World Viewの成層圏気球がツーソン本社からの浮上操作に成功、商用化に一歩前進

成層圏気球をさまざまな目的のために提供するWorld Viewが、同社の発表によると、アリゾナ州ツーソンの本社から、その最初の浮上に成功した。その新しい本社は公式には2月にオープンしたが、その後今日まで各種の準備作業に追われ、本日(米国時間10/1)やっと初浮上に至りついた。

World Viewは高高度の気球船を使うことにより、商用宇宙ビジネスに新しい分野を開拓しようとしている。その気球は地球の大気圏の上端で運用され、科学研究や観測などの目的に、低地球軌道人工衛星よりずっと安い費用で利用できる。その成層圏高度は、長期的な観測サイトにも適しており、気象観測や国防用途にも向いているとされる。

ツーソンにおける初浮上は、土曜日(米国時間9/30)に行われ、その前の気球充填テストは8月半ばに行われた。ツーソンの本社には浮上のための施設設備だけでなくオフィスもあり、巨大な気球を手作業で組み立てるための世界最長のテーブルもある。将来的には客室のある気球も構想しており、それが実現したら成層圏観光旅行や科学者たちの搬送も可能になる。

World ViewのCEO Jane Poynterによると、ツーソンからの最初の浮上は同社の(ブランド名)Stratollite気球の一連の開発および立証過程における、重要な里程標のひとつにすぎないが、今日の成功を踏まえて今後は徐々に、長期の滞留や永続的ステーションの実現に向けて努力していかなければならない、という。

ツーソン本社ではなく試験サイトからの浮上では、すでに気球の27時間の連続飛行に成功している。複数の気球の、数時間でなく数か月の一斉滞留が可能になれば、商用の運用もできる、と同社は考えている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

合衆国空軍がGPS用の新しい人工衛星を打ち上げ、精度が1mから42cmにアップ

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今朝(米国時間2/5)United Launch Alliance(ULA)が、合衆国空軍Global Positioning System(GPS)(全世界位置測定システム)用Boeing製人工衛星の、軌道上への打ち上げに成功した。

最新のGPSシリーズはBlock IIFと呼ばれる人工衛星を12使うが、今回打ち上げられた1億3100万ドルの衛星はその最後のものだ。

GPS衛星は空軍が運用し、グローバルな位置測定やナビゲーションおよび時間計測サービスを、軍と民間の両ユーザーに提供している。この‘星’たちがあるおかげで、誰もがスマートフォンからGPSを利用できる。

 

1978年に最初のGPS衛星が軌道へ打ち上げられた。その後空軍は衛星の設計を改良し、複数のブロックから成るニューバージョンのGPS衛星をリリースした。最初がBlock I、次がBlock IIA、Block IIR、Block IIR-Mと続き、今日はBlock IIFシリーズの打ち上げを完了した。

今運用されているGPS衛星は30基のみだが、これまでに総計50基が打ち上げられている。最新のグループであるBlock IIFは、2010年の5月から今日までかかって打ち上げられた。

合衆国空軍Global Positioning System DirectorateのディレクターSteve Whitney大佐によると、この最後の部分の打ち上げは過去20年間でもっとも厳しいスケジュールだった、という。合計7基のBlock IIF衛星が、わずか21か月あまりで打ち上げられた。

Image courtesy of Boeing

GPS衛星Block IIFは、GPSの精度を高めるために打ち上げられた。Whitney大佐によると、Block IIFシリーズの前は、GPSの精度が1メートルだった。新衛星Block IIFによって、誤差は42センチに縮まる。

それぐらいの変化は平均的民間人には関係ないかもしれないが、GPSを使って弾薬の照準を合わせる軍にとっては、生か死かの違いを意味することもある。

今日の衛星のためのスペースを作るために空軍は、1990年に打ち上げられた古いBlock IIA衛星の一つを移動する。おもしろいことに、その衛星は今後もバックアップ衛星として、GPS星座の一員としての奉仕を続ける。

これでBlock IIFが使えるようになったので、これからの空軍はGPS-3星座用のBlock III衛星に力を入れる。Block III衛星は精度と信頼性がさらに向上するとともに、軍用信号のためのジャミング防止やセキュリティの能力もアップグレードする。

完全に機能するGPSを最新の状態にメンテナンスすることは、国のセキュリティの必須の要件だ。そのためには、打ち上げを行う企業の選定も重要だ。次の衛星ブロックを打ち上げる企業の選定をめぐって、ULAかSpaceXかという議論が最近あった。まだ決定は行われていない。

GPS-3用の衛星の打ち上げは、2018年からの予定だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa