ノイズを排除し営業担当者が最も有望な見込み客に注力できるようにする支援ツールをScratchpadが発表

Scratchpad(スクラッチパッド)は、人気の高いCRM(顧客関係管理)アプリケーションであるSalesforce(セールスフォース)の上位レイヤーとして機能することによって、Salesforceに情報を簡単に入力できる方法を提供する製品として誕生した。しかし、同社の創業者たちは、Scratchpadが単なる営業支援ツールに留まるべきではないことを認識していた。同社は米国時間3月23日、Scratchpadを営業担当者の中心的なワークスペースにするために、インテリジェンスを活用して取引を成立させる可能性の高い見込み客を探し出すことができる新機能を発表した。

Scratchpadの共同設立者でCEOのPouyan Salehi(プーヤン・サレイ)氏によれば、同社は営業担当者とその働き方を観察することに、多くの時間を費やしてきたという。それによって、Salesforceに案件データを入力する方法を簡略化するというアイデアが生まれたわけだが、彼らの中には、営業担当者が日々経験している通知に関するノイズを軽減する方法を見出したいという思いが高まってきた。

画像クレジット:Scratchpad

「営業担当者の人々は、通知やアラートに追いかけられて、仕事の流れが乱れたり、途切れたりします。それが、なかなか仕事が進まない原因となっているのです」と、サレイ氏は説明する。そこで同社は、このようなノイズを排除し、営業担当者にとって最も重要な情報を表示する方法を検討し始めたという。通常、それは最も早く成約できる案件であり、そのためには、どこに最も力を入れるのが合理的なのか、次に何をすべきなのかを、はっきりさせるということだ。

「私たちは、営業のための最優先受信箱というコンセプトを思いつきました。つまり、重要な通知やアラートをすべて収納するコンテナです。そして、大きな差別化要因は、ユーザーにそれらの通知を与えるだけでなく、それに対して非常に迅速かつ簡単にアクションを起こす方法を提供することです」と、サレイ氏は語る。

営業担当者が見る通知は、カスタマイズが可能であり「Scratchpad通知ビルダー」と呼ばれるシンプルなワークフローエンジンで、通知を作成できる。サレイ氏はこれを、営業チームが自分たちの働き方に適ったワークフローを構築するための最初のステップと位置づけている。

同社は1月に3300万ドル(約40億7000万円)のシリーズB資金調達を発表している。今回の発表は、少なくともその資金の一部を投入し、同社が製品の機能を拡張して、よりプラットフォーム的な感覚を持たせようとしていることの表れだ。

画像クレジット:Westend61 / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

営業担当者がその顧客のエキスパートになるための洞察を提供するDatabookが約57億円を調達

Databookの共同設立者でCEOのアナンド・シャー氏(画像クレジット:Databook)

2021年4月にシリーズAで1600万ドル(約18億円)を獲得した、AIを活用したコンサルティング型セールスインテリジェンス企業であるDatabook(データブック)が、今度はシリーズBで5000万ドル(約57億円)を獲得した。

パンデミック3年目でリモートワークが続く中、営業担当者の88%が「現在の経済状況では顧客のニーズを予測することが重要」と感じているとSalesforce(セールスフォース)は指摘する。しかし、営業担当者は、経営幹部へのセールスに必要な戦略的洞察、関連するビジネスユースケース、パーソナライズされたコンテンツが不足していることが多い。

そこでDatabookの出番だ。同社は、営業担当者が顧客の専門家になれるようなツールを、ボタンをクリックするだけという形で提供している。Databookの顧客基盤は現在、毎年3000億ドル(約34兆円)超の売上高を生み出しており、Salesforce、Microsoft(マイクロソフト)、Databricks(データブリックス)などのエンタープライズ企業がこの技術を利用して顧客の購買体験を向上させ、結果として収益獲得を増やしている。

「Databookのプラットフォームは、営業担当者のビジネスセンスを高め、アカウントの優先順位付けを支援し、営業活動全体を解決しようとするビジネス上の問題に正面から取り組むためのものにする強制機能です」と、Salesforceのエンタープライズセールス担当AVP、Frank Perkins(フランク・パーキンス)氏は文書で述べた。「Databookは、アカウントプランニングの方法と、担当者がアカウントに売り込むための準備に革命をもたらします。そして、これらすべてを一般的な営業担当者が完全にアクセスできる方法で行います。ゲームチェンジャーです」。

MicrosoftのベンチャーファンドM12はシリーズAをリードし、Bessemer Venture Partnersが主導する今回の応募者多数のシリーズBラウンドにも参加した。さらに、DFJ Growth、既存投資家であるThreshold Ventures、Salesforce Ventures、Haystackが参加している。

Databookの共同設立者でCEOのAnand Shah(アナンド・シャー)氏は、こんなに早く追加資金を調達するつもりはなかった、と電子メールを通じて語った。実際、同社は過去4年間で3倍の売上成長を見せており、その多くはマーケティング費用をほとんどかけずに得た需要だ。

「当社の財務内容は健全で、当社の規模とステージとしてはユニークで強固なものですが、イノベーションと新規顧客開拓のスピードを支えるべく採用を加速させるために、今すぐ追加資金を調達することにしました」とシャー氏は付け加えた。

同ラウンドの主導権を争う投資家が多数いたにもかかわらず、Databookが以前から知っているBessemerを選んだ理由について「優れた実績を持つナンバーワンのクラウドSaaS投資家」であり「当社の今後をかなり支援できる広範な投資およびポートフォリオ運用チームを抱えています」とシャー氏は述べた。

同氏は、今回の資金を3つの方法で活用する意向だ。1つ目は、製品、エンジニアリング、営業、マーケティング、カスタマーサクセスなど、事業の全部門での雇用だ。2つ目は、銀行、生命科学、小売、消費財などの新しい業界への進出だ。これらの業界はすべてデジタル化の影響を受けており、顧客関係管理への投資を行い、営業担当者が顧客について十分な情報を持ち、効果的に販売するために十分な時間が必要だと考えていると、同氏は指摘する。

Databookの顧客は、官民4万4000社のグローバルデータセットを活用している。このため、3つ目の資金活用分野として、欧州とアジア太平洋地域への事業拡大、営業およびマーケティングチームへの投資を行う。これは元アクセンチュアのPeter Zuyderduyn(ピーター・ザイダーダイン)氏を2021年に欧州地域のゼネラルマネージャーに任命したことを補完するものだ。

今回の資金調達は、同社にさまざまな変化が起きている中で行われた。シリーズAラウンドから評価額は5.5倍になり、従業員数も2倍に増えた。さらに、同社は2021年を売上高350%増で終え、第4四半期は複数の7桁の取引成立を受けてこれまでで最も好調な四半期となった、とシャー氏は述べた。

「これは、当社のビジネスと顧客基盤の急成長を直接証明するものです」と同氏は付け加えた。「当社の従業員の38%はこれまで過小評価されてきたコミュニティ出身者で、今後も採用を続けるなかで、多様性、公平性、包括性にいて高い水準を保つことを約束します」。

従業員の増加は役員レベルにも及んでいる。元Google社員のNeil Smith(ニール・スミス)氏が最高技術責任者に、Tamar Shor(タマール・ショア)氏がTreasure Dataを経て製品担当上級副社長に、そして元SalesforceのBruno Fonzi(ブルーノ・フォンジ)氏がエンジニアリング担当副社長に就任した。

一方、Databookはコンサルティング型セールスインテリジェンスのパイオニアであり「今、企業のB2Bセールスが優先している」この新しいカテゴリーのリーダーであり続けている、とシャー氏は話す。アカウントベースのテクノロジーやセールストレーニングに莫大な投資を行っているにもかかわらず、法人向けソフトウェアは依然として非効率で、収益の平均41%が営業とマーケティングのチームに費やされている。シャー氏は、Databookを使用する営業チームは、平均して3倍のパイプラインを達成し、2倍近くの案件を生み出し、サイクルタイムを1.5倍速くしていると推定している。

「企業は将来に向けて、企業におけるデジタル販売の役割を見直す必要があります」と同氏は話した。「顧客価値と信頼を生み出すには、市場開拓チームのメンバー全員が、特定のビジネス成果を解決する完全なソリューションで買い手と売り手を調整することで、戦略的なコンサルタントとして機能する必要があります」。

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

製品主導の成長機運が高まる中、製品の使用状況と販売機会を結びつけるEndgameが再び資金注入を受ける

「製品主導の販売と成長」は2021年の大きなバズワードであり、スタートアップ企業はそのアプローチを発展させるために新たな資本を調達し続けている。

例えばEndgame(エンドゲーム)は、米国時間2月8日にシリーズBで3000万ドル(約34億6200万円)の資金調達を完了したと発表した。同社は自らを「世界初の製品主導型セールスプラットフォーム」と称し、ソフトウェア会社が顧客観察を市場参入戦略に転換することを可能にしている。

Endgameの製品は、基本的に製品の使用状況と販売機会を結びつけるもので、ソフトウェアを経営陣に売り込み、それを使用しない従業員に流していくのではなく、従業員自身が運転席に座り、最初は無料でソフトウェアを試し、気に入ったものを購入できるようにする。収益チームは、このようなコンバージョン行動を利用して、より適切な販売ターゲットを設定することができるのだ。

CEOのAlex Bilmes(アレックス・ビルメス)氏は「製品主導型の成長の推進力は、資本を追うビジネスの間で強く、当社にとっては、LaunchDarkly(ローンチダークリー)、Airbyte(エアバイト)、Retool(リトール)、Algolia(アルゴリア)、Grain(グレイン)、Shortcut(ショートカット)など、初期の強力な顧客獲得につながっています。もう1つは、製品主導の販売カテゴリーをより明確にしたことで、これが非常にうまくいったので、どうすればうまくいくのかと聞かれるようになりました」。と述べている。

今回の新ラウンドは、2021年7月に行われた同社の1700万ドル(約19億6100万円)のラウンドからの早い転換で、Endgameは、1年前にビルメス氏によって設立されて以来、4750万ドル(約54億8000万円)の総資金調達となった。EQT Ventures(EQTベンチャーズ)がこのラウンドを主導し、Lachy Groom(レイチー・グルーム)と既存の投資家であるMenlo Ventures(メンロ・ベンチャーズ)、Upfront Ventures(アップフロント・ベンチャーズ)、Unusual Ventures(アンユージュアル・ベンチャーズ)が参加した。

ビルメス氏はTechCrunchに、同社は資金調達を計画していなかったが、初期のデザインパートナーが顧客に転換し、その結果、予想よりも早く製品の支払いを申し出る勢いを見て、Endgameの資金を追加する決断をしたと語った。

ビルメス氏は成長率や評価額を明かさなかったが、2021年には数人だった会社が15人になり、今回の資金調達でチーム規模が3倍になると述べた。同氏によると、Endgameはデータセットを活用した「野心的な製品ロードマップ」を持っており、研究開発、データサイエンティスト、エンジニアリング、製品管理、市場参入の分野でチームの規模を拡大する必要があるとのことだ。

顧客関係管理市場は年率11%で成長しており、2027年には960億ドル(約11兆円)に達すると予想されている。製品主導の成長市場がどのように推移しているかを見るのは、興味深かったとビルメス氏はいう。

「Figma(フィグマ)、Notion(ノーション)、Airtable(エアーテーブル)など、資金調達を行う企業には魅力的なダイナミクスがあります。そのような企業が、成長という点で期待される向上をもって資金を調達すれば、その数字は我々にとって大きなものとなります」と述べる。

シリーズBラウンドのリードインベスターで、EQT VenturesのパートナーであるLaura Yao(ローラ・ヤオ)氏は、製品主導のビジネスに魅力を感じているという。このモデルは、10年前のDropbox(ドロップボックス)のように、しばらく前から存在していたが、彼女は、特にベンチャーキャピタルのエコシステムにおいて、そのモデルが再び人気を博しているのを見ている。

最近、彼女が特に注目しているのは、製品主導のセールスが増えていることだ。多くの人が多くのソフトウェアを持っているが、営業チームはその人が特定のソフトウェアを何回使ったか言えないことが多い。より効率的なセールスを行うには、企業がすでに持っているユーザーからリードを獲得するための別のツールが必要だ。そこで、Endgameの出番となるわけだ。

ヤオ氏は「私たちが期待するところでは、企業はそのような機会に対して非常に積極的でなければなりません」と付け加えた。「Endgameは、製品主導のセールスのためのツールスタックを提供しています。同社は、これはSalesforce(セールスフォース)など他の企業では解決できないようなデータの問題だということを理解しています。Endgameは、SaaSアプリケーションの顧客利用や課金に関するこれらの煩雑なデータを整理し、意味のあるものに変えているのです」と述べている。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

中小企業の営業とサポートチーム向け自動化プラットフォームSaaS Labsが約48億円を調達

SaaS Labs(SaaSラボ)は、中小企業の営業およびサポートチーム向けの自動化プラットフォームを積極的に成長させるため、前回の資金調達完了から3カ月足らずで新たな資金調達ラウンドで4200万ドル(約48億490万円)を調達し、2社のスタートアップを買収した。

SaaS LabsのシリーズBラウンドは、Sequoia Capital India(セコイア・キャピタル・インディア)が主導した。このラウンドには、既存の出資者であるBase 10 Partners(ベース10パートナーズ)とEight Roads Ventures(エイト・ロード・ベンチャー)の他、起業家の Anand Chandrasekaran(アナンド・チャンドラセカラン)氏、Allison Pickens(アリソン・ピケンズ)氏、Michael Stoppelman(マイケル・ストッペルマン)氏、Amit Agarwal(アミット・アガーワル)が参加している。今回の資金調達は、カリフォルニアとノイダを本拠地とする同スタートアップが10月に行った1800万ドル(約20億5800万円)のシリーズA調達に続くものだ。

大企業やエンタープライズ向けには、営業やサポート業務の効率化をもたらすツールが数多く存在する。しかし、中小企業には同じことは当てはまらない。これが、Gaurav Sharma(ガウラブ・シャルマ)氏が米国で立ち上げたHelloSociety(ハローソサエティ)というベンチャー企業で得た学びである(この会社は、New York Timesに買収された)。

彼はTechCrunchのインタビューで「中小企業は、彼らの指先にあるソフトウェア製品を見てみると、それほど愛されておらず、十分なサービスを受けられていないことがわかる」と語っている。それに比べて大企業は「エージェントの生産性を向上させるためのすばらしいツールにアクセスできる」と彼は述べている。

SaaS Labsはこの6年間、中小企業の営業チームやサポートチームを強化するために「同じくらい強力」なAI搭載ツールを構築してきた。これらの製品はノーコードソリューションであり、導入のためにITチームを持つ必要性を排除している。

「これらのツールはまた、非常に手頃な価格で、中小企業が依存する他のビジネススタックやオンプレミスのハードウェアソリューションとシームレスに統合することができます」と同氏は語る。

現在、1500万人以上の販売・サポート担当者が直面している課題は、コールログやCRMツールを手動で更新しなければならず、そのツールは上司にリアルタイムの更新情報を提供するようには設計されていないということだ。このため、彼らのコミュニケーションチャネルにギャップが生じ、リアルタイムに介入することができないのだ。

中小企業が営業やサポートチームのためにクラウドベースのコンタクトセンターを数分で立ち上げることができるSaaS LabのJustCallのダッシュボード(画像クレジット:SaaS Labs)

「顧客とのコミュニケーションを行う5人のチームを持つと、大混乱が起こり始めるものです。例えば、JustCall.ioは100以上のビジネスツールと統合されており、これらのチームが利用することができます。JustCallは1億件以上の通話データベースを持ち、機械学習によって通話の品質やプレイブックやワークフローが守られているかどうかを確認することができます。管理者は、すべての通話をふるいにかけるのではなく、評価の低い通話だけを見ることができるのです」と同氏はいう。

このスタートアップは、全世界で6000社以上の顧客を獲得している。小規模な企業であれば、月々25ドル(約2800円)程度の支払いで利用でき、ビジネスの成長とともに年額数万ドル(数百万円)の支払いに移行していくのが一般的である。

顧客のうち70%以上が米国、10%が英国に拠点を置いている。顧客にはGrab(グラブ)、GoStudent(ゴースチューデント)、Booksy(ブックシー)、HelloFresh(ハローフレッシュ)などが含まれる。

同スタートアップは何年も黒字を続けており、2021年は売上を2.5倍に伸ばしたという。

米国時間1月20日には、2つの買収も発表した。ポーランドに拠点を置くCallPage(コールページ)は、営業チームがリードと即座につながるためのコールバック自動化ツールで、フランスに拠点を置くAtolia(アトリア)は生産性とコラボレーションツールである(彼らのチームは、正社員としてSaas Labsに参加する予定だ)。シャルマ氏は、これらの買収はSaaS Labsの製品提供の幅を広げ、さまざまな市場での足跡を深めるのに役立つと述べている。

シャルマ氏によると、今回の資金の一部は、さらに多くのスタートアップを買収するために投入される予定だという。

「当社は十分な資本を有していますが、今回の資金調達により、成功した事業をさらに強化したり、優れた人材をグローバルに採用したり、革新的な製品を発売したり、ブランドマーケティングに注力したり、戦略的M&Aを積極的に行うために必要な資金を確保することができるようになります。中小企業が営業、サポート、マーケティングなどさまざまな機能を現代化するためにソフトウェアを導入し続ける中、SaaS Labsはこの機会を捉え、今後5~7年で30倍の成長を遂げることができると確信しています」。と述べている。

彼は、今後4~5年以内にSaaS Labsを上場させることを視野に入れているという。

「SaaS Labsは、中小企業向けのマルチチャネルの顧客コミュニケーションプラットフォームを構築しています。一連の製品を通じて、デジタルの効率性とオフラインのコミュニケーションチャネルの親密性を融合させた体験を提供しています」と、Sequoia Capital IndiaのMDであるTejashwi Sharma(テジャシュウィ・シャルマ)氏は声明で述べている。

「例えば、同社の主力製品であるJustCallは、大きなインパクトを与えることができました。顧客は、平均して1人のエージェントが手作業で行う時間を週に12時間短縮したと報告し、顧客満足度は30%向上しました。Sequoia Capital Indiaは、顧客コミュニケーションの未来を築くガウラブとそのチームと提携できることをうれしく思っています」とも述べている。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ノーコードで営業やマーケティングのためのデモが作れるWalnut、4カ月で700%の成長を遂げ約40億円調達

ヨアヴ・ビルナー氏とダニー・フリードランド氏(画像クレジット:Walnut)

企業の営業やマーケティングのためにノーコードでデモを作ることができるサービスWalnutが、8月の1500万ドル(約17億2000万円)のシリーズAに続き、シリーズBの3500万ドル(約40億円)の資金調達ラウンドを発表した。

Walnutのノーコードプラットフォームは、カスタマイズされた製品デモを迅速に作成し、営業やマーケティングのプロセスに統合することができ、さらにデモから洞察を得ることができる。

共同創業者でCEOのYoav Vilner(ヨアヴ・ビルナー)氏によると、シリーズA以降同社は、年間経常収益が700%という驚異的な成長を示した。同社は現在、Adobe、Dell、Medallia、NetApp、Treasure Data、Funnel、People AI、ContractBookといった100近いSaaSの顧客と提携している。

「発表直後から、多くの投資家が関心を寄せてくれた。当初の予定では、もっと後に資金調達するつもりだったが、このペースを維持していることから、今がチャンスだと思いました。ラウンドの間隔が3カ月というのは珍しいことですが、私たちが作っているものは、間違いなくもっと資金が必要な状態だったのです」とビルナー氏はいう。

最前のラウンドをリードしたFelicis Venturesは、これまでの累積で同社に5600万ドル(約64億1000万円)を与えている。ビルナー氏によると、Felicisという社名は彼がこれまで何度も耳にした名前であり、共同創業者のDanni Friedland(ダニー・フリードランド)氏もFelicisのSaaSとソフトウェアを対象とする投資に関心を示し、Walnutに合ってると感じた。

Felicisに加わったのは既存の投資家NFXとEight Roads Ventures、そしてA Capital、および戦略的エンジェル投資家のグループ、すなわちSalesforceの社長でCMOのSarah Franklin(サラ・フランクリン)氏、Oktaの共同創業者Frederic Kerrest(フレデリック・ケレスト)氏、TripActionsの共同創業者でCEOのAriel Cohe(アリエル・コーエ)氏、Papaya Globalの共同創業者でCEOのEynat Guez(アイナット・ゲズ)氏だ。

この新たな資金でWalnutは、米国とヨーロッパとイスラエルのチームを現在の55名から合わせて100名近くに増員できるとビルナー氏はいう。またもちろん、技術と製品開発にも注力する。

「ようやく需要を満たし、国を越えて人材を増やし、さまざまな接点での販売を促進するためのより広いプラットフォームを構築できるようになる。まだ名前すらない新しいカテゴリーを作っていますが、私たちの目標は販売スペースに革命を起こすことです。」と彼は付け加えた。

FelicisのゼネラルパートナーViviana Faga(ビビアナ・ファガ)氏と副社長のJake Storm(ジェイク・ストーム)氏はこのラウンドのリード投資家で、Walnutが行っていることを「sales experience」と呼び、同社は市場開拓のチームが顧客と対話できるようにしているという。ただしパンデミックである現在、誰も営業に会いたいとは思わないため困難な仕事だとファガ氏はいう。

それでもファガ氏は、Walnutのようなツールにとって今は好機だという。企業は、デモにますます力を入れようとしているからだ。また、営業チームだけが利用するのではなく、マーケティングやカスタマーサクセスチームもこの技術を採用するようになっている。ストーム氏によると、その結果、現在のWalnutはより効率的な販売の実現とボトムアップの成長に向けた取り組みという2つの波に乗っているという。

「ヨアヴ(・ビルナー)とダニー(・フリードランド)に会った時、私たちは彼らが巨大なチームを作ることを知っていたし、Walnutを使いたいと願うユーザーのウェイトリストを見て、私たちはそれが世界で必要な解決策であることを知りました」とファガ氏は付け加えた。

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

AIを活用したセールスチーム向けビデオ通話プラットフォームのUniqueが約6.8億円を調達

Uniqueの創業者2人(画像クレジット:Unique)

AIを活用してセールスチームの商談を改善するビデオ通話プラットフォームのUniqueが、シードラウンドで多くのエンジェル投資家から600万ドル(約6億8000万円)を調達した。このラウンドには米Fyrfly Venture Partnersの創業者でゼネラルパートナーのPhilipp Stauffer(フィリップ・スタウファー)氏、Daniel Gutenberg(ダニエル・グーテンバーグ)氏などが参加した。

Uniqueは顧客との会話をAIで分析する。会話を録画したビデオは、セールス担当者が最適な商談をするために役立てられる。

Uniqueは12種類の言語で動作し、その中には難しいスイスドイツ語も含まれる。同社によれば、このサービスの利点はセールス担当者のトレーニング時間を短縮し、パフォーマンスを向上できることだという。また、セールスのビデオ通話の中から重要な瞬間を見つけて「Deal Room」という場所で安全に共有することで、買い手側がそれを後から参照したり自分のチームに共有したりすることもできる。

Uniqueを起業したのはシリアルアントレプレナーのManuel Grenacher(マヌエル・グリナハー)氏とAndreas Hauri(アンドレアス・ハウリ)氏で、両氏はB2BのSaaSスタートアップであるCoresystemsでセールスチームを編成して率いた経験がある。CoresystemsはSAPに買収された。

グリナハー氏は次のように述べた。「リモートワークやハイブリッドワークが続き、セールスチームは顧客や見込み客、同僚や上司と離れることが多くなっています。そのため、顧客とつながりを持つことができず、チームから学んだりフィードバックをもらって準備を整えたりするのが難しい状況です。我々はセールスのプロセスを刷新するためにUniqueを作っています。AIを活用して会話を分析することで洞察や関係性の上で重要な瞬間を見つけ出し、セールスチームと顧客がより深く生産的な関係を構築できるように支援します」。

投資家のフィリップ・スタウファー氏は次のように述べた。「セールスチームのオートメーションと会話型インテリジェンスが交わる分野は、Fortune 500企業が導入する優先順位と成長率の両面で急成長していくでしょう。セールスの成果を伸ばす価値創造のチャンスは極めて大きいものです」。

Uniqueの競合にはGong.ioやPeople.AIがある(どちらもユニコーンだ)。Uniqueに優位性があるとすれば「Deal Room」のアプローチと、ヨーロッパで構築されたためGDPRの厳しいプライバシー規則に準拠していることだ。セールスチームがUniqueを使い始めたら、Zoomの市場にも食い込んでいくかもしれない。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Kaori Koyama)

人と人とのつながりを視覚化するConnect the DotsがシリーズAで17.1億円を調達

営業が常に求めているのは、見込み客との接触を上手く進める何かだ。ターゲット顧客に勤める人を知っている誰かに紹介してもらえれば、その顧客が関心をもってくれる可能性は高まる。

Salesforce(セールスフォース)の元幹部は、そうしたコネクションを簡単に見つけられるようにしたいと考え、Connect the Dots(コネクト・ザ・ドッツ)というスタートアップを立ち上げた。

仕組みはこうだ。登録すると、Connect the Dotsは手元にあるメールアドレスをすべてスキャンし、さまざまな企業とのつながりを探す。データを収集したら、相互に関連付ける。企業を指定すると、知り合いがいるかどうかがわかり、そのつながりの強さが3つの色がついた点で示される。すべて緑色であれば、それは確かなつながりであり、メールでの紹介をリクエストできる。

Salesforceの36番目の社員として1999年に入社したDrew Sechrist(ドリュー・シークリスト)氏は、Marc Benioff(マーク・ベニオフ)氏の初期の営業チームにいた。Salesforceが何者で、ホステッドソフトウェアとは何なのかを、誰も知らなかった時代に、それらを売り込んでいた。同氏は、人脈が販売促進につながることを早くから認識していた。同氏はベニオフ氏を「ナンバーワンのアルファネットワーカー」と呼んだ。初めの頃は、ベニオフ氏のところに行けばいつも誰かを紹介してくれた。そうすればプレゼンが首尾よく運んだし、飛び込みに比べ、売れるチャンスもかなり高くなった。

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シークリスト氏は、電子メールが重要なコネクターになると考えている。「私たちには、人間関係を表す、延々と増える電子メールがあります。それをまとめて、価値あるものにする方法がなかっただけなのです。しかし、機械学習やその他の高度な技術により、データから価値を抽出し、誰が誰を知っているかを示す関係性をグラフに表せるようになりました」と説明する。

同氏は、LinkedIn(リンクトイン)も同じことができるように設計されていると認めるが、あまりにもノイズが多く、それゆえに信頼性に欠けるという。

「営業や採用担当者などがLinkedInで誰かに人の紹介を頼んでも、頼まれた側が実際にはその人をよく知らないということが続くため、疲れてしまうのです」。

そこでシークリスト氏は、もっと良い方法を開発したいと考えた。現在、Connect the Dotsでは、リクエストに応じてソーシャルグラフのベータ版を提供している。また、ソーシャルグラフを利用している人を知っていれば、Clubhouse(クラブハウス)方式でユーザーベース構築を始めることもできる。

同社は、500万ドル(約5億7000万円)のシードラウンドを使って製品を開発した。先にNorwest Venture Partnersがリードする1500万ドル(約17億1000万円)のラウンドを完了した。既存投資家であるCloud Apps Capital PartnersとVelvet Sea Venturesも参加した。これで累計調達額は2000万ドル(約22億8000万円)となった。

現在、同社の従業員は55名。本拠地はサンフランシスコだが、従業員は分散しており、セルビアには大きなエンジニアリングチームがある。シークリスト氏は現在、マイアミに住んでいる。同氏は、新たな資金で来年中にチームを倍増させる計画だ。

Salesforce出身の同氏は、最近チームにV2MOMを作らせた。この文書のアイデアはSalesforceから持ちこんだものだ。SalesforceによるとV2MOMとは「ビジョン、バリュー、ミッション、目標、手段を表すマネジメントプロセスとそれらの頭文字をとったもの」だという。

「ちょうどV2MOMを完成させたところです。先週、ヨーロッパと米国からメキシコに人を送りました。1週間かけて当社のコアバリューを定義しましたが、その1つが『インクルーシブ』です。私たちは、すべての人を受け入れることのできる会社と製品を作りたいと思っています」。

特に、従業員の大部分がセルビア人であることから、人種的な多様性を確保するのは難しいと認めている。それでも、来年には従業員数を2倍にする計画の下、多様性の確保に取り組んでいる。シークリスト氏の計画では、職場はこれからもほぼリモート環境のままだ。そのため、どこからでも人を集めることができるはずだ。

シークリスト氏は、パートナーシップのためのネットワーク企業であるCrossbeamと同様、ネットワークが「ネットワークのネットワーク」へと成長していけば、フライホイール効果が生まれ、多くの人々が製品を使い、製品の価値が高まっていくと期待している。2022年前半には、この製品を一般に販売したいと考えている。

画像クレジット:Yuichiro Chino / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

新世代チームコラボレーションツールAirtableのようなCRM構築を目指すAttio

Attioは、AirtableNotionZapierのような新世代のコラボレーションツールをよく知ってる人たち向けの新しいCRMだ。同社が作ろうとしているのは、ユーザーの顧客やサプライヤーやパートナーに関する重要な情報をすべて収められるプロダクトだが、それにはまた同時に、データを容易に編成し、一覧し、操作できる柔軟性がある。

AttioはPoint Nineがリードする770万ドル(約8億9000万円)のシードラウンドを調達し、これにBalderton CapitalHeadlineが参加した。同社の以前からの投資家であるPassion Capitalと、数名のエンジェル投資家も参加した。後者はFrontの共同創業者でCEOのMathilde Collin(マチルデ・コリン)氏、Loomの共同創業者でCTOのVinay Hiremath(ヴィネイ・ヒレマス)氏、LoomとHyperの共同創業者であるShahed Khan(シャヘド・カーン)氏、そしてIndeedの共同創業者であるPaul Forster(ポール・フォースター)氏らとなる。

投資家のリストがこんなに長いのも、創業者の経歴を見ればうなずける。Attioの共同創業者でCEOのNicolas Sharp(ニコラス・シャープ)氏は以前Passion Capitalのアソシエイトで、その後Alexander Christie(アレクサンダー・クリスティー)氏とともにAttioを起業。彼は、同社のディールフロー(取引の流れ)部分の処理に多大な時間を投じた。

シャープ氏は特に、AirtableとNotionからヒントを得たという。「現在、ビジネスソフトウェアの世界にはすばらしいことが起きつつあり、特に変化が著しいのはCRMです。今のCRMは、顧客が望むものを何でも作ることができます。その一方で、このようなことが起こっており、それ自体が興味深いものです。CRM市場では、新しい販売方法のパラダイムシフトが起きています。今や、さまざまなチャネルを通じて関係性を育むことが重要になっています」。

つまりCRMソフトはもはや、営業のチームに限定されていないということだ。現在では、A社で仕事をしている多くの人たちが、B社のさまざまな人たちとやりとりをしている。そのような状況で、単一のコンタクトポイントにこだわっていると全体の把握も、追跡もできなくなってしまう。

画像クレジット:Attio

Attioは、既存のさまざまなツールからデータを取り込む。アカウントをセットアップするときは、自分のチームのコンタクト(連絡先)もインポートする。また、メールの会話をCRMのプラットフォームと同期できる。共有のレベルは、メタデータだけか、または件名とメタデータかのどちらかを選ぶ。そしてもちろん、カレンダーの同期もできる。

そうやって設定したあと、AttioはユーザーデータをTwitter、LinkedIn、Facebookといったサードパーティのソースから自動的に補足する。自分の会社と特定のコンタクトとの最近の対話のタイムラインを見ることもでき、他の企業を検索して、その企業にいる自分が知っている人を調べることもできる。

さらにおもしろいのは、コレクションの構築だ。コレクションは、特定のプロジェクトのためのコンタクトのリストだ。例えばすべての投資家のコレクションを作ったり、営業のための情報通信チャネル(いわゆる「コネ」)のコレクションを作れる。知っている記者たちのコレクションもあるだろう。

コレクションの見方は、いろいろある。Airtableのように、行と列からなるスプレッドシート状のインターフェースで、データを加えてもよい。あるコレクションに必要になったら、新しい属性の列(カラム)を増設できる。

あるいは、コンタクトをあるカラムから別のカラムに移動できる。カレンダー形式でもよい。それぞれのビューは、さまざまなフィルターや整列(ソート)の基準でカスタマイズできる。

画像クレジット:Attio

Attioは、多くのSaaS同じような設計なので、チームで利用するのに適している。タブ方式で最新のアクティビティをそれぞれで確認できるし、タスクを作って注記を加えれば、そこからチームとしてのプロジェクトが始まる。

現在、同社には120社ほどの有料顧客がおり、Coca-ColaやSupercell、Saltpay、Causal、Upfront Venturesなどの企業でチームが利用している。しかし、このようにしてCRMを「再発明」しよとしているのはAttioだけではない。競合他社には、最近紹介したFolkや、4DegreesAffinityなどがいる。

シャープ氏がこのプロダクトを思いついたときは、競争がまだそれほど激しくなかった。「当時はNotionが開業したばかりでしたし、みんな新しいスプレッドシートや新しいノートアプリのようなものを開発していました。新しい原理をCRMに応用しようとしている人は皆無でした」とシャープ氏はいう。

ユーザーにとっては、CRMプラットフォームの選択肢は大きく増えた。この分野がどのように進化していくのか、興味深く見守っていきたい。

画像クレジット:Attio

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hiroshi Iwatani)

転職した過去の顧客に接触できるようになる、予測マーケティングと営業インテリジェンスツールのUserGemsが約23億円調達

商談に関心を示さない相手に割く時間を削減しつつ、商談が成立する可能性がある見込み顧客と接触する方法を見つけることは、営業とマーケティングの世界においていわば究極のゴールである。この度、UserGems(ユーザージェムズ)という名のスタートアップが、AIとデータマッピングを組み合わせて、B2Bの営業・マーケティングで手応えが得られそうな顧客候補を予測、特定するプラットフォームを開発、2000万ドル(約23億円)を調達したことを発表した。このプラットフォームにより、以前に取引があったが現在は別の仕事に転職している顧客と接触することが容易になる。この種の課題に取り組むセールステックに好機が訪れているようだ。

今回のシリーズAラウンドは、Craft Ventures(クラフト・ベンチャーズ)がリードし、Battery Ventures(バッテリー・ベンチャーズ)とTiger Global(タイガー・グローバル)が新たに参加した。また、以前から同社に投資しているUncork Capital(アンコーク・キャピタル)や、個人エンジェル投資家も参加しており、同ラウンドの調達額は合計2240万ドル(約25億5000万円)となった。

UserGemsは現在、Procore(プロコア)、Medallia(メダリア)、UserTesting(ユーザーテスティング)、Sisense(サイセンス)、BrightTALK(ブライトトーク)など、90社ほどの中堅企業を顧客に持つ。今回調達した資金は、製品開発と人材に投資する予定だ。

サンフランシスコに本社を置くUserGemsには、アイデアやビジネスが予期せぬ場から生まれて創業に至ったという興味深い背景がある。

UserGemsのCEO兼共同創業者であるオーストリア人のChristian Kletzl(クリスチャン・クレッツル)氏は、ノースウェスタン大学でMBAを取得してシカゴに住んでいた時、当時欧州のPwC(ピーダブリューシー)で働いていた双子の弟Stephen(スティーブン)に、米国に移住して一緒にスタートアップを立ち上げようという話を持ちかけた。

彼らは、書籍、電化製品などの中古品をより効率的に販売するeBay(イーベイ)やCraiglists(クレイグリスト)と同じ業界に参入すべく、ShelfFlip(シェルフフリップ)というeコマースソリューションを開発した。当初、彼らはこのアイデアでY Combinator(Yコンビネーター、YC)に応募し、合格したのだが、ShelfFlipのコンセプトはそれ以降、跳躍する様子はなかった。

クリスチャンは次のように語る。「私たちはShelfFlipでYCに参加したが、YC参加中にそのアイデアを捨てた。YC参加中に方向転換をした企業が数多くあることを知って力を得て、もう一度、新しいアイデアを一から考えた。数多くのYC同期企業やその他の企業と話をして、SmartHires(スマートハイヤーズ)のアイデアを生み出した」。SmartHiresは、同じ投資ポートフォリオ内のスタートアップの情報を参照できるネットワークだ。

TechCrunchは以前にこちらの記事で、2015年冬期のYCに参加した彼らのSmartHiresについて取り上げている。

クリスチャンとスティーブンのクレッツル兄弟が開発したSmartHiresには、顧客(特に、クリスチャンが「SmartHiresのメインの柱」の1つと呼ぶ顧客)が、ある企業から別の企業へと転職していくのをトラッキングできるソフトウェアが含まれている。スタートアップでは社員の入れ替わりが激しい。そのため、クレッツル兄弟がこのアイデアをYC同期に話したところ、SmartHiresに対してというより、そのアイデアに対して熱心な反応が返ってきた。

「私たちが実際に立ち上げた会社よりも、そのアイデアに関心を持った人の方が多かった。そこからUserGemsが生まれた。つまり、YC参加中に私たちは2回も方向転換をしたことになる」とクリスチャンは回想する。

UserGemsは「営業とマーケティングの動向」と「労働力の最新の動き方」という2つの基本的なアイデアに基づいて開発されている。

労働力に関しては、終身雇用の時代のみならず、同じ企業に数年務める時代もすでに終わりを迎えて久しく、今は「大退職時代」に入っている、とクリスチャンは指摘する。

UserGemsは、Google検索からニュース記事まで多岐にわたる公開された情報源から情報を収集、処理しているが、同社がトラッキングのために利用するデータベースやウェブサイトによると、最低でも20%の人が毎年転職するという。つまり、ある人が現在就いている職に翌年もとどまっているかどうかを定期的に予測するのは難しいということだ。

営業・マーケティングについては、デジタル時代の最中でデータドリブン化が飛躍的に進んだ。人々に関する情報をかつてなく大量に入手できるようになり、大人数に対して一斉にマーケティング目的の接触を図る作業を管理するソフトウェアや、それを実行するチャンネル、その成果を測定する分析ソリューションなども、かつてなく増えている。それでも、企業についてすでに知っている、あるいはその企業が売るものにすでに関心を持っている人にアプローチした方が、営業・マーケティングが成功する「命中率」は、各段にアップする。

UserGemsは基本的に、これら2つの状況を合わせたソリューションだ。営業・マーケティングツールとして、企業がすでに使用しているCRMと統合し、その企業と以前取引があった顧客をトラッキングすることにより、その顧客が別の職場に移っても取引が継続できるようにして「マーケティング対象の最有力候補」を作る。「これこそ、営業プロセスで使える宝の山だ」とクリスチャンは語る。

UserGemsが行っていることは、ある意味では新しいことではない、とクリスチャンは指摘する。優秀な営業担当者は元来、有望な営業先の記録を常に保持して定期的にチェックしている。その作業を基本的に誰でも「大規模に」行えるようにしたのがUserGemsだ。

これは、UserGemsが構築したプラットフォームの第1段階にすぎない。営業先の情報が集まると、ユーザーが誰と接触しているかを機械学習アルゴリズムが学習しはじめ、類似商品の利用状況や他のシグナルに基づいて、次にアプローチすべき営業先がレコメンドされるようになる。そのようにして、ユーザーは購買へとつながる可能性がより高い営業先を見きわめることができる。

UserGemsは、一方では、ZoomInfo(ズームインフォ)、LinkedIn(リンクトイン)など、特定の企業にいる的確な見込み顧客を探せるプラットフォームと競合している。また、もう一方では、一般的に「予測的営業」と呼ばれるセールステック分野で、急激に成長中のスタートアップであるPeople.ai(ピープルドットエーアイ、新型コロナウイルス感染症の影響で多少成長に陰りが見えたものの、持ち直して現在の評価額は10億ドル(約1140億円)を超えている)、LeadIQ(リードアイキュー)、6sense(シックスセンス、現在の評価額は20億ドル[約2280億円]以上)などと同業である。しかし、この分野は、頻繁に転職が繰り返される現在の傾向がこれからも続き、そのことが営業面での課題をさらに複雑にすることを考えると、その課題を解決するためのよりスマートなアプローチが今後も注目を集める分野だと言える。それこそ、エンタープライズ向けスタートアップの大型追加投資ラウンドにいくつも参加してきたTiger Globalのような投資会社がUserGemsに早期から投資している理由の1つだ。

Craft Venturesのパートナー兼COOであるBrian Murray(ブライアン・マレイ)氏は、声明の中で次のように語っている。「B2B営業・マーケティング担当者は現在、営業先のことを深く理解する点で困難に直面している。彼らの大半が、同じ方法で見込み案件を創出し、一般的な内容の営業用メールやそれに続くメールを何百通も送っている。多くの営業チームが目標を達成できず、顧客獲得コストが跳ね上がっていくのはそのためだ。UserGemsは、過去のユーザーが将来の商機であり、急成長中のチームにとって紛れもない価値を持つ財産となって、パイプラインを拡大し、勝率を高め、顧客離れを減らすということを理解している」。

画像クレジット:MicroStockHub / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

営業の「Salesforce疲れ」を解消、アップデート高速化ツールのWeflowがプレシード資金獲得

Salesforce(セールスフォース)のユーザーは、記録の更新にかかる時間に同じような不満を抱きがちだが、Weflow(ウィーフロウ)はこのような「Salesforce疲れ」を克服することを目指している。

ベルリンに本社を置くWeflowは、Salesforceの更新時間を短縮し、営業担当者の時間を奪うような忙しい仕事を減らすツールを開発している(まだプライベートベータ版だ)。

フォーチュン500社のうち83%の企業が営業の生産性向上のためにSalesforceを利用しているが、多くの営業担当者は営業以外の業務に時間の大半を費やしている

シリアルアントレプレナーのHenrik Basten(ヘンリック・バステン)氏とJanis Zech(ジャニス・ゼック)氏はFyber(ファイバー)でともに働き、収益チームを管理しながらこのことを身をもって体験した。彼らは、営業担当者がSalesforceの記録内の情報をすばやく追加してパイプラインを管理できるよう、Saleforceのデータベース上に構築された収益ワークスペースになるべく、2020年末にWeflowを立ち上げた。

「パイプライン管理のためのAsanaのようなソリューションを作りたいと人々は考えています」とCEOのゼック氏はTechCrunchに語った。「しかし、Salesforceはオープンなエコシステムで、その上に構築することができます。私たちは、営業担当者がパイプラインに入り、30ものタブを開いてメモを散らかしているのを観察しました。もし営業担当者が楽しんで使っていないのであれば、アップデートしやすい、よりモダンな体験を作ろうと考えていました」。

Weflowのパイプラインテーブル(画像クレジット:Weflow)

その仕組みはこうだ。ユーザーはSalesforceアカウントにサインアップしてパイプラインにアクセスし、数回クリックするだけで案件、タスク、メモ、アクティビティを更新することができる。すべてのデータはSalesforceに残る。営業担当者は通常、週に1回、2〜3時間かけてこの作業を行うが、Weflowを使えば20分に短縮できるとゼック氏は見込んでいる。

さらに同社は、Salesforce用に作られたモダンなメモ帳を作成し、ユーザーがテンプレートを構築することで、営業担当者が同じ質問をし、同じフィールドに書き込むことができるようにした。また、タスクマネージャーも用意されている。

そして米国時間11月12日、Weflowはそのツールを一般公開するために、Cherry Venturesがリードしたプレシードで270万ドル(約3億円)を調達したことを発表した。Christian Reber(クリスチャン・レバー)氏、Sascha Konietzke(サシャ・コニエツコ)氏、Chris Schagen(クリス・シャゲン)氏、Alexander Ljung(アレクサンダー・ユング)氏、Eric Quidenus-Wahlforss(エリック・キデナス・ウォルフォルス)氏、Andreas Bodczek(アンドリアス・ボドゼック)氏などのエンジェル投資家も参加した。

Cherry VenturesのパートナーであるFilip Dames(フィリップ・デイムス)氏は、創業者たちとはFyberの頃からの知り合いで、Weflowの話を持ちかけられたとき「この旅のサポートができてうれしかった」と話した。

デイムス氏は、Weflowのポートフォリオを見渡したとき、ほとんどのスタートアップが営業から始まっていて、営業ツールが「高価で不便」な場合は特に、そのプロセスを強化することは困難であることを指摘した。

そして「Salesforceの上に何かを構築することができれば、会社がどのような方向に進むことができるか、広いキャンバスが広がります」と付け加えた。「ジャニスとヘンリックは、ベンチャー企業のリターンを生み出すのに十分な大きさの分野で、ミッションを遂行しています。Salesforceは200億ドル(約2兆2780億円)の売上を上げており、それによって多くの新しいビジネスが生み出されています。インターフェイスを、これまで以上に使うのが楽しいものにすることで、顧客との時間をより長くとることができます」。

バステン氏とゼック氏はここ数カ月で10人のチームを結成した。現在、15社の共同開発パートナーが製品を試用中で、毎週数社ずつ追加されている。ゼック氏によると、この製品は来年初めに展開される見込みだ。

今回調達した資金は、マーケティングと製品開発への投資に充てる。Weflowは製品主導型で、ゆくゆくは無料版を提供する予定だとゼック氏は付け加えた。

「Salesforceについて誰と話しても、この問題は非常によく理解されています。ですので、私たちはこの問題を解決することに関心があり、良い出発点を持っているため、みんなを助けたいと思っています」とゼック氏は話した。

画像クレジット:Weflow / Henrik Basten and Janis Zech

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

Slackでセールスと他部署のコラボを自動化するMomentumが約5.7億円調達

営業(セールス)という仕事は、いろいろなところからデータが入ってくるし関係者の数も多いため、混沌とした状態になりがちだ。2020年、Salesforceが270億ドル(約3兆845億円)でSalesforceがSlackを買収したのも、それが人やデータを整理してまとめる接着剤になると考えたからだ。アーリーステージのスタートアップMomentumは、そうした関係を利用して、営業と会社の他の部分とのコラボレーションを自動化するレイヤーを作りたいと考えている。。

同社は米国時間11月10日、Basis Set Venturesがリードするシードラウンドで500万ドル(約5億7000万円)を調達したことを発表した。これにはInovia CapitalやLeadout Capital、South Park Commons、そして業界のエンジェルたちが参加した。

MomentumのCEOで共同創業者のSantiago Suarez Ordoñez(サンティアゴ・スアレス・オルドニェス)氏によると、同社は当初、Slackを利用した商談室を作りたいと考えていたが、SalesforceがSlackを統合する最初の段階で作ってしまったため、また違う課題に取り組もうと決めた。

「おもしろく、しかもSalesforceにできることとは違うことをやるには、最初に考えた商談室とコラボレーションというアイデアにもっと固執してみるべきだ、と私は考えました。そしてだんだんわかってきたのは、コラボレーションと営業は奥が深いということです」とスアレス・オルドニェス氏は語る。

彼によると、企業のトップが認識しているのは、営業の人たちはSlackとSalesforce以外のものにも接続する必要があることです。たとえば彼らはGoogleカレンダーやAsanaやJiraなどのツールに接続して1つの場所からフォローアップを自動化したいと考えている。

「Momentumは当初の構想から変更して、上記のような一連の仕事を効率化するプラットフォームになりました。Jiraへ行ってセキュリティチームのためのチケットを提出するやり方を知るのではなく、Momentumへ行って手を挙げ、単純に『セキュリティレビューが必要なんだ』といえばいい。そしてMomentumは、行き先を見つけたり、チケットを作ったり、その営業のためのチケットの中にある商談に関するすべての状況を共有したり、営業は現時点では何もすることがない、といったこともコードにしている」とスアレス・オルドニェス氏はいう。

彼によると、商談室の機能はまだ存在しながらも、タスク駆動型の機能もある。計画では、このことをベースとしてSlackの中に同じく自動化されたワークフローの完全なプラットフォームを作る。例えば割引率の承認を得たり、営業のための支援を技術の部門に求めるといったワークフローだ。

同社は8月にシードラウンドを終えた後、14人目の従業員を迎えた。同社の創業メンバーはダイバーシティに富んでおり、COOのAshley Wilson(アシュリー・ウィルソン)氏はCEOであるスアレス・オルドニェス氏の妻、それにCTOのMoiz Virani(モイズ・ビラーニ)氏なども含め、同社はチームのダイバーシティに極力気を遣っている。

「ダイバーシティとインクルージョンについては、上からも指示されている。投資家のうち1社は、投資条件にそれを含めている。同社を投資家に迎えるためには、それに従わざるをえなかった」とスアレス・オルドニェス氏。まだ初期である現時点でも取締役会の半分は女性であり、またラウンドに参加した投資家のパートナー3名のうち2人は女性だ。

同社はパンデミック中の2020年にローンチした。「最高にクレージーなのは、そのときすでに社員は6名いたし、顧客もいました。数百万ドル(数億円)を調達していました。それで、本社はどこだったかというと、自分の家のキッチンテーブルだったんだ。ひどいもんだね」とスアレス・オルドニェス氏は回想している。

現在、同社は共有スペースも利用しているが、キッチンのテーブルのようにみんなが一緒にいる方が実感があると彼はいう。「半年前にはリモートもやったけど、みんなが一緒にいないと、どうも仕事の実感がないね」。

関連記事:セールスフォースへのデータ入力をシンプルにするScratchpadがシリーズAで13.7億円獲得

画像クレジット:Visual Generation/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

営業特化の顧客データプラットフォーム「TranSales」を展開するスマスマが約6000万円調達

将来の見込顧客を予測し、精度の高い顧客情報を提供するプラットフォーム「TranSales」を展開するスマスマは11月1日、前回プレシードと合わせて約6000万円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、XTech Ventures、East Ventures、個人投資家の加松宏樹氏と漆畑慶将氏。調達した資金は、エンジニアの採用とデータ製造の体制強化にあてる。

TranSalesは、見込顧客や効率的な営業タイミングを予測できる、営業に特化した顧客データプラットフォーム。日本における営業活動では、新規顧客から見込顧客を作っていくフェーズにおいていまだにアナログ作業の膨大な工程がかかっている。このフェーズにTranSalesを利用すれば、ユーザーの保有する企業リストとスマスマ独自の顧客データベースを結合させ見込顧客を自動的に予測し、適切なタイミングでアプローチできるようになるという。より効果的なマーケティング・営業施策の立案と実行の手助けを行なえるとのこと。

2018年7月設立のスマスマは「営業成果が100件に1件から、10件に1件の世界」を目指し、営業現場の課題をテクノロジーで解決するスタートアップ。これまでに得た営業ノウハウとデータを活かして、「アナログ×デジタル」「人×AI」によって本質的な課題解決を行い営業を効率化することを目標としている。

会話内容の自動書き起こしも可能なオンライン商談自動化ツール「アンプトーク」がIP電話Dialpadと連携

amptalkは10月19日、オンライン商談自動化ツール「アンプトーク」において、新たにクラウド型ビジネス電話システム「Dialpad」と連携する機能をリリースしたと発表した。

アンプトークは、Zoomなどオンラインでの商談を自動で書き起こしSalesfoceに入力する機能を持つツール。通話記録はアンプトーク上で確認することも可能。さらに商談の内容を自動解析し「誰が」「何を」「どれくらい話したのか」と可視化することも行なえる。これを活用すれば営業のトッププレイヤーとそれ以外のプレイヤーの差を明らかにして、育成指導やナレッジシェアの工数を減らしながらスキルの改善が行なえ受注率の向上が見込めるという。

これまでアンプトークが連携可能であったのはZoomのみであったが、新機能のリリースによりクラウド型のビジネス電話システムであるDialpadもサポートした。これによりンサイドセールスからフィールドセールス、カスタマーサクセスまですべての業務範囲がカバーされ、セールスの効率化をより加速させられるとしている。

この新たな連携機能を利用するには、Dialpadとアンプトーク両方において有料申し込みが必要。Dialpadでは、外部連携が可能なProプラン(月額1500円/1アカウント)以上、アンプトークは初期費用5万円と月額3500円/1アカウントとなっている。

amtalkは、海外を含む様々な企業での営業経験を持つ代表取締役の猪瀬竜馬氏が、日本における営業の課題を解決するため2020年5月に設立した。「データによって価値あるアドバイスを。」をミッションとし、アンプトークの開発および運用を事業とする。

目標達成を支援する営業予実管理クラウド「GRAPH」を手がけるグラフが2000万円の資金調達と正式ローンチ発表

目標達成を支援する営業予実管理クラウド「GRAPH」を手がけるグラフが2000万円の資金調達と正式ローンチ発表

グラフは10月15日、Coral Capitalおよび日本政策金融公庫から2000万円の資金調達を実施したと発表した。また、目標達成を支援する営業予実管理クラウド「GRAPH」(グラフ)を9月末に正式ローンチしたことを明らかにした。調達した資金は、GRAPHの新機能開発および人材採用への投資にあてる。

GRAPHは、営業組織の営業予実管理を「誰でも、すぐ、簡単に」実現できるツール。既存の導入ツールやリテラシーにかかわらず、導入初月から適切な営業予実管理やその先の目標達成を支援するという。

GRAPHの特徴

  • 導入初月からデータを見える化:GRAPHは導入初日から運用開始可能。また日々の入力は、数値のみで10項目程度となっており、営業担当者1人あたり1日2~3分の入力時間で、予実管理に必要十分なデータを管理可能
  • 適切な予実管理を実現するダッシュボード:GRAPHは、洗練されたビジネスチームのダッシュボードをプリセットしているという。営業日数に応じた独自の目標進捗率を管理し、最小限のデータ入力で蓋然性の高い予実管理が可能
  • 富なナレッジで安心のサポート:多業態での営業管理経験をもつエキスパートが導入から活用定着までを支援。営業マネジメントのエキスパート不在の組織においても、ツール・コンサルティングの両軸で支援する

同社は、追加予定の機能として「ビッグデータを活用した営業マネジメント支援」「アワード機能」「他社CRM連携」を挙げている。営業マネジメント支援では、蓄積されたデータの分析や、データに基づいた営業施策の提案をGRAPHが行うという。アワード機能では、GRAPHの実績データを基にメンバーを表彰。「当月売上No.1」「成長率No.1」など多種多様なアワードを設定し、トップ層に限らず幅広いメンバーのモチベーション向上につなげる。

また他社CRMとGRAPHを連携することで、導入済みツールを活かしつつ、日次での緻密な予実管理を行うことが可能となるという。

昨今、DXへの関心の高まりから、営業組織においてもCRMやSFAといった営業支援ツールの導入・活用例が見られるという。ただグラフによると、ツールを導入する企業の多くが、煩雑なツール運用を現場に浸透させつつ営業成果につなげることの難しさに直面しており、うまく活用しきれていない現状があるとしている。

慣れないシステム構成を1から設計し、ツールへのデータ入力業務を現場に浸透させることは容易ではなく、多くの工数をかけて入力したデータからネクストアクションが導き出せず、データが死蔵しているケースも多く存在する。

一方GRAPHでは、洗練・厳選した予実データを1日2~3分の入力でリアルタイムに見える化し、営業プロフェッショナルのサポートのもと、ネクストアクションに繋げられるとしている。

目標達成を支援する営業予実管理クラウド「GRAPH」を手がけるグラフが2000万円の資金調達と正式ローンチ発表

フリーランス営業職・営業代行会社と企業をマッチングする営業代行プラットフォーム「カクトク」が資金調達

フリーランス営業職・営業代行会社と企業をマッチングする営業代行プラットフォーム「カクトク」が資金調達

カクトクは10月12日、J-KISS型新株予約権の発行による資金調達を発表した。引受先はVOYAGE VENTURES、セゾン・ベンチャーズのほか、既存投資家の朝日メディアラボベンチャーズ、コロプラネクストの運営するファンド。累計調達金額は4億円となった。

同社は、フリーランス営業職・営業代行会社と企業をオンライン上でマッチングする営業代行プラットフォーム「カクトク」を展開。1万人を越えるフリーランス・副業の営業人材と、600社以上の営業代行会社が登録しているという。企業側は、最短7日で新規開拓からクロージング、さらに営業戦略まですべての営業プロセスをアウトソースできるとしている。

今回調達した資金は、より適切なマッチングを提供するための機能改善や新機能開発、認知拡大のためのマーケーティングに活用する。

2016年に設立されたカクトクは、「誰もがプロフェッショナルとして活躍できる世界をつくる」をミッションに、営業力に課題を抱える企業と、営業フリーランス・副業の営業人材や営業代行会社とのマッチングをサポートすることで、営業戦術と働き方の新時代を作り出すサービスを提供するとしている。

カクトクのほかに、フリーランスや副業で営業を行なう際に役立つ情報を掲載する「kokoroe」、営業責任者向けの営業特化型メディア「SALES BRAIN」といったウェブメディアも運営している。

不動産仲介会社向け営業支援SaaS「プロポクラウド」を手がけるHousmartが7億円調達、人材採用やカスタマーサクセス強化

不動産仲介会社向け営業支援SaaS「プロポクラウド」を手がけるHousmartが7億円調達、人材採用やカスタマーサクセス強化

不動産営業支援SaaS「プロポクラウド」を手がけるHousmart(ハウスマート)は10月8日、第三者割当増資による計7億円の資金調達契約を締結したと発表した。引受先は、JIC ベンチャー・グロース・ファンド1号投資事業有限責任組合(JIC ベンチャー・グロース・インベストメンツ)、サファイア第一号投資事業有限責任組合(サファイア・キャピタル)。累計資金調達額は約14億円となった。

調達した資金は、事業拡大・開発スピードを加速させるための人材採用、導入店舗のカスタマーサクセス強化、不動産データベースの拡充、内部体制の強化などに投資する。現在、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の1都3県で展開しているプロポクラウドを、近い将来エリアを拡大して提供できるよう事業を進めるという。不動産仲介会社向け営業支援SaaS「プロポクラウド」を手がけるHousmartが7億円調達、人材採用やカスタマーサクセス強化

2014年10月設立のHousmartは、「住を自由に」をミッションに掲げ、テクノロジーとデザイン、不動産の専門知識を融合させ、「住」の概念をもっと自由なものに進化させることを目指すスタートアップ。

プロポクラウドは、営業担当者に代わって顧客の希望条件に合う最新の物件情報や売却に関するコンテンツを自動でメール送信する、不動産仲介会社向け営業支援システム。対象物件は、居住用中古マンション、新築戸建、中古戸建(オーナーチェンジ物件除く)だ。

不動産業界には、従来「物件数が多すぎて最新の物件状況を把握しきれない」「自社のシステムに物件情報を入力するのは手間がかかりすぎる」「顧客の長期フォローが必要だが、人力では対応しきれない」という課題があり、同社独自のビッグデータとシステムにより解決するものという。

最新の物件情報や売却に関するコンテンツの自動メール送信機能に加え、顧客管理機能、顧客別活動履歴のチェック、最新物件情報の検索・閲覧、手動メール送付など、営業活動に必要な機能が備わっており、プロポクラウド1つで不動産営業のDXを実現できるとしている。

 

オンライン営業システムのベルフェイスが約30億円のシリーズD調達、大手金融向け新機能開発やセキュリティーを強化

オンライン営業システムのベルフェイスが約30億円のシリーズD調達、大手金融向け新機能開発やセキュリティーを強化

非対面の商談を実現するオンライン営業システム「Bellface」(ベルフェイス)を運用するベルフェイスは9月21日、第三者割当増資による約30億円のシリーズDラウンド資金調達を実施したと発表した。引受先は、シンガポールのベンチャーキャピタルAxiom Asia Private Capital、三井住友トラスト・インベストメント、第一生命保険、そして既存投資家のインキュベイトファンド、SMBCベンチャーキャピタルとなっている。累計調達金額は85億5000万円となった。

「勘と根性の営業をテクノロジーで解放し、企業に新たなビジネス機会をもたらす」をミッションとするベルフェイスは、行政や企業の営業DXを推進。電話とPC・スマートフォンを使って資料や画面の共有など商談を可能にするサービスとしてBellfaceを展開しており、アプリインストールやURL発行などの事前準備が不要で、面倒な設定や手続きなしに効率的に非対面の商談が行える数々の機能を備えているという。また、商談の映像や会話を記録可能で、それをチームで共有・分析ができるため、営業組織のスキルの向上やマネジメントの効率化を図れるとしている。

最近では、金融業界での導入が加速しており、特に個人向け営業の領域で、「IT機器に 不慣れな方やインターネット環境が整っていない方に対しても、簡単かつ安心して使える bellFaceの利便性を高く評価いただいております」とのこと。

今回調達した資金は、大手金融企業向けの新機能開発、セキュリティーの強化に向けられるという。また、中長期を見据えたプロダクト開発にも積極的に投資を行う。

Zoom商談を書き起こしSalesforceに自動入力するオンライン商談自動化ツール「アンプトーク」が発売開始

Zoom商談を書き起こしSalesforceに自動入力するオンライン商談自動化ツール「アンプトーク」が発売開始

amptalkは9月6日、オンライン商談自動化ツール「アンプトーク」の発売を9月1日より開始したと発表した。また2021年5月、ジェネシア・ベンチャーズ、モバイル・インターネットキャピタルより、シードラウンドにおいて約1億円の資金調達を実施したと明らかにした。調達した資金は、今後のプロダクト開発・販売の為の人材の採用に活用する予定。

2020年5月設立のamptalkは、「データによって価値あるアドバイスを」作り出すことをミッションとし、「昨日まで世界になかったチャンスを」作り出すことをビジョンに、「人」だけではできなかったことを成しとげ「人」がより効率的に働ける世の中を作ることを目指すスタートアップ企業。

Zoom商談を書き起こしSalesforceに自動入力するオンライン商談自動化ツール「アンプトーク」が発売開始

アンプトークは、Zoom商談の録画を自動で取得して書き起こし、Salesforceに自動入力するというツール。営業担当者は商談の記録などの付加業務の負担が減り、商談に集中できるようになるという。

また、アンプトーク独自のシステムで商談内容を自動解析することで、誰が・何を・どれくらい話したのかを可視化可能。これにより営業のトッププレーヤーと他プレーヤーの差を明らかにすることで、育成指導やナレッジシェアの工数を減らしながらスキルを改善、受注率の向上につなげられるとしている。Zoom商談を書き起こしSalesforceに自動入力するオンライン商談自動化ツール「アンプトーク」が発売開始

接客ノンデスクワーカーに向け実店舗業務を効率化する現場接客DX SaaSを提供するcocoが2.4億円調達

接客ノンデスクワーカーに向け実店舗の業務を効率化する現場接客DX SaaSを提供するcocoが2.4億円調達

店舗向けに現場接客DX SaaS「coco」を提供するcoco(ココ)は8月25日、第三者割当増資による約2億4000万円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、Z Venture Capital、マネックスベンチャーズ、三菱UFJキャピタル、basepartners、Headline、みんなのマーケット、East Ventures、個人投資家の有安伸宏氏、笠原健治氏、吉田浩一郎氏、今泉卓也氏、堅田航平氏、田村航弥氏、従業員含む6名となっている。これにより、累計3億円を超える資金調達が完了した。

cocoは、実店舗の業務を効率化する「接客現場DX」プラットフォーム。具体的には、顧客アンケートのデジタル化や、電話による顧客とのやり取りをテキストチャットに転換するなどで顧客満足度を向上させるとのこと。つまり、顧客の声を丁寧に拾い上げ、店舗に埋もれている接客関連のデータを有効活用して、店舗と接客を改善し、利益の増大につなげるというものだ。

コロナ禍により、店舗に足を運ぶ人がいなくなり、売り場はすべてオンライン化されてしまうという危機感があったと、cocoの代表取締役の高橋俊介氏は話す。しかし、現実には実店舗での買い物を望む人々の気持ちは強く、高橋氏は買い物によって「お店とは、こんなにも楽しくワクワクする場所なのか」と改めて実感したとのこと。

しかし現在、店舗では密を避けるために様々な制約が生じ、対応顧客数を減らさなければならない状況を強いられている。そこで、顧客1人あたりの購買単価やリピート率の向上が重要となり、接客のDXが求められているというわけだ。「人々はリアルで良質な体験を強く必要とし、その良質な体験を提供する場がお店であり、お店があるから、私たちは日々の生活を豊かに、楽しく暮らすことができるのです」と高橋氏は話している。

今回調達した資金で、セールス体制の強化、プロダクトのアップデート、店舗スタッフが「よりリッチで洗練された体験を顧客に対して提供できるようなプラットフォーム作り」を目指すという。

出世払い型(ISA)テックセールス養成スクール「TECH SALES CAMP」のWorXが約4000万円調達、10月開校予定

出世払い型(ISA)テックセールス養成スクール「TECH SALES CAMP」のWorXが約4000万円調達、2021年10月開講予定

出世払い型(ISA)テックセールス養成スクール「TECH SALES CAMP」を2021年10月開校予定とするWorXは7月29日、第三者割当増資および金融機関からのデットファイナンスを合わせ総額約4000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、サイバーエージェント・キャピタル、日本スタートアップ支援協会、事業会社、エンジェル投資家など。調達した資金は、プロダクト開発および採用・組織構築、マーケティング強化にあてる予定。学びを促進するプロダクト・コンテンツ開発・ラーニング環境を構築し、受講者のキャリアの選択肢を増やし、人生の可能性を広げる支援を行う。

TECH SALES CAMPは、コロナ禍に影響を受けた販売・サービス業従事者を中心に、業界・職種未経験から成長産業の営業関連職へのキャリアチェンジを実現するためのテックセールス養成スクール。テックセールスとは、最先端のB2Bセールスのナレッジ・オペレーションを駆使し、テクノロジーの力を用いて営業活動の効率化や業績向上を実現する次世代セールスパーソンを指すとしている。長期的な成長が見込めるIT・SaaS領域を含む成長産業へのキャリアの選択肢を提供することで、人生の可能性を広げる機会を提供するという。

受講者の対象イメージ

  • コロナ禍で、キャリアチェンジを余儀なくされた販売・サービス業従事者
  • 成長産業(特にIT・SaaS領域)における営業関連職種への就職を目指す方
  • リモートワークなど、地方や遠隔地からキャリアの選択肢を広げたい方
  • 金銭的な理由で、キャリアチェンジのスクールに通うことができなかった方
  • 出産や介護などの理由により、キャリアの再出発を目指す方

学習カリキュラムとしては、営業未経験から、テックセールスになるための網羅的なカリキュラムを用意。学習期間は約3カ月で、累計200時間のカリキュラムを構築しているという。B2Bセールスの基礎・インサイドセールスの実践的なスキルアップに向けた、約60講座のカリキュラムをオンライン完結で提供(Zoomおよびeラーニング活用)。成長産業のセールスには欠かせないSFA・CRMなどのセールステックのデモ利用や、実際に企業に営業活動を実践できる環境を構築する。

同社が採用している出世払い型支払いとは「ISA」(Income Share Agreement)と呼ばれるモデル。教材購入など一部を除き、在学中の学費や入学金などの初期費用負担が一切発生しない代わりに、卒業後に就職した企業の年収に応じて支払金額を決定するというもの。米国では学生が多額の学費ローンを抱えることが社会問題となっており、ISAはそれに変わる新しいモデルとして注目を集めている。

TECH SALES CAMPの場合は、希望の会社・職種での就職決定後に理論月収の10%を一定期間(24カ月)支払う義務が発生する。ISA導入により多くの方に教育機会を提供すると同時に、卒業生および入社後の定着・将来的な活躍に伴走することが可能となるとしている。同社は、本質的なキャリアチェンジの成功を実現する教育機関を目指すという。

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カテゴリー:EdTech
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