Sansanがログミーの子会社化を発表、オンラインイベント「Meets」とのシナジー効果を目指す

Sansanがログミーの子会社化を発表、オンラインイベント「Meets」とのシナジー効果を目指す

Sansanは8月26日、ログミーの株式を取得し子会社化することを同日開催の取締役会において決議したと発表した。

同社グループは、「出会いからイノベーションを生み出す」というミッションを掲げ、企業やビジネスパーソンが抱えるさまざまな課題の解決につながるサービスを展開。クラウド名刺管理サービス「Sansan」と、名刺をビジネスのつながりに変える名刺アプリ「Eight」を提供している。

また、各サービスの機能・内容拡充などを目的に、同社テクノロジーを組み合わせたさまざまなソリューション提供ほか、プライベートカンファレンスやビジネスイベントなども開催している。

2013年8月設立のログミーは、スピーチや対談、記者会見などを全文書き起こしてログ化し、その情報を多くの人に届けるメディアを運営。ITやイノベーション、起業をテーマにしたイベント・カンファレンスの内容をビジネスリーダー層に届けるメディア「logmi Biz」、アナリスト・機関投資家向け決算説明会の情報を、個人投資家を中心としたステークホルダーに届ける「logmi Finance」などを展開している。

このようなもと、Sansanはログミーを子会社化し、同グループが培ってきたクライアント基盤やユーザー基盤の活用、営業ノウハウ、データ活用ノウハウなどの導入やクロスセルの実施によって、ログミーのさらなる業績拡大を図るという。また、イベント関連事業・広告関連事業における連携商品の開発、ログミーの記事データベースの価値向上に向けた取り組みなどの実施により、両社サービス価値のさらなる向上に取り組むとしている。

Sansanによると、Eight事業部が展開するオンラインイベントのサービス「Meets」などでのシナジーを生み出そうと考えているという。同社は「『出会いからイノベーションを生み出す』というミッションを掲げており、出会いを生み出す機会としてのイベントサービスとシナジーが生み出せると考え、本件に至った」としている。

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名刺管理ツールのSansanが東証マザーズ上場、初値は4760円で最高値は5140円(午前10時25分現在)

名刺管理ツールでおなじみのSansan619日、東証マザーズに上場した。初値は4760円。午前10時の時点の最高値は5140円で、5000円前後での値動きが続いている。

想定価格は4050円、仮条件(IPOの申し込みができる価格帯)は40004500円、公募価格は4500円だった。初値は公募価格を5.77%、260円上回っている。

名刺管理サービスのSansanが東証マザーズ上場承認、6月19日上場へ

名刺管理サービスを提供中のSansanは5月16日、東証マザーズへの上場が承認されたことを発表した。上場日は6月19日に予定されている。

同社は個人向けの「eight」や法人向けの「Sansan」といった名刺管理サービスを主軸としつつ、最近では他企業への投資や人材採用サービスもスタートさせるなど事業拡大を進めてきた。資金調達も積極的で、2017年8月には42億円、2018年12月には30億円、累計では100億円を超える資金を集めている。調達先には、未来創生ファンド、DCM Ventures、Salesforce Ventures、日本郵政キャピタル、T. Rowe Price Japan Fund、SBI インベストメントなどが名を連ねる。

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企業向けアンケートツールのクリエーティブサーベイ、Sansanから2億円を調達

クリエイティブサーベイ前代表の田口亮氏(写真左)と、新たに代表に就任した菊池孝行氏

企業向けのアンケートツール「CREATIVE SURVEY」を提供するクリエイティブサーベイは4月8日、名刺管理のSansanから2億円を調達したと発表した。また、4月1日付けでこれまで同社の代表取締役を努めてきた田口亮氏に代わり、2012年より同社セールス部門のバイスプレジデントを務めてきた菊池孝行氏が代表取締役に就任した。

CREATIE SURVEYは、企業がもつ定量的なデータに加えてユーザーの声という定性データを顧客理解に活用するためのアンケートツールだ。法人向けの他に年299ドル〜利用できる個人プランも用意されている。

そのクリエイティブサーベイは今回、Sansanから資金を調達し、法人向けのアンケートツールを強化してDMP(データマネジメントプラットフォーム)やSFA(営業支援システム)などの機能を付け加えていくという。それにより、顧客企業の営業活動の効率化を図る。

一方のSansanは、本体からの2億円出資について「当社は『ビジネスにおける⼈と⼈との出会い』をデジタル化することにより、世の中にない価値を⽣み出してきました。CREATIVE SURVEY も同様に、『顧客や市場の感情や声』というこれまで定量的に表せなかったものをデジタル化し、価値を⽣み出しています。双⽅の事業の⽅針が同じ⽅向を向いており、互いにシナジーが⽣み出せると判断し、今回の出資に⾄りました」(新規事業開発室 室長 林祐樹氏)と話す。

クリエイティブサーベイにとって、これが初めての資金調達になる。2014年7月の設立から約5年が経過しようとするタイミングだが、それについて「製品やサービスによる素晴らしい体験を提供しつづけるためには、⼈間的な質感や感情を含んだ『お客様の声』を汲み取って、良質なコミュニケーションを継続的に保ち、把握をし続ける必要がある。そのような企業のニーズ増加を感じ、ビジネスをもっと大きくしたいと考えた」とコメントしている。

名刺管理サービス「Eight」がついに採用サービスを本格始動、月額5万円でダイレクトリクルーティング可能

個人向け名刺アプリ「Eight」などを展開するSansanは1月29日、同アプリ内で利用できる人材採用サービス「Eight Career Design」を提供開始すると発表した。

企業がEight Career Designを利用することで、現在200万人を超えるEightユーザーに対してダイレクトリクルーティングをかけることができる。同サービスにはユーザーの職歴などの情報が蓄積されており、企業はその情報をもとに効率的な採用活動を行うことが可能だ。

同サービスを利用する企業は、Eight上に作成した企業アカウント(企業ページ)内に募集要項の掲載が可能になる。また、職種、業種、年齢、募集地域、職位、企業規模でユーザーを絞り込み、求める人材像にあったEightユーザーを検索することが可能だ。企業は絞り込んだユーザーに対してダイレクトメッセージを送ることができるほか、そのユーザーを「タレントプール」に追加しておくことで、そのユーザーのプロフィール変更などの通知が届くようになり継続的な採用活動にもつながる。

Sansanは人と人とのつながりを表示するSNSとしての一面もあるため、例えば、絞り込みによって表示されたユーザーと自社の社員の間につながりを確認することで、Eight Career Designを「リファラル採用」のためのツールとしても活用できるだろう。

Sansanはこれまでにも、Eight上に企業の採用ページを作ることができる機能を提供していたが、今回同社はその機能を進化させ、採用サービスの提供へと本格的に踏み切ることとなった。今後、企業はこのEight Career Designを月額5万円で利用できる。

これまで「名刺」というビジネス資産を起点にビジネスパーソンであるユーザーのデータを集めてきたSansan。そして、社会人になって初めて持つことの多い名刺を起点にしているからこそ、彼らのデータベースは現役のビジネスパーソンのデータで溢れている。中途採用の即戦力を求める企業にとって、Sansanがもつデータベースは、LinkedInなど他のビジネスSNSなどに比べて魅力に映る可能性はある(僕は学生のころにLinkedInを初めて、現在もステータスは「学生」のままになっている)。

ただ、ちょっと気になることも。名刺管理サービスであるEightを使うユーザーは、必ずしも転職を目的として同サービスを利用しているわけではないから、企業から送られてくるスカウトメッセージを鬱陶しく感じることもあるだろう。ただ、Sansanはそのあたりも考慮しているようで、アプリの画面からスカウトメッセージを受け取らないように設定することは可能なようだ。ただし、Eightユーザーがプロフィールの公開設定を「非公開」にしていても、Eight Career Designの検索には表示されるようだ。

 

名刺アプリ「Eight」リニューアル、会社情報がより見やすく

Sansanは12月17日、個人向け名刺アプリ「Eight」のメジャーアップデートを実施したと発表。本日より最新版のEightがAppStoreにてダウンロードが可能で、Android版は順次公開予定とのこと。「Version 9」となる今回のアップデートでは名刺管理をよりシンプルかつ効果的にするためUIを大幅に変更した。

新しいEightは「ホーム」「連絡先」「会社」「自分」の4つのタブから構成されている。旧バージョンは「フィード」「メッセージ」「ネットワーク」「プロフィール」だった。

それでは各タブを説明していこう。

今回新たに追加されたのは会社のタブ。名刺を交換した相手の会社のリストが見られるほか、その会社のどの社員やOB・OGと繋がっているのかを一覧で表示できる。また会社概要や「企業ページ」の投稿を見ることでその会社についてより深く知ることが可能だ。

ホームでは名刺交換した相手の人数や企業数が一目でわかる。名刺交換相手のビジネス情報をフィードで見ることも可能なので、交換後もつながりをデジタル上で継続させることができる。

連絡先では電話帳のように登録した名刺の一覧を見られる。検索だけでなく、交換月や名前順で連絡先を並び変えることも。Eightに登録することで着信時にも名刺情報を表示させられる。

自分と題されたタブでは過去の名刺を含む自分の職務履歴を登録することが可能。

スキャン機能の面では4枚同時に撮影することができるのは従来通りだが、撮影後すぐに「ラベル」を追加できるようになったため、後に見返した時にどの名刺だったかが把握しやすくなった。

またプレミアムユーザー向け機能として名刺の両面の情報をデータ化できるようになっており、さらには追加された「お礼メール機能」を使い簡単にお礼の連絡をすることが可能だ。

  1. ホーム

    「ホーム」
  2. 連絡先_交換月順

    「連絡先」
  3. お礼メール

    「お礼メール」
  4. 撮影後一覧画面

    「撮影後一覧」

Sansanの試算では年間に約22億枚の名刺が国内で流通。これは「11億回のビジネスの出会いが生まれていることを意味していると考えている」と同社は説明している。2018年12月現在、Eightは200万人を超えるユーザーに利用されている。

名刺管理のSansanが30億円を調達、法人向けサービスは7000社以上で導入

個人向けの名刺管理アプリ「Eight」や法人向けの「Sansan」を提供するSansanは12月6日、日本郵政キャピタル、T. Rowe Price Japan Fund、 SBI インベストメント、DCM Venturesから合計約30億円の資金調達を実施したと発表した。

2017年8月には未来創生ファンド、DCM Ventures、Salesforce Venturesから約42億円を調達したことを発表している。これまでの累計調達総額は約114億円だ。

Sansanは今回のシリーズEラウンドを通じ、「出会いから イノベーションを生み出す」という新たなミッションのもと「名刺を起点とした、イノベーションを生み出す事業の展開を加速していく」予定だ。旧ミッションは「ビジネスの出会いを資産に変え、働き方を革新する」。

Sansanは2007年6月に設立し、法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」を開発・提供。大手企業を中心に7000 社以上で導入されている。加えて2012年より個人向け名刺アプリ「Eight」を提供開始。現在登録ユーザーは200万人を超えている。

名刺管理アプリ「Eight」がインド進出、6ヶ月で100万ユーザーの獲得めざす

法人向けと個人向けに名刺管理サービスを展開するSansanは11月22日、名刺管理アプリのEightをインド市場でも提供開始すると発表した。

2007年創業のSansanは、個人向け名刺管理アプリのEightと法人向けのクラウド名刺管理サービスSansanを展開するスタートアップ。Eightのユーザー数は150万人を超え、これまでに取り込んだ名刺データは約3億枚以上だ。

42億円の資金調達を実施したことを2017年8月に発表したSansanだが、その際、同社は調達した資金を利用してアジア諸国への展開に注力するとしていた。今回のインド進出がその第一弾となる。

進出先にインドを選んだ理由としてSansanは、「4億人を超える世界最大の潜在労働力を抱えるなど、(インドは)今後の成長性の面でも大きな期待がされている。また、インドにはビジネスのつながりを大切にし、次のビジネスに活かす文化もあり、日本と同様に日常的に名刺交換が行なわれている」と話す。

確かに、“インドとビジネスをするための鉄則55”(島田卓著)にも、「初対面の人たちとの会議では、まずあいさつし、握手をして名刺交換をします。なじみのない国では顔も名前も分からなくなりやすいので、目の前の卓上に名刺を並べて順番に確認していくといいでしょう」と書かれているように、この地では日本と同様の名刺文化が根付いているようだ。

Eightのインドローンチとあわせて、Sansanは現地における“スキャンパートナー”を募集する。これは、ビジネスマンが多く集まる場所にEight専用スキャナーを設置する事業パートナーのことを指す。今後の6ヶ月間で、Sansanはインドで100万ユーザーの獲得を目指すとしている。

Sansanの名刺管理アプリ「Eight」、低価格で導入可能な企業向けプランが登場

名刺管理システムを導入したいけれど、コスト的に難しいと悩んでいた起業家諸君に朗報だ。

法人向け名刺管理サービス「Sansan」などを展開するSansanは10月2日、個人向け名刺管理アプリの「Eight」に企業向けの有料プラン「企業プレミアム」を追加すると発表した。

今日からEightに追加される企業プレミアムは、おもに社員数が20名前後の小規模事業者やスタートアップをターゲットにした新サービスだ。

企業プレミアムを契約することで、企業の担当者は各社員がアプリで読み込んだ名刺データを一括してCSV形式でダウンロードできるようになる。名刺データから見込み客リストを作成するときなどに便利だろう。ちなみに、社員は社内で共有するデータとしないものを分けることも可能だ。

TechCrunch Japan読者ならよくご存知だと思うけれど、Sansanはこれまで「個人向けのEight、法人向けのSansan」というように領域を分けてそれぞれのサービスを展開してきた。

法人向けサービス「Sansan」のおもな機能

法人向けサービスのSansanは、つながりのある会社の組織図作成などの豊富な機能が備えられている代わりに、初期費用、1台につき月額1万円のスキャナ設置料金、そして月額5万円〜の基本料金が発生する。正直、駆け出しのスタートアップには重たい負担だ。

一方、Eightの企業プレミアムの料金は月額1万円。企業プレミアムを契約するには、各社員がEightの有料プランである「Eightプレミアム」に加入している必要があるが、EightプレミアムはiOSで月額480円、Androidで月額400円だ。

つまり、社員10名の事業者の場合、Eightの企業プレミアムであれば最大で月額1万4800円の料金で済むことになる。

企業プレミアムは、共有データをダウンロードしてリスト化するという必要最低限の機能を提供する代わりに、スタートアップでも気軽に利用できるように価格を抑えたプランだと言えるだろう。

Eightと同様の名刺管理アプリとしては、2017年7月に新機能追加を発表した「Wantedly People」などがある。Wantedly Peopleは無料の個人向けアプリで、現在のところ法人向けプランは提供していない。

[正式発表]Sansanが42億円調達――取り込んだ名刺データは約3億枚に

TechCrunch Japanでは、Sansanが約42億円を調達した“らしい”と4月5日の記事でお伝えしていたけれど、それは事実だった。

Sansanは4月7日、未来創生ファンドDCM VenturesSalesforce Venturesから約42億円を調達したことを正式発表した。

Sansanが提供するのは、個人向けの名刺管理アプリ「Eight」と法人向けの「Sansan」だ。そのうちEightは、これまでに180万人以上のユーザーを獲得し、取り込まれた名刺データは約3億枚に到達したという。

競合アプリとして考えられるのは、ウォンテッドリーが提供する「Wantedly People」だ。

同社が公表した最新の数字によれば、Wantedly Peopleはこれまでに100万人のユーザーを獲得していて、約2000万枚の名刺をデータ化している。ただし、Sansanは2012年サービス開始なのに対し、Wantedly Peopleは2016年11月のサービス開始と、ローンチ時期には違いがある。

今回の資金調達額はSansanにとって過去最大のもの。これにより、今回を含む累計調達金額は約84億円となる。うち約4割が海外投資家からの出資だ。

Sansanはプレスリリースのなかで、「当社はこの資金を、名刺アプリ『Eight』の国内およびアジアでのマーケティング活動へ投じ、アジアNo.1のビジネスプラットフォームを目指します」とコメントしている。同社は2017年9月からEightの海外版をリリース予定。名刺がビジネスで日常的に使われるアジア、インド地域へ展開を開始する。

Sansanが42億円を資金調達か、日経新聞が報じる

日経新聞がSansanの第三者割当増資による42億円の大型資金調達について報じている。出資したとされるのは未来創生ファンド、既存VCのDCMベンチャーズ、米セールスフォース。この件に関してTechCrunch JapanではSansanの広報部に問い合わせているが、記事執筆時点で公式回答や発表はない。

Sansanはクラウドでの名刺管理を法人、個人向けに提供している。法人向けサービス「Sansan」は6000社のユーザーを抱えている。個人向けサービス「Eight」は登録数こそ「100万人が使う」とSansanがうたうほど伸びているものの、マネタイズはこれから。両者は今のところ連動していないが、数が取りやすい企業内個人ユーザーを法人需要と結びつけることができれば、「日本市場のLinkedIn」とも言えるビジネスSNSのデファクトのポジションも獲れる可能性がありそうだ。

これまでSansanは、2014年5月には総額14.6億円の資金調達をしており、米国をはじめグローバル市場への展開も加速するとしていた。日経新聞が報じたところによれば、英語版を開発して9月にはインドやシンガポールなどアジアへ進出する、という。Crunchbaseによれば、2016年1月にもシリーズCで1690万ドル(約18.6億円)を調達していて、累計調達額は3700万ドル(約40.7億円)程度とみられる。

Sansanの2016年3月の9期目の売上は、すでに約31.5億円。一方、純損失約13.7億円と赤字でもあり、資本金、資本準備金あわせて13.5億円の減資している。YouTubeやテレビでCMをご覧になった読者も多いと思うが、まだまだ販管費やマーケティング費用を抑えて利益を優先するよりも、スタートアップらしい投資フェーズにあると言えそうだ。今回、追加調達によって大きく踏み込んだ形。国内でみれば、Sansanと同じく名刺管理サービスを提供していてビジネスSNSの位置に近いウォンテッドリーとの競争も激しくなりそうだ。

名刺アプリ「Eight」にターゲティング広告と採用機能が実装、日本での定番ビジネスSNSとなるか

Sansanが提供するビジネスパーソン向けの名刺管理アプリ「Eight」は、個人間のネットワークに留まらず、人と企業のネットワークも築いていきたい考えのようだ。Sansanは本日、名刺アプリEightに「企業ページ」機能とそれに付随する企業向けの採用と広告ソリューションを発表した。これらの新機能は6月末にリリースする予定だ。

「企業ページ」は、企業が自社の情報発信に活用できる機能とEightの事業部長を務める塩見賢治氏は説明する。ユーザーは企業ページをフォローすることでその会社の最新情報を受け取ったり、その会社に勤めていて、すでに名刺交換をした人の情報などを確認することができる。

企業ページ

そして、Sansanはこの企業ページを軸とした企業向けの採用と広告の2つのソリューションも提供予定だ。

採用ソリューション「Eight Talent Solution」を利用する企業は、自社の企業ページに採用情報を掲載できるようになる。Eightのユーザーは企業ページの募集要項を確認して、アプリ内から直接応募できる機能だ。

Eight Talent Solutionではそれに留まらず、募集要項に合致するユーザーを企業にレコメンドする機能も提供する。Eightには現在、年間1億枚以上の名刺が登録されていて、ユーザーの転職情報が1日500件更新されている。どういった職種の人がどのような業種の仕事に転職しているかの情報があり、それを解析することで人材採用を行っている企業に最適な候補者をレコメンドできると塩見氏は説明する。

採用担当者はレコメンドされたユーザーを見て、個別にスカウトメッセージを送ることが可能だ。もちろん、転職するつもりのないユーザーはスカウトメッセージを受け取らない設定にできるとEightは説明している。

広告ソリューション「Eight Ads」は、ビジネスマッチングを促進する。Facebook広告のように、企業がユーザーのフィードに広告を配信することができるというもの。Eightは、ユーザーが登録した名刺の会社情報と帝国データバンクの企業情報とを紐づけている。これにより、会社の従業員規模別や業種別の細かなターゲティングが可能になるという。

Eightの広告ソリューション「Lead Generation Option」

また、Eight Adsでは展開する広告からの問い合わせや資料請求を簡単にする「Lead Generation Option」を用意している。これはユーザーが気になる商材を見つけたら、Eightのプロフィール情報を使ってワンタップで資料請求できる仕組みだ。

これらのソリューションは6月末にリリース予定だが、現時点では提供価格はまだ公表されていない。

今回の施策で、企業の発信するリリース、メディア掲載情報、自社ブログ、採用コンテンツといったビジネスにまつわる情報を最適なビジネスパーソンに届け、人と企業とのコミュニケーションを促進していくと塩見氏は説明する。

他のSNSと比べ、Eightの特徴は実際にビジネスシーンで活用されていることと塩見氏は言う。「Eightには、FacebookといったSNSにあるプライベートの要素はありません。また、Eightが最も利用されているのは、ユーザーが仕事をしている日中の時間帯です」。現在、150万人のビジネスパーソンがEightに登録しているという。

今後の展開として、Eightでは企業がフォロワーの属性といった情報を多角的に分析したり、分析した情報をマーケティングに活用したりできる機能を開発する予定だという。また、メディア向けの公式ページも作ることも視野に入れている。

世界的に見ると5億人のユーザーを持つLinkedInがビジネス向けSNSとして確立しているが、日本ではあまり普及していない。日本ではSansanの他にウォンテッドリーなども同じビジネス向けSNS領域を狙っている。

 

名刺管理サービス「Eight」は日本版LinkedInを目指す——まずはニュースフィード機能から

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Sansanが提供する名刺管理サービス「Eight」がビジネスSNSの領域に進出する。第1弾の取り組みとして、7月22日から提供される最新版のアプリにニュースフィード機能を導入する。

Eightはスマートフォンのカメラやスキャナで撮影した名刺をアップロードすると、クラウドソーシングや専任のオペレーターがデータ化。スマートフォンアプリやウェブサイトからアクセスして閲覧できる名刺管理サービスだ。ユーザーが名刺情報をアップデートすると、名刺交換した相手にもその情報が反映されるため、常に最新の名刺を閲覧できる。Facebookとの連携も可能。

今回導入したニュースフィードでは、プロフィールの変更などのアップデート情報が配信される。各アップデート情報に対しては、Facebookのようにコメントや「いいね!」を付けられる。今秋をめどに、広告や独自コンテンツ、ニュースなども配信する予定だという。

名刺管理サービスでなくSNSとして使って欲しい

Sansan取締役でEight事業部長の塩見賢治氏

Sansan取締役でEight事業部長の塩見賢治氏によると、Eightのユーザー数は現在約100万人。50万人を超えた頃からユーザー数の伸びは加速しているそうで、2016年中には200万人を達成すると語る。

また現在は月800万枚、年間で1億枚の名刺を処理しているそうだ。塩見氏いわく1年で行われる名刺交換は約10億回。もちろん“かぶり”もあるが、すでに日本の5%(1回の名刺交換で2人が名刺を交換すると仮定して、「10億回の名刺交換×2人=20億枚」で計算)の名刺を処理している計算になるという。

そんな規模に成長してきたこともあって、Sansanとしては「単なる名刺管理でなく、ビジネス版のSNSとして使って欲しい」(塩見氏)となったそう。そこでまずニュースフィードを導入することになった。「そもそも(ビジネスSNSという)構想はあったが、ヤフーでも成功していないように、一朝一夕にはいかない。とは言え日本にもLinkedinのようなサービスは欲しいと思っていた」(塩見氏)。

SNS化以外のアップデートの予定もある。Bluetooth Low Energy(BLE)を利用して、紙の名刺を持つことなく名刺データを交換する仕組みを準備するほか、メッセージ機能の強化、独自IDの導入なども検討する。「名刺交換をするのは広くて浅い関係。Facebookではカバーできないところもあり、そこに価値があると思っている」(塩見氏)

顕在化していないニーズにチャレンジする

少し気になったのは、そもそもユーザーはEightにSNSとしての機能を求めているのかということだ。

EightではFacebookおよびGmailのアドレス帳と連携できる。ITリテラシーの高いユーザーであればすでにFacebookを利用しており、Eightと連携しているはずだ。そうなるとFacebookとEightの2つのタイムラインを見るのだろうか。これに対して塩見氏は「顕在化していないニーズに対するチャレンジ。例えば新入社員がEightで名刺を管理していれば、フィードでビジネスログを持つことができる。これはFacebookでは作ることができない」と説明する。

塩見氏は、フィードに「あなたの会った○○氏の会社の株価が上がっている」という情報を配信する、「こういうジャンルの人に会っているようなので、他にこういう人に合った方がいい」という提案を行うといった例を挙げ、タイムラインを通じてビジネスSNSとしての価値を提供できるのではないかと語る。

知らない人間からの名刺交換をどう考えるか

また、ここ最近、僕の周囲で何度か話題になったEightの機能についても聞いてみた。

Eightは今春のアップデート以降、Eightに登録するユーザーを氏名や所属企業で検索できる「Eightネットワーク」という機能を実装している。仕事上面識はあるけれどもFacebookでも繋がっていないなんてビジネス上の知人を探すのであれば、この機能は非常に便利なものだ。

だがこの機能に否定的な声もあるようだ。それはこの検索機能が、Eightユーザーであれば、名刺交換をしていない人物、すなわち全く知らない人間であっても氏名や企業名、部署名で検索し、名刺交換リクエストできるからだ。

もともとビジネスSNSとしてスタートしていたならば名前や所属で検索をするなんて当然の機能だろう。だがユーザーから見ればEightは名刺管理サービスとしてスタートしている。そのためか利用規約に書かれた利用方法であっても、「知らない人からの名刺交換リクエストが気持ち悪い」と思うユーザーもいるようだ。この機能については、「特定の会社、特定の部署の人間をピックアップできる。名簿屋は喜ぶのではないか」なんて語る人材ビジネスの関係者もいた。もちろん名刺交換リクエストを受け入れない限り連絡先は共有されない設計だが、部署と名前は表示されるため、利用価値のあるリストが作れるのではないかということだ。

これに対して塩見氏は、「Eightの使い方としては知り合いを探す、会いたい人にリクエストをする、という使い方を徹底して欲しいと思っている」と強調。また監視チームを立ち上げ、無差別な名刺交換リクエストを行うユーザーを排除するなど、運営体制を強化を図っているとした。

そんなわけで一部のユーザーには不安な点もあるようだが、フィードによってEightは広告ビジネスも始めることになる。2月にスタートした有料オプション(実数は非公開だが比較的悪くない数字、とのこと)とあわせて本格的なマネタイズの道が見えてきた状況だ。具体的なスケジュールに関しては非公開だったが、「できるだけ早い時期に黒字化を目指す」(塩見氏)としている。

名刺管理のSansanがオープン化、API公開でビジネスインフラ目指す

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法人向け名刺管理サービス「Sansan」がオープン化する。運営元のSansanが8月中旬をめどに、APIを無償で公開。APIを利用するパートナー企業は、Sansanの名刺情報を組み込んだソフトやサービスを開発・販売できる。現時点でマイクロソフトやセールスフォース、日本郵便など20社がパートナー企業に名乗りを上げている。

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Sansanはユーザーがスキャンした名刺を、OCR処理とオペレーター入力でデータベース化。名刺情報はクラウドを通じて組織内で共有できる。日経テレコンやダイヤモンド社の人事情報をもとに名刺情報を更新したり、同じ会社の社員が受け取った名刺を共有する機能もあり、クラウド上で常に最新の顧客情報を閲覧できるのが強みだ。

APIオープン化により、どういった連携製品が出てくるのか。例えば、はがきのデザインから投函までの一連の作業を依頼できるポータルサイトを開発中の日本郵便は、Sansanの名刺データベースと連携し、宛名の印字に活用する予定だ。

そのほかには、顧客管理データベースを手がける企業であれば、キーマンの情報が常に最新の状態に保たれる営業支援システムを構築できる。あるいは、名刺交換した顧客の情報が地図上にプロットされ、近くの営業先をすぐに参照できるマップも作れそうだ。

Sansanは2015年4月時点で3000社が導入していて、2017年までに1万社の導入を見込んでいる。今回のオープン化では、名刺データと連携した300以上の製品が生み出されると見ていて、これによってSansan自体の導入企業も増えると見込んでいる。

Sansan以外にも名刺をデータ化するサービスは珍しくないが、「名刺データを自由に活用できる世界は、誰も想像できていない」と、取締役の富岡圭氏は指摘する。「1年間で世界中で流通する名刺は100億枚以上。これまで捨てられていた情報を生かし、ビジネスインフラとしての価値を生み出したい」。

Sansan取締役の富岡圭氏

Sansan取締役の富岡圭氏

名刺管理アプリEight、プレミアム機能でデータのエクスポートが可能に

Sansanは2月16日、同社の提供する名刺管理アプリ「Eight(エイト)」で月額課金のプレミアム機能「Eightプレミアム」の提供を開始した。価格は月額400円、年額で支払う場合は4000円となっている。

Eightは2012年2月にリリースされた名刺管理アプリ。アプリを起動し、スマートフォンのカメラで名刺を撮影し、クラウド上に保存。それを同社にてデータ化することで、スマートフォンアプリやPCからいつでも名刺にアクセスし、名刺の画像を閲覧したり、ワンタップで電話をかけたり、メールを送信したりできる。FacebookやGmailとも連携していて、友人の名刺を閲覧可能。さらに名刺内の情報をアップデートした際には、名刺を交換をした相手に通知が届いて常に最新の情報を閲覧できる。

今回提供するEight プレミアムでは、登録した名刺データをCSV形式で一括ダウンロード可能になる。また、データ入力が一般ユーザーより優先される。具体的な時間は明示していないが、これまでの1/3程度になるという。また、混み具合によっては会社名、⽒名、電話番号、メールアドレスのみがデータ化されるが、部署・役職、郵便便番号、住所など、すべての項目がデータ化されるという。

これまで無料でのサービス提供を貫いてきたEightがいよいよ本格的にマネタイズをするのかとも思ったのだけれど、同社いわくそうではないらしい。Sansan EightエヴァンジェリストでMarketing& PR Managerの日比谷尚武氏は「Eightはこれまで、名刺をデータ化する『ためる』、名刺を持ち歩くという『使う』、異動情報や(白ヤギコーポレーションと連携して提供する)企業のニュースを提供する『応用』ということを進めてきた。今回のサービスもその応用の1つ。たださすがに無料で提供できないので一部費用を頂く」と説明。今後は「ビジネスインフラとして成長させたい」とのことで、そこで本格的なマネタイズを行うとしている。

なおSansanでは、プレミアム機能提供にあわせてキャンペーンを実施する。2月末までに同機能を申し込んだユーザー限定で、過去に登録した名刺データに関しても、全項目のデータ化を行うとしている。


クラウド名刺管理はいよいよ世界へ–Sansanが14.6億円を調達して米国進出へ

メルカリKAIZEN Platformfreeeと大規模な資金調達が発表されているが、この流れはまだ続くようだ。法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan(旧:LinkKnowledge)」や個人向けの無料名刺管理サービス「Eight」を展開するSansanが、DCM、日本経済新聞デジタルメディア、産業革新機構、環境エネルギー投資、GMO VenturePartnersなどを引受先とする総額14.6億円の第三者割当増資を実施した。

Sansanでは、今回の調達を受けて海外戦略を強化する。Sansanは2013年に米国に子会社を設立。すでにノンプロモーションで試験的にサービスを展開してきているそうだが、これを5月より本格化する。

米国提供するサービスはSansan(旧:LinkKnowledge)をベースにしたものになる予定。ただし、LinkKnowledge自体は2007年にスタートしているサービスであり、販売方法も仕組みも決して今の時代に適したものとは言えない。そのため、米国ではサービス内容も国内で提供しているものとは少し異なるものにしており、課金についてもフリーミアムモデルを採用するそうだ。このサービスは、今秋をめどに国内でも提供する予定だという。

一方で、Eightについては現時点で米国展開をする予定はない。「名刺管理」と「名刺をもとにしたメッセージの送受信」という点ではLinkedInというプレーヤーもいるので、あえてレッドオーシャンに進まないということだろうか。すでに50万人が利用しているというEightだが、スキャン代行サービスを手がけるスキャンマンと組んだり、コワーキングスペースと組んだキャンペーンなどを展開したりするなど、当面は国内での認知度向上施策を続けるようだ。