GoogleはSamsungからRCSメッセージングへのより強い協力をとりつけた

Googleは、長らく推進している次世代メッセージング標準に対して、Samsungからのさらなる協力をとりつけた。

Android OSメーカーであるGoogleが、リッチコミュニケーションサービス(RCS:SMSが提供できるものをよりリッチなコミュニケーションとコンテンツ交換へと強化することができる技術)へ抱いている期待は、分断されてしまっているAndroidのエコシステムに対して、よりリッチなネイティブメッセージングを提供する方法を与えてくれることだ −− そう、AppleのiOS上のiMessageのように。

しかし、世の中に一体どれだけの数のAndroid端末があるかを考えると、それはとてつもない大仕事である。そしてGoogleにとっては、もし周辺で細々とやること以上のことを成し遂げようとするなら、(デバイスメーカーだけではなくキャリアも含んだ)業界全体がRCSのサポートで足並みを揃えることが必要だ。

ちょっと大きな観点から眺めてみよう。さらに大きな問題はメッセージング船が既に航海しているということだ。WhatsAppやTelegramのような、大規模で人気の高いプラットフォームが既に数十億人のユーザーをそれぞれの庭に囲い込んでいて、重心をSMSから引き離してしまっているのだ。

だが、戦略的に混乱しているにも関わらずGoogleが努力を止めてしまった訳ではない。そのメッセージングを普及させようとする相当な努力は続けているのだ(失敗したAlloのように)。

4月にGoogleはRCSへの倍賭けを行った。Alloメッセージングアプリからリソースを引き上げて、その代わりに次世代SMSへの進軍に集中する決断を行ったのだ。

また、RCSの背後のささやかな応援の動きも作り上げることに成功した。今年のMobile World Congressで、同社は40以上のキャリアがRCSをサポートすることを発表したのだ。これは1年前の27から増加している。最新のサポート数では、そのキャリア数は55になった。

しかしRCSの専門会社Jibe Mobileを買収してから3年目を迎え、そして「未来のメッセージング」の構築を語る野心的な発言にも関わらず、その発展の兆候はほとんど見えない。

さらなる問題は、キャリアたちもまた、単にサポートする意思を表明するだけでなく、積極的にRCSの普及を行わなければならなかったのだが、どれだけのキャリアが実際にそうしたのかは明らかではない。

またRCSのユーザーが現時点でどれくらいいるのかもはっきりとはしていない(2016年の時点では、キャリアたちはただ10億人のユーザーへの「道筋」をつけると語っていただけだ。その時点ではSMSには数十億人のユーザーがいたため、彼らは標準化を通して何らかの次世代メッセージングシステムの普及を行うことができるとはほとんど考えていなかったと思われる)。

Googleが支援する最新のRCS開発は、プレスリリースの発表によれば、マウンテンビュー(Google)とSamsungの間の「拡大コラボレーション」である。それぞれが提供するメッセージクライアントが「クラウド並びにメッセージングプラットホームも含み、シームレスにそれぞれの企業のRCS技術の上で動く」と言われている。

両者は以前はRCSのサポートを「選り抜きのSamsungデバイス」に追加していたが、現在はRCS機能は既存のSamsung製のいくつかのスマートフォンたちに搭載されると述べている。例えばGalaxy S8とS8+はもちろん、S8 Active、S9、S9+、Note8、Note9、そしてAndroid 9.0もしくはそれ以降が搭載された選ばれたA並びにJシリーズなどだ。

それを聞くとかなりの数のデバイスのように思える。しかしそれも、さらに不明瞭なのだ。なぜなら、やはりサポートが、キャリアと市場での可用性にかかっているからだ。よって、たとえSamsungのAndroid携帯電話のサブセットであったとしても、普遍的なものではないのだ。

彼らはまた、(選ばれた)新しいSamsung Galaxyスマートフォンが、RCSメッセージングをネイティブにサポートすると言っている。しかし、これもやはり、キャリアがその標準をサポートしている場合に限られるのだ。

以上のような一連の注意を述べた後に、彼らは「これは、消費者たちとブランドたちが、Android MessagesとSamsung Messagesユーザーの両者とよりリッチなチャットを楽しむことができるようになることを意味しています」と付け加えている。

両社の声明文が「Androidエコシステム全体に強化されたメッセージング体験」を持ち込むという、景気の良い調子で締めくくられているにも関わらず、明らかにその可能性は見えていない。Android生態系の豊富な「生物多様性」から導かれる明白な結果は、デバイス間標準に対する普遍性の低下である。

それでも、もしGoogleが十分なフラッグシップデバイスとRCSをサポートすることに協力する市場を確保することができるなら、AppleのiMessageに十分対抗できるだけの臨界メッセージ量を確保したと考えることだろう。なので、そのハイエンド端末が、iPhoneとの間でしばしば消費者たちの現金の奪い合いを繰り広げるSamsungからの協力のとりつけは、もちろんその戦略のための大いなる助けとなるのだ。

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(翻訳:sako)