Scale AIが人工知能関連で最もホットで新しい合成データゲームに参入

Scale AI(スケールAI)が73億ドル(約8400億円)企業になるまでの道には、画像、テキスト、音声、動画などのリアルデータが敷き詰められていた。現在、その基盤を利用し、AIで最もホットで新しいカテゴリーの1つであるシンセティック(合成)データゲームに参入する。

同社は米国時間2月2日に、機械学習エンジニアが既存の実世界のデータセットを強化するために使える製品「Scale Synthetic」の早期アクセスプログラムを発表した。同社は、この新しい部門を立ち上げるために2人の幹部を採用した。Nines(ナインズ)で機械学習の責任者を務め、Apple(アップル)で3Dマッピングのコンピュータビジョンエンジニアを務めたJoel Kronander(ジョエル・クロナンダー)氏をシンセティックデータ部門の新責任者として、また、Vivek Raju Muppalla(ビベク・ラジュ・ムッパラ)氏をシンセティックサービス部門のディレクターとして採用した。ムッパラ氏は、Unity Technologies(ユニティ・テクノロジーズ)でAIとシミュレーションのエンジニアリングディレクターを務めた人物だ。

シンセティックデータとは、その名の通り、現実世界の情報を使わず、機械学習アルゴリズムによって作成された偽のデータのことだ。医療用画像など、プライバシーが重視されるデータを作成する際に、強力で便利なツールになり得る。開発者はシンセティックデータを使って学習モデルをより複雑にし、収集された実世界のデータセットに散見されるバイアスを取り除くことができる。

Scaleは当初、人がラベル付けした実際の画像、テキスト、音声、動画データとソフトウェアを組み合わせ、自動運転車メーカーに機械学習モデルの学習に必要なラベル付きデータを提供していた。機械学習モデルは、ロボタクシー、自動運転トラック、倉庫やオンデマンド配送に使われる自動ボットの開発と配備に使われる。その後、このスタートアップは、政府、金融、eコマース、自動運転車とエンタープライズ産業などを顧客とするデータ管理プラットフォーム企業へと変貌を遂げた。

創業者でCEOのAlexandr Wang(アレクサンドル・ワン)氏は、この新しいサービスをデータへのハイブリッドアプローチだと表現し、実験室で育てられた肉にたとえた。

「研究室で育てられた肉が本物の動物の細胞から始まるように、私たちは本物のデータから始まり、そこから製品を育て、開発・構築していきます」と同氏はTechCrunchに語った。実世界のデータをベースにしてシンセティックデータを作成することで、実にユニークで強力なサービスを顧客に提供することができると同氏は述べ、同社は市場にそうしたギャップがあると見ていると付け加えた。

Scaleの顧客も、そのギャップを感じていたようだ。同社がシンセティックデータに力を入れたのは、顧客からの需要に応えるためだったとワン氏はTechCrunchに語った。この製品の開発を始めてから、まだ1年経たないという。自動運転車技術開発企業のKodiak Robotics、Tractable AI、米国防総省はいずれも、Scaleの新しいシンセティックデータ製品を採用していると同氏は述べた。

現在、約450人の従業員を抱えるScaleは、シンセティックデータを2022年の最優先事項として捉えており、製品ラインを充実させるために投資を続ける分野だとしている。しかし、それはリアルデータ事業を引き継ぐことを意味するものではない。ワン氏はシンセティックデータを、開発者が「アルゴリズムなどのAIや、特にエッジケースでより多くの利益を得られるようにするための補完的なツール」と考えている。

例えば、自動運転車の会社は通常、シミュレーションを使って現実世界のシナリオを再現し、その環境で自動運転システムがどのように対処するかを確認する。現実世界のデータでは、彼らが求めているシナリオは得られないかもしれない。

「例えば、100台の自転車が一度に横断するようなシナリオは、現実世界ではあまり遭遇しません」とワン氏は説明する。「現実世界のデータから出発して、すべての自転車や人を合成的に追加することで、アルゴリズムを適切に訓練することができるのです」。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

「機械学習データセットのためのGoogleフォト」実現加速のためScale AIがSiaSearchを買収

Scale AI(スケールAI)は、欧州でのリーチ拡大と最新製品の開発スピードアップに貢献する小規模なスタートアップを買収した。

買収にともなう合意条件は明らかにされていない。

欧州のベンチャースタジオMerantixからスピンアウトしたSiaSearchは、先進運転支援システムや自動運転システムが取得するペタバイト規模のデータの検索エンジンとして機能するデータ管理プラットフォームを構築している。すでにフォルクスワーゲンやポルシェなどの大手自動車メーカーと提携しているこのスタートアップは、車両群が収集した生センサーデータのインデックスを自動作成し、構造化することができる。

その機能は、Scale AIの既存の技術とうまく調和している。Scale AIは、ソフトウェアと人を使って、画像、テキスト、音声、ビデオデータにラベルを付け、機械学習アルゴリズムを構築する企業に提供している。Scale AIは当初、自律走行車メーカーに、機械学習モデルのトレーニングに必要なラベル付きデータを提供することを目的として設立された。これにより、ロボタクシー、自動運転トラック、倉庫やオンデマンド配送に使用される自動ロボットなどの開発・展開が可能になる。しかし、同社はデータラベリングにとどまらず、データマネジメントのプラットフォームとしての役割を果たしている。政府、金融、EC、エンタープライズなどの他の業界にもサービスを提供しており、現在はAirbnb(エアビーアンドビー)、DoorDash(ドアダッシュ)、Pinterest(ピンタレスト)などの企業と提携している。

ベルリンを拠点とするSiaSearchは、Scale AIの共同創業者兼CEOであるAlexandr Wang(アレクサンダー・ワン)氏が以前「我々の未来の最初の製品」と呼んだNucleusの構築において、特に有益な存在となり得る。ワン氏によると、SiaSearchチームをNucleusの活動に組み込むことを計画しているという。

Nucleusは、ワン氏が「機械学習データセットのためのGoogleフォト」と呼ぶAI開発プラットフォームだ。この製品は、膨大なデータセットを整理、管理し、モデルのテストやパフォーマンス測定などを行うための手段を顧客に提供する。SiaSearchによって、Scale AIは取り組みを加速させ、さらには機械学習のライフサイクル全体をサポートするために機能を拡張することができる、とワン氏はいう。

今後の目的は、SiaSearchの技術をNucleusに組み込み、自動車やAV技術以外でも、あらゆるAI開発者が使用できる完全なデータエンジンを提供することだ。これは、ロボットメーカーや自動車メーカーなど、データの取得、ラベル付け、整理だけでなく、自社製品のアルゴリズムを改善するために必要な新しい種類のデータを継続的に再定義するための追加ツールが必要な企業にとって、非常に有用なものとなるだろう。

ワン氏は、Tesla(テスラ)が同社の先進運転支援システム「オートパイロット」の改良のためにデータエンジンのコンセプトを率先して導入したことを指摘し、これはテスラが行ってきたことに似ています、と語った。

ワン氏は、自動車メーカーやロボットメーカーは、車両やロボットなどのフリートが拡大するにつれ、膨大な量のデータをどのように活用するかに頭を悩ませていると語る。これらのデータをすべてクラウドにアップロードするだけでも、文字通り何十億ドル、何百億ドル(何千億円、何兆円)ものコストがかかると同氏はいう。

「基本的に、すべてのAIチームが求めているのは、いかにして機械学習の開発を加速させ、Teslaのようにデータセットの取り組みを加速させるかということです」とワン氏。「当社は、Teslaが持っているのと同じように、モバイルフリートから最も関連性が高く、最も興味深いデータを使って、常にアルゴリズムをスーパーチャージできるというスーパーパワーを彼らに与えようとしているのです」。

画像クレジット:Scale AI

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)

自動運転技術開発のニーズに応えるためScale AIがマッピング分野に進出

自動運転にともなうさまざまな課題を解決することは非常に複雑な作業だが、それでも実現に向かうためには、まず何よりも、正確で十分にアノテーションされた質の高いデータを確保する必要がある。そこで登場したのがScale AI(スケール)という企業だ。AV業界では、特殊なLiDAR画像を含む膨大なデータのアノテーションが必要になると早くから考えていた。同社の共同創業者でCEOのAlex Wang(アレックス・ワン)氏は、2021年6月末にリリースされる新製品でマッピングの分野に進出すると「TC Sessions:Mobility 2021(TCセッション:モビリティ2021)」で語った。

トヨタをはじめとする運輸業界のパートナーとの協力関係について、ワン氏は「当社の役割は進化し続けています」と語った。「ご存知のように、私たちは顧客と協力して、データやアノテーションデータのラベリングに関する問題を解決していますが、すると次に、顧客はデータ管理に関する別の問題を抱えて私たちに助けを求めてくるようになりました。それを解決するために、私たちはNucleus(ニュークリアス)という製品を発売しました。そして現在、多くの顧客がマッピングについて、より強固なマップをどのように展開するかについて、頭を悩ませています。そこで私たちは、そのような問題の対処を支援するための製品を開発することにしました。おそらく今月末には発表できると思います」。

さらに促しても、この件に関してワン氏は具体的な話をしなかった。しかし、マッピングの課題についてや、センサーフュージョンや車両とインフラ間の通信コンポーネントなどの信号を含むAVシステムにマップを統合しようとしている企業にとって、既存のマップでは何が不足しているのかについては、さらに詳しく説明してくれた。

「全体的に私が大きな問題だと思うのは、この業界は歴史的にマッピングに非常に大きく依存してきたことです。非常に高品質で高精細なマップに大きく依存してきました。厄介なのは、これらの地図が間違っていることがあり、それにどう対処するかということです。【略】地図の信頼性や更新といった課題にどう対処するか。考えてみると、世界で圧倒的に優れた地図インフラであるGoogleマップでさえ、(人間の)ドライバーにとって十分な速さで更新されていないことがわかります」。

ワン氏によれば、この課題はScaleが創業以来、積極的に解決してきたデータフライホイールの課題と大きな違いはないという。自動運転走行では、データを迅速かつ正確に収集してアノテーションすることが何よりも重要である。その結果として、データの収集とアノテーションが改善されていき、システムが環境を把握する信頼性が高まっていく。

「絶えず変化する世界の状況にどうやって対処するか、その方法を見つけ出すことは、非常に大きな要素です」と、ワン氏はいう。Scaleが具体的に何を計画しているのかはまだわからないが、何を発表するにしても重要な要素として、地図とマッピングの精度に対する信頼を築くことが重要な要素になると考えてよさそうだ。

関連記事:Scale AIが自動運転車の開発向けに無料のLIDARデータセットをリリース

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:自動運転地図Scale AI

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ある企業がVC資金なしで208億円の売上を実現した方法とは?

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。

今回はお金の話、スタートアップの話、IPOの噂話をしよう。

先週は非常に多くのことが起きた。先週はEquityポッドキャストのスタッフが、最近のアーリーステージ向けベンチャーキャピタルのラウンドをじっくりと調べたが、もしまだ聞いていないならこちら(未訳記事)から聞くことができる。小規模なスタートアップは登場し続けてはいるものの、今回のThe Exchangeでは、より後期ステージのニュースを掘り下げたい。

まずは、私にとっては初めて聞く会社だったNextiva(ネクスティバ)の話題から始めよう。現在、売上高が2億ドル(約208億1000万円)を超えた同社は静かな巨人である。そして注目すべきは、その規模に至るまでベンチャーキャピタルからの資金調達を行ってこなかったことだ。

資金調達に関するニュースがテックメディアで頻繁に取り上げられることを思うと、これまでNextivaが一体どのようにして高コストの成長戦略と外部資金に頼らずに規模を拡大して来たかを尋ねるのは新鮮な気持ちだった。

CEOで共同創業者のTomas Gorny(トマス・ゴーニー)氏と話しながら、会社の歴史を少し掘り下げてみた。それはおおよそのところ次のようなものだ。1996年に20歳でカリフォルニアに移住したゴーニー氏は、ドットコム・ブームの時代にテック企業で働いた後、2001年にウェブホスティング会社を創業した。そのウェブホスティング会社(iPower)は、2007年にEndurance International(エンデュランス・インターナショナル)という名の別の会社に売却された(PE Hub記事)。Enduranceは2011年におよそ10億ドル(約1040億6000万円)で一括売却されたのちに公開され、2020年11月に30億ドル(約3121億8000万円)で買収されて非公開となった(Clearlake記事)。歴史的な参考資料としてTechCrunchがEnduranceについて触れた2010年の記事(未訳記事)を読むことができる。

ゴーニー氏は2008年にNextivaを設立し、「UcaaS」(unified communications as a service、サービスとしてのユニファイドコミュニケーション)と現在は呼ばれるものに焦点を絞った。このスタートアップは、年間経常収益(ARR)が約4000万ドル(約41億7000万円)になるまでに成長したが、やがてハードウェアとサポートサービスソフトウェアを統合するサードパーティ製システムの問題に直面したことが、考え方の転換のきっかけとなった。同社はプラットフォームの構築に乗り出したのだ。

Nextivaは水平展開を行い、規模の拡大にともないCRMソフトウェア、アナリティクス、その他の機能を追加していった。そしてその成長は効率的だった。ゴーニー氏はTechCrunchに対して、同社は創業者チームの資金からスタートしたが、たとえ他の誰かの資金を使っていたとしても、同じように会社を作りあげただろうと語った。

プラットフォームの切り替えにはコストがかかり、Nextivaの計算ではそのプロジェクトに1億ドル(約104億1000万円)が費やされた。彼らはTechCrunchに対して、もしオリジナルのサービスだけに集中していれば、短期的にはもっと早く成長できたかもしれないと語っている。

Nextivaが膨大な時間とお金を費やしてきたプラットフォーム製品は、すでにマーケットに提供(GlobalNewswire記事)され、ARRは2016年の1億ドル(BusinessInsider記事)から拡大し、2020年は2億ドル(約208億1000万円)となった。今の同社はプラットフォームと呼べる地位への進化を完了できたと考えている。このことに私は少し反発を感じた。文字通りすべての会社がプラットフォームになりたいと思っている中で、ほとんどがそうできていないのだから。

しかし、ゴーニー氏はその点に関する彼の考えを語り、私の気持ちを落ち着かせた。Nextivaは一連の製品群を構築したが、その時点ではプラットフォームではなかったと彼は説明する。正しい。しかし、自社のすべてのアプリやサービスのために、顧客データの共有プールを作成するシステムを構築したことで、Nextivaがその基盤となるレイヤーの上でより速く構築できるようになり、同社は1つになれたのだと彼は主張する。現在テック企業たちが乱用する以前の「プラットフォーム」の用語定義に照らして、その使い方は正当なもののように思える。

Nextivaの次のステップは?年30%以上の成長を考えれば、株式公開の可能性もあるだろう。それが自己資金であることを考えると、桁外れに大きなキャッシュバーンを持つことはないし、IPOのために必要なベンチマークは満たしている。さらに、ゴーニー氏はプライベートであることで、製品開発に集中したいときに成長を加速させたり減速させたりすることができると強調してはいたものの、Nextivaはもっと有名になりたいと考えているような印象を受けた。そして、IPOはそれに役立つだろう。

2021年はユニコーンのIPOラッシュが到来するといわれている。おそらく、そうしてデビューするものたちの中にはダークホースも含まれているだろう。

マーケットノート

今回私たちは、より広範なスタートアップ市場についての、議論に値する3つのテーマを取り上げる。AIの資金調達、フィンテック、未上場株式市場の流動性だ。

AIに関しては、特に後期ステージの中では、このところ忙しいセクターとなっている。オハイオ州に拠点を置くヘルスケアAI企業のOlive(オリーブ)は、これまでに調達した4億5600万ドル(約474億6000万円)の約半分にあたる2億2550万ドル(約234億7000万円)を調達した(Oliveサイト)。さらにいうなら、Oliveはユニコーンでもあり、PitchBookは資金調達後の評価額を15億ドル(約1561億1000万)としている。

中西部の企業の活躍を見るのはうれしい。だがOliveだけがユニコーンではない。Scale AI(スケールAI)も巨額の資金を調達しており、今回は35億ドル(約3642億6000万円)の評価額で1億5500万ドル(約161億3000万円)(未訳記事)の資金を調達した。2019年は10億ドル(約1040億7000万円)以上の評価額で1億ドル(約104億1000万円)を調達していた(未訳記事)。またAIスタートアップの領域では他にも、Versatile(バーサタイル)が2000万ドル(約20億8000万)を調達しultimate.ai(アルティメットai)も2000万ドル(未訳記事)を調達した。大忙しだ!

先を急ごう。Stripeはサービスとしてのバンキングを提供するツールセットを投入し、すでに高額な評価を受けているペイメント企業を、当初のニッチな領域から、より広範なそして利益を生む可能性のある領域へとシフトした。

ということで、同じ問題空間で仕事をしている小規模なスタートアップにとっては悪い知らせかも?彼らに何かいうことがあるかどうかは別として。以前に私が採り上げたAPI経由で銀行サービスを提供するスタートアップ、Treasury Prime(トレジャリー・プライム)のCEOであるChris Dean(クリス・ディーン)氏がThe Exchangeに寄稿した記事によれば「(Stripeのニュースが発している)最も重要なメッセージは、銀行に対してオープンバンキングAPIが必要とされていることを伝えている」ということだ。

そしてディーン氏は、すべてのフィンテックが異なる対象ごとに複数のベンダーを持つように、バンキングAPIサービスを提供する主要なフィンテックごとにも多くのベンダーが存在する余地があると考えており、Treasury Primeの顧客の中にも銀行業務のニーズに対して「Marqeta(マルケタ)、Galileo(ガリレオ)、Stripeを利用している顧客」がいると指摘している。

この先どうなるか楽しみにしよう。だがそれでもやはり、Stripeのニュースはビッグニュースだ。そして今回のアップデートは、彼らのIPOの遅れを説明できるものだと思う。成長を促進するこうした新しい要素があるときに公開した方が良いだろう。そのIPOが遅れていることに対して、口やかましく指摘した前回の私たちのノートの続きはここまでにしておこう。

そして最後はCarta X(カルタX)だ。このニュースを伝えられる興奮が押さえきれない。スタートアップ企業の資本対策表(キャップテーブル)管理や従業員の株式持ち分の取引を支援するCartaは、一種の取引所(Carta X)を開こうとしている、これは未上場株式市場に対してより多くの流動性、つまりより多くの価格シグナルと透明性をもたらすはずだ。開所予定は来年早々である。詳しくはここで(Medium記事)。

その他のことなど

残り文字数が少なくなってきたので、今回の締めくくりに3つだけ取り上げる。

最後に、The ExchangeはYext(イエクスト)のCEOであるHoward Lerman(ハワード・ラーマン)氏に対してインタビューを行った。内容は、第3四半期の結果については短期予想を上回る結果(Seeking Alpha記事)となったものの、第4四半期の利益予想については投資家に不安が広がっている(Seeking Alpha記事)件に関してだ。

私は先週のExtra Crunch Liveに参加した(未訳記事)ラーマン氏に話を聞き、状況を聞くことができた。検索サービスの提供に向けたYextの努力が功を奏して知名度が上がり、販売プロセスのコスト削減に貢献している。だがもう一方では、世界が再びロックダウンに向かっていることから、一部の地域では売上の伸びに対する弱さが見られ、ソフトウェア企業の成長の鍵を握る短期的な総合成績の結果はへこんでいる。

Yextは公開SaaS企業の1つに過ぎないので、その業績に対して過剰な評価はしたくないが、近い将来の成長という点で、同社が直面している不確実性についての率直な評価は、同社の事業に特有のものであるとはいえない。近い内にスタートアップたちに対して第4四半期の成長について尋ねる必要があるだろう。

こんなことをいっても仕方がないが、Yextはインテリジェントな製品を拡大している真っ最中なのに、それを売り込む先の市場の一部が冷え込んでいるのだ。これは、スタートアップたちが未上場のうちに乗り切るのがベストだと表現する状況だ。おそらく、Yextのケースは、公開企業が同様の状況を切り抜ける際の良い事例の1つになるだろう。

ではまた。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:NextivaScale AIStripe

画像クレジット:Nigel Sussman

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(翻訳:sako)

Scale AIが自動運転車の開発向けに無料のLIDARデータセットをリリース

高品質のデータはAIアルゴリズムの原動力だ。ラベル付けされたデータの継続的な流れがないと、ボトルネックが生じ、アルゴリズムは徐々に悪化し、システムのリスクが増す。

そのためラベル付きデータは、Zoox、Cruise、Waymoのような企業にとって非常に重要だ。自動運転車の開発・導入向けの機械学習モデルのトレーニングに必要だからだ。そのニーズがScale AI(スケールAI)の創業につながった。同社はソフトウェアと人間の力をあわせて、機械学習アルゴリズムを開発する企業向けに画像、LIDAR(光を用いる距離測定方法または装置)、地図データを処理し、ラベルを付けるスタートアップだ。Scaleの顧客基盤の大半は自動運転車技術に取り組む企業が占める。同社のプラットフォームは、Airbnb、Pinterest、OpenAIなども利用している。

新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックにより、データの流れが遅くなり、場合によっては止まってしまった。自動運転車開発企業が何十億もの画像を収集できる公道試験を停止したためだ。Scaleはデータの蛇口を再び開いて無料で提供するつもりだ。

同社は今週LIDARの製造元であるHesaiと協力し、自動運転の機械学習モデルのトレーニングに使えるオープンソースのデータセット「PandaSet」を発表した。学術的、商業的目的のために無償でライセンスされている。Hesaiの画像のような解像度を持つ前方向きPandarGT LIDARと、Pandar64として知られる機械的回転LIDARで収集したデータが含まれる。同社によれば、データは当局が外出禁止令を出す前にサンフランシスコとシリコンバレーの市街地を運転して収集した。

「AIと機械学習は信じられない技術であり、インパクトを与える可能性が非常に高いが、うっとうしい存在でもある」と、ScaleのCEO兼共同創業者のAlexandr Wang(アレクサンダー・ワン)氏は最近のTechCrunchとのインタビューで語った。「機械学習は間違いなく『ゴミを入れればゴミが出てくる』タイプのフレームワークだ。このアルゴリズムを強化するために本当に必要なのは高品質のデータだ。それがScaleを創業した理由であり、オープンソースの視点で業界を前進させるために今日このデータセットを使用している理由でもある」

このLIDARデータセットの狙いは、内容が豊富で密度の濃いデータセットへの無料アクセスだ。2種類のLIDARを車、バイク、信号機、歩行者であふれる複雑な都市環境で使用することでそうしたデータセットを構築できたとワン氏は述べた。

「ZooxとCruisesは、密集した都市環境でシステムがしっかりテストされているとうたっている」とワン氏は説明した。「当社はそれをコミュニティ全体に公開したかった」

画像クレジット:Scale AI

同社によれば、データセットには4万8000を超えるカメラ画像と1万6000のLIDARデータが含まれ、1つあたり8秒間で100シーンを超える。また、各シーンには28のアノテーションクラスがあり、ほとんどのシーンには37のセマンティックセグメンテーションラベルがある。たとえば、自転車や車の周りに小さな箱を配置する従来の直方体ラベルでは、LIDARデータのすべてを適切に識別することができない。Scaleは点群セグメンテーションツールを使用し、雨のような複雑なオブジェクトに正確にアノテーションする。

自動運転データをオープンソースすること自体は全く目新しいというわけではない。Aptiv(アプティブ)とScaleは昨年、自律型車両センサースイートからの大規模データセットであるnuScenesをリリースした。Argo AI、Cruise、Waymoは、研究者にもデータをリリースした数ある自動運転車開発企業の一部だ。Argo AIは精巧なデータと高解像度マップをリリースした。CruiseはWebvizと呼ばれるデータ視覚化ツールを開発した。これは、ロボットのすべてのセンサーから生データを収集し、バイナリコードを視覚化する。

Scaleの取り組みは少し異なる。たとえばワン氏は、同社のデータセットを使用するライセンスには制限がないと述べた。

「現在、高品質のラベル付きデータに対する継続的なニーズがある」とワン氏は語った。「そうしたデータへのアクセスは自動運転システムを構築する際の最大のハードルの1つだ。特に多くの自動運転開発会社がデータを収集できないときに、データへのアクセスを民主化したいと考えている」

とはいえ、Scaleが突然すべてのデータを無償で提供するわけではない。結局のところ営利企業だ。しかし今年後半には収集したデータをオープンソース化することをすでに検討している。

画像クレジット:Scale

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Category:モビリティ

Tag:自動運転 Scale AI

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(翻訳:Mizoguchi