ノイズを排除し営業担当者が最も有望な見込み客に注力できるようにする支援ツールをScratchpadが発表

Scratchpad(スクラッチパッド)は、人気の高いCRM(顧客関係管理)アプリケーションであるSalesforce(セールスフォース)の上位レイヤーとして機能することによって、Salesforceに情報を簡単に入力できる方法を提供する製品として誕生した。しかし、同社の創業者たちは、Scratchpadが単なる営業支援ツールに留まるべきではないことを認識していた。同社は米国時間3月23日、Scratchpadを営業担当者の中心的なワークスペースにするために、インテリジェンスを活用して取引を成立させる可能性の高い見込み客を探し出すことができる新機能を発表した。

Scratchpadの共同設立者でCEOのPouyan Salehi(プーヤン・サレイ)氏によれば、同社は営業担当者とその働き方を観察することに、多くの時間を費やしてきたという。それによって、Salesforceに案件データを入力する方法を簡略化するというアイデアが生まれたわけだが、彼らの中には、営業担当者が日々経験している通知に関するノイズを軽減する方法を見出したいという思いが高まってきた。

画像クレジット:Scratchpad

「営業担当者の人々は、通知やアラートに追いかけられて、仕事の流れが乱れたり、途切れたりします。それが、なかなか仕事が進まない原因となっているのです」と、サレイ氏は説明する。そこで同社は、このようなノイズを排除し、営業担当者にとって最も重要な情報を表示する方法を検討し始めたという。通常、それは最も早く成約できる案件であり、そのためには、どこに最も力を入れるのが合理的なのか、次に何をすべきなのかを、はっきりさせるということだ。

「私たちは、営業のための最優先受信箱というコンセプトを思いつきました。つまり、重要な通知やアラートをすべて収納するコンテナです。そして、大きな差別化要因は、ユーザーにそれらの通知を与えるだけでなく、それに対して非常に迅速かつ簡単にアクションを起こす方法を提供することです」と、サレイ氏は語る。

営業担当者が見る通知は、カスタマイズが可能であり「Scratchpad通知ビルダー」と呼ばれるシンプルなワークフローエンジンで、通知を作成できる。サレイ氏はこれを、営業チームが自分たちの働き方に適ったワークフローを構築するための最初のステップと位置づけている。

同社は1月に3300万ドル(約40億7000万円)のシリーズB資金調達を発表している。今回の発表は、少なくともその資金の一部を投入し、同社が製品の機能を拡張して、よりプラットフォーム的な感覚を持たせようとしていることの表れだ。

画像クレジット:Westend61 / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

セールスフォースへのデータ入力をシンプルにするScratchpadがシリーズAで13.7億円獲得

Scratchpad(スクラッチパッド)は、Salesforce(セールスフォース)上にノーテーションのレイヤーを配置し、営業担当者がSalesforceに情報を簡単に入力できるようにするアーリーステージのスタートアップだ。米国時間2月3日、Accelが参加し、Craft Venturesが主導した1300万ドル(約13億7000万円)のシリーズAを発表した。

ScratchpadはTechCrunchが2020年10月に報じた360万ドル(約3億8000億円)のシードラウンドを含め、これまでに合計1660万ドル(約17億5000万円)を調達した。共同創業者でCEOのPouyan Salehi(プーヤン・サレイ)氏は資本を増やすつもりはなかったと述べているが、投資家は同氏のビジョンと資金が製品ロードマップの加速に役立つことを理解していた。

「正直なところ、再び資金調達することは本当に私たちのレーダーには入っていませんでした。実質的にシードと考えていたラウンドから時間が経っていませんでした。ランウェイはまだ大分残っていましたが、ボトムアップでユーザーの増加が見られ始めました。このボトムアップの動きが本当に定着し始めました」とサレイ氏は筆者に語った。

同氏は、リードインベスターのDavid Sacks(デイビッド・サックス)氏はやろうと考えていたことを本当に成し遂げ、取引はかなり簡単にまとまったと語った。サックス氏は複数のスタートアップを自ら成功に導いた。実際、ScratchpadがCraftの目を引いたのは、ポートフォリオ企業からScratchpadについて聞いたためだ。

ボトムアップアプローチは確かに開発者ツールやナレッジワーカー向けのソフトウェアで見られる。だが企業が営業担当者に特定のツールを直接利用させるのではなく、営業マネージャーを通じて販売を目指すことはよくある。エンドユーザーを早めに関与させるこのアプローチにより、エンドユーザーは有料バージョンについて管理職にアプローチする前に営業チームのメンバーとの関係を築くことができる。

通常、営業チームは自分たちに押しつけられたツールを好まない。そうしたツールは本質的にはデータベースであり、視覚的なインターフェイスを備えていても実際の仕事の進め方とは一致しない。Scratchpadは、営業チームがワークフローをうまくこなすためにいつも使っているスプレッドシートやメモアプリケーションのようなインターフェイスを提供するが、Salesforceに直接接続する。

有料で提供するのは、すべてのデータをまとめ営業チームで起こっていることの全体像を把握する方法だ。ScratchpadのデータはSalesforceデータベースに自動的にリンクするため、ユーザーは確実にSalesforceを使用することができる。

同社は、個々の営業担当者のワークスペースを構築する最初の作業を完了した。次のフェーズで、また今回の資本によって一部カバーされるのは、チームのワークスペースを構築すること、およびデータが個人からチームビューにどのように流せば、管理職が個々の担当者の仕事についてより多くの洞察を得ることができるかを検討することだ。これにはメモが含まれる。メモは通常Salesforceには含まれていないが、顧客とのやり取りに関する多くの情報を提供する。

これが何千人ものユーザーの共感を呼んでいる(ただし、サレイ氏はまだ正確な顧客数を共有したくないようだ)。顧客にはAutodesk、Brex、Lacework、Snowflake、Twilioが含まれる。

サックス氏は、プロダクトがウイルスのように広がっていく様子が好きだという。「営業担当者がScratchpadを使い始めると2つのことが起こるようになります。毎日の習慣になり、チームメートと共有するようになります。この『ウイルス拡散現象』は珍しいものであり、製品と市場の適合性が非常に高いことを示しています」と同氏は声明で述べている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Scratchpad資金調達Salesforce

画像クレジット:sanjeri / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi