、Googleアカウント情報や最近のブラウジング履歴が流出する恐れがあると報じられています。

Webブラウザ向けの指紋認証サービスを提供するFingerprintJSは、ブログ記事にてSafari 15にはIndexedDB実装にバグがあり、特定のWebサイトが自分のドメインのみならず、あらゆるドメインのデータベース名を見られると指摘しています。このデータベース名は、ルックアップテーブルから識別情報を抽出するために使用できると述べられており、実際に試せる概念実証デモも公開されています

たとえばGoogleのサービスでは、ログインしているアカウントごとにIndexedDBインスタンスを保存しており、データベース名はGoogleユーザーIDに対応しています。ここで報告されている脆弱性を利用すれば、悪意あるサイトがユーザーのGoogle IDを抽出して、そのIDにより他の個人情報も抜き出せるというわけです。上記の概念実証デモでは、実際に(匿名であるはずの)アクセスした本人のGoogleプロフィール写真も表示されてしまいます。

このバグは、すべての IndexedDB データベースの名前がどのサイトでも参照できるだけであり、各データベースの実際のコンテンツへのアクセスは制限されているとのことです。

つまりデータベース名が分かるだけで、それ以上の中味を見たり、内容を改変したりはできないということ。GoogleユーザーIDはデーターベース名から分かるため個人を特定でき、またデータベース名から最近立ち寄ったサイトの履歴ものぞき見られるというわけです。

ちなみにChromeなど他のブラウザでの本来あるべき動作は、Webサイトが自分のドメイン名と同じドメイン名により作られたデータベースのみを見ることができる、というものです。

この脆弱性はiPhone、iPad、Macに搭載されたSafariの現在バージョンすべてで悪用できるとのこと。 FingerprintJSによると、11月28日にAppleにバグを報告したものの、まだ解決していないそうです。今後のアップルの対応を待ちたいところです。

(Source:FingerprintJS。Via 9to5MacEngadget日本版より転載)

Safariのプライバシー保護を迂回したトラッキングに対する損害補償を求める英国の集団訴訟上訴審でグーグルが勝訴

Google(グーグル)は英国最高裁で集団訴訟形式のプライバシー訴訟上訴審で勝訴した。もし敗訴していたら、最大30億ポンド(約4602億円)の罰金が課せられるところだった。

この長期に渡る訴訟は老練の消費者権限活動家Richard Lloyd(リチャード・ロイド)氏が起こしたものだ。同氏は2017年以来、グーグルがApple(アップル)のSafariのプライバシー保護設定を回避して、2011~2012年の間にSafariブラウザーのiPhoneユーザーのプイバシー設定を上書きしていたとして、400万人を超えると推定される英国のiPhoneユーザーのプライバシー侵害に対する補償を求めて集団訴訟裁判を戦ってきた。

ロイド氏の訴訟はプライバシー被害の損害賠償を求めて起こされたものだが、より広い意味では、データ保護違反の損害賠償を求めて英国で代表訴訟を起こせるようにしたいと考えてのことだ。英国の法律では一般に集団訴訟を起こすための体制が確立されていない。

2018年、高等法院はこの訴訟の審理停止を言い渡したが、翌2019年、控訴院はその判決を覆し、審理の継続を許可した。

しかし、今回、最高裁判決では、全会一致で、高等法院の見解は基本的に覆され、集団訴訟は停止された。

最高裁判事は、賠償を請求するには損害 / 損失を被っている必要があり、個人ベースでの損害 / 損失を証明する必要性を省略することはできないという考え方を示した。つまり、代表集団の個々人の個人データの「コントロールの喪失」について、ロイド氏の訴訟で要求されてきたように一律に補償を行うことはできないということだ。

「こうした事項を証明できなければ、損害請求によって賠償金を獲得することはできない」と最高裁は自身の判決について記述している。

この判決はトラッキング業界に対する集団訴訟を起こすことができるようにしたいという英国運動家の望みに大きな打撃を与えた。

グーグルがこの訴訟に負けていたら、プライバシー違反に対するより多くの代表訴訟への門戸が開いていたことだろう。しかし、グーグル勝訴したことで、近年、商業訴訟資金提供者を惹き付けてきた、データマイニングテック大手を相手取った英国の集団訴訟の動きに水を差すことになるだろう。

関連記事:オラクルとセールスフォースのCookie追跡がGDPR違反の集団訴訟に発展

今回の判決を受けてBLMという法律事務所は次のように書いている。「今回の結果は、大量のデータを処理したり、個人データの利用にビジネスモデルの基盤を置いているグーグルやその他の企業(およびそうした企業の株主や保険業者)にとってうれしい知らせとなるでしょう」。

別のLinklaters LLPという法律事務所は、この判決を「データ漏洩領域における損害で新しいオプトアウト体制を作り上げようとしてきた原告の法律事務所や資金提供者には大きな痛手」と評している。

「判決後にたくさんの似たような訴訟が起こると期待していましたが、それも消えてなくなりました」とLinklatersの紛争解決パートナーHarriet Ellis(ハリエット・エリス)氏は付け加えた。「原告の法律事務所は今回の判決を慎重に見直して、それでもまだオプトアウト集団訴訟を戦える可能性が残されていないか調べていますが、かなり難しいようです」。

TechCrunchは前回ロイド氏の代理人を引き受けた法律事務所Mishcon de Reya(ミシュコンデレイヤ)に連絡し、コメントを求めた。同事務所によると、この件に関しては前回ロイド氏の代理人を務めたものの、最高裁訴訟では代理人の務めを果たしていなかったという。

同事務所のデータ実務責任者Adam Rose(アダム・ローズ)氏は次のように付け加えた。「被告が勝訴したものの、今回の判決でデータ保護違反の補償請求が終わりを告げると判断するのは時期尚早だと思います」。

「最高裁はグーグル側の主張を支持したものの、この判決は主に、現在は廃止された1998年データ保護法のもとでこうした訴訟を起こす法的メカニズムに関して判断を下したもので、データ保護法の包括的な権利と原則を否定するものではありません。つまり、まだ説得力ある議論を行う余地は間違いなく残されています。とりわけ、新しい英国GDPRの枠組みのもとでは、特定の集団訴訟の審理が認められていますし、データ保護法違反で補償が適切と認められるケースはあると思います」とローズ氏はいい、次のように付け加えた。「今回の判決でバトンは議会と情報コミッショナーに渡された形になります」。

「議会では、データ保護法のもとでオプトアウト訴訟をより簡単に起こせるようにするには法律が必要だということになるかもしれません。情報コミッショナーの立場からすると、故意かつ大規模なデータ保護法違反に対する断固たる強制行動と、データ主体に対して効果的な司法救済を与えることが早急に必要とされています。これは英国GDPRと現行のデータ保護フレームワークで約束されていることです」。

グーグルは今回の最高裁判決を受けて、裁判の詳細に関する考察は避け、次のようにコメントするだけに留めている。

この訴訟は、10年前に起こり当時当社が対処した出来事に関連するものです。人々はオンライン上でも安全かつセキュアでいたいと思っています。我々が人々のプライバシーを尊重し保護する製品とインフラストラクチャを構築することを長年重視してきたのもそうした理由からです。

グーグルの広報担当はtechUK事業者団体によって出された声明も提示した。同団体は、今回の訴訟でグーグル支持の立場で仲裁に入り、今回の判決について次のようにコメントしている。「今回の上訴が棄却されていたら、膨大なデータを操作するデータコントローラー企業に対して思惑的にいやがらせで訴訟を起こす扉が開かれることになり、民間企業、公的機関の双方に広範な影響が出ていたでしょう」。

techUKはさらに次のように続ける。「我々は代表訴訟に反対するものではありませんが、訴訟を起こすのであれば、まず、データ侵害の結果として個人に損害がもたらされたかどうかを明確にする必要があります。補償請求はその後です」。

ただし、最高裁の判事は「オプトイン」(オプトアウトではない)訴訟の裁判費用について、1人当たりの補償額が数百ポンド(数万円)にしかならない場合、裁判に持ち込むメリットがまったくなくなってしまう(ロイド訴訟では提示額は1人あたり750ポンドだった)と指摘している。というのは、原告1人あたりの裁判費用が補償額を容易に上回ってしまう可能性があるからだ、と指摘している。

はっきりいうと、techUKは、ほぼすべてのデータ侵害に対して代表訴訟を起こすことに反対の立場をとっている。

一方、英国のデータ保護監視機関は、データマイニングアドテック産業に対する法執行についてはまったく消極的だ。2019年以来、ICO(プライバシー監視機関)が違法トラッキングのまん延について警告しているにもかかわらずだ。

英国政府は現在、国内のデータ保護体制の弱体化対策に取り組んでいる

このように、英国の法律に記載されている平均的な英国市民のプライバシーの権利は、今かなりあいまいになっている。

米国では、グーグルは10年前、SafariのCookieトラッキング問題についてFTCと同意し、Safariのプライバシー設定を迂回して消費者にターゲット広告を配信したことについて、2012年に2250万ドルの罰金を支払うことに合意した(ただし、不正行為については認めなかった)。

人権グループも、今回の最高裁判決を受けて、政府に集団的回復の法制化求めた。

Open Rights Groupの事務局長Jim Killock(ジム・キロック)氏は次のように語った。「市民が大規模なデータ侵害に対して、家を手放すリスクを負うことも、情報保護監督機関のみに依存することもなく、回復を求める手段があってしかるべきです」。

ICOはすべてのケースに対応できるわけではなく、ときには、対応を渋ることもあります。我々は2年間にわたって、ICOが違法行為を認めているアドテック業界に対する対策を待ち続けてきました。しかし、対策が実施される様子はありません」。

「このようなケースで法廷費用を支払うために家を手放すリスクを負うのはまったく不合理です。しかし、集団訴訟ができなければ、残された道はそれしかありません。多くの場合、テック大手相手にデータ保護を実施するのは極めて困難です」。

「政府は約束を守り、GDPRのもとでの集団訴訟の実施を検討すべきです。しかし、政府は2月に、ロイドvs.グーグル訴訟で既存のルールのもとでも回復は可能であることが示されたという理由で、集団訴訟の実施を明確に拒否しました」。

画像クレジット:Chesnot/Getty Images / Getty Images

原文へ

(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

アップルが不評だったSafariの変更点をiOS 15 beta 6で修正、再びアドレスバーの上部表示も可能に

Apple(アップル)は、次期iOS 15でモバイル版「Safari(サファリ)」のデザインを変更し、アドレスバーを画面の下部に移して、ページのコンテンツの上に重ねる(フローティングさせる)としていたが、物議を醸したこの決定から、ゆっくりと後戻りしつつあるようだ。このデザイン変更は、片手でSafariの操作がしやすいようにすることを主な目的としていたものの、実際にはこれによって以前より使いにくくなったという批判を受けていた。今回リリースされた最新のベータ版であるiOS 15 beta 6では、アップルはユーザーからのフィードバックや不満に応え、ページコンテンツの下にタブバーを表示するようにデザインを修正。このアップデートが気に入っていた人にも、標準的な体験を提供することになった。さらに重要なのは、アップルが画面下のタブバーをユーザーに強制しなくなったことだろう。

関連記事:アップルが物議を醸しているiOS 15のSafariの変更を最新ベータで微調整

最新リリース版では、アドレスバーを以前のようにページの上部に表示するオプションが追加されたのだ。今回のアップデートが気に入らなかったユーザーは、これで「普通」に戻すことができる。

タブバーの変更前と変更後(画像クレジット:スクリーンショット)

フローティングしたタブバーに対する大きな不満は、ウェブページによってはクリックしたいボタンやリンクがこのタブバーに遮られてしまうため、ほとんど使えなくなってしまう場合があることだった(タブバーに遮られた箇所をクリックするためには、いちいちタブバーを下にスワイプしなければならなかった。これでは最適なデザインとはとてもいえない)。

iOS 15のSafariでは下のバーのせいでチェックアウトボタンが押せないので、テイクアウトの注文ができない日が続いている。

あのブルスケッタを食べさせてくれないなんて、ありがとうSafari

フェデリコ・ヴィティッチ

iOS 15 beta 6では、これらの問題が解決されている。基本的に、タブバーの外観は以前のように、つまり画面の上部に設置されていた頃と同じように、見慣れたボタンが並んでいる。タブバーがウェブサイトのコンテンツを遮ることもなくなった。

ベータ版をテストした人からは、リロードボタンやリーダーモードなどのよく使う機能を、3つのドットで表示された「その他」メニューの下に隠すというアップルの独自の判断が、Safariを以前よりも使いにくくしているという指摘もあった。iOS 15 beta 4では、この問題を解決するために、リロードボタンと共有ボタンを復活させ、リーダーモードが利用可能な場合は表示されるように修正した。しかし、それでもボタンは小さく、以前よりもタップしにくかった。

新たに変更されたタブバーと、それが画面の上下に関わらず、普通に戻ったことは、この問題に関するユーザーの不満が妥当であると、アップルが事実上認めたことになる。また、これはベータテストの本来の目的である、新しいアイデアを試して、うまくいかなかった点は修正するということのデモンストレーションでもある。

この修正とは別に、beta 6ではタブバーをページの最上部に戻すこともできるようになった。そちらの方が好みであれば「設定」→「Safari」で、デフォルトの「タブバー」と、アドレスバーを画面上部に配置する「シングルタブ」のいずれかを選択できるようになった(ただし後者を選択すると、タブバーでは可能だった、開いているタブをスワイプして切り替える機能が失われる)。

アップルがデフォルト設定の代替となる選択肢を用意するのはよくあることだ。例えばMacのトラックパッドでは、ジェスチャーやクリックがどのように機能するかをユーザーが設定できるようになっているし、かつて物議を醸した「自然な」スクロール方向のオプションをオフにすることもできる。しかし、アドレスバーを最上部に戻すオプションが追加されたことは、iPhoneで最も頻繁に使用されるアプリケーションの1つであるSafariの使い方を学び直したくないと考えるユーザーが相当数いると、認めたということである。もし、そのようなユーザーにこの変更を強要すれば、彼らは代わりに他のブラウザを使うようになるかもしれない。

アップルは通常、iOSソフトウェアの最新版を秋にリリースするため、一般公開に先立って行われるSafariの変更は、今回のアップデートが最後になるかもしれない。

関連記事
アップルがメッセージアプリで送受信される性的な画像を検知し子どもと親に警告する新技術を発表
電子フロンティア財団などが批判する中、アップルの児童虐待対策用iCloud写真スキャンに関する社内メモ流出か
アップルがiCloud上の児童虐待画像を検出する新技術「NeuralHash」導入へ

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleiOSiOS 15ベータ版ブラウザSafariアプリ

画像クレジット:Apple

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アップルが最新ベータでiOS 15のSafariの変更点を微調整

Apple(アップル)は、米国時間7月27日のiOS 15とiPadOS 15ベータ4リリースで、以前にSafariのモバイルブラウザーに対して行い、議論を呼んだ変更に対するユーザーからの苦情やフィードバックに対応している。問題となっているSafariの新デザインは、WWDCで発表され、タブバー(URLバー)を画面の下へ移動させている。iPhoneの人気アプリにしては思い切った変更だが、狙いはiPhoneを片手で使ってるときにコントロールに届きやすいようにするためだ。しかし批判する人たちは、リロードボタンやリーダーモードなどのよく使う機能が見つけにくく使いづらくなり、モバイルブラウザーの全体として使いやすさを損なうという。

Appleの名誉のために言えば、同社は寄せられたフィードバックに耳を傾けていた。

以前のデザインではタブバーは画面上部という従来からの位置にあり、左にあるリーダーモードボタン(Aが2つ)も右のリロードボタンもアクセスしやすかった。下の方には、前進 / 後退ボタンと、シェアボタン、リーディングリスト、そしてタブボタンがあった。

iOS 15のデザインでは、よく使われる機能への便利なアクセスポイントがすべてなくなり、何よりも、タブバーへのアクセスのしやすさが優先された。代わりに3つのドットを並べた「more」メニューに、ウェブを閲覧しているときよく使うもののすべてが隠された。ウェブサイトのリロードやリンクの共有、ページをリーダーモードで見る、記事を後で読むに保存するなどすべてだ。隠されたさまざまなアクションの合計数は20以上に及ぶ。

Apple評論家のJohn Gruber(ジョン・グルーバー)氏はポッドキャストThe Talk Showで、その新デザインは、WWDCにおけるSafari発表の数週間も前から、Appleの社内ですら不評だったと語っている。例えば新デザインはクールに見えるが、あまり便利でないという評価もあった。

TechCrunchの編集長であるMatthew Panzarino(マシュー・パンザリーノ)もそのポッドキャストに招かれていたが、一般的に画面上にモノが少ないのは良いことだが、今回は失敗だとグルーバー氏に同意していた。

その際、マシューは「実際に使ってみると、かえって画面が煩雑になりわかりにくくなる。スクロールといったアクションをしないかぎり、画面が広くなった感じはしない。だから、それもおかしい」と話している。

今回ベータ4のアップデートでAppleは、この変更から生じた問題の一部をフィックスしようとした。

まずタブバーに「共有」ボタンを再び追加し、メニューの下にその他のコントロールを入れた。リンクの共有はウェブユーザーで最も頻繁に行う作業であるため、それを元に戻してワンタップで済むようにしたのは合理的だ。

Refreshボタンは、これから常にiOS 15のSafariのアドレスバーにある。

リロードボタンは再びタブバーに登場し、ドメイン名の横に置かれた。以前よりも、ちょっと小さい。

一方「リーダーモード」ボタンは、リーダーが使えるようになればタブバーに現れる。そしてワンタップでアクセスできる。

タブバーは、ユーザーがウェブサイト上のボタンと対話しているときには最小化される。以前はそれが邪魔になり、ウェブサイトのボタンに届かないときには、使いやすさを損なった。

先日、iOS 15のSafariでチェックアウトボタンがタップできずテイクアウトのオーダーができなかった。ブルスケッタが食べられなくてありがとう、Safariさん。

iPadOS 15では、デフォルトではURL下のスタンドアローンのタブバーにタブが現れることに気づくだろう。1行でURLと開いてるタブを表示する、すっきりとしたコンパクトなタブバーはiPadOS 15でも導入され「Safari Settings」で有効にできる。

なお、モバイルブラウザーのデザインについてこのように再考したのは、Appleが最初ではない。

元Google ChromeのデザインマネージャーChris Lee(クリス・リー)氏回想によると、Chromeのモバイルブラウザーでも同様のデザイン変更が行われ、URLバーを下に置いたことがあるが、そのバージョンは結局、ローンチされないことになった。それはベータテストでの評価がさまざまだったからだ。その新デザインは、テクノロジーコミュニティで熱心なファンも獲得したが、メインストリームのユーザーはその変更に戸惑うばかりだった。

Safariのように頻繁にローンチされるアプリの使用については、マッスルメモリーの問題もある。私のようにバーの新しい配置を気に入るようになってからも、ウェブサイトを訪問したり、複数のタブをスワイプするといった複雑な操作を、デザイン変更はそれを難しく感じさせてしまう。

また、習慣でいろいろなアクションのショートカットを画面上部に探さないようになるためには、一定の学習期間が必要だ。

この度のベータでは、Safariのアップデートの他にもいろいろな修正が行われた。複数の連絡先とフォーカスのステータスを共有する方法や、新たにXLサイズのウィジェットもある(これはiPadのApple Podcastsが採用)。小さな変更や工夫は他にもある。

関連記事
アップルが最新iOS 15のベータ版をすべての人に公開、開発者アカウント不要
【インタビュー】アップルがiOS 15で明らかにした「ヘルスケア」の未来、同社VPが語る初期Apple Watchから現在まで
アップルがWWDC2021でひっそり発表した7つのセキュリティ新機能

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleiOSiOS 15Safariベータ版

画像クレジット:Apple

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ウェブ関連技術の標準化推進団体「W3C」がブラウザー拡張機能の共通化に向け「WECG」コミュニティ立ち上げ

ウェブ関連技術の標準化推進団体「W3C」がブラウザー拡張機能の共通化に向け「WECG」コミュニティ立ち上げ

NurPhoto via Getty Images

ウェブ関連技術の標準化推進団体W3C(World Wide Web Consortium)は6月4日(現地時間)、各社ウェブブラウザの拡張機能に関して「共通のビジョンを持ち、将来の標準化に向けて活動することを目的」としたコミュニティグループ WebExtensions Community Group (WECG) の立ち上げを発表しました。

立ち上げに関わったのはApple、Google、Microsoft、Mozillaの主要ブラウザメーカーで、他のメーカーや拡張機能の開発者らの参加を呼び掛けています。

まずは、Chrome、Microsoft Edge、Firefox、Safari でサポートされている既存の拡張機能モデルとAPIを基盤とし、仕様を作成することから始めます。

なお、コミュニティグループでは、ブラウザ拡張機能のすべてについて標準化を行うつもりはないともしています。つまり、1つの拡張機能を作れば、すべてのブラウザで利用可能になるようなものを目指しているわけではありません。拡張機能が利用するAPIやアクセス許可などの共通コアの標準化をすすめることで、開発者が各ブラウザ向けに簡単に拡張機能をリリースできるようにするほか、安全で悪用されにくいアーキテクチャの概要を示していくとのことです。

また、各ブラウザが拡張機能プラットフォームをさらに改善するために、APIを革新しリリースし続けることを望んでいるともしています。

WebExtensionsコミュニティグループの憲章は、Githubで確認が可能となっています。

(Source: W3CEngadget日本版より転載)

関連記事
FIDOアライアンスおよびW3C、「パスワード」無用の仕組みを提案
W3Cが宣言: HTML5の標準規格は最終的に確定した

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Apple / アップル(企業)Google / グーグル(企業)Safari(製品・サービス)Firefox(製品・サービス)Microsoft / マイクロソフト(企業)Microsoft Edge(製品・サービス)Mozilla CorporationW3C / World Wide Web Consortium(組織)

アップルがiCloudをアップデート、プライバシー機能を追加した「iCloud+」発表

Apple(アップル)はiCloud+という名称のサービスでiCloudをアップデートする。同社のデベロッパー会議WWDCで発表した。既存の有料iCloudユーザーは同じサブスク価格でiCloud+を利用できる。

AppleはSafariでPrivate Relayという新しいプライバシー機能を導入する。同社がCloudflareと開発してきた新しいDNS機能とやや似ている。元々はOblivious DNS-over-HTTPSという名称で、DNS-over-HTTPとプロキシサーバーの組み合わせだが、かなりシンプルという点でPrivate Relayはずっといい名称かもしれない。

Private Relayがオンになると、あなたのブラウジング履歴を誰も追跡できない。あなたのデバイスと、情報をリクエストするサーバーの間に介在するインターネットサービスプロバイダーも追跡できない。実際、どのように機能するか詳細についてはもうしばらく待たなければならない。

iCloud+の2つめの機能は「Hide my email」だ。ニュースレター購読を申し込むとき、あるいはウェブサイトでアカウントを開くとき、ランダムな電子メールアドレスを作成できる。もしあなたがこれまでに「Sign in with Apple」を使ったことがあるなら、フェイクのiCloud電子メールアドレスを使うオプションをAppleが提供していることを知っているだろう。これも同様に機能するが、どのアプリでも使える。

最後に、AppleはHomeKit Secure Videoを改良する。iCloud+の導入で、無料の iCloudユーザーと有料のiCloudユーザーを分ける。基本的にユーザーはこれまでストレージのためにお金を払っていたが、今後はストレージとさらに多くの機能が利用できるようになる。サブスクリプションは50GB(とiCloud+機能)月0.99ドル(約108円)からだ。

一般的なものでは、Appleは待望の2つの機能をiCloudアカウントに追加する。まず、アカウントリカバリーでの友達の追加だ。これにより、あなたのデータへのアクセスを友達にリクエストできるようになる。しかしそれはiCloudにあるあなたのデータに友達がアクセスできることを意味するのではない。あなたのアカウントをリカバーするための方法にすぎない。

そして切望されていたアップデートはレガシー機能だ。1つあるいはいくつかのレガシーコンタクト(データを相続する人の連絡先)を間もなく加えることができるようになる。そうすることであなたが死んだとき、データは引き継がれる。身近な人が亡くなると多くの写真ライブラリーがアクセスできなくなるため、これはかなり待ち望まれていた機能だ。

関連記事
アップルがiOS 15発表、「つながり続ける」「集中する」といった4つの柱を掲げFaceTime、通知などの新機能満載
アップルがmacOS 12 Monterey発表、PCとタブレットのギャップを埋める
アップルが動画や音楽をバーチャル共同視聴できる新機能「SharePlay」をiOS 15で導入
アップルのiOS 15新機能「Live Text」は写真内の文字を自動認識してテキストデータ化
今秋リリースのアップルのwatchOS 8にマインドフルネスと呼吸追跡の機能
アップルがMacにも「ショートカット」を搭載、Automatorからの移行を開始する
AppleマップがiOS 15アップグレードでより詳細な地図、交通機関ナビ、ARビューなど追加

カテゴリー:ネットサービス
タグ:AppleWWDC 2021WWDCプライバシーiCloudiCloud+Safariサブスクリプション

画像クレジット:Apple

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップルがmacOS 12 Montereyを発表、PCとタブレットのギャップを埋める

この1年で、最近の記憶の中で最も劇的なMacのアップデートが行われた。2020年のWWDCで、Apple(アップル)は待望されていたIntelチップから自社のファーストパーティ製シリコンへの移行を発表。年末までに、最初となる3台のM1 Macと、macOSの最大のアップデートの1つとなるBig Surを発表している。

WWDCのキックオフにおいてAppleは、macOS 12を発表した。その名も「Monterey」。同OSに搭載される「Universal Control(ユニバーサルコントロール)」は、デスクトップとタブレット間のギャップを埋める最も重要な新機能だ。Macの隣にiPadを置くと、同じトラックパッドとキーボードを使ってデバイス間でカーソルを移動させることができるようになる。本機能は、同時に3台までのデバイスで動作する。

また「AirPlay to Mac」では、大きなデスクトップ画面にコンテンツを直接キャストできるようになっている(テレビを持たない私のような変人にはうれしい)。ショートカットもmacOSで利用できるようになり、従来のAutomaterよりも簡単に自動化できる。ユーザーは人気モバイルアプリのデスクトップ版にAutomaterのワークフローを直接インポート可能だ。移行は数年がかりのものになると思われるが、Automaterがなくなってしまうのは(少々)寂しい。さらにSiri、Spotlight、メニューバー、そしてFinderにもショートカットが追加される。

もちろん、Safariにもいくつかのアップデートがある。その中でも最大のニュースは「Tab Groups(タブグループ)」の登場だ。その名のとおり、タブをグループ化し、他のユーザーと共有できる機能だ。これは非常に多くの使い方ができるので、多くのユーザーがワークフローを見直す必要がでるだろう。しかし、少なくともタブバー自体は、よりすっきりと合理的になる。

また、iOSとiPadOSで利用できるデスクトップ拡張機能も新たに追加された。デスクトップはAirPods ProのSpatial Audioにも対応するようになり、LaunchPadにはゲームフォルダが追加、コンテンツを1カ所に集められるようになり、ログイン画面にMemojiを表示できるようになる。

いくつかのすばらしい機能が追加されたが、さすがに新macOS「Monterey」は「Big Sur」ほどの大きなアップデートではなかった。大きなニュースの多くはボンネットの中で起こっているようだ。

関連記事
Apple Watchで心疾患発見を目指す、慶應医学部 木村雄弘先生に訊く(WWDC 2021)
アップルが過去10年の間、業界をリードした理由がわかる1通のメール

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleWWDC 2021WWDCmacOSmacOS 12 MontereySafari

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)