中国が新型の長征5号Bロケットで次世代乗員カプセルのデモ飛行

中国が新型の長征5号Bロケットを利用した、次世代宇宙船の実証ミッションを打ち上げた。これは、中国の次世代宇宙ステーションの部品の打ち上げにも使用される、新型の長征ロケットの最初の打ち上げでもある。

今回のミッションでは、中国で最新のロケット射場となる文昌(ウェンチャン)から、乗員を乗せない宇宙船が打ち上げられた。長征5号Bは推進力を高める4つのブースターを装備した10基のエンジンを搭載したロケットで、中国にとってこれまでで最も強力なロケットだ。このロケットは第2段がなく、大型のペイロードを地球低軌道に運ぶために特別に設計されている。これはまさに、同国が2022年までの建設を計画している宇宙ステーションの組み立てに必要なものだ。

乗員カプセルは低軌道で短期間の実証ミッションを行うが、現時点では飛行証明の準備段階だ。最終的には、軌道上の宇宙ステーションとランデブーし宇宙飛行士を送り込むために中国が現在使用している宇宙船の神舟と代わることになる。現在は3人乗りだが、最終的には一度に最大6人を輸送することができ、また最終的には月まで宇宙飛行士を運ぶことも可能になる。

これは中国の宇宙開発にとって重要なミッションであり、現在進行中のNASAによる商業有人ミッションと比較すると興味深い。アメリカは5月27日にSpaceX(スペースX)の商業宇宙船が宇宙飛行士を乗せて初のデモ打ち上げを行うという、大きなマイルストーンに近づいている。また同社のCrew Dragonは、構成によって最大7人の乗員を輸送できる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

イーロン・マスク氏が天文観測の邪魔をしないStarlink衛星の新機能を解説

今週開かれたバーチャル記者会見で、SpaceXの創設者でCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は、同社のStarlink衛星のコンステレーションが夜間の天文観測を邪魔しないようにする新計画の詳細を解説した。マスク氏は、以前、衛星の視認性を低減させるための「サンバイザー」を作るつもりだとTwitterで明かしていたが、その仕組みや以前にSpaceXが試した黒く塗る方法と比較してどうなのか、詳しいことをマスク氏もまだわかっていなかった。

Space Newsの記事によると、SpaceXの新しい「VisorSat(バイザーサット)」のアイデアは、基本的にサンバイザーで太陽の直射光をブロックし、衛星に搭載されている反射率の高いアンテナに光が当たらないようにして、反射光が地上に届くのを阻止するというものだ。その反射光が、夜空の明るい光として見える原因になっている。

将来のStarlinkに追加予定のこの新しいハードウェアは、その他の対策を補完するものでもある。その1つが、打ち上げ後に目標の軌道にのるまで、特に地上から見えやすくなる期間に衛星の向きを変えるという対策だ。全体的なゴールは「1週間以内に衛星を肉眼では見えないようにして、天文学への悪影響を最小限にする」ことであり、コンステレーションによるいかなる影響も科学者や研究者による新発見を妨害しないよう重点的に取り組むことだと、マスク氏は言う。

Starlinkコンステレーションを見えにくくするSpaceXの最初のテストでは、反射しやすい表面を暗い色で覆う方法に重点が置かれていた。テスト当初はある程度の効果が示されたものの、VisorSat方式の方が効果的であり、明るさを少し下げるといった程度ではなく、大幅に低減してくれるものだとマスク氏は確信している。

今のところSpaceXは、次のStarlinkの打ち上げでVisorSatシステムをテストしたいと考えている。2020年に入ってからこれまで、月に1度のペースで打ち上げが行われてきた。だが、このシステムには機械工学上の問題が残されている。太陽の直射光を遮る日よけを飛行中に展開する必要があるのだが、それはまったく新しい装置だ。しかもStarlinkの本来の仕事を邪魔しないよう、日よけの素材は電波を通すものでなければならない。そうでなければ、地上の利用者に低遅延の高速ブロードバンドを提供できなくなってしまう。

これがうまくいけば、その後のStarlink衛星にはVisorSatが搭載されることになる。ちなみに、現在軌道上にある衛星は比較的寿命が短く、それらに対策を施さなくても、ほんの3、4年で運用を終えて軌道から落ちることになっているとマスク氏は話す。そのころには、さらに工学的に進歩した衛星に置き換わっているはずだという。

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(翻訳:金井哲夫)

MITが筋肉でロボットをコントロールするシステムを開発、ドローンをジェスチャーで正確に操縦

MITの計算機科学と人工知能研究所(Computer Science and Artificial Intelligence Lab、CSAIL)が、今手がけている筋肉の信号でデバイスを制御するプロジェクトをビデオで披露した。彼らの最新の成果ではドローンを完全かつ細かく制御でき、手と腕のジェスチャーだけを使って複数の輪を通り抜けることができた。これは、デバイスをバイオフィードバックでコントロールし、別途ジェスチャー認識のための光学系などを必要としないだけでなく、細かい明確な制御ができるので、遠隔制御の応用領域を大きく広げることができる。

この研究グループも、さまざまな利用分野を展望している。たとえば、複数のロボットのコラボレーションの産業分野への応用だ。もう一つの領域がドローンの操縦で、現実世界での用途に大きな利点をもたらす。例えば、パイロットがVRで大きな視界を獲得できれば、ドローンの複数の編隊をコントロールすることも可能だろう。これでたとえば、大きな建設現場の測量を一人でできたりするだろう。あるいは人が行くのが困難なオフショアのプラットホームなどで、遠隔の機器装置を検査できる。

ロボットと人間のシームレスな対話は、ロボット工学の究極の目標の1つだ。人間は自分の動作や環境を効果的に扱うことを直観的にできるから、ロボットを制御したりロボットと一緒に仕事をするときもそうありたいと願う。人間が環境と対話するときは、思考と行為が基本的には並列で生じているが、機械や遠隔のツールが相手のときはその滑らかさと直観性が翻訳過程で失われ、ロボットの学習過程や訓練は急峻な学習曲線になる。

人間と一緒に安全にコラボレーションで仕事ができるロボットの研究開発は、ロボティクスでなくコボティクス(Cobotics、協働ロボット)と呼ばれる。これは、人とロボットの対話をもっと自然で直観的に、そして究極的には安全にするための研究開発の進歩から生まれる。この分野でのMITの研究は、大規模な仕事でも訓練やプログラミングが少なくてすむ未来の工業用ロボットに結実するだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

MITが布に織り込んで洗濯機で洗濯できる常時健康モニタリング用センサーを開発

MITが開発した新しいタイプの軽量センサーは、布のような曲げられる素材に組み込める。たとえばそれをアスリートのウェアに織り込めば、体温や心拍数、呼吸数などのバイタルを常時モニタできる。また洗濯機で洗えるし、外から見て目立つものが何もない。あるいは織り込まずに取り外せるようにすると、複数の衣類で使える。

このセンサーの研究プロトタイプはスマートフォンと通信でき、最終的には中国のパートナーが量産する。応用分野は健康産業のほかに、宇宙飛行士の生命兆候を知るなど宇宙での利用も考えられる。MITのこの研究は、NASAとMITメディアラボの宇宙探究計画も出資しているが、ポテンシャルが圧倒的に大きいのは地球上での利用だ。とりわけ、COVID-19に悩まされている今は、将来のもっとコントロールの幅が広がったバージョンが、ヘルスケアの分野で多用されるだろう。

中でもとくにこれは、定常的なモニタリングと医師の診察を必要とする慢性病患者にとって費用効果が高くて容易な方法であり、多くの場合手作業で一貫性を維持することが難しかった記録の作成と維持を助けるだろう。記録の更新を人間の手や遠隔医療に頼るのではなく、患者自身がバイオメトリックデータの安定的なストリームを、治療をモニタしているヘルスケアのプロフェッショナルに提供できる。そしてそのプロセスを自動化すれば、患者と介護者の両方がつねに最新の状態情報をリアルタイムで提供し取得できる。

遠隔医療はCOVID-19のおかげですでに需要が急増しており、患者もヘルスケアのプロフェッショナルも共に、COVID-19の感染リスクを下げながらヘルスケアのニーズを継続的に管理する方法を求めている。とくに重要な対象は、慢性病や既往症を抱える弱者だ。

アメリカのプライマリーケアのスタートアップForwardなどは、すでにこの方式を実験している、。それは、バイオメトリックのセンサーを自宅にいる患者に配布してモニタするやり方だ。インターネットに接続されるセンサー(コネクテッドセンサー)を作っているKinsaも、匿名のバイオメトリックデータを集積するやり方に価値を見出している。それはセンサーのデータをマッピングしてCOVID-19の拡散の兆候、とくに地域における発熱の広がりを調べようとする。

衣類に埋め込まれるウェアラブルなセンサーは、前にも試みられ、製品化されたこともある。でも今回のMITのバージョンは、もっとも着用のなじみが良く、邪魔にならず、快適だ。将来、健康データの常時モニタリングによってパンデミックのもっと良質なモデリングが可能になれば、まさにこのセンサーがイノベーションの最先端として注目されるだろう。

画像クレジット: MIT

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

LabCorpの新型コロナ検査キットが家庭用として初めて米食品医薬品局が認可

LabCorp(ラブコープ)の家庭用新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検査キットPixel(ピクセル)は、米食品医薬品局(FDA)が排除していた検査方法として、初めての緊急時使用許可(EUA)を取得した。これは家庭用の検体採取キットで、鼻腔スワブなどの検体採取用具と、採取した検体を検査機関に送るためのパッケージが含まれている。

これまでFDAは、家庭用の検査や検体採取のためのキットの使用を認めてこなかった。実際、同じように家庭で検体を採取して、新型コロナウイルスの存在を検出する分子リアルタイムCPR検査の実施をすでに許可されている研究所に送付し、検査結果を教えてもらうという検査キットを数多くのスタートアップ企業が発表するようになると、FDAはガイドラインを示し、家庭用検査キットは認可できない旨を強調していた。

FDAによれば、認可されたのはLabCorpの新型コロナリアルタイムPCR検査のみで、他の同様の検査キットは、今でも前もってEUAを取得しなければサービスは開始できないという。遠隔医療により有資格の医療専門家の指導を受けるか否かに関わらない。FDAガイドラインの例外を利用して、家庭での血清検査を実施している研究所もあるが、それは新型コロナウイルスの発症を確認するための検査ではないというのが同局の見解だは。

家庭での検査が許可されたことは(家庭での完全な検査の実施ではなく単なる検体検査ではあるが)、FDAがこれまでの方針を変更したという意味で、大きな一歩だ。FDAは先日、ガイドラインを更新し、同局は家庭用検査キットのメーカーと協力して、それを一般に普及させる最良の方法を探ると表明した。なぜならFDAは「家庭での検体検査を含む安全で正確な検査方法を通じて、新型コロナウイルスの検査の機会を増やすことに公衆衛生上の意味があると認識した」からだ。

LabCorpは40年以上の歴史を誇る米国の医療診断企業であり、Pixelシリーズには、大腸癌、糖尿病、心臓脂質の状態を家庭で検査できるものがある。FDAは家庭での検体採取の認可に道を開きたいと考える企業の中でも、業界で長年実績を積んできた相手を好んだようだ。専門家の立ち会いなく自分で検体採取を行い、パッキングして、送るといった手間がかかることで、間違いが増える恐れがあると同局は考えたのだろう。

米国では現在、新型コロナウイルスの検査は、診療所や病院に加えてドライブスルー施設に依存している。だがこれらの検査は、リスクプロファイルや症状発現など、受けるための条件が厳しい。また検査を実施する医療専門家は、自身が感染の危険にさらされる。家庭で検査ができれば、検査率が全体に高まと同時に、新型コロナウイルスパンデミックが実際にはどこまで広く、どれほど深く及んでいるかを、より正しくイメージできるようにもなるはずだ。

“新型コロナウイルス

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(翻訳:金井哲夫)

成層圏上の気球からインターネット接続を提供するLoon、初めての商用化をケニアで

Googe(グーグル)の親会社Alphabet傘下のLoonは、遠いへき地などに高高度からのブロードバンド接続を提供する。同社はこのほど、その気球の初めての商用バージョンを、2週間前にケニア政府から得られた承認により、ケニアの人びとのインターネット接続のためにローンチした。気球は目下テスト中だが、その結果を待ちながら数週間後には本番のサービスを開始する予定だ。

Loonはケニアの通信企業Telkom Kenyaとパートナーして、同社の契約ユーザーにサービスを提供する。気球は地球の成層圏の高度およそ2万メートルを飛び、地上局のセルタワーも通信衛星も利用できない遠隔地に、安定性の良い高速インターネット接続を提供する。

LoonのCTO Sal Candido(サル・カンディド)氏が書いたMediumの記事によると、気球はプエルトリコまたはネバダ州から離陸し、長い旅をしてケニアのサービス供用地域へ向かう。気球は気流に乗って最終目的地へ向かうが、それは成層圏風に運ばれる最高速のルートなので、かなり回りくどい旅路になる。具体的なルートは、Loonの自動ナビゲーションソフトウェアが決める。

ケニアに到着したら、機械学習を利用するその同じアルゴリズムが、ターゲット圏域の比較的安定性の良い場所に気球を定置させる。気球は上下に動いて異なる気流を捉え、固定された地理的領域の中で気球はそんな短い旅を繰り返しながら、地上の顧客への24時間の高速安定サービスを提供する。

ただし顧客が気球に直接アクセスするのではなく、パートナーのTelkomのセルネットワークからその接続サービスを利用する。それに対しTelkomは当然ながら課金をするため、アフリカのインターネットアクセス性スタートアップBRCKなどは、それが障碍になる人びともいる、と懸念している。でも、やっと初めて商用化にこぎつけたわけだからLoonにとっては重要なマイルストーンであり、今後デプロイの仕方をもっと多様化していけば、さまざまなビジネスモデルが可能になるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

緊急用人工呼吸器のSpiro Waveが米食品医薬品局の認可を取得して新型コロナ需要に応える

新型コロナウイルス(COVID-19)重篤患者の治療に必要な人工呼吸器の不足を補う新規プロジェクトが、米国時間4月20日に大きな節目を達成した。米食品医薬品局(FDA)の緊急時使用認可(EUA)が下りて、同プロジェクトの機器の使用と量産が認められた。「Spiro Wave」(スパイロ・ウェイブ)と呼ばれるそのハードウェアは緊急用の自動人工蘇生器で、1台5000ドル(約54万円)で製造できる。技術者、医師、研究者らからなる開発チームはすでに製造を開始して、介護施設に提供している。

Spiro Waveは、基本的に手動の人工蘇生器の機能を再現する。人工蘇生器は、緊急時に救急患者に手動で人工呼吸を行う持ち運び可能な装置だが、Spiro Waveはその作業を自動化し、かつ従来の手動式と同じタイプのバッグを使うので、機材の供給が容易だ。

Spiro Waveはマサチューセッツ工科大学(MIT)のオープンソースプロジェクトであるE-Vent(イーベント)のプロトタイプデザインを基にしている。E-Ventは新型コロナ危機による機器不足を緩和する位置手段として、MITの研究者らが開発した。Spiro WaveをつくったのはNewlab(ニューラブ)、10XBeta(テンエックス・ベータ)、Boyce Technologies(ボイス・テクノロジーズ)の共同ファウンダーたちからなるチームで、E-Ventのデザインを出発点にすることで、緊急用人口蘇生器の設計と製造をわずか数週間で成し遂げることができた。

製造パートナーのBoyce社は、ニューヨーク市クイーンズ地区にある同社のLong Island City製造工場で、1日に最大500台作ることが目標だといっている。最初の数百台は既に今週からニューヨーク市内の施設に届けられている。同チームは、FDAの医療機器製造許可を取得している海外パートナーを探して製造規模を拡大し、さらに多くの台数を供給することを考えている。

開発チームによると、これは本格的な人工呼吸器を置き換えることものではないという。緊急時の現場で、人工蘇生器で十分だが、手動式では操作者の配置や長期の利用が現実的ではないという場面に使用することで、機材不足を緩和することを目的としている。緊急時使用許可が与えられている他の多くの機材と同様、これは正式なFDA認可を受けた機器や治療方法を完全に置き換えるものではないが、革新的でスケーラブルな解決方法であり、過大な負荷のかかる医療機関における治療レベルに大きな違いをもたらすだろう。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

宇宙内衛星サービスが成功を見せつけて軌道上の宇宙船操作の記録を破る

Northrop Grumman(ノースロップ・グラマン)が初めて行うMission Extension Vehicle(ミッション延長用宇宙船, MEV-1)のデモンストレーションミッションの成功が証明され、Intelsat(インテルサット)の衛星の寿命を5年延ばすことができた。そのミッションには、2月25日にノースロップのMEVがインテルサットのIS-901衛星と軌道上でドッキングすることが含まれ、そのあとインテルサットの軌道が変えられて稼働時間を延長できた。

最初のドッキングは2月の終わりごろ行われたが、MEVはそれまでの時間をIS-901の軌道を変えることに費やし、その後インテルサットはさらに、一部の顧客をそれまで使われていなかった衛星に移して、通信サービスに使えるようにした。両社の発表によると、今それは「フルサービス」を提供しており、それが今後5年続く。そのあとMEVは使われなくなっていた軌道に戻って最終的に引退する。そのときMEV−1は再び、ほかのスペースタグ(space tug, 宇宙のタグボート)ミッションで使えるようになり、ほかの衛星のために同じサービスを実行できる。

これは、軌道の持続可能性(サステナビリティー)と宇宙内サービス、および寿命延長の点で画期的であり、とくにNorthrop Grummanはこれをサービスとして提供できるようになる。一方Intelsatにとっては、中断のないサービスを継続できる点で「コストパフォーマンスが良くて効率的」であり、まったく新しい衛星を作って打ち上げなくても顧客のニーズに対応できる、とプレスリリースで言っている。

今、業界には変化が起きつつあり、巨大な静止衛星から、低地球軌道を飛ぶアジャイルな小型衛星の艦隊へ移行して、コストを下げようとしている。今回のような軌道サービスはもう一つのオプションを与えるが、しかし今のところは、新しい人工衛星コンステレーションのスタートアップではなく、レガシーの宇宙産業の衛星事業者にアピールするものだろう。

Northropは、インテルサットの別の衛星のための第二のMEV宇宙船の打ち上げを計画しているから、短期的にも市場性があるわけだし、また将来的には大型宇宙船の経済性を変えてしまうだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

遠い恒星の可住周回軌道上に地球サイズの惑星が見つかった

アメリカ航空宇宙局(NASA)とエイムズ研究センターの研究者たちが、太陽系の外の恒星を周回している地球大の惑星を発見した。その惑星はKepler-1649cと呼ばれ、地球の1.06倍の大きさしかなく、物理的な寸法ではわれわれの惑星によく似ている。それはまた、その恒星にとても近くて、地球が太陽から得ている光の約75%が得られる距離を周回している。

その恒星は赤色矮星で、星というよりフレアに近く、われわれのお隣さんとは違って、その岩だらけの衛星の表面で生命が進化するのは難しかっただろう。軌道は恒星にとても近くて、1年がわずか19.5地球日だ。ただし恒星の熱は太陽よりも相当少ないので、場所によっては液状の水がありうるだろう。

Kepler-1649cは、2018年に引退したKepler宇宙望遠鏡のこれまでの観測データを科学者たちが掘り返しているとき見つかった。そのデータから惑星らしいものを見つけるアルゴリズムは失敗したが、情報を見直していた研究者たちがKepler-1649cに気づいた。

その外惑星には、大気はどんなのかなど、これから知るべきことがたくさんある。Kepler-1649cの生命をサポートする能力に関しても、問題は山ほどあり、また、それが地球に似ているとか、恒星の周囲の正しい可住ゾーンにあるという判断も、元のデータにエラーがあるかもしれない。でもとにかく、そのサイズと、それが乗っている軌道帯の温度だけで言えば、これまで見つかったものの中でいちばん生命をサポートする可能性のありそうな太陽系外惑星だ。

地球のような特徴のある外惑星の発見は、今後の調査の良い候補を提供する。地球や宇宙にある観測機器を何に向けるべきか、という問題の解にもなる。生命のサポートについて確実なことが何か言えるまでには、長い時間を要するだろう。でも、その可能性のある外惑星が見つかっただけでも嬉しい前進だ。

画像クレジット: NASA/Ames Research Center/Daniel Rutter

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

イタリアの都市で家に閉じ込められた人びとがクラウドソーシングによる光害調査に参加

多くの人びとが家に閉じ込められている今の事態が、奇妙な幸運を招いている。イタリアでは住民たちがバルコニーに出て歌を歌っていたが、その同じバルコニーを、ちょっとした市民科学の機会ととらえた研究者たちがいる。

イタリア学術会議が始めたこのプロジェクトは、この国の光害の広範囲な標本を取ることをねらっている。家の外の光がどれだけ家の中に入ってくるかを表す「光侵害」(light trespass)の問題は通常、それらの家にアクセスしないと計測できない。そこで今回彼らは、その情報を家の住民に集めてもらうことにした。

大量のデータポイントだ!

2週間前にはおよそ7000名のイタリア人が、自分のスマートフォンとアプリを使って、この実験の初回に参加した。彼らがやるべきことは、自分の家の明かりをすべて消し、窓またはバルコニーへ行き、そこから見えるいちばん明るい光源にスマートフォンを向けることだった。

得られた結果によると、イタリアの都市の平均的光侵害の大きさは、田舎のほぼ倍だった。意外とは言えないけど、こんな当たり前のような結論でも、ちゃんと定量化でき、証拠が得られたことは重要だ。明るいといっても、どれくらい明るいのか?それはどんな明かりか?…今後もっとデータが集まればこんな基本的な疑問にも具体的な答が得られるだろう。

この実験を組織したグループの一人、Alessandro Farini氏が、Nature誌にこう語っている: 「この実験で私たちは、計測技術を一般市民に身近なものにしたかった。市民が計測の複雑な過程を知り、ものごとの科学的なやり方に参加できるようにしたかった」。今、研究者たちにさらなる情報を求めているので、得られ次第ご報告したい。

関連記事: 衛星コンステレーションによる夜空の光汚染を天文学者たちが懸念

この実験が大成功だったので、#scienzasulbalcone(バルコニー上の科学)の人びとはアンコールをやった。彼らは先週新しい計測をして、さらに最後の計測を明日(米国時間4/14)の夜やる予定だ。参加者へのインストラクションも改訂して、彼らが送るデータの性格を表せるようにした。

参加者は、ワット数が分かる電球を見つけるよう求められる。そして、その電球だけが点いている場所でスマートフォンの周辺光センサーに光量を計測させ、スマートフォンの光計測機能を調整する。すると各スマートフォンの性能にばらつきがあっても、均一に光量を計測し報告できるようになる。そして窓やバルコニーへ行って外の光量を計測し、結果を報告できる。

もっと詳しく知りたい人のために、イタリア語のインストラクションがここにある。英語版もあるが、まだそれはグローバルな取り組みではない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

3Dプリントで作った生体工学的な珊瑚が珊瑚礁の光合成能力を模倣する

珊瑚礁の大量絶滅は地球規模の惨事だが、彼らの有機体としてのこれまでの成功の圧倒的な大きさは、科学に教訓を与えている。その好例が、ケンブリッジ大学の研究者たちが作った3Dプリントによる「バイオニック珊瑚」だ。それは、脆い微生物を重ねた骨格以上のもので、むしろ自分で自分を生み出しているのだ。

3Dプリントで作る珊瑚の話は実は2年前にもあり、そこでは別の研究者たちが、珊瑚のような複雑な形の構造物をプリントして、それを本物の珊瑚やそのほかの生き物が育つための基盤(ソリッドベース)にすることを提案した。それは良いアイデアだが、でも珊瑚には単なるソリッドベース以上のものがある。

実は珊瑚は、珊瑚自身の有機体とその中に住む藻類との、高度に進化した共生体だ。藻類は光合成によって宿主のために糖を作り、珊瑚は藻類に安全な生活環境を与える。そして興味深いことに、珊瑚は光の収集と方向変えをきわめて効率的に行う。この共生関係は何百万年にもわたって高い生産性を維持してきたが、海水の温度上昇と酸性化によって、成功に必要な微妙なバランスが崩壊した。

ケンブリッジのチームが理解したのは、珊瑚の微細な生態系の模倣に成功するためには、住民である藻類のために太陽光を捉えて拡散する特殊な能力の模倣も必要なことだ。彼らは珊瑚の構造を細部まで調べて、それを顕微鏡的なレベルにまで再生することに成功した。ただし彼らが使ったのは耐久性のある剛体の培養基ではなく、実際に作ったのは生きているゲルのようなものだ。

このプロジェクトの研究論文を書いたケンブリッジの化学者Daniel Wangpraseurt氏が、こう言っている: 「われわれが作った人工珊瑚の組織と骨格は、ポリマーのゲルとセルロースのナノ素材でドープしたヒドロゲルを組み合わせて、生きている珊瑚の光学的性質を模倣している」。

藻類にもやはり、その混合液が注入された。そして研究者たちは、そのいわば生きている物質をプリントした。このようなテクニックは、医療分野ではすでに試験や利用に供されている。たとえば、インプラントするための器官や組織の部分をプリントするのだ。しかし今回の場合は特定の大きな形をプリントするのではなく、表面に当たった光の到達距離を最大化する、きわめて複雑な内部構造を作らなければならない。しかもそれが非常に高速に行われないと、藻類は露光によって死ぬ。

そうやってバイオプリントされた構造体は藻類の理想の家になり、通常の媒質の何倍もの速さで成長する。しかしそれは、次のステップが珊瑚を超高速に育てることである、という意味ではない。いやむしろ、これが珊瑚の復活に寄与する、と考えられる根拠は何もない。しかし一方では、このような形のシミュレーションが、珊瑚と藻類のパートナーシップが栄える生態系や栄養補給系の、より深い理解に導くかもしれない。

同時にまた、藻類を倍速で育てられることには、商業的魅力もある。そしてMantazと呼ばれるスタートアップが、この技術の短期的な利用を追究しようとしている。

画像クレジット: ケンブリッジ大学

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Googleの研究でロボット犬の小走りが簡単に

ロボットが優れていればいるほど、その設計の際に参考にされたオリジナルの動物の方が、はるかに優れていることが多い。その理由の一部は、犬のように歩く方法を犬から直接学ぶことが難しいためだ。だがGoogleのAIラボによるこの研究が、その学習をかなり簡単にしてくれるだろう。

カリフォルニア大学バークレー校との共同研究であるこの研究の目的は、対象(模範的な犬)から、軽い小走りや方向転換のような「敏捷な行動」を、効率的かつ自動的に四足歩行ロボットに取り入れる方法を見つけることだった。この種の研究はこれまでも行われてきたが、研究者のブログ投稿が指摘しているように、確立されたトレーニングプロセスを実施するためには「しばしば多くの専門家の洞察を必要とし、多くの場合、望ましいスキルごとに時間のかかる報酬調整プロセスを伴う」ことがあった。

もちろんこのやり方はうまくスケールアップすることはできず、動物の動きがロボットによって十分に近似されることを確実にするためには、手動調整が欠かせなかった。どんなに犬っぽいロボットであっても、実際には犬ではない。そして実際の犬の動き方はロボットが動くべきやり方とは異なっている可能性があり、そのことでロボットが倒れたり、ロックしたり、その他の失敗が引き起こされる。

Google AIプロジェクトは、通常の手順に制御されたランダム性を追加することで、これに対処している。通常は犬の動きがキャプチャされて、足や関節などの重要なポイントが注意深く追跡されている。そうしたポイントは、デジタルシミュレーションの中で、ロボットの動作として近似される。ロボットの仮想バージョンは、犬の動きを自分自身で模倣しその過程で学習を行う。

そこまではまあ上手くいく。だが真の問題は、そのシミュレーションの結果を使用して実際のロボットを制御しようとするときに発生する。現実の世界は、理想化された摩擦法則などがを持つ2D平面ではないからだ。残念ながらそれが意味することは、修正されていないシミュレーションベースの歩行では、ロボットが地面に転倒してしまう傾向が出るということなのだ。

これを防ぐために、研究者たちは仮想ロボットの重量を増やしたり、モーターを弱くしたり、地面との摩擦を大きくしたりして、シミュレーションで使用する物理パラメータにランダム性の要素を加えた。これにより、どのように歩くかを記述する機械学習モデルは、あらゆる種類の小さなばらつきや、それらがもたらす複雑さを考慮しなければならなくなり、それらを打ち消す方法も考えなければならなくなった。

そうしたランダム性に対応するための学習を行ったことで、学習された歩行方法は現実世界でははるかに堅牢なものとなり、目標とする犬の歩き方をまあまあのレベルで真似ることができ、さらには方向転換や回転のようなより複雑な動きも、人の手による介入なしに、少しばかりの追加の仮想トレーニングで行うことができるようになった。

当然のことながら、必要に応じて手動で微調整を動きに追加することもできるが、現状ではこれまで完全に自動で行うことができたものよりも、大幅に結果は改善されている。

同じ投稿に記載されている別の研究プロジェクトでは、他の研究者グループが、ロボットに指定された領域の外を避け、転倒したときには自分で起き上がるようにさせながら、自律的に歩くことを教えたやり方を説明している。これらの基本的なスキルが組み込まれたロボットは、人間の介入なしに連続してトレーニングエリアを歩き回り、その結果かなり満足できる歩行スキルを習得できた。

動物から敏捷な行動を学習することに関する論文はこちらで読める。また、ロボットが自律的な歩行を学習することに関する論文(バークレー大学とジョージア工科大学との共同研究)は、こちらで読むことができる。

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(翻訳:sako)

スペースXの最新Starship試作機が圧力テストに失敗

まったく新しい宇宙船を設計、テストし建造するプロセスは確かに困難で、いくつかの問題に直面するに違いないものだ。SpaceX(スペースX)が建造する、完全に再使用可能な巨大宇宙船であるStarshipも例外ではない。「SN3」と名付けられた最新のStarshipのプロトタイプは、試験飛行中に宇宙船が体験する圧力をシミュレートするための極低温実証試験の最中に、致命的な失敗を起こしてしまった。

SpaceXの最初のプロトタイプであるMk1も、燃料タンクの圧力試験中に破壊され、次のフルスケールのプロトタイプであるSN1も、2月下旬の圧力試験中に破壊された。もう1つのプロトタイプであるSN2は、極低温試験のために簡素化され極低温試験を通過したが、次のフルスケールのプロトタイプであるSN3は、テキサス州ボカチカにあるSpaceXの発射台での極低温試験中に再び失敗した。

NASAspaceflightのMary(@BocaChicaGal)によるYouTube動画では、極低温圧力テストの最中にSN3型の機体が崩れる瞬間を確認できるが、このプロトタイプを作り直して再利用することはおそらくないだろう。当初の計画では、SN4を高高度飛行用のプロトタイプにすることになっていたが、今回の試験結果を考えるとその可能性は低い。

スペースXの創設者かつCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は、SN3の失敗は宇宙船自体の問題ではなく「テスト設定のミスだった可能性がある」とTwitterで語った。マスク氏は、午前中に一度だけデータレビューを受けると述べている。

これは確かに後退ではあるが、宇宙船開発では珍しいものではない。スペースXはこれまでの開発プログラムで成功を収めており、その中にはStarshipや最終的にはSuper Heavyブースターの推進力に使用されるRaptorエンジンの基本性能を証明した「Starhopper」のサブスケールプロトタイプのテストも含まれている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Alphabet傘下のVerilyが新型コロナ検査ツールキットを公開

Alphabet(アルファベット)傘下の医療科学会社であるVerily(ヴェリリー)の新型コロナウイルス検査プログラムは、当初トランプ大統領の誤解を招く発言で水を差されたが、このほどVerilyはカリフォルニア州におけるコミュニティーベースの新型コロナウイルス検査プロジェクトを設立、ドライブスルー検査場を展開して米国時間3月25日には1200件ほどだった検査件数が、3月28日には3700件を超えた。

Verilyのチームは最新のブログ記事に成果を報告しており、CNBCは先週の報道で、同社がGoogleを含むAlphabet傘下企業から1000人のボランティア協力を得て検査能力を高め、この検査サイトが新たなレベルに達したことを伝えた。現在カリフォルニア州全体で計4カ所の検査施設を運営中であり、これらはわずか2週間で設立された。

これは決して長くはない時間に成し遂げられた大きな結果であり、Verilyはこの実験で得られた成果と学んだ教訓を広めていきたいと考えている。同社はガイドラインと資料を整理して、コミュニティーベースの検査プログラムを実施したい人(認定された検査機関、検査材料、医療専門家が揃っていることが条件)が誰でも利用できるようにこちらで公開している

提供されたガイド資料には、ドライブスルー検査プロセスに関わる全員のワークフローや必要な個人防護具の種類、現地スタッフの調整、派遣方法などさまざまなドキュメントがある。ダウンロードしてプリントできる検査場の掲示物も一式用意されている。

このガイド資料はVerilyのProject Baseline(プロジェクト・ベースライン)チームがカリフォルニア州公衆衛生局を始めとする州の管理・規制機関と協同で作成したものであり、スタンフォード大学医学部の指導も受けている。総合的にこのガイドは、Verilyの実験結果を自社だけでは実現できなかったスケールで広めることを目的にしている。

しかしVerilyは、自社の検査施設の拡大も目指していることは間違いなく、新たな場所にも開設しようとしている。このガイドは同社の経験を他社が最大限に活用するためのものだが、再現するためには、移動式新型コロナウイルス検査の最新知識をもつチームが情報を共有したとしても、数多くの専門知識や資源が必要だ。

画像クレジット:Justin Sullivan / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

新型コロナ治療開発にも取り組む細胞・遺伝子治療のElevateBioが約183億円調達

見通せない経済状況、そして世界中で新型コロナウイルス感染拡大が続く中で、今は資金調達を行うベストな環境ではないが、一部の企業は巨額調達のクローズを発表している。その一例が、ケンブリッジ拠点のElevateBio(エレベートバイオ)だ。同社は30日、1億7000万ドル(約183億円)のシリーズBを発表した。このラウンドには新規投資家としてThe Invus Group、Surveyor Capital、EDBI、Vertex Venturesが、既存投資家としてF2 Ventures、MPM Capital、EcoR1 Capital、Redmile Group、Samsara BioCapitalが参加した。

ElevateBioは1年弱前に一般向けのサービスを正式に立ち上げた。同社は新しいタイプの細胞・遺伝子治療開発を専門としており、開発と製造それぞれを専門とする新会社を立ち上げて運営している。今回のラウンドで、ElevateBioがこれまでに調達した額は3億ドル(約323億円)超となった。同社は2019年、スイス投資銀行UBSのOncology Impact Fundがリードした1億5000万ドル(約162億円)のシリーズAラウンドを発表した。

ElevateBioは動きを加速させている。R&Dにフォーカスするためにマサチューセッツ州に建設中の広さ14万平方フィート(約1万3000平方メートル)の施設は完成間近だ。同社はまた、特に幹細胞移植に伴うウイルス抑制のためのT細胞免疫治療に取り組むAlloVirという会社も立ち上げた。この治療は臨床試験の後期段階にある。そしてElevateBioはHighPassBioという会社も立ち上げた。HighPassBioもまたT細胞治療を使って幹細胞関連の病気の治療をサポートすることを目的としている。こちらは移植後の白血病再発に主眼を置いている。

ご予想の通り、ElevateBioはCOVID-19の影響を抑制するための取り組みも行っている。特にAlloVirは、免疫システムが脆弱になりCOVID-19によってリスクが高まっている状態の患者を救うのに役立つ一種のT細胞治療の開発に取り組むために 、ベイラー医科大学との既存の研究提携を拡大させている。

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(翻訳:Mizoguchi

5分間で陽性がわかる米食品医薬局が新たに認可したAbbottの新型コロナ検査

ヘルスケアテクノロジーのAbbottが開発した新しいCOVID-19の検査方法は、結果が出るまでの時間がこれまでで最速で、しかもその場でできるため検査機関への往復がする必要がない。現在、全世界的なパンデミックを起こしている新型コロナウイルスを検査するこの方法は、米国のFDA(食品医薬局)から緊急時使用許可を受けており、来週から生産を開始する。毎日50000セットも生産できるという。

このAbbott ID NOW COVID-19という検査は、診断プラットフォームAbbott ID NOWを使用する。検査装置は小さな台所用品ほどのサイズで、陽性の結果は5分間、陰性は15分間以下で出る。臨床の現場や診療所などでも検査できるようになること、また検査とその結果が出るまでの時間が短くなることから、非常に有用な手段になる。

他の国で使われてきた高速検査や、結果の精度を確認しないFDAの新しいガイドラインによる高速検査方法と違い、この検査は患者から採取した唾液や粘液を使う分子検査法を利用する。

この検査が利用可能になった良いニュースであるのは、検査に使用するAbbottのハードウェアID NOWが、米国ではすでに臨床現場即時遺伝子検査用として広く普及しているためだ。ID NOWは医師のオフィスや救急病院、集中治療室などの医療施設に設置されていることが多い。

Abbottによると、この新しい迅速検査と3月18日にFDAの緊急時使用認可を受けた施設での検査と合わせて4月には500万回の検査が可能になるという。

検査が、新型コロナウイルスによるパンデミックに対処する上で初期の問題の1つだ。1人あたりの検査実施数で、他国に後れをとっていた。そのためウイルスの拡散とそれによる呼吸器疾患を正確に調べることもできなかった。患者は、検査まで待つ日数が長すぎると不満の声をあげており、接触の可能性が高くてそれらしき症状が出ていても、これまでは迅速な対応を受けることができなかった。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米FDAが新型コロナ検査で本人も綿棒を使えるようにガイドラインを改訂

FDA(食品医薬品局)は新型コロナウイルス検査のガイドラインを改訂した。検査を患者にとって簡単かつ不快感を少なくするとともに保護マスク、防護面、手袋、白衣などの個人防護具(PPE)の供給問題も軽減することが目的だ。

改訂の結果、被験者は検査のために自分で綿棒を使い、鼻孔の浅いところから検体を採取できるようになる。既存の手順では、専門医療従事者が鼻孔の奥深くから検体を採取する必要があった。しかしながらこの変更は、自宅での検体採取に関するFDAガイドラインを変えるものではない。自宅での検査は、FDAが先週定めたガイドラインによって現在も禁止されている。ウイルス検査のスタートアップが自宅用検査キットを配布することはできなくなっている。

被験者は認定医療機関またはドライブスルー検査機関に行く必要があり、検査を受けるためにはまずCDC(疾病予防管理センター)の審査基準を満たなくてはならない。Mike Pence(マイク・ペンス)副大統領はこれについて、検査環境は最前線で働く医療従事者の安全性を高めるとともに、個人防護具資源の流出を減少させる効果もあると言っている。

ペンス副大統領はまた、すべての州および民間検査機関は、検査結果をCDCに報告することが法律で義務付けられていることを付け加えた。これまで陽性の結果のみを報告する州があり、米国における検査人数と陽性反応の人数比率が歪められていたという。

画像クレジット:Alex Kraus / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AlphabetのLoonとSoftBankのHAPSMobileによる成層圏ネットワーク構想に世界的大企業が続々参加

Alphabetの高高度気球企業Loonと、SoftBankの子会社で成層圏にグライダーを飛ばすHAPSMobileが率いる、全業界的企業連合が、高高度の送受信メカニズムを利用するネットワーク接続のスタンダードと関連技術を開発していくことになった。

これは両社が2019年4月に結んだパートナーシップの拡張で、Loonが使用するネットワークハードウェアが、HAPSMobileの長翼成層圏ドローンと互換性を持つことになる。両社はもっと多くのメンバーを歓迎しており、すでにAirbusの防衛および宇宙部門やBharti Airtel、China Telecom、Deutsche Telekom、Ericsson、Intelsat、Nokia、HAPSMobileの親会社SoftBank、Telefonicaなどが企業連合に参加している。

この企業連合はHAPS Allianceと呼ばれ、HAPSはHigh Altitude Platform Station(高高度プラットホームステーション)の頭字語だ。目的は技術の利用を宣伝するとともに、この技術を利用しようとする市場で規制当局と協力することだ。彼らが共同してネットワークの相互運用性のベースとなる共通の規格を開発し、企業連合各社が互いに衝突や妨害をしないような成層圏の利用技術ないし相互監視技術を作り出す。

現在のメンバーが増えたグループには、世界で最も強力なネットワーク事業者や、ネットワークインフラストラクチャの重要なプレーヤー、それに航空宇宙企業が含まれている。これだけ揃うことで、成層圏ネットワークに何か重要なことが起きると期待される。成層圏は地球に近く、人工衛星を利用するインターネット接続と比べてアドバンテージがあり、また困難な地形や狭い圏域など、地上基地局の不便さもない。

この動きをきっかけに、未来の携帯電話やインターネットの接続は、高い空を飛ぶ自律的な基地局が提供することになるのだろうか。現時点ではどこまで普及するか不明だが、現在、すでにそうそうたるメンバーが企業連合に参加しているだけに、実現性は高いと感じられる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

地球に向かう小惑星のコースを逸らす最良の方法をMITのシステムが提案

少なくとも一般に知られているかぎりは、今のところ小惑星が近く地球に衝突する恐れはない。でもそれは前になかったことではなく、また2029年にはニアミスが予想されている。従って準備はしておいた方がいいし、MITの研究者は手遅れになる前に衝突を避ける最良の方法を求めるシステムを開発した。

MITの院生であるSung Wook Paek(ソン・ウクペク)氏が率いるチームは、このたび発表された研究で、接近する小惑星の質量と相対運動量、およびそれがいわゆる「鍵穴」に入るまでの予想時間に基づく「デシジョンマップ」を記述している。鍵穴とは、地球のまわりの重力のハローのことで、そこに入れば小惑星は確実にこの惑星と衝突する。

MITが開発したデシジョンマップは、接近する小惑星をそらすための3つの選択肢を詳説している。1.ロケットや弾丸のような投射物を打ち上げてそのコースを変える。2.最初に偵察兵を送って正確な測定を行い、最良の投射物を開発する。3.二人の偵察兵を送り正確な測定とともに、その後の投射物の効果を最大化するために推力により小惑星の姿勢を変える。

2つの小惑星、Apophis(アポフィス)とBennu(ベンヌ)でのシミュレーションでは、時間が重要な要素だ。この2つは、よく知られていて情報量が多いのでシミュレーションに利用できた。例えば、重力の鍵穴の位置も地球からの正確な距離でわかる。そのシミュレーションによると、5年以上の余裕があれば最良の方法は二人の偵察兵とその後の投射物だ。2年から5年の猶予があれば、偵察兵1人+地球から発射する投射物が有効だろう。1年以下しか時間がなければ、どの方法も成功しない。

地球近傍天体の衝撃を避けるための公式の計画には、それに核兵器を撃ち込む方法が含まれているが、賛成者は多くない。MITが開発したこの方法なら、そこまでやらないで済みそうだ。ただし、発見や測定の方法が非常に高度に進歩していなければならないが。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

国際宇宙ステーションの商用化に向けてNASAが居住モジュールの設計をAxiom Spaceに発注

NASAは2016年に創業されたヒューストンのAxiom Spaceを、国際宇宙ステーション初の商用居住モジュールの生産者として選んだ。このモジュールは、将来の商用宇宙飛行ミッションの目的地となり、そこでは商用の宇宙旅行者たちにより、居住実験や技術開発などが行われるだろう。そしてそのISSまでの定期的な実用飛行には、SpaceX Crew DragonやBoeing Starlinerのような人間搭載が可能なクラスの宇宙船が使われると思われる。

Axiom Spaceは2016年に創業され、共同創業者でCEOのMichael T. Suffredini(マイケル・T・サフレディーニ)氏が率いている。サフレディーニ氏は以前、NASAのJohnson Space Center(ジョンソン宇宙センター)で、ISSのプログラムマネージャーを務めていた。同社の小さなチームにはNASA出身者が多く、そのスペースモジュールはISSに付設されたあと、同社自身の民間スペースステーションのベースになる予定だ。NASAはISSの供用期間を延長したが、現在のNASAの計画では、その後は民間の軌道ラボや商用の施設がISSに代わるものとして使われることになる。

2018年にAxiomは、Apple(アップル)の創業者Steve Jobs(スティーブ・ジョブズ)氏の豪華ヨットの設計者として知る人ぞ知るデザイナーPhilippe Starck(フィリップ・スタルク)氏をチームに加えて、未来のスペースステーションモジュールのルックスを構想してもらった。それには対話的ディスプレイのある乗員宿所や、地球とその背後の宇宙の絶景が見える半球状ドームなどが含まれている。

このISS用のモジュールは、プライベートな宇宙ステーションとして完全なものではなく、むしろ、既存のスペースステーションの今後の商用化や、さらに将来の低地球軌道における本格的な商用活動への道を拓くための、最初のステップだ。Axiomへの指示には「少なくとも1つの居住可能な商用モジュール」が含まれていて、そこには今後の拡張モジュールの発注も含まれている。納期などの契約条件の詰めが、今後行われるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa